言峰綺礼

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言峰綺礼 - (2019/12/06 (金) 21:29:50) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2009/07/31 (金) 23:59:54
更新日:2024/03/21 Thu 21:11:20
所要時間:約 12 分で読めます




―――喜べ少年。君の願いはようやく叶う


Fate/stay night』・『Fate/Zero』の登場人物。
声:中田譲治


●目次

◆プロフィール

1967年12月28日生まれ
※変更可能性有り
左から四次、五次
年齢:28歳→38歳
※初期設定では24歳(四次)
身長:185cm→193cm
特技:鍛錬→特になし
好きなもの:鍛錬→悲運
苦手なもの:独り酒→信頼
天敵:衛宮切嗣

◆概要

冬木の言峰教会の神父、第五次聖杯戦争の監督役。
遠坂時臣の弟子にしての兄弟子。
通称:麻婆(神父)
他人の心の傷を炙り出し、いたぶる事が好き。

◆人物

生まれつき善よりも悪を好み、万人が美しいと感じる物よりも醜いものを「幸福」と感じる異常欠陥者。

曰く、士郎を後天的異常者とするならば、彼は先天的異常者。
若い時はその事実を受け入れられず、苦悩するも後に吹っ切る。
神父でありながら、人の不幸に至福を感じる外道だが信仰心については本物。
しかし心の何処かで普通の幸福を得たかったらしく、HFルートでは、「ようやく気付いたが、私はお前達を羨んでいる」と語っていた。

衛宮切嗣とは第四次聖杯戦争で因縁があり、彼のことを「アレはな、度し難いほどの聖人だった」と称している。


士郎とは似た者同士で、アーチャーとは違った意味で士郎の歪みを暴く。
そして、知らず知らずの内に彼の憧れていた存在。
例えるなら、士郎を会わせ鏡に写した時に真正面にいるのがアーチャー、真後ろにいるのが綺礼。

衛宮士郎は言峰綺礼を出会った時から必要以上に嫌っていたが、HFルート終盤だと「どうも俺はこの男が好きだったらしい」と実は気に入っていたことに気付いている。
というのも士郎も綺礼も、各々の「他人の幸福こそ幸せ」「他人の不幸こそ幸せ」という形で、自分の命よりも自分の在り方に殉じており、「歪でも、自分の在り方に命をかける」という意味では、士郎の理想・信念を貫く姿と同じであった。
そのため士郎は綺礼を潜在的には気に入っていた。しかし「正義の味方」を目指す士郎にとって他人の不幸を求める綺礼を認めるべきではなく、だからこそ自分が彼を気に入ったことに気付くまいと必要以上に綺礼を敵視していた。
士郎が「万人の正義の味方」を目指すことを捨てるHFルートだと、士郎は「正義の味方」以外の目で綺礼を俯瞰できるようになったため、綺礼を気に入っていたことに気付けたといえる。




◇好物

ファンの間でのあだ名の「マーボー」。

HF(桜)ルートのとあるシーンで、近所の中華飯店に士郎が言峰*1に呼び出された際、
士郎曰く「ラー油と唐辛子を百年間ぐらい煮込んで合体事故のあげく、『オレ外道マーボー今後トモヨロシク』みたいな料理」という、
超激辛麻婆豆腐を額に汗しながら尋常じゃないペースで黙々と食べていた姿が由来。

士郎は言峰が何故そんな料理を食べているのか困惑していたが、一皿目を食べ終わる前からお代わりを頼んでいたり、
食べる自分を(信じられないものを見るような目で)見る士郎に二度に渡って「食うか―――?」「―――食うのか?」と聞いてきたことから察するに、おそらく彼の好物だと思われる。

PS2版だと、担当声優の中田譲治さんがさらにハフハフ言いながら
「食うか―――?」
と言ってくれる為、さらに破壊力絶大(ちなみに士郎は「食うか――!」と即答でご相伴にあずかることを辞退している)。

