郷秀樹

登録日:2012/01/24(火) 07:11:43
更新日:2024/12/29 Sun 19:18:48
所要時間:約 6 分で読めます






子供を愛し、生き物の全ての命を愛し
人を助けるためには
自分の命をも投げ出した青年、郷秀樹。

今、郷青年の命は
風に揺れる蝋燭の火のように
消え去ろうとしている。


郷、頑張れ!死ぬな!郷よ!




「ご臨終です……」



























―――郷秀樹。

私は君の勇敢な行動を見た。

自分の危険も省みず、
子供を助けようとした君に感動した。


私は、このままの姿では
地球上に留まる事が出来ない。

だから君に命を預ける。

一緒に地球の平和と人類の自由の為に
頑張ろうではないか!―――






郷秀樹とは、特撮テレビドラマ『帰ってきたウルトラマン』の主人公。
演:団次郎(後に団時朗へと改名)

いわゆる「新御三家」の郷ひろみ氏、及び西城秀樹氏と名前が似通っているが、彼らのデビューは『帰ってきたウルトラマン』の1年後である。
メインライターの上原正三氏曰く「郷は“地球に密着したふるさと”、秀樹は“秀でた樹が育つ”というイメージで命名した」とのこと。


【人物概要】

元々は東京に上京して坂田自動車修理工場で働きながら、カーレーサーを目指していた青年。
第1話で茹で蛸とワカメの戦いによって巻き込まれた少年と子犬を守って死んでしまう。

しかし、その勇気のある行動を観ていたウルトラマンジャックが合体したことで蘇生し、加藤隊長の誘いもあってMATに入隊する。

普段は一人暮らしだが、以前から親交の深い坂田兄弟からは精神面で支えられており、長男の坂田健は良き助言をする人格者で郷にとって兄同然の存在。
長女のアキは恋人であり、多忙な郷に寂しさを覚えながらも、健気に愛情を注いでいる。
そして次男で小学生の次郎からは憧れの存在となっている。

プライベートではギターを弾いたり、好物のおはぎを食べる姿も見せている。ちなみに、どちらもアキ関連で描かれている。

家族に関しては、父親を13歳の時に亡くし、第1話での回想内で語られた母親も亡くしたことが、第33話で語られている。

MAT隊員としては元々運動神経が良い上、ウルトラマンとなったことで身体能力が底上げされていたり、
テレパシーの使用、怪獣出現を察知、一部の宇宙人の変身を見破るなど高い実力を持つ。

ただし、郷が人間として努力した上で絶体絶命のピンチになって、ようやくウルトラマンに変身できる。
ただ、話を追うごとに別個に存在した郷とジャックの意識がだんだんと同調したせいか、中盤辺りからはブラックキング戦のような場合を除けば普通に変身が可能。

しかし、序盤はウルトラマンの力に溺れチームワークを乱したり、爆弾の操作を誤ってしまったりするなどで他の隊員達と対立したりした。

それでも、仲間を救出に向かったり、MAT解散の危機に共に立ち向かったことで、信頼を築いていき、郷自身精神的成長を遂げていった。

だが、「ウルトラマン夕陽に死す」で坂田健とアキがナックル星人に殺されてしまい精神を乱されて倒される。
初代ウルトラマンセブンの助けもあってナックル星人達を倒せたが深く心に傷を負った。

以後、郷のマンションの隣に住んでいる村野ルミ子と知り合い、次郎の世話をしてもらったりする。

最終回ではゼットンとバット星連合部隊による、「ウルトラ抹殺計画」が発動され、MATがほぼ壊滅してしまう。
何とか地球に襲来したバット星人とゼットンを倒したが、故郷であるM78星雲(ジャックとほとんど一体化している)を守るために、
次郎に「ウルトラ5つの誓い」を伝え、地球を去った(MATでは戦死扱いになっていることが次作『ウルトラマンA』で明らかになっている)。

