登録日:2010/04/21 Wed 01:21:38
更新日:2025/10/05 Sun 23:26:13
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アーバンネットワークとは、
JR西日本が名付けた、近畿圏の近郊路線一帯をまとめて呼ぶ際の愛称。
英語でそれぞれ「都市」を意味する「アーバン(Urban)」と、「網目のようなもの(=鉄道網)」を意味する「ネットワーク(Network)」を組み合わせた造語である。
2005年に発生した福知山線の脱線事故以降は、JR内でも使用を徐々に取りやめるようになってしまった。詳細は後述。
目次
概要
首都圏を営業エリアに持つ
JR東日本、
東海道新幹線を持つ
JR東海に対し、
JR西日本は収益性が弱いことから
山陽新幹線と大阪近郊路線に経営資源を集中させる戦略を採った。
大阪近郊のJR線はそのほとんどが私鉄と並行し、その私鉄各社はクロスシート車やパターンダイヤなど趣向を凝らしたダイヤを組んでおり、利用者のほとんどがそちらに流れていた。
利用者の奪還と経営資源の安定化を目的としてテコ入れが図られるようになったが、施策の一つとして路線に愛着を持ってもらうことを目標に、1988年3月13日のダイヤ改正から8線区9区間に愛称を制定、同時に大阪近郊路線一帯を指す名称としてこのアーバンネットワークの名の使用を開始した。
1990年3月10日からは10線区にラインカラーを制定。
更に88年の設定当初アーバンネットワークに組み込まれていなかった線区を組み込んだ。
主な施策
1989年に登場した
221系を皮切りに、3ドア転換クロスシート、最高速度120km/h以上の高性能車両を各線に導入。既存の113系電車も同様の改造を実施してサービスレベルの向上を図った。
なお、通勤路線には引き続きロングシート車を導入したが、こちらも性能は勿論、内装も並行私鉄と同レベルにしている。
国鉄時代から関西線~大阪環状線、新快速の湖西線直通などを実施していたがこれをさらに拡大。
1989年には天王寺駅構内の連絡線を完成させ、阪和線の大阪環状線乗り入れを開始。1997年にはJR東西線開業に伴い学研都市線・JR宝塚線の直通が始まるなど、直通ルートを多数開拓した。
関西私鉄は大阪市営地下鉄(現・Osaka Metro)の方針もあってごく一部を除き直通運転がほとんど行われていないため、JRのネットワークを生かした直通ルートが利用客に大きく支持された。
ネットワーク内で特に需要の多い路線には、通常の快速よりもサービスレベルの高い上位快速を新たに設け、さらに路線ごとに異なる種別名を与えた。
みやこ路快速(奈良線)、丹波路快速(福知山線→JR宝塚線)、大和路快速(関西本線→大和路線)、関空快速(関西空港線)、紀州路快速(阪和線)の5種である。
なお、東海道・山陽本線(→琵琶湖線・JR京都線・JR神戸線)の
新快速のみ、ネットワーク制定前の国鉄時代から存在している。
意外と思われがちだが、本格的な導入は1997年からである。
関西は自動改札発祥の地と言われ、私鉄では大きく普及していた一方、国鉄及びJRへの導入は労働組合の猛反対もあってか大きく遅れていた。
1999年からはストアードフェアシステムの「Jスルー」を導入したが、このカードは私鉄の近鉄電車でも使用可能だった。
アーバンネットワーク路線一覧
※…背景色は各路線のラインカラーで、背景色がない路線はラインカラーなし。アルファベットは路線記号。
用語の衰退
冒頭に書いた通り、福知山線脱線事故より後になると、自粛するかのように「アーバンネットワーク」の名を使わなくなってしまった。
さらに2010年代以降になると、元々ネットワークに入っていなかった、「都市(アーバン)」とは呼べないような路線や線区にも路線記号やラインカラー、場合によっては新型車両が導入されるようになった。(
I 加古川線、
J 播但線、
K 姫新線、
Wきのくに線 など)
そして、新快速のようにネットワークの境界をまたいで走る列車があったり、そもそも路線記号やラインカラーの指定がネットワークの外へも及んだり(
B 湖西線 永原~近江塩津間、
A 北陸本線 長浜~敦賀間 など)していることから、もはやJR西日本にとって「アーバンネットワーク」という区切りが重要ではなくなったことがうかがえる。
なお、案内上での使用を取りやめてからも、しばらくは定例会見程度なら使われていたが、それも2020年代以降に無くなっている。
追記・修正はアーバンネットワーク内の全路線を利用してからお願いします。
- オチw -- 名無しさん (2018-11-20 15:58:26)
最終更新:2025年10月05日 23:26