ライノサラス(ガンダム外伝)

登録日:2012/03/24 Sat 19:48:46
更新日:2024/10/29 Tue 16:40:32
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「いまの我々には、それは欠点にはならないわ。今日一日だけライノサラスが働いてくれれば、明日はもう必要ないじゃない」



ゲーム『機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…』に登場するMA。


型式番号 不明
所属 ジオン公国軍
建造 不明
頭頂高 不明
重量 不明
装甲材質 超硬スチール合金
武装 大口径キャノン(A型)
バストライナー(B型)
ミサイルポッド×2
腕部マシンガン×2
機関砲×2


オーストラリアのジオン軍が極秘裏に開発した、ホバー式の移動砲台と言っていいMA。あらゆる重火器で武装した大火力、重装甲の巨大機動兵器である。
また、前線で急遽開発された急造品であり、機体本体には例によって既存MSのパーツが流用されている。
いつものジオン脅威のメカニズムである。

ゲーム中ではあるステージでのプレイヤーの行動によってA型かB型が出るかが決まり、Aは実弾兵器である大型キャノン砲、Bは大型ビーム砲であるバストライナーを装備し、火力ではB型が上回る。
尚、どちらの武器も地球連邦軍から奪取した物だが、小説版ではB型が登場しており開発計画の詳細が語られている。


【開発経緯(小説版)】

開戦初期、オーストラリアに侵攻したジオン軍は現地の連邦軍を捕虜にしたが、接収品の中には大型ビーム砲バストライナーがあった。
これはMS用の支援兵器として中型突撃艇に戦艦用のビーム砲を取り付けたものであり、戦艦用とあってその威力は絶大なものだった。

これを活かせないかと考えた技術チームは、オーストラリア戦線で重要視された大都市攻略に投入すべく、バストライナーを搭載可能な高い後方支援能力を持つ機体の開発に着手する。
かつてのドイツ軍が開発した列車砲と同じ大火力と重装甲による敵防衛線の突破というコンセプトで開発がスタートしたが、
オーストラリアの地形でしか使えないようなコンセプトだったのが災いし、ジオンでの開発優先順位を下げられてしまった(このあたりの経緯はイフリートと似ている)。

また鹵獲したバストライナーも初期型であったため、威力は絶大な反面、消耗するエネルギー量も膨大であった。
その対策として多数の大型ジェネレーターが設置された。このジェネレーターのおかげで、巨体を動かすホバーシステムも完成する。
が、今度はそのジェネレーターを稼働させたり、バストライナー砲を発射した際に発生する熱をどうするかという問題が浮上。
この排熱・冷却システムの設計が難航し、すぐにオーバーヒートしてしまうという問題を解決できないまま、開発は凍結、制式採用されないまま、試作機はヒューエンデン基地に放置されていた。
(余談ながらこの排熱問題はビグ・ザムも悩んでいた)
兵器開発の優先順位が高ければ、終戦前にこの問題は解決したとも言われる。

いずれにせよ、現地での急造兵器なのは変わらず、ザクⅡの胴体やとってつけたような武装が多いのもそのためである。
しかしその威容は凄まじく、見るものは「移動要塞」「戦艦」「太古の恐竜」とそれぞれ大きなインパクトを受けている。


【劇中での活躍(小説版)】

以上のように、ほとんど放置されていたも同然だったライノサラスだが、一年戦争末期についに実戦投入の機会が訪れる。
地球連邦軍の反攻作戦がオーストラリアでも行われ、戦況不利となったジオン軍はHLVによる宇宙への脱出を企画。
ヒューエンデン基地はもともと宇宙港であり、HLVの打ち上げ作業が行われており、当然連邦軍はこれを妨害、基地を攻略する必要に迫られていた。
ジオン軍は当然防戦に当たるものの、各方面で戦力が不足していく。

そこでライノサラスの投入が決定された。
もともとライノサラスは巨大なうえに、地上専用兵器なので、最初からHLVには乗せられない。さらに、今回の作戦が成功しても失敗しても、どのみち基地のHLVはなくなる。
またジオン公国オーストラリア方面軍はオーストラリアからアフリカへの脱出計画「月の階段」も同時企画しており、どの道ライノサラスはここで放棄される運命にあった。

