SLAM DUNK(スラムダンク)

登録日:2011/12/30 Fri 17:41:52
更新日:2024/03/07 Thu 06:00:13
所要時間:約 12 分で読めます






バスケに懸ける

男たちがいる…



『SLAM DUNK』は井上雄彦によるバスケット漫画。
週刊少年ジャンプにて1990年~1996年に掲載された。コミックスは全31巻。後に完全版も発売された。

【概要】

当時はまだマスコミなどの扱いも小さかった日本のバスケットボールの発展に貢献した超人気作。
日本においてバスケットを一躍メジャースポーツにした立役者でもあり、連載終了から25年以上を経た現在でもバスケットをやっていて知らない者はいないと言われる程の知名度を誇る。

ジャンプスポーツ漫画お得意のトンデモ必殺技などを殆ど用いず、「綿密かつリアルに描かれたシナリオ」「迫力のある画」「スポーツに限らず競技の経験者なら共感できる心理描写」「練習の楽しさや上達のうれしさ」「勝利だけを目的としたしたたかな戦術の応酬」「友情とは違った形で描かれるチームメイトとの信頼関係」といった要素がが大ヒットし、
「バスケット漫画はコケる」という編集の評価をはねのけ、日本を代表する名作へとなり、プロ選手にも愛読者が多くいる。
日本どころかその国外でもその人気は高く、特に中国では絶大な影響力を持つ。
本作のヒットでバスケット人口が増えたのだが、日本バスケット協会は「ミーハーが増えただけ」と冷ややかな目で見ていたのに対し、
中国のバスケット協会はスラムダンク人気に便乗して普及を推し進め、同国が日本を抜いてアジア最強の座に就く原動力としたのである。
韓国でもカーリングの選手、金恩貞(女性)のあだ名「メガネ先輩」の由来になるなど、同作の影響は現在も非常に濃く残り続けている。ヤワラちゃんよりは似てる
かつて井上は「スラムダンクに影響を受けてプロになる人が出てくれたら嬉しい」という趣旨のことを言っていたが、日本人のみならず外国にすらそんな人が出てしまうほどの作品となった。

ジャンプ歴代で4作品しか達成していない巻頭カラーでの終了*1、初版部数歴代1位達成*2と、日本を代表する漫画作品としての金字塔も樹立している。
そして最終回で表紙を飾った作品は、現在のところ本作と『こち亀』だけ。あの『ドラゴンボール』でさえ巻頭カラーはもらえたが、表紙には出られなかったのだ*3
その最終話の画の迫力だけで鬼気迫る攻防を描いたサイレント演出に対しての幕切れのあっけなさなどもあり、バスケはおろか「スポーツ漫画の金字塔」として現在も語られ続ける不朽の傑作。
この作品が影響を与えた漫画家も非常に多く、公言されているだけでも村田雄介(アイシールド21)、濱田浩輔(はねバド!)、川田(火ノ丸相撲)、野田サトル(ゴールデンカムイ)、小山宙哉(宇宙兄弟)など枚挙にいとまがない。

また、現在も連綿と発売されている、大判印刷・カラー再現といったいわゆる「完全版」を週刊少年ジャンプの中で初めて出した作品でもあり、こちらの発行部数は未だにトップである。


外伝やスピンオフといったものが一切ないまま四半世紀もの時間が過ぎてなお非常に人気の高い傑作で、現在でもアニメのオープニングシーンで使われた踏切への聖地巡礼が絶えない。
そして26年ぶりの新作となる2022年の映画「THE FIRST SLAM DUNK」は、当初こそ声優の交代などをはじめとした要素から「賛否両論」とされたが、久々に来たスラムダンクの公式供給ということも手伝ってファンからの評価は高いものだった。
実際に見た人の感想はおおむね高く、「劇場版をディスっているように見えてよく見たら1994~5年の方だった*4」という回りくどい持ち上げ方をする人もいるほど。
先述した中国や韓国でも大ヒットした。

そしてこの漫画の特異なところは「非オタクの一般人や芸能人にも熱烈なファンが多い」というところで、
よほどコアな愛し方をしていない限り「スラムダンクが大好き」程度ではオタクとはみなされない。
こういう作品なので、ぽろっと出てしまったセリフを会社の上司が拾ったりするということも割と起こる。

「まだ慌てるような時間じゃない…」
「その試合は仙道負けてるぞ」


もちろん難点もある。例えば「トンデモ必殺技がない」ということはキャラの個性化が非常に難しいということでもあり、試合運びがどうしても似通ってしまう。そのため「似た試合が多くてつまらない」と評価する人もいる。
スポーツマンとしての面を非常に強く描くため登場人物が良くも悪くもみんな性格がシビアで、「このキャラがどうしても好きになれない」という意見も決して少なくない。
また、連載当時に本誌で追っていた人に多い意見が「試合の進みが遅い」というもの。「いつまでヤマオー続くんだよ」とうんざりする人が割と多かったという*5
後のバスケ作品がスラムダンクと比べられ、特に好きな作品がスラダン信者に不当な評価を受けたせいで「オッサンオバサンが聖域化させてる昔の漫画」と嫌う、なんてこともまったく珍しくない。
この辺は単なる好き嫌いの問題や当時の感想なので、別に嫌いなあなたの感性がおかしいわけではない。実際「合わない人にはまったく合わない」というのは当時から言われていたことである。

