クバル(動物戦隊ジュウオウジャー)

登録日:2017/01/25 Wed 8:53:00
更新日:2024/04/17 Wed 04:54:01
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面白い!貴方達はやはり倒すより、ゲームの障害として生かしておくほうが楽しくなりそうですね


クバルとは、『動物戦隊ジュウオウジャー』に登場する敵組織『宇宙の無法者デスガリアン』の幹部(チームリーダー)の一人。

CV岩田光央
スーツアクター:清家利一

身長/205cm(チェーンコンティニュー身長/41.0m)
体重/194kg(チェーンコンティニュー体重/388.0t)
対応機種/フェイスティッカー、スイッチュウシャー、ボルテックナックル
ジャンル/人工鉱物


【概要】

金色のマント状のパーツを装備した細身のロボットのような身体に、電球のような丸みを帯びた頭部が特徴。
自らを「賢しきチームリーダー」と自称する慇懃無礼で丁寧口調な頭脳派。
精神的に生物を甚振り苦しめることを得意とするプレイヤーで構成された「チーム・クバル」を率いて数々の星を滅ぼしてきた。
コンティニューメダルの投入口は左肩。


【人物】

貴族めいた優雅な言動や態度が特徴的だが、その本性は陰険且つ陰湿な性格で、ターゲットを精神的に甚振る事を好む。
短気なアザルドとは反対に気が長いタイプのようで、「じっくり作戦を練ってから実行する」というゲームスタイルを取る。
しかし知性的な反面プライドも高く、ルールに拘ったりと若干神経質気味な一面があり、豪快なアザルドとはそういった意味でも正反対な気質。
アザルドとは異なり、自身のチームのゲームに介入する事は皆無である。

正反対な性格のアザルドについては内心馬鹿にしている節もあるが、実力自体は認めている。
ただし、アザルドの再生能力は知らなかったようで、その点では「卑怯者」呼ばわりしている。
二人して前線に出た時には、不死身のアザルドをちゃっかりにしたことも…。???「近くにいたお前が悪い」


中盤ではバングレイの暗躍によりデスガリアンの面々にも秘匿し、知られたくなかった隠された過去があることが判明。
バングレイと共謀して物語の裏で暗躍し、中盤の物語を盛り上げる役目を果たした。過去の経歴だけを見れば哀しき悪役として扱われる資格を満たしており、視聴者からは自分の正義を果たすために敢えて悪の組織に潜入したのではと考察されたり、ヒーローとの本格的な共闘を期待した声も多かったのだが...


【戦闘能力】

過酷な他星の環境へ適応可能なバイオ手術を自らに施したハーフメカニカルボディの持ち主。
知略を好む頭脳派であるがチームリーダーらしく戦闘力も高く、メインウエポン「フェイスティッカー」を武器に、バングレイと真っ向から互角に渡り合える実力も兼ね備えている。
また己の肉体一つで戦いを挑むアザルドとは対照的に小道具を扱うことが多かった。
終盤バングレイを裏切り彼の右手を切り落として奪った後は彼の右手を自身の腕に移植することでバングレイの記憶具現化能力も獲得した。

最終決戦でチェーンコンティニューにより強化・巨大化した際は、ジニスの過剰エネルギーを受け伸縮自在の光の触手を無数に操る能力も発現。
生み出された光の触手はジュウオウジャーの巨大ロボを軽々と投げ飛ばすほどのパワーでジュウオウジャーを苦戦させた。


装備

  • フェイスティッカー
細身の「電磁レイピア」と、高層ビルを一撃で破壊するほど強力な破壊力の光弾を放つ「超ハンドガン」の2種類の形態に可変するトリッキーな武装。
ハンドガン形態では光弾だけでなく青い大出力ビームを撃つことも可能。

  • スイッチュウシャー
7話で使用。
生命体を分解して内部に取り込んだ後、別の生物にその生物の成分を注入することで2種類の生物を合成できる銃。
この機能でアムとメーバを合成させアムメーバへと一時的に変貌させた。

  • ボルテックナックル
40話で制作。レオの知り合いの少年に使用させた。
殴った対象に高圧電流を流して追加ダメージを与えるガントレット。


【劇中での行動】

基本的に破壊活動はプレイヤーの仕事なので、他のチームリーダー同様地球で何か作戦や事を起こす事は皆無。
アザルドと違いプレイヤーのゲームに介入しないスタンスを取る為か、自分から地球に出撃する事は極めて少ない。

しかし中盤バングレイの乱入により、実は過去にジニスの主催したブラッドゲームで故郷の星を滅ぼされていたことが判明し、その記憶を読み取ったバングレイに警戒心と敵意を抱くようになる。


随分焦ってんなぁ?さては俺に頭ン中見られたからか?

