登録日:2018/02/15 Thu 18:12:34
更新日:2026/08/01 Sat 23:38:32
所要時間:約 32 分で読めます
概要
言わずと知れた70年代コミカライズの核実験場と名高い『冒険王』誌にて連載されたコミカライズ版で、俗に言う「桜多吾作版マジンガーシリーズ」の第3作目にして最終章。
内容は、はっきり言ってしまうと
TVシリーズとは全くの別物。
TVシリーズの『グレンダイザー』が、星の境を越えた「愛」をテーマとし、高年層や女性ファンの
ハートをも掴んだのに対し、
こちらは前作『
グレートマジンガー』の路線から全く変わる事なく……否、更にアクセルがかかる勢いで
ハード路線一直線。
『グレート』で極まった感のあるリアリティはより突き進み、更に本作では桜多氏のSF趣味もプラスされた結果、
TVシリーズとはほぼ完全に、登場人物や一部固有名詞が共通しただけの別作品となった感が強い。
他作品で例えるとすれば、TV版『グレンダイザー』が
スパロボの『バルディオス』で、
桜多吾作版『グレンダイザー』は
原作の『バルディオス』と言える。うん、間違いなく何かおかしいね。
むしろダイナミックプロ的には『
デビルマン』や『
ゴッドマジンガー』のアニメ版と漫画版の違いといった方が適切かもしれない。
結末的にも
評価は……やはりというべきか
賛否両論。
前作『グレート』以上にTVシリーズとの解離は激しいと言わざるを得ず、登場人物の度重なる暴走に加え、
あまりにも主人公を始めとする人々に過酷すぎる運命を背負わせたシナリオは、当時から少なからず賛否があったのも事実で、
また作品全体を通しての、時折挟まれるコメディ描写すらも霞んでしまうほどの重苦しい空気ゆえに、
『グレート』までに残っていた娯楽性が薄まってしまっているという指摘もある。
更に『
マジンガーZ』『グレート』でも描かれてきた、人間の心の「負」の部分に対する糾弾もエスカレート。人間嫌いになること必至である。
最終的な結末についても、詳しくは後述するが……早い話が(一縷の希望はあるとはいえ)所謂
バッドエンドの類であり、
見ようによっては『マジンガーZ』並びに『グレートマジンガー』までの物語を全て無に帰すかのようでもある事から、
その点でどうしても本作を許容できないという意見も少なくない。
しかし、それらの点を受け入れてしまえさえすれば、同じく桜多氏が手掛けた『マジンガーZ』『グレートマジンガー』から続く
「桜多吾作版マジンガーシリーズ」という一大叙事で一貫して描かれ続けてきたテーマを総括する「トリ」を務めた作品として、
TV版『グレンダイザー』とはまた違った魅力を持っている漫画である事は間違いないだろう。
本作の象徴的とも言える結末も、桜多氏の鮮やかな手腕によって伏線から舞台装置まで何から何まで綺麗に纏め上げられたそれは、
同じロボアニメで終末的結末を描いた『
宇宙戦士バルディオス』や『
新世紀エヴァンゲリオン』などを遥かに先取りしており、
連載時期で言えば
ロボット物かつ破局的結末という点で共通する点がある『
マーズ』ともほぼ重なっている。
また掲載誌の対象年齢を全く無視していると言われれば必ずしもそういう訳でもなく、この手の終末的作品にありがちな小難しい専門用語やSF知識の乱発も殆どなく、
年少の読者でも作者が描かんとしている一貫性のあるテーマをすんなり読み取ることは十分に可能と思われる。
もし『グレンダイザー』のファンで本作に未だ触れた事がなければ、前評判に惑わされず、今一度自分の手で読んでみてはいかがだろうか。
その結果トラウマになった、人間不信に陥ったなどの症状が出てもアニヲタWikiは一切の責任を取らないのであしからず
ちなみに、本漫画におけるナイーダの登場エピソード「かなしみのデューク・フリード」はアニメ本編における第25話「大空に輝く愛の花」に相当する回なのだが、
実はこれ、元々この
桜多吾作版『グレンダイザー』オリジナルエピソードだったものが、当該話演出の勝間田具治氏の目に留まり、
氏がTV版『グレンダイザー』のプロデューサーに映像化を持ちかけた結果、晴れてリアルタイムでおよそ3ヶ月後に
TVシリーズへと逆輸入されたという経緯だったりする。
流石の勝間田氏も、桜多版ダイザーが後々恐ろしい暴走をするとは夢にも思わなかったに違いない。
その他、桜多氏は、劇場映画『グレンダイザー ゲッターロボG グレートマジンガー 決戦!大海獣』の漫画版も執筆しており、
こちらでは同じく氏が手掛けたコミカライズの
最終回で命を落とした
剣鉄也や
ゲッターチームが普通に存命していたりと
桜多版『グレンダイザー』本筋とは繋がらない、純粋に「劇場映画のコミカライズ」となっている。
とはいえ、ロボット軍団を軽視する官僚が出てきたりと、随所に桜多吾作らしさは垣間見える内容だが。
これはサンワイドやアクションコミックスの単行本には収録されず、大都社の『決戦!ゲッターロボG ゲッターロボG・アンソロジー』に併録される形となっている。
物語
剣鉄也がその命をもってして
ミケーネ帝国を撤退に追い込んでから暫く経ったある日。
突如として十五夜の夜、夜空の満月にドクロのマークが浮かび上がるという異変が発生した。
シラカバ牧場で仕事に勤しんでいた青年・宇門大介は、それを見て得体の知れない胸騒ぎを覚える。
やがて、光子力研究所から宇宙科学研究所へと移籍したかつてのマジンガーZの操縦士・
兜甲児の出会い、
そして突如として東京に出現したベガ星連合軍の姿を見た事で、自身が記憶を消されたフリード星の王子、デューク・フリードであることを思い出す。
デューク・フリードとして第2の故郷・地球を守るべく、甲児らと共にベガ星連合軍との戦いに赴く大介であったが、
それは彼自信のアイデンティティを揺るがす苦悩の始まり、やがては全てを巻き込むカタストロフの序章に過ぎなかった……!
