ドクター・オブラー/尾村豪

登録日:2016/01/23 (土) 20:24:25
更新日:2019/07/15 Mon 14:48:35
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あの時、子犬を助けようとした事……俺はどうかしてたのさ。

これは俺にとって唯一の恥ずべき過去の汚点!


超獣戦隊ライブマンの敵組織、武装頭脳軍ボルトの幹部にして元科学アカデミアの学生。

演:坂井徹 獣人オブラー時の声:森篤夫


【概要】

本名は尾村豪。

第1話にて月形剣史仙田ルイと共にボルトに寝返り、幹部の一人であるドクター・オブラーとなった。
他の二名と違って大教授ビアスに選ばれた天才ではなく、ビアスが二名に送った暗号と同じ問題の出題を懇願し、それを解いてボルトに入った経緯を持つ。
科学アカデミアではイエローライオン/大原丈の友人であり成績優秀者ではあったが、スペースアカデミア号での宇宙実験に期待を寄せる星博士に「僕達はもっともっと高度な科学を極めたいのだ!」と吐き捨てた。

学力的には末席の秀才でしかなく、ろくに泳げないなど体力的にも恵まれず、そのコンプレックスを克服すべく肉体強化に着手する。
まず手始めに口が裂けた禍々しい姿を披露すると、第3話にて自身が開発した頭脳獣ウイルスヅノーと獣化ウイルスにより「獣人オブラー」へと進化することでビアスに認められ、幹部の地位を手に入れる。


獣人オブラー


人間を乗り越え、人間以上の存在になるとは…

完全に人間を捨て去り、私のようになる事なのだ。

今、ドクター・オブラーは最高の頭脳と…最強の肉体を持つ生命体に進化したのだ!

ドクター・オブラーが獣化ウイルスで怪人に変身したもの。
戦闘時に美獣ケンプに変身するドクター・ケンプと違い、こちらは常にこの姿であり人間の姿になることはない。
声色も大きく変わり、野太くも知性を感じさせる雰囲気になっている。
口からビームを吐き、火炎放射器にもなる巨大な斧を駆使して戦う。
また再生能力も有しており、ライブラスターで撃たれた傷がすぐに塞がってしまうほど速い。


【性格】

豪は本来、他者を気遣う優しさを持っており、泳げないながらも溺れる子犬を助けるべく海へ飛び込んだりしたほどであった(この時は共に居合わせた丈の助けで事なきを得た)。
そんな豪の優しさを知る丈は獣化ウイルスによる自己実験で苦しむ彼を救おうとするが、当の豪は上記の子犬を助けた過去を「汚点」と切り捨てながら、丈の願いを踏みにじる形で獣人化を果たしてしまう。
当然この行為に丈は激怒し、「もう友達でも何でもねぇ!!」と涙ながらに一度は決別を宣言した。

豪は幼少時代からガチガチの教育ママである母・俊子に徹底した詰め込み教育を強要されながら育った。
年少の段階で中学生と同じ席を並べるほどにまでなったものの、遊びを始めとする子供らしい生活を過ごせず、虚弱体質である点と併せて長年のコンプレックスになっていた。
実家には専用の実験室まであったが、恐らく勉強の手助けの名目で母に頼んで用意してもらい、そこで暇な時は虚弱体質解消のための研究でもしていたのだろう。
結果、豪はコンプレックスから脱却するため、そして母の期待に応えるために己の全てを投げ打って「天才」の栄誉を欲し、ビアスに寝返るにまで至ったのである。
ちなみに俊子は彼を天才だと信じて疑わず、息子の才能を伸ばすことこそが愛情だという過保護・過干渉な態度を崩さなかった。
そういった意味では、豪がオブラーと化した原因を作ってしまったのは彼女とも言えるのかも知れない。

そんなコンプレックスの反動からか、獣人オブラーに「悪魔変身」した後は人間の姿を維持しているケンプやドクター・マゼンダを中途半端と評するなど、他の幹部同様の傲慢さを見せていくようになる。

バイオテクノロジーの技術では他の追随を許さず、プライドの高いケンプですらもこの点は認めていた。
アカデミア時代も筋トレを勧めてきたレッドファルコン/天宮勇介に対し、彼の肉体を見下しながら自身のウイルス進化論を説いている。
ウイルスヅノーによる獣化ウイルス開発、ヒヒヅノーによる人間の猿人化などバイ・テクの類を活用した作戦の他、タイムヅノーによるタイムスリップ作戦などを手掛けてきた。
タイムヅノー敗北後はタイムスリップさせた恐竜を催眠装置とガードノイド・ガッシュが用いるギガファントムとの併用で巨大化、街中で暴れさせた。
だがドクター・アシュラの加入、そして度重なる失敗から次第にビアスの信用を失い、他の幹部にも見下されるようになっていく……。


