ゆ
ネタバレ注意!
※概要の書かれていない項目名やカテゴリのみでの立て逃げは禁止です。ご自身での記述が難しいようでしたらコメント欄等で執筆依頼をし、合意が取れてからの項目立てをお願いいたします。無言での立て逃げは荒らしに等しいことをご留意ください!
索引
幽霊(ゆうれい)
- 登場作品:
- 種族:
- 関連人物:
- 関連用語:悪霊,生霊,
幽霊とは人間が死後に残す魂のうち、何らかの未練を持って現世に留まったものを指す。
亡霊とは微妙に定義が異なるが、それら微妙な違いについては後日語られるかもしれない。
兎にも角にも「幽霊」と「
妖怪」が日本の恐怖を司る民俗文化「怪談」を背負う双頭として機能してきたことは確かである。
が、古くからあやしいものの総称として扱われた「妖怪」との線引きは案外あいまいである。平将門や崇徳院のような大怨霊を妖怪の一種とする見方は根強く、本シリーズでも「
高木ババア」が悪霊でありながら現代の妖怪として定義付けられていることからもわかる。
柳田國男は『妖怪談義』にて特定の場所に出現・相手が不特定・黄昏時に現れるものを「妖怪」、不特定の場所に出現・相手が特定・丑三つ時に現れるものを「幽霊」と定義付けたが、これも参考にはなってもやはり不十分だろう。
人としての属性が強いものを「幽霊」とする見方もあるが、ぶっちゃけ各々の主観によるとしか言いようがない。
悪霊(あくりょう)
- 登場作品:学怖,学怖S,VNV,特,学恋V,鳴七
- 種族:
- 関連人物:内山浩太,岩下明美《犠牲者》,高木ババア
- 関連用語:旧校舎《出没》,地縛霊,自殺
幽霊(霊)の内、死後も悪意を持って人々に災厄をまき散らす迷惑な存在。
もしくは「
悪魔」や悪神などの人間に敵対的な超越存在のうち、エレメンタル的な側面のことを指す。
うち「
アパシー・シリーズ」では前者が主流で、殺されたことなどから無念や逆恨みに近い感情を持っていることが多い。
この場合の悪霊はほぼ無差別に周囲に危害を加えてくるほか、生者に憑依して性格や気質を激変させて悲劇を巻き起こすことが多い。鳴神学園はこれらの巣窟となっているようで、多くの話の主犯がこの「悪霊」という一言に集約されている。
霊の中にはヒエラルキーがあるようで悪霊は他の霊を取り込んでは成長を続けるようである。この概念は「霊団」と言い、漫画家のつのだじろうが提唱した。
別に学術的な用語と言うわけではないが後続のホラー作品にはよく採り入れられ、それはシリーズにおいても例外ではない。
とにかく霊団の首魁となってしまった霊は元がそうだというだけではもはや人のものとは言えないだろう。「
蟲毒」の儀式に近いと言えば近いか。
ただし、作中に登場する有象無象の「悪霊」に人格を見出すことは困難だったりする。ひるがえって独立した感情や理性を有する悪霊は明らかに区別して描かれており、そちらは元が人間とは思えないほど強力かつ無慈悲な存在に成り果てているようだ。
『学怖(S)』風間一話、細田二話、細田三話、岩下一話、岩下五話に登場。
五十音順も含めて学園ホラーならまずいのいちに挙げられるポジションに就いているはずの「悪霊」だが意外と登場頻度は高くない。生者を誘惑して破滅に追いやる役回りとしてはより高次の存在である「悪魔」にお鉢が回ってくることが多いためだろう。
また、悪霊自体漠然とした概念的存在であるため、話の中でなんだかよくわからないが危険な霊的存在が出現しても、それをそっくりそのまま「悪霊」と定義することが難しい。そのことが悪霊の影を薄くしている一因であるのかもしれない。
それに加えて生前の面影を残していたり無辜の内に命を落とした者の霊はたとえ生者を死の領域に引きずり込もうとしようとも悪霊とまで言い切ることはしていない。悪霊とは同情とは無縁の自然災害じみた災厄でなければいけないということなのだろうか。
そのため、この話の冒頭部分でこの集会の席には多数の浮遊霊、中には人間の恐怖をエサとする悪霊もいて虎視眈々と機会をうかがっているという口上が聞ける。説明書に書かれた、ゲームを繰り返し遊んでいると部室に霊気がたまってきて何かが起こるという文言(※一応「隠し02」のヒントではあるがフレーバー情報)を思い出して背筋を冷やしたプレイヤーもいるかもしれない。
実際には上述の通り悪霊そのものが主人公の身を脅かしてくる機会には乏しいわけだが……。とはいえ、話が進めばもっと理不尽なものが襲いかかってくるのは事実なため、プレイヤーに向けた心構えとしては十分役割を果たしたといえるかもしれない。
細田二話「
女子トイレの壁の染み」。
厳密に言えば登場とカウントしてよいのかは不明だが、性質としては非常に近しいため記述する。
その場にわだかまり、細田さんが近づいただけでおののくほどの猛烈な霊気を放つ「
顔型の染み」だが、持っている力の大きさや性質に反して正体が悪霊だと断言されることはない。
邪悪な霊気を感じるのだと、細田さんが証言しているのにもかかわらずである。
一応、分岐展開によっては染みの正体が明かされることはありそちらだと生前は先生に心残りを残した女子生徒だったりするのだが、正体不明の場合は細田さんからそれっぽい言い回しをされても悪霊と呼ばれることはない。
壁の染みは悪霊と呼ぶことすらはばかられる忌まわしい何かであり、それよりはるかに強大な力や邪悪さを持った「悪魔」のような存在なのではないか? と細田さんが推察を立てているくらいである。
細田三話「
絶対トイレに行かない男」。
絶対トイレに行かないという風聞を立てられている「
竹内清」先輩だったが、実際は「旧校舎」のトイレで用を足しているので人目に付かなかっただけというケースがある。
この場合の竹内さんは旧校舎のトイレに潜む悪霊に姿かたちと身分をそっくり奪われ、自分自身は身動きができない植物の姿に変えられてしまっていたという悲惨な目に遭っていた。
その上、竹内さんに化けた悪霊からは生体エネルギーを時々吸われ続け、最終的には命を落としたと思われる。
悪霊は排泄行為を行わない。トイレに行かない男なんて人間とは思えないが、まさしくそんなオチということになる。こんな理不尽かつ不条理なことを行える存在を悪霊の一言で片づけていいか疑問は残るが、竹内さんがそう言うのなら仕方がないだろう。
岩下一話「
悪霊に魅入られた少年」。
「主人公(男)」と同じクラスにいる「
内山浩太」くんはクラスメートからいじめられており、心底追い詰められていた。そこで彼は心の均衡を保つために自分をいじめているクラスメートや見て見ぬふりをする周囲の人間に悪霊が取り憑いているという考えに辿り着いたのだという。
ただし、この話をしている岩下さんにとっての本意はいじめられている内山くんを助けられたはずなのに助けない周囲、特に目の前で話を聞いている主人公へ向けた糾弾に他ならない。
よって悪霊の話は冗談めかした皮肉か、本気で悪霊が取り憑いていると思っているのか、どちらにも取れる語り口になっている。
言ってしまえば、ここで言う悪霊とは悪意ある人の心を言い換えた言葉に等しい。
むしろ話を進めるうえではノイズになっている部分もある。ではなぜ、悪霊という迂遠な言葉が使われたのか?
