馬飼野康二

登録日:2017/09/28 Thu 17:53:00
更新日:2024/09/12 Thu 19:54:22
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馬飼野康二(まかいの こうじ)とは、愛知県豊橋市出身の作曲・編曲家である。
70年代に作曲・編曲活動を開始しており、多くの人気アーティストに曲を提供した。
その他CMソングやアニメやドラマ・映画作品の音楽制作にも手掛けている。
彼の兄、馬飼野俊一も同じく作曲家で結婚式ソングの定番「てんとうむしのサンバ」を手掛けていた。

【来歴】

1948年、愛知県豊橋市で誕生。
父親は元々バックバンドや、ご当地ソングの作曲をしており、その影響で幼少期から音楽を親しむようになる。
音楽好きが生じて音楽の専門学校に進学したが、「ブルー・シャルム」というバンドでデビューするため退学してしまう。
しかしこの「ブルー・シャルム」は活動期間およそ3年、わずか4枚のシングルを出しただけで1970年に解散してしまう。
とはいえ、このグループがきっかけで後に彼が多くのジャニーズアーティストに曲を提供する事になるのであった。

解散後の1972年、西城秀樹の「チャンスは一度」で編曲活動をしたことがきっかけで作曲・編曲活動を本格的にスタートさせる。
和田アキ子の「古い日記」、松崎しげるの「愛のメモリー」、ベルばらや『プリンプリン物語』、『忍たま乱太郎』と、誰もが知る作品を数えきれないほど生み出すこととなった。
そして1980年からジャニーズアイドルへの曲提供を本格的に行い、光GENJIやSMAP、関ジャニ∞等々ジャニーズの有名グループの大ヒット曲を手掛けていた。
現在も『忍たま乱太郎』や若手ジャニーズアイドル、その他のアーティストにも曲を提供するなどして作曲・編曲を続けている。

【音楽性】

彼の音楽性を一言で表すならば、なんでもありということである。
昭和の渋い歌謡曲、演歌調の曲を手掛けたかと思えば、80年代の元気満開なアイドルソングを手掛けたり、熱血漢溢れるアニソンを手掛けたりもしている。
そして90年代以降にはRAPを積極的に使っている。
また彼の生み出すメロディはどこか70、80年代風の懐かしさを感じさせるものがあるがその時代に合わせたアレンジによって、違和感なく仕上げられている。
ちなみに、4つの音頭曲を生み出していたりもする。*1

【馬飼野康二と昭和アイドルソング】

70、80年代は特に多くのアイドルたちに曲を提供しており、その多くは誰もが知る名曲となっている。
実際に彼の手掛けた曲で
  • 石野真子「ワンダー・ブギ」「ハートで勝負」
  • 和田アキ子「古い日記」
  • 松崎しげる「愛のメモリー」
  • 西城秀樹「傷だらけのローラ」「ブルースカイブルー」
  • 河合奈保子「大きな森の小さなお家」「スマイル・フォー・ミー」
  • 小泉今日子「艶姿ナミダ娘」「渚のはいから人魚」
などは70・80年代ヒットソング集といった音楽番組の特集で何度も取り上げられている。
しかもこの内7曲は紅白歌合戦でそれぞれの歌手が歌唱している。*2
また、編曲だとキャンディースや山口百恵のシングル曲ほぼ全てを手掛けていたりとこの時代ではたいへんな売れっ子作曲・編曲家であったことがうかがえる。

【馬飼野康二とジャニーズ】

馬飼野康二が初めて関わったジャニーズのアイドルはフォーリーブスである。
その後、かつて活動していた「ブルー・シャルム」のメンバーの1人がジャニーズ・エンタテイメント代表取締役社長に務めていたことがきっかけで、近藤真彦の「ケジメなさい」を皮切りに、ジャニーズのアーティストへの楽曲提供を本格的に行っていくことになる。近藤真彦以降にデビューしたアイドルは数えきれないほどたくさんいるが、そのなかで馬飼野康二と一切関わった事がないのは、今のところTOKIOV6だけだというほど、数えきれないほどのジャニーズのアイドルに関わっているといえる。
その中で男闘呼組、忍者、SMAP、嵐、NEWS、関ジャニ∞、Hey! Say! JUMP、A.B.C-Z、Sexy Zoneはデビューシングルの作曲担当が彼であるという共通点がある。*3
SMAP以降にデビューしたジャニーズアイドルの傾向として、デビューして間もないジャニーズアイドルにたくさん曲提供しており、デビュー5周年突破などである程度経てば曲の提供がなくなる。

