第3次スーパーロボット大戦α~終焉の銀河へ~

登録日:2011/06/25(土) 23:17:40
更新日:2025/07/28 Mon 20:35:01NEW!
所要時間:約 5 分で読めます




さらば、スーパーロボット大戦α。


『第3次スーパーロボット大戦α~終焉の銀河へ~』は、2005年に発売されたスパロボシリーズの一つ。
αシリーズの最終章にして、当時のスパロボの集大成とも言える作品である。
ファンの愛称は「3+α(サルファ)」。

【概要】

トップ、エヴァ、マクロスシリーズの復帰に加えて、『F完結編』以来となるイデオンが参戦。
更に新規参戦として当時色んな意味で話題をさらった『ガンダムSEED』、SEGAのゲームが原作の『バーチャロン』シリーズが登場するなど
発売前からユーザーのテンションを沸騰寸前までもっていった。

システムは既に完成形にあった前作『第2次スーパーロボット大戦α』からほとんど変更は無し。
細かい部分がブラッシュアップされて全体的に見れば遊びやすくはなっている。

【参戦作品(★は新規参戦)】

超獣機神ダンクーガ
戦国魔神ゴーショーグン
新世紀エヴァンゲリオン
THE END OF EVANGELION
伝説巨神イデオン
勇者王ガオガイガー
勇者王ガオガイガーFINAL
電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム
★電脳戦機バーチャロン マーズ
機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY
機動戦士Ζガンダム
機動戦士ガンダムΖΖ
機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
新機動戦記ガンダムW Endless Waltz
機動戦士ガンダムSEED
無敵鋼人ダイターン3
マジンガーZ
グレートマジンガー
ゲッターロボ
☆ゲッターロボG
真ゲッターロボ(原作漫画版)
鋼鉄ジーグ
超電磁ロボ コン・バトラーV
超電磁マシーン ボルテスV
闘将ダイモス
☆大空魔竜ガイキング
勇者ライディーン
トップをねらえ!
超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか
マクロスプラス
マクロス7
☆バンプレストオリジナル

「αシリーズ集大成」ということで、旧作で一度リストラされた作品も多数復帰し、シリーズ最終章を飾るに相応しい圧倒的なボリュームを誇る。
空気参戦が多いのはご愛嬌。ただ各キャラクターにはなんやかんやでスポットが当たる場面があるのは「α」シリーズの共通項。
復帰できなかった参戦作品についてはキャラクター同士の会話で触れられており、直接名前は出ないが無かったことにされている訳ではない。
本作のテーマは銀河規模の脅威と言った具合であるため、イデオン、トップ、マクロス7、ガオガイガー(原種戦以降)といった「外宇宙」をメインとした面子がストーリーの軸になっている。
また、宇宙怪獣、バッフ・クラン、バロータ軍、遊星主、そしてバルマー等、外宇宙から来た敵勢力が多いため、宇宙マップが多い。
ガオガイガーFINALは当初参戦予定がなかったらしいが、ここまで外宇宙に話を広げるならやっぱり居た方がいいでしょうということで参戦になったようだ。

新規参戦の内機動戦士ガンダムSEEDは放送時期(2002年10月5日~2003年9月27日)と本作の発売時期(2005年7月28日発売)を踏まえると、スーパーロボット大戦Fにおける新世紀ヱヴァンゲリヲンに匹敵する爆速参戦ということになる。
これは『第2次α』発売後に行われたアンケート「次に出して欲しい作品」で断トツのトップだったため。
SEEDは一応外宇宙についても裏設定レベルで触れられてはいるが地球圏での騒乱がメインなので、整合性を保つため2αまでの世界観を多少捻じ曲げて地球圏でのストーリーにおけるシナリオの主軸となっており、参戦までが極めて速いにも関わらず原作の主要イベントは粗方再現されている。

余談だが一応、前作でハマーン死亡というのが正史となっている*1

バーチャロンの参戦に関しては、アニメという枠にとらわれずにゲームからの参戦を考えられ決定したという経緯がある。
当初はテムジン747Jのみの登場予定だったが、ハッター軍曹フェイ・イェンも追加で登場することになった。
ストーリーには全く絡まない文字通りのゲスト参戦だが、戦闘アニメーションは異常に気合が入っている。


【主人公】

本作は4人の主人公から一人を選択する。この頃から主人公に対してスーパー系、リアル系という概念は存在しない。
前作の主人公も登場し、今作の主人公を誰にしたかで、登場する前作主人公が変化する。ゼンガーのみ誰を主人公にしても登場する。
ちなみにゼンガーはトウマ以外の主人公だと、今回で再び目覚めた設定。

