碇ユイ

登録日:2021/06/18 Thu 04:41:24
更新日:2025/03/05 Wed 10:55:05
所要時間:約 10 分で読めます






この子には


明るい未来を見せてあげたいんです。


碇ユイとは、『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズ及び『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』に登場するキャラクターである。

+ 目次

プロフィール

生年月日:1977年
年齢:27歳没(肉体の消滅)
身長:不明
血液型:不明
声優:林原めぐみ

人物

ショートカットと白衣が特徴的な清楚系の女性。
碇ゲンドウの妻で碇シンジ
そして秘密結社ゼーレと関わりを持つ最重要人物であり、物語の鍵を握る。


劇中での活躍

TVアニメ版

過去

物語が始まる前の1999年に京都大学で当時教授をやっていた冬月コウゾウと他の教授を通して、冬月が自身の研究室に呼んだことで知り合う。
ゲンドウとの馴れ初め…もとい、ゲンドウと出会った経緯は明かされていないものの、元々彼女のバック、つまりゼーレに近づくためにユイを利用したのではないかという説がある。
冬月は初対面のゲンドウに良い印象を持っていなかったが、ユイは冬月に対して『(ゲンドウは)実は可愛い人。』と反論している。

2000年に起きたセカンドインパクト後、ゲンドウと結婚。
シンジも誕生し、2002年に南極でゲンドウと再会した冬月はこのことを知り意外な組み合わせに軽いショックを受けていた。

2004年、エヴァ初号機へのエントリー実験を行い、失敗。
シンジと夫であるゲンドウ、冬月といった人々の前でエヴァに取り込まれてしまい、人間としては死亡してしまった。
ここから徐々にゲンドウは狂っていき、 『人類補完計画』 への道を進んでいくことになる。
取り込まれてしまったユイを助けるためにその後サルベージ計画が実行するものの、サルベージの結果、魂のないユイにそっくりなモノがでてきただけで失敗した。
これ以降、エヴァに残ったユイはエヴァ初号機のコアとして利用されることになる。
テレビ版第壱拾五話『嘘と沈黙』のレイの雑巾絞りを見て、シンジは彼女をお母さんみたいだというシーンがあり、これは綾波がユイのクローンである事実の伏線になっている。

本編

第壱話『使徒、襲来』に登場。
2015年にシンジが第3新東京市に移住し、エヴァンゲリオン初号機に搭乗して第3使徒サキエルと戦った。
が、初搭乗にしてまだ14歳のシンジはサキエルにこっぴどくやられてしまう。
これまでかと思われた時にユイによってエヴァが再起動。
我が子に危機が迫っていると感じたユイによってエヴァは暴走状態となり、暴走した初号機はその勢いでサキエルを殲滅した。

その後も第拾弐話『死に至る病、そして』にて、第12使徒レリエルに取り込まれ、命の危機が迫ったシンジを助けるために暴走。
レリエルを内側から引き裂いて返り血を浴びながら叫ぶという非常にインパクトのある登場(?)の仕方をした。

第拾七話『男の戦い』でも引き続きエヴァを 覚醒 させる。
シンジの覚悟、意志、叫び、がコアの中の彼女に届き、エヴァを再起動させて覚醒。圧倒的な力で第14使徒ゼルエルを殲滅。

覚醒したエヴァ初号機を見たリツコは、

やはり目覚めたのね…彼女が…

といっているので、この覚醒はユイが行ったものとわかる。
そしてゼルエルを捕食してS2機関を自ら取り込んだ。ゼルエル戦後、シンクロ率が異常なほどまでに達してL.C.Lに溶けてしまったシンジと初号機の中で接触した。

旧劇場版

第25話『Air』の最終盤に登場。
戦略自衛隊によるNERV本部襲撃によってエヴァ初号機はベークライトで動けなくなっていたものの、シンジがミサトに送り出され、ケイジに到着。
生きる気力をなくしたシンジに対して早く乗れと言わんばかりにベークライトを砕きながら手を伸ばして半強制的にエヴァに乗せた。

そしてエヴァ量産機に捕食され、無惨な姿となったアスカエヴァ弐号機を見たシンジは絶叫。ここで25話が終わる。

続く第26話『まごころを、君に』にでも登場。
初号機は光の翼を展開し、エヴァ量産機によって拘引され、人類補完計画のトリガーとされてしまう。
シンジは既に生きる気力を失っていたのと、第2使徒リリスの復活、そしてオリジナルのロンギヌスの槍が帰還したことで遂に補完計画が発動される。

全人類がL.C.Lへ還元され、リリスへと還っていく。
冬月がL.C.Lへと還元される時にはユイが幻影となって登場した他、ついにゲンドウの前にユイが現れる。
久しぶりに会った夫と少し話をし、ゲンドウに対して『シンジが怖かったのね』と返した。