登場人物
宇宙科学研究所・シラカバ牧場
主人公。かつてベガ星連合軍に滅ぼされたフリード星の王子にして、グレンダイザーのパイロット。
地球に漂着した当時は、故郷を滅ぼされ、家族を奪われた辛い記憶を忘れさせんがために
宇門博士の手により洗脳装置で地球人の記憶を移植され、博士の息子として平和な日々を送っていたという設定。この時点で色々ヤバい。
当初こそベガ星連合軍に対する憎しみと、地球を守るという使命感故に戦ってきたが、
ナイーダから敵の戦力・円盤獣が「フリード星人の脳髄を生体ユニットとしている」事を明かされ、戦い続けることに苦悩するように。
それ故に、宇門博士が自身を洗脳して戦うだけのマシーンにしようとした際には、地球人に失望して地球から去ってしまうが、
最終的にジョン・カーターらの説得もあり、「これ以上地球人達が身勝手な行いを続けるなら、自分達が地球を支配する」という名目のもと、
地球に帰還して再度守りに付くことを決意する。
その後も、かつての部下たちを失うなどの悲劇を経ながらもベガ星人と戦い続けたが、その先に待っていた残酷な結末とは……?
キャラクターデザインはTVシリーズと(特に髪型が)大きく異なり、桜多吾作氏による独自のものとなっている。
またデューク・フリード時はヘルメットの頭部パーツを
アイスラッガーのごとく射出することが可能。
前2作からの連続性がTVシリーズよりも重視され、原作以上に「もう一人の主人公」的な立ち位置として描かれている。
大介の事は敬称もつけずに「大介」と呼び捨てにするなど、TVシリーズに比べて年齢差のない間柄。
本作最大の特徴として、後年桜多氏が「自身の性格が憑依した」と述懐したように、
海外留学の設定どこいったと言わんばかりのレベルで「ドスケベ」になってる事が挙げられ、
思慕を抱いたひかるに対して犯罪スレスレの行為で迫ることもしばしば。団兵衛が銃器を持ちだすのも無理はない。
一方、思慮深さやナイーブさについても顧みられており、特に
ミケーネ帝国絡みのエピソードでは深い苦悩と葛藤に直面することとなった。
何気に、亡き
剣鉄也の事を「鉄也さん」と呼ぶ一幕もあり、総じて後年の
スパロボシリーズ黎明期の甲児のイメージに近いかもしれない。
またインテリ設定が皆無な訳でもなく、ベガ星人とのファーストコンタクトを迎える前には、度重なるUFOの目撃情報を
「
宇宙人は地球人と交易したいのではないか」と考え、地球の将来を考えて友好に踏み切るべきではないかと意見したこともあった。
前作『グレート』に続いてサイボーグ化された設定はほぼ忘れられている。
というか、普通に海パンを着用した際に
生身の地肌が見えてるため、ほぼ完全に無かった事にされた模様。
ぶっちゃけ彼が
マジンガーZに乗ってれば、もうちょっとマシになった局面もあったのでは、という気がしないでもない。
本作のヒロイン。
父親の過保護ぶりにほとほと呆れており、「このままじゃあたしゃ売れ残っちゃうよ」と洩らす一面も。
また甲児の過激なアプローチには怯えつつも、訪れたさやかを前にして彼が態度を改めたり、
さやかから歯牙にもかけられなかった際には内心かなりの嫉妬を見せたりと、
彼女もまた桜多吾作ワールドのヒロインの例に漏れずコメディ色が強い。さやかとは犬猿の仲。
大介同様にデザインが漫画独自のものとなっており、一部からはTVシリーズより可愛いとの声も。
キャラ付けが漫画独自のものとなっており、べらんめぇ口調なちゃきちゃきの江戸っ子に。一人称は「あたい」。
本作ではハワイ在住であり、連発式のポップガンで人食いザメを一撃のもと討ち取る生粋のハンター気質。
育ての親を殺されて誤解から大介に襲い掛かる……という大筋はTVシリーズと同じだが、
漫画ではそう簡単に誤解が解けず、兄と再会しても「顔は整形したに違いない」とかぬかして容赦なく襲い掛かった。
一応、次回エピソードの冒頭では既に和解していたが。
甲児曰く「ライオンみたいなやつ」。
ちなみにTVシリーズにおける甲児への思慕は本作では描かれず、最終的にさやかが真ヒロインとも言える立ち位置となった事もあり、
結果として本作では初登場エピソードを除いてひかるよりも影が薄くなってしまった印象は否めない。
宇宙科学研究所の所長で、地球に漂着した大介を洗脳して養子として迎え入れた人物。が……
本作最大の暴走をやらかした大戦犯。
当初こそ大介を戦地に赴かせることに否定的であったが、度重なる戦いの日々の中で心境が変わったのか、
「地球を守るためには時には肉親や友をも見捨てる冷徹さが必要」と考えるようになり(実際その頃大介が増長の傾向にあったのも事実だが)、
大介の枕元に催眠学習装置を仕込み、戦うだけのマシーンに洗脳しようとするという、
どう考えてもそれ悪役のやることだろうとしか言わざるを得ない暴挙をやらかす。ぶっちゃけ最初から洗脳して地球人として育ててた辺りにその片鱗はあった。
当然ながら大介には一度とはいえ見限られ、彼の部下からも無言の非難を受ける羽目になった。
その際の「わしのしたことはそんなに酷いことだったのか、答えてくれ」は、それこそ至高の迷言。
一応、彼も彼なりに反省して大介と和解はしており、以降は完全に正義の人として味方を指揮し、世界会議でベガ星人の脅威を訴えるなどの活動に及んではいたのだが……
容貌は大介やひかる以上にTVシリーズと異なり、恰幅のよい髭面の男性といった風貌となっている。
こちらのバージョンの宇門博士は、桜多氏が原作を務めたアニメ『グロイザーX』の飛島秀樹にデザインがそのまま流用されている。
娘への溺愛ぶりがエスカレートしており、彼女に近づく大介や甲児を悪い虫扱いして猟銃をぶっ放したことも。
ほぼモブ。
光子力研究所
TVシリーズでは劇場版『決戦! 大海獣』以外では影も形もなかった前々作ヒロインだが、本作では前2作より継続して登場。
闇の帝王から送られた
ミケーネ帝国本拠地への招待状を、宇宙科学研究所に届けに訪れたのが初登場で、
ひかるに対してスケベ心を丸出しな甲児に釘を刺しつつも、ひかるから「どういう関係」と聞かれて赤面するなど、正妻ぶりは健在。
以降、宇宙科学研究所の所属になったらしく、彼らと行動を共にするように。
