き
ネタバレ注意!
※概要の書かれていない項目名やカテゴリのみでの立て逃げは禁止です。ご自身での記述が難しいようでしたらコメント欄等で執筆依頼をし、合意が取れてからの項目立てをお願いいたします。無言での立て逃げは荒らしに等しいことをご留意ください!
索引
記憶喪失(きおくそうしつ)
- 登場作品:学怖,晦,学怖S,四八,学恋2,男怖,極,荒井,アパ男
- 種族:現象
- 関連人物:中山,園浦智子ほか多数
- 関連用語:夢オチ,首吊り桜
記憶喪失とは文字通り記憶を失うこと。俗にいう物忘れはこの定義には入らない。
創作文化上で用いられる際には厳密な医学的分類に基づく考察が働いたり、働かなかったりさまざまである。
主に自分自身の生い立ちをはじめとする過去などの「エピソード記憶」を忘却し、思い出せなくなることを指すことが多い。
一過性のものから長期にわたって忘却し続ける例や短期間か長期間かといった具合で症例の度合いもこれまたさまざまである。
「エピソード記憶」はピアノの演奏など俗にいう体で覚える「手続き記憶」や母国語などの「意味記憶」とは司る脳の部位から言っても一線を画する。今までの関係性から切り離されることを考慮に入れなければ、日常生活を営む上で支障はないとされる。
実在の人物では真偽については諸説あるが、2005年に記憶喪失の状態で発見された「ピアノマン」などが有名である。
シリーズ中では一つの事件にまつわる記憶が第三者から証拠隠滅のために抹消されたり、あまりにも辛い過去を背負った霊が自分の記憶に蓋をしたり(自分の死に気づいていないなどはわかりやすい例だろう)、といったことも主な事例として挙げられる。
果ては人外の手によって世界から特定の存在が抹消されることで世界中(少なくとも故人の関係性のある)の誰からも忘れ去られたりといったダイナミックな案件も存在したりする。この場合は語る側が知っている理由をセットで説明されることも。
『学怖(S)』新堂三話、細田二話、隠しシナリオに登場。
初登場作品。
超常存在によって特定人物の痕跡が消されたり、自分の本質をなんらかのショックで見失っていた。
――などの、上記で挙げた事例がさっそく取り沙汰される。
新堂三話「
バスケット部の秘密のノート」
サイコ野郎「
田所芳樹」は自身が部長を務めるバスケット部に身の置き場がなくなり、辞めようとする。そこで部室を漁っていたところ、過去のバスケ部員が部室に残した悪魔を呼び出す方法が書かれたノートを発見する。
田所はこの方法で呼び出せるという記憶を司る悪魔と取引を行い、自分が行った数々の悪行を関係者の頭の中から消し去ってもらおうと思い立つ。
儀式は成就してしまい、田所に迷惑をかけられた当事者たちは田所の死を悲しんでくれたんだとか。
ただし代償が半端ないということを差し引けば、田所がこれで報われたかは怪しいところだろう。
細田二話「
流れないトイレの悲しげな霊魂」。
トイレに縛り付けられている男子生徒の霊「
井上良法」は、ある男のことを探しているという一点の記憶のみを残して当初は自分がいったい誰なのか、なんという名前なのかすらわからない状態だった。
知人の日野貞夫からくだんのトイレについて調査を頼まれた細田さんは、そんな彼の霊と出会ったことで協力することになる。
そして彼の身の上にまつわる決定的な遺品を見つけることができた場合、井上くんの記憶は蘇る。
死の間際に抱いた憎しみの感情が渦巻き「
ラップ音」が鳴り響く中、井上くんの霊は「禁断のトイレ」から解放された。
井上くんは復讐相手の「
長峰」をめがけ細田さんの協力の下、行動に移ることになる。
[なお、井上くんの霊が記憶を失っていた理由は、彼がトイレに縛り付けられていた原因と思われる定期入れに入った妹の写真が半端な位置に引っかかっていたためと思われる。
兄が妹のため、犯人を捜そうとする動機を象徴する物品が手許から離れ、けれど遠くまでは行かず手の届く位置にあった。
死者は生者には及びもつかないほど無力であり、唯一残された思いさえもわずかなきっかけによって押し流されると考えれば、正しく悲哀ではないだろうか。]
隠しシナリオ「
スンバラリア星人現る」。
「
風間望」のことを自称宇宙人なアブない人とみなす主人公は、母国語に切り替えようという彼の提案をかわすべく自分は事故で「
スンバラリア星人」としての記憶を失っていると言い出してみる。
するとその言い分を鵜吞みにした風間さんが主人公の記憶を取り戻すべく対処に当たるのだが、その申し出を素直に受け入れると本当に主人公の正体が記憶を失ったスンバラリア星人であることが判明する。
なんでも主人公は妻と三人の子どもがいる身の上らしく、記憶を失って困ったところを現地の地球人と同化したところ、そちらのパーソナリティに呑みこまれてしまったという流れらしい。無事に元の人格を取り戻した主人公は母星に帰還する流れになった。
これに限らず、スンバラリア星人はアンモナイトの頭部と触手を持つという特徴を持つにかかわらず、妙に寄生や同化にまつわる展開が多い。それら疑問に答えるべく、『鳴七』において実態は「液状生命体」という設定が生まれたのかもしれない。
またはスンバラリア星人への復讐に燃える「
ウンタマル星人(地球名:「
新堂誠」)」の生き残りが現れ、あわやというタイミングで風間さんのことを射殺してくれ主人公のことを助けてくれ。
しかし、それはそれとして秘密を守るべく新堂さんは主人公の記憶を消去する措置を施すのだが、失敗してしまう。
ついでに副作用で主人公は霊が見れるようになったらしいが、その辺はとてもポジティブに捉えていた。たくましいことである。
隠しシナリオ「
真説・桜の木の伝説」。
このシナリオの中で岩下さんの口からいわくつきの桜の木の正体として語られる「
首吊り桜」は生贄を求めている。しかも生贄にされた本人の肉体は元より、その人物がいた事実まで消却してしまうというとんでもない存在である。