...!お前、何処まで記憶を読み取れるんだ...?

知りたいか?大したことねぇよ。精々お前の星があいつに滅ぼされたってことぐらいなぁ

......!やはり消えてもらいましょう...!!


そして、彼の心の内に秘めていたものは、故郷を滅ぼしたジニスへの復讐
バングレイを積極的に殺そうとしたのも、自身の考えをデスガリアンの面々に知られるのを恐れての行為であったが、
後にバングレイからの取引を受け、彼と利害の一致による協力関係を築くことになる。
これで悩みの種は解決した……かに見えたが、今度はジニスからあたかも自身の叛意を把握しているかのような態度を取られるようになった。
バングレイの作戦に協力し続けたがもちろん本心ではなく、第35話でバングレイがジュウオウジャーに追い詰められた際、裏切って彼の右手を切り落とした。

テメェ…!!

おや?まさか…何時までも私が手を貸すと?ありえないでしょう
奴等の言葉を借りるなら……私とあなたに“仲間の繋がり”なんて無いのですから

何を…!?手駒の分際で!!

……餞別です。良かったら使って下さい

餞別としてコンティニューメダルを残しただけでも「一時的に共闘したので謝礼を与えた」と考えるべきか。尚、キューブホエールの捕獲の際、自分の作戦を無駄にしたことを咎めるが「ジニスが巨大鯨ちゃんを狙っていたことを知らなかったんだろ?敵のことはよ~く見とかねぇと復讐なんて夢のまた夢だぜ?」と返されていたがこの時のジニスの行動がクバルを破滅を導くきっかけになる。

強奪したバングレイの手は自身に移植。プレイヤーのブラッドゲームの裏で右手の能力のテストを行うようになるが、
そのテスト方法もやはり実体化させた存在を利用しジュウオウジャーの良心に付け込んで彼らを罠に嵌めるという卑劣な手段である。

そして遂に……


最初で最後のチャンス


ジニス!貴方は覚えていないでしょう…!
私の生まれた星の名前も、貴方に蹂躙された一族の顔も!
恐怖と憎しみを抑え、この時をどれほど待ち焦がれていたか……!

ジニス!この星が、今日お前の墓場になるのです!!

第41話では奪ったバングレイの右手のテストも終え、持てる手札の全てを切って遂にジニスに反旗を翻す。
ナリアを捕え、彼女を介して実体化させたアザルドを利用してジニスを地球に誘き寄せることで、サジタリアークから離れた事で弱体化したと見られるジニスに対し、
  • 偽の操(本物は奇襲で痛めつけた上で変身アイテムを奪われている)を生み出し、誘き出したジュウオウジャー
  • ナリアの記憶から実体化させたチームクバルのメンバー(ハッテナー、トランパス除く)とアザルド
を使いジニスを包囲。
たった1人に対し過剰火力とも言える人数を揃え、更に偽の操を使ってジュウオウジャーを焚き付けて自身の作戦に協力させる事にも成功。
合計13名による一斉攻撃でジニスを確実に仕留めようと目論んだ。

しかし、ジニスがシン・ジニスに変貌したことと、最初から自身の叛意を見透かされていた事実を彼に告げられたことで計画はあっけなくご破算。
持てる手札も全て一蹴されて失われた。
加えてジニスに今まで放置されていたのも、全ては「クバルが自分への恐怖と憎悪を押し殺し、必死で足掻く姿を眺めて愉しむ」という悪趣味なゲームの一環。
クバルにとっての「最初で最後のチャンス」は、全てジニスの掌の上の行動でしかなかったのである。

こうして故郷を滅ぼした怨敵であるジニスに徹底的に心身を嬲られた事で、クバルは恐怖と絶望で完全に精神が屈服。恐怖に怯えて無様に逃走してしまった。


終わりだ…!終わりだァ…!!殺されるゥ!!ジニスは私を追ってくる!!
甚振って…弄んで…絶望するまでしゃぶり尽くして殺す!!

私は一体どうすればァ!?


そして……

私が生き残る為には……これしかない!