それは「
いじめ」をテーマにする話を危険視した発売元のバンプレストからストップがかけられたためである。
そのため話の本質を覆い隠す迷彩として取って付けたように、「悪霊」というエッセンスを加えた。
悪霊が内山くんや岩下さんに憑いていたと示唆する結末も散見されるが、示唆程度に収まることもそのあらわれかもしれない。
悪霊だなんて言っても、結局内山くんを追い詰めていったのは周囲の心ないいじめっ子たちの悪意以外の何者でもないのだから。
もっとも、ふたりが狂気に陥ってしまったことを演出するキーワードとして上手く用いられていることも確かだろう。
誰も恨みたくなかった内山くんは悪霊という形ない第三者に罪をゆだねることにした。
そして、意外なつながりから内山くんの苦悩を知った岩下さんはあえて悪霊という言葉を使い続け、悪霊が存在したと信じ込む。
展開によっては、岩下さんは悪霊もしくは悪鬼のような表情で内山くんの仇に刃を向けた。
あげくのはてには、彼女自身が悪霊になってしまうということもあるが……、皮肉にもほどがある話である。
一方で本当に悪霊らしきものが裏で暗躍していたと思われる分岐展開も少数ながら存在する。いわくいじめっ子たちは内山くんを旧校舎の「
踊り場」付近に呼び出したがその場で悪霊が出現し、驚いたいじめっ子のひとりは階段から転げ落ちて帰らぬ人に。
その場から立ち去る内山くんをよそに、悪霊は残るいじめっ子たちを連れ去ったと岩下さんが語ったのだが……。
当の岩下さんは直前まで語っていたはずの話について、記憶を失っていた。
泣き声と共に岩下さんの身体から明らかに超自然的な青い光が立ち上っていたことから、悪霊らしきものは実在したようだ。
ただし、どこまで言っても伝聞であるため悪霊が実在したとして話の内容はウソかまことかはわからない。
また、物語の裏で君臨する「
仮面の少女」こそが真に姉弟を陥れた悪霊なのではないかという見方もできる。
ただ、この場合仮面の少女は岩下さんに対してはなにも手を下していないような口ぶりであるため、真相はやはり闇の中である。
『学怖S』追加分岐。
(執筆者募集中)
(執筆者募集中)
生霊(いきりょう)
- 登場作品:学怖,晦,学怖S,特,秘密
- 種族:
- 関連人物:林,風間さん,まつげ,有馬健一
- 関連用語:ドッペルゲンガー
まだ生きている人間が、怨念を持った「霊」を飛ばして人に危害を加えている状態、もしくはそういった霊。
わかりやすく言えば「幽体離脱」と言い換えられる。本人に自覚がない場合や意識不明で重体の人間などがしていることもある。
[文学的な例を出せば『源氏物語』の「六条御息所(ろくじょうのみやす(ん)どころ)」が有名。
源氏の愛人でありながら、年上の未亡人で才のあった彼女を源氏は持て余して逆に疎遠となってしまう。
一方、六条御息所は源氏への思いを募らせ続け、ついには源氏の子を身ごもった葵の上に対しての嫉妬心から生霊と化してしまう。(市井の娘でこれも源氏の愛人であった夕顔を取り殺した物の怪の正体も彼女であるとの説がある)
物語では押し殺していた情念が生き霊となって葵の上に危害を加えている疑念に思い悩むさまが描かれ、死後も源氏の愛人達に取り憑いては恨み言を言うなど、女性の想念はかくも恐ろしい事を現していた。おおこわ。]
『学怖(S)』福沢五話、新堂三話に登場。
福沢五話「
呪われたロッカー」。
「
林」さんが該当する。
彼女の生霊が誰にどのように作用したかはその項に記述を譲るとしよう。
[実は先述の事例は明確に六条御息所の生霊の仕業と書かれているわけではない。実は原作の時点で彼女を犯人とするのは状況証拠のみ、かつ地の文でも生霊の存在については半信半疑の論調であったりする。
嫉妬の恐ろしさとは単に直接害をなすに留まらず、意図せぬまま意識すらないままにおぞましいことを為すことへの嫌悪に及ぶ。
要は良心の呵責であるが、問題は邪に思うだけで罪だと思うことである。
真面目で高潔な人ほどこの罠にかかりやすい。直接手を下したかは関係ない。
わからないままに罪を犯してしまったかもしれないこと、
その苦悩もまた当人にとっては立派な恐怖ではないだろうか?