詳細は語られていないものの、生贄にされた人間のことは誰も覚えていないという話なので関係者の記憶は元より各種文書などの記録にまで影響は及ぶと考えた方がよいかもしれない。
ではなぜ首吊り桜がこんな危険な性質を持っていることがわかるのか? という疑問そのものがこのシナリオの種明かしに密接につながっている。当事者が死に絶えているのになぜ怪談として伝わっているか? というツッコミは岩下さんには通じない。
(執筆者募集中)
『四八』千葉シナリオ「学校であった怖い噂」に登場。
壁新聞を作るに当たってネットを介して全国から怖い話を募集した坂上くんだったが、怖い話に見せかけた笑い話を集めた場合、やっぱりというべき風間さんが現れる。しかしなぜだか坂上くんの目の前に現れた風間さんは記憶を失っていることがある。
例のごとく繰り出される「僕は誰なんだ?」という質問の答え次第で、「風間さん(カッザーマ)」は正義のヒーローだったり、はたまた悪の組織の一員だったりと合点してしまう。その場にいた坂上くんが至極当然とばかり巻き込まれるのは言うまでもない。
ただし、宇宙人と答えると「カツカレー」という意味不明な言葉を残して風間さんはその場を立ち去ってしまう。
一応、ほかのシナリオでカツカレーとスンバラリア星人の関連性がファミ通部員「大蔵詠美」の口から語られているが、直後現れた謎の男「斑鳩琢磨」は直前までいた男は「金星人」であるといい、どうも話はつながらない。
没シナリオになった「学校であった怖い話」によると風間さんは全国に散った語り部たち同様に「復讐サイト」の管理人のひとりだというし、結局のところ真相は不明である。
風間望が本当に記憶を失ってたのか、それとも坂上くんを担いだだけなのか。
坂上くんの不用意な言葉で思い出してしまった風間さんの正体が真実であるのか妄想であるのか、それは定かではないのだ。
『学恋2』「風間編」に登場。
シナリオの前提としてスンバラリア星の工作員「マザーカ(風間望)」はどういうわけだか地球を破壊できる原子爆弾を肉体に埋め込まれた同胞を探すことになる。輪にかけて不可解なことにその同胞、地球現地に擬態した姿で記憶を失っているのだという。
(執筆者募集中)
『男怖』『アパ男』「謎の研究施設」ほかに登場。
「
狭間の部屋」という禁忌に挑むにあたって「記憶喪失」というシナリオギミックが働く機会がゲームを通して複数ある。
この場合は記憶を消されていても違和感なく進む「SF」に話が転んだり、既に狭間の部屋に訪れていた探索一行があまりに強烈な体験をしたために記憶に蓋をしたりと、話のお膳立てを最初からひっくり返される展開に進むことが多いようだ。
(執筆者募集中)
(執筆者募集中)
「
惑星からの帰還」。
狭間の部屋を開けた直後、守山成樹の認識は百八十度転回する。
なぜならば今までの一般的男子高校生としての生活はまやかしであり、本当は惑星間航行可能な宇宙船のクルーだったためである。人類が環境再生のために母星を離れ火星に移住して百年あまり、改めて地球が居住に適しているか調査に向かったのだという。
なお、守山の認識の差異は頭を打ったために記憶が混乱しているというのが同僚の都築らの見立てである。
事実、守山は当初こそ探索一行が同じ船の同僚や上官という状況に混乱していたものの、次第に順応してみせている。
その仮説はおおむねでは正しいようで以後は世界観をSFに変えてこのルートは展開していく。
が、人類にとって未知に成り果てた地球に守山が対応できるかと言えば話は別である。場合によっては調査団は宇宙船にヤバいものを持ち帰ってしまったことで惨劇が起きたり殺人事件が起きたり、はたまたさらなる
どんでん返しを迎えてしまったりもする。
(執筆者募集中)
(執筆者募集中)
喫茶店(きっさてん)
- 登場作品:探偵局,AMC1,レンタル,送り犬,男怖
- 種族:スポット
喫茶店とはコーヒーなどの飲料とケーキなどの軽食を提供する飲食店。相談事や会議などの舞台としてよく登場する。
[一昔前は学校帰りの学生さんが喫茶店に集まって~という光景があったものだが、昨今ではそういう風潮もなくなっている。また七不思議の集会と学校内でほぼ世界が完結している『学怖(S)』内での登場はほとんどない。]
『レンタル』においては出会いを演出する場として喫茶店が度々使用されている。
(執筆者募集中)
クリスティナ
『探偵局』第六話「
フレンドシップ」に登場。
柴田をはじめ、鳴神の生徒にも大人気な駅前店。
この店で
賽臥が友人の「
柴田浩次」から相談を受けたことが話のきっかけとなる。
二階建ての小洒落た建物で雰囲気も悪くないようだが、人気店のためいつも混雑しているようだ。
名物メニューはシナモンロール、他にカフェラテなど。
よって、甘党っぽい柴田にとってはお気に入りでも甘いものも嫌いな賽臥(嫌いな物多いな、この主人公)にとってはただ煩わしいだけの場所だった。
『AMC2』によると、最近(2007年6月)新製品が出たらしい。
トリスタン
- 登場作品:レンタル
- 関連人物:久我山,間山久恵,佐藤一郎,湯川加奈子
- 関連用語:
『レンタル家族』「
はんぶんつ」に登場。
「
久我山」さんと「
間山久恵」の出会いの場となった全国展開のチェーン店。
久恵が勤めているのはとあるオフィスビルの一階に店舗を構える。従業員達の息が合っているのか常連さんも多い。
主なメニューはブレンドコーヒー、ホットミルク、チーズトースト、ホットドックなど。
記念日ちゃん(きねんび-)
- 登場作品:新生,ドラマCD,鳴七
- 種族:ニックネーム他
- 関連人物:剣持京華
「記念日ちゃん」とは、「
剣持京華」のあだ名の一つ。
または彼女をメインに据えたシナリオの名称でもある。
後者は過去の飯島氏のブログにて、
逆殺人クラブを描く『月下美人の章』で「
風間望」が語る話として予告されたのが初出と思われる。
その先駆けとして、『新生』には「
元木早苗」もとい「
綾小路行人」の語る「記念日ちゃん」が収録されている。
『月下』の「記念日ちゃん」は『新生』とはまた別角度から剣持さんを掘り下げる内容と予想されるが、2023年現在まだ日の目を見ておらず、今後の展開が期待される。