ミケーネ帝国本拠地で、フリード星の模様が刻まれた指輪を拾ったことで、「謎の人面石」を度々夢に見るようになり、
やがてはシグマ文明の遺産・
大魔神ラーガを操縦するライセンスを得たことが、彼女の運命を大きく左右することに……
本作での活躍から、『グレンダイザーU』への登場が決まった事に戦々恐々するファンもいるとかなんとか
さやかと共にミケーネ闇の帝王からのメッセージを持参し、宇宙科学研究所の面々と共にミケーネ帝国の本拠地へと赴く。
ミケーネ帝国編が終わった後はフェードアウト。娘のピンチになにやってたのやら
ベガ星連合軍
中盤から登場したベガ星連合軍の科学長官で、ズリ星出身。
TVシリーズでは単なる悪役の一人に過ぎなかったが、桜多吾作版においては
大介らと並ぶ「敵側の主人公」とも言える立ち位置に。
本作では侵略者でありながら地球の自然を愛し、特に夕日やオーロラなどの景色を好むという漫画独自のキャラ付けが成されており、
大量破壊兵器などの使用を「地球が痘痕になってしまう」という理由で拒み、可能な限り地球環境を保全した上で手中に収めようと目論む。
その分、
地球を汚し続ける地球人類への憎しみも相当なもので、必要とあらば民間人を数十万人単位で殺戮することも厭わないほど。
ベガ星雲が完全に滅亡した際には、母星を汚染し続けてきたダントスやベガ大王への恨み辛みを吐露しており、
自身の星系を救うことのできなかった後悔が、汚染されつつもまだ豊かな自然を蓄えている地球の環境保全に固執する原因であることは想像に難くない。
ガンダル司令とは犬猿の仲ながらも、ダントス着任の際には利害の一致で協力したこともあったが、
最終的に自身らも切羽詰まった状況下での地球侵略に対する作戦の方向性で対立、粛清する事に。
形は違えど「地球のために」大介たちとは拮抗し続けていたが、やがてベガ星滅亡に伴うベガ大王の地球襲来が、運命の歯車を狂わせてゆく……。
初代地球攻撃軍司令官。最初期にはレディガンダルも登場したが、中盤以降はほぼ表のガンダルのみとなった。
TVシリーズに比べて粗暴かつ短気な側面がピックアップされ、地球侵攻作戦も搦め手を使わず
円盤獣やベガ獣による力押しの作戦を主導していたが、やがてスカルムーン基地が窮状に陥った事で作戦立案の方向性でズリルと対立、
剣をふるってズリルを脅そうしたことで彼の部下に腕を焼き切られ、眠らされた上に監禁され、その後はフェードアウト。
なお、切り落とされたガンダルの両腕は回収され、ズリルの指示で培養室に送られる事に……。
地球攻撃部隊の攻撃隊長だったが、度重なる失敗が原因でガンダルに八つ当たりされる。
遂にキレて銃撃を敢行するも、ものともしなかったガンダルに絞殺される最期を迎えた。
宇宙科学研究所の一行をハワイ旅行に誘った企画者だが、その正体はベガ星連合軍の
スパイ。
人食いザメによる暗殺が失敗すると見るや、戦闘用サイボーグの正体を現して一行を襲うも、デューク・フリードに変身した大介の
アイスラッガーを受けて顔面を両断された。
ベガ大王の側近を務める防衛長官。
滅びゆくベガ星脱出に際しては、兵士を満載して脱出した大王らを非難するベガ星の一般市民に向けての発砲を命令するなど、その性格は悪辣。
ズリル曰く、計画的な長期展望のビジョンもないままベガトロン鉱脈の開発を主導し、ベガ星系に放射能汚染をもたらした最大級の戦犯ともいえる人物であるらしく、彼からは「ベガ大王以上の破壊者」として憎悪されている。
結局、地球攻略の主導権争いにより、ズリルとガンダルの手で謀殺される末路を迎えた。
ベガ星連合軍の総帥にしてベガ星の支配者。
当初はモニター越しに指示を出すのみだったが、ベガ星壊滅に伴い、大勢の臣民達を見捨てて脱出、月面のスカルムーン基地に拠点を移す。
悪辣さは勿論、愚かさが際立っており、
地球の核ミサイル基地を襲撃して、核保有国同士を戦わせ、核戦争を誘発することで地球を放射能汚染して地球人を全滅させるという最悪レベルの愚策を目論む。
ズリルがラーガを撃退できなかったため、ベガ大王の作戦は実行に移されてしまうが……
その最期は、TVシリーズの
ラスボスを務めた人物とは思えないほど、無様かつ惨めなものであった。
ルビーナ?影も形もありません。
覆面を被った兵士と、素顔の兵士が混在。
ズリル配下の兵士たちは、彼がベガ大王に対するクーデターを敢行した際にも迷うことなく彼についていく忠臣達である。
フリード星人
元フリード星公爵令嬢にして、大介の幼馴染。TVシリーズにも登場したキャラだが、上述の通り実はこっちが初出。
ベガ星連合軍の
スパイとして大介らのもとに送り込まれ、陽子爆弾によるグレンダイザーの破壊を敢行、
大介に対し、これまで彼が叩き潰してきた円盤獣には洗脳されたフリード星人の脳髄が使われており、
グレンダイザー初陣の相手である円盤獣ギルギルには彼女の弟・シリウスの脳が使われていた事を暴露した。
洗脳装置を埋め込まれているのはTVシリーズと同じだが、こちらでは円盤獣の真実を吐露した直後に洗脳装置のスイッチを入れられており、
大介に対する憎しみの吐露は、シリウスが円盤獣の生体ユニットにされた件も含めて
素の感情という事になっている。
そのため、大介への感情も「片時も忘れないほど愛しているが、それでもなお自分達を見捨てて逃げた憎悪を捨てられない」という
愛憎入り混じったものとして描写されている。
最期は研究所に攻め入ってきたミニフォーの大群にTFOで特攻、今わの際にテレパシーで自身の本心を大介に吐露して還らぬ人に。
円盤獣に脳髄を移植された、元フリード星の近衛兵たち。
大介を葬るに相応しいメンバーとしてガンダルに選ばれ、グレンダイザーを迎え撃ったが
ブラックゾーンが崩壊したショックで制御装置が壊れ、元の人格を取り戻してベガ星人に反旗を翻した。
その後は宇宙科学研究所の麾下に入り、大介が地球を見限った際には真相を知るや彼に同伴するも、
「
地球を出ても20光年以内に人が住める星は存在しない」と彼を説得、結果的に大介が地球に帰還する切っ掛けを作った。
その後は彼らも再び地球に戻るも、最終的に大介がベガ星連合軍の