本作の原型となる『続ウルトラマン』の段階では30年後に地球に帰還したウルトラマンと一体化するバン・ヒデキ(晩日出輝)という名前だった。
当初は、ウルトラマンの正体が誰かを明らかにせず、第3話でバンがウルトラマンと出会い、ベーターカプセルを受け取るという展開になっていた。
その後、初代とは切り離された企画書「帰った来たウルトラマン」でもこの名前が使われている。


【他作品での活躍】

●『ウルトラマンタロウ

第33話「ウルトラの国大爆発5秒前!」
第34話「ウルトラ6兄弟最後の日!」
ウルトラマンタロウこと東光太郎に招待されて、郷の姿を披露。
極悪宇宙人テンペラー星人との戦いでは、隠密活動のために南原隊員やバレーボール部員の身体を借りたりもした。
自立の為、テンペラー星人と1人で戦うことになったタロウの身を幾度となく案じるが、
テンペラー星人を倒して増長したタロウに「自分の力を過信すると痛い目に遭う」と、かつての経験から忠告する姿も見せた。

第52話「ウルトラの命を盗め!」
泥棒怪獣ドロボンと戦うも敗北。
ドロボンを追って、地球に降り立った際、郷の姿となり、光太郎と再会。自身のカラータイマーを使っての捨て身の作戦でドロボンを倒す。

余談だが、この回で宇宙戦争が起きていることが語られた為、次作『ウルトラマンレオ』で「ウルトラ兄弟が変身不能になったセブンを助けに行かなかったのは、宇宙戦争を終結させるほうに力を注いでいたからではないか?」という考察も見られる。
もしくは、本作第33話でのダンの「ゾフィーのことなんかいいよ」に怒ったゾフィー兄さんが援軍を出さなかったという噂もあるが
もしそうなら、戦士としては未熟とはいえ、ウルトラマンであることに変わりない、レオが地球防衛に就いてくれたのは、本当に幸運だったと言える。

●『ウルトラマンレオ

第34話「ウルトラ兄弟永遠の誓い」
地球にいるモロボシ・ダン怪獣ボールを届けようとするが、二面凶悪怪獣アシュランに襲われ、
特殊な仮面を付けられて言葉を封じられた上、怪獣ボールの怪獣反応が災いして、MACに連行された上、肝心の怪獣ボールも紛失してしまう。
セブンに届けに行ったのは自身がかつてセブンにウルトラブレスレットを貰った恩義があるためと思われる。
踏んだり蹴ったりではあったが、怪獣ボールを回収し、ダンに渡すことが出来た後、ダンのウルトラ念力で仮面を外してもらう。
アシュランとの決戦ではレオに加勢して勝利。ウルトラアイ修復も兼ねて、ウルトラの星に帰還した。
ちなみに、仮面着用時に筆談という方法を取っていれば、もっとスムーズにいったであろう。
着ていたシャツはタロウでハヤタが着ていたものであり、団時朗氏がタロウの時より太っていた為、黒部進氏のサイズしか入らなかったという説がある。

●『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟

ヤプール封印のためにエネルギーを使い果たし、兄弟達と20年間人間として暮らしていた。
その間は神戸市内のサーキットでレーサーを目指す少年達を指導しており、封印を監視していた。

●『ウルトラマンメビウス

第45話「デスレムのたくらみ」第50話「心からの言葉」
人々に非難されて苦悩するミライにかつての自分の経験から助言を与える。
また、暗黒四天王・デスレムとの再戦ではGUYSを助ける為に変身し、帰ってきた。
エンペラ星人との決戦では、兄弟と共に、GUYSにメッセージを送った。

◆『大決戦!超ウルトラ8兄弟

坂田モータースという自動車整備工場を経営しており、坂田アキとも結婚し、一人娘のメグももうけた。
レーシングカー、流星一号の開発を目指している。
ミライからは「ジャック兄さん」だけでなく、「新マン兄さん」や「帰りマン兄さん」とも呼ばれた。

●『ウルトラマンサーガ

光の国でウルトラ兄弟が会話するシーンで登場。
その際、ジャックから郷の姿へ変わる。

●『ウルトラマンA(番外)