嫉妬の言葉を一番に聞かされるのが自分自身と言うことを忘れないでほしい。]
新堂三話「
親友が残した映画のチケット」。
「
まつげ」が該当する。
後述の風間さん同様、生霊は本体の肉体から長く離れると危険という特性が脳裏に浮かんだ読者も多いだろう。
恋人の死によって気力を失ったまつげだったがこのまま生霊のままでいてもらっては、本人も気づかないうちに遠回りで緩慢な自殺への道を進んでしまっているようなものである。
『晦』和子四話、由香里四話に登場。
和子五話「
風間さんの生き霊」。
風間さんが該当する。
こちらは本人の知らないうちに和子おばさんの手による降霊術によって呼び出されているパターン。本人はいい迷惑であるが、風間さんが風間さんであるのであんまり申しわけない気分にはなれないと思う。
ただし、あんまり長いこと肉体から離れていると危険という生霊の原則からは風間さんからも逃れられなかったようだ。
長時間生霊を拘束してしまった葉子ちゃんたちが風間さんを死に追い込んでしまうことも展開によってはありうる。
この場合だと、風間さんの生霊あらため死霊は恨み節をぶつけながら葉子ちゃんに憑りつくことになるが、正直言えば当然の怒りだろう。
(執筆者募集中)
地縛霊(じばくれい)
- 登場作品:学怖,晦,学怖S,
- 種族:霊(カテゴリ)
- 関連人物:荒井昭二《噂》,宗一郎,
- 関連用語:花壇,無限ループ
死んだ後の霊が、土地などの因縁によってその場にとどまり続けているもの。自爆霊
大別して「場」そのものが持つ力によって強制的にその場所に縛り付けられている悪霊か、場所になんらかの心残りを持っており霊自身が離れられないかの二種類のパターンが存在する。
後者の場合は未練を絶つことによって成仏させることも可能になるようだ。
ほかに取り沙汰される特徴としては死の間際を再現するかのような繰り返し行動(無限ループ)を強いられていることが多く、そういった個体は霊魂に種別される中ではとりわけ残留思念に近い概念とされる傾向にある。
経年につれ生前の自意識すらはなはだ怪しくなり、現世に焼き付いた影といっていい存在に成り果ててしまうのかもしれない。
『学怖(S)』荒井一話、荒井四話に登場。
特定の場所にいる学生の霊などのくくりならそれらしい霊の登場頻度は高いものの、地縛霊と断言される例はそこまで多くない。
噂や都市伝説の範疇で出没している地点を目撃されているだけで普段は浮遊霊をやっている可能性が否定できないためだろう。
(執筆者募集中)
守護霊(しゅごれい)
- 登場作品:学怖,学怖S,特,秘密,鳴七
- 種族:霊(カテゴリ)
- 関連人物:元木早苗,ヒトシ君
- 関連用語:語り部,エクトプラズム
文字通り本人を守護してくれている霊。霊関係では一番身近で善良な存在である。主に本人の先祖やその縁者、死んだ祖父母などがなっていることが多い。悪霊などでの災難で最も頼りになるべき存在なので、お盆のお墓参りなどを欠かさない人にはきっと良いことがあるよ♪
だが本人の素行や環境によっては力が弱くなっていたり見放されたりすることもある。悪霊の巣窟である鳴神学園では……?
早苗ちゃんの体に潜んでいるおばあちゃん達も守護霊と呼べる存在ではあろうが、少々お節介が過ぎる気もする。
『学怖(S)』風間四話、風間六話、風間七話、福沢一話、隠しシナリオに登場。
霊関係では「悪霊」と並んで重要なカテゴライズであり、後続のシリーズ中でも度々顔を出す元木早苗を守護する多数の先祖霊たちが「エクトプラズム」と絡められて大きくピックアップされている。
また、風間さんがスピリチュアルかつ胡散臭い形で話題を持ち出し、与太にみせて作品世界に深みをもたらす結末をもたらす。
風間四話「
風間のインチキ降霊術」。
霊媒師を自称する風間さんの提案で主人公の「守護霊」さまを降霊しての未来予知を行う一幕に発展することもある。
肝心の内容は「ロクワメヲ、オワラセルナ」→「六話目を終わらせるな」というもので七不思議にはよくある「七話目を知ったら不幸になる」という性質ともそぐわない不可解な忠告に風間さんは頭をひねるのだった。
いい加減な調子に見せた風間さんの真剣かつ芝居がかっているわけでもない様子に主人公が認識を改めつつ、集会は続行される。
なお、このゲームを遊んだ方ならわかるかもしれないが、六話目までは単なる噂として流されることが多い「
七不思議の集会」のある意味本番は実体験に推移する「七話目」である。風間さんの霊言がウソかまことかはともかく的は射ていることになるだろう。
風間六話「
風間の怪しい前世占い」。
このシナリオは主人公(男)の「
前世」を風間さんとのコミュニケーションを通して聞き出すのがメインである。
趣味趣向について聞く「スペシャル・コース」、心理テストによって割り出す「一般人コース」、そしてこっくりさんならぬ
イボガエル様の託宣を受ける「イボガエル・コース」という三パターンから一つ選べるという豪華仕様である。
……それらのパートは例のごとく茶番なわけで風間さんの提示する主人公の前世の真偽はもちろん定かではない。
が、風間さんの話は冒頭で取り上げられた主人公の守護霊についての話に必ず戻ってくることになり、主人公に憑いている守護霊様が誰なのかを頼んだり頼んでなくてもどっちでも教えてくれる。
風間さんいわく、君についている守護霊様は僕を含めたこの場に集まった全員なのだと――。
風間七話「
語り部たちの正体」。
そんなわけで前述の通り、哄笑と共に締めくくられる六話目だが、その直後に部室を訪れた日野先輩と二、三会話を交わしたのもつかの間、先輩の怪訝な言葉に背中を振り向くと、そこには誰もいなかった。最後の最後で、風間さんの言葉は真実だったのだ。