逆殺人クラブ(ぎゃくさつじん-)
逆殺人クラブとは『学怖』で採用されることなく葬られた幻のシナリオを指す通称。
主人公が実は殺人鬼であった語り部達に追われる「殺人クラブ」とは逆に実は復讐鬼であった主人公が仇である語り部たちを追い詰めていくと言うプロットが語られたことからこの名称が付いた。
この話では「七人目は主人公であり、七不思議の集会は語り部達を誘き寄せるための狂言ということが明かされる。そして主人公がおもむろにロッカーを開くと、日野先輩の死体が転がる」と言う衝撃的な導入部、発端が描かれるのだ。
詳細については想像に任されているが、飯島氏の口からは度々上がり、コアなユーザー間では伝説的シナリオとなっていた。
このシナリオについて最新の発言は「応援本」、このシナリオを思わせる短編小説『ドラゴンナイツであった怖い話』は「応援本2」で見ることが出来る。小説によれば、一部を除く語り部達は全員坂上の妹「美由紀」の死に関わっていたらしい。
ちなみに没シナリオにならなかった場合、福沢玲子を六人目に選んだ後の七話目に発生するはずだった。
しかし、バンプレストサイドが主人公を殺人鬼とすることに難色を示したため製品版に収録されることはなかった。
現在見ることが出来る福沢七話はご存知の通り、黒木先生が食人鬼であったと言うもので、急遽差し替えられた都合上、一瞬で終わるものになっている。
なお、『学怖(S)』では主人公が意図せずとも殺人を犯してしまう展開はすべてバッドエンドとして扱われており、進行の都合もあろうがコンシューマーの限界を感じさせてくれる。⇒「
そしてすべてが終った」
それでも、今のアパシー・シリーズにおいては黒木食人鬼設定が幅を利かせているところを見ると、まさに縁とは珍妙不可思議なものである。
しかし、飯島氏が後悔している通り、製品版福沢七話のせいで『学怖』というゲームが大きく誤解されたことは確かである。これには、福沢が一番下に配置された語り部選択画面の仕様も関係する。
多くのプレイヤーにとって、ほとんど何の知識もない状態での初回プレイなら上から順に選択することが心理的にも常道である。ゆえに、普通に初回プレイをした場合、高確率で福沢七話に突入してしまうのだ。
このせいで初回のプレイだけで福沢七話シナリオの展開が全てであると思わせてしまった。現に某ゲーム雑誌のレビュアーもその旨の発言をしている。
福沢を抜きにしても『学怖』は「新堂・荒井・風間・細田・岩下・福沢」という、席順でも高学年順でもあいうえお順でもないよく分からない並び順となっている。
この順番には理由があり、「飯島氏自身のおすすめ順」「一周目に福沢の『逆殺人クラブ』を見た後、二周目に高確率で新堂の『殺人クラブ』に突入するように考えた配置」とのことである。
『学怖S』は六人の順番がプロローグの席順(「岩下・新堂・風間・福沢・細田・荒井」。ただし六人がこの順番で座った理由自体は不明)になり、荒井が一番最後(右)に来ているため、初見で福沢(六,)七話に当たる可能性は少なくなった。
前期七転び八転がりが決定版として目指したタイトル『完全版』には当時使えなかったプロットを幾つも使用することが宣言されているのだが、「逆殺人クラブ」はその中でも目玉として位置づけられている。今度こそ福沢七話はこのシナリオになるのだろう。
現に、登場人物紹介の項では語り部の順番が上級生順になっていた。
そして、時は流れる。二度目の活動休止から七年を経て「
アパシー・シリーズ」が上げた復活の狼煙『新生』と前後して、頒布形態に悩みつつも新たなプロットの下に「逆殺人クラブ」が単独タイトルとして世に出ることが決定した。
そして、ついに『月下美人の章』という副題を経てリリースが分冊化の下に開始されることに。
本来ならば「殺人クラブ」と同じゲームの中で共存し、表裏一体の関係になるはずだった「逆殺人クラブ」が姿形を変えてプレイヤーの前にお披露目の機会を得ることになったのである。
吸血鬼(きゅうけつき)
- 登場作品:学怖,晦,学怖S,学恋,特,追加,新生,鳴七
- 関連人物:北島なつみ,新田かおり,岩下明美《比喩》,元木早苗,福沢玲子,前田葉子,藤村正美,更紗《正体》
吸血鬼とは人の血を吸う怪物の総称。
概念としては世界各地に見られるが、この項ではその中でも特に有名で、かつもっとも浸透したイメージである「ヴァンパイア(Vampire)」を軸に解説する。
ヴァンパイアとは元はスラヴ圏を中心とした東欧で多くの伝承が見られる名称。
しかし、その姿はぶよぶよした血の塊であったり、西瓜や南瓜が動き出したものを怪物と呼んだりと、今日日連想される像とは大きく異なる。
さまざまな民俗伝承が現在のような統一されたモンスター像に集約されていったのはブラム・ストーカー著の『吸血鬼ドラキュラ』の影響が大きい。
もっとも、元祖ドラキュラは赤ら顔で髭を乱雑に生やした野性味溢れる男として描かれている。
襟を立てた燕尾服を着、青白い顔をした貴公子然とした男と言う外見は後世の舞台や映画で形作られたものである。
そのような吸血鬼の特徴として一般に指摘されるのは以下の通り;
太陽の光を浴びると灰になる・たまに克服しているの(デイウォーカー)がいたりする・流水を渡れない・十字架や聖別された武器、もしくは銀製の武器に弱い
大蒜や葱などの香草に弱い・招かれなければ家の中に入れない・鏡に姿が映らない・心臓に白木の杭を打ち込まないと殺せない・炒った豆に弱い・だけど納豆は好き・主に魅了の邪視の持ち主・時を止められる
吸血鬼に血を吸われた者は吸血鬼になる・眷属は「真祖」とも言う親元に逆らえない・なれるのは処女もしくは童貞限定・そもそも死者でなく、独自に進化を遂げた生命体
不老不死・中世貴族を思わせるコミュニティを築いている・美男美女が多い・ついでに幼女も多い・驚異的な怪力と再生能力を誇る・身体を霧や蝙蝠に変えることが出来る・人間との間に子どもを作ってたりする・ハーフはダンピールと言い、双方の利点を持つ
