Komm, susser Tod~甘き死よ、来たれ

登録日:2012/01/29(日) 02:02:41
更新日:2020/03/11 Wed 08:32:40
所要時間:約 13 分で読めます




It all returns to nothing
It all comes tumbling down, tumbling down tumbling down...





新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』劇中で使用された挿入歌。
作詞は庵野秀明総監督の日本語の詩をもとに、大幅に内容を変えながら英語に翻訳したもの。
歌はARIANNE。
タイトルの元ネタはバッハのカンタータ「来たれ、汝の死の時よ」
タイトルはドイツ語だか歌詞は全部英語。
タイトルを英語に直訳すると「Come,sweet death」。


この歌は第26話「まごころを、君に」の終盤、所謂「人類補完計画」発動シーンで流れる。


生命の樹に還元されたシンジは精神世界内で心の拠り所をなくし、アスカにすがる。
だがアスカは常に煮え切れない態度で接し、自分のものにならないシンジを糾弾。
「本気で他人も自分も好きになったことがない」と罵る。
ついに泣きながらアスカに訴えかけるシンジ。

「僕を一人にしないで!僕を見捨てないで!僕を殺さないで!」

しかし、アスカはそんなシンジを見下ろしながら冷たく言い放つ―――

「…イヤ」


そして、シンジの中で何かが切れ、憎悪に満ちた目でアスカの首を絞め始める。


ここで流れ始めるのがこの曲である。
それから猫や魚、人の死体といった絵が映し出され、さらにTVシリーズのタイトル画面や日常シーンがフラッシュバックされる。
それはまるでシンジがネルフで過ごした楽しかった思い出を全否定しているかのようだ。


序盤ではレイとシンジの問答が流れる―――
シンジ「みんな僕がいらないんだ、だからみんな死んじゃえ」
レイ「では、その心は何の為にあるの?」
シンジ「むしろいない方がいいんだ…だから僕も死んじゃえ」
レイ「では、何故ココにいるの?」
シンジ「…ココにいてもいいの?」

だが、その答えは
(無言)


刹那、響くシンジの絶望の叫び―――


やがて世界ではリリスから発生したアンチA.T.フィールドが拡大し、地球上の生命がLCLに還元されていく。
肉体を失い、全ての人間が心の壁を取り払い一つになっていく…
ネルフオペレーターズや冬月も、自分の愛する人の幻影を見ながら溶けていった。

そしてゲンドウもまた、長年夢見た亡き妻との再会を果たし、今まで隠していた息子への恐れと情愛を口にする。
その罪を裁く、あるいは救いを与えるかのように初号機が彼を噛み砕く。

一斉に地表から伸びる、人の数だけの十字架―――
それはゼーレの望んだ世界の幕開けだったのか。
人だったLCLはリリスの持つ黒き月へと還り、初号機もまたリリスの中へ。

そこで流れるシンジの精神描写。
無数の「嫌い」といったネガティブな女性からの罵倒。

ミサト、レイが優しく語りかける。
「そんなに嫌なら、もうやめていいのよ」
「そんなに嫌なら、もう逃げ出してもいいのよ」
「楽になりたいんでしょう?私と一つになりたいんでしょう?」

そこへアスカの声。
「でも、あなたとだけは絶対に死んでもイヤ」


以上の場面で、計7分以上も流れている。

ゆったりとしたバラード調の歌謡曲だが、その歌詞の内容はネガティブそのもの。
かいつまんで言うと「他人が嫌い、でも他人を傷つける自分はもっと嫌い、だから他人のいない無に還りたい」というもの。

それは劇場版の、追い詰められたシンジの自己嫌悪と絶望を明確に語っている。
彼に残された道は皮肉にも、ゼーレの指し示す「他人と自分の区別がつかない、誰も傷つかずに済む世界」だったのかもしれない…


曲調明るく、ゆったりとしている為、結婚式のBGMでもよく使われる。





…ちょっと待て。


◆関連

  • スーパーロボット大戦シリーズ

第3次スーパーロボット大戦α~終焉の銀河へ~
共通第52話『世界の中心でアイを叫んだけもの』で初登場する。
シナリオ中強制的に全機の戦闘BGMとなる。
この後、戦闘用BGMとしても設定可能である。

まさかこれが使用されるとは誰も思っていなかった為、多くのプレイヤーの度肝を抜いた。

物凄く切迫した場面で強制的にこれが流れ続けるため、原作未見のプレイヤーも物凄く不吉なものを感じてしまう
まあ、実はその時点で時限イベントが発生して、下手すれば全員お陀仏(還元される)になる。
不安になったらトロンべかファイヤーボンバーに強制的にBGMを変えてもらって戦闘OFFにしよう。敵フェイズで盛り返してくるが。





優しさはとても残酷

心を委ねたら、私は壊れてしまう

心が触れ合えば、あの人は傷つく

だから、私は壊れるしかない

無へと還るしかない…

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