そして、今までに話してくれた六人の語り部ならびに六話分の話は主人公に寄り憑く守護霊様たちが明日の「七不思議の集会」本番に向けての予行練習として、気を回してくれたおせっかいということになる。
主人公が集会本番の日付を間違えていた時点で、守護霊様の単なるいたずらとも考えられるが、真相はいかに。
と。言ってしまえば、これ自体は一瞬で終わる掌編なのだがこの結末はシリーズにおいて象徴的な役割を持つ。
語り部たちは生きた人間としては存在せず、主人公の別側面や別人格だったという、どんでん返しが同作品中のみならず後続作の中で繰り返し用いられてきたというのがひとつである。その観点に立てば、この結末はその端緒ということになる。
そして、主人公個人の中だけで物語は完結しており、語り部たちはゆめまぼろしに等しいという感覚は、この世に確かなものなどないという寂寞や虚無、けれどかけがえのない時を共に過ごしたという青春の輝きにも通じる。
よって、たとえ語り部たちの正体が主人公の別人格やイマジナリーフレンドといった実体のないものであっても、それでもいいとプレイヤーの各人は認められるのかもしれない。
まぁ、それらのオチが受け入れられるかどうかについては、プレイヤー各々で異なるので別軸に置くとして。
こちら「通称:守護霊エンド」はそれら同方向のオチの中でも一際ライトなものなので、多くの方が認めやすいかもしれない。だって守護霊様は実体はないとはいえ、主人公とは独立した別個の存在として確かにあなたのことを見守ってくれているのだから。
(執筆者募集中)
(執筆者募集中)
『特別編』『鳴七』「
おいかけヒトシくん」「
おいかけヒトシくん(鳴七)」に登場。
鳴神学園に出没する妖怪「
ヒトシ君」に遭遇した時、彼にある言葉をかけた相手の守護霊様はヒトシ君に食べられてしまうとされる。
守護霊様は宿す者に有形無形の加護を与える存在であるためか、それを失った人は以後不幸続きの人生になってしまうんだとか。
事実、その体験をした「
霧島(
立花ゆかり)」さんは大切なものを失う感覚と、その後の不幸を身をもって味わうことで噂を実証する展開も用意されている。逆説的に、この展開のヒトシ君がどれだけ邪悪な存在であるかもわかるだろう
動物霊(どうぶつれい)
- 登場作品:学怖,晦,学怖S,四八,探偵局,AMC1,追加,鳴七
- 種族:霊(カテゴリ)
- 関連人物:コロ,モモ,吉田美奈子《所属》,津田圭一《犠牲者》
- 関連用語:狸,猫,蟲
犬や猫などの動物の霊。霊と言えば人間の、と思いがちだが、彼らも死ねばそれなりの念を持って霊魂と化すこともある。
特に理不尽な虐待によって殺された動物霊は殺した本人に祟り、それ相応の報いを受けさせるなどの物語は多い。
またこれら「動物霊」が関わる話は一見可愛らしい外見からハートフルな展開に終始するかと思わせておいて、動物の思考回路は人間のそれとは異なっているためか、そこから牙をむくギャップが恐怖や不条理さを演出することもある。
そのほか個別の例を取り上げれば「
狸」は別カテゴリで妖怪化していることが多く、独自の立ち位置を確保しているほか「
猫」は即祟ると言われるほどの強烈な存在感をシリーズ中で放っている。
それに加えて「猫」は語り部のひとり「福沢玲子」とは愛憎半ばする特別な関係性で結ばれており、複数のエピソードで物語られている。一例を上げると早苗ちゃんが猫の霊を呼び出して福沢に復讐させる話もあったりする。
旧作での親友扱いからは一転している彼女らの関係性を開拓するなど、「動物(霊)」の今後に大いに注目したい。
(執筆者募集中)
『学怖(S)』風間二話、細田五話に登場。
(執筆者募集中)
風間二話「
ひとり七不思議」。
「
小出照男」という三年の男は狸に取り憑かれているらしい。終わり。
…………、ぶっちゃけた話、詳細は不明なのでこれ以上は語れないが、この場合の狸が妖怪の類でなく動物霊の可能性はある。
細田五話「
動物霊の棲む体育館脇のトイレ」。
「狐」、「狸」、「魚」、「虫」と、この話の中で細田さんの口から語られる動物霊のバリエーションはなんと四種類に渡る。
いずれも目立たないながらも陰鬱な空気感や生理的な嫌悪感を誘う細田さんの本領発揮といえるシナリオであり、トイレの閉塞感を活かした雰囲気で展開される。その際には高頻度で細田さんの友人である「
津田圭一」がその被害に遭う。
(執筆者募集中)
『晦』和子三話、和子五話に登場。
和子三話「
和子がみた正夢」。
和子おばさんが夢を介して「
コロ」という子犬の行動を追体験することになる。
犬の視点からではその都度断片的なことしかわからなかったものの、やがて現実の和子おばさんが病院の植え込みにあった古びたボールを見つけたことがリンクしていることが判明する。
(執筆者募集中)
和子五話「
風間さんの生き霊」。
和子おばさんが社交ダンスサークルで巡り合った紳士・風間さんの真意を確かめるべく、この怪談の席の一興も兼ねて彼の生霊をこの場に降ろしてみることにしたのだが、本当に本人が降臨してしまう。それもなぜか、葉子ちゃんの体に……。
ここまでの事前のやり取りの中でも嫌な予感を感じたり感じなかったりする葉子ちゃんだったが、いくらダンディでも五十五歳の男性が華の女子中学生の体に降りてきたら嫌というものである。
ここで葉子ちゃんは事前に和子おばさんから聞いていた、生霊に取り憑かれそうになったら「サルのマネ」をするといいという方策を実行、激しく実行してみたところ、意外な事実が判明する。
なんと紳士・風間さんの正体はサルだったのだ。
「
前世」では人間だったという風間さんはその頃のことが忘れられず、人間に化けて暮らしているんだとか。
風間さん(?)の口ぶりからすると霊体の状態で葉子ちゃんの心の中に居座るつもりだと捉えることができる。
この場合は、劇中で葉子ちゃんが考察している通りに風間さんにサルの霊が憑いており降霊術でそちらを引っ張り込んでしまったとも考えるのが自然かもしれない。