などの弱点や利点は後世になるにつれ付与されていったり時々無視されていったりする属性であり、一概に語ることはできない。
いずれにせよ、「吸血鬼」と言う題材は現在までに多くの人間を魅了し、数々の人間を魅了してきた。小説から端を発し、映画・漫画・アニメ・ゲームなど様々なジャンルにおいて今も多くの作品が続々と送り出されている。
先に述べた特徴にある通り、最大の魅力は弱点があまりに多いことだろう。
「夜の(女)王」として傲慢に永遠性を謳歌しつつも、裏腹にある様式美ととも取れる儚さは特に日本人の心の琴線を刺激した。「吸血」という目に見える行為の酷薄さと美麗さも大きく、結果サブカルチャーの王様として君臨している。
モンスターと言えば、筆者自身藤子(A)先生の「怪物くん」を思い起こす世代なのだが、吸血鬼・人狼・
フランケンシュタイン(の怪物)と揃いながらも、随分と差が付いてしまったものだと想起するものである。
元々は漠然とした恐怖にはっきりとした属性を与えることによって、親しみやすいキャラクターに変えると言うのは「
妖怪」にもよく見られた通りの現象である。
なお、吸血鬼の持つ退廃的淫靡さは淫魔の属性が習合した中で付属していったとの説もある。この感覚・美学が何に近いかを、喩えて言うなら「オフィーリア」のように美しい水死体を愛で、欠損を愛する退廃派(デカダンス)だろうか。
ちなみに、吸血は性行為の代替行為とも言われている。
一説には「流水」「香草」「日光」などを弱点とするのは、吸血鬼が元は伝染病から着想されたものと言う説を考えれば納得である。
単なる「ゾンビ」とは一線を画す。ゾンビのイメージが定着したのは相当遅く、よく混同されるアラブ圏の「グール」にせよ全く異なる怪物である。
むしろ、伝承にある吸血鬼像の方がゾンビに近い。
流石に、日本を離れられず、オムニバス形式を多く取っているシリーズではあまり目立つことはない。あえて言うなら、吸血鬼と喩えられることのある
北島なつみのエピソードくらいだろうか。
反面、『晦』では大量と言ってよいほど血を啜る怪物が出現し、上記で言う吸血鬼の登場も稀ではない。
それを受けてか『学怖S』追加分岐においても一部の展開で登場する機会に恵まれている。
(執筆者募集中)
『学恋』倉田編「岩下」ルートに登場。
それそのもの直球で「バンパイア岩下」というタイトルの、乙女の生き血(恵美ちゃん)を入浴剤にしてしまうバッドエンドが存在する。
このスチルはOP兼PVにも使用され、覚醒坂上に跨られる謎の男と共に視聴者の目を釘付けにした。
これの元ネタは古典ホラーの傑作『吸血鬼カーミラ』の着想元となり、ひいては現在の貴族然とした「ヴァンパイア」像の源流のひとつともなった「エリザベート・バートリ」その人だろう。
ちなみに「カーミラ」はドラキュラ以前の作品であり、ドラキュラ像にも大きな影響を与えた。少女の不安定な心理や同性愛を描いた佳作としても名高く、恐怖小説と言うだけで毛嫌いしないで欲しい。是非とも一読をオススメする。
実際、蛋白質(コラーゲン)を含む血は皮膚の新陳代謝を促し、温色であるため、かかりでもすれば色が良く見えもするだろう。
[『学恋』の岩下像の一部はこのバッドEDから逆算して形成されたとも考えられる。
実際、吸血行為は単なる栄養補給と言うより常に淫靡な雰囲気が付きまとう。実際、創作上でも「性行為」に似た求愛のひとつの表現として描かれることもしばしばである。多くは同時に犠牲を伴う冷然たる儀式なのだが。]
(執筆者募集中)
(執筆者募集中)
旧校舎(きゅうこうしゃ)
- 登場作品:学怖,学怖S,VNV,AMC1,AMC2,学恋,学恋2,特,学恋V,追加,最終,極,ドラマCD,秘密,鳴七,稲in,アパ殺
旧校舎の悪魔(-あくま)
- 登場作品:特,鳴七
- 種族:スポット
- 関連人物:美津見,吉島春香,渡瀬
- 関連用語:悪魔
文字通り旧校舎に出没するという願いを叶える悪魔。
ただし、目的を果たすためには相応の代価として死後に自分の魂を差し出す必要がある。ある意味定番であるが、即物主義・刹那主義の多い現代では割と好評のようである。
しかし、実際に悪魔と対面するためには超・心霊スポットに立ち寄れるだろうか? それとも旧校舎は手軽に立ち寄れる利便性という点では最悪の立地だが、人目を避けるという点では非常に都合が良いのかもしれない。
よってか、ひっそりと学園の少女達の間では存在が語られるに留まっている。さながら自ら能動的に動く
綾小路や
大倉とかと受動的に悪魔のアイテムに巻き込まれた者たちとの中間的な位置と言えるだろう。
すっげえ大っぴらにやって、教団設立? まで
行ってしまった人もいるが、そこは流して、と。
ちなみに彼女の場合シナリオ中で実際に悪魔と対面できるのだが、彼が他で登場する「旧校舎の悪魔」と同一の存在であるかは不明である。
他二人は
(執筆者募集中)
旧校舎の照魔鏡(-しょうまきょう)
- 登場作品:学怖,学怖S,学恋2,特,極,鳴七,稲in
- 種族:スポット(アイテム)
- 関連人物:新堂誠,吉岡《取引》,目黒啓子
- 関連用語:旧校舎,悪魔,異次元《出没》
「旧校舎」に設置された「魔」に通じる鏡の総称。
項目名は「
芋虫女」らと同様に『鳴神学園霊怪記』のチラシからの引用。「照魔鏡」とは字の通り魔なるものを照らし出しその正体を暴きだす鏡という伝説に由来すると思われる。
ちなみにシリーズにおいて旧校舎に置かれた鏡は、魔を退けるよりむしろ魔なるものをこちら側に引っ張り出すというイメージで語られがちである。
とは言え、旧校舎に置かれた大型の鏡がその前に立った者に応じて超常現象を引き起こすというシチュエーションは事例は違えど頻出する。
よって、名称とは微妙に噛み合わないことを承知の上で、この項目で同様の事例をすべてまとめるものとする。状況によっては項目内容の分割を視野に入れることもご留意いただきたい。
『学怖(S)』新堂一話「
霊界へ続く旧校舎の鏡」に登場。