リリス(レイ)と再会したシンジはリリスと話していく中、徐々に生きる気力を取り戻していき、ついに

『もう一度会いたいと思ったんだ。

その時の気持ちは本当だから。』

と言い、人類の補完を否定。
リリスの肉体も崩壊し、エヴァ量産機も石化して落下。
その中で、ユイとシンジはついに再会する。
赤い海の中で、ユイがシンジの頬にそっと手を当てる。

『もういいのね?』

『幸せがどこにあるのか、まだ判らない。

だけど、ここにいて…生まれてきてどうだったのかは

これからも考え続ける。

だけどそれも当たり前のことに何度も気づくだけなんだ。

自分が自分でいるために…。』

最後の会話をしたシンジは赤い海から地上へ、ユイは初号機の中に留まってロンギヌスの槍と共に宇宙へと旅立ったのだった。

漫画版

基本的には同じ。シンジの預けられた家の設定により兄がいることがわかる。
だが、再会したゲンドウとの会話が増えていたり、シンジを見送る際にはゲンドウと共に『前を向いて生きろ。』『大丈夫。太陽と月と地球がある限り、大丈夫よ。』と言って後押ししており、夫と息子に対する愛情は非常に深い。
しかし、ゲンドウとは相思相愛の夫婦関係になっても、シンジが生まれてから数年後には、彼らとのわだかまりが生じていた模様。

ゲンドウとの再会の際、シンジが生まれてから彼の心が荒んでいた事実を知っていたこともあり、
ゲンドウの愚行(父親失格も同然の所業)には『バカね。私はずっとここにいたのに。』と悲しみを表していたが、
後悔を吐露するゲンドウに対して『生まれた時のことを思い出して、そして強く生きろと願って。』と説得しており、最後まで彼の唯一の理解者になっていた。
ちなみに、アニメ第25話で見せた再起動シーンはコミカライズにおいて変更されており、こちらではユイが自発的に起こしたものでなく、アスカを助けたいシンジの呼びかけに応えたものに変更されている。

単行本14巻に収録されている『夏色のエデン』にも登場。
冬月ゼミの生徒として登場しているが、旧劇やアニメなどの回想シーンとはだいぶ変わって非常に天然である。
研究室でネズミのケージをひっくり返して追いかけっこしてたり、メガネを無くしたりとドジなシーンが多いものの、研究者としては非常に優秀らしく、国が争うレベルらしい。
漫画版でのマリとの出会いも書かれており、マリが掛けているメガネはユイからの贈り物であると判明した。
さらにゲンドウとの馴れ初めも描かれているのでぜひ見て欲しい。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

基本的に原作アニメと同様。初号機を第4の使徒戦で暴走させる。
精神世界でも声だけだが登場しており、ゲンドウに対して

『名前、決めてくれた?』

『男だったら、シンジ

女だったら、レイと名付ける。』

という会話をしている。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

エヴァ初号機として登場。
レイとゲンドウの食事会シーンで(幻影として)登場する。
レイがゲンドウにみんなとの食事会を持ちかけた際、レイの姿がゲンドウにはいつの日かのユイの姿に映っていたようだ。

最終盤の第10の使徒戦で初号機が覚醒するが、これはユイの意思ではない。
シンジ自身の意志と力がエヴァ初号機を覚醒させたのである。
その後、ニアサードインパクトを起こすものの、カシウスの槍で貫かれ、初号機は取り込まれたレイ、シンジ(とユイ)を乗せたまま宇宙へ放置されてしまうことになる。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q

本人は登場せず。エヴァ初号機もAAAヴンダーの主機として使用される有様。
が、冬月から彼女の過去が明かされる。
旧姓は綾波ユイであり、彼女が初号機の中にいる理由はエヴァ初号機へのダイレクトエントリー実験が失敗したからであった。*1

また彼女の情報だけがクローンである 『アヤナミシリーズ』 に残されたと言う。

シン・エヴァンゲリオン劇場版:||

満を持して本人がご登場。*2
ゲンドウの回想シーンにて彼女が直々登場する。

+ ゲンドウとの関係とネタバレ
ゲンドウは子供の頃から1人であった。
1人が好きだった彼は『1人』が普通であった。

彼は成長し大学へと入り、冬月、マリといった人達と出会う。
その中にはユイもいた。
ユイはありのままのゲンドウを受け入れてくれた。
シンジも生まれ、ゲンドウは初めて『1人』ではないことを知った。

しかしユイは消えてしまった。
彼は生まれて初めて『独り』になってしまった。
親に愛されたことの無いゲンドウはシンジとどう接すればいいか分からない、近づかないことがシンジの為になると思っていた。
それがシンジに対する贖罪であると。

愛するユイを失ったゲンドウは徐々に狂い、ユイを元にしたクローンであるアヤナミシリーズが入るL.C.Lの水槽を両手で眺めるほどであった。

ゲンドウはたった一つの願い『ユイに会うこと』のために、最後に残された2本の槍をマイナス宇宙にあるどうにもならないことを書き換えることできる空想上のエヴァ、エヴァンゲリオン・イマジナリーへと刺す。

