アジズ(トゥルーライズ)

登録日:2016/09/10 (土) 18:10:47
更新日:2024/04/04 Thu 01:31:26
所要時間:約 9 分で読めます







Get another one,you moron……!!



ジェームズ・キャメロン監督作成の愉快なコメディスパイ映画。
組合員ならこれまたお馴染み「トゥルーライズ」に登場するキャラクター。
演じているのはアート・マリック。
吹替はジョニーまたは新録ベネット……もとい、樋浦勉または若本規夫が担当。


◆概要
フルネームはサリム・アブ・アジズ。
過激派テロ組織「真紅のジハード」のリーダーで、砂漠の毒グモの通称を持つ。
爆破テロ常習犯のサイコ野郎として危険視されており、破壊した車は数知れず。
ローマのカフェやリスボンのジャンボジェット機などの大規模爆破にも関っているとのこと。

そもそも自分の組織を立ち上げたのも、他のテロ組織では生温いからとの推測が立てられており、
作中のセリフや行動を見るに単なる口だけの小心者ではなく、時には自らの死すらも厭わない等、極めて危険な人物であることに間違いはない。


……と、真面目な解説をするならこんな感じになるのだろうが、
このトゥルーライズという映画自体がコメディ色の強い作品であるが故に敵ボスであるアジズも何かと面白おかしい行動が満載で、
危険人物であることには違いないのだが、それ以上にどこか憎めない妙な愛嬌を持っているキャラとして認識されてしまっている。

例によってテレビ版=玄田版の吹替えはまさかの強力若本が担当しており、
数々の若本節の相乗効果もあってコメディキャラとしての色がより強化されている。

得意技は演説、二度見、空中ダイブなど。


◆作中での活躍
アメリカ高官ジャマール・ハレドや古美術商のジュノー・スキナーなどといった人物を隠れ蓑として暗躍。
初登場時にはハリーの演技にまんまと乗せられているジュノーを平手打ちで叱責した後、
ハリーのことを徹底的に調べ上げるように指示を飛ばしたりもしている。

その直後に部下2人を引き連れて自らもハリーを追跡、
モールのトイレ内で激しい銃撃戦を繰り広げるも、ハリーの反撃に遭い逃走。
途中で一般人からバイクを盗みつつ、馬で追ってくるハリーに二度見で驚きながらも、
最終的には高級ホテル屋上から別のホテルへ命がけのダイブを行ったことにより逃げ切ることに成功する。

その後しばらくは出番無しだが、ハリーが妻のヘレンと当局の権限を使ってしょーもない茶番劇を繰り広げてる最中に、
そこに乱入してまんまと2人の身柄を確保した部下と、隠れ家であるフロリダ沖の無人島で合流。
ヘレンを人質にハリーを証人として、真紅のジハードが4基の核弾頭を所持しており、自分たちが本気であることを証明させた。

犯行声明の演説中にビデオカメラのバッテリーが切れるなどといったトラブルに見舞われながらも、
一発目の核弾頭を無人島で爆破し、自分たちの力を誇示した上でまんまと逃走。

その最中にハリーの持っていた写真を基に娘のディナも拉致しており、
マイアミのビルを占拠した際に彼女も人質として利用。
自分たちの要求が受け入れられなければ核弾頭によってマイアミ市民200万人の命が犠牲になると脅しをかける。

が、隙を付かれて人質のディナに核弾頭起爆のカギを盗まれるという失態を犯す。
直後に気づいてディナをビル屋上に追い詰めるも、その段になってハリーが戦闘機に乗って登場。

自らも戦闘機に飛び移ってハリーと激闘を繰り広げるも、
ハリーにボコボコにされビル衝突の衝撃で戦闘機後方に吹っ飛ばされ、その際に金的にダメージを負うなどなど、
散々な目にあった挙げ句、最終的には戦闘機備え付けのミサイルに振り落とされてしまい、ハリーがそのまま射出。
ミサイル諸共仲間のヘリに激突して壮絶な最期を遂げた。


◆アジズ語録
字面だけを抜き取れば何てことないありふれたセリフが多いかもしれないが、
作中のシチュエーションと合わせるとどこかズレた迷言ばかりになってしまっていたりする。