裏を返せば、このたった一回の「ヒューエンデン基地防衛」が達成されてしまえば、ライノサラスはそのまま放棄しても問題ない。
たとえジェネレーターがオーバーヒートして内部機構が修復不可能になっても、回収してメンテナンスする必要はまったくないのだ。
そういうわけで、ヒューエンデン基地に迫り来る連邦軍精鋭部隊「ホワイトディンゴ」の迎撃のために投入された。


急造品故の未完成な部分が目立ち、ジェネレーターの問題で探知能力は低い上に赤外線をかなり発しているため簡単に見つかる、動かすのに6人必要、しかもザクの上半身がコクピットなのでギュウギュウ詰め、挙句重量当たりの出力はかなり低いなど悲惨な有様だった。
本来の運用としては、護衛のMS部隊が随伴して、探知能力の穴埋めやフォローを行うはずであったが、戦力の枯渇から単機での投入となったことも、この問題を悪化させてしまう。

それでも、巨体の隙をカバーする多数の機関銃や、高出力のホバーシステムによる意外なほどの機動力でホワイトディンゴ隊を苦しめるが、センサーが前にしか無いことを見破られ、マイクとレオンが囮になった隙にマスター・P・レイヤーに背後に回りこまれてしまう。
それに気付いて必殺のバストライナー砲を撃ったものの、命中せずそのまま攻撃を受けて撃破された。
この結果操縦席には溶けた金属がプラズマとなって流れ込んでくるという悲惨なことに……。
パイロットのご冥福をお祈りします。

なお、バストライナー砲の威力は凄まじく、砲弾が通過した地面は溶融して煮立っており、当たっていないはずのレイヤー機のシールドは目玉焼きが出来るほどの熱を持っていた
まさに一撃必殺である。
恐らく他作品の高出力兵器(例えばビグ・ザムアプサラスのメガ粒子砲)も同じようなことになっているのだろう。

ちなみに『0083』では似たようなコンセプトのホバー砲撃機ザメルがオーストラリアに現れた。
これも何かの因縁か……。
ちなみにギレンの野望シリーズではライノサラス生産が開発フラグ


【ゲームでの活躍】

「ライノサラスを発進させるのか!?」「発進させるしかないだろう!」「ハッチ、開けろっ!!」
FではA,B、魂ではB型のみ登場。
なおFでは発進するムービーがある。緊迫感みなぎる格納庫から、非常灯に照らされつつゆっくりと巨体を前進させるライノサラスの姿は恐ろしくカッコいい。
地上用だが、重武装で火力に優れるも接近戦は出来ない。だがB型はMAP兵器があるので注意。
魂では一応近接射撃が可能だが、サイズの大きさがネック。
なお、開発先にはザメルやヒルドルブなどが挙げられる。


【余談】

  • 急造兵器な本機だが、形状や武装はヒルドルブを参考にしたのではないかという説がある。
    ヒルドルブは開戦前には完成していたので現地スタッフの中に開発関係者がいたとしても不思議ではないが……。
    ちなみに「IGLOO」のヒルドルブの話でマイが発言した「応急現地改良にも限度が……」というのはこの機体の事も言っていたのではという声がある。

  • ホバーで移動する本機だが、それ故不整地走行には向かない。オーストラリアは土地の起伏が少なかったので大した問題ではなかったが、これも開発順位を下げられる要因になっている。
    まあ地球で使う高出力ビーム砲運用兵器といったら、ホバリングどころか空を飛べるアプサラスがあるわけで、ライノサラスではやはり実験機の域は出ないだろう。

  • ライノサラスとは英語で「サイ」の意味である。

  • 小説版では上記のように急造品故の悲哀が多分に描写されており、優先的に開発、整備されていればと思わずにはいられない。また中のクルーの描写も面白いので一読の価値あり。





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最終更新:2024年10月29日 16:40