登録日:2016/04/27 (水) 14:18:01
更新日:2024/07/26 Fri 18:57:33
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BUT DEATH WOULD ONLY END YOUR AGONY
「ベイン(Bane)」はDCコミックスのキャラクターで1993年に初登場した「バットマン」のヴィラン。
初登場は『Batman: Vengeance of Bane』#1。
バットマンを一時引退させたことで有名でジョーカーなどの有名ヴィランと肩を並べる程の知名度を誇る。
DCコミックスのヴィランの中でも力だけでなく知性を兼ね備えているという点で独自の存在感を発揮している。
名前の由来は「破滅の元」を意味する「bane」。
【概要】
新興出版社Image ComicsがDCコミックスを猛追する中、編集部はその状況を打開するため衝撃的なイベントを行い始める。
その1つバットマンの敗北と引退を描いた『
Batman: Knightfall』でバットマンを倒すためにベインは生み出された。
顔を覆うマスクとレスラーのような肉体が外見上の特徴であり、その外見に反するような頭脳を持つ。
力と知性を駆使してバットマンを肉体的に追い詰め勝利したベインはその役目を果たし多くの人の記憶に刻まれた。
その後もベインは度々登場しバットマンと対比するようにも描かれアンチ・バットマン的存在に成長した。
その一方で最大の役目を果たした彼は扱いの困るキャラクターでもあり、善悪の間を揺れ動いたりもした。
【人物】
本名…不明
架空の国家であるサンタ・プリスカの刑務所内で、終身刑服役囚の子として生まれた。
この頃は『小さいくまさん』と名付けたテディベアを持ち歩くなど、出自以外は普通の子供だったが母の死をきっかけに変わり始める。
8歳の頃に自分を利用しようとした者をテディベアに隠していた護身用のナイフで殺害、潮の満ち引きで水没する牢獄に閉じ込められる。
しかし魚や
ネズミを食べて何年も生き延び、看守たちを根負けさせると普通の独房に移された。
その後は手に入る本全てを読み漁り、肉体を鍛えるのみならず、イエズス会の修道士や他の囚人を師として様々な事を学んだ。
ひたすら鍛練と勉強に時間を費やした結果、刑務所内で一目置かれる程の存在に成長した。
刑務所の上層部はそんなベインに目を付け、筋肉増強麻薬『ヴェノム』の人体実験に彼を使った。
しかし、それが原因で災いの元(ベイン)が誕生してしまった。
人体実験に耐え抜いたベインは筋骨隆々の肉体を得たが、同時にマスクを通じて半日ごとに『ヴェノム』を投与しなければならなくなった。
『ヴェノム』は彼に力を与える一方で呪いのようなもので、何度か依存から逃れようとしているが失敗している。
サンタ・プリスカへの思いは強く自らの手で支配を試みているが、離れている間に別の犯罪者に乗っ取られていることも多い。
性格は冷静で計算高い。
幼少期の経験から世界そのものへの憎しみを滾らせており、全てを支配するという最大の目標を持つ。
しかもそれを可能にする高い知能と実力を持ち合わせ、目的のためなら手段を選ぶことはなく、知恵比べではバットマンとさえ肩を並べる。
しかし、その強い憎悪や執着心とは裏腹に本心では心の安寧を求めているようで、ヴェノム依存や宿敵であるバットマンからの解放を求めて戦うことも多い。
特徴的なのは、バットマンを単に「殺す」のではなく、徹底的に叩きのめして再起不能にし、自らの敗北を痛感させるために彼を「壊す」ことを目的としている点。
どのヒーローをも差し置いて彼を壊すことに執着しており、バットマンを「自らの恐怖の象徴」として認識している節がある。
余談だが、彼の故郷であるサンタ・プリスカはラテンアメリカに属しており、他メディア作品ではよくスペイン訛りの英語を話す場合が多い。
【主な活躍】
1993年の『Batman: Vengeance of Bane』#1で初登場。
刑務所の中で耳にしたバットマンの噂に興味を抱き、仲間と共に刑務所を脱獄して蝙蝠の支配する街 ゴッサムに向かう。
ベインは『アーカム・アサイラム』を襲い、多くの囚人を脱獄させ、3ヶ月の時間をかけてバットマンを消耗させる。
事態が収拾された後にウェイン邸を襲撃し、『バットケイブ』でバットマンとの戦いを繰り広げる。
