プリンプリン物語

登録日:2011/09/10 Sat 09:00:31
更新日:2024/08/28 Wed 21:30:26
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『プリンプリン物語』は、1979年~1982年までの3年にわたりNHK総合で放送されていた人形劇。

【概要】

ひょっこりひょうたん島』の流れを汲むNHK人形劇。本作はそのシリーズの1作であり集大成ともいえる作品である。

主人公であるプリンセス・プリンプリンはNHK連続人形劇としては唯一の単独主人公であるヒロインだった事から女児の間で絶大な人気を博した。また、もぐらたたきやルービックキューブといったその時々に世間で流行った品が出てきたり、民放他局の番組や当時放送中だったテレビアニメのパロディネタをふんだんに取り入れる、果てには人形作家に作曲家、作者と裏方スタッフが顔出し出演するという当時のお堅いNHKらしからぬ演出をした事も多々あった。さらには悪役という立ち回りの武器商人・ランカーに対して保守系の国会議員がNHK側に「偏向だ」と批判する動きもあったという。

直前の18時から20分間は子供向けの生放送による情報番組『600こちら情報部』が放送されており本作とセットで見ていた子供達も多かったであろう。

番組は当初1年で終わる予定だったそうだが結果3年間に渡り続いた末、この『600こちら情報部』と本作の後の18時40分から20分間放送されていたローカルニュース*1をそれぞれ30分ずつに拡大する事が決まったため1982年3月で終了。それと共に『チロリン村とくるみの木』から26年続いた人形劇の制作も一度廃止となった。人形劇は半年後の1982年10月から始まった『三国志』で再開し、次作『ひげよさらば』終了まで継続された。

ちなみに年度末の3月後半、8月全ての週、12月下旬はいずれも放送が休止されていた。これは高校野球や大相撲とは関係なく、学校が休みに入るこの時期のこの時間に特集番組*2が集中して組まれるための措置。

【あらすじ】

アル国アルトコ県アルトコ市の港にて、一人の赤ん坊と一匹の猿を乗せた籠が流れついた。
赤ん坊は女の子で、漁師達から「プリンプリン」と名付けられた。
そしてプリンプリンが14歳になったある日、仲間達と共に母親、ならびに祖国探しの旅に出るのであった。


【物語の展開】

オサラムームーから始まり、
アクタ共和国、バルンバ帝国、マンガン王国、ネチア、ケントッキー、ドオンブリカ、ピテカンドロップオシモサク、デルーデル、ウンゴロ連邦、タンガラトントン、ガランカーダ

……といった感じ*3で物語が進んで行く。
それぞれの国々では大抵政争が起こっており、一見平和な国もその平和は歪んだ国家体制に基づいたかりそめの物にほかならない。
プリンプリンという子供の視線から、争いを繰り返す大人の愚かしさと悲しさを描く社会風刺劇、という性質を強く持った作品である。


【再放送と散逸】

そんなわけで、ぜひとも大人になった人々にこそ観てもらいたい作品……だが、残念ながらいまだ一部が欠落している。本放送当時はビデオテープが高価で、上書きして使い続けるのが普通だったためだ。

当初は大部分の話が視聴可能な状態になく、2003年に教育テレビで再放送が行われたものの、記録されていたビデオテープが他に再利用される等で映像が失われてしまった。
このため、当時はまともに放送されたエピソードは後半1/3程度にとどまり、前半~中盤についてはわずかに残っていた映像を第2回にダイジェストで紹介するに留まっていた。
このため、NHKではNHKアーカイブスに全話を収録するプロジェクトを行なっており、現在も『プリンプリン物語』の記録されたビデオテープを募集している。
そして2010年代にはスタッフ・出演者・人形操者・一般視聴者からの提供等によって殆どの話が集められ、2017年7月からBSプレミアムにて2度目の再放送が行われた。この時は放送用VTRで残っている第1話に加え、提供された家庭用テープによって欠落なく補完された2〜50話が放送された。
更に7年経った2024年10月からは、同じく1〜50話を今度は地上波初再放送としてEテレで放送することが決まった。
もし録画された記憶のある方がいれば、ぜひともご実家のビデオを漁ってみてほしい。

なお、2023年1月時点では全656回中、全編未発見1話分・一部欠落分5話分まで迫っているとのこと。


【キャラクター】

  • プリンプリン
声:石川ひとみ
主人公。優しさと気丈さを持ち合わせた、歌がとっても上手い女の子。
出自は不明なのだが、それでも『プリンセス』であることに疑いをもたれることがない。ちなみにプリンプリンという名前は上記の通り籠を拾った漁師達が名付けたが、その際になんと漁師達がアルトコ市の市役所へ申請に訪れる描写がある。戸籍などの書類が一体どうなってるのかは明確な描写が無いので不明だが。
15歳になったある日、本当の母親、そして本当の祖国を探す為、仲間達と共に旅に出る。

ちなみに中の人は新人アイドルで、本編やエンディングにも度々顔出し出演しており、ある時にはランカーがかけたレコードの曲として代表曲「まちぶせ」が劇中で流れた挙句にレコードジャケットまで出てきたり、デルーデル編では途中で上記の休止期間が挟まったため劇中で放送休止のお知らせをするためにわざわざ出てくる回*4もあった。放送末期の1981年大晦日には紅白歌合戦にも「まちぶせ」で出場し、そこでもその時の紅組司会だった黒柳徹子に「プリンセス・プリンプリン」と紹介されている。
番組終了後は後の朝倉南、クリィミーマミや光GENJIの紫色が出演する歌番組で司会を務めたり、お部屋にニャンちゅうがやってきたりした。

  • ボンボン
声:神谷明
プリンプリンの仲間の一人。喧嘩っ早くてやきもち焼きでギターが得意な少年。
プリンプリンの事が誰よりも一番好きでボーイフレンドを自称しているが、肝心の告白は大抵上手くいかない。
中の人はリアルでも番組VTRを多く保存していた。

  • モンキー
声:斎藤隆
プリンプリンのペットの猿。ランカーの天敵。
彼の出身地からプリンプリンの故郷を割り出そうとするが……?

