和田岬線

登録日:2013/05/05 Sun 09:16:23
更新日:2025/06/26 Thu 14:23:47
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和田岬線(わだみさきせん)とは、兵庫県神戸市に存在する山陽本線の支線である。
アーバンネットワークを構成する路線の一つとして名を連ねているが、路線記号と駅番号は設定されていない。

画像出典: 日本の旅・鉄道見聞録 https://www.uraken.net/rail/station/jrw/wadamisaki.html
https://www.uraken.net/rail/station/jrw/wadamisaki06.jpg
閲覧日: 2025/06/26


●目次


概要

兵庫~和田岬間を結ぶわずか2.7kmの路線だが、JR西日本屈指の黒字路線となっている。
なぜ黒字なのか?それは沿線工場の通勤客輸送に特化した路線だからである。
確かに、全盛期に比べると乗客は減ったが、これだけでも成り立つのだから通勤客パネェ。
現在の乗降客数は平日はおおよそ1万人、休日は完全に空気輸送となっている。とは言え当駅レベルで廃止というなら、JR西日本の多くの駅が廃駅となってもおかしくないだろう。

2001年までは非電化だった。
電化に至ったのはコスト削減に加え、車両基地として使用していた鷹取工場→網干総合車両所鷹取支所の閉鎖が決定したことが理由。
また、変電所の新設が必要なく、昼間に運行もしていないので電化工事もたった3カ月で完成したという。

……にもかかわらず、地元神戸市から「運河の中央部をまたぐ和田岬線が船の航行を阻害し、地域を分断している」と難癖付けられて廃線を求められている。
確かに利用客は3割減っているものの依然として黒字路線であり、JRは「廃止した場合のイメージ」なんていう訳の分からない事言って煙に巻いている。

実情は、和田岬線の客を奪おうと神戸市が年間利用者数13万人を見込んで自信満々に作った神戸市営地下鉄海岸線が、年間利用者数たった4万人・累積赤字830億円というヘマをやらかしたため。
和田岬の再開発を口実に、無理やり和田岬線を廃線にする事で海岸線の赤字縮小を目論んでいるのだ。

無論、ただでさえ阪急・阪神グループと熾烈な乗客の奪い合いをしているくらい経営が苦しいJR西日本だが、赤字路線ならいざ知らず、黒字路線をむざむざと廃線にする訳はなく、また只でさえ名前負けしている兵庫民がこのままでは神奈川駅になってしまうと大反対し、〔JR西日本&兵庫区民 VS 神戸市〕という構図になっている。


運行形態

そんないろいろ言われている路線だが、平日は17往復、土曜日は12往復。
しかし、朝ラッシュと夕方ラッシュ以外は運転されないため、9時台の運転が終わると8時間列車が来ないという地方ローカル線もびっくりな状況である。関東にもそんな路線あったな

しかし、本当に問題なのは日曜日と祝日である。
列車
番号
始 発 終 着
523M 兵 庫 7:21 和田岬 7:24
524M 和田岬 7:29 兵 庫 7:34
535M 兵 庫 17:15 和田岬 17:18
536M 和田岬 17:26 兵 庫 17:30
定期列車はなんとこれだけ。乗合バスの免許維持路線級の少なさである。
芸備線の超過疎区間ですら1日3往復あるのに、アーバンネットワーク内でそれより少ないなんて普通考えられないだろう。
ちなみに、日本の路線でこの本数と並ぶのは東北の「猿しか乗らない」と言われた路線ぐらいしかない。
更にこれを下回る運転本数となると、九州のある路線の秘境区間くらいしか浮かばないくらいの過疎レベルである。
あまりの本数の少なさに、地下鉄海岸線では乗り換えのアナウンスさえされない。
だから神戸市が苦情を……

この他、和田岬駅近くにはJリーグ・ヴィッセル神戸のホームスタジアム「ノエビアスタジアム」があるが、地下鉄で済むと思われているのか開催時も臨時増発なし。
地下鉄が使えるとはいえ、ヴィッセルサポ涙目。


使用車両

現行

  • 207系
2023年3月改正から運行開始。
6両編成*1に組み替えた専用のX1編成が使用される。
なお、103系時代にも検査入場時に3+3の6両編成が運転されることがあった。

過去

  • 103系
2001年から2023年まで使用。
2駅だけなのになんと6両編成。「京浜東北線?」は禁句。
2022年に奈良線から103系が撤退したことにより、比較的原形に近い103系が見られるのはここだけとなった。
1編成しかいないため、検査時は別形式が代走していた。
画像出典: Wikipedia https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/1f/JRW_series103_Wadamisaki.jpg
閲覧日: 2016/01/06
画像作者: W0746203-1

  • キハ35・キクハ35
1991年から2001年まで使用。
ご存じ国鉄の通勤形気動車キハ35系。通勤路線にはピッタリの形式だったが、片側にしかホームがないことを活かし、ホームのない側の扉を真ん中だけ残して撤去した。
更に出力も過剰になることから1両は同じ仕様で無動力化したキクハ35としていた。

  • オハ64・オハフ64
いわゆる旧型客車だが、路線の特性から座席を全部撤去した。ついでに外吊りドアを設置して3ドア車となった。
和田岬駅に機回し線が無いので両端にディーゼル機関車を挟んでピストン輸送しており、これはファンからは「トンボ」と呼ばれ親しまれていた。
JR化後では唯一、最後まで定期運用に使用された旧型客車でもある。

  • 201系
103系の代走運用に使用。7両固定編成だったため、わざわざ中間付随車(サハ)を1両抜いたうえで使用された。


駅一覧(といっても2駅しかないけど)

  • 兵庫
山陽本線(JR神戸線)乗り換え。
県の名前を名乗っているのにもかかわらず、三ノ宮や神戸はおろか姫路にも及ばない寂しい駅。
とは言っても神奈川駅よりかは何倍も栄えてるけどね……
本線とは中間改札が設けられており、本線からの乗り換え客や兵庫駅から乗車の場合は切符はここで回収される。逆に和田岬駅からの乗客は、ホーム側にある券売機で切符を購入することになる。

  • 和田岬
終着駅。神戸市営地下鉄海岸線乗り換え。
自動券売機はないので前述したように兵庫駅で精算となる。2009年まで駅舎が存在したが解体され、文字通りホームしか存在しない駅となった。


余談

  • 沿線(と言うか兵庫駅の近く)に川崎重工業傘下の川崎車両の工場があり、ここで作られた車両は兵庫駅を通って全国へ向かう。
この川重製の車両を運んだり、和田岬線の車両を回送するために、兵庫駅の和田岬線ホームから鷹取駅近くの神戸貨物ターミナル駅までの間の神戸線には電車線・列車線の他に「小運転線」というものがある。
無論、前記した二つ以外の目的にも、乗務員の訓練センターとしても使われていたり*2、阪神大震災の時は当線を一時的に電化して本復旧までの繋ぎとして新快速などが走ったりもした。


追記・修正は休日ダイヤで当線を完乗してからお願いします。

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最終更新:2025年06月26日 14:23

*1 1994年から1997年まではJR神戸線向けの編成に存在していた。

*2 訓練車は和田岬線で使っている103系である。