ただ、この結末を迎えた場合は猿真似による退散方法は猿霊には無力という事実以外
すべての真相は不明といわざるを得ないだろう。
『四八』
(執筆者募集中)
(執筆者募集中)
こっくりさん
- 登場作品:学怖,学怖S,AMC1,学恋2,極,秘密
霊界(れいかい)
- 登場作品:学怖,学怖S,
- 種族:スポット(概念)
- 関連人物:
- 関連用語:ステップ・オブ・ヘブン,交霊
死後、人間の霊魂が辿り着くとされる世界。
キリスト教の天国(Heaven)や仏教の涅槃(Nirvana)の親戚と一般的には連想される。
ただし、この用語のは既存宗教との繋がりは薄い。
宗教と死後の世界は切っても切り離せない関係にあるが、この霊界は従来の概念に縛られることを嫌う者から用いることが多いようである。
尤もスピリチュアルな新興宗教関連や胡散臭い心霊特集で耳にすることが多いのだが。擬似科学をまとったりするオカルトも一種の信仰ではある。
長年に渡る論争で固められたメジャーな宗教の真っ当な宗派は、こう言った惑乱的な信仰に自分のところの死後の世界観を提供してくれない。
交霊術の交信先を霊界とするのは訳語としても観点としてもやむを得ない話なのかもしれない。
霊道(れいどう)
- 登場作品:学怖,晦,学怖S,探偵局,特
- 種族:スポット(概念)
- 関連人物:朝倉《》,服部拓磨,《犠牲者》
- 関連用語:桜,下駄箱,無限廊下,霊界
霊道とは字の通り、霊の通る道のこと。
この霊とは人間霊に限らず、実に種類豊富かつ雑多なものが通るとされる。
ほか風水の「龍脈」や気の流れと関連付けられており、霊的なエネルギーが集中するラインとも考えられている。
オカルト的にはこの道をふさいだり、捻じ曲げたりといった行為は自然の摂理に反するようなタブーとして扱われることが多く、実際のシリーズ中でそういった行いを働いたものは報いを受けることが多い。
(執筆者募集中)
『学怖(S)』岩下二話、福沢三話に登場。
岩下二話「
無限に続く学校の廊下」。
「
無限廊下」の正体が霊界に通じる『道』――、すなわち「霊道」だと岩下さんの口から語られることがある。
この場合の廊下の原理は、霊界に犠牲者を引きずり込もうとする無数の霊が永遠に続く廊下の幻をみせるというもので、しかも犠牲者は霊界に行くことも現世に戻ることもできずに行ったり来たりを繰り返させられていたようだ。
福沢三話「
旧校舎の裏に立つ桜の木の呪い」。
『学怖S』追加分岐。
植物に愛された少年「
朝倉」に焦がれるあまり、世の摂理に反して霊道を自分の方に引き寄せようとした「
桜」の話が語られることがある。
(執筆者募集中)
『探偵局』第四話「
服部家の災難」に登場。
おおらか極まるお金持ちのおぼっちゃま「
服部拓磨」の自宅には決まった時間に老人の霊が通過するという現象が発生する。
しかもこの霊、霊感の有無関係なく、それこそ誰にでも視認できるのでは? といったレベルでしっかりした像を結んでいた。
(執筆者募集中)
幽霊交歓部(ゆうれいこうかんぶ)
- 登場作品:追加
- 種族:部活(非公認)
- 活動日:毎週 木曜日
- 活動場所:旧校舎三階・教室
- 関連人物:横内彰道,糸谷妙子,馬渕清隆《所属》,荒井昭二《噂,所属》
- 関連用語:旧校舎,幽霊
『追加版』荒井シナリオ「
消えた生徒の行方」に登場。
読んで字のごとく幽霊と交歓(=ともに楽しむ)ことを目的として結成された部活動。
おそらく前年度の現部員は「
馬渕清隆」を含めれば最低八名以上(生者六名・死者二名)。
主な活動内容は深夜の旧校舎で共に食事会を楽しむこと。生者が食事をし、死者はその様子を見守りながら歓談を楽しむ。言葉上では牧歌的かつ生死の垣根を越えた友情に満ちた催しとなっているが……。
誘いに乗った場合は、荒井さん自身に不穏な影が混じる。
もし
彼女が憑いているのだとしたら、後述の部の性質は元よりきな臭いものが感じ取れるだろう。
民俗的な知識に基づいて荒井さんが断った場合は、横内と馬淵の友人両名に冷徹な観察眼が向けられることになる。本文の紹介を後追えば、食卓を囲むことは共同体の一員であることを意味する。
儀礼的な見立て(共飲共食儀礼)に基づけばこれつまり、死者の側に引き寄せられること、生者が死者のコミュニティーに属することによって生きながらに亡者に近づいていくということである。
事実、荒井さんは友人ふたりの気配や影が薄くなっていく経過を好奇心から追っているようだ。
なお参加している幽霊たちが天然でやっているのか計算ずくでやっているのか、またこの部活動がどういった経緯で結成されたかなどについては作中では触れられていないので不明のままである。
また、この部活に所属し続けた生者がどんな状態で落ち着いてしまうかについても要経過次第、プレイヤーの想像に任されている。
夢(ゆめ)
- 登場作品:学怖,晦,学怖S,ドラマCD
- 種族:現象
- 関連人物:剣持京華,前田和子,渡辺
- 関連用語:悪魔,夢オチ,予知,ピクちゃん
眠っているときに見る様々な情景や物語。もしくは将来を思い描く未来予想図のこと。
シリーズでは前者が主に用いられ、単純な場面転換にはじまり、現状持っている情報を整理したり夢枕に立った人外からメッセージが届いたり、第三者の視点を追体験したりと非常に多岐に渡る。
シナリオの演出手法として夢がオカルティックな観点から用いられた場合は、本来なら知ることができない情報を得たり心情を知ることで物語への没入感が増したりといった効果を生むことが多い。
変わったところで「夢」という異空間にそっくりそのまま(肉体込みかは不明だが)意識が取り込まれてしまい、夢か現かわからない世界をさまようだなんてケースも存在する。
夢はもっとも身近な異世界へのいざないであり、狂気や妄想とも親しいためサイコホラーと親和性が高いといったところだろう。