『Unlimited Code』のミニゲームでは激辛麻婆豆腐早食いゲームがあり、
『Fate/Zero』の原画などを展示した展覧会では、言峰の激辛麻婆の素なるレトルト商品が実際に売られた。


◆戦闘能力

人間の中では高く、作中では真アサシンに一矢報いるシーンも。

魔術師にして八極拳の達人だが、魔術はどれも平凡。
だが、「傷を開く」という魔術特性から治癒に関しては時臣を凌ぐ。

第四次聖杯戦争時の全盛期の彼は更に強く、預託令呪や魔術無しの純粋な肉弾戦及び総合でもバゼットを上回るとされる。
更に作者曰くSNの頃なら勝負にもならない程に差があるというシエルすら、
「異常な数の預託令呪と切嗣への異常な妄念によって勝利し得る」
とも述べられている。


◆来歴

父、璃正の元で十代から代行者見習いになり、22歳の時に神学校へ。
が、妻と結婚を期に自己退学。
正式な司祭職を断念するが、28歳の時に父を失い非公式だが司祭職を手に入れる。


ネタバレ





◇『Fate/stay night』(第五次聖杯戦争)

第五次聖杯戦争におけるランサーのマスター。

ただし彼自身が召喚した訳ではなく、本来のマスターであるバゼットを騙し討ち、令呪を奪って自身のサーヴァントとした。
前回の聖杯戦争で現界した黄金のサーヴァントのマスターでもある。


第五次聖杯戦争では監督役の立場だが裏でランサーを使い、暗躍する。

度し難い悪人である自分をも見逃した衛宮切嗣の養子衛宮士郎に興味を持つ。



Fateルート

第四次聖杯戦争で生き延びた孤児たちを引き取って魔力タンクとしてのみ生かし続けるなど外道っぷりを見せる。

ラスボスとして立ち塞がるも、セイバー全て遠き理想郷で聖杯の泥を振り払われ、アゾット剣を刺されて倒された。

UBWルート

中盤でキャスターの襲撃を受けて教会を奪われるが辛くも逃げ延び、終盤で間桐慎二に捕われた遠坂凛の前に姿を見せランサーに凛の殺害を命令する。

しかし彼からは「俺にやらせたかったら令呪でも使うんだな」と反抗され、
既にギルガメッシュという切り札がいたことや令呪があと一画しか残っていないことから言峰はランサーを用済みとみなし令呪で自害(自害しろ、ランサー)させるも、即死には至らなかったランサーに反撃され脱落。

このルートでは他のルートに比べ目立った活躍が少な目で割とあっけなく退場した印象がある。

HFルート

自分や聖杯では出せない答え「生まれつき悪だったものが有りの侭生きる事に罪があるのかどうか」の解答を、「この世全ての悪(アンリマユ)」を誕生させて解答を得ようとしている。
とはいえその為に、体内の小聖杯が起動して大聖杯の依代となった間桐桜に死なれても困る為か、桜を助けようとする士郎達には協力的であり、終盤では共闘する。

しかし最終的には士郎と両者死にかけの状態で対峙し、命を賭けたラストバトルを行う。
間違いなく桜ルート最高の燃えシーンで「Fate」を締めくくるに相応しい最終決戦である。



ちなみに、“善よりも悪を好み、万人が美しいと感じる物よりも醜いものを「幸福」と感じる”彼だが、明らかに“醜悪”な性根を持ち私欲のために悪をなす間桐臓硯については条件に当てはまりそうなものだが心底嫌っている。
臓硯に“どこかで平凡な幸福というものに輝きを感じ未だに欲していた”面を見抜かれていたことも理由な模様。
HFルートでは、最終的に臓硯の肉体に引導を渡している。

とあるエンディングで、士郎が、桜を捨てて「正義の味方であり続ける」ことを選択した際には、
「今のお前は、多数を救うために少数を切り捨てるためにためらいがなく効率を考えて一切の手段を選ばない衛宮切嗣だ。それが勝てないはずがない」と、士郎が凛もイリヤも躊躇なく殺し聖杯戦争に勝利することを予見している。