ただ、もしこれを読んでいるアニヲタが食わず嫌いだったらぜひ読んでみてほしい。そして現在もなおバスケ漫画の傑作と呼ばれる所以を味わってもらいたい。
三井が仲間になるあたりは作品的にも大きなターニングポイントであり、そこから一気にバスケ漫画として面白くなってくる。だいたい海南戦あたりから「早く次の巻が読みたい!」という気分が抑えきれなくなるはず。
そしてこの漫画を読んだ後、他のバスケ漫画も読んでみよう。きっとその作者が偉大な先駆者との違いを作り出そうと腐心する跡が見て取れるはずだ。


アニメ版

TVアニメ版は1993年10月16日~1996年3月23日にかけてテレビ朝日系列で放送された。全101話。制作は東映動画(現・東映アニメーション)。基本的な放送時間(スペシャルなどを除く)は土曜日19:00-20:00*6

アニメ放送時には劇場版も4作制作され、東映アニメフェア内で公開。更に2022年には井上雄彦が監督・脚本を務めた新作映画が公開された。
SLAM DUNK 1994年3月12日公開
SLAM DUNK 全国制覇だ!桜木花道 1994年7月9日公開
SLAM DUNK 湘北最大の危機!燃えろ桜木花道 1995年3月4日公開
SLAM DUNK 吠えろバスケットマン魂!!花道と流川の熱き夏 1995年7月15日公開
THE FIRST SLAM DUNK 2022年12月3日公開


【あらすじ】

中学時代、50人の女性に振られた不良・桜木花道。
そんな桜木は高校で赤木晴子に一目惚れ。
晴子に近づくため、誘われるままバスケ部に入部した桜木は徐々にバスケットボールそのものに夢中になっていく…。


物語は

バスケ入部

陵南

三井

神奈川県予選

決勝リーグ

全国大会

と進んでいく。

徹頭徹尾バスケしかしておらず、主人公チームである湘北高校のスターティングファイブのうち過去が描写されたのは3人のみ。
それも1人は「父親が昔倒れた」という思い出話だけが断片的に語られるのみで、その父親がどうなったかさえ描写されない。
あとの2人はそもそも過去回想すらほぼ存在しないという、最近の漫画と比するとかなり異色の構成。


【登場人物】

※CVはTV版/THE FIRST SLAM DUNKの順。

湘北高校


下記以外の湘北高校の人物は↑の湘北高校の該当項目を参照。

主要人物
CV:草尾毅木村昴
主人公で高校1年生。不良だったが次第にバスケの面白さに目覚めていく。
詳細は該当項目を参照。

CV:緑川光/神尾晋一郎
もう一人の主人公で主人公『桜木花道』のライバル。
高校1年生ながらチームのエースを務める実力者
詳細は該当項目を参照。

CV:梁田清之三宅健太
湘北高校バスケ部主将(キャプテン)を務める高校3年生。
ポジションはセンター(C)で、桜木軍団や読者からの愛称は『ゴリ』
身長197㎝の巨体を生かしたパワープレイが得意。
詳細は該当項目を参照。

CV:塩屋翼/仲村宗悟
2年生のポイントガード(PG)で、
体は小柄だがバスケの技術とスピードは一流。
詳細は該当項目を参照。

CV:置鮎龍太郎/笠間淳
3年生のシューティングカード(SG)で
中学時代MVPを獲る程の名選手だったのだが…。
詳細は該当項目を参照。

CV:田中秀幸/岩崎諒太
湘北高校バスケ部所属で副主将を務める3年生で
桜木軍団や読者からの愛称は『メガネ君
ポジションはガードとフォワードを兼任し、
不良である桜木に対しても真摯に付き合うナイスガイ。
詳細は該当項目を参照。

CV:平松晶子/坂本真綾
ゴリの妹で花道の想い人の湘北1年生。しかし、本人は流川に惚れている。
不良の花道たちにも分け隔てなく接する天然ボケ優しい性格。松井と藤井という友人がいる。
詳細は該当項目を参照。

CV:西村知道/宝亀克寿
湘北バスケ部監督で、非常に穏やかな壮年男性。
見た目は肥満体系の穏やかな壮年男性だが、
選手からの信頼も非常に厚い名将。
詳細は該当項目を参照。

陵南高校

全国大会出場経験は過去一度もないが、神奈川県内ではベスト4と強豪の域に入るライバル校。

下記3人以外の陵南高校の人物は↑の陵南高校の該当項目を参照。

CV:大塚芳忠
神奈川県内ベスト4の強豪校である陵南高校の2年生でエース。
時間にルーズで、怒った田岡監督の毒気すら抜いてしまうほどマイペースだが、コート上では県内屈指の実力とリーダーシップを発揮する天才。『神奈川ベスト5』の一人。
詳細は該当項目を参照。