復讐鬼になり損ね、絶対的な恐怖に屈した愚者の末路


ご覧くださいジニス様ァ!!
これが私の罪滅ぼし!いえ!新たな『ブラッドゲーム』の始まりです!!
日没までにこの星の生き物共を全て滅ぼしてご覧にいれます!!

ですからぁ…どうぞお助け下さいィ!!ブラッドゲーム勝利の報酬として!

どうか!私の命をォオオオオオオ!!!


クバル!?
何やってんだ、アイツ!


なるほど。そうきたか(・・・・・)……



辛くも逃げ延びたものの、「このままではジニスに玩具として嬲り殺される」と思い込み、絶望の末に発狂。
ジニスの恐怖から逃れる為、そして何より自分が生き延びる為に、「日没までに地球の全生物を1人で絶滅させる」という無茶苦茶なブラッドゲームを強引に作ってエントリー。
ゲーム成功の報酬で自身の命を助けてもらうという命乞いも含めた破れかぶれの行動に出た。
発狂したためか今までの余裕ぶった態度やゲームスタイルは失われ、錯乱しながらジニスへの忠誠と命乞いを叫び街を焼き払うという、今まで臥薪嘗胆の思いで復讐を目論んでいた男とは思えない無残な姿であった。

当然ジュウオウジャーがその様な暴挙を見逃す訳は無く、操を除いたジュウオウジャー5人と交戦。
自分達に協力を持ち掛けてまでジニスを倒そうとした事は一応理解していた為、「お前も母星を滅ぼされ、大事な仲間を奪われたからジニスを倒そうとしたんじゃないのか!?」大和は説得を試みるも、


フン!知った事かァ!!お前達も見ただろう!?ジニスのあの凄まじく、凶悪な強さを!!
我々が幾ら足掻いたところで無駄なのだぁ!!
生き残るためなら私は、プライドも何もかも捨てるゥ!!


こんな星の事など、どうでもいいわァ!!


と逆上しながら吐き捨てるその姿は、最早被害者でも復讐者でも何でもないただの狂った小悪党そのもの。

これまでのクバルの言動や行動などから推測できる彼の復讐の実態は、正義感の欠片もない自分本位で身勝手な極めて独善的なものであり、デスガリアンに加入した目的もジニスを倒すためだけの一点のみだった。
故郷を愛していた心やジニスに対する怒りは紛れもなく本物であったが、ジニスに最も近い立場であるチームリーダーの地位に上り詰めた裏にはクバル自身が多数の星の破壊に貢献した可能性も考えられる。
目的のために多くの星々やそこに住まう生物を容赦なく始末し、それや地球侵略に対する罪悪感すら皆無どころか嬉々としてブラッドゲームに参加していたため、復讐以外の事は全く眼中になく、自分自身が外道に成り果てていた事にも気付いてなかった節が窺える。

その身勝手極まりない態度により、復讐に巻き込まれて翻弄された事や、に重傷を負わせた事に怒りを爆発させたジュウオウジャーによって等身大で倒された。
が……


フン……!ジニス様のご慈悲に…感謝なさい!!

ウオオオーッ!ジニス様ありがとうございます!このブラッドゲーム、必ずや成功させてみせます!


身体に漲るジニス様の御力…!味わうがいい!!

しかしジニスにとっては非常に楽しめたのか、ナリアにコンティニューを指示。今までのプレイヤーとは違う連コイン連続のメダル投入「チェーンコンティニュー」により巨大化。大幅なパワーアップを果たした。ジニスには絶対服従の姿勢であるナリアも今回ばかりは困惑し、ジュウオウジャーもナリアの行動に違和感を感じていた。
故郷を滅ぼした怨敵の筈のジニスに喜びながら感謝を捧げる姿は痛々しく、この時点で精神は完全に破綻。
これまでの復讐心もプライドも何もかも投げ捨て、自身が助かる為に地球の全生命を生贄に捧げるべく暴れ続けるクバルの猛攻に押されるジュウオウジャーだったが……

ハハハハハハハ!貴様らの命が私を救う!とどめだ!

させるかあぁーっ!!ハアッ!!

俺はもう逃げない!ジニスがなんだっ!デスガリアンがなんだっ!
俺には…みんながいる!
昔の俺とは…レベルが違うんだよぉおおおお!!!

だがそこで待ったをかけたのは、自分と同じくジニスに玩ばれ、恐怖と絶望を心に刻み込まれながらも、仲間の為に恐怖を振り払い駆け付けた操であった。
恐怖を乗り越えた操はインターセプトすると同時にクバルを吹き飛ばして仲間を救出。こうしてジュウオウジャーは危機を脱出し反撃を開始する。


ハハハハハハハハハ!
……皆がいる?ふざけるなァ!!
この星は私のジニス様への手土産!それ以外の未来は、ない!

