藤原啓治

登録日:2010/02/22 Mon 19:36:08
更新日:2025/09/25 Thu 12:52:01
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藤原(ふじわら)啓治(けいじ)は、日本の俳優、声優、音響監督。


プロフィール

生年月日:1964年10月5日
没年月日:2020年4月12日
出生地:東京都
出身地:岩手県北上市育ち*1
血液型:A型
最終所属:AIR AGENCY*2

概要

かつては野原しんのすけの父親の野原ひろし役でお馴染みの役者であった。
一方、ひろしの声のまんまながら、演技力の高さもあって、特徴的な声質を活かしたドスの利いた強面や狂気をはらんだ悪役等も得意としていた。詳細は後述。
また、晩年によく見られた「イケオジ」だけでなく、普通のおじさんを演じてもすっかりハマるというのもまた藤原の技術の賜物と言えよう。
近年では、MCUに於けるトニー・スターク/アイアンマン=ロバート・ダウニーJr.の吹替でも有名であり、関連作品や他の出演作品も演じきった。

声優として活動するようになるのは、劇団時代の同期だったかないみかに紹介された賢プロダクションに所属してからが主。
その後は自ら事務所の代表取締役に就任したり、声優学科の講師を勤めるなど幅広く活躍していた。
また、アニメの音響監督を担当する事もあった。

主な経歴

今でこそ国民的声優だが、かつてはバイプレーヤーとして長い期間下積みを続けていた。デビューがほぼ同期と語る森川智之の活躍具合と比べてもそれは顕著である。
森川はほとんど初の現場で藤原と一緒になってその芝居を見ていた時、明らかに素人レベルのミスを連発しているのに飄々とマイクの前に立ち続けて台詞を読む藤原の姿に「これは大物だ」と目を見張っていたという。
なお御本人は声優の仕事のイロハも知らないのに知っている体で話を通されたため、いかにも経験者であると振る舞わないといけない空気だったという世知辛い事情もあった。

昔は「クレヨンしんちゃんでお父さんを演じている人」以上のイメージを持たれることは少なく、『ゾイド -ZOIDS-』や『ぼのぼの』でレギュラーを演じていてもアニヲタの間でその名が上がることはそう多くなかった。
しかし『鋼の錬金術師』のマース・ヒューズを演じた頃から一気にブレイク。深夜帯のアニメでメインキャラを演じたり、かつてはモブ役での出演が多かった『ガンダムシリーズ』でもガンダム乗りへと出世するまでに至り、その名をアニヲタ界にも轟かせるようになった。
先のヒューズ中佐や『ギャラクシーエンジェル』のウォルコット・O・ヒューイ中佐、『スカイガールズ』の冬后蒼哉などの軍人を担当することも多い(主に上官)。

後年はおおかみかくしなどから、ひろし以外の父親役を演じる機会が増えた他、『マーベル・シネマティック・ユニバース』の『アイアンマン』以降、ロバート・ダウニーJrの吹き替えをほぼ専属で担当するようになった。
あと、死亡するキャラクターの担当もやたらと増えた。
ナレーションでの活躍もだんだんと目覚ましくなり、バラエティや警察24時などほんわかしたものから緊迫したものまでこなすナレーターとしても重宝されるように。

また、過去には『クレヨンしんちゃん』に本人役で出演していたりする。
その際には「俳優と言う設定だが、アンジェラ小梅と言うオカマと交際」だの「いい男と言うとシンノキオの鼻が伸びる」だの妙に存在感のある役回りだった。
他の回では「藤原啓治って誰だよ?」というメタ発言まであったりした。
また、ロボとーちゃんのソフト化のCMでは何をやっても冴えない男として顔出しで出演した。

死去した清水敏孝や鈴置洋孝、辻谷耕史青野武、寺島幹夫、仲村秀生から持ち役の一部を引き継いでいた。

闘病と逝去

2016年8月から2017年6月までの間、病気療養のために休養していた。
復帰後は体調を考慮しつつ、徐々に収録に復帰していた。持ち役もひろしなど一部を除いて軒並み復活しており、出演ペースも全盛期に戻りつつあった。
ファンから見ればほぼ完全復活を匂わせていたようなもので、いつクレしんに復活するのかとファンも心待ちにしていた。

が、2020年4月12日に逝去したことが同月16日に突如発表された。この時、これまで秘匿していた病が癌であったことも明かした。55歳没。
ただ復帰後は朗読イベントを除き*3ほとんど顔出しするイベントや舞台に立っておらず、インタビューでも事務所の写真など過去のものを使いまわしていたり、声の張りが以前ほどなくなったりと、癌闘病を憶測する声もあった。

ひろし役に復帰しなかった理由を「この癌闘病による先を見据えてのことでは?」という声もあった。
実際後任にして盟友の森川智之は「お前にしか出来ないから、頼むな。」といった趣旨の手紙を役とともに託されたという*4
さらに、ダウニーJrが演じる最後のトニー・スタークを吹き替えた際、Twitter上で「この役だけは最後までやり遂げたかった。」と、自身の病を省みたかのような発言を行っている。なおダウニーjrの最後の吹き替え自体はその後に公開されたドクター・ドリトルで、これは遺作の一つともなった。

死因等については判明したものの、遺族の意思もあってか闘病中のエピソードや晩年の藤原啓治のプライベートに関することはまったくと言っていいほど語られていない。
せいぜい入院中、バレンタインデーにチョコを食べたというくらいの、これまた飄々とした報告くらいである。

