SAMON(空想科学大戦)

登録日:2016/04/05(火) 11:43:45
更新日:2023/12/13 Wed 17:38:29
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SAMONとは、漫画『空想科学大戦!』シリーズに登場する組織である。
Sience Attack Members Of Nippon(日本科学攻撃隊)の略称を有するため、地球防衛軍とかではなく自衛隊や警察に近い括りにあるのだろう。
ぶっちゃけて言えばウルトラシリーズに登場する科学特捜隊ウルトラ警備隊のパロディーである。

概要

富士山麓に本部を構え、レーダー網で日本各地の平和を監視している。
普段は自衛隊の互助に近いが、外敵等の出現により国家安泰がヤバくなったら出撃する。

……はずなのだが、3巻でモドキングに洗脳された超大企業「トラディショナル重工」のロボットが暴れ回っていた時には全く登場しなかった。
主な戦力は戦闘機で、陸上・海上の兵装は不明。自衛隊に任せとけってことなんだろうか?

主力部隊の制服は柿色で、女子はタイトスカート型。
普段は攻撃部隊隊長のアサハカ含め4人しか基地に居ない……と思いきや、4巻でマジで戦闘員はこの4人しかいなかったことが判明した。
つまりすっげ~~~ぇ閑職なのか、超絶エリートなのかどちらかと言うことであろう。決して、大勢のモブを描く手間を省いているとか言わない。
他にも非戦闘員は数多くいるが、全員組織名に見合った外見をしている。なぜか相撲部とかまであった。
アサハカの横暴がまかり通る非常に潤沢な予算はどこから来ているのだろうか。


変遷

  • 1巻
モドキング初の地球進行に対し、巨大怪獣による攻撃から国土と国民を守るべく奮闘。
アサハカの無謀な作戦による被害拡大及び自滅、そしてウーターマン=ヒカガク・アソブによる環境破壊を巻き起こしながらも、どうにかモドキングを撤退にまで追い込んだ。
大方の予想通り、ここが全盛期である。

  • 2巻
1巻終盤のてんやわんやにより猫柳田は離職し、東京で喫茶店を始めることに。
第二次モドキング一味の侵攻はいずれも改造人間による小規模かつ迅速な災害・テロ行為であったため、全く為す術がなく、
モドキング一味の撒き散らしたカラーウイルス*1に対しても種子島宇宙センターに立てこもり有人ロケットで逃げようとする情けない行動に出た。
名目上は「非常事態対策のプロであるSAMONが生き残ってこそ感染拡大を防げる」と言っているが、本音ダダ漏れである。

  • 3巻
モドキング一味がトラディショナル重工に作らせたロボット相手に出番すら与えられず*2、冬の時代を過ごす。

  • 4巻
すっかり落ちぶれ、防衛軍(自衛隊は存在するので地球防衛軍的な組織があるんだろう)傘下に収まっていた。
ウーターマンのキャラクターグッズを(勿論ヒカガクには無許可で)売って糊口をしのぐほどに貧窮し、
ヒカガクやリフジンの帰還に伴い万能科学研究所と共にモドキング対策に移っている。

  • 最後の空想科学大戦!
ヒカガク、リフジン、モユルの三バカと猫柳田博士が正式に「ヒーロー課」として登用され、アサハカら旧派閥の人気はさらに下がっていった。


主要メンバー

アサハカ攻撃隊

  • アサハカ・ボケツ
SAMON攻撃部隊隊長。髭の剃り跡が長嶋茂雄並に濃いオッサン。
過度なまでに見栄っ張りかつロマンチストであり、いついかなる時も見てくれを重視し、全く内面に目を向けない困ったオヤジ。
教育用ビデオの「悪い見本役の人」なんかを想像していただきたい。
部下に対しても「饅頭でお茶とは何事か、カフェオレでクロワッサンにしろ」といちゃもんを付ける始末。
行動力及び探究心は小学生並で、思いついたら即実行する性格の持ち主。そのフットワークの軽さだけは目を見張るべきかもしれない。