スパイだという嫌疑をかけられた際に
彼の身の潔白を示すためにスカルムーン基地へと襲撃を仕掛け、返り討ちにされて全員戦死した。
なお、ジョンは大介らと合流した際に「やがて宇宙のあちらこちらから隠れた勇士たちが集まってくるはずです」と彼を励ましたが、
作中では結局……お察しください。
ちなみに彼らの名前は、SF作家のエドガー・ライス・バローズ並びにエドモンド・ハミルトン、
そしてバローズの著作『火星のプリンセス』の主人公が由来であり、桜多吾作氏のSFに対する造詣がうかがえる。
ミケーネの支配者。
かつて鉄也の捨て身の攻撃によりその戦力の多くを失い、本人曰く「一千年の喪」に服したとのことだが、
ベガ星連合軍という外宇宙からの脅威に対抗するために、宇宙科学研究所の面々にミケーネの科学力を提供するという名目で
自身らも大介達との共同戦線を持ちかけたが、その真意は鉄也の犠牲で壊滅状態に陥ったミケーネを立て直す時間の確保であり、
裏では大介らとベガ星人が双方五分五分で戦い疲れたところを一網打尽にしようと画策していた。
桜多版における闇の帝王の正体は、現在主流となっている精神生命体という設定とは異なり、
「炎のような姿は遠隔操作される純粋エネルギーで、本体は培養液に浸された脳髄と心臓」という解釈が成されている。
ガンダルに正体を暴かれ、駆けつけてきた甲児と大介によって安全な場所へと移送されようとした……が、
甲児がうっかり培養ケースを落としてしまった事でケースが粉砕、そのまま死亡してしまうという情けない最期を迎えてしまった。
なお、実のところ甲児は父や鉄也、みさとの仇であるミケーネ帝国との共同戦線には難色を示しており、
闇の帝王の本体と対面した際にも明確に憎悪を募らせるほどだった。
故に、甲児自身も「手を滑らせた際に本当に殺意がなかったとは言い切れるだろうか」と、ミケーネ帝国壊滅後に複雑な想いを抱くことに……。
彼の死に伴い、ベガ星連合軍の総攻撃を受けたミケーネ帝国は完全に瓦解、滅び去ることとなった。
つまり心境はどうあれ結果として、甲児は仲間たちの敵討ちに成功したことになる。
余談だが、ベガ星連合軍の攻撃で死亡した人々の衣服やその居住地の跡は、
戦闘獣を初めとした超兵器を生み出した文明とは思えない、古代ローマ時代そのままのような粗末なものであった。
それを見た宇門博士達は、
「文明全体で誤った方向に突き進んだ末路」
「間違った指導者を選んでしまった結果であり、ワシらもこんな末路を遂げない様にしないとな」
と言っていたが、後に彼らを迎える結末を考えると皮肉としか言いようが無い。
七大将軍の一人で、恐らくは地上侵攻軍唯一の生き残り。
ベガ星連合軍の侵攻を闇の帝王に報告するシーンでちょっとだけ登場したが、以降の出番はなし。
その後ミケーネ帝国が完膚なきまでに叩き潰されてしまったため、彼自身も恐らくは死亡したと思われる。
ちなみに前作『グレート』では、ラストで
グレートマジンガーが特攻した場面にユリシーザーも立ち会っており、
順当に考えれば彼も地獄大元帥ら共々、グレートの自爆に巻き込まれているはずである。
もしかしたら
ユリシーザーに似ているだけのモブ戦闘獣という可能性もあるかも。
その他
国会で宇門博士がベガ星連合軍の脅威を提唱したにもかかわらず、現状その攻撃目標が日本のみとなっている事から、
「日本だけ盗ったら静かになるのでは」と自国の安全ばかりを考えて楽観視していた日和見主義者たち。
実際のところ、ズリル長官はグレンダイザーを倒した後、情報網のあまり発達していない秘密主義の両国、
中国とソ連の国境辺りから本格的な侵略を開始するつもりであり、彼らもまたベガ星人を軽視したツケは、世界の運命をもって支払う羽目に……。
またの名をオリンポスの
ゼウス。
日本近海に眠っていた伝説のアトランティスに呼び寄せられたさやかの前に出現した、精神体のような存在で、
彼女にシグマ文明の全てを語った後、
大魔神ラーガを操縦する選ばれた後継者として認めた。
用語
大介達の故郷。
かつて、全宇宙の平和の監視のためにベガ星と二星間協定を結ぶも、それ自体がベガ大王の仕掛けた罠であり、
会談の席で国王夫妻は惨殺され、大介は命辛々グレンダイザーに守られ、遥か宇宙の彼方の地球へと落ちのびる。
侵略後のフリード星はベガ星人によって徹底的に蹂躙されたようで、僅かに生き延びた者たちに残された道は
スポーツハンティングの獲物、実験用のモルモット、女性ならばベガ星人の慰みものにされるなど、まさに地獄だった模様。
そりゃ国民を見捨てて逃げだした形になった大介は憎まれてもおかしくはない
ちなみに慰みものの一件は、
イラスト付きで明確に描かれている(※児童誌です)。
日本の平和を守る防衛隊。作中の台詞から
自衛隊も存在しているらしいが、防衛軍とどういう違いがあるのかは不明。
ズリル率いる大戦力を迎え撃つに際して日本中から戦力がかき集められたが、ベガ星人の戦力には全く通用せず、
民間人の盾もあって完全に無力化されてしまう醜態をさらしてしまった。
突如として太平洋の海底に出現した、巨大な人面を象った遺構。
出現地点から日本海溝を越えて、不審に思い攻撃を仕掛けてきたベガ星連合軍の戦力すらも蹴散らす迎撃能力を有している。
指輪に導かれたさやかを内部に収納し、ラーガが眠る海底遺跡へと彼女を送りだした。
数十万年前に地球を中心に栄えていた古代文明であり、グレンダイザー並びにラーガを建造した大本。
地球・ミケーネ帝国・フリード星・ベガ星といった、桜多版マジンガーシリーズにこれまで登場した勢力に纏わる全ての文明は、
このシグマ文明が源流となっている事が終盤明かされた。その詳細は後述の最終章
ネタバレを参照のこと。
登場メカ
暴走しまくるキャラクター達とは裏腹に、主人公機は概ねTVシリーズと同じ……ではなく。
終盤、ベガ星連合軍の差し金があったとはいえ、地球人類が核戦争を始めて地球を盛大に荒廃させてしまった事で「本来の機能」が発動し……。
漫画版オリジナルのロボットで、古代ミケーネ帝国の源流ともなった「シグマ文明」が生み出した「地球版グレンダイザー」とも言えるシロモノ。