新堂一話、新堂六話、新堂七話、岩下五話、隠しシナリオに登場。
(執筆者募集中)
新堂一話「
霊界へ続く旧校舎の鏡」
新堂さんが「
吉岡」と一緒に旧校舎にある鏡で合わせ鏡の儀式をやろうという約束をすっぽかした場合、自宅で就寝中の新堂さんの心の中に吉岡が割り込んでくる。
なんでも、くだんの鏡は見たい人間の心の中を読めるという性質を持っていたらしい。
実際のところ、吉岡のことが気になって新堂さんは眠れなかったそうなので、吉岡が現れたのは新堂さんの夢の中なのか脳内なのかはわからない、その上、それが本当に起こったことであるのかについてももわからない。
なぜなら新堂さんが翌日に登校した吉岡に確認を取ろうとした際、声をかけるや否や倒れて入院してしまったためである。
その後の調べによって新堂さんは鏡の特性は「読心」ではなく「
呪い」だと推論を立てているが、真相は不明である。
それとは別に眼前に現れた吉岡相手に「
踊るしかない」とプレイヤーが思った場合、本当に上記の出来事は「夢」の産物にされてしまうのだが……。
新堂六話「
人を殺す夢の意味」。
新堂さんは夢の中で無抵抗な一人の男を痛めつける夢をよく見るのだという。
昏い快感や後ろめたさなど相反する感情を覚えながらも夢を見続けていた新堂さんだったが、ある日とうとう勢いあまってその男を殺してしまったのだとか。自己流に本を読んで夢占いをしてみた結果は不穏な内容に反していい夢だというが……。
もちろん新堂さんは、この席で後輩相手に夢相談をしようとしたのではない。
あくまで、この六話で話された部分は本題に入る前の前振りである。
続く種明かしは暗転する部室と途切れた主人公の意識を挟んでから、実体験に移行した夢の七話目で行われるのだ。
ただし、それを待たずにしてこの部室ですべてが終わってしまうこともある。
この場合、新堂さんが見ていた人殺しの夢は彼の心の中に潜む残虐性が新堂さんの心そのものに成り代わる過程だったらしい。
かつての新堂誠のことを別人のように語るその男は、暗闇と化した新聞部部室で無防備なほかの出席者たちを次々と殺害、最後に残った主人公の信頼を裏切られ恐怖に震える姿を見て喜び、楽しみながらあっさりと手をかける。
また、その男は日野先輩とつながっており、「七不思議の集会」に端を発した大量殺人という特ダネ事件を自作自演ででっちあげることを企図していたらしい。すべて終わった後に笑ってみせる日野先輩も男の同類なのか、それとも素なのかは定かではない。
新堂七話「
夢の世界からの脱出」。
先述の通り、六話の導入から暗転を挟んだ主人公は新堂さんの口から自分たちは夢と現実が入り交じった異空間に取り込まれてしまったと説明を受ける。
なんでもこの空間は下手人である“奴”が恨みを持つ新堂さんのほかこの場にいる全員を巻き込んで形成したものであるという。
奴は夢の中で殺した男とそっくりだったというので、必然的に男性である可能性が高いが、その正体はやはり展開次第で変動する。主人公は巻き込まれた立場に過ぎないためか、奴が積極的に彼女を狙ってくるわけではなく、また異空間と言ってもさほど不条理な構造をしているわけでもない。せいぜいが
昇降口の先がどこに繋がっているかわからないくらいである。
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『晦』和子三話、正美五話、隠しシナリオに登場。
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凶夢(マガユメ)
夢オチ
- 登場作品:学怖,晦,学怖S,VNV,AMC2,男怖,秘密,アパ男
- 種族:創作(システム)
- 関連人物:仮面の少女
- 関連用語:赤い教科書,記憶喪失,夜イベント,無限ループ,不思議の国のアリス
物語の結末の付け方のひとつ。
物語の〆として実は今までに起こった出来事は全て「夢」もしくは「劇中劇」などと明示する代表的などんでん返しのひとつである。
しかし近年では多用されすぎていること、手垢が付いていること、何よりそれまでの経緯や積み重ねを台無しにしてしまうことからあまりお薦めできる手法と見なされてはいない。特に長編では伏線があっても敬遠されることが多い。
物語の出来不出来が大前提ではあるが、収拾の付かない状況を調理できなかった結果、広げられた材料を安易なちゃぶ台返しで散らしてしまった、作者の力量不足を露呈、公言したも同然である――、などと辛辣な評がされることもやむなしだろう。
ただし、夢というだけで即座に回れ右するのは早計である。
まず舞台設定が「夢」であると最初に提示した場合、読者はそこで毛色の変わった「
異世界モノ」との了解を得るはずである。
起承転結の「転」として提示する場合は遠くないうちに想い人が消えてしまうことを知って葛藤する悲恋モノや、キャラクターが夢を逆手に取って行動する不条理劇やメタフィクションとの相性が良い。
ホラーとしても一見安易な夢オチと見せかけておいて実は……、と言うパターンは多い。中途、夢を挿入していき次第に現実はどちらにあるのか、そもそも現(うつつ)や私(わたし)は何なのか? と次第に揺さぶっていく、そんな展開も
自分≒視聴者が曖昧になるサイコなホラー・サスペンスでは避けて通れない。
「学恋」シリーズに登場。
「
夜イベント」はこの夢オチを大きく活用したシステムである。
テンポを崩すことなくバッドエンドを挟むことができ、カオスでショートなストーリーを大量投入できる。小咄と夢の相性は悪くない。
『男怖』「四季の部屋」ルートに登場。
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『男怖』『アパ男』「戦勝国邪馬台」ルート、「惑星からの帰還」ルートに登場。