旧校舎二階上り階段の中腹にある大きな姿見。
夜中の三時三十三分三十三秒に行ってとある行動をすれば何かが起こると言われ、新堂さんは「
吉岡」に相談されて儀式に同行することになる。[階段の途中に寄贈品の大きい姿見がある学校はわりと多い。無論、無い学校も多い。]
ちなみに鏡の前で取る行動は二択に集約され、その先の行動や結果をみればさらに分岐する。
時間ちょうどに両手をつけば「
異次元」に行けるという触れ込みで一緒に実行したものの、恋人の「
目黒啓子」の後を追いかけることになるし――。
合わせ鏡をすれば、死相が見える(=死期が見える)になってしまうか「
悪魔」を呼び出して取引が行えたりする。
なお、普段なら絶対に足を運ばない深夜帯、もしくはゾロ目などの、偶然から時間帯の条件を満たすことがほぼあり得ない儀式は「学校の怪談」では相当に先行例、類似例がみられる。
結果が異次元に連れていかれる、悪魔を呼び出せるなどの要素も同様である。
(執筆者募集中)
(執筆者募集中)
(執筆者募集中)
『稲in』に登場。
(執筆者募集中)
九尾の狐(きゅうびのきつね)
- 登場作品:晦,四八
- 種族:妖怪
- 関連人物:
- 関連用語:こっくりさん
日本三大(悪)妖怪の一角として大人気な妖狐。
各所では引っ張りだこで妖怪物のメディアでの露出度は高い。
最後に名乗った名から「玉藻前(たまものまえ)」とも、白面金毛九尾の狐(はくめんこんもうきゅうびのきつね)。
ちなみに、他二人は「大江山の酒呑童子」と「鈴鹿山の大獄丸」とされるが、後者がマイナーすぎるので代わりに「崇徳院」が入ることもある。
この辺の事情、三大悪女やらの三大○○の三人目と被って何とも切ない。
閑話休題。
『晦』由香里二話「お屋敷にいた子供の話」に登場。
「よっちゃん」のパターンの場合、彼女の話す薀蓄話のひとつとして、この妖怪の話が語られる。
妖異が家(イエ)に入り込むにはどうしたらいいか?
答えは「」
『四八』 県シナリオ「殺生石」に登場。
「那須の殺生石」について、彼女の生涯がフルボイスの語りで聞ける。
知っている人には繰り返しだが、やはりこの狐さんの魅力はワールドワイドに災厄を振りまいてきたスケールの大きなところだろう。
はじめは中国は最古の王朝「殷」において。
次に古くは天竺と呼ばれたインドにおいて。
最後に本邦は平安から鎌倉に移り変わろうとするとき。
三度に渡って名と姿を変えながら時の権力者に取り入り、篭絡することで国に災いをなしてきた大妖もついに日本にて命運尽きることになる――。
が、伝奇/歴史ものが好きな方には何だかんだ言って有名すぎる話、知ってる人には「だから何だ」と言われそうである。
が、ここで考慮すべきは「殺生石」が玄翁和尚によって砕かれ、全国各地に飛散している点だろう。
現に、記者は他県においてそれらしき事件を取材しているほか、このシナリオ内でもフラグらしきものが発見できる。
もしかするともしかしたら、製品版ではカットされた内に「殺生石」にまつわる隠しシナリオが用意されていたのかも知れない。
[具体的には、すべての石を集めると復活する……とか……?
それは『流行り神』でもやった話であるが、興味そそられるところ。]
境界(きょうかい)
- 種族:概念
- 関連用語:逢魔ヶ時,校門,つごもり橋,トイレ,古井戸,四辻
境界とは空間と空間の境、時間と時間の境である。
境界はしばしば化外のモノが住まう「異界」と繋がるものと見なされており、非常に不安定な場所である。伝承ではここで怪異と遭遇することが多い。
勘違いされやすいが、「異界」とは特に隔たった場所などではなく、我々の住まう場所(生活空間⇒日常)と隣り合って存在している。
古いムラ社会の時代からは「山や海」、文明の肥大に伴って都市にまつわる「橋や辻」、人の闇が濃くなれば家屋敷の周「門や厠、古井戸」。
これらが古くから境界とされる地点である。
都市生活者が人口の過半を占める現代日本においても「境界」は日々生み出され続けている。むしろ都会の闇は伝説が生きる中近世に比べ悪質かもしれない。
逢魔ヶ時(おうまがどき)
- 登場作品:学怖S,探偵局,特
- 種族:現象
- 関連人物:
- 関連用語:境界,四辻
夕方、日が沈み始めてから完全に暗くなる夜までの時間。
古来日本では昼は生者の時間、夜は死者の時間と考えられており、逢魔ヶ時は両者が入れ替わり交わる時間であるために多くの怪異と出会いやすいと考えられていた。
科学的な観点から見ると、昼間活発な時間帯と夜の眠りに向かう時間の境目であり、光量が落ちて薄暗いところに切り替わりで疲れた脳が幻覚を見てしまう……という見方ができる。
(執筆者募集中)
(執筆者募集中)
校門(こうもん)
- 登場作品:学怖,晦,学怖S,探偵局,四八,AMC1,学恋,学恋2,学恋V,流神A,極,秘密,鳴七,稲in,アパ殺
- 種族:スポット(学校施設)
- 関連人物:飴玉ばあさん,日野貞夫,倉田恵美,野々宮亜由美,今野英俊《出没》
学校の出入り口にあたる場所。校舎本体とはグラウンドを挟んで比較的離れた位置にあり、夜には当然閉門している。
登下校の際には必ず通る場所であり、学怖内では飴玉ばあさんの出没地点として有名。
また、恐怖渦巻く学園から脱出するに当たって突破しなければならない関門である。とりあえずこの校門を抜ければ、それまでの経過がどうあれ暖かい家庭が待っている家族のもとへ帰路につくことになる(※例外あり)。
『学怖S』では七話目を終了した後に流れるスタッフロール画像が「朽ちた旧校舎の廊下」と「夜明けの光輝く校門」のふたつに分かれていることからも分かるように、後者はグッドエンドと希望の象徴となっている。
昨今の治安意識の変化に合わせ、警備員が配置されるなど部外者が出入りしにくい土壌は作られつつあるようだが、シリーズにおいて脅威になっているのは在校の生徒や教師、様々な魑魅魍魎だったりするので別に話作りに大した支障はないようである。
