28日後...

登録日:2012/01/31(火) 00:04:05
更新日:2025/07/03 Thu 21:15:20
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1日目:>>>>細菌

3日目:>>>>感染

8日目:>>>>伝染

15日目:>>>>避難

20日目:>>>>荒廃



28日後...



概要

28日後...(洋題:28 Days Later)とは2002年に製作されたイギリスのホラー映画である。監督はダニー・ボイル。脚本はアレックス・ガーランドが担当。

ゾンビと言えばのろまというのが当たり前であったが、この作品のゾンビ(厳密にはゾンビではないが)はなんと全力疾走で追いかけてくるのである。
走るゾンビ自体は既にバタリアンでも登場していたが、この作品から本格的に「走るゾンビもあり」という風潮が出来、走るゾンビブームを作った。

28週後…という続編もある。


【物語】

イギリスのケンブリッジ霊長類研究センターで、チンパンジーを使ってあるウイルスの治療法を研究していた。

そのウイルスは凶暴性(レイジ)と言い、感染性の強い危険なウイルスだという。

ある日過激な動物保護団体が研究所に侵入しチンパンジーを逃がす為に檻を開けると、突如チンパンジーは保護団体に噛み付いてきたのである。

保護団体は突然血を吐きながら苦しみ、瞬く間に正気を失い研究員を襲うのであった。


それから28日後...


1人の男が目を覚ます。

彼はジムという自転車メッセンジャーで、事故に遭って昏睡状態だったのだ。

しかし目が覚めた時、病院には誰もおらず、「Hello!」と叫び続けても誰も返事をしない。

病院から出て街を歩いても誰一人いない。

教会にたどり着くとようやく倒れた人集りがあり、また「Hello!」と言うと数人が振り向き、神父がこちらに来た。

しかし神父は何やら苦しそうに走ってきて、ジムは反射的に神父を蹴り飛ばしてしまう。

這いつくばる神父を見ると、目が赤く涎を垂らしながらこちらを攻撃しようとしていた。

ジムは教会から逃げ出すと神父と同じように狂った人達がこちらを追い掛けていた。

全速力で逃げていると突如正気のある人間が火炎瓶を投げて助けてくれた。

その人はマークとセリーナと名乗り、イギリスはウイルス感染によって壊滅し、政府すら消滅したと話す。

ウイルスに感染した者は正気を失い人間を襲うという。

ジム達は生きる為にサバイバルを強いられるのだった。


【レイジウイルス】

研究所で研究されていた危険なウイルス。
感染するとまず眼球が充血して赤黒くなり、血管が浮き上がるといった肉体的な変化が起きる。
そして感情が怒り(RAGE)だけになって正気を失い、血や涎を吐きながら八つ当たりのために未感染者を襲うようになる。
どうやって未感染者を区別しているのか、何故感染者同士では殺し合わないのかは不明。
感染者の血や唾液が体内に入ると感染し、感染からたった20秒程度で発症し凶暴化してしまう*1
主な感染経路は感染者に引っ掻かれたり噛まれたりした傷口、あるいは目や口などの粘膜。
逆に言えば感染者の返り血をいくら浴びたとしても、傷や粘膜に入らない限り感染しない。ウイルスを媒介する水や食べ物でも感染する。
体が燃えたりしても構わず襲い掛かってくるその姿はまさにゾンビだが、銃撃などでは一応怯む。
作中ではあくまで「感染者」と言われ、ゾンビという言葉は使われない。実際ゾンビと違い不死性はないし、死者が蘇ったりもしない。
手足に深手を負えばいずれ出血多量で死ぬし、死肉を貪ったりもしないので放っておけば干からびて餓死する。



【登場人物】

・ジム

本作の主人公。
自転車メッセンジャーで車にはねられて昏睡状態だったが、目が覚めると既にイギリスは荒廃していた。
初登場シーンはなんとフルチンで、更に後半にはシャワーシーンまであるという見事なお色気担当。
初登場から教会までは「Hello!」しか台詞が無い。一度実家に帰ったが両親は自殺して天涯孤独に。
特技はコーラ一気飲みで、我らのガチャガチャマスターを上回る飲みっぷりを見せる。
また、既に腐っているであろうチーズバーガーを探したついでに通りかかった少年を木製バットで撲殺したり
軍隊に身ぐるみ剥がされて追放されても基地のトラップを解除して感染者を放って軍隊を壊滅させたり
その際に軍人の1人を素手(目潰し)で殺したりとある意味感染者より恐ろしい男である。
因みにその後はこの恐怖を人々に知らしめようとゴッサムシティに幻覚剤を流し込んだ。

