ウルトラ警備隊(TV版)

登録日:2011/09/19 Mon 21:52:11
更新日:2024/01/11 Thu 08:54:44
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地球を守る警備隊 名づけて

ウルトラ警備隊


「ウルトラ警備隊」とは、円谷プロ製作の特撮TV番組『ウルトラセブン』及びその関連作品に登場する防衛チームである。
本項目では主にTV版に登場するものについて解説する。

TVSP「ウルトラセブン 太陽エネルギー作戦」~OV「ウルトラセブン EVOLUTION」
いわゆる『平成ウルトラセブン』に登場するウルトラ警備隊はこちらを参照。


【概要】

地球防衛軍(TDF)極東基地・参謀本部直属の精鋭部隊。英語表記は「Terrestrial Defence Force Ultra Guard」
略称や愛称などは特に無い。

極東基地の隊員約300名の中から特に優れた者を選抜した精鋭中の精鋭である。
のはずが、事件解決に協力した素性不明の風来坊をあっさりスカウトしてしまうザル過ぎる部隊でもある。

地球防衛軍はパリに総合本部を置き、ワシントン、モスクワ、ロンドン、ベルリン、北極、シドニー、カイロに支部を、そしてアジア圏を総括する極東基地を日本の富士山麓に設けている。

その使命は、平和を脅かすありとあらゆる脅威から地球を守ることであり、
隊員達は勇敢な心をもって地球侵略を目論む宇宙人や怪獣と日夜戦いを繰り広げている。


シリーズ前作『ウルトラマン』の科学特捜隊に比べてかなり充実した戦力を持つが、軍事的な組織としての描写が強まり、
その分過剰なまでの兵器開発や地球防衛への強攻的な姿勢など組織の負の面が目立つようになってしまっている。

しかしそれらは地球の平和を思っての行動であり、必ずしも間違っている訳ではないという点が議論の的である。

倒した敵の数は、等身大の宇宙人や円盤相手なら歴代防衛隊で1位である。
反面、巨大化した宇宙人や巨大怪獣の撃破実績は少ない。





【メンバー】


◆キリヤマ・カオル 隊長

演:中山昭二

東京都出身の38歳。隊歴16年のベテラン。
人情家で常に部下を信頼し、的確な判断を下すウルトラ警備隊の隊長。強い意志と使命感を持ち、地球と人類を守ることに全力を尽くす。
ペガッサ市への避難勧告を「名誉ある任務」と言ったり囚われた部下の為に自ら交渉に赴いたりと冷酷な人物ということは決してないが、
敵対者とみなせば交渉や調査よりも攻撃を優先してしまう面もある。
ダンが乗っている可能性のあったメトロン星人の円盤を撃墜しているが、果たして正体を見抜いていたのかは定かではない

指揮官としての手腕だけでなく戦闘機の操縦技術も高く、
親友である宇宙ステーションV3のクラタ隊長と共にザンパ星人の宇宙船団を二人で全滅させたという武勇伝を持つ。
口癖なのか「ナニ?」「待て!」「ヨシ」を多用する。意外にも占いや第6感を信じていたりする。

なお、ノンマルトの海底都市への攻撃は、ノンマルト側からの攻撃によって地上への被害が出ていたこと、彼らの言い分を信じきれなかったことと、
全人類が背負う筈だった罪を自分一人で背負う覚悟で行ったことであることを考慮していただきたい。


『平成ウルトラセブン』ではあんまりな末路を迎えてしまったが、『ウルトラマンレオ』ではダンは地球に戻ってきた際にアンヌ以外のウルトラ警備隊の面々と再会した*1そうなので
おそらくそちらの時空では無事生存していると思われる。行方不明になっていたダンをMACの隊長に推薦できるほどの権限があるのは彼か(『平成ウルトラセブン』では出世していた)フルハシくらいだろうし。


◆フルハシ・シゲル 隊員

演:石井伊吉(現:毒蝮三太夫)

隊歴7年の29歳。北海道の実家では母と妹が牧場を経営している。
防衛軍きっての怪力の持ち主で、いい加減で荒っぽい一面もあるが使命感は人一倍強く、仲間思い。
本人は気付いていないが妹の友達から好かれているという何とも羨ましい男である。

顔も性格もそっくりな人物が科特隊にいたが、全くの無関係らしい(ちなみにギャラはこっちのほうがよかったらしい)。
余談ながら、そのソックリさんは「俺の目はウルトラアイだ!」と豪語したことがあったりする。