『学怖(S)』新堂一話、新堂二話、新堂七話、荒井四話、風間二話、風間七話、細田三話、岩下二話、岩下四話、福沢六話、福沢七話、隠しシナリオに登場。
ただ、独りでは怖いので、あるいは儀式に立ち会う証人とすべくクラスメートの新堂さんに一緒についてきてくれるように頼む。
その際の待ち合わせ場所に新堂さんが指定したのがこちら「校門」である。
新堂さんの方から吉岡を誘った場合はいきなり旧校舎で待ち合わせという運びになるため、ワンクッションの校門は置かれない。
この場合の校門は、旧校舎に突入してからの吉岡の胆力という形でわかりやすい差異を示すための小道具だろう。
または深夜三時に独り幽霊のようにたたずむ吉岡という形で、これから何が起こるかを予感させる演出の一環とも取れる。
新堂二話「
飴玉ばあさん」。
「飴玉ばあさん」が出没する地点として紹介されており、ばあさんと紐づけれれる形で以降のシリーズにおいて綿々と語り継がれることになる。結末次第では虚ろな眼窩を抱える「
佐久間昇」が現れるなど、不審者がいてもおかしくない周縁地帯としての特性をいかんなく発揮してくれるようだ。
また、冒頭をはじめ新堂さんの口からは「生徒通用門」と言及されおり、この学校には複数の門があることが示唆されている。
新堂七話「
殺人クラブとの戦い」
殺人クラブとの戦いの幕開けに伴い、主人公が探索に臨むことができる学内の施設のひとつ。
時間の檻に囚われた主人公にとっては、アンプルの解毒剤を飲むまでは学校の外に出ることが意味をなさない。
そのため、この付近で部長の日野貞夫が見張っているのではないかと予感するにとどまる。
そして、いざすべての部員を撃破してのけ、毒薬の楔を抜き去った主人公にとってこの予感は的中する。
最後まで自分の足で立って立ち向かおうという意志を示した場合、そこに日野貞夫は待ち構えていた。
家に帰るための最後の関門が文字通り、登下校時に確実に通る「校門」というのは理にかなった話であり、最終決戦の場所には最もふさわしいといえるかもしれない。
展開次第では最後の部員である風間望を引き連れていることもあるが、ここに至るまで不殺を貫き見事生還を果たした場合、差し込む朝日は主人公のことを祝福してくれるかのようだった。
正確には校門外の公衆電話で朝を迎えることもあるが、悪夢の巣と化した校内から離れようやくひと時つけたことは確かだろう。
余談ながら、このシナリオは夜の十一時スタートであり、縮められていなければ制限時間は四時間三十分となる。
参考なまでに、東京都の日の出時刻がおおむね四時二十五分のため多少の誤差(夜十一時ちょうどとは言っていない。アンプルを飲んだ後に多少の休息時間を置いた。など)を込みでいえば日の出を迎えてもおかしくない時刻になるだろう。
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荒井四話「
懐かしい兄・宗一郎の思い出」。
「
前世」における「荒井昭二」はふたつ上の兄「
宗一郎」と下校を共にすることを日課にしていた。
教室の窓から身体を乗り出し手を振る宗一郎兄さんと振り返す弟、そんな変わらぬ日常はある日唐突に終わりを告げた。
兄・宗一郎が謎の落下死を遂げたのである。運命のあの瞬間は、校門にいた前世の荒井昭二と旧校舎という距離を隔ててなお彼の脳裏に焼き付き、現世の今に至るまで記憶として持ち越されたという。
なお兄のことを絶対視し憧れていた前世の荒井さんにとっては高校という空間とそれを外界から隔てる「校門」という境界をどこか神聖視しており、衝撃もあってその時は動けなかったのだとか。
風間二話「
ひとり七不思議」。
「
校長先生の銅像」が正門横にあり、夜中になるとひとりでに動き出す。終わり。
…………、これでは話にならないと風間さんに突っ込んで話を聞いてみると「生徒通用門」と正門は別にあり、それらの具体的な位置関係を知ることができる。銅像について? 風間さんの印象しかわからなかったよ。終わり。
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細田三話「
絶対トイレに行かない男」。
本題に入る前の前振りとして細田さんが繰り出す「学校で、教室以外でもっとも多く出入りする場所を知ってるかな?」という質問に対して返す答えのひとつに「校門」が用意されている。
確かに登下校に際し全生徒が往復二回通る校門だが、細田さんの想定する答えはきっと二度では済まない「トイレ」の方だった。
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岩下四話「
赤い傘青い傘」。
顔の良さを鼻にかけて女の子を弄ぶ男「
塚原浩」とそんな彼と過ごした一週間をいっときの夢と思って日常に帰ろうとする少女「
立花ゆかり」。
しかしふたりが出会うきっかけとなった雨宿りと、少女から奥ゆかしく差し出される傘という情景は再び繰り返されてしまった。
きっと肉体関係にまで至ったと暗示されている男女だが、相手から捨てられてもう付き合っていないと考えていた立花さんと、そんなこと関係なく唇を寄せようという塚原の認識には齟齬があり……、そこから惨劇が起こってしまう。
危険を感じて無我夢中の立花さんによって塚原は自慢の顔をはじめ体を傘で滅多刺しにされ、無為に命を落としてしまう。
直後、立花さんは自身の喉を傘で突き後を追ったという。
その後の噂話として雨の日は傘を持った少女が「校門」付近で誰かを待っているのだとか。
立花さんと察せられるその少女は、屋根のある「
下駄箱」で誰かを待って楚々と傘を差しだすことをやめたのだろう。
それで自分の傘を受け入れてくれる優しい人を探すことにしたのかもしれない。
ただし彼女が持つという青い傘と赤い傘の意味は、岩下さんの口からは語られていない。言外に察しろということなのだろう。
福沢六話「
真夜中の魅惑の恋愛占い」。
恋と占いに全力投球の美少女「
平井香苗」さんは展開によってさまざまな運命の相手を見出すのだが、このシナリオで「校門」が扱われるのは「