第10話「決戦! エース対郷秀樹」にて登場。ヤプールの手下のアンチラ星人が郷秀樹の偽者に化けて登場。演じたのは団次郎で、当初は次郎など完全に騙すほど真に迫っていた。偽ウルトラマンはシリーズを通してかなり登場しているが*1、人間体に化けたというのはシリーズ初。なお、この回には本物の郷秀樹や帰ってきたウルトラマンは登場していない。


【主な台詞】


「待て、女じゃ無理だよ」

「誰かが俺を呼んでいる」

「そうだったのか…一度死んだ人間が生き返るなんて、俺も不思議に思っていたんだ」

「俺はウルトラマン…俺の使命は人類の自由と幸福を脅かすあらゆる敵と戦うこと……!」

ウルトラマンが勝てないのなら俺が勝ってやる」

「宇宙に怪獣が!?」

「勝ったぞ」

「勝手なことを言うな。怪獣をおびき出したのはあんた達だ」

「彼は地球にさよならが言いたいんだ」

「人間の尺度で測っちゃいけませんよ。何しろ自然は偉大ですからね」

「俺にとってギリギリの賭けだった…」

「まさかあの二人アベックってことないよなぁ」

「君ぐらいの年齢になれば、死んだ人が生きている人に話しかけるなんて信じちゃいけない」

「次郎くん、君のお兄さんは死んだんだよ」

「兄さんになろうなんて、間違ってた」

「一番いい友達になる」

「僕の体温で茹で蛸になってますよ」

「頑張り怪獣ヤッタルデーとかさ」

「戦うだけの目的では俺はウルトラマンになれない」

「隊長、行かせて下さい、ゼットンを倒さぬ限り地球の平和、いや全宇宙の平和は来ないでしょう。この戦いが奴を倒す最後のチャンスなんです!」

「隊長、お元気で…南隊員…岸田隊員…丘隊員…上野隊員……」

「旅に出るんです」

ウルトラ5つの誓いを言ってみろ」

「言いたくなければそれでいい。だが次郎、大きくなったらMATに入れ。MATの隊員達は皆勇気ある立派な人達だ。君も嫌な物、許せない者と戦える勇気有る男になると良い」

「これから帰ります…グッバイ、次郎」

「俺達腹ペコなんだよ」

「俺達兄弟は戦い続けてきた。この星は守るに値する星だと信じて。この星の未来は今、お前とこの星に生きる人間に託されている」


【余談】

郷秀樹を演じた団時朗氏は米軍人男性(イギリス系アメリカ人)と日本人女性のハーフのためか、身長187cmと歴代ウルトラ主演俳優屈指の高身長*2で、元々はその体形を活かしてファッションモデルや歌手として活動していた。
劇中で郷はよく屈んでいたりやや猫背気味なのは余りにも背が高いため、普通に撮影すると主人公なのにフレームアウトしてしまうから*3
MATの集合スチールでも普通に撮影すると一人だけ見切れてしまうので、最前列で大きく足を広げ、下半身を隠す形で撮影する必要があったという。

また、団氏は撮影の途中まで前のウルトラマン=初代ウルトラマンと同じと思っていた他、
後付けで命名された「ウルトラマンジャック」という名前についても、京本政樹氏との対談の中で「後から付けられてもピンとこない」とコメントした事も。

団氏は2023年に74歳で世を去ったが、この際円谷プロはお悔やみのコメントと共に「ウルトラの星へと旅立たれた団さんを追悼し」という粋な言葉を添えて最終話『ウルトラ五つの誓い』の期間限定無料配信の告知を行なった。




それで良いんだ、メビウス。


人間を愛するには
人間を知らなければいけない。


人間の強さも、弱さも、
美しさも、醜さも、
その両方を知らなければ
お前はこの星を愛することは出来ない。



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最終更新:2024年12月29日 19:18

*1 この時点でも初代とセブンでは登場している

*2 いちばん高いのは『ギンガ』の根岸拓哉氏で団氏を僅かに上回る188cm

*3 一般隊員3人の演者が174cm、隊長役の2人が塚本氏170cm・根上氏171cm。団氏は彼らより10cm以上高いのである。