【豪よ聞け! 母の声を…】

第19話では命をかけた作戦と称して自身の分身であるベンキョウヅノーを用いた洗脳教育作戦を遂行するも、心の奥底にあった「遊びたい」という感情が秘かにベンキョウヅノーにも反映されていた。
ベンキョウヅノーは激戦の際に吹っ飛ばされて、ジェットコースターに偶然飛び入り乗車。
そのまま任務を放棄し、遊園地のアトラクションで無邪気に遊びほうけてしまう。
本当は人間としての心を捨て切れていないことを勇介達に看破され、その上分身の作成に伴いウイルスの効果が薄れて肉体が人間に戻ってしまった。

チクショウ…とうとう俺のパワーも尽きてしまったのか!?

何言ってんだ!?
良かったじゃねぇか!人間に戻れたんだぞ!

黙れ……
黙れ! 黙れぇ!!

続く第20話ではとうとうビアスから完全に見限られ破門されてしまい、新たに登場したギルド星人ギルドスを含めた他の幹部からも見放されてしまう。
追い込まれた豪はギルドスの十字架剣とボフラー戦闘機を奪い、実家に帰郷。
子供の頃から使っていたという地下の実験室に篭もり、十字架剣のエネルギーを用いた研究によりオブラーに戻ったが、第21話冒頭でアシュラに拿捕され、頭脳獣オブラーヅノーの素体にされてしまう。

俊子は当初息子の帰省を呑気に喜んでいたものの、獣人と化した息子の姿を目の当たりにしたことでショックのあまり態度が急変。
豪の説得を頼みに来た勇介にも「もうあんな子は…私の子供ではありません…」と言い出す。
それでも勇介は豪がああなった元凶が彼女自身であること、豪を救えるのは母親である彼女しかいないことを必死に説明する。

科学アカデミアでも一番勉強していたのは豪だった…… それも貴女のために。
ボルトへ入ってからも頑張り続けたんです。でも…そのためにもうアイツは擦り切れようとしているんです。
精神的にも肉体的にも、もう限界に来ているんです!
助けてやってください!アイツにはお母さんの愛が必要なんです!

事態の深刻さを理解した俊子は態度を改め、涙を流しつつ勇介に連れられて豪の説得に向かう。

豪…… 豪!許して!母さんが悪かったわ!
もう天才になんかならなくていいのよ!
もう誰とも競争なんかしなくていい!一番になれなんて言わないから……!

その直後オブラーヅノーが俊子に襲い掛かるが、彼女の前には母を庇う息子の姿があった。
深手を負わされる豪だが、口からのビームでオブラーヅノーを退ける。

母さん……人間に戻りたい……!

涙ながらに必死で呼びかけた母の祈り、そして母の愛を思い出した息子の叫びが天に通じたのか、遂に豪は元の姿を取り戻す。

オブラーヅノーはライブマンに倒されるが、心身共に消耗しきっていた豪は記憶も感情も失ってしまっていた。
彼は花と戯れる蝶の群れに微笑みながら、母に連れられる形で表舞台から退場した。

この微笑みを見た時、勇介達は豪がいつの日か必ず、破壊された心を取り戻してくれる事を信じた。

豪の退場から間もなくボルトはチブチ星人ブッチーを新たに迎え、一大プロジェクト「ギガ計画」に着手することとなる。










【透明人間、豪の告白!!】

その後、豪は第41話にて数ヶ月ぶりの再登場を果たす。
廃人同然の状態から感情は回復したものの足の怪我のせいで車椅子生活を送り、記憶は戻らないままだった。
丈は夜道をバイクで疾走中、偶然その姿を見たことで再会を果たし、豪の姿に心配を隠せなかった様子を見せる。
丈を不審に思った豪は逃げ出すが、頭脳獣トウメイヅノーのビームを浴びて全裸にされながら透明人間となってしまい、その影響で記憶が復活。

これはケンプによるトウメイヅノーを用いた実験の結果であり、豪が被害にあったのも完全な偶然に過ぎなかった。
当のケンプは豪を透明人間に出来たことに満足したらしくトウメイヅノーと一緒にそのまま帰還、事の次第をビアスに報告したら「何故殺さなかった!?」と叱責され、更に水までかけられてしまう。
ビアスは豪の記憶が戻ることを恐れているらしく、幹部総動員での抹殺を命じるほどに豪に執着する。
これには(水をかけられるほど怒りを買ったのもあって)ケンプも呆然となり、ブッチーは首を傾げギルドスも彼の疑問に同意したほど(直後、ブッチーとギルドスもビアスに叱責されてしまう)。

記憶を取り戻した豪は罪悪感から自暴自棄になるが、ブラックバイソン/矢野鉄也とグリーンサイ/相川純一に励まされたこと、勇介達もビアスについて何か知っているから豪の抹殺指令が出たと睨んでいたこともあって、遂に自分の知るビアスの秘密を打ち明ける。

……実は、俺は…ビアスの恐るべき光景を見た事があるんだ!