特にクドいようだがテレビ版の若本規夫版の吹替えは狙ってやってるんじゃないかとさえ思えるほど。

※青字が樋浦版、赤字が若本版のセリフ




「ミズ・スキナー、ちょっとご相談があるんですが」
「すみませーん、ちょっとご相談したいことが」

初登場時のセリフ。
この時はジュノーのオフィスの職員に扮していたので穏やかな口調だったものの……


「気づかないのか? ここはもう監視されてるんだぞ、今この瞬間も! それにその電話も盗聴されてる! なのに……調子に乗ってのぼせ上がりやがって! なにがレンクィストだ!」
「おいわかってんのか? ぷぅるぉの奴らが周りに張り付いてここを見張ってrrるんだぞ! 電話だって盗聴されてるに決まってrrるうう! そんな時に……素性の知れないリンクィストとかいう野郎にヘラヘラ色気を振りまきやがって!」

直後にジュノーに対して平手打ちをかました上で語気を強めてまくし立てていく。
流石テロ組織のリーダーだけあって見事な警戒心と洞察力ではあるものの、
若本版については若本節が全開過ぎて真面目なシーンのはずなのに笑えてくる不思議。


「ぬぉりゃあああああああ!!」
「おりゃああああああああ!!」

中盤のバイクチェイスで、追い込まれたアジズがビルからビルへバイクで飛び移ったシーン。
アジズの死すら厭わない覚悟や、豪快さが現れたシーンだが、樋浦、若本版共々妙なイントネーションのおかげで、笑いになってしまっている。
ちなみにその直後、馬に乗ったハリーも飛び移って追いかけようとしたが、当然ながら馬は嫌がり急ブレーキをかけ、勢い余ったハリーがビルから転落しかけ、結局アジズを逃してしまった。
そのことに対して、ハリーは「お前警官として恥ずかしくないのか!」と馬に説教していた


「もしそれが本当なら……あんたの赤い血をご主人の顔に飛び散らせたりはしない」
「あんたの血が噴き出して……噴水のように顔に降り注いでも旦那は、意地を張り通すかな?」

まんまとタスカー夫妻の拉致に成功し、核弾頭を前にすっとぼけるハリーの目の前で、
妻ヘレンの頬にナイフを突き立ててのセリフ。
この時のアジズは普通に悪役オーラ全開である。


「仲間の妻や子供を貴様らは殺し、我々の街に爆弾の雨を降らせた。それなのに我々をこう呼ぶ、テロリストとな! 今、迫害を受けた我らの手に、復讐のための武器が与えられた! よく聞けよアメリカ。ペルシャ湾一帯からあらゆる軍事組織を即刻永遠に撤退させろ! 紅のジハドは、この要求が無視されれば、アメリカの大都市を毎週一つずつ爆破することになるだろう。一発目は我々の絶大なる威力を世界中に示すためにも、この無人島で爆破させることにした。我々の人道的立場も証明されるだろう。しかしだ! もし要求が通らなければ、紅のジハドはアメリカの大都市を毎週一つずつ爆破する、わかったな!?」
「お前らは女や子供たちをぉ、殺したんだ。我々の街に空から爆弾をばら撒いた。そのお前らが我々を……テルルォリストと呼ぶぅ!! だが今は、迫害された者たちの手に敵に反撃する強力な武器が与えられた! よく聞け、アメリカよ。ペルシャ湾全域から全ての軍隊を撤退させろ、即刻ぅう!! そしてえぇい遠にどぅああ!! 真紅のジハードは、要求が通るまでアメリカの主要都市を毎週、ひ と つ ず つ! 破壊していくことを宣言する。ただし、一つ目の核弾頭はこの無人島で爆発させる。我々の力を世界に示すために、我らの人命尊重の意志の証として! しかしだ! 要求がいれられない時は、我らは迷うことなくアメリカの主要な都市へのばぁくだん攻勢を開始するだろう! 週にひとつぅ!!」

ハリーに証言をさせた上での真紅のジハードの犯行声明を録音開始。
正にテロリストの長らしい過激さに満ちた宣言ではあるものの、直後に本作屈指の迷シーンがある所為でどうにも霞みがち。
おまけに若本版はまたしてもイントネーションがおかしくなってるし。


「電池切れだ……」
「バッテリー切れです……」


「交換してこいマヌケェ……!」
「切れたらさっさと入れ替えろマヌケェ……!」

唐突に撮影中の部下がカメラを下ろして何事かと思いきやバッテリー切れである。
無言でつかつかと近寄っていったアジズが発したのは予備のバッテリーを持って来いの一言。
あんだけ大真面目に高らかに宣言していたのにやり直しとあってはキレたくなっても無理はない。