◇過去

人間として欠陥を抱えた男だが、第四次聖杯戦争の途中まで自らの異常性に苦悩していた。
一般的な常識と倫理観を持ち合わせていたからであり、自らがどれほどの異端者なのかを理解していた為である。

コレを直す為、鍛錬や転属など様々な行いをするも悉く無意味に終わり、矯正の一環として余命幾ばくもない女性クラウディアと結婚。
そういう女だから選んだのか、そういう女しか選べなかったのかは言峰にも分からない。
妻は言峰の歪みを理解した上で彼を愛し、言峰も彼女の愛に答えようと努力をし、子供にも恵まれる。
だが言峰にとって女の苦しみ、我が子の絶望だけが幸福だった。
愛そうとすればするほど愛する者の苦しみだけが救いであり、そんな自分を女が癒そうとすればするほどその女の嘆きが見たいと思うだけ。家庭を持っても歪みを直す事が出来なかった。
そんな自らに絶望した彼は自分は間違って生まれた、間違いは正さなければならないと決断、自らの死を決意した。

だが、死を決意した時に

私にはおまえを愛せなかった」と妻に告げるが
―――いいえ。貴方はわたしを愛しています
ほら。貴方、泣いているもの

と妻は微笑みながら言い残し、自害されてしまった。
彼女は言峰が妻の死に涙を流す、つまり人を愛せる人で生きる価値がある人と証明する為に自らの命を絶ったのである。
しかし、妻の死を目の前にした時に言峰の内にあった感情は『自らの手で殺したかった』という後悔の念だったという。
この瞬間、彼は自らの宗教の道と決別したという。
上記のやり取りからか、言峰は妻に対しては特別な情があり、
自らの為に死を選んだ妻の行為は無意味な物であったと断じつつも無価値な物ではあって欲しくないと思っている一面がある。
自殺を止めたのも妻の死を無駄にはしたくないが故だという。
言峰は自分の事をこれほど理解し、癒やそうとした女性は生涯現れないだろうと思っており、
同時にこの女性でも最後まで自らの歪みを直せなかった事に深く絶望した。

また後に言峰は妻の死を目の前にした時に『自らの手で殺したかった』と思ってしまったのを、
コレは『他人の苦しむ姿が見たい』という自身の本質からなのか、それとも本当に『妻を愛していた』からこそ、自らの手で幕を引きたいと思ったのか、
どちらなのか未だに考えているが答えは出ず、気になっているのだが妻の死を無価値な物にしない為にも答えを出すのは敢えて止めているという。

尊敬する父親も自ら殺したかったと語っており、歪んだ形だが彼なりの愛情表現なのかもしれない。
これらを前提とすると、彼なりの歪な愛情表現の方法は「自らの手で殺す(壊す)」ことであると解釈することもできる。


妻とは子を一人もうけたが、どういった思いがあってか我が子とも別れている。


HFルートでは「助けた者が女なら殺すな。目の前で死なれるのは、中々に応えるぞ」と発言しており内心では妻を愛していたとも思える発言をしている。




◇『Fate/Zero』(第四次聖杯戦争)

虚淵玄の手で描かれる、第四次聖杯戦争での言峰綺礼の過去。

第四次聖杯戦争ではアサシンのマスターとして参戦。
自らが何をしても満たされない空虚な人間である事に悩んでいる。

衛宮切嗣の経歴から彼も自らと同じ異常者と見なし、自身の空虚さを埋める為に必要な何かを知る為に彼と接触を行い続ける。
余談だがこの必死さからストーカーとしてよくネタにされる(ゲーム『タイガーころしあむアッパー』などでは、アイリスフィールから「びぃえる時空」扱いされたことも)。

師匠の遠坂時臣と組んでいたが、途中で彼のサーヴァント・ギルガメッシュに唆され、時臣と決別を決意。
騙し討ち同然に殺害し、そのサーヴァントたるギルガメッシュを従える。