・マーク

  • 演:ノア・ハントレー/吹き替え:楠大典
大富豪の息子でジムが最初に出会った非感染者。感染者からジムを助け、今の状況や基礎知識などを説明してくれた。
飛行機で国外逃亡を図るも既に空港は人集りとなっていて、その中に感染者が混じっていた為に一家は離れ離れになり父親が感染。
空港から逃げ延びてセリーナと行動をしていたが、ジムの実家を訪ねた夜に感染者に引っかかれてしまい、発症する前にセリーナに斬殺された。
感染者対処チュートリアルも兼ねているとはいえあまりにスピーディーな退場で、マジで登場時間が短い。ちなみに彼を襲ったのはジムのお隣さん。

・セリーナ

マークと共にジムを助けた、ただ生き残ることだけを考えて行動している薬剤師の黒人女性。
本作のヒロインだが決断力がありタフで、感染した人間は容赦なくマチェーテナイフで殺す。
生き残るためのルールとして仲間が感染したら即殺すこと、夜は外に出ないことを徹底している。慈悲はない。
因みに彼女の前世は行方不明のジャック・スパロウを救う為にバルボッサを生き返らせたあの人である。
精神系の薬を処方したりと、医薬的知識にも長けている。

・フランク

  • 演:ブレンダン・グリーソン/吹き替え:石住昭彦
タクシー運転手で、娘のハンナと共に生き残る為に籠城していた所を出会い、共に行動する。
無人のスーパーで物資を揃えた後はレジ前にクレジットカードを置いておくという律儀なおっさん。
特技はガソリンを飲むこと。ラジオ放送を頼りにジム達と共に軍事基地のバリケードへ車で向かう。
カラスの啄んでいた感染者の死体の血が目に入り、娘の前で発症してしまうが、その場に遭遇した軍隊に射殺される。
因みに目に血が入ってしまった為に左目が魔法の目になったと思われる
ゾンビと来てフランクだが、けっしてあの地上最強のカメラマンではない。

・ハンナ

  • 演:ミーガン・バーンズ/吹き替え:宮島依里
フランクの娘。見た感じ10代半ばで本作のもう一人のヒロイン。
父親の目の前でドリフト駐車してドヤ顔決めたり、驚異的な速さのピット技術を披露するいかした少女。
レイプされる前にセリーナが精神系の薬を飲ませて、何も感じないようにしてやろうとしたのでラストまでラリってた。

・ヘンリー・ウェスト少佐

  • 演:クリストファー・エクルストン/吹き替え:大塚芳忠
壊滅したイギリスで生き残っている軍隊のリーダー。
イギリス再建を目指しているが、その手段は強姦で子供を増やすことである。
人間は感染してもしなくても殺し合いしかしないという思想を持つ。ラジオ放送で生存者を集めていた。
最終的に軍隊を壊滅させたジムを撃つが、ハンナに父の仇と言わんがばかりに車でメイラーの元に連れていかされメイラーに撲殺される。

・ジョーンズ二等兵

  • 演:レオ・ビル/吹き替え:川村拓央
軍隊の料理担当。気が小さいが軍内では比較的まともな方。ふりふりエプロンを着用している。
ジム達が来た際はオムレツで盛大に祝ったが、腐った卵を塩でごまかせると思うぐらい料理下手。
排莢不良で悪名高い英国陸軍の標準装備L85ライフルを見事にジャムらせ、暴れ回るメイラーに怯えて隠れていた。
最期はメイラーがいなくなった隙に逃げようとして、ジムにL85の正しい使い方で刺殺された。

・メイラー一等兵

  • 演:マーヴィン・キャンベル
ウエストの部下の一人であった黒人兵士。
ジム達が来る2日前に感染し、現在は感染者の特徴を調べる為に基地内の鎖で繋がれている。
ジムに鎖から解放されて自由になると、見事に軍隊を壊滅させた。

・ファレル軍曹

  • 演:スチュアート・マッカリー/吹き替え:宝亀克寿
軍内唯一の良心。ウエストの部下の一人だがウエストのやり方に反対し、唯一ジム達の味方となって助けようとした。
その為にウエストにジムと共に処刑される事となる。ジムに「イギリスは島国で隔離されただけで国外は無事だ」と教えた。
更に処刑の順番をジムより自分を先にしろと申し出た事で、ジムが脱出する糸口となる。彼の言葉がジム達の唯一の希望となった。

・ミッチェル伍長

  • 演:リッチ・ハーネット/吹き替え:内田直哉
ウエストの部下の一人で粗暴な男で感染直後のメイラーを気絶させた。セリーナをレイプしようとする。
しかし感染者が現れ慌てて遁走、基地の奥にセリーナと共に籠城しようとするがジムに目を潰されて死亡。