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『秘密』
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「」。
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「
このままおとなしく成り行きを見守る」ルート。
最初から夢オチだとわかっているという、わりと稀有な展開を拝むことができる。
それはというもの、この分岐に突入した時点で「
葛城美和」先生からの催眠療法を受けることが明言されるためである。
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夢想荘(ゆめおもいそう)
- 登場作品:AMC1,学恋,特,男怖,ナポin
- 種族:スポット
- 関連人物:怪人X,サネアツ,飛べない小鳥,リスカリリカ《犠牲者》,志垣泰成,志垣瑠璃
- 関連用語:管理人,ホラー・ストリーム,秘密の地下室
『AMC1』「
柱の傷」に登場。
古びた……というよりも不気味なアパート。
総予算10万円というふざけた価格設定に応じた不動産屋に紹介された物件であるが、中身は想像以上のボロ家であり、一階は封鎖されている。
中には入居者らしき老婆が住んでいたが、彼女の正体は不明。さらには大家も不明で紹介した女性も行方知れずと不明点ばかり。
住居を求めた「
志垣泰成」自身も一時はこのアパートの怪異に取り憑かれそうになったが、刑事さんの尊い犠牲によって難を逃れている。
結局このアパート自体の怪異や正体についてはまったく明かされず、物語は幕を閉じている。これについては「あえてそれを明らかにしない」というコンセプトがあり、後の登場での活躍(?)が期待される。
が、本格的な登場は未だにせよその枠組は後の作品によって徐々にだが、明かされつつある。
「夢想荘」の正体、それを一言で言ってしまえば「旧日本軍が残した負の遺産」である。悪魔の研究と言い換えてもいい。
『学恋』「夜イベント」に登場。
(執筆者募集中)
『ナポin』第2話「
自殺志願者の鎮魂歌」に登場。
こちらでは「夢想荘」と書いて「ムソウソウ」と読む。
そのため物語序盤の大筋は『AMC1』「柱の傷」と似通っているものの、別世界であると考えるのが適当だろう。
事実読み比べてみると、各所に細かな変更が加えられており、
パラレル・ワールドであることが強調されている。
さらに言えば「柱の傷」には「
杉田かおる」は存在しないため、違いが生まれるのも当然だろう。
または噂が人から人へ伝播する過程で変化してしまった箇所の一つだと解釈してもいいかもしれない。
とはいえ、このたび描かれたのは『柱の傷』の続編として温められていたシナリオのようである。
失踪した兄を探して杉田と夢想荘を訪れた「
志垣瑠璃」は、突如うめき声を上げたかと思うと、明るく朗らかな性格から一転、様子がおかしくなってしまう。
うわ言のように「人を集めなきゃ」と呟きながら、夢想荘に自殺志願者たちを集めるのだった。
自殺志願者たちを飲み込んだ館は最後、喜んでいるかのように二階の窓を不気味に照らしていた。
(ネタバレにつき格納)
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[下記は飯島氏から 言及のあった内容だが、まだ作品として世に出たものではないため参考程度であることを留意願いたい。
夢想荘には「 管理人」と呼ばれる人間が存在する。その役割は夢想荘を生かすため、餌となる人間を夢想荘に集めてくることである。
志垣瑠璃はその管理人にされてしまったようだ。
また『柱の傷』に登場する「不動産屋のお姉さん」も管理人の一人であり、管理人は何人もいるらしい。
一方、夢想荘の異常性を嗅ぎつけ、これを封じ込めようとする輩も現れる。
それは『男怖』に関わる誰かだったり、「 オカルト同好会」の面々だったりするようだ。
特にオカルト同好会はOBの「 元木早苗」も同伴するほどの力の入れようである。
当然それを管理人たちが見過ごすわけはなく、連中もまた夢想荘に結集する。
管理人たちにも恐るべき能力を持つ者が多数存在し、両者総力をあげての異能バトルが始まる……。
という構想が語られている。いつか形になることが期待される。]
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百合(ゆり)
- 登場作品:晦,学怖S,AMC1,学恋,学恋2,特,学恋V
- 関連人物:鈴木由香里,倉田恵美,岩下明美《嗜好》
- 関連用語:アジサイ,BL
百合とはユリ目ユリ科のうち主としてユリ属(学名:Lilium)の多年草の総称。
白い百合は純潔の象徴とされ、図像学では聖母マリアによく持たされる花とされる。
そこから転じて、女性同士の恋愛を取り扱った作品ジャンル(ガールズラブ)について指す言葉でもある。むしろこの項では、植物ではなくジャンルと「アパシ・シリーズ」との関係について述べていく。
また、近年では女性同士の愛「憎」込みの巨大な感情を指して「百合」と定義することもあるなど、その用法はここ十年来でも大きく広がっていたりもする。
ちなみに「百合」の語源には諸説あるが、男性の同性愛(BoysLove)を薔薇族と呼ぶことに対比させて、百合を提唱したとも言われる。
[ただし、薔薇は耽美的モチーフとして使用されることが多く、実際に両ジャンルに親和性の高い少女マンガで見る機会を考えると、花としては必ずしも対立する概念ではない。]
[統一した見解があるわけではなく、「レズビアン(そもそもジャンルを指して使われる用語ではないが)」と「百合(もしくはガールズラブ)」は同じ現象を取り扱ったものではないため、混同には注意が必要となる。