目的のためには手段を選ばない面もあり、SAMONの手で怪獣を倒して称賛されるために昆虫怪獣・スモラを処分したと見せかけ飼育、
しかも絵面を優先して東京タワーで繭を作らせるという非道なマッチポンプを行った。
この件では猫柳田に「おバカの尻拭いは疲れる」と罵られ、部下からも正義の味方であることを疑問視されている。

本作は1巻で「200X年」と語られ、作中で2~3年が経過しているのだが、最終巻で
  • 脚の着いたテレビを見て「なんだこりゃテレビじゃねーか」と即座に反応する
  • 「アポロ計画(月着陸は1969年)なんてずっと先の話さ」と言いつつ子供時代を語る
といった描写がある他、昭和30年代を舞台にしたスピンオフ『Dr.猫柳田の科学的青春』に少年時代の彼が登場しているため、年齢は50歳前後と思われる。

若い頃は「純子」という美しい女性と交際していたのだが、金に目がくらんで新興財閥の娘(ブス)を選び破局。
そのブスの実家は破産し、子供は6人抱え……という、本人曰く「夢なきヌカミソ生活」を送る。
女房や子供との約束は頻繁に破っている。

前述のとおり『Dr.猫柳田の科学的青春』の第2集第7話にも登場。彼が現在の性格になった原点が語られた。
なぜか『鐘つき童子対海賊ドレッド』しか演じない紙芝居屋さんを当時悪ガキだった彼は冷やかしていたが、実はその紙芝居屋さんの大ファンだった。
紙芝居屋さんもそれに気付いており、最後の紙芝居を彼一人のために演じることを決める。

しかし、同話で「絶対に先が読めない紙芝居づくり」に失敗した若き日の猫柳田が、
「紙芝居にシールを飛ばして絵を変え、あとは紙芝居屋さんのアドリブに任せる」という作戦を独断で決行。
結果、「滝の裏から出撃する飛行機」「巨大ロボットの頭部に乗って戦う主人公・鐘つき童子」「音の速さを超えて飛び、鐘つき童子の助太刀に来た巨人」……
などなど、何処かで聞いたような要素満載の空想科学物語と化した。

この紙芝居に感激して「夢」を抱いたまま成長した結果、アサハカは現在の性格になったのである。つまり猫柳田が彼に苦労させられたのはある種自業自得。
ちなみに、この事実はアサハカ・猫柳田双方共に気付いていない様子。

  • ウルワシ・キレイ
SAMON攻撃部隊の紅一点。主に管制員を務める。
その名の通りの美貌の持ち主だが、風呂敷に包んだ弁当が部屋の奥まで臭うほど、料理がドへたくそ。
1巻では勤務中に飲酒した挙句、走行中の新幹線の天井に空いた屋根から乗務員を投げ落とすという暴挙に出たり、
ヒカガクの意図せぬ暴発によりボコボコにされてしまうハメになった。
ちなみにこの時、ヘルメットの中にゲロを吐いている。
ササヤキとは将棋友達だが、25連勝している。対局中に誤解を招くような声を発する癖があり、4巻ではカオスな事態を招いた。

  • ウワノ・ソラキチ
アサハカとよく行動を共にすることが多いが、大概いつもアサハカの無茶苦茶な行いの犠牲になる。
釣り好きで、アサハカにルアーフィッシングの魔力を教え込んだ。
こいつも最終巻では勤務中に飲酒しようとしていた。

  • ササヤキ・シンリ
眼鏡をかけている隊員。
ヒジョーに影が薄く、隊員たちから存在を忘れられたり、猫柳田に驚かされたり、
2巻最終話では有人ロケット奪取のためにカラーウイルスに罹患させられたりと不遇な目に遭っている。
アマ将棋の昇段を受けようとする将棋好きだが、キレイ隊員に25連敗中。
キレイ隊員に好意を抱いているようだが全く相手にされていない。