実は豪はヅノーベースに来たばかりの頃に迷子になっており、その時に偶然ビアスの自室を発見してしまう。
室内に脳が収められた11個のカプセルと、空っぽの12個目のカプセルが設置され、機器を介してそこからビアスが何らかのエネルギー供給を受けている光景を覗き見てしまい、更にビアスと目が合ってしまったのである。

その後、丈達の奮戦により何とか命拾いするも、豪は姿を消した。丈にかけてもらったマフラーと、彼と共に写った写真を残して…。

『親友の大原君と 科学アカデミアにて』

豪……

丈… 豪がそれを置いていったって事は、豪も…お前との友情を忘れちゃいないんだよ。

姿を消してからまたもや再登場するまでの間、豪は独自にビアスを調査し、その過程で「ここ数十年の間に姿を消してしまった若き天才科学者達」の存在に気づくこととなる。

第46話では容態が回復したのか松葉杖で歩行する姿を見せる。
調査を続ける内に信仰に目覚めたらしく、クリスチャンとなり教会で祈りを捧げることで過去の贖罪をしている中、ボフラー戦闘機の襲撃に遭う。

教会は半壊したものの豪は無事であり、ケンプが作り出した頭脳獣バトルヅノーに敗北した丈を助け、毒島嵐に戻ったアシュラと再会する。
その直後ボフラー戦闘機による爆撃が再開され、丈達のいる教会も崩れだす。

「もうダメだ!」と絶望する豪だが、丈は彼に嵐のことを任せて勝ち目のない戦いに挑もうとする。

丈!
…やめろ。死にに行くようなモノだぞ。

バカ!罪のない人間がたくさん殺されてんだぞ!

でも……!あんな凄い奴等と、どう戦うというんだ!?

自分を引き留めようとする豪に、丈は微笑みながらこう諭す。

豪…やっぱりお前は頭が良すぎるんだな。
全てが見えすぎて……だから敵わないと思ってしまうんだ!

…心配すんなって。俺はいつだって根性だけで戦ってきた。そしていつも切り抜けてきたんだ。
頼むぞ……!

丈は単身ケンプとバトルヅノーに立ち向かうものの、受けた攻撃を自分の武器にするバトルヅノーには迂闊に攻撃できないばかりか、生身のままではなすすべなく打ちのめされてしまう。
その様子を陰から見守る豪は、自分の無力さを悔しく感じていた。

すまん、丈……
俺がもっと強くて、もっと勇気があれば……!!

その震える肩に手を掛けたのは、嵐だった。
二人のやり取りを一部始終見ていた嵐は奮起し、豪にずっと解けなかった計算の答えを尋ねる。
豪は不思議に思いながら答えるが、嵐はそれを聞くと満足そうに頷き、かつてボルトから追放した豪に穏やかな笑みを浮かべた。

豪よ、俺達妙な人生だったなぁ……

そうつぶやくと、嵐は落とし前をつけるべくバトルヅノーに立ち向かっていく。

嵐の命と引き換えにした攻撃でバトルヅノーを倒すことに成功するが、その壮絶な最期を見届けた豪とライブマンは深く嘆くのだった。

第47話ではマゼンダの夢を実体化する作戦に乱入する形で登場。
幽霊ヅノーを操って街を破壊するマゼンダの分身に、ビアスの目的は「千点頭脳」と認めた科学者の頭脳を12個集めることだと告げ、更に「このままでは脳が盗られる」と説得する。
千点頭脳にこだわるマゼンダは豪の説得を無視して自らライブマンを追い詰めるが、千点頭脳に達したことで脳の摘出に現れたガッシュに羽交い絞めにされる。
豪はその手を振り払ってマゼンダを逃がし、追撃のために向けられたガッシュガンから庇う*1など、彼女の更正を必死に願うが……。

マゼンダ、真人間に戻ってくれ!こんな俺の…せめてものメッセージだ……!

願い虚しくマゼンダは自分の脳を機械化、その行為がビアスの怒りを買って致命傷を負わされてしまう。
豪は十字架を握り締め、残酷な最期を迎えたマゼンダを弔いつつ号泣するのだった。


皮肉なことに、ボルトの中で落ちこぼれとなったために元の人間に戻り、最終的にボルト唯一の生存者となった豪。
数奇な運命を辿った尾村親子ではあったが、お互いに世間体やキャリアといった社会的ステータスに固執することなく、本来の優しさを表に出せれば違った人生を過ごせていただろう。
ボルト壊滅後、豪は自身の知識や技術を贖罪の意味も込めて、世の中に役立てているのかもしれない。



神様は追記・修正をお許しにはならなかったのですね…!

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