グレンダイザーとは見た目も能力も酷似しており、カラー原稿が無いため色は不明だが、漫画では両腕両脚が黒色に模様が刻まれており、
それ以外はトーンなしの白色で描かれている。
序盤からミケーネの壁画にその姿が描かれていたが、それを紹介した闇の帝王自身も戦闘兵器としてのラーガの実在を知っていたかは不明。
兵装としては額のランプ及び角から発射するビーム攻撃(スペースサンダーか?)が作中で確認できるが、ズリル長官が総動員したベガ獣の大群を
単機の徒手空拳のみで蹴散らすほどのポテンシャルを持っている。
物語終盤、指輪に導かれるかのように海底遺跡に訪れたさやかの呼びかけに応じ、彼女を操縦者として認め、遺跡の中から遂に復活を果たす。
以降はグレンダイザーと並ぶ戦力として、宇宙科学研究所の頼もしい味方になったかのように見えたが……。
お馴染み、ベガ星連合軍の初期主要戦力。
TVシリーズでは、ナイーダの口より洗脳されたフリード星人の脳髄が制御用の生体ユニットにされていたという
ショッキングな事実が語られ、グレンダイザー初戦の敵である円盤獣ギルギルも彼女の弟・シリウスの脳髄を搭載していたとされるが、
その後のエピソードで大介が円盤獣相手に躊躇している様子がなく、ほぼ投げ捨てられた設定となっていた。
(当のナイーダが洗脳されていたため、大介を動揺させるための嘘と考えるファンも多い)
……が、TVシリーズの原案である当該エピソードを執筆した桜多吾作氏が、そんな生温いオチにするはずがない。
漫画においては虚言などではなく「ガチ」であり、その後の戦いでも大介は円盤獣相手に躊躇するようになってしまい、その結果、見かねた宇門博士が大暴走をやらかす遠因に繋がってしまう。
ベガ大王とダントスの着任によってもたらされた、野生の生物をサイボーグ化したベガ星連合軍の新たなる戦力。
その割にはズリルとガンダルの策でグレンダイザーに敗退したり、ラーガの初陣のかませにされたりと良いところがない。
ベガ兵の駆るベガ星連合軍のUFO型戦闘機で、実質本作における敵側の主戦力。
その物量で地上を容易く灰塵にする他、最終盤ではベガ大王の指示のもと、全世界の核ミサイルを爆破させるべく殺到した。
ぶっちゃけ、全編通して円盤獣やベガ獣よりも強敵感がある。
ミケーネ帝国の戦力。
デモニカはミニフォー部隊を蹴散らす活躍を見せた一方、
(なお、全体的なフォルムはそのままだが、デザインが『グレートマジンガー』時とは明らかに変わっている)
戦闘獣は名称不明のものが3体登場するも、円盤獣に一蹴されてしまう。
ズリルがグレンダイザー、そしてラーガの撃破に失敗したことで、ベガ星連合軍の作戦指揮権はベガ大王へと移った。
その結果、ベガ大王は全世界の核ミサイル基地を襲撃し、核戦争を誘発することで地球全土を放射能に汚染するという、最悪の作戦を発動する。
アメリカへ、ソ連へ──ベガ星連合軍の総力を結集したミニフォー部隊が、世界中の水爆を起爆させるべく殺到した。
これを迎え撃つため、宇宙科学研究所は全戦力を投入する。
各国空軍もまた傍観を選ばず、銀の海原を埋め尽くすかのようなミニフォーの大群に圧倒されながらも、果敢に迎撃へと飛び立った。
一方、指揮権を剥奪されたズリルは、自らに同調する部下を率いてスカルムーン基地を急襲し、ベガ大王へのクーデターを決行する。
異変を察知したベガ大王は蒼白になりながら衛兵を呼び寄せるが、ズリルらの一斉射撃の前にあっけなく制圧された。
追い詰められたベガ大王は、現れたガンダルに救いを求める。
しかし、そのガンダルはすでにズリルが本物の腕から培養したクローン組織を用いて造り上げた、ズリルの命令にのみ従うロボットとすり替えられていた。
不意を突かれたベガ大王はクローンガンダルの一撃を受けて倒れ込み、腰を抜かしたままズリルへ作戦中止を懇願する。
だがズリルは耳を貸さず、クローンガンダルに止めを命じた。
ベガ大王
「や、やめろ……わしが悪かった、作戦はとりやめ……」
「ああああ──!!」
かつて全宇宙を恐怖に陥れ、自らの母星さえ滅ぼした愚かな独裁者の、あまりにもあっけない最期だった。
こうしてベガ星連合軍はベガ大王の手を離れ、ズリルの支配下へ入る。
指揮権を掌握したズリルは直ちに全ミニフォー部隊へ作戦中止と即時帰還を命令した。
これで間に合った、地球は救われる。
そう安堵したのも束の間だった。
一度始まった戦争は、もはや誰にも止められなかった。
超高速で入り乱れる空中戦の混乱の中では命令は十分に伝わらず、さらにズリ星人であるズリルを快く思わないベガ星人士官の中には、命令を無視してベガ大王の水爆破壊作戦を続行する者も少なくなかった。
すべては、あまりにも遅すぎたのである。
グレンダイザーらも必死にミニフォー部隊を迎撃するが、その数はあまりにも膨大だった。
撃墜しても撃墜しても、新たな敵が押し寄せる。
終わりの見えない戦いの中で、大介たちは次第に疲弊していった。
そして、ズリルの願いもむなしく、世界のどこかで一つ、また一つと核基地が破壊され、水爆が爆発していく。
アメリカ合衆国では、すでに四か所の核基地が壊滅していた。
調査の結果、巻き上げられた大量の放射性物質は季節風に乗って全土へ拡散し、このままでは半月以内に国民の半数以上が被曝するとの予測が示される。もはや国家の存亡すら危うい。
それでも米国首脳部は、この事態がすべてベガ星人の策略によるものであることを理解していた。
だからこそ彼らは決断する。
「ここで我が国まで戦力を失えば、敵の思うつぼだ」
そう判断した首脳たちは、一切の躊躇なく核ミサイルの発射スイッチへと手を伸ばした。
甲児たちは悪態をつきながらも、飛来する核ミサイルを次々と宇宙空間へ放逐していく。
ようやく一息つける──そう思った矢先だった。
彼らの眼下に広がっていたのは、なおも押し寄せる核ミサイルの群れ。
一群ではない。二群でもない。
地平線の彼方まで埋め尽くす、無数の核ミサイルだった。
あまりにも絶望的な光景を前に、甲児はかつて大介と交わした約束を思い出す。
「もし地球人が愚行を繰り返すなら、自分が地球を支配する」
その言葉を思い返し、自嘲気味に呟いた。