……この星を、なめるなよ


操の変化を目の当たりにしてもなお、自身が生き延びる事しか眼中になく、絶望に抗おうとするジュウオウジャーを嘲笑うが、勢揃いしたジュウオウキングオクトパス、ジュウオウワイルド、トウサイジュウオー、ドデカイオーの一斉攻撃の前にはジニスによりパワーアップした力も押され始める。
そして…


クバル!お前が負けた恐怖に、みっちゃんは勝ったんだ!

そのみっちゃんが俺たちを勇気づけてくれた…!

もうお前なんかに負けない!! 今度こそ最後だ!

まだだ…っ!まだ私はァ!!


ジュウオウドデカダイナマイトストリーム!!


ジニス様ァアアアアアアアアアッ!!!


ジニスの恐怖を乗り越えた操の変化を実感したジュウオウジャーから、操と違い仲間がいなかった故、ジニスへの恐怖を振り払えなかった事を指摘され、彼らに圧倒された末に最後は4体が合体したワイルドトウサイドデカキングの必殺技『ジュウオウドデカダイナマイトストリーム』の前に敗北。
死の瞬間までジニスへの恐怖から逃れることもできず、ジニスへの救いの懇願を叫びながら爆散して戦死した。


“面白かった”よ。クバル……


故郷の唯一の生き残りとして、その敵を討つために復讐を果たそうとした男の末路は、
復讐の行動は勿論、全てが失敗に終わって恐怖と絶望に沈み、生き残るべく怯え発狂しながら死んでいく様すら「ゲーム」としてジニスへの見世物として扱われるという、余りに哀れで無残極まりないものであった。しかし、ジニスさえ倒せれば他の事はどうでもいいという身勝手な考え及び、復讐の過程で数多の星の生物を甚振って弄んできた事は決して許されないものであり、デスガリアンの一員に相応しい因果応報の最期を迎えたのだった。
そして、それを示すかのように第43話からのOP映像からクバルの姿は消えていた…。

その後、アザルドやナリアも自身とは違う形でジニスにより破滅させられ、そのジニスもジュウオウジャーに倒された事で、クバルの故郷を含めた多くの星の無念が晴らされた。


Vシネマ『帰ってきたジュウオウジャー』では生前の記憶を持った再生怪人としてポカネの手で蘇生させ復活。
ジニスが死んだことを知ってほくそ笑みながら、ジニス亡き今、ジュウオウジャーを滅ぼして地球を我が物にしようとする下衆な野望を見せるが、
成長を遂げていたタスクの野生開放の一撃を受けて敗退。二度も死ぬことへの嘆きを訴え爆散した。


▼チーム・クバル

クバル配下の宇宙人達。
全体的な知能指数は高めな傾向にあり、彼らが考案したゲームはジニスから好評価を得ることが多かった。
詳細はこちらを参照。



【余談】

ジャンル名の人工鉱物とはその名の通り「人間の手で作られた鉱物」の事。
代表的なものとして、融点の低いビスマス石を人工的に溶かし、急速な再結晶を誘発させた「ビスマス結晶」がある。
ビスマスは猟銃の弾丸の材料となる他に「心に余裕をもたらす」効果のパワーストーンとしても扱われるが、砕けやすい為装飾品には向かないとされる。
これはクバル自身の貴族的な振る舞いを表していると同時に、劣等感に塗れたジニスにとって精神崩壊した挙句に自分に命乞いしながら死んでいったクバルは、まさしく自尊心を満たし、心に余裕をもたらしてくれる「玩具」だったという事なのだろう。
何せ地球でのブラッドゲームでジニスからの評価が最も高かったのは、クバルの一連の反逆劇そのものだったのだから…。

デザイナーの篠原氏によると、「正体は地球人と同じ炭素系生物であり、かつては別の軍団を抱えていた一軍のボス」という裏設定でデザインしたとのこと。
鉱物要素は外付けのアーマーという形で表現され、本来大ボスに使われている要素*1を中途半端にすることで過去の経歴を匂わせている。


また名前の由来は恐らくドイツ語で苦痛を意味する「Qual(クヴァール)」だと思われる。


延長戦といきましょうか。ナリア、追記・修正です。


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最終更新:2024年04月17日 04:54

*1 立った襟や広がる裾