その他

  • 猫柳田愛吉
1巻ではSAMON技術開発顧問を務めていた、本作の影の主人公。
アサハカのバカな作戦に対しマジレスを繰り返していたが、モドキング最後の怪獣・ウナギング討伐戦の最中に行方不明になり、リフジン・トオル(後の仮名ライダー)に救助される。
その後しばらくは都内某所で喫茶店を経営していたが、万能科学研究所客員研究員、フリーの科学者を経てSAMONに復職を果たす。

  • ヒカガク・アソブ/ウーターマン
ウーター星から地球を守るために派遣されてきた巨大宇宙人。
普段は青年「ヒカガク」に化けているが実年齢は300歳以上、推定2000歳強であり、ウーターマンの方が真の姿。
つまり、どちらかと言うとウルトラセブンモロボシ・ダンの関係に近い。

怪獣ピラミッドンを倒すために新幹線に乗って東京を目指していたキレイと知り合い、
そのヒーローらしい精悍な容貌からアサハカに一目惚れ(ヒカガク自身も危惧していたがそっちの意味ではない)され、試験も面接もしないままSAMONに入隊してしまった。

その後はモドキングの繰り出す怪獣たちと戦い、最後の戦いでウナギングと刺し違えて生死不明となっていたが、4巻にてようやく再登場。
しばらくは猫柳田の家で食客、悪く言えばニート生活を送っていたが、最終巻にてヒーロー課配属となる。

それぞれ2巻、3巻の主人公。最終巻にてヒーロー課配属となる。


武装

携行品

  • ハンドガン(名称不明)
攻撃部隊の通常装備。見た感じオートマチックっぽい拳銃。
大型モニターを基地の壁ごとぶち抜くくらいの威力はあるが、ウナギング相手には蚊が刺したほども効かなかった。

  • 通信機
空想科学作品が大好きな「腕時計型テレビ電話」。勿論連載時には存在しなかったが、今や実現寸前となっているのが凄いよね。

  • サモン砲
空想科学史上まれに見るバカ兵器。
バズーカのような砲身から榴弾を発射するというもので、一撃で新幹線の車両を半壊させる程の威力を有するが、
なんと砲弾が140gしかなく、なおかつ弾速はたったの150㎞/hである。

もう一度書く、たったの時速150㎞である。

銃弾は1200㎞/h程度出て当たり前、どんなに遅いミサイルでも800km/hを下回るのは奇跡に近く、
大昔の砲弾でも350km/h程度は出ていたくらいで、グレネードランチャーでも270㎞/h、弓矢ですら200km/h……なんだこの遅さは!?

地面に構えてドッシリ撃てば問題ないのだろうが、作中ではあろうことか走行中の新幹線の屋根から放ち、
新幹線の後方車両ばかりを攻撃するというマヌケな結末を迎えた。
つーか、仮に仰角45度で発射しても177m先にしか届かんぞ。これはもう怪獣相手には「至近距離」と言うのでは?

というのも、本来このシーンでは「新幹線から手榴弾を投げる」という演出にするはずだったのだが、
「走行中に振りかぶったら暴風で吹っ飛んで転落死しちゃうじゃん」ということで、このように固定砲台から射出するという方式に変えたらしい。
その最中、柳田理科雄が弾速・重量の設定変更を完全に忘れてしまったため、この稀代のクソ兵器が誕生する結果となったとのこと。


戦力

  • サモンホーク1号
三角形をした戦闘機。演出から考えて、モチーフは恐らく『ウルトラセブン』のウルトラホーク3号だろう。
アサハカの「滝の裏から発進する」という無茶な登場演出のせいで瀑布の水量をモロに受けてしまい、滝つぼに転落して全壊した。

  • サモンホーク2号
マッハ5の速度を誇るロケット戦闘機。
モチーフは恐らく『ウルトラセブン』のウルトラホーク2号と、『サンダーバード』のサンダーバード1号と思われる。
アサハカの「プールを割って発進する」という無茶な登場演出のせいで発射前に横倒しになり、水浸しになって廃棄された。

