索引


警察史編纂室(けいさつしへんさんしつ)

 『流行り神』シリーズに登場する謎の組織。
 警察の一部署ではあり、警視庁の地下五階に密かに存在している(実在する警視庁本部庁舎は地下四階までしか存在しない)。
 イマドキ珍しく「黒電話」が引かれているなど、事情を知らない警察内部からはさながら流刑地のような扱いを受けているようだ。

 そんな存在意義不明の編纂室であるが、実際には警察の歴史などを取りまとめているわけではない
 この部署が取り扱っている資料は「百キロババア」や「口裂け女」のような都市伝説関連の常識外のものばかり。市民から寄せられたはいいものの、まともな公僕からすれば冗談のような事件ばかりを取り扱っている。


携帯電話(けいたいでんわ)

  • 登場作品:晦,2008,小学怖,極,ドラマCD
  • 種族:アイテム
  • 関連人物:真田泰明,間中愛,長瀬えくぼ,ほか多数《所有》
  • 関連用語:携帯の小夜子さん,チェーンメール,怪人アンサー
 携帯電話とは文字通り携帯して持ち運べ、電話機能を有する通信端末の総称。
 古くは自動車電話やショルダーホンにはじまり、世代を経るにつれて手のひらサイズにまで小型化していき、またネット接続機能やメールなどにはじまり多機能化が進んでいくなど、今や現代を象徴する便利な必携ツールへと進化を遂げていった。

 なお、インターネットがようやく一般家庭に普及し始めた1995年頃は数字情報を介して符丁のようにして情報をやり取りする「ポケットベル」全盛期とされている。
 手に持って持ち運べるサイズのPHSや初期の携帯電話については黎明とされる時代である。

 『晦』
 初登場作品。
 つきこもりの夜に車座になって怖い話を繰り広げる前田家の親戚七名のうち一人「真田泰明」の元には彼の手番の話はじめに必ず携帯電話で電話がかかってくる。
 話しぶりからするとおそらくは部下から指示を求められてのものである。

 発売年(1996年)が『晦』の設定年代と仮定すると携帯電話自体の普及率がさほど高くはなかった頃合い、真田泰明が流行の最先端を駆けるテレビマンであることを実感させるに十分な演出だろう。
 とは言え、基本的には演出とどまり。話に関わることは基本ないが、展開に絡むこともなくはなかったりする。

 『2008』
 常にノートPCを持ち歩く典型的ギーク「山本繁」が変人とされながらも一応教室に溶け込んでいるなど、情報化の進展が進んできた年代である。
 折り畳み式ケータイ「フィーチャーフォン(ガラパゴスケータイ)」の普及率も鳴神学園内でもそれなりに上がってきているようだ。

 『小学怖』
 シリーズで取り上げられる三つの年代のうち、すでに普及率も100%を越えたであろう「年代の特定されていない現代」。この枠組みに入る『小学怖』の時代となればもはや生活の一部に溶け込み、ことさらにピックアップされるともはや不自然になるのが「携帯電話」という存在である。
 しかし、電話は元々怪談を演出する道具として定着して久しく、携帯電話もその例外ではなかったようだ。

 この年代における特徴としては「2008年」前後に普及が進みはじめ、2010年代となると既存の携帯電話を駆逐していった「スマートフォン」が注目されるだろう。

 『ドラマCD』Disc.9 エンディング type.B「ワタシ、リカちゃん」に登場。
 本作の設定年代は「1995年」、上記で語った通りポケベル全盛期である。
 にも関わらず、ドラマCD自体の発売年である「2019年12月31日」において全盛を誇るスマートフォン片手に「リカちゃん電話」にまつわる謎のネットワークを語るこれまた謎の少女「筒井里佳」が登場する。

 どう考えてもオーバーテクノロジーを前に様々な反応を見せる集会出席者一同だったが、真相かはともかくとして「筒井里佳」は未来からタイムスリップでもしてきたのか? 
 ……という仮説を立てられるのは2020年以降にこの話を聴いて、かつ手元にスマートフォンを持っているリスナーの特権かもしれない。


携帯の小夜子さん(けいたいのさよこさん)

  • 登場作品:四八,AMC1,送り犬,2008
  • 種族:都市伝説(現代妖怪?)
  • 関連人物:坂上修一,山本幸男《犠牲者》,中野康太
  • 関連用語:悪魔の電話
 『四八』千葉シナリオ「学校であった怖い噂」に登場。
 ネット隆盛の現代に全国各地から怖い話を集め、無事壁新聞を完成させた主人公「坂上修一」だったが、唐突に自分の携帯電話にかかってきた「090-1234-5678」と言ういかにも怪しげかつフェイク臭い番号に出てしまう。
 そして、「わたし……さよこ」と言う謎の声を聞き、視界は暗転。
 次に坂上を呼びに行った時、彼はもうどこにもいなかったと言う。
 ちなみに、坂上が集めた怖い話の共通点として全員が「女性」と言うことが挙げられるが、関連は不明。あっという間に終わって正直わけわかめ。