・デイビス一等兵

  • 演:サンジャイ・ランバルス
ウエストの部下の一人でバリケードの梯子を登っている最中にジムにナイフで切り殺された。

・クリフトン一等兵

  • 演:ルーク・マーブリー
ウエストの部下の一人で帽子を被っている。
セリーナとハンナを監視していたが、解き放たれたメイラーに奇襲されて感染した。

・べッドフォード二等兵

  • 演:レイ・パンタキ
暴れるメイラーを発見して射殺しようとしたが、メイラーにより感染したクリフトンの奇襲を受け死亡。

・ベル二等兵

  • 演:ジュニア・ラニヤン
銃弾を使いきって小部屋に籠城していたが、メイラー達に襲われ死亡。

※軍階級は当時の映画記事より


・動物解放活動家

  • 演:アレックス・パーマー、ビンドゥ・デ・ストッパーニ、ユッカ・ヒルトゥネン
物語冒頭でケンブリッジの研究所に潜入した過激派活動家たち。最初の感染者となる。

・研究者

  • 演:デヴィッド・シュナイダー
研究所にいた科学者。チンパンジーが感染力の強いレイジ・ウイルスに感染していると警告した。

・神父

  • 演:トビー・セジウィック
ジムが最初に出会った感染者の神父。



【ラスト】

本作は都合4つほど違うエンディングがある。

劇場公開版

ジムはハンナとセリーナの二人を助け出すも、ウエスト少佐に腹を撃たれ意識不明の重体になってしまう。
基地から何とか脱出した三人は病院に駆け込み、セリーナが必死の看護でジムの命を救おうとする。

それから更に28日後、感染者達は次々と餓死して行った。
セリーナの手で何とか生き延びたジムは、セリーナとハンナと共に感染者の少ない田舎の小屋に避難していた。
ハンナが布を使って「HELL」と地面に文字を広げていると、低空飛行で近づいてくる飛行機の音に気付き急いでジム達に知らせる。
そして残りの布をかき集めて皆で広げ、3人は飛行機に必死に手を振った。
パイロットは「HELLO」の巨大な文字を発見しジム達に気付き、3人も発見されたのを確信し皆で微笑み合う。
(エンドロール)

劇場未公開版①

(DVDなどで上のエンディングが流れた後で観れる)
ジムはハンナとセリーナの二人を助け出すも、ウエスト少佐に腹を撃たれ意識不明の重体になってしまう。
基地から何とか脱出した三人は病院に駆け込み、セリーナが必死の看護でジムの命を救おうとする。
しかし必死の治療も虚しく、ジムはそのまま眠るように息を引き取った。
セリーナとハンナは彼の遺体を病院に残し、生き残る為に歩き出した。
(エンドロール)

劇場未公開版②

(Blu-ray版で追加されたエンディング)
ジムはハンナとセリーナの二人を助け出すも、ウエスト少佐に腹を撃たれ意識不明の重体になってしまう。
基地から何とか脱出した三人は病院に駆け込み、セリーナが必死の看護でジムの命を救おうとする。
生死の境でジムは、嘗てのメッセンジャーの姿で荒廃したイギリスを彷徨う走馬灯を見ていた。
そして走馬灯の中で、再び自動車に轢かれたと同時にジムは眠るように息を引き取った。*2
二人は彼の遺体を病院に残し、生き残る為に歩き出した。
(エンドロール)

劇場未公開版③

ジムはハンナとセリーナの二人を助け出すも、ウエスト少佐に腹を撃たれ意識不明の重体になってしまう。
基地から何とか脱出した三人は病院に駆け込み、セリーナが必死の看護でジムの命を救おうとする。
しかし必死の治療も虚しく、ジムはそのまま眠るように息を引き取った。
セリーナとハンナは彼の遺体を病院に残し、生き残る為に歩き出した。
それから更に28日後、感染者達は次々と餓死して行った。
二人が地面に布を広げていると、低空飛行で近づいてくる飛行機の音に気付きアピール。
飛行機のパイロットはセリーナ達に気付いて救助した。
(エンドロール)

絵コンテ案

撮影されなかったエンディングで、監督が絵コンテで説明。
ウエスト少佐達は登場せず、フランクの感染後に3人は彼を拘束して近くの医療施設に運び込む。
実はそこが冒頭の研究所であり、生き残っていた研究者からウイルスの治療法を聞き出す。
その方法は「全身の血液を全て交換する」というもの。しかし輸血に必要な血液の量が足りなかった。
そこでジムはたまたま同じ血液型だった為、フランクを救う為に自分の血を提供する。
ジムの血で何とかフランクはウイルスから回復したが、ジムは血を失い過ぎてしまい、そのまま死亡する。

【余談】

この「重傷を負って目が覚めた時には病院のベッドで、すでに世界は崩壊していた」というシチュエーションはよくオマージュされていて
かの爆発的ヒットを遂げたゾンビドラマ『ウォーキングデッド』の冒頭部分もこのオマージュから始まっている。


追記・修正はウイルスに感染してから20秒以内にお願いします

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最終更新:2025年07月03日 21:15

*1 「20秒でどうやって脳まで到達して変異できるのか」といったツッコミは当時から多かった

*2 これはジムの命の終わりと、本当なら冒頭の交通事故でジムは死ぬ筈だった事を示唆している