佐藤博通」くんと出会った場合である。
平井さんと佐藤くんは占いに対するスタンスの違いを除けば、実質相思相愛といえる間柄となる。
しかし最後の一歩が踏み出せなかった平井さんは焦りから「
黒魔術」に手を出そうかと思いつめてしまう。
それを機にふたりは些細な行き違いから喧嘩になってしまい、悲しみに暮れる平井さんはその夜、本当に黒魔術に手を出した。
そして多少の計算違いはあったものの動物の血を手に入れて儀式を行えた場合の平井さんは、夜の学校に佐藤くんを呼び出して告白を敢行する。けれど彼女の素振りを見て、告白をこの場で受け入れるのは良くないと判断した佐藤くんは告白を拒絶。
あともう少しの猶予があり、佐藤くんが拒絶した真意を語りさえすれば夜の学校の校門前という場景はこの上なくハマったのだろうが、人の心を狂わせる魔術はほとんど最悪といっていい結末を招き寄せてしまうのがった。
福沢七話「
突如現れた意外な七人目」。
六人目が語り終え、午後九時を回った新聞の部室、そこに黒木先生が現れる。
弁明をしようとする主人公に対し、黒木先生は居丈高に「帰れ」の一辺倒で集会に出席していた一同は早急に帰宅させられる羽目になる。この際に「校門」まで先生はついてきて、間違いなく全員が帰路についたことを確認していた。
黒木先生の一見すると職務に忠実なだけの行動の裏でひとり割を喰らった「七人目」には気の毒なことだが、校門を越えたということはひとまずの安息は約束されたということである。これもまた、門を越えることの象徴性を暗示する一例なのかもしれない。
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古井戸(ふるいど)
- 登場作品:学怖,晦,学怖S,秘密,鳴七
- 種族:スポット
- 関連人物:浅田茂,高野《犠牲者》,中山
- 関連用語:おふるど様,手,前田一族
一般に、地下水を生活用水にするために汲み上げるための施設を井戸という。
しかし、施設の老朽化や水源として役に立たなくなったなどの理由により省みられることのなくなった古井戸も存在している。こう言った古井戸は怪談の温床になる。
神が宿る場所として信仰の対象になっていた井戸は、魂抜きというお祓いの儀式を必要とするほか「息抜き」というパイプを通す施工を必要としたりで埋めるためには相応の手間を要する。単に迷信と思ったのかそうでもないのかはいざ知らず、使われなくなったのに古井戸が埋められていないのは労苦を厭ったためかもしれない。
そうしたわけで怪談の舞台としての古井戸だが、たとえば内部に落下し、誰にも発見されないまま孤独な死を迎えた犠牲者の怨念や、中に閉じ込められたナニモノかが「
手」を介して這い出てこようとするイメージが思い浮かぶかもしれない。
くわえて古井戸は人目につきにくい僻地にあることが多い。
事件・事故が起こったとしても必然的に目撃者は乏しいか皆無であり、内部に落下したが最期という事例もけして珍しくはない。
時に加害者も兼ねる目撃者がいたとして口をつぐめば最後、何が起こったか気づかれず犠牲者は闇の中に葬られてしまう。
たとえ発見されても真相解明に至らず、真実があやふやになるのが古井戸にまつわる怖い話の特徴として挙げられるだろう。
荒井一話「
校内に巣くう地縛霊」に登場。
放置された井戸は単純に物理的に危険であり、そこから生まれた悲劇の一例が語られる。
「
浅田茂」の末路のひとつに、古井戸に落下した挙句無惨な死体になって発見されたという展開が存在する。
誰にも発見されず暗い水に囲まれたまま息絶えた彼の無念を思うと忍びない話である。
『晦』正美一話、良夫一話、良夫二話、隠しシナリオに登場。
インターン時代に彼女を受け持った藤村正美さんは、実際に行ったこともないはずなのにそのような光景を幻視し、それがふと声に漏れてしまう。
それをきっかけに、中山さんから自宅を見に行っても構わないという許可を得るのだが……。
この話の中の古井戸は怪物を閉じ込めるためのものだったようだ。
ただし、同期の「
高野」さんが井戸の中に引きずり込まれて殺されたという点に限っては正美さんの作り話説を取らなければ信頼していいものの……。
いささか不自然な導入にはじまり、正美さんの語りには嘘や悪意や違和感が混じっており信用できない。実際に宅を訪れた彼女たちがどんな行動を取ったか、その先の真相についても謎が残る。
夜の便所に立つのが少し怖かった良夫は同じく立川家に泊まった「
小坂」と一緒に起き出すことにしたのだが、そこに四つん這いで廊下を滑って追いかけてくる「
骸骨」が!
小坂は骸骨によって古井戸に落とされ、良夫はあわやといったところで助かるのだが、翌日になってくだんの古井戸からは二、三百年くらい前の古い骸骨が十体近くも出てきたそうである。
ちなみに小坂は行方不明になったまま発見されなかった。江戸時代になにが起こったのかという謎と合わせ疑問は残るが、それはそうと良夫にとって井戸は拭えないトラウマになったそうである。
由香里二話「
お屋敷にいた子供の話」。
由香里姉さんがとあるお屋敷で子守りのバイトをした時の話だが、涸れた古井戸の底に落とされて危うく生贄にされそうになった時のことが語られることもある。
なんでも由香里姉さんは屋敷の子ども「かっちゃん」とその母親が屋敷の飼い犬の命を奪う現場に居合わせ、恐怖から逃げ出そうとするも果たせなかった。直後、母子から犬から抉り出された心臓を介して「印」なるものを頬に擦り付けられたのだという。
そして、井戸の底に下ろされ立ち往生する由香里姉さんはトンボの羽や何かしらの生き物の内臓が降り注ぐ嫌な光景を目撃、体験する羽目になる。おそらくはなんらかの人柱の儀式を行う上での見立ての一環だったのだろうが、詳細は不明である。
結局その場は屋敷の家長である婆さんの手を借りて逃れることはできたのだが、由香里姉さんの頬に印は今もなお残っているのだという。由香里姉さんは母子を恐れて近づきたくない思いと共に、転んでもただでは起きず逆襲の意志も示しているようだが……?