 しかし、それもやはり納期と言う巨大な壁に阻まれたものであった。
 ちなみにこの「携帯の小夜子さん」自体は「アパシー・シリーズ」用に用意されたプロットであり、『四八』へは流用する形で使用されたのだが。
 『四八』の頓挫につき、再びシリーズ本流での再登場を期待したいところである。

 まずは『AMC1』『送り犬』「山本幸男の警備日誌」ルート。
 こちらでは山本さんの前の職場において、彼の同僚が不気味な着信メロディと共に携帯電話一つを残して消えたと言うもの。
 愛する妻と子を置いて行方不明になった彼の存在を山本さんは気掛けつつも、転勤の都合と日々の生活に紛れてはどうすることも出来なかった。 
 そんなある日、山本さんの元にかかってきた見覚えの無い……、いやあった! 不気味な着メロと絶対に有り得ないはずの番号「090-1345-113a」。

 怪異が何の前触れもなく、人間を消してしまう。なんと不条理なのだろう。
 だが、これら三人の犠牲もまだ、本番には程遠い。
 『AMC1』の発売以前に頒布されたチラシには「鳴神学園都市伝説探偵局~携帯のリリコさん~」と言うタイトルが踊っており、否応にも関連を疑える。
 「探偵局」シリーズの始動を鑑み、実際に見ることが出来るのはかなりズレ込んでいるようだが、それでも期待せずにはいられない。

 便利すぎる「携帯電話」……、それは時に作話の邪魔になると言う。
 確かに、「すれ違い」の妙、恐怖は難しくなった。
 同じ電話の怪で既に「悪魔の電話」で描かれた道である。
 だが、「電話」の恐怖は現代人にとって身近であるからこそ、より深く、より昏い。それに技術の進歩によって恐怖が消えることは有り得ない。
 有線の電話もかつては最先端の科学であったのだから。 

 『2008』6話「小夜子さん」に登場。
 馬鹿と純粋が紙一重な男子生徒「中野康太」相手に唐突に「小夜子さん」名義で携帯メールを送ってきた謎の存在。
 作中では美しい女子生徒の後ろ姿というイメージ画像が出ているが、中野くんとの接点はメールの文面のみのため、当然ながら実像は不明である。

 文面自体は簡素ながら上品でどこか茶目っ気のある女性のものと一貫しているが、メールを重ねていくにつれて次第に中野くんの生活を監視しているような返信履歴が積み重なっていく。
 第三者として冷静に観察していた友人の山本君も当初は違法業者による詐欺メールと思っていたものの、異常な女性が中野くんを見初めたのでは? という推測を固めていった。

 一方で奇妙なことに小夜子さんは中野くんのことを知りたがるのに自身のことは全く語らない。
 しかし、「会いたい」という文面を送った中野くんに対して「自分の手をひっかいた黒猫を殺してほしい」というとんでもない要望を突き付けてくる。
 それに応えようとする中野くんによろこびの文面を返す小夜子さん、果たしてその正体は……?


下駄箱(げたばこ)

  • 登場作品:学怖,学怖S,VNV,探偵局,AMC2,特,
  • 種族:スポット(学校施設)
  • 関連人物:風間望《噂》
  • 関連用語:赤い教科書,いじめ
 下駄箱とは靴などの履物を入れるための家具のこと。単に「靴箱」ともいい、地域や時代によってはこちら呼びが主流である。
 特に学校では備え付けのものが置かれ、指定の上履きへ履き替えるためのスペースが設けられている。もちろん下駄箱は個人に専用のものが用意されている。
 「ロッカー」同様私物を入れても良いし、チョコレートラブレター、果たし状などの各種贈り物を入れてもいい。

 が、特に錠が付いているわけでもないのでプライべートとしてはあっさり破られやすい。
 上履きの匂いを嗅いで悦に浸っている変態がいたりするし。
 下駄箱とは外界の泥を落とす場所と言うだけでなく、異物や変態の出没しやすい「境界」としての役割も持っているのかも知れない。

 最近は学校指定の上履きと言う発想を持たない学校も存在するようだが、鳴神学園ではしっかり学校文化の伝統を受け継いでいる。
 弊害として「靴の中に画鋲」などのいじめ文化もしっかり温存されているようだが。「本当に恐ろしいのは人の心なのかもしれない」。

 『学怖(S)』風間一話、風間二話、岩下四話に登場。
 基本的には前述したとおりに、なにかを入れておく用途から話の端緒が生まれやすい。
 また、登下校時のにぎやかさが去った後は案外人通りが少なくなるという特性を生かして怪奇現象が起こるのだとささやかれたり、雨天時の待ち合わせ場所に使われたりと「校門」とは似ているが、微妙に違った役回りで使用されるスポットである。