人類補完計画が発動され、アディショナルインパクトが起きる。
光の十字架で包まれる地球、エヴァインフィニティと化した人類もエヴァイマジナリーと同化し、首のない白い女性のような姿となっていく。
L.C.Lへと還元されていく人々*3、ついにゲンドウは目的を達成した。
念願ユイを探すゲンドウ、しかしユイに会えない。いるのはレイだけ。ゲンドウはシンジを見た。
そしてミサトの決死の特攻によって届けられた人類の意志でつくられた 『ガイウスの槍』 が届く。


『そうか…そこにいたのか…ユイ』


ゲンドウはユイはシンジの中にいたということを知る。
精神世界でゲンドウは幼きシンジを抱きしめる。


『すまなかった…シンジ…』


そしてゲンドウからシンジへとトリガーが移る。
カヲル、アスカ、レイといった仲間を助け、見送るシンジ。
ゲンドウの起こしたことの落とし前を付けるため、自分の落とし前を付けるため、シンジは自分にガイウスの槍を刺そうとする。
すると後ろから誰かの手が、槍からシンジを庇う。

『誰…?綾波…?いや違う。

そうか…父さんは、母さんを見送りたかったんだね。

それが父さんの"神殺し"。』

シンジの背中を押して海から送り出すユイ。
ユイがシンジの身代わりとなり、ゲンドウもユイと共に自身に槍を刺す。そして今までの全てのエヴァンゲリオンに槍が刺され、エヴァの無い世界が誕生したのであった。

新劇場版におけるユイの目的は『シンジの身代わり』である。
シンジが最終的に自分に槍を刺すことを見越して、彼女は初号機にダイレクトエントリーして初号機のコアとなっていたのである。


他作品での活躍

新世紀エヴァンゲリオン 碇シンジ育成計画

人工進化研究所の副所長として登場。
こちらではゲンドウ、シンジの3人暮らしをしており、しっかりお母さんとして登場するが、ゲンドウを完全に尻に敷いている。
ゲンドウもまた彼女を恐れているため、恐妻家となっている。


余談

漫画版や旧劇では彼女の目的が明かされる。
それは 『人間がいたという証拠を残すこと。』 である。
そのためにエヴァのコアとなり、人類が滅んだとしても、人類がいたという証を残したいという壮大なもの。
劇中の登場人物では冬月のみがこれを把握しており、夫ゲンドウですら知らなかった。

彼女のもう1つの特徴である「次世代、特に息子の将来のためなら何でもする」という行動スタンスは
漂流教室」の主人公・高松翔の母親である高松恵美子をモデルにしている。


『シン』にて判明したが、人間ではない何者かが、ゴルゴダオブジェクトに6本の槍、そしてアダムスを残したとされる。
しかしゲンドウは 『ユイもここにいた。』 と言っている。
つまり、ユイはアダムスと同等の存在、人間ではないとも推測できる。

新劇場版においての彼女はゼーレと全く関係を持たない。
エヴァへのダイレクトエントリーをしてコアとなっていた理由は上述の通り『シンジの身代わりとなること』である。
ループするこの世界において、いつかシンジがエヴァのない世界を望み、自分を犠牲にしてまで世界を書き換える時にシンジの代わりになるために、ダイレクトエントリーを敢行したのだと思われる。

また新設定として、ユイは病弱であり、ユーロネルフ視察*4は倒れる直前という注釈が『シン』の画コンテに書かれている。
ダイレクトエントリーの動機としては息子を助ける為というのが第一だろうが、コアと同化しなければ身体が持たないという理由付けもあった可能性がある。

『シン』の劇場入場者特典として配布された冊子『EVA-EXTRA-EXTRA』では、劇中歌としても使われた松任谷由実氏の『Voyager〜日付のない墓標〜』をカラオケで歌うユイが掲載されている。
これは劇中で当該楽曲をカバーした歌手が林原めぐみだったことから派生したネタだと思われる。
ちなみに同席している面子として冬月の研究室メンバー+幼いシンジも描かれており、ゲンドウは『シン』主題歌の『One Last Kiss』を予約している。ゲンドウくん本気?*5
なお、冬月本人は歌唱中のユイのスマホにかかってきた電話という形で登場している。電話帳の登録名は「冬月先生」。律儀。






生きていこうとすれば…

どこだって天国になるわ。だって生きてるんですもの。
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最終更新:2025年03月05日 10:55

*1 当時のプラグスーツと思われるようなものを着て文字通りエヴァのコアに対してダイレクトにエントリーしている彼女の回想シーンが見れる。

*2 登場した割に一言も喋らないという…

*3 描写があったのは冬月のみ。L結界封印柱などで守られている人々はL.C.L化しなかった。(ミサト、ヴィレのメンバー、第3村の人達など。)

*4 『シン』でアスカ補完時の回想シーン

*5 一応、『One Last Kiss』はその歌詞の内容からゲンドウからユイに向けた歌だと解されることがある