ストリートダンス

登録日:2015/11/12 (木) 22:46:26
更新日:2024/04/05 Fri 18:37:24
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ストリートダンスとは主に路上で行われる舞踊全般の総称。





…であるが、現在では「20世紀後半以降に生まれたポピュラーミュージックで踊るダンス全般」を指している事が殆どのため、当項目ではそちらを紹介する。



概要・歴史

日本で「ストリートダンス」と呼ばれているものの殆どはアメリカ発祥で、その多くが都市部の黒人居住地区で行われているブロックパーティーやいわゆるディスコ、クラブなどで生まれてきた。
日本で初めて「ストリートダンス」が認知されたのは1983年の映画『フラッシュダンス』。この映画の中で路上で踊る黒人ダンサーがほんの数秒だけ出てくるが、そのほんの僅かなシーンから日本のストリートダンスシーンが始まったと言われている。
翌年1984年にはブレイクダンスをテーマにした「ブレイクダンス(原題:Breakin')」が上映され、日本だけでは無く世界的に広まっていく。

多少の流行り廃りはあるものの、現在では多くの国際大会が開かれるなど世界中で親しまれている。




種類

一般にストリートダンスとされているものは以下の通り。
但し、新しいスタイルが生まれては既存のジャンルに吸収されたり、逆に既存のジャンルの中から独立したものなどが含まれるため、主だったもののみ記述する。
また、当然の事ながら文章で伝えるのは限界があるので、各自Youtubeなどで動画検索をしながら見ていただけると楽しいだろう。


オールドスクール

主に60年代末から80年半ば頃までに成立したジャンルを指す。

Lockin'/ロッキン/ロック

耳で聞いただけでは勘違いされがちだが『R』ockでは無く『L』ock。
くるくると円を描くような腕の軌道とカチッと止まる動きから「鍵をかける」という意味の『Lock』と名づけられた。
ファンキーかつコミカルな動きが多く、動きの一つ一つに名前が付いているためダンス初心者から玄人まで根強い人気を持つ。
好んで使用される音楽はファンク。特に軽快なものが好まれるが、比較的スローなテンポの曲をファンキーに踊れると玄人感が増す。


成立は60年代末~70年にかけてくらい。
ロサンゼルスのダンサー、ドン・キャンベルロックがこのジャンルの創始者として知られているが実は彼、あまりダンスが上手く無いのである。

当時流行っていたファンキーチキンという踊りを踊ろうとした際に、本来肘を曲げた腕を羽ばたく鳥のように開閉すべきところを(簡単に言うとゆってぃーのワカチコワカチコに脚も加えたヤツ)、逆に脇を締めた状態から開閉するというまるっきり逆の動きをしていたり、みんながバンバン即興で踊っている中、彼だけちょっと踊っては止まり振りをいちいち頭で考えながら踊っていたりと、お世辞にも周りより秀でているという訳では無かった。
しかしそれを見た仲間が、彼のその動きを「面白い」と思って真似していくうちにLockin'が出来上がっていったらしい。

同時期に生まれた、手足をのようにしならせて振るうWaacking(ワッキング)や、手足をヌンチャクのように振るうWrecking(レッキング)なども使い手が被っていたりする。


実は日本には馴染み深いダンスのひとつで、日本人チームで初めて世界大会準優勝を果たした「JAP」の坂見誠二の得意とするジャンル。
そしてその坂見氏が振付師をしていたのが、かのジャニーズ。この為ジャニーズでは昔からロッキンが取り入れられおり、何気に中居正広が得意としていて時折キレッキレのダンスを見せてくれる。さすがリ-ダー、ただの喧しい音痴じゃなかった。
またドン・キャンベルロックのチーム「ザ・ロッカーズ」のメンバー、トニー・ゴーゴーが日本人女性と結婚。その息子二人もロックダンスチーム「GoGo Brothers」を結成し、UK B-Boy Chanpionshipという大会のロック部門で世界一を獲っている。

ちなみにアニメ版アイドルマスターシンデレラガールズ2話において工藤忍・綾瀬穂乃香・喜多見柚・桃井あずきのユニット「フリルドスクエア」がロックダンスと思われるダンスを踊っているシーンが一瞬だけ映る。