その戦いでバットマンの背骨をへし折り、ブルース・ウェインを一時的なバットマン引退に追い込んだ。
バットマンを引退したブルース・ウェインは
アズラエルことジャン・ポール・ヴァレーを次のバットマンに据えた。
しかし
アズラエルは重責に耐えかねて凶暴化し、最後にはベインに戦いを仕掛ける。
アズラエルはベインの『ヴェノム』供給チューブを切断し、禁断症状に追い込んで勝利した。
アズラエルに敗北したベインは刑務所で臭い飯を食う羽目になったが、なんと服役中に『ヴェノム』中毒を克服してしまう。
ベインはゴッサムに帰還するが、ゴッサムでは『ヴェノム』が流通し、凶悪犯罪増加の原因となっていた。
そこでベインはバットマンと共闘して『ヴェノム』を流通させていた黒幕を撃破する。
事件終結後にベインはバットマンに身の潔白を訴え、自身の父親探しの旅に出る。
ベインは父親探しの最中、ローマでラーズ・アル・グールとその娘タリアに遭遇。
ラーズはベインを自身の後継者にしようと目論み、懐柔したベインと共にゴッサムを攻撃するもバットマンに返り討ちにされた。
その後もバットマンや
アズラエルに敗北し、『ノーマンズ・ランド』ではレックス・ルーサーに協力した。
その一方でベインはラーズ・アル・グールと決別し、ラーズの力の源である『ラザラス・ピット』を破壊して回っていた。
そしてようやく父親候補を突き止めるが、その父親候補はバットマンことブルース・ウェインの父親トーマス・ウェインであった。
ベインは腹違いの兄弟である可能性をバットマンに伝え、DNA鑑定を行う。
ベインはDNA鑑定が完了するまでウェイン邸に滞在し、バットマンと共闘した。
DNA鑑定の結果、バットマンとベインは兄弟ではなかった。
しかしバットマンはベインに対して支援を約束し、ベインは新たな友人を得てゴッサムを離れた。
長い旅の末にベインは自身の父親がテロ組織『コブラ』の首領キング・スネークであることを突き止める。
ベインはバットマンと協力してキング・スネークの野望を打ち砕いた。
しかし最後にはバットマンを庇って致命傷を負ってしまう。
バットマンはベインを救うために彼を『ラザラス・ピット』に沈め、ベインが甦る事を祈りつつ立ち去った。
復活したベインは
ジュードーマスターを殺害し、新型ドラッグをめぐってアワーマン親子に襲い掛かるなど再び悪の道を歩みかけるが、
『スーサイド・スクワッド』を経て傭兵集団『シークレット・シックス』に参加しリーダーとして活躍した。
『DCユニバース』全体の歴史が変更されたが他の
バットマン・ヴィラン同様に大きな変化はない。
ただし『Knightfall』での戦いは
アズラエルではなく復活したブルース自身に敗れている。
2011年の『Batman: The Dark Knight Vol.2』#6から登場。
新参ヴィラン、ホワイトラビットと手を組んでバットマンと戦うも敗北、その後自分の邪魔をした『梟の法廷』と戦いを繰り広げた。
『
フォーエバー・イービル』ではサンタ・プリスカの軍を率いてバットマン不在のゴッサム支配に乗り出す。
『ブラックゲート刑務所』を乗っ取り囚人と冷凍休眠されていた『梟の法廷』の暗殺者タロンを配下に取り込もうとするが、
スケアクロウを中心とした『アーカム・アサイラム』の囚人たちとの抗争になり追い詰められていく。
その状況を打破するためにベインはバットマン風のコスチュームに身を包み敵に恐怖を与えていく。
さらに最強のタロン(ウィリアム・カップ)を相棒にしたベインはスケアクロウとの抗争に勝利しゴッサムを手に入れた。
…が戻ってきたバットマンにあっさり敗北した。
その後はゴッサムの混乱の中でバットマンと
敗北や
協力を繰り広げ、バットマンが姿を消すとサンタ・プリスカを乗っ取った『聖デュマ騎士団』に挑み
アズラエルに敗北した。
【関連人物】
ゴッサムを守る闇の騎士。当初は噂で知って興味を持った程度の存在だったが、いつしか人生を含め対比される存在となった。
宗教集団『聖デュマ騎士団』に戦士として育てられた青年。バットマンの跡を継いだ彼に敗北し、因縁の仲となった。
刑務所時代からの仲間。長年活動を共にしている。
暗殺者集団『リーグ・オブ・アサシンズ』の首領とその娘。一時期行動を共にしタリアには好意も抱いていた様子だった。
麻薬密売組織のリーダー。『ポストクライシス』におけるベインの父。