「……大介、お前に支配された方が、まだましだった」
時同じくして、発射されたアメリカの核ミサイルはソ連領へ接近し、ソ連軍もまた迎撃ミサイルを発射する。
ついに均衡は崩れた。冷戦は決壊し、中国、ソ連、アメリカは相次いで交戦状態への突入を宣言する。
第三次世界大戦の幕が、ついに切って落とされたのである。
日本でも混乱は極限に達していた。
暴徒と化した群衆が街を埋め尽くし、社会秩序は急速に崩壊していく。
そして、ついに日本本土にも核ミサイルが降り注いだ。
瓦礫と炎に包まれた街並みを遠くから見つめながら、宇宙科学研究所の面々は、もはや為すすべもなかった。
まるでベガ大王の怨念が世界そのものを呪っているかのように、大介も、甲児も、ズリルも、その努力はすべて報われなかった。
地球は、人類史上かつてない破滅へと転げ落ちていく。
紅蓮の炎に焼かれる青い星は、巨大なミラーボールのように宇宙空間で妖しく明滅し、その終焉の光景は、この世のものとは思えないほど終末的で、どこか異様な美しささえ漂わせていた。
──そして、その時が訪れた。
突如としてグレンダイザーとラーガが操縦不能となり、二機は意思を持つかのように地球へ向けて急降下を始めた。
ラーガを操縦していたさやかは半狂乱になりながら叫ぶ。
ラーガとグレンダイザーが地球そのものを破壊しようとしていること。
そしてシグマから知らされた「真実」を……。
数十万年前、この地球には、火星やベガ星系へも自由に進出できるほど高度な科学力を持つ「シグマ文明」が存在していた。
ラーガとは、その文明が最盛期を迎えていた時代に造られた守護神であり、現代における核抑止力にも似た存在だった。
ラーガとグレンダイザーは、それぞれシグマ文明人が暮らす二つの惑星へ一機ずつ配備され、人々は二柱の守護神に見守られながら平和な時代を築いていたという。
そこまで語った時、グレンダイザーとラーガは海面を割り、そのまま深い海底へと潜行を始めた。
それでも、さやかは震える声で語り続ける。
数十万年にわたって続いた平和は、やがて文明の絶頂でもあった。
その後、シグマ文明は長い年月をかけてゆっくりと衰退し、現在ではストーンサークルやピラミッドをはじめとする世界各地の遺跡だけが、その存在をかろうじて物語っている。
長き眠りについたラーガは、自らと同じ脳波を持つ者が現れる日を待ち続けた。
そして、ミケーネ遺跡に眠るライセンスリングを手にしたさやかが、その継承者となったのである。
しかし、そこまで語ったところで、さやかは耐えきれず叫んだ。
さやか
「手に入れなきゃよかったのよ!
こんなもの、見つからなきゃよかったのよ!!」
さやかは、なおも震える声で語り続けた。
ラーガとグレンダイザーには、守護神としての役目とは別に、もう一つの使命が与えられていたのだと。
もし人類が長い歴史の果てに、あまりにも愚かな過ちを犯したなら、その時は、人類という種そのものを滅ぼす。
それが、シグマ文明によって二機に託された最後の使命だった。
そして今、人類はその一線を越えてしまった。
取り返しのつかない過ちを犯し、自らの手で地球滅亡への引き金を引いてしまったのである。
ゆえにラーガとグレンダイザーは、人類を守る守護神であることをやめた。
愚かな文明を終わらせる粛清者として、自律行動を開始したのだ。
もはや二機は、さやかや大介の意思では動かない。
操縦権は完全に奪われ、内部から停止させる術も失われていた。
「放射線障害に苦しみながら緩やかな死を迎えるくらいなら、いっそ一瞬で滅ぼされた方がまし」
さやかは涙ながらにそう嘆くしかなかった。
もはや地球には、この二機に対抗できるだけの軍事力も、科学力も残されてはいない。
絶望の中、甲児は一つの決断を下す。
「ズリルのベガ獣に頼むしかない」
甲児、ひかる、そしてマリアは、まず大介とさやかを救い出すため、海底へ潜った二機を追う。
地底四千メートル・総深度一万五千メートルの地点でようやく動きを止めたラーガとグレンダイザーへスペイザーで接近するも、すでにハッチは固く閉ざされていた。
辛うじてマリアだけはグレンダイザーの内部へ入り込むことに成功する。
だが、その瞬間、ハッチは自動的に閉鎖され、彼女もまた大介とともに機内へ閉じ込められてしまった。
残された甲児とひかるは、ズリルとの連絡を取るため、その場を離れる決断を下す。
その時だった。
通信機から、悲痛な叫びが響き渡る。
「行かないで!」
さやかの絶叫だった。
甲児は唇を噛み締める。
今ここで立ち止まれば、誰も救えない。
そう自らに言い聞かせるように操縦桿を握り直し、「すぐ迎えに来る」と言い残してスペイザーを発進させた。
遠ざかる機体へ向かって、さやかはなおも泣き叫ぶ。
「お願い……戻ってきて!!」
その声だけが、いつまでも通信機の向こうで響き続けていた。
一方その頃、ズリルは完全な絶望の中にいた。
側近たちは口々に彼を励ます。
「地球は放射能で汚染されたとはいえ、実質的には我々の手中にあります」
「あなたほどの頭脳なら、必ず放射能を除去する方法を見つけられるはずです」
その言葉に、ズリルもようやく顔を上げる。
まだ終わってはいない──そう自らを奮い立たせ、放射能除去の方法を模索し始めようとした矢先だった。
通信兵から思いもがけない情報が舞い込む。
約一時間前から超低周波の流れが日本を……否、世界中を覆ってしまっていたのだ。
ズリルは愕然とした。
最大出力で通信を試みても、甲児たちの電波は届かない。
逆にズリルからも甲児たちへ連絡することはできず、双方とも互いを探しながら何一つ手を打てないまま、時間だけが過ぎていく。
やがて解析結果が届く。
超低周波の発信源、それは世界各地に点在する古代遺跡だった。
ストーンサークル、ピラミッド──忘れ去られた古代文明の遺構が、一斉に共鳴し、世界へ超低周波を放射していたのである。
その報告を聞いたズリルでさえ、驚愕を隠せなかった。
業を煮やした甲児とひかるは、再びスペイザーで出撃する。
手分けしてズリルの海底基地を探し出し、直接協力を要請するためだった。
その判断が、二人と残された人々との運命を分かつ結果になろうとは、誰が想像できただろうか?