◆ソガ 隊員

演:阿知波信介

25歳の隊歴3年。九州出身。
短気なところがあるが基本的に陽気で快活な人物。占いの類いが好きらしい場面も。
防衛軍でも有数の射撃の名人であり、度々その腕前を披露するが、よく敵に捕まる。
ダンとは比較的仲が良く、プライベートやパトロールで行動を共にする機会が多い。しかしセブンに変身するために腹を殴られて気絶したことがある。「ソガ隊員、スマン!
大学生の婚約者がいる。


◆アマギ 隊員

演:古谷敏

24歳の隊歴2年。名古屋出身の名プランナー。
高所恐怖症だったり火薬にトラウマ*2があったり(こちらは後に克服)と小心な一面もあるが、
彼の冷静な科学分析は幾度となくウルトラ警備隊やセブンの危機を救った……というかこの人がいなければ11話で終わっていた。

ちなみに演じた古谷敏氏はウルトラマンケムール人ラゴンのスーツアクターである。スーツアクターばっかりで顔が出ないことから隊員役を志願したという。
彼が"ウルトラマン"であることを踏まえると、作中におけるダンの最後の台詞と行動は意味深なものがあるかもしれない。


◆友里アンヌ 隊員

演:菱見 百合子(現:ひし美ゆり子)

隊歴2年。東京都出身。年齢は、おっと失礼。とナレーションによってはぐらかされた為、不明。
話によって髪が短くなったり長くなったりするのは女の秘密*3
ウルトラ警備隊の紅一点で平時は医師としてメディカルセンターに勤務している。
ダンと恋仲になるが…

ウルトラマンレオ』にも彼女と思わしき女性が登場し、タイトルも「運命の再会!ダンとアンヌ」であったがアンヌであることを示唆しつつも真相は闇の中である。
(シナリオでは本人と明記されていたが、『ウルトラマン白書』や『円谷プロ画報』などではアンヌに似た別人としている)
一方「太陽エネルギー作戦」では科学者と結婚し、子供に「ダン」と名付けている。


モロボシ・ダン 隊員

演:森次浩司(現:森次晃嗣)

第1話のクール星人との戦いでの功績からウルトラ警備隊に入隊した元風来坊。
温厚だが正義感の強い人物で、様々な事件の解決に貢献した。

ゴース星人とパンドンとの戦いで重症を負った為にウルトラ警備隊を離れるが、
後にウルトラ警備隊時代の功績を評価されて宇宙パトロール隊 MACの隊長に就任した。

彼には何か秘密があるらしい。
知っての通り、ウルトラセブン本人である。


ウルトラセブン

M78星雲からやって来たウルトラ警備隊番目のメンバー。その正体は謎に包まれている。誰にも言ってはいけないよ。ウルトラセブンがなんなのか。
詳細は項目を参照。



◆アオキ隊員

演:山口暁
厳密にはウルトラ警備隊隊員ではなく隊員候補。
マナベ参謀に紹介される形でメンバーと顔合わせをする。
能力は高いがそれと同時にプライドも非常に高く、フルハシやダンの反感を買ってしまっただけでなく、
自分の能力を誇示するために取った行動によって悲劇を招くこととなった。
詳細はコチラで。

演者の山口氏は後に『仮面ライダーV3』の結城丈二/ライダーマン役や『電人ザボーガー』の大門豊役などに抜擢、70年代の特撮番組を語る上で外せない名俳優となった。
また、円谷作品では『戦え!マイティジャック』にて今井隊員として、クラタ隊長を演じた南廣氏やシーホース号のカマタ隊員科学特捜隊のイデ隊員を演じた二瓶正也氏と共演している。



【極東基地】

極東基地は機密保持のために富士山麓静岡県側の山中に建設されている。
地上には航空機用の滑走路、レーダーや通信アンテナ等の一部施設を除いて大半が地下数百mに建設されており、外部からの攻撃には滅法強い。
ただ、お約束としてセキュリティは脆弱そのもので、多くの宇宙人がいつの間にか基地内に侵入しては狼藉を働き、幾度となく壊滅の危機に陥っている。作戦室にはゼットン星人の円盤が侵入してるし。