はぐれヴィランたちの手で結成した傭兵集団。『ポストクライシス』終盤に所属しリーダーを務めたほか、メンバーの1人スキャンダル・サベッジに父親としての愛情を抱いていた。
魔力を込められた『メデューサ・マスク』の力で他人の感情を操る力を得たヴィラン。 『DC Rebirth』では彼を巡ってバットマンの因縁が再燃した。
【主なメディアミックス】
演…ジープ・スウェンソン 吹…
郷里大輔(ソフト版)/宝亀克寿(
テレビ朝日版)
1989年の『
バットマン』から始まったシリーズの第4作。
元々はアントニオ・ディエゴという犯罪者だったがウッドルー博士の人体実験で強靭な肉体を手に入れた。
外見はコミックそのものだが知性のかけらもない存在だったため多くのファンに衝撃を与えた。
声…ホアキン・デ・アルメイダ 吹…
安元洋貴
2004年から始まったアニメ作品。
拘束具をまとった細身の男だが、『ヴェノム』を使用することで赤い肌の巨人に変化する。
圧倒的なパワーでバットマンを追い詰めるもパワードアーマー『バットボット』に敗北した。
オープニングにも登場するがちゃんと活躍が描かれるのは初登場時だけ。
声…フレッド・タタショア(アサイラム、シティ)/JB・ブラン(ビギンズ)
2009年の『
バットマン アーカム・アサイラム』から始まった
ゲームシリーズ。
『アサイラム』、『
シティ』、『
ビギンズ』に登場する。
『アサイラム』と『シティ』では脇役で『Mr.フリーズの逆襲』のように若干間抜けな役柄だったが、
『ビギンズ』ではバットマンの宿敵として活躍する。
演…トム・ハーディ 吹…
山路和弘
2005年の『
バットマン ビギンズ』から始まったシリーズの第3作にして完結編。
徹底的に鍛え上げた肉体、スキンヘッドを覆う
拘束具のようなマスクが特徴。
ゴッサムシティを襲う謎の傭兵団のリーダーであり、アメリカ中央情報局 (
CIA) にもマークされている。
元は西アフリカの傭兵であり、採掘事業の警備としてウェイン産業役員のジョン・ダゲットに雇われていた。
過去の負傷で常に死ぬほどの激痛に苛まれる後遺症を抱えており、マスクを介して鎮痛剤を投与する事で痛みを押さえている。
彼のマスクは後遺症の緩和以外にも、彼の誓いの象徴ともなっている。
鍛え上げた肉体と技、信念に裏打ちされた高い戦闘能力を誇る。
冒頭でレオニード・パヴェル博士を護送するCIAの飛行機に2人の部下と共に潜入。
パヴェル博士拉致の為に部下達に飛行機を襲撃させ、自身はパヴェル博士の身柄を確保して墜落する機体から脱出した。
飛行機を襲撃した際に偽装工作の為に死体を持参し、死体にパヴェル博士の血液を輸血する事で即席の身代わりを作り上げている。
更に自身の身代わりとして部下を機内に残し、ベインとパヴェル博士は死亡したとアメリカ政府に誤認させている。
ダゲットのウェイン産業乗っ取りの為にゴッサムシティ地下の
下水道に潜伏しつつ、様々な作戦を展開していた。
ベインによる工作活動の結果、ブルース・ウェインは破産に追い込まれる。
しかしそれらの行動はダゲットを利用するための演技であり、裏ではバットマン打倒の準備を進めていた。
その正体は『影の同盟(シャドウ・リーグ)』の元メンバーであり、ブルースの兄弟子に当たる。
あのラーズ・アル・グールですら手に負えず破門されたが、ベイン自身はラーズの後継者を自負している。
その目的はラーズの敵討ちと運命の完結……すなわちゴッサムシティの壊滅である。
キャットウーマン(セリーナ・カイル)を利用してバットマンを罠に嵌め、彼の背骨に重大なダメージを与えて勝利する。
バットマンを世界の最果てに位置する牢獄『奈落』に幽閉し、ゴッサムシティでテロ活動を開始する。
手始めにダゲットを殺害し、ウェイン産業応用化学部からバットモービル「タンブラー」の試作機を盗み出した。
他にもブルースが秘匿していた核融合炉を強奪し、パヴェル博士に中性子爆弾へと作り替えさせる。
そして警察を罠に嵌めて地下に生き埋めにすると同時にゴッサムシティの交通網を破壊し、ゴッサム市民を中性子爆弾で脅迫する。
更にハービー・デント(ヴィラン:トゥーフェイス)の真実を暴露し、ブラックゲート刑務所から囚人を解放してゴッサムシティの秩序を崩壊させた。
それだけでなく市民達の不満を富裕層に向けさせ、ゴッサム市民軍を立ち上げ、自身がその首領に収まる事でゴッサムシティを掌握した。
実は『奈落』の出身であり、過去に『奈落』から脱獄した子供が彼であるとされている。