  • サモンホーク3号
ズングリムックリした攻撃機。モチーフは恐らくサンダーバード2号。
アサハカの「斜め上からの発進」という無茶な登場演出のせいで加速が間に合わず、発射台から転落して爆発四散した。

  • サモンホーク4号
SAMONの主力戦闘機……なのだが、何度も何度も何度も何度も撃墜されまくっている(大半がアサハカの仕業)。
モチーフは恐らく『ウルトラマン』のジェットビートルと思われる。
武装は対ピラミッドン戦では100m四方を吹き飛ばす超大型ミサイル「サモノイドA」。
1号機がピラミッドンもろともサモノイドAの直撃に巻き込まれて消滅したため、次回以降は小型化した「サモノイドAミニ」を装備している。
2度目の登場以降は機体横に通しナンバーが打たれるようになった*3。このナンバーをバンバン増やしていくアサハカは猛省していただきたいものだ。

  • サモンホーク5号
分離合体機能を有する大型戦闘機。モチーフは『ウルトラセブン』のウルトラホーク1号。
アサハカの「空中で合体する」という無茶な戦術のせいで1号機・2号機の噴射ノズルが塞がり、重量オーバーで墜落した。

  • 巨大冷凍機
アサハカの陰謀で東京タワーに繭を作ったスモラの変態を阻止するため、猫柳田が送り込んだ秘密兵器。
十数台以上のヘリコプターで空輸し、繭に冷気を吹き付けて成長を抑制させるというもの。
作戦そのものは良かったのだが、ヘリの燃料が持たずに切り離されてしまう。
エアコンの室外機と同じく温風(排気)を真上に噴き出すため、地上を酷寒地獄に変えつつスモラの成長を促進させてしまった。

  • 海上要塞レイジングポセイドン
東京沖合に建造された全長2000m、幅200m、高さ50mの人工島。
立体駐車場のような三層構造になっており、上からミサイル攻撃機、レーザー戦闘機、重爆撃機が各1000機づつ搭載されている。
しかし、前述した通り戦闘員は4人しかおらず、なおかつ全部有人機なので、ぶっちゃけ何の役にも立たない。

空戦力の増強を危惧したモドキング一味の引き起こした津波と、それに対するヒーロー側の対応ミスもあって戦闘機は全滅。
精神崩壊を起こしたアサハカは内部に据え置いた強力レーザー砲を取り出すと、モドキング一味に向ける……

かと思いきや、アサハカはなんと都心に照準を定め、自らが日本を征服しSAMONにもっと予算をつぎ込ませようというテロ行為に走ってしまう。
最終的にアサハカを拘束したSAMONとヒーローチームはカガクゴーに乗って脱出。
「クソ要塞(by猫柳田)」はウーターマンにぶっこ抜かれた挙句、大津波から東京を守るための堤防代わりにされて完全に海の藻屑となった。

  • 花形号
世界一頑丈なSTM鋼で造られた最新鋭の宇宙戦艦。
本来はもっとオーソドックスな宇宙船になるはずだったが、アサハカが計画書を改竄したせいで戦艦そのまんまの姿となった。
重力発生装置がないので中身はほぼ無重力。遠心力で疑似重力を生み出すしかない。

最期は飛んできたカガクゴーが激突して半壊、
さらにアサハカが全エネルギーを結集して放つ「花形砲」を使ったせいで反動でぶっ飛んでワルサーの母艦・キングキャッスルにめり込み完全に沈黙。
ついでにワルサーの野望も完全に潰えた。

  • 花形号打ち上げ用ロケット
高さ3600mという大山脈並みのデカさのロケット。ほぼ全部燃料で、大気圏で捨てられ燃え尽きた末に花形号は宇宙へと向かう。




「男が記事にロマンを求めて何が悪い。ただのルーチンワークで追記・修正できるかってんだ……」

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最終更新:2023年12月13日 17:38

*1 感染者に殴られた人間を罹患させ、倍々ゲームでバンバカ感染していくウイルス

*2 ニセカガクゴー事件の際には自衛隊戦力しか出動していない

*3 「SH-4-2」といった具合