沈黙の魔導剣士-サイレント・パラディン

登録日:2018/06/21 (木曜日) 10:43:00
更新日:2025/02/11 Tue 16:28:15
所要時間:約 6 分で読めます





《沈黙の魔導剣士-サイレント・パラディン》とは遊戯王OCGに存在するモンスターである。
Vジャンプ2016年8月号の付