後者は前者と違い、女性間の恋愛関係に限らず、その友情関係や師弟関係等を含む、心の機微や精神性に重きを置いた作品群といえるだろうか。もっとも、恋愛関係と友情関係等の境界も一義的に定義できるものではないため、双方の感情のズレから生まれる擦れ違いを描く作品も少なくない。
そのため、敢えてジャンルという話にするならば、後者は前者を含む概念になるのだろう。]
さて、「旧作」を含め、主に男子間の恋愛関係が取り沙汰されがちなシリーズだが、「百合」を語る要素はないわけではない。
『晦』由香里一話、由香里四話に登場。
鈴木由香里は来るもの拒まずなスタンスで同性愛に理解のある発言をすることが多い。
もっとも由香里姉さんは万事に淡白なため、濃密な描写があるわけではなかったりする。むしろこの場合は、話の端々で葉子ちゃんに対して親愛の情を向けるさまを指して百合といったほうがいいのかもしれない。[そもそも名前に「ゆり」が入ることだし]
由香里一話「
夜のデパートの恐怖」。
四月には女子高に進学するのだという葉子ちゃんにやりたいことはなにかと聞いて素敵な恋をしたいと返答を得ると、ツッコミついでに学内で恋人を探すなら女の子になるけど、私は別にいいと思うよ。
だって私自身も恋愛に対して性のこだわりがないからと、あっけらかんと述べてくれる。
まぁ、文脈上、葉子ちゃんが想定している素敵な恋人は泰明さんなのだろうが。
由香里四話「
オカルトアイテム」。
「
マザー・アンジュ」の占いショップでバイトした際に巻き込まれたトラブルとして、由香里姉さんが店頭に立った際にお客の女の子に一目ぼれされてしまった事件が挙げられることがある。
この際に「なぜか昔から女の子にもてる」と姉さんはぼやいておられたが、笑い事ではないことにこの女の子、独占欲をこじらせてどんどん行動をエスカレートさせ、由香里姉さんの周囲の女子に向けて無差別に嫌がらせ行為を行うまでになってしまった。
由香里姉さんはきっぱり断りの手紙をこちら某女の子に送ったのだが、どうも彼女はあきらめきれないようである。
このストーカー気質な妄想少女は、引き続き由香里姉さんの下に念を飛ばしており、姉さんと親密な関係にある葉子ちゃんも話の席で敵意と嫉妬の感情をはっきりと感じ取っている。もちろん確証はなく、その嫌な感じが尾を引くことはないものの、葉子ちゃんの感覚に従えば常人がほぼ「
生霊」といっていいものまで由香里姉さんの背後に立たせるのだから、げにも恋路は恐ろしい。
『学怖S』岩下五話「
交通事故で死んだ運命の恋人」に登場。
そのもの直球で「主人公(女)」が岩下さんに愛の告白をする結末が存在する。
ただし、彼女には
先約がいたため、ほろ苦さを通り越し絶対に成就しない悲恋で終わってしまう。
とはいえ、岩下さんもその言葉が偽りでないのなら嬉しく思ってくれたのが唯一の救いといえるのだろうが。
また、岩下さんは女性に対して同情的(=男性に対して攻撃的)な視点から語りを行うことも多い。『学怖S』では倉田に対して、多くは親愛の情を持って接していることが多く、元々百合属性を持ったキャラと言える。
[なお『AMC1』では倉田の猟奇的なまなざしに惹かれた岩下さんが彼女に惚れ、百合カップルとなるENDがある。キスシーンやツーショットもあり、タイトルもズバリ「百合」]
舞台が「アパシー」に移ってからは、何だかんだ言いつつ、日野関連のネタ留まりな「BL」とは違い、男女比等の問題によって数は少ないがガチに存在感を増しつつある。『AMC1』殺人クラブ観察日記では、本当に同性同士でキスするENDが登場した。そのシーンで表示されたスチルの題名はストレートに「ユリ」であり、攻略本でも、飯島氏が力を入れたEDのひとつとして語られている。
ちなみにその一枚絵は『AMC1』PVでも使用されたが、[視聴者が一番驚いたのはこのシーンではないかと私は思う。]
また、同性攻略が可能な『学恋』の発売に至り、大方の予想を裏切って「百合」は「BL」を抑え、強い印象を与えた。福沢もこの市場に新規参入したこともあるが、本当に同意の上で付き合ってしまうエンドが登場したことは新鮮であった。
確かに倉田は創作のためなら何でもするとすら言える、元来好奇心が強い性格だが、ここまで時代を先取り(1995年7月)していたとは思わなかった。
[ちなみに百合を男性にまで広めた一因として挙げられる『マリア様がみてる』が最初の巻が発刊されたのが1998年8月で、最初のアニメ化が2004年1月。また、百合アニメとしては演劇的な演出と隠微な暗示が好評を博した『少女革命ウテナ』が1997年4月である。
スタッフにとって前身とも言える『セーラームーン』の放映開始である1992年3月まで遡り、それ以前にも萌芽は当然あったと考えても、かなり早い試みなのかもしれない。]
まとめて『
鳴神学園短編集』に新規書き下ろされた「花壇の恋」や『学恋2』に岩下明美が参戦することを加味すると、このジャンルの隆盛の余波は我らがアパシーにも及んだのかもしれない。
余談になるが、植物としての百合の登場は未だなっていない。また、作品内で、この用語が直接の言及をされたわけでもないので注意が必要である。『学怖(S)』、「アパシー」を象徴する花は季節や出番を考えると、「紫陽花」が最も適当であろう。
情報提供・文章の補足、編集方針の動議その他諸々歓迎します。
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- 「行方不明」を削除しました。項目として復帰が望まれる場合はこの記事が存在しなければいけない特筆性や必然性についての異論か、内容の記述をお願いします。 -- 名無しさん (2022-01-19 16:00:34)
最終更新:2025年04月20日 17:26