  • カセイジン
声:堀絢子
プリンプリンの仲間。名前と違って火星人ではなく地球人。というかこの名は本名ではなくあだ名の可能性もある。
いわゆる敬語口調哲学者メタ発言も時々発する。
ルールールールー予感です、予感がします。実際は予知能力。でも内容な抽象的。
中の人はかつて『ひょっこりひょうたん島』で美少女キャラ「プリン」を演じ、オサゲ声の医師と共演していた。

  • オサゲ
声:はせさん治
プリンプリンの仲間。名前そのままに長い赤毛をおさげにしている。
後ろ姿だけだと男の娘。実際は腹ペコキャラの男の子。

  • ランカー
声:滝口順平
ヘドロ達のボス。
ダマスクセに本社を置く兵器会社「ランカー商会」の社長で、俗に言う「死の商人」ながら社会的には「名士」として扱われている。
プリンプリンを自分のお嫁さんにしたがっており、表の名声のせいで彼女達がランカーの変態性はた迷惑な執着での被害を訴えても周囲に信じてもらえない事が旅に出る切っ掛けの一つとなった。
はっきり言ってロリコン。しかも結婚したい理由は「(プリンプリンがどこかの国の王女様というのが前提で)一国の王になれるから」ととっても打算的。
実はガランカーダ人で、13人兄弟の長男。末っ子のランミーも後々登場する。

  • ヘドロ
声:眞理ヨシコ
ランカーの部下。
プリンプリンを「小汚ない娘」と呼んではランカーから叱責されている姉御。それでもランカーのことが好き。
実は中の人は『おかあさんといっしょ』の初代「うたのおねえさん」。

  • チンタム
声:キートン山田
中華風の男でランカーの部下。
「はいはい、此方ダマスクセのチンタムです!」

  • ゼロゼロセブン・ヘンナキブン
声:神谷明
ランカーの部下。名前の通りスパイ
由来は『007』で間違いないだろう。

  • シドロ&モドロ
声:パンチョ加賀美/猪熊虎五郎
ランカーの部下。チビがシドロ、ノッポがモドロ。
シドロがオサラムームー人、モドロがタンガラトントン人。
が、後者の設定は後になかった事にされた。

  • 花のアナウンサー
声:つボイノリオ
アルトコ中央テレビ(略してアル中テレビ)のアナウンサー。本作のナレーター的存在でもある。
ぼさぼさの髪とタラコ唇がトレードマーク。
いわゆる狂言回しで、どこでも現れるがストーリーには干渉しないスタンス。

ちなみに中の人は名古屋では知らない人はいないラジオDJ兼シンガーソングライターだが、NHKでは絶対に放送できない様な歌で有名だったりする。

  • イモのアナウンサー
声:増山江威子
花のアナウンサーの妹のアナウンサー、略してイモのアナウンサー。副業でエレベーターガールもやっている。
やはりタラコ唇がトレードマーク。狂言回しとしての兄のサポート役を務める。

  • 軍曹
声:緒方賢一
元々はルチ将軍の部下だった小太りの男性。語尾に「~でございますですよ」とつけて喋る。名前が無い。
主亡き後、サブレギュラーとして度々登場する。行く先々で何かしらの仕事については働いている様子。

  • ルチ将軍
声:神谷明
アクタ共和国に独裁体制を敷く頭がデッカイ将軍。ことあるごとに知能指数1300を自慢する。
元々は墓守りの老人だったが、隕石と合体してこうなった。
その知能指数が『空想科学読本』で取り上げたため、リアルタイム世代でない人にも地味に知られている。

  • ケーチャップ
声:中尾隆聖
デルーデルの大統領・スーパゲッチの一人息子。
ボンボンとはプリンプリンを巡って喧嘩した事もある。
母親はポリス長官・マカローニ夫人。

  • トントン
声:富山敬
タンガラトントンの王子。
実はサイボーグで、彼の祖国は科学者が間違いを犯した為、子供が生まれなくなっていた。今では人間そっくりのロボットが増えつつある。
プリンプリンにプロポーズをするも、見事に玉砕。

  • 老婆
声:堀絢子
タンガラトントンで生まれた最後の赤ん坊。つまりは最後のタンガラトントン人ということになる。
若いころはプリンプリンにそっくりで、トントンに対し、「機械の体になってまで生き続けることが彼女にとっては本当に幸せか?」と投げかけた。

  • ディレクター(三波豊和)
シリーズの最初の方と最終回にちょっとだけ顔を出した実写キャラ。設定としては番組スタッフ。
演者は前番組『紅孔雀』の主演役者でベテラン歌手三波春夫の息子。


【シリーズに登場した歌】

  • 三つ子の王子のうた
オサラムームー
長男・アイ、二男・マイ、三男・ミイの三人が、争いごとを止めて、祖国のために歌う歌。

  • ガランカーダの歌
ランカーの祖国・ガランカーダ
バリ島かジャワ島のような音楽が流れる。プリンプリンの民族衣装に注目。


♪さ~あ、未来へ~、追記・修正~

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最終更新:2024年08月28日 21:30

*1 現在は18時10分(地域によっては18時)から

*2 NHKでは単発特番をそう呼ぶ。

*3 他にも滞在せずに訪れただけの国や、描写されるだけ、或いは国名が登場するだけで実際は訪れていない国もある。

*4 この映像は2003年の再放送時もお断りのテロップを入れてそのまま放送された。