その後、アイリとの問答で切嗣が自分とは間逆の人物と悟り、彼の願いを叩き潰すのを決意する。
切嗣を嫌悪したのは、彼が、言峰がどんなに望んでも手にはいらなかった普通の幸福を自分から切り捨てたことも理由。
言峰からしたら、自身がどんなに手に入れたくても手には入らない幸福を踏みにじるような蛮行に怒りを感じずにはいられなかったらしい。

最終決戦で切嗣との激闘の末に心臓を撃ち抜かれたが、
聖杯から溢れた「この世全ての悪(アンリマユ)」を飲み干したギルガメッシュと契約していた為に聖杯の泥がマスターである綺礼に逆流、
心臓の代替をする事で蘇生し、第四次聖杯戦争を生き残る。
切嗣との戦闘では「相手が2倍速で動くならそれに合わせて動けばいい」という理論で死闘を繰り広げ、
固有時制御を維持しながらナイフファイトを仕掛けた彼を聴勁で完封し足払いを掛けるなど十分人外じみていた。
また令呪を黒鍵に通す為の魔力供給源とすることで起源弾の特性をも封じるなど、完全に切嗣の天敵と化していた。

なお、『stay night』からの虚淵による設定変更もあり、『Fate/stay night』のギルガメッシュは言峰綺礼を召喚者と呼んでいる。

Fate/hollow ataraxia

第五次聖杯戦争後の様々な可能性が実現される世界。
エピソード『結婚式は何形式?』では、士郎に「聖職者としては完璧だったので、彼の教会で行われる結婚式は完璧なものだったろう」と評されている。

なのだが、心臓が聖杯の泥で代用されることで生き延びていた綺礼は、第五次聖杯戦争後には泥が機能しなくなり第五次聖杯戦争がどのような結末を迎えようと必ず死亡する運命にある。
そのため本人の直接の登場はなし。


◆その他登場作品


Fate/EXTRA

彼の人格を模したAIが聖杯戦争の進行役として登場。
言峰同様に他人を弄んで愉しんでいる節があるが、最後の最後で「このAIの元になった人物も根は聖職者だったようだ」と話した。
人並みの倫理観を皮に倒錯した趣向を持ちながら、その更に根に至る部分では聖職者だったという事だろうか。


Fate/EXTRA CCC

BBの魔の手によって購買の店員と化した。
当人はBBと「みかじめ交渉」を行い、「むしろ以前より出番は増えた」とどこか喜んでおり、自身曰く「最強の店員」を目指している。
店員としての心配りは、ロールケーキや礼装等を買っても「温めますか?」と声をかけてくれることからも窺える。きっと嫌がらせではない。
EXTRACCCのマテ本では主人公(男)の苦手なものが『温められた商品』となっているが、嫌がらせでは…ないんじゃないかな。
なお、制作サイドから『言峰を売店の店員にしてもいいですか?』と言われた時、きのこは『あなた、疲れているのよ…』とスタッフの正気を疑ったらしい。

今作では隠しボスの一体の一体としてランサー(Fate)と登場。
どうやら月の聖杯戦争とは無関係にどこぞの異次元から出てきたようだが、本編と違って仲はそこまで悪くない。
黒鍵投擲や八極拳をコードキャストと称して使用したり、ランサーに褒美と称して麻婆豆腐を英雄王が怯える程食わせる為に令呪を用いたり、
気の向くままに好き放題やっていた。
「毎度毎度お前の槍はなぜ当たらないのかね」


プリズマ☆イリヤ

平行世界にて、なぜかラーメン屋の店主として登場。
美遊が元々いた世界の人間であり、行き倒れた田中とイリヤに麻婆ラーメンをご馳走する。
が、この麻婆ラーメン、わずかな麺の上に大量の真っ赤な麻婆豆腐が乗っかっているというもはやラーメンとは呼べない代物。
そして地獄のように辛く、カロリーは一日分に匹敵する。さらに彼女らが完食後にはきっちりと料金を請求した。どこの世界でも外道麻婆は健在だった…