基地内には3000名の隊員が常駐し、参謀本部、ウルトラ警備隊の作戦室、メディカルセンター、居住区、動力室、整備場や格納庫など非常に広大。
何せ地下モノレールまで走っているくらいである。

そして、最も特徴的のがウルトラ警備隊のライドメカの発着場。
二子山の山腹がガバッと開いて現れるウルトラホーク1号と2号の発進で有名な第4発進ゲート*4、滝の裏に隠されたホーク3号の発進口、地下水路で直接海に進出可能な地下潜水艦ドックなど科学の粋を集めたギミックは当時の子供たちを大きく魅了したことだろう。
また、車両用のシークレット・ハイウェイ(地下高速道路)が日本各地に繋がっており、渋滞などインフラの混乱に出会うこともなく日本各地への迅速な移動を可能としている。

軍事施設以外だと近隣に防衛軍関係者やその家族が宿泊可能な保養施設があり、福利厚生も充実している。

同じ世界観だと後の超獣攻撃隊 TACも富士山麓に基地を置いていたが、あちらは山梨県側の富士五大湖の周辺という設定なので微妙に立地が異なり、防衛軍基地をそのまま流用したという訳ではなさそうである。

小説『ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント』によれば、防衛軍解散後は宇宙港として利用されているようだ。



【ウルトラ警備隊の退治・対処した怪獣】


クレージーゴン戦でセブンはウルトラ警備隊のエレクトロHガンの弾丸となって射出されるステップショット戦法によって撃破。パンドン戦、改造パンドン戦ではウルトラ警備隊の援護によってセブンの勝利をもたらした。
ダンカン、シャドウマンを操る宇宙人の円盤、ガッツ星人の手に墜ちたセブンを救出した事もある。
ガンダー戦ではセブンがエネルギーを補給している間、倒れたミクラスに代わってガンダーと戦った。
ガンダーをセブンによって倒されたポール星人は敗北を認めて地球を去るが、それはセブンではなく地球人の忍耐・人間の持つ使命感に対してと述べている。精神論と言ってしまえばそれまでであるが、宇宙より来た恐るべき侵略者の魔手から地球を守りたいという意志が通じ、打ち勝ったのは紛れもない事実であろう。
また、恐竜戦車戦では高性能火薬・スパイナーがセブンの勝利をもたらし、ダリー戦では偶然ではあるが、カオリに薬を注射した事がセブンの勝利に繋がった。



【基本装備】


◆隊員服
保温性と機密性に優れ、ヘルメットと酸素ボンベとの併用で簡易宇宙服になる。
出演者の話によれば夏暑く冬寒い。


◆ヘルメット
地球防衛軍の統一規格だが、通常の物は頭頂部が白地なのに対してウルトラ警備隊の物は赤くなっている。
シールドの先に酸素ボンベとの接続口があり、ここにチューブを接続してシールドを降ろすと宇宙での活動が可能になる。
どう見ても隙間だらけだがエアカーテンがあるので大丈夫らしい。


◆ビデオシーバー
モニター付きの腕時計型通信機。耐熱性で完全防水のスグレモノ。
たまに映るアングルがおかしい時があるが気にしてはいけない。


◆ウルトラガン
ウルトラ警備隊だけでなく地球防衛軍の共通装備であるレーザー銃。
単独だと弱めだった科学特捜隊のスーパーガンと比べるとかなり強力で、流石に巨大な相手への効果は薄いが、多くの等身大の宇宙人を倒した。
スーパーガンと同じく銃口にアタッチメントを装着して実弾を発射できる他、
  • 相手を気絶させるショック弾
  • 標的を爆破する強力な炸裂弾
  • 鉄の扉を焼き切るバーナー
等々、様々な状況に合わせた運用が可能な万能武器。


◆エレクトロHガン
速射ロケット砲。前述したようにセブン自身が弾丸となってクレージーゴンを倒したことがある。
プロップは科学特捜隊が終盤使ったニードルS80のリペイント。


◆パラライザー
麻痺光線を放つ高性能麻酔銃。
2話で一度しか使われていない割りにはよく書籍などで紹介される。
プロップはマルス133の改造品。


◆スパイダー
強力な熱線銃。別名バーチカルショットガン。
全作のスパイダーショットとは全くの無関係。



【メカニック】


ウルトラホーク1号
α、β、γの三機に分離ができる、後のシリーズにもときおり登場する合体・分離機能を有する戦闘機の第一号。
詳細は項目を参照。


◆ウルトラホーク2号
型式番号:TDF-UH-002
全長:64m
全幅:12m
重量:62t
最高速度:マッハ5(大気圏内)、光の2%(宇宙空間)
乗員:4名
武装:レーザー砲