その頃、ラーガとグレンダイザーの内部では、突如として冷凍睡眠装置が起動していた。
白い蒸気がゆっくりと満ち、機内の温度は急速に低下していく。
異変に気づいたさやかは、その理由を悟った。
二機は、これから訪れる「何か」から自分たち三人を守ろうとしているのだと。
さやか、大介、マリアは必死に抵抗を試みたが、無駄だった。
主人たちの意思など意に介さぬように、ラーガとグレンダイザーは静かに、そして確実に冷凍睡眠システムを進行させていく。
やがて二機から、穏やかな波動が放たれ始めた。
それは、さやかをラーガへ導いた、あの不気味な人面石が増幅し、世界中へ送り続けた。
呼応するように、各地の遺跡もまた微かに震え始める。
忘れ去られた古代文明の遺産は、まるで長い眠りから目覚めるかのように一斉に共鳴を始めた。
そして。
月と地球、そして太陽が一直線に並んだ時、それは始まった。
突如として、全世界を未曾有の大地震が襲った。
地球そのものが悲鳴を上げたかのように、大陸は軋み、海は怒涛となって荒れ狂った。
宇宙科学研究所も例外ではない。
建物は激しく揺れ、支えを失って次々と崩壊していく。
宇門博士も、吾郎も、研究員たちも、誰一人として逃れることはできず、瓦礫の下へと消えていった。
穏やかな青い惑星は、もはやその面影を失っていた。
巨大な断層が大地を引き裂き、裂け目は海へと達する。
海底は押し上げられ、山脈は崩れ落ち、都市という都市が音を立てて飲み込まれていく。
言うまでもない。すべてはラーガとグレンダイザーが引き起こしたものだった。
愚かな人類文明を、一度白紙へ戻すために。
スペイザーで飛行を続ける甲児とひかるも、ただならぬ異変を察知する。
二人は大介たちの危機を悟り、急いで引き返そうとする。
しかし、その時にはすでに遅かった。
長時間の飛行でスペイザーの燃料は底を尽き、推進力を失った機体は惰性で漂うしかない。
眼下で崩壊していく世界を見つめながら、二人はただ呆然と立ち尽くすことしかできなかった。
その頃、激しくうねる海底深く。
冷凍睡眠のまどろみの中、大介、さやか、マリアの三人は、一つの夢を見ていた。
それは数十万年前、シグマ文明が栄華を極め、ベガ星が誕生した遥かな太古の記憶。
当時のベガ星は、莫大な資源を秘めた豊かな惑星だった。
しかし、気候変動はあまりにも激しく、シグマ文明人──すなわち地球人やフリード星人の祖先が暮らせる環境ではなかった。
そこでシグマ文明人は、一つの選択を下す。
罪人たちの肉体を過酷な環境に適応できるよう改造し、その遺伝子を子孫へ受け継ぐよう組み換えたうえで、資源採掘の労働力としてベガ星へ送り込んだのである。
やがてシグマ文明は衰退し、その支配から解き放たれたベガ星人たちは、自らの暗い過去を胸に秘めたまま立ち上がる。
今こそ宇宙の覇者となるために。
その瞬間から、果てしない侵略戦争の歴史が始まった。
海は怒り狂い、天は裂け、大地は悲鳴を上げる。
まるで惑星そのものが、人類の歴史をなかったことにしようとしているかのようだった。
さやかは涙を流しながら、ラーガとグレンダイザーへ必死に訴える。
「三人だけ生き残ったって意味がない!そんな寂しい世界で目覚めたくなんてない!」
だが、その願いが届くことはなかった。
二機は何一つ応えない。ただ静かに、粛々と使命を遂行し続けるのみだった。
大地は砕け、海は陸地をのみ込んでいく。
東京が沈む。モスクワが崩れる。
ニューヨークが割れ、大都市という大都市が音もなく地中へ消えていく。
長い年月、人類によって傷つけられ続けた地球は、その苦しみを一気に吐き出すかのように、激しく身をよじり続けた……。
数ヶ月後──再び地球に、不気味なほど静けさが訪れていた。
新しくできた大地の上で、うごめく二つの影があった。
言うまでもない、甲児とひかるだ。
二人は自分達のように生き延びた人々を見つけ出し、彼らと共に新しい世界をはじめから作り直すことを決心する。
いつの日か、永き眠りから目覚めるであろう大介、マリア、そしてさやかを迎えるために。
ふと、空にオーロラがかかる。
甲児とひかる──そして、何もかも全てを失い、ボロボロになりながら生きながらえたズリルもそれを見ていた……。
ひかる
「あら、オーロラだわ」
ズリル
「すべてがほろびたというのに、これだけはかわらん」
「生命のあるかぎり、こんどこそ大切にみまもっていかねば……」
甲児
(何年先か、何十年先か。おれは待っているぞ。きみたちがよみがえってくるまで、人類の火をたやさず……)
(それがたとえ何千年先の未来でも……)
追記・修正は、終盤の展開を読んで「甲児がマジンガーZに乗ってさえいれば……」と思わずにはいられなかった方がお願いします。
- マジンガーZERO「やべぇなこいつ」 -- 名無しさん (2018-02-15 19:14:21)
- 昔読んだことあるけど、人間の弱さ愚かさを描くにしてもここまで来ると説教臭いというか押し付けがましい気がしたな -- 名無しさん (2018-02-15 19:30:23)
- グレートの頃より絵も雑だし話も暴走しすぎたなと -- 名無しさん (2018-02-15 21:39:25)
- 勿論偶然だろうけど「火の鳥2772」とも似たような展開に感じた -- 名無しさん (2018-02-15 22:17:49)
- ↑×4 ラーガって今どき風に作り直したらマジンガーZEROっぽいチートロボになるかもな -- 名無しさん (2018-02-15 22:32:01)
- あれ、TVシリーズでもナイーダが「円盤獣にはフリード星人の脳が使われているのよ!」って言ってなかったっけ(真偽はともかく) -- 名無しさん (2018-02-16 01:05:25)
- マジンガーというよりはデビルマンだな… -- 名無しさん (2018-02-16 02:04:35)
- ↑2 調べてみたら自分の勘違いだったみたいなので、そこら辺も含めて修正しました -- 名無しさん (2018-02-16 08:59:49)