また、デビューしたアイドルだけでなくデビュー前のジャニーズJrのアイドルたちにも楽曲を提供しており、その中でジャニーズJr黄金期に誕生した「明日に向かって」、Jr内グループのMr.King vs Mr.Princeの「サマー・ステーション」がその一例。

本人曰く作った中で特に思い入れのある曲は光GENJIの「勇気100%」、KinKi Kidsの「愛されるより愛したい」、嵐の「A・RA・SHI」であるとのこと。

【馬飼野康二とアニメ】

彼が初めてアニメ作品を手掛けたのは1978年の『新・エースをねらえ!』ある。
そこから『ゲームセンターあらし』、ぴえろ魔法少女シリーズの3作品*4、『ヤダモン』などといったアニメ作品の音楽を手掛けている。
また、『プリンプリン物語』といった人形劇作品や、特撮作品である『宇宙刑事ギャバン』のOP・EDテーマの編曲、『兄弟拳バイクロッサー』の挿入歌にも手掛けていた。

その中で特に知名度が高いのは、『ベルサイユのばら』のOPテーマ「薔薇は美しく散る」や『アンパンマン』のEDテーマ「アンパンマンたいそう」であろう。
「薔薇は美しく散る」は中世のフランスを舞台としたベルばらの世界観と非常にマッチした曲であり、宝塚歌劇団のベルばら公演でも必ず歌われている。
そして「アンパンマンたいそう」は、未だに乳幼児に根強い人気を持つ作品とだけあって子供から大人まで広く知られており、子供向けの歌というだけあって誰もが歌えるような元気いっぱいの曲となっている。

また、『忍たま乱太郎』は番組が放送開始してからの長い付き合いとなっており、劇伴・OPテーマ・ほぼ全てのEDテーマを手掛けている。
OPテーマである「勇気100%」は放送開始してからずっと変わらず流れ続けているが、時代の流れとともに5回もアレンジされている。
またEDテーマである「世界がひとつになるまで」は忍たま随一の名曲として親しまれている。
この作品ではドクタケ忍術教室の教師に魔界之小路というキャラクターが登場するが、モデルはもちろん馬飼野康二。
ちなみに、本作のアニメ化のきっかけは彼の娘が原作漫画『落第忍者乱太郎』のファンであったことからだったりする。

そしてスパロボファンにとって特に馴染みがあるのは『戦闘メカ ザブングル』ではないだろうか。
この作品の音楽担当だったためOPやEDテーマ、挿入歌に劇伴と全ての音楽を彼一人が作り出した。
OPテーマの「疾風ザブングル」や挿入歌の「HEY YOU」、劇伴「青い閃光」「熱砂の中を」「ウォーカー・ギャリア」はスパロボでも使われており、そのどれもが世界観に合っているということでスパロボやザブングルファンには評価が高い。
またガンダムシリーズにも携わっており、『機動戦士Ζガンダム』の後期OPテーマ「水の星へ愛をこめて」の編曲をしたり、『新機動戦記ガンダムW』のOPテーマ「JUST COMMUNICATION」の作曲をしていた。

現在は忍たま以外のアニメに関わることはめっきり減ったが、『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』のOPテーマ「Hey World」を手掛けたりと全くないわけではない。


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最終更新:2024年09月12日 19:54

*1 酒井法子「のりピー音頭」、山瀬まみ「マイケル音頭」、SAY・S&忍たまファミリー「忍たま音頭」、U-18四天王「ナナナ音頭」

*2 石野真子「ハートで勝負」、和田アキ子「古い日記」、松崎しげる「愛のメモリー」、西城秀樹「傷だらけのローラ」「ブルースカイブルー」、河合奈保子「スマイル・フォー・ミー」、小泉今日子「渚のはいから人魚」

*3 さらにその中でも忍者、SMAP、嵐、NEWS、Sexy Zoneは歌詞の中に自分たちのグループ名があるという共通点がある

*4 クリィミーマミ、ペルシャ、ユーミ