 風間一話「ゲタ箱の中の小さな恐怖」。


 (執筆者募集中) 


 風間二話「ひとり七不思議」。
 「実は、あそこに人魂が出るって話を知ってるか? 終わり
 例のごとく詳細は語られないあっという間に終わってしまう風間さん談の七不思議、その二番目である。
 下駄箱に人魂とはまぁありそうな話で、人魂の来歴や詳細な描写が加わればまぁ怖い話になりそうな気もしないではないが、やはり流されて次の話に行ってしまう。そして三番目の「小出照男」からはいよいよ怖い話かどうかすら危うくなっていくのだった……。

 岩下四話「赤い傘青い傘」。
 「立花ゆかり」と「塚原浩」に出会いのきっかけを与えたのが、ここ下駄箱である。
 企図してか偶発的なものかは人それぞれだが、梅雨の時期に傘を忘れた男子は雨宿りに下駄箱周辺に留まり続ける。
 そこで傘を差しだした女子と恋のはじまりを迎える、なんてことは岩下さんもおっしゃってのようにざらにあることである。

 よって、傘を忘れた塚原くんに立花さんが傘を差しだしたことから物語ははじまる。
 続いて、その後も立花さんが塚原くんに二度目三度目に傘を差しだしたことで恋物語は悲劇や惨劇へと発展していくのだった。

 『VNV』『特別編』「かぐわしきにおひ」「かぐわしきにおひ(改訂)」に登場。


 (執筆者募集中) 



ケツ

  • 登場作品:学怖,学怖S,極
⇒「ケツ


現代(げんだい)

  • 登場作品:小学怖,新生,極,新生2,学恋4,レトin,秘密,ナポin,荒井,鳴七,稲in
  • 種族:年代
  • 関連用語:ポエッター
 「アパシー・シリーズ」はあまたの作品群からなるが、大まかに分けて取り扱う時間軸は三つの年代に分けられる。
 「1995年」、「2008年」、そしてこの項目にある「年代の特定されていない現代」である。

 この時間軸の提唱がなされたのは『新生』以降、公式からみっつめの年代として定義された。
 この時間軸に当てはまる作品もしくはシナリオは上記で挙げた通り、具体的に西暦何年であるかが明言されない。

 1995年を高校生として生きた「七不思議の集会」のレギュラー陣の子弟を登場させる『小学怖』を紹介する上で世代交代をともなう時間経過を漠然と言い表すために設定されたと考えられる。
 ちなみに無理に『小学怖』の年代を当てはめるとすれば書籍が発売された年の「2014年」が適当だろうが、前述した通り公式から具体的なアナウンスはされていないため、あくまで参考程度の情報と捉えていただきたい。

 ただし『極』以降はかなりフレキシブルかつ、便利な年代として取り扱われるようになった。
 この時代がなにかということを乱暴に言ってしまえば「ポケベル」の1995年、「携帯電話(折り畳み式)」の2008年以後の、人々がスマートフォンを持ち歩くようになった時代全般である。

 我々プレイヤーが歩む最新テクノロジーがリアルタイムに更新されていく現実と、文化や風物が日々移り変わっていく様をそっくりそのままゲームに適用したと言い換えてもいいだろう。
 当時の習俗の下調べが必要な他の年代と比べ、ライターが割く労力の差についても推して知るべし。

 また、この時間軸に「1995年」と「2008年」の登場人物が客演する場合は、『小学怖』のレギュラー陣と歩みを合わせて年を取るか――、といわれればそうとは限らなかったりする。
 (※『小学怖』主体の作品・シナリオの場合は当然合わせて年を取っている)

 この場合だと1995年の語り部たちなどの『VNV』以降に設定された生年は意味をなさず、正式な生年は不明ながら「年代の特定されていない現代」に合わせてスライドする形になるのだろう。
 この概念が打ち出された『極』のコンセプトは年代設定を外すことで語り部たちが1995年ではなく現代の文化技術に親しんだらという発想の下、新たな怖い話を紡ぎ出そうという試みとされている。
 『極』の流れを汲んだ『新生2』や『秘密』も、その考えを踏襲している。

 細かいところを抜きにした夢のクロスオ-バーを楽しんだり、といった観点も見逃せない。
 元の親子関係の影響力は大きいのか、高校生時代の親と小学生時代の子が同じ画面に競演するということは避けられがちだが、本来ならふたつの年代を跨ぐはずの両者が同じ目線で語り合う、というのは望外の楽しみかもしれない。

 シナリオ制作上の自由度もあいまってこの年代は今後のシリーズの主流となると語られている。


現代妖怪(げんだいようかい)

  • 登場作品:
⇒「現代妖怪



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最終更新:2024年01月21日 13:44