トウマ・カノウ
THE・フリーター。
特訓を繰り返して強くなり、挫折をパートナーと一緒に乗り越えたりと、王道展開まっしぐら。
最強技の戦闘アニメーションに一月掛かったのは有名な話。
前作ゼンガー編の続きであり、「第二次αでαナンバーズの面々と交流したゼンガー」はこのルートでのみ登場する(正式参戦自体は他のルートと一緒だが、スポット参戦で出番は少し多い)。

クスハ・ミズハ
衣装をよりエロく変えて登場。後継機に肩透かしを食らったユーザー多数。だが揺れの方はニルファよりさらにパワーアップ。
本作は再びバルマーが前面に出てくるようになったので、彼女の「サイコドライバー」としての側面が強調されるストーリーとなっている。
そのため、「念動力絡みの因縁(特にイルイの件)」や「無印αの頃から続いている人類同士の争い」が原因で中盤から一時的にネガティブな状態になってしまう。
当然前作クスハ編の続き。(α外伝を除いて)αシリーズの最初から最後までを無事突っ切った。

前作主人公に相当するキャラが居ないが、本作ではブリットが最初から(実質)最後まで傍にいてくれる。
このため4人の主人公で唯一、最初から中盤までユニット2機体制。

クォヴレー・ゴードン
発売前からイングラムユーゼスとの関係を指摘されていた。
機体共々厨スペック全開だが、終わってみれば一定の人気を得た。OG参戦が切望され続けているがまだ因子が足らない……
前作アラド編の続きとなり、実質αリアル系主人公からの流れの完結編となる。

クロスオーバー設定としてストライクガンダムの正規パイロットになる予定だったというものがあり、それは実現しなかったがMSに乗れるという設定がある。
なので、ベルグバウが使えない間は量産型νガンダムで戦うことになる。他の機体にも乗れるはずだが乗り換えには対応していない。

アラドは前作の最終決戦で行方不明だがゼオラはαナンバーズに所属し続けており、前作主人公組では最速最短(2話から、以後離脱なし)で自軍入りしてくれる。
そのアラドはパン屋の世話になっていたらしくこちらも割と早くに自軍入りしてくれる。
どちらも最大火力こそ減ったが使い勝手は前作より良くなっており、ベルグバウの正式参戦が遅いこともありそれを補う活躍が期待できる。
ゼオラは第二次α、OG共にアラドへの強い依存心があったが第三次αでは成長したのかそこまで深刻ではなく、クォヴレーとコンビを組んで彼の人格形成に強く影響を与えることになる。

◇セレーナ・レシタール
軽そうな外見に似合わず、色々と重いモノを背負っている。乳揺れに対する一つの到達点。
とある理由でヴィレッタを仲間の仇と思いつけ狙っており、それがすぐに誤解だと分かってからもαナンバーズの面々とは距離を置いて接している。
自分の目的達成の為には汚名を被ろうともという信念が災いして、中盤に仲間全員からの信頼を失ってしまう。そこからの彼女のシナリオは中々のモノ。
また、彼女は序盤の分岐ルートでザフトに所属するというかなり異質な展開となる。

前作アイビス編の続きとなる。前作アイビス編はイルイとの死別(と受け取られかねない演出)という他の3人と明確に異なる結末を迎えていたが、イルイは無事続投した。
もっともアイビスは外宇宙探査中に行方不明となっており、スレイだけが序盤に地球圏に帰還し自軍入りする。
アイビスの帰還はかなり後になってからであるが、同時にベガリオンがぶっ壊されるのでハイペリオンへの合体はしばらくお預け。
ハイペリオンは流石に前作ほどの超性能ではないが十分活躍できる。更にマニューバGRaMXsのアニメが一新されておりこれはこれでカッコいい。

【主人公機】

全体的に使いやすく主人公機に相応しい活躍をする。

◇トウマ
雷鳳→大雷鳳
間違え易いが凰じゃなくて鳳。
序盤はトウマ自身の弱さも合って若干使いづらいが必殺技を覚えると一気に使いやすくなる。
ちなみに大雷鳳の正式名称は「ダイナミック・ライトニング・オーバー」。

◇クスハ
轟龍改→真・龍虎王
轟龍改はいわゆるリアル系に近い性能。前述の通り最初から2機体制なので小隊で組んでもいいし別々に配属させてもいい。
真・龍虎王は初登場時はブリットが眠りについてしまうので変形不可。終盤のイベントでブリットが復活すると真・虎龍王にも変形できる。待望の刀装備だ喜べブリット君!
真・龍虎王は逆に龍王破山剣が無くなっているが、それもそのはず真・虎龍王に譲り渡した(鍛え直して「斬神陸甲剣」になった)からである。
このため龍は完全に遠距離/全体攻撃主体のユニットになっている。

