ハーデー(星のカービィ)

登録日:2014/05/24 Sat 15:54:18
更新日:2025/05/15 Thu 16:10:22
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治療、開始~!!




「ハーデー」とは、テレビアニメ『星のカービィ』第32話「歯なしにならないハナシ」に登場した魔獣のことである。


概要

デデデ大王がどうしても楽して虫歯治療を受けたいがため、ホーリーナイトメア社からダウンロードしたデンタル魔獣。
人の言葉を話し、「治療」の単語を鳴き声のようにも発する。
見た目は歯のついた口と一体化したボディに、両手やドリル、ペンチ、そして単眼がついた一頭身のロボット
このボディは大きく口を開くことで、患者を拘束寝かせる診察台の代わりにも使える。

デンタル魔獣の肩書きが示す通り、戦闘用に作られたものではない。
歯医者をモチーフにした魔獣だけあって、治療が必要な患者を見るや否や、捕まえてでも治そうと執拗に追いかけてくる。
しかも治療には麻酔を一切使わない。
捕まったが最後、診察台のボディから逃げることは叶わなくなる。
麻酔無しで歯を削られるのが嫌な患者にとっては、心の底からげに恐ろしい魔獣と言える。

なお戦闘用ではないものの、カービィの吸い込みに対策を行ったり耐え切ったりと強さ自体は非戦闘員なりにそこそこ。

しかし、麻酔を使わないのは確かだが、実はものの数秒で治療から処置までを完遂させる、とてつもなく優秀な腕前のスーパー歯医者。
虫歯を削り、そこに詰め物を詰めるまでスピーディーに行われる。
患者からすると、ほんの少しの我慢であっという間に終わり、歯を削られる痛みに延々苦しむこともないのだ。

更にこれだけ優秀でありながら、治療費は一切取らない。
笑顔で「治療、無料♪」と喋るハーデーからは、魔獣の中でも屈指の人格者っぷりが窺い知れる。
唯一の欠点である強引さも、ひとえに患者を治療してあげたいだけと思えば本当にホーリーナイトメア社製の魔獣なのか?とすら疑いたくなる。


だが、かように善良なハーデーは劇中で悲惨な運命を遂げることになる……。


劇中での活躍

日頃の不衛生がたたってブンともども虫歯になり、痛み止めの薬に逃げても無駄だったデデデが激痛に耐えかねダウンロードする形で登場。
デデデとしては麻酔を使って治療してくれる歯医者を望んでいたようなのだが、実は麻酔無しで行われることをダウンロード後カスタマーサービスより知らされ、恐怖に怯えて逃げ出してしまう。

当然ハーデーが見逃すわけもなく、夜の中庭で追いかけっこの末にブンも標的に定める。
先に彼を捕まえ強引に治療するが、数秒で終わるほど優秀だった為、ブンは怒るどころか「ありがとう!」と感謝を述べた。
それでもデデデは断固として治療を拒否し続け、挙句の果てにはフームの声マネをしてカービィに吸い込ませようと試みた。
ハーデーは吸い込まれかけたところを両手でカービィの口に掴まり、なんとか耐え切る。

流石にいきなり吸い込まれて怒ったのか、逆にカービィを捕らえると勢いのままに治療を開始するのだが……


歯?ハ?はぁぁぁぁぁぁ!?!??


驚くべき事に、カービィの口内は歯の一本も生えていなかった。


歯~が~無いっ!?歯が無い、治療できないぃぃぃぃぃ治療できないッッ!!!!