……が、アジズはバッテリー交換を指示しただけで特に部下を罰していないこのシーンが妙に印象的だった所為なのか、
他シュワ映画で部下に非道なことをする敵役が出てきた際に、アジズは部下に優しかったのに、と比較されるという妙なことに。*1
とは言え、序盤のトイレでの乱闘シーンでは部下の一人をマシンガンで蜂の巣にしたり、上記のシーンでも部下は汗だくでガタガタ震えていたりとやはり恐ろしい人物であるのには変わりない。


「アジズ!」
「おいアジズ!」

「ぬぅわんだぁあ!?」
「なんだおっ!?」

更に直後、ハリーが仕込んでいた発信機を発見した部下に呼ばれて咄嗟に返した一言。
真面目に考えれば演説のやり直しに加えてこの上何かまだ面倒があるのかとブチ切れたシーンなのだろうが、
若本版はおろか樋浦版すら声に腰が入りすぎてるのでこれまたギャグにしか見えない悲劇。


「その前にボデーチェックだ! そのくらいわかるだろう!」
「その前にボディーチェックだそれくらいわかるだろう!!」

マイアミビル占拠中の一コマ。
自分たちの声を伝え届けるテレビ局の人間がやってきて、中に入れるか尋ねてきた部下への返し。
これまた凶器の類を持ってないか確認するのが当たり前という極々普通の返しの筈なのだが、
ここまで積み重ねてきた描写が描写なのでこういったシーンすらシュールに映ってしまう。


「これは紅のジハドからの声明だ。我々の威力は思い知っただろう! この街を破壊から救いたければ、決して我々に歯向かうな! 我々は死を恐れたりはしない! あそこのカギを捻れば、この街の200万人の命が瞬時に消える!」
「これはあ、我ら真紅のジハードの声明である。我々の力はもう十分わかったはずだ。この街を破壊することが目的ではない、街を救いたければ無駄な抵抗はするな。我々は、全員が死を覚悟している! 私があのキーを回せば、この街の200万人の市民が死ぬ、一瞬にしてだ!!」

テレビ局のカメラに向かっての高らかな演説パート2。
今度はバッテリー切れの心配も無いので、自分たちの意志をしっかり伝えられる筈だったのだが……


「あのカギだ! ……(二度見)……誰だ抜いたのは!?」
「あのキーだ! ……(二度見)……どぅあれだキーを抜いたのはあ!?」

テレビ局のアナウンサーに尋ねられて指差した筈が、ある筈のカギが無いことに憤慨しての叫び。
直前の神がかり的なタイミングの二度見といい、最早完全にギャグと化してしまっている。


「どぅわああああいやぁああああ!!」
「うぅおおりゃああああああああ!!」

ハリーの操る戦闘機に命綱無しで決死のダイブを敢行した際の咆哮。
中盤のバイクダイブといい、死を恐れないという宣言が口先だけではないのが良くわかる。
尤も、今までの積み重ねの所為で最早何をやってもギャグなのだが。


「今すぐ着陸させろ早く!! でなきゃ殺す! 着陸させろ! 今すぐ!」
「娘をぶっ殺すぞいいのかぁあ!! ぶっ殺してやる! 着陸させろ!! 今すぐにぃ!!」

拳でボコボコ、戦闘機後方に吹っ飛ばされ、金的に大ダメージと散々な目に遭い、
たまたま一緒に引っかかっていたサブマシンガンでハリーと娘のディナを脅してのセリフ。
ここまでされて完全にキレていたのか凄まじい形相で飛び掛らんとしていたが、
ハリーの奇策によって直後にミサイルごと射出されてしまという末路を迎えたのだった……










追記・修正は真紅のジハードの同士がお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • トゥルーライズ
  • アート・マリック
  • 樋浦勉
  • 若本規夫
  • 真紅のジハード
  • テロリスト
  • 砂漠の毒グモ
  • 部下には優しい?
  • バッテリー切れ
  • 二度見の達人
  • アジズ
  • リーダー

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月04日 01:31

*1 特に「コラテラル・ダメージ」のクラウディオは、アジズと同じテロリストだが、ミスを犯した部下を拷問し殺害する極悪人なため比較されがち。