隠しシナリオ「
触れざる儀式の真相」。
上述の由香里二話を踏まえたある展開に派生した場合、葉子ちゃんはいよいよ知るべきことではないことまで知ってしまう。
葉子ちゃんは誰を信じていいのかわからない混迷とした思考の中で
この家が崇める神の名は「お古井戸様」が訛ったものではないかと推測した。
『秘密』「
行かないほうがいい」ルートに登場。
Yチューバ―の活動の一環として、いわゆる映えを求めて「古井戸」に坂上くんは訪れたという。
(執筆者募集中)
おふるど様(-さま)
- 登場作品:晦
- 種族:神(儀式)
- 関連人物:前田良夫
- 関連用語:前田本家
前田本家が祀っている土着の神らしき存在。
どうやら生贄を欲する性質があるらしく、この神がもたらすという富や力に目が曇った前田家の人間たちは「蟲」や小動物にはじまり、犬に果てや人間まで捧げ(ようとし)た。どう考えてもロクでもない神様なのだが、その正体は不明である。
上記の「古井戸」にまつわる展開がさらに進展し、主人公の前田葉子の目の前で取り繕う余地すらなく、これらの真実が暴き出された場合はこの神様の名前が明るみに出る。この神の力に魅入られた一族の者は水面下で醜い争いを繰り広げ生贄の押し付け合いから主導権を握ろうとしていたようだが、こんなヤバい案件が出てきてしまったが最後「すべては闇の中に…」一択である。
これに限らず『晦』は隠された真相を白日に晒したが最後、開かずの間での集いがそれどころでなくなってしまうことが多い。それを避けたいなら納得し切れないものを飲み込みながら、自分をダマすかのようにして集まりを続けるしかないわけである。
それはそうと、この神に選ばれた者は不可思議の力を発揮できるようで前田良夫の場合は手に触れることすらなく由香里姉さんの命を奪うという離れ業を演じている。
この神は自意識を持っており力を貸す人間を選ぶようだが、流れからすると人でなしの心でなければならないようである。
四辻(よつつじ)
『探偵局』第十二話「
四辻」に登場。
四辻とは二つの道が交わる「十字路」のこと。
あちら側とこちら側から来るものが出会う場所、交わる場所、尋ねる場所。
辻は古くから洋の東西を問わず、この世ならぬ異界と化しやすい場所とされる。非常にわかりやすいカタチでの「境界」の体現と言えよう。
交通事故によって、心ならず命が奪われることも単に見通しの悪さだけでなく、彼岸と此岸の境界が緩んでいるとすれば……。
橋と同じく辻を通る者を神と見立てて言ノ葉を乞うたのは「辻占」と呼ばれる。ホラーを例にとれば、
伊藤潤二の『死びとの恋わずらい』などはとみに有名だろう。
作中で賽臥は逢魔ヶ時に、それも髪の毛の呪物を持っていたと言う最悪のタイミングで四辻を訪れたことで異界に引きずり込まれる羽目になったようである。
お使いを仰せつかった「
高井戸惣」から「四神相応」についての講義を受けていれば「黄昏の淵に住む者」の謎かけを躱すこともできるのだが、正直綱渡りでの生還となった。
謎かけそのものではない。じゅげむ堂の名と天眼の存在がなければ、即座に異界のモノとされてもおかしくなかった。異界を甘く見てはいけない。
主人公が賽臥でなければ帰ってこれなかったハズなのだから。
金色の瞳(きんいろのひとみ)
文字通り金色をした虹彩のことを指す。しかもこの場合発光することが多かったりする。
能面で「金色の瞳」は人外を表す記号であったりする通り、この瞳を持つ者は明らかに人間ではないことをわからせてしまう。
ちなみに人間に見られる瞳の色を正確に並べると、濃い順に濃褐(Brown)>淡褐(Hazel)>琥珀(Unbar)>緑(Green)>灰(Gray)>青(Blue)>青紫(Violet)>赤(Red)の八種と限られる。現実で金は「
猫」などに見られる色である。
『学怖(S)』風間五話、細田二話、隠し02(男)に登場。
初登場作品。
風間さんを中心として、話の最後に不穏な匂わせを働かされる小道具として用いられることが多い。
風間五話「
謎に満ちた風間の秘密」。
自分は人間ではないと言い出した風間さんだったが、主人公がそんな真偽不明の話に半信半疑ながらに乗っかってみると、証拠らしきものを提示した後に。彼(彼女)は風間さんの瞳が金色に光ったところを目撃するのだった……。
ただし、風間さんが人外であることが確定する結末の中でも宇宙人もしくは妖怪「
ぬらりひょん」である場合に限られている。
[ぬらりひょんはともかく、全体がグリーンなスンバラリア星人がなぜ金色に光るのだろうか……? ちなみに『学怖S』ではスンバラリア星人の瞳は光るものの、金色ではなく
ブルーである。]
それはともかく、異次元の住人であるにもかかわらず普通の地球人と外見上変わりのない「
ヤパーレ人」や目が退化しており義眼でカモフラージュしている「
地底人」にこの人外の符合は当てはまらない、というのも言われてみれば納得かもしれない。
細田二話「
女子トイレの壁の染み」。
新米の「
米山先生」に女子トイレにあるという「
顔型の染み」について相談を持ちかけ、宿直を挟んで一夜明けると……。
先生は黒目の部分をどろりとした金色に光らせる人外に成り果ててしまっていた。
ただし霊感のある人にしか金色の瞳は判別できないらしく、普通の人からは普通の人間の瞳のように見えるらしい。相手からこのことを悟られたと勘づいた細田さんは米山先生のようなものと二人きりになってはいけない……! と戦々恐々なのだそうだ。
(執筆者募集中)
『晦』正美五話「
恭介と更紗の住む家」に登場。
美しき人外の少女「
更紗」とそれを助ける元医師の青年「
恭介」の間の秘密、招かれたことでその秘密を目撃した看護婦の女性という筋立てでお送りするこのシナリオだが、ある種奇をてらわない結末として更紗の正体が「
吸血鬼」というものが存在する。
そして看護婦の某女性が最期に目にしたのが更紗が目を金色に光らせる瞬間だったという。
ちなみに魔眼(邪視)を持っているというのは創作文化上における吸血鬼の特徴のひとつ。女性は更紗と目線を合わせてしまったために意識を瞬時のうちに奪われ、抵抗なくその牙が喉元にかけられた……と考察することができる。
『新生』「
ブラック・アイ・キッズ」に登場。
虹彩が真っ黒な子どもたち「ブラック・アイ・キッズ」のネタ元が映画『光る眼』ではないか? という「
荒井規子」さんの指摘はそっくりそのまま上記の作品における「金色の瞳」に適用できる。
情報提供・文章の補足、編集方針の動議その他諸々歓迎します。
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最終更新:2025年04月19日 15:21