ロケット型の宇宙戦闘挺。
太陽熱をエネルギーに変換する太陽エネルギー反応炉を備え、宇宙での戦闘や宇宙ステーションV3との連絡に使用される。
ピット星人に乗っ取られて逃走に使用されたり、フルハシに化けたゴドラ星人が乗り込んで基地内に侵入したこともあった。
ロケットなので当然機首を上に向けて発射されるが、その状態で乗員が搭乗しているようであり、コクピットがどうなってるのかイマイチ謎である。


◆ウルトラホーク3号
型式番号:TDF-UH-003
全長:19.5m
全幅:12.5m
重量:25.5t
最高速度:マッハ3.5
乗員:3名
武装:レーザー砲
   ミサイルランチャー

大気圏内専用の多用途戦闘攻撃機。滝を掻き分けて発進する。
主にマグマライザーの輸送や偵察、ホーク1号の支援に使用される。
三機に分離した一号と共にする攻撃はカルテット作戦と呼ばれる。
どう考えてもマグマライザーとのサイズ比がおかしい為、とある書籍では同じ姿をした大型輸送機があるとしている。


ポインター
ウルトラ警備隊の誇る特殊車両。
バリアを張れるだけでなく、空中走行までできるスーパーカー。
詳細は項目を参照。


◆マグマライザー
型式番号:TDF-MR-1
全長:24m
全幅:11m
重量:180t
最高時速:100km(地上)
      25km(地中)
乗員:6名
武装:岩石破壊用レーザー
   ロケット砲

ウルトラ警備隊の誇る地底戦車。17話で初登場した。
ウルトラシリーズの地底戦車には珍しく出番にも活躍にも恵まれた幸運なヤツ。ガッツ星人に囚われたセブンも救っている。
自動操縦も可能で、最終回では無人操作のマグマライザーが爆弾を満載してゴース星人の地底基地に突撃・自爆して完全に粉砕し、見事地球史上最大の侵略の危機を救った。

しかしメビウス小説版によればこの時一台を残して全て失われたらしい。また、同作では実はペガッサ星人の地球破壊爆弾を応用したメテオール第一号であるとされている。

◆ハイドランジャー
型式番号:TDF-HR
全長:43m
全幅:7m
重量:1200t
最高速度:50ノット(水上)
     27ノット(水中)
乗員:4名
武装:レーザー砲
   大型ミサイル
   高性能魚雷
   ロケット砲

地球防衛軍の潜航艇。14話で初登場した。
主に海洋での調査・戦闘に用いられ、極東基地には常時2隻が待機している。

実のところ、ウルトラ警備隊専用装備ではなく防衛軍一般隊員が搭乗したこともあるが、その時はサロメ星人によって破壊されてしまった。



【余談】

名前のためによく宇宙警備隊と混同されるが、これは企画当初は今でいうM78ワールドの話ではなく、7人のウルトラ警備隊によるストーリーゆえに「ウルトラセブン」だったからである。*5
今となっては意外かもしれないが当時「ウルトラシリーズ」は『ウルトラQ』や東映の『キャプテンウルトラ』という「ウルトラマンの出てこない作品」の方が数としては上回っていた。




「行こう!項目の追記・修正は、我々人類自らの手で行わなければならないんだ!」

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最終更新:2024年01月11日 08:54

*1 第29話「運命の再会! ダンとアンヌ」より。

*2 幼少期に近所で花火工場の爆発事故があったことが原因

*3 ネタバレ(?)すると長い方はウィッグで、満田かずほ(※)監督回でこのような演出が見られる。※「かずほ」は「禾」に「斉」。

*4 アナウンスの声は監督の満田かずほ氏によるもの。

*5 『ウルトラセブン』のタイトルは元々は未製作に終わった「七人の猿人による原始時代のドタバタコメディ」の番組案『ウルトラ・セブン』が由来とされる。ちなみに、この番組で使用予定だった着ぐるみは『戦え!マイティジャック』に登場する宇宙猿パッキーに流用されたと言い、パッキーを連れてきたモノロン星人はゴース星人のスーツのリペイントとセブンに関わる奇妙な縁がある。