虎龍王が切り込み隊長&撹乱と雑魚掃討、対ボスや援護で龍虎王という設計なのだろうが、全体攻撃必須なこの作品、龍にしか無いので逆になりがち。
前作と比較して斬神陸甲剣のおかげで虎の最大火力が大きく上がっており、単体攻撃なので龍と違い最大技が援護攻撃の適用になる*2ことから、虎をボス戦に充てた方がよいだろう。
龍の最強武器ではクスハがすっぽんぽんに

◇クォヴレー
ベルグバウ→ディス・アストラナガン
ゴキブリだのメガテンの悪魔だの散々な言われようだが、ベルグバウの時点でかなりハイスペック。
参戦が他の主人公機よりも遅い分その性能は非常に高い。

ディス・アストラナガンは基本性能の高さに加えて、高火力低燃費&バリア持ちHP回復付きという高次元万能型。
アインソフオウルの戦闘デモの長さは異常。実はPS2の性能が追いつかずに処理落ちしている。
最大まで育成すると最強クラスの火力を叩き込めるが、高攻撃力P属性武器やMAP兵器がないので最大火力を引き出すには工夫が要る。

◇セレーナ
ASソレアレス→ASアレグリアス
分身を持っているため自身の回避率も合って被弾しにくい。
後継機になると唯一主人公機で移動後でもMAP兵器を撃てる(しかも敵味方区別型、範囲指定タイプ)上に、
サブパイロットのエルマが補給を覚える為に雑魚処理に関してはピカ一。
ただし、必中or直感を覚える誕生日が異様に少ないので、感応してもらわないとここぞというタイミングで外す。

こちらは最初から最後まで一貫して二人乗りなので精神コマンドが常に2人分使えるのも利点。

【評価】

αシリーズ、特に初期作品で触れられていた伏線を概ねきっちり回収しつつ*3銀河規模の決戦を描ききったストーリー展開は概ね評価が高い。
また、トップをねらえ!の最終話を再現した、本作でもセミファイナルに当たるシナリオではシリーズでは初(というか2025年時点でも唯一と言っていい)となる、作品が異なる版権キャラ同士のフルボイスでの掛け合いシーン*4が存在している。
αシリーズ、というかスパロボの歴史的にも一つの締めくくりである本作だからこそできた熱い展開と言えるだろう。
主題歌の「GONG」も、ストーリー上で明確に意味を持たされており、それも相まってJAM Projectを代表する名曲の一つとして評されている。

一方でストーリー面においては急遽の追加となったガンダムSEEDとガオガイガーFINALにおいて、評価が少し分かれる。
どちらも、原作の再現度合いという面では申し分ないどころではなく、急遽追加したというのを全く感じさせない。名場面ではDVEも多用され熱く盛り上げてくれる。
クォヴレー、セレーナのルートだとSEEDの序盤のシナリオがほぼ完全再現される上にセレーナ編ではザフト側の視点から見たSEEDの序盤シナリオという、当時でもほとんどなかった展開になっている。

ただし、本作ストーリーの全体を見ると、前作で収まりつつあった人類同士の争いが再び勃発した挙句中盤で守ってきた同胞達の策略でお尋ね者扱いされるという展開(SEED)や、
プレイヤー部隊がなんと地球から追放されてしまう(ガオガイガーFINAL)*5などプレイヤーの目線から見れば「厄介」な展開が、この2作品を原作としていることで生じているという批判につながっている。
また、世界観的にも「コーディネイターの存在は長らく社会的に黙殺されていた」など、少々無理のある設定となっている。

「ガオガイガーFINAL」については、地球圏追放については上記の通りでありそれ以降のストーリーはほぼ完全に原作通りになる(ストーリーが続くスパロボ故に結末だけは変わっている)のだが、
原種関係のストーリーも含めて第二次αに続いて原作再現の度合いが非常に高い(全て共通ルート)ことが災いして、他作品のファンから「贔屓され過ぎている」という意見が多かった。
ガオガイガーという作品自体、スパロボに出すにはかなり厳しいハードルがあったとされその裏返しと言えなくもないが、第二次α、本作、そしてW(こちらはFINALも含む。なお同作でも形は違えど原作再現が極めて多い)と短期間に複数回ガオガイガーが出演したこともあり、当時のファンコミュニティではしばし論争の種になっていたようだ。
以後約14年近くの間同シリーズには参戦していなかったのでこの手の話題は既に過去のものとなっているが、当時は取り扱いが難しい事柄であったことが分かる。