Poppin'/ポッピン/ポップ

Pop=弾けるの名前の通り、筋肉を弾くように収縮させる動きを基礎としている。このオーソドックスなポップスタイルをベースとして

体のの関節をぐりんぐりんと連続的に動かす「ブガルースタイル」。
ロボットのように動くお馴染み「ロボットダンス
古い特撮のコマ送りの真似など非人間的な動きを突き詰める「アニメーション

など、多くのスタイルが存在するのも特徴的。


使われる音楽はロックと同じくファンクだが、ロックよりは重心の低くくてビートのハッキリしたものが好まれる傾向がある。元々コミカルな動きが多いせいか古いテクノやPファンクのようなチープな電子音とも相性がいい。但しアニメーションに関してはわざと踊りにくそうな曲を選んで非人間的な感じを演出する場合がある。


成立は1975年頃、エレクトリック・ブガルーズのブガルー・サムによって作られた。
実はこのお方は、あのマイケル・ジャクソンにもダンスを教えた超ビッグネームであり、彼の代名詞「ムーンウォーク」も元々はポップの技のひとつ。


数あるスタイルのうち、アニメーションは2000年代以降に再発展を遂げた為、後述のニュースクールに含まれたりもする。





Breakin'/ブレイキン/ブレイクダンス

言わずと知れたストリートダンスの花形。どのくらいかと言うと「ダンスやってます」って言ったら「ブレイクダンス?」と聞かれるくらい。

ヒップホップ四大要素の一つで、かつてはフリースタイルラップと共にギャング同士の抗争の手段として用いられていた。

ジャマイカからニューヨークのブロンクスに移民してきたDJクールハークという人物が、パーティーの最中「曲の間奏部分で一番ダンスが盛り上がる」事に気づき、ターンテーブルを二つ並べて同じレコードを二つ揃えて間奏部分を交互に再生→巻き戻し→再生を繰り返す事で延々間奏部分を再生させる技法を編み出した。
それは「間奏、休憩=Break」から「ブレイクビーツ(Break beats)」と名付けられ、
ブレイクビーツで踊るダンスをブレイクダンス(Breakin')
ブレイクダンスを踊る人たちをB-Boyと呼ぶようになった。


ダンスを知らない人でもウインドミルやヘッドスピンを知っているほどに強烈なインパクトを持つ大技主体のダンス…に思われがちだが意外にそうでもない。

ブレイクダンスの技や動きは大きく分けて
立った状態で行われるステップ技「エントリー
フロアに屈んだ状態で行う素早い脚捌きの「フットワーク
跳んだり跳ねたり回ったり、ブレイクの花形「パワームーブ
特定のポーズでビシッと静止する「フリーズ
に大別される。

そして「パワームーブ」をメインで踊る人を『パワームーバー
逆に「フットワーク」中心でリズムとキメで魅せる『スタイラー
と区別されるが、基本的な部分は共通しているし、明確な基準は無い。


派手なパワームーブの印象が強いため「フィジカルエリートによる超人オリンピック」のように思われがちだが、重心の置き方と遠心力のコツさえ掴めば案外できちゃったりする。ナインティナインの岡村隆史があの細い体でブレイクダンスが出来るのもこの為。


発祥のアメリカはもちろんイギリスやフランス、お隣の韓国でも盛ん。
日本ももちろんブレイクダンスの盛んな国の一つであり、Spartanic Rockersや大和など世界大会で優勝したチームもいる。


ついでにアニヲタのブレイクダンサー集団「R.A.B」もいるようにアニソンとも相性がいい。
と言うよりブレイクダンスは、その踊りの特性上リズムに合わせる事が難しい&「キメ」の部分以外は合わせる事に無頓着なため、わりとどんな曲でも踊れてしまう。





ニュースクール

80年代半ば以降に生まれた比較的新しいダンスを指して言うが、人によって定義にブレがあるので注意。

ハウス

シカゴのゲイ・ディスコ「ウェアハウス」から生まれたとされるダンスミュージック「ハウス」で踊るダンス。やっぱ好きなんすね~
流れる様な足捌きでステップを踏むのが特徴的で、他のジャンルと比しても「踊る」事そのものに重点が置かれており、ダンスバトルの要素は薄い。そのためショーケースなど人に見せるにはある程度の技量がいる。