歯のない患者なんて診たことも聞いたこともない。
あまりにも異常なケースを目の前に、さしものハーデーも激しく錯乱して「そんなはずない!」と言いたげに口内をガチャガチャとまさぐり続けるも、結局そこに治療すべき歯は無かった。

すると、その光景を見ていたフームは何を思ったか、なんとカービィに吸いこみを命令する。
今度も耐えるハーデーだが、ドリルがすっぽ抜けてトルネイドカービィへの変身を許してしまい、問答無用の竜巻を食らって空の彼方に吹き飛ばされてしまうのだった……。




非業の冤罪デンタル魔獣

このようにハーデーは客観的に良い行いしかしてないにもかかわらず、話の都合で主人公に成敗されてしまった悲劇の冤罪被害者、アニメカービィトップクラスに不憫な魔獣としても有名*1
確かにアニメカービィでは1話完結のヒーローものという性質上、大雑把に言っても「魔獣と戦って最終的に倒す」という流れがストーリーのテンプレ化しているが、それにしたって強引にも程があるとしか言いようがない。
どう見てもハーデーは戦闘向きと考えづらく*2、悪事を行おうとした描写がないので倒す意義も無く*3、無理に辻褄を合わせようとしても「カービィを治療しようとしたら襲っていると思われた」「魔獣だからという理由だけで倒された」というトンデモ展開である。
他の魔獣みたいに爆死させられなかっただけマシなのかもしれないが、せめて吹き飛ばされた先で生存し、人々の医療に貢献してくれることを祈るしかないだろう……*4

ハーデーの冤罪に関しては当然ながら、その原因となったフームがよくあれこれ言われやすい。
これも少々カービィに過保護がきらいがあるから、で辻褄を合わせても無理がある。
トルネイドをコピーした時の喜び具合を見るに、よほどデデデに痛い方の治療をさせたかったのだろうか……。


余談

  • 前述したように竜巻で吹き飛ばされただけなので、生死が不明な敵キャラクターでもある。
    当時はドリルのコピー能力が無かったので「回転する」という特徴からトルネイドになったが、もしこの頃からドリルカービィが存在していたら高確率でドリルに貫通されてお亡くなり、だったかもしれない……。

  • ハーデーの登場した回はもちろん虫歯をテーマにしたエピソードなのだが、何の偶然か漫画「こち亀」にもほぼ同一のタイトルの、同じ歯が題材の回が存在する。
    こちらの表記は「歯無しにならない話」。
    • もっと言えば、無敵ロボ トライダーG7にも同様の「歯なしにならない話」が存在する。
      エピソードの題材として浮かびやすいために作品間で被りも起きやすいのだろうか……?

  • ハーデーをダウンロードするに至るまで、デデデ達は汚い歯に巣食った虫歯菌のせいで耐え難い激痛に襲われるのだが、この虫歯菌がなぜか監督者の親分と働き手の労働者たちで分かれており、労働者たちが歌いながらツルハシを振るう姿は妙に人間臭い。
    • このとき労働者たちが歌っている歌詞の元ネタは「ヨイトマケの唄」。後々ワドルドゥ隊長もパロディする。
    • 親分は赤い目で区別が可能。ちなみに虫歯菌の親分を演じたのはSLAM DUNK安西先生幽☆遊☆白書のジョルジュ早乙女でおなじみ西村知道氏。




追記・修正♪



出典:テレビアニメ『星のカービィ』ア・ウンエンタテインメント スタジオザイン 任天堂 ハル研究所 中部日本放送 電通
32話:2002年5月18日
(c)Nintendo/HAL Laboratoly.inc・CBC. All Rights Reserved.
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最終更新:2025年05月15日 16:10

*1 しかも他のエピソードにはカービィと本格的に仲良くなり害意も全く示さなかったミニガルボやファンファンがいるため、間接的にハーデーの不憫さが増している。

*2 同じような魔獣としてノーズマンがおり、これは指輪探しの為に投入したのだが、発見した指輪を紛失したため、デデデにハンマーでふっとばされ行方不明になった。

*3 カービィを拘束した際、調子に乗ったデデデがそのままカービィの歯を抜いてしまえと命令したものの、当のハーデーはその直前、デデデがいくら嫌がっても治療しようと追いかけ回したばかり。要治療者と判断すれば見境なく捕まえるその振る舞いや性格からいって、デデデの命令を素直に聞き入れて実行したとも考えづらい。

*4 ただし、彼の治療は無料のため、それはそれで本業の方々と軋轢を生んでしまう可能性もありうる。