- イデ「何て勝手な」 -- 名無しさん (2018-02-16 10:22:10)
- ブラックゴースト「せっかく核戦争を回避させて支配しようとしたのに余計な事しやがって・・・」 -- 名無しさん (2018-02-16 10:48:36)
- ちょっと調べてたら、ナイーダ登場回が元々こちら初出だったという情報が入ってきたので再度修正 -- 名無しさん (2018-02-16 21:59:44)
- 当時の桜多吾作先生の精神状態が心配になる -- 名無しさん (2018-02-17 00:06:30)
- ジーグとかガイキングのコミカライズ見る限り、あの時代はバッドエンドが流行ってたんだろうか -- 名無しさん (2018-02-17 00:09:33)
- そう言えば同年のStar Wars EP4の項目にも「当時は内罰的な作品か退廃的な娯楽しかなく健全な娯楽が不足していた」ってあったな -- 名無しさん (2018-02-17 06:53:35)
- INFINITYの「この世は、存在する価値はありますか?」に対する甲児とリサの答えは今思うと桜多版ダイザーへのアンチテーゼだったのかもしれないとなんとなく思った -- 名無しさん (2018-02-17 20:08:50)
- 今だったら「マジンガーZEROvsグレンダイザー&ラーガ」なんて妄想もできるが、どっちが勝っても世界が終わる未来しか見えねぇw -- 名無しさん (2018-02-18 09:40:03)
- この漫画今だと発禁になりそう -- 名無しさん (2018-02-20 23:37:24)
- ↑ないないw -- 名無しさん (2018-02-22 10:15:17)
- ひょっとしたらグレbンダイザーの元になった『宇宙円盤大戦争』でブラッキー隊長(ダイザーとは違う姿)が使おうとした『核爆発誘発装置』っていう地球上の核兵器をコントロールする装置が、これの終盤の核戦争のヒントになったのだろうか。 -- 名無しマン (2018-03-13 14:49:19)
- 別の人の作品借りて描いてるって自覚あるのかないのかww -- 名無しさん (2018-12-14 23:45:56)
- 量産型グレートみたいにラーガも機体だけ参戦でいいからスパロボに出ないかな。インフィニティやゴラーゴンが間違った使い方された際の文明リセットシステムみたいな扱いとかで。 -- 名無しさん (2019-11-25 09:19:13)
- 少女漫画家出身だけあり、特にさやかとひかるは原作よりかわいい。亡国の貴族が洗脳機械で操られて雑兵の慰み者にされるというエロ同人みたいな設定のナイーダがエロい。 -- 名無しさん (2020-01-25 16:22:05)
- 甲児もまたシンジとアスカの様な結末を築いていたのだと思うと、やっぱ人間なんだって思う。まぁ、ゲッターに取り込まれて悠久の戦いに駆り出されるよりはマシだろうけど…ケン・イシカワ時空よりは幸せに見える悲劇 -- 名無しさん (2021-07-25 06:23:52)
- SFの項でも言われてたけどハードSFの使い方間違ってない? -- 名無しさん (2021-10-03 19:18:19)
- ダークでシリアスな作風に文句は無いけど、よその版権作品を自分の思想のメッセージ主張の道具にしたり著しいキャラ崩壊させるくらいなら自分のオリジナルで描けやって話 -- 名無しさん (2022-11-13 12:13:48)
- ↑永井先生は「 -- 名無しさん (2022-11-13 12:28:00)
- ↑途中送信失礼 永井先生は「田吾ちゃんの好きにしていいでゲスよw」とか言いそうだしその辺はセーフそう -- 名無しさん (2022-11-13 12:45:41)
- ↑冷奴先生、その辺おおらかというかいい加減だしなw -- 名無しさん (2023-01-30 18:50:34)
- グレンダイザーへの変更で没企画になったゴッド・マジンガーでやる予定だった結末を踏襲したのかもね。 -- 名無しさん (2023-09-17 18:58:04)
- しかし、さやかがグレンダイザーに出るとか嫌な予感しかしないねえ(確信) -- 名無しさん (2023-11-16 23:36:50)
- ダイザーUのさやかさん登場に反応して来てみたら案の定同志が -- 名無しさん (2023-11-16 23:58:28)
- 来年のグレンダイザーUにラーガっぽいダイザーが出てきたんですけど… -- 名無しさん (2023-12-11 00:49:38)
- ↑pvに遺跡や巫女役のひかるなど古代文明との関連が匂わされたりやっぱラーガを想起しますよね…… -- 名無しさん (2023-12-11 00:55:52)
- 事前の登場人物紹介にズリルがいたり、島の名前が「神に逢う島」だったりと関係なかったらむしろ驚く -- 名無しさん (2023-12-11 02:08:49)
- グレンダイザーUの2話見たんだけど異種族のはずのデュークと甲児がぶっつけ本番で輸血に成功できてグレンダイザーとスペイザーそっくりの石碑が出てきたり想像より桜多要素が出てきて冷や汗が止まらなかった -- 名無しさん (2024-07-13 12:10:02)
- というか、多分PVの時から思ってる人多そうだけど3大スペイザーはあそこから出土される予感がビンビンする。 -- 名無しさん (2024-07-13 12:18:48)
- サーガとかZERO(初期)の、制御を失えば世界をも滅ぼす悪魔の力としての側面もある気がする。かつてのダイナミックOVAみたくいろんな要素を混ぜ込んで再構築したやつになりそう -- 名無しさん (2024-07-13 22:53:21)
- 冷戦当時の緊迫感閉塞感が伝わってくるな。明日にも核戦争が始まるかもしれない空気に晒されていればこんな話を描きたくもなるんだろう…… -- 名無しさん (2024-10-21 03:23:30)
最終更新:2026年08月01日 23:38