踊る音楽は当然ハウスミュージック。

日本人的にはTRFのメンバーSAMが有名。




ヒップホップ

名前の通りヒップホップで踊るダンス。
ヒップホップミュージックが発展していくにつれて従来のブレイクダンスでは踊りにくくなっていったため、様々なダンスを吸収していった結果ジャンル分け不可能なほどに自由度の高いダンスになった。

その時代その時代で流行のムーブ(振り付け)やスタイルが有り、90年頃には「ニュージャックスウィング」という軽快な足技主体のダンスが流行ったり、00年以降に流行った「ハーレムシェイク」「クランプ」「メンフィス・ジューキン」のようにアメリカの各地方で局所的に生まれたスタイルなど…種類が多くて網羅しきれない。
この他ジャズダンスを取り入れる人や、後述のハウス、レゲエダンスを取り入れたりするなど、とにかく自由度の高さが売りのダンスであるため、何をもってヒップホップダンスとするかは個人差が大きい。

定番はあっても定型が無いのがヒップホップダンスである。



以下有名なサブジャンル的なもの
ニュージャックスウィング…80年代末に名プロデューサー、テディ・ライリーによって生み出された音楽ジャンルであり、それに合わせて踊るダンス。軽快かつファンキーな足技が特徴的だが、現在では多くのムーブ(ランニングマンとか)がヒップホップダンスに組み込まれている。分かり易いところだとEXILEがニュージャックスウィングの影響を強く受けたスタイル(特に全体で踊るパート)。


ガールズヒップホップ…名前の通り女の子向けヒップホップダンス。単にガールズとも。
女性らしい曲線を意識したしなやかな動きが特徴的でジャズダンスなどからの影響も強い。ただし女の子がヒップホップを踊っているからガールズをやってるとは限らないので注意。


ハーレムシェイク(Harlem Shake)…肩を左右に激しく揺らす「シェイク」が特徴的なスタイル。ニューヨークのハーレム地区で80年代前半には生まれていた非常に古いダンススタイルであるが、本格的に知られるようになったのは2000年以降。
Youtubeなどで「ハーレムシェイク」と検索するとBaauerの「Harlem Shake」に合わせてバカ騒ぎする動画が多くヒットするが、これらはハーレムシェイクのパロディーで、そのバカバカしさから2013年頃に大きなブームとなったもの。


クランプ(Krump)…ロサンゼルスで最も治安の悪い地区サウスセントラル発祥のダンス。喧嘩の代わりにダンスで戦うという、ヒップホップの精神性を色濃く受け継いだ荒々しいスタイル。
足を踏みならすストンプ、ドンッ!と胸を突き出すチェストポップ、腕を振るアームスウィングなどとにかく攻撃的。
その特性上運動量が激しいためマッチョな兄貴達が多く、クランプのドキュメンタリー映画「RIZE」が公開された際には、あの筋トレ雑誌「ターザン」で特集が組まれて表紙も飾った。


メンフィス・ジューキン(Memphis Jookin)…名前のとおりメンフィスを中心としたアメリカ南部で誕生したスタイル。ルーツを辿れば80年代にまで遡るが、2000年代後半以降ヒップホップミュージックがスローになるにつれて、激しい踊りが合わなくなり注目を浴びるようになった。柔軟で滑らかな動きが特徴的でつま先立ちが多いのでバランス感覚と体幹の強さ、柔軟性が求められる。





レゲエ

みんな大好きレゲエダ ンス。小麦色の黒ギャルさん達がセクシーな格好で股を開きながらお尻を振り振り腰をグイグイするえっちなダンス。

という個人的な感想はさておき、2000年代以降のダンスホールレゲエブームに乗り日本でも有名になったダンス。前述のようなセクシーなのも元が求愛の踊りでもあるのでああいう振りなだけであり、もちろん男性レゲエダンサーも大勢いる。当然男性はセクシーな衣装も踊りも無く、どちらかと言えばイカつい動きで踊る。

体を激しく揺すったり腰をくねらせる動きなど見た目以上に体力がいるため、レゲエダンサーには結構筋肉質な人が多い。また、インパクト狙いで三点倒立やその辺の機材やらセットに登ったりする人も多い。