CV:岸野幸正
陵南高校バスケ部主将を務める3年生で、通称『ビッグ・ジュン
赤木のライバル的なキャラクター。身長2m越えの巨体が武器。
身体能力は赤木と同格であるが、メンタル面にはやや難がある。
詳細は該当項目を参照。

CV:緑川光
陵南高校バスケ部副主将で、ディフェンスに定評がある3年の池上。
詳細は該当項目を参照。


海南大附属高校

神奈川県内では『16年連続インターハイ出場』の実績を誇る、県内ではズバ抜けた強さを誇る強豪校。神奈川県インターハイ予選リーグで湘北と対戦した。

牧と神以外の海南大附属高校の人物は↑の海南大附属高校の該当項目を参照。

CV:江川央生
神奈川16連覇中の王者、海南大付属のキャプテン。神奈川No.1のプレイヤー。
赤木を上回るパワー、宮城を上回るスピード、仙道のディフェンスを突破するドリブル、土壇場のリーダーシップをあわせ持つ高校生とは思えない冷静な選手だが、高校生とは思えない老け顔を指摘するのはタブー。『神奈川ベスト5』の一人。
詳細は該当項目を参照。

CV:神奈延年(本名及び旧名は林延年)
海南大附属高校の2年生。神奈川県の一試合最多平均得点を持つ3Pシューター。
もともとはセンターだったが監督に身体能力の物足りなさを指摘され、SGにコンバートした。3Pラインのさらに遠距離からでもシュートを決めるほどの正確さを誇る作中最高クラスのシューター。
『神奈川ベスト5』の一人。
詳細は該当項目を参照。



翔陽高校

神奈川県内では海南大附属高校に次ぐ強豪校で、スタメン4人が190㎝越えという大型チーム。
ベンチに入れない部員も多数存在する程の選手層を誇る。

藤真以外の翔陽高校の人物は↑の翔陽高校の個別項目を参照。

CV:辻谷耕史
県内2位の強豪、翔陽の3年で、監督兼キャプテン。
牧に匹敵する実力を秘めたPGだが、監督として指示を出す必要があるため試合開始からコートに立てないでいる。
シュートのタイミングにクセがあり、ジャンプシュートというよりジャンピングシュートに近い打ち方をする。
詳細は該当項目を参照。



山王工業高校

高校バスケ界の王者と呼ばれる作中最強高校。
その実力は神奈川県内最強である海南大附属高校に30点差という大差で圧勝した程。
スラムダンクの事実上のラスボス校。
河田雅史と沢北以外の人物は↑の山王工業高校の項目を参照。

CV:かぬか光明(THE FIRST SLAM DUNK)
山王3年生で日本の頂点に立つC。赤木を遥かに上回るCをこなすだけでなくPFやSFもこなせる万能選手。桜木からのあだ名は『丸ゴリ』。
悪人みたいな顔に似合わずスポーツマン気質で、あらゆる面において優れた山王編における最大の敵として描かれる。
作中での描写量が多いせいで結構間違えやすいが、キャプテンではない。
詳細は該当項目を参照。


CV:武内駿輔(THE FIRST SLAM DUNK)
山王2年生でエース。南曰く、日本でNo.1のプレイヤー。バスケ狂の父親に幼少期から英才教育を施され、自信家の仙道でさえ「1on1では負けるかもしれない」と評した今作最強の敵。北沢ではない。
流川さえかなわない卓越した技量の持ち主だが、精神的なムラがある。北沢ではない。
詳細は該当項目を参照。



・豊玉高校


インターハイ常連の大阪府の強豪校で、湘北高校がインターハイ初戦で対戦した学校。
バスケの実力は確かだが、ガラが悪く、相手校に対しても数多くのヤジや暴言を飛ばし、
試合でもラフプレーが多い等、観戦マナーやクリーンさにはかなり問題があるチーム。

  • 南烈
大阪の古豪、豊玉のエース。
相手チームのエースにファウルに見せかけヒジを当てる『エースキラー』。実家は薬屋。

  • 岸本実里
CV:田中一成
豊玉3年生。南とともにチームの中核をなすPFだが、敵チームに暴言を吐いたり挑発的なパフォーマンスをするなど作中一のDQN。




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最終更新:2024年03月07日 06:00

*1 他の3作品は『リングにかけろ』と『ドラゴンボール』と『こちら葛飾区亀有公園前派出所』。

*2 現在は作品単位で2位。

*3 尤も、これは編集部からは続きを打診されていたが、「あれ以上の試合は書けない」と山王戦後に井上氏が連載を終わらせる事を決意し強行した為。雑誌掲載時に書かれた『第1部 完』は、現在でも当時の読者の語り草である。

*4 原作で省かれた練習試合などを劇場版にしてしまうためどうしても盛り上がりに欠ける。

*5 後の「バカボンド本当に終わるのか?」に通じる感想だが、さらに連載当時は「山王戦は通過点、インターハイ決勝まで連載するのだろう」と思われていたという世相もある。

*6 ABCテレビでは同時刻に『新部長刑事アーバンポリス24』が組まれており同日の17:00-17:30に先行放送。