この世界でも聖堂教会に所属しているが、教会自体が半ば形骸化しているために裏事情を知っていても関わろうとはしてこない。
切嗣が「魔術師殺し」であることを知っており、どうやら切嗣とは過去に何かしらの因縁がある模様。
エインズワース家やこちらの世界の聖杯戦争に関連する情報を持ち、衛宮士郎にそれらの情報を与えたほか、切嗣が完全な聖杯である朔月美遊を手にしていた事も知っていた。


◇ドラマCD『アーネンエルベの一日

Zero時代の言峰が切嗣ストーキングで忙しいのにペンフレンドのネコアルク・カオスに呼び出された。
の影に動きを封じ込められ、凛のガンド20発ほどを撃たれるも平気だった(Zeroの言峰なので強すぎる)。

「ラスボスはあの位じゃ、死ぃなぁなぁいぃよ~」

「ヤング綺礼の肉体は無敵☆」

打つ手はないかに思われたが、カレン・オルテンシアが差し入れた毒入りドクダミ茶で死亡した。
しかしこのジョージ…じゃない、この言峰、ノリノリである。


Fate/Grand Order

専ら概念礼装にのみ登場。
『Fate/Zero』とのコラボイベント『Fate/Accel Zero Order』にも登場しなかった。
しかし……

第二部序章で、新所長ゴルドルフ・ムジークに従い、社長の新規絵を引っさげてまさかの登場。
肩書は相変わらず聖堂教会の監督役。







◆余談

たいコロあっぱーにて白状。
また、カレンの事を外見以外は妻にはまるで似てないなと評した。
たいコロでは基本的にネタ担当だが、無印のEDはシリアス。

  • 妻の死
自害した時の妻の「泣いているもの」という言葉にSNの言峰は「涙など流していない。女にはそう見えるだけだ」と否定しているが、
Zeroの時は涙を流していたり(また父親の時も涙を流している)妻は自分の事を理解してなかったとSNの描写と矛盾が出来ている。

コレは「Zero当時の言峰は自分の本質に気付かないようにしていて過去の記憶や事実関係を歪めて語っている、妻に関する記憶などその最たるもの」
「stay night」の言峰には「悟りと余裕」があるのに対して「Zero」ではその要素を無く「迷いと葛藤」があるキャラ付けであるため、SNの達観している彼の語っている事の方が正しいと「Zero material」にて解説されている。
(この件に関しては、目を背けたくても背けられず、自分の本質と向き合わざるを得なかったから綺礼のような人間になったのではないか、という点でSNとの明らかな矛盾ないし改悪だ。という指摘がされる場合もある)





わたしは太陽の下に起こることをすべて見極めたが、見よ、どれもみな空しく、風を追うようなことであった。
ゆがみは直らず 欠けていれば、数えられない。
わたしはこうつぶやいた。「快楽を追ってみよう、愉悦に浸ってみよう。」見よ、それすらも空しかった。
笑いに対しては、狂気だと言い 快楽に対しては、何になろうと言った。
わたしの心は何事も知恵に聞こうとする。しかしなお、この天の下に生きる短い一生の間、
何をすれば人の子らは幸福になるのかを見極めるまで、酒で肉体を刺激し、愚行に身を任せてみようと心に定めた。
旧約聖書 コヘレトの言葉第1章14~5節,第2章1~3節より



◇洗礼詠唱


「私が殺す。私が生かす。私が傷付け私が癒す。我が手を逃れうる者は一人もいない。我が眼の届かぬ者は一人もいない」
「打ち砕かれよ。
 敗れた者、老いた者を私が招く。私に委ね、私に学び、私に従え」
「休息を。唄を忘れず、祈りを忘れず、私を忘れず、私は軽く、あらゆる重みを忘れさせる」
「装うなかれ。
 許しには報復を、信頼には裏切りを、希望には絶望を、光あるものには闇を、生あるものには暗い死を」
「休息は私の手に。貴方の罪に油を注ぎ、印を記そう。
 永遠の命は死の中でこそ与えられる」
「──――許しは此処に。受肉した私が誓う」
「――――“この魂に憐れみを“(キリエ・エレイソン)」



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