時折、「下品」だのなんだの言われついでに「日本人に向いてない」など言う人がいるが、青森から世界を制するダンサーになったJUNKOや世界大会で優勝した男性レゲエダンサーI-VANなど、向いてないという事は無い。全然無い。いいぞもっとやれ。






その他

ジャズダンス

ジャズダンス自体は古くからあり、ミュージカルからバックダンサーまで様々ところで踊られている。
最近ではストリートダンスからの影響を受けてストリートスタイルのジャズダンスも踊られているが、影響が広く浸透しすぎて微妙に影が薄い。


フリースタイル

ジャンルというよりも殆ど自称。
複数のダンススタイルを組み合わせたり、グループ内で分担したりしていたりと、名前の通り何でもありであるが、かつてあったダンス番組「少年チャンプル」で人気の出た「ひとりでできるもん」「琉球の風なの?」「プリンケツプリンケツ」「B.M.H?ばい菌持ってる鳩?」など、フリースタイルを名乗るダンサーやグループにはコント紛いのコミカルなダンサーが多い。



















ヲタ芸


お 待 た せ

アイドルや声優のコンサート・イベントなどでファン達が行う掛け声を含んだ踊りの一種。
元を辿れば1980年代ころに発生したアイドルの親衛隊の応援スタイルが、2000年代にハロプロ系のアイドルのライブなどで踊りが加わったもの。
最近では路上や公園でも踊る人も多く、今ではストリートダンスの一種かも?

元がコンサートなどにおいて集団で行われていただけあり、縦の動きが多く前後左右に動き回るような動きはあまり無い。
オールドスクール系のダンスのように技ひとつひとつに名前がついているため、初心者にも説明し易い。





アニメとストリートダンス

アイドルアニメ戦国時代とも言える昨今だが、「ブレイブビーツ」「トライブクルクル」など夕方の時間帯にはあるものの、みんな大好き深夜アニメ枠にはダンスメインのアニメは皆無と言っていい。
シンプルでもいいアイドル系のダンスと違い、体でリズムとグルーブ感を魅せるストリートダンスは作画にかかる労力が半端では無いのがネックになるので仕方ないのだが…



☆ストリートダンスをしているキャラクターの皆様

  • 「天上天下」の皆さん
ボンバヘッ!!

ストリートダンスとスケボーと恋愛映画が趣味のパッション乙女。

前述の通り、アニメ2話にて、レッスンルームで
ターン→左右に体を入れて→ナイフ→ロック→キック(スキーターラビット?)
と思われる動きをしている。

ダンスをしているわけではないが、我流のデタラメ剣術にはブレイクダンスを意識したような動きがある。







これから始めたい方へ

場所

多くのストリートダンサーを悩ませているのが場所について。
音を鳴らす以上周囲への配慮が必要で、場合によっては近所迷惑でむっちゃ怒られる。
自分の動きを見るために商業施設などの大きなガラスを鏡代わりにする人も多いが、営業時間内であれば中の人からの視線や警備員に注意される危険性があるし、夜ともなればお巡りさんとお話する羽目になる。

都市部在住ならダンススクールやクラブに通えば良いが、好きなときに踊れる訳では無くお金もかかる。
そして田舎民の場合、ボリュームさえ気をつければ勝手に踊る場所を見つけられるが、同士が少なくスクールやクラブも無いため上達には苦労する。

ある意味ストリートダンスをする上での最大の障害である。

※当たり前だがいくら踊りたいからといって周りの迷惑を考えない行為は厳に慎む事※
※禁止されていたり迷惑になるような場所・時間で踊らないように※



ぶっちゃけ何でもいい。自分の踊りたい・踊りたくなるような曲で踊ればいい。
ジャンルによって多少の向き不向きはあるため、動画サイトなどでそのジャンルのダンサーがどんな曲で踊っているか確認しておこう。

とは言え、好きな曲と好きなダンスのジャンルが合うとは限らないので、試しに全然違う曲で踊ってみると新しいダンスが生まれるかも知れない。「だんご大家族」でブレイクダンスした連中もいたしね!








追記・修正はAB-BOY PARKを目指す人にお願いします。

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最終更新:2024年04月05日 18:37