どうやらラーズ・アル・グールの息子でもあるようだが……
実はラーズ・アル・グールとの血縁関係はない。
更に『奈落』から脱獄した子供も彼ではなく、ラーズの娘タリア・アル・グールである。
ベインはタリアが脱獄するまで彼女を守っていたが、タリアを逃がす際に重傷を負ってしまう。
その後遺症で激痛に苛まれる身体となったが、その後もタリアに付き従い続けていた。
バットマンとの再戦ではマスクを破壊されるなど追い詰められ、正体を現したタリアに助けられるも、最期はキャットウーマンにバットポッドの40mmブラスト砲で射殺された。
声…
三宅健太
中世の日本を舞台としたアニメ作品。武将ではなくスモウレスラーとして登場。
演…シェーン・ウエスト 吹…志村知幸
本名エドゥアルド・ドランス。ゴードンの戦友で『血の申し子』という特殊部隊を率いる。
ファイナルシーズンに登場し、政府の役人を騙るナイッサ・アル・グールの命令でゴッサムの犯罪者を根絶やしにしようと企む。
避難民を殺害するなど強引な方法を取りゴードンと敵対、一度敗北し死に瀕するも、
ナイッサとヒューゴ・ストレンジの手によって強化され、過去の
トラウマが生み出した怪物ベインとして復活した。
軍を操りゴードンを追い詰めるも、最後は懸命な市民の姿を見て目が覚めた軍の裏切りで逮捕された。
追記・修正はバットマンの背骨をへし折ってからお願いします。
- 『ライジング』のベインはやはりカッコいい。『バットマン&ロビン』?なんのこったよ?(すっとぼけ) -- 名無しさん (2016-04-27 14:24:05)
- デザインだけなら確実に脳筋キャラなのに、実は相当なインテリという造形が面白いのにね -- 名無しさん (2016-04-27 15:42:18)
- アメコミでは思いのほか筋肉と頭脳を兼ね備えたコンセプトのキャラは多い気がする。 -- 名無しさん (2016-04-27 17:27:38)
- ゲームのアーカムシリーズでは色々と損な役割 -- 名無しさん (2016-04-27 19:55:38)
- ライジングはあっさり死んじゃって、その後バットマンもほとんど言及しないのがなぁ。直接手を下したのはキャットウーマンとはいえ…… -- 名無しさん (2016-04-27 20:29:15)
- アニメイテッドで絡んでから、割とキラークロックと対決したりもしてるな -- 名無しさん (2016-04-28 04:09:50)
- ライジングのベインは、市民だの革命だのと妙な御題目でゴッサムを支配する……ように見せかけて、実は滅ぼすことを最初から決めていた。この回りくどさがベインの理念をわかりづらくしていると思う。ゴッサムに救う価値が無いことを証明してから滅ぼすという方針だったのか? -- 名無しさん (2016-04-28 13:03:21)
- 一番黒歴史なのはフリーズの逆襲の馬鹿だけど、ここでは書かれてないね -- 名無しさん (2016-04-28 13:11:39)
- 最近でも善悪逆転した世界のスーパーマン達への対応でゴッサムを留守にしてたバットマンに代わって成り行きとはいえバットマン役していた事もあった。 -- 名無しさん (2016-04-29 08:39:40)
- 何でだかバットマンさんから信用されてるよな。ヒーローであっても基本ネチネチ絡んで疑いまくるくせにw -- 名無しさん (2016-09-06 08:29:26)
- ライジング版ベイン評価されてるが、ヴィジュアル的にはシュマッカー版の方が再現度完璧なんだけどね。どっちも再現の仕方が極端すぎるというか。 -- 名無しさん (2016-10-10 13:57:01)
- ドラマgothamでは本人直接の登場はないにしろ、ウェイン社が開発したとして怪力になる違法ドラッグ「ヴァイパー」とその発展型「ヴェノム」が登場。 -- 名無しさん (2017-03-08 22:44:54)
- アニメイテッドのころテレ東放映がつづいてたら郷里大輔さんにやってほしかったウイグル獄長みたいな感じで -- 名無しさん (2017-12-01 22:31:54)
- 今コミックでやってるのだとなんか…すごいポジにいるみたい、でもベイン以上に「なんでアンタがそこにいる!?」って言いたくなる奴が居てビックリだよ -- 名無しさん (2018-10-05 22:55:17)
最終更新:2024年07月26日 18:57