ゲームバランスについては、第二次αよりは高めだが中盤以降は何とでもなるという意見が多い。
理由はイデの導きだろう。本作では大半のシナリオでイデオン撃墜=ゲームオーバー*6だが、耐久力は高いのでよっぽど突出しなければやられることはなく、ゲージを上げて繰り出すイデオンソードやイデオンガンは戦況を一気にひっくり返すことが出来るからである。
もっともイデオンのゲージを極端に上げないプレイングでも十分クリア可能なバランスになっており、組みやすくなった小隊制も含め遊びの幅は広めに取られている。
ただ、前述のシナリオ面での影響もあって部隊分けの回数が極めて多く、その度に部隊を組みなおすのが(保存した編成を呼びだす手段を活用したとしても)面倒という意見もある。

【小ネタ】


真ゲッターの戦闘アニメにゲッターエンペラーがチラッとだけ登場。
昭和に生まれた元祖アニメ版ゲッターチームと平成に生まれたゲッターエンペラーが奇跡の共演を果たした。

●初期版のみ移動にENを消費する地形(空中等)の移動中に移動をキャンセルすると進んだマス分ENが回復すると言うバグが存在する。

●一時離脱するキャラのPPが復帰後に今まで稼いだ分が追加されるが、周回すると引き継ぎ物まで追加されるバグがある。
コレによってマックスミリア、ドッカー、レイ、エキセドルのPPが凄いことに。

●劇中二人目のカヲルから、α世界がMXパラレルワールドが一度滅んだ後に新たに作り上げられた世界だと言っている。

●オリジナル機体の設定イラスト集はムック本の『電撃! スパロボ Vol.2』のみに掲載されている。
後継機を含む主人公機だけでなく、ゼ・バルマリィ帝国ラスボス等の敵機体(一部を除く)も公開されているという充実ぶりである。

●「イデオン」は本作ではガッツリ原作再現され、流石に原作のように犠牲が出まくる訳ではないがやるせない展開も多い。
というか(これまた流石に原作に比べれば犠牲は少ないが)原作同様の破滅的な展開を辿りソロ・シップの面々が次々と力尽きていった挙句、最終的にイデが発動して原作同様のエンディングを迎える「イデエンド」が隠し要素として用意されている。*7*8

●2008年にテレビ朝日系列で放送された刑事ドラマ『ゴンゾウ 伝説の刑事』の第1話では内野聖陽氏演じる主人公、黒木俊英が本作を遊ぶシーンがある。
だが、そのシーンではよりにもよって戦闘シーンで、コン・バトラーVが撃墜され爆発していた。

本作のラスボスを演じた声優が2022年に逝去。寺田氏は「OGではライブラリ出演にしてでも声優を変更しない」ことを明言しているそのOGは最終作がいつ出るのかわからないが…


追記・修正はαシリーズを偲びながらお願いいたします。

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最終更新:2025年07月28日 20:35

*1 これは前作のハマーンとの決別ルートでないとアクシズ落としが成立しないことが理由。共闘ルートではアクシズの代わりにブレンパワードのオルファンを落とそうとしていた

*2 ただしブリットは援護攻撃を素で取得してくれない

*3 ただし各主人公の個別ルートでしか触れられない要素もあるので、4週きっちり回った上での評価

*4 原作台詞の継ぎはぎではなく、ちゃんと本シナリオ用に描き下ろされた台詞

*5 原作ではGGGが国連の勧告に背いて三重連太陽系に赴こうとしたため永久追放措置が取られたが大義名分であり表向きのもの。本作でもαナンバーズとしては追放はあくまで複雑な事情を抱える同部隊が活動を続けるための大義名分であると認識はしているが、こっちはブルーコスモスが絡んだせいで割とガチ目に追放処分が下されている

*6 敗北条件に設定されていない場合でも撃墜=ゲームオーバーとなるシナリオが多い。その場合、TV版最終話の「その時イデが発動した」という伝説の終わり方を再現したかのような描写がされる

*7 ちなみに原作とほぼ同じ展開を辿りながら異なる結末を迎えるのが通常ルートであり、イデエンドはある意味原作よりもっと悲惨な独自の展開からイデの発動に至ってしまう

*8 いわゆるバッドエンド扱いなので容易に回避できるのだが、このエンディングでしか出ないキャラが居るので図鑑の達成率を埋めたいなら一度はやることになるだろう。