一方で、ワンピースの緑牛など新たなレギュラーの仕事も多数引き受けており、決して未来に諦観を持って仕事を受けていたわけでもないことがうかがえる。
だからこそファンにとって藤原啓治の急逝はあまりにも衝撃的であった。
ちなみに緑牛役は藤原初のワンピース出演にして、初登場となるわずか1回だけ、しかも短い台詞を担当しただけにとどまっている。
つまり出来上がったイメージもへったくれもないような状態だったのだが、後任の諏訪部順一は藤原啓治をイメージした演技を見せている。

人柄

人前に出る時はその多くにおいてサングラスをかけていた。
かないみか曰く、かつては人間嫌いなのかと見紛うほどに人付き合いが苦手だったようだが、声優業を本格的に始めるにつれて少しずつ温和になっていったようである。
多くの共演者からは「シャイな人」と評されており、実際小見川千明に「私、啓治さんが思っている以上に、啓治さんのこと好きなんですよ」
などと面と向かって言われた時は「ちょっと待ってくれよ…」と顔を赤くして照れ始め、汗をダラダラ流していたという(※ラジオなため、リスナーに表情が伝わらない。)。

一方で櫻井孝宏は死去後のインタビューで「人と馴れ合わないだけで内気なイメージはなく、いざという時は大上段で構えることも辞さない人」、と語っている。
実際、声優の顔出しコメントを求められると、作品を問わずインタビューの題材となった作品の持ち役を指して「◯◯役でお馴染みの…」「◯◯役で大ブレイク中の…」などなど、カメラの前でおどけてみせていた。
また、後輩への面倒見も良かったとのこと。

焼け野原

藤原啓治の代表作と言えば、冒頭の通り『クレヨンしんちゃん』の野原ひろしであろう。
日本一のパパキャラとも言われる人気を誇り、「藤原啓治=ひろし」のように扱われる事も多い。
その為ネット上では演じたキャラが全て「ひろし」につなげられ、ちょっとした悪役なら「闇ひろし」「汚いひろし」等と呼ばれ、火と戦争を呼び起こす悪役は特に「焼け野原ひろし」とあだ名されている。
このあだ名の発端は『機動戦士ガンダム00』の極悪ウォーモンガー:アリー・アル・サーシェスでの狂気の名演だが、
他にも第三次世界大戦を本当に勃発させ欧米世界を焼け野原にした『コールオブデューティ:モダンウォーフェア3』のウラジミール・マカロフ(吹き替え)
ジョジョの奇妙な冒険』の火炎と熱の激情家:エシディシ、『とある魔術の禁書目録』の典型的なマッドサイエンティスト:木原数多など、単に火と戦争に絞ってもかなりの悪役が該当したりする。

主な出演作品

アニメ・特撮


ゲーム


洋画吹き替え


人形劇

  • ビッグマック、フランク、シーローグ(がんばれタッグス)

逸話

  • 『ガンダム00』でアリー・アル・サーシェスを演じていた時、1stシーズン第23話におけるロックオン・ストラトスとサーシェスの死闘のシーンのアフレコは、
    ロックオン役の三木眞一郎氏と共に鬼気迫る名演技を見せ、その場にいたスタッフや他の声優達は彼らの演技中、言葉を発する事が出来なかったという。

KPSAのサーシェスだな!!
ヘッ!クルジスのガキに聞いたかぁ?!
アイルランドで自爆テロを指示したのはお前かァッ!!何故あんな事を!?
俺は傭兵だぜ。それになあ!―――AEUの軌道エレベーター建設に、中東が反発すんのは当たりめぇじゃねえかぁ!!
関係無い人間まで巻き込んで!!
テメエだって同類じゃねえか…!紛争根絶を掲げるテロリストさんよぉ!!!
咎は受けるさ…!お前を倒した後でなぁあああああッ!!!!

絶対許さねぇ!!―――テメエは…戦いを生み出す権化だぁッ!!
喚いてろ!同じ穴の狢がァッ!!!
テメエと一緒にすんじゃねぇえええええッ!!!!

その演技で評価を得たためか、2010年度のアニメに最も多くの話数に出演していた。

  • 阿澄佳奈のラジオ生放送に飲み屋から電話出演し、完全な絡み酒を披露。
    結果番組の進行が色んな意味で「アレ」なことに。




















岡本信彦「木ィィィィィィィ原くゥゥゥゥゥゥゥゥン!!俺は新人賞も穫ったしィ、助演男優賞も穫ったァ!後は主演しか残っていないンだよ!わかってンのかァ?あァン!!」
啓治「テメェ、何言ってやがるんだぁ、あぁん!若いからって調子に乗ってると…潰すぞ!コラァ!!」
信彦「い、痛い…すみません啓治さん。そんなつもりじゃ……。その…台本に書いてあるんですよ……。」
啓治「この野郎。台本に書いてありゃよ。何言ってもいいってのかよ!」
信彦「その…あの…えっと…主演女優賞はですね…豊崎さんが―――」
啓治「愛生ちゃんは可愛いからいいんだよ!!ちなみになぁ、俺は功労賞狙ってんだぞどうだこの野郎!おまえぇ!!」
新井里美「私も取りましたの!!」
啓治「良かったじゃん!!」





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最終更新:2025年09月25日 12:52

*1 本人も「ほぼ岩手県人」と語っていた。

*2 同社の代表取締役でもあった。

*3 イベントでもニット帽を目深に被り、抗癌剤の影響で怪我をし易くなったか、手の指を負傷していた状態だった。

*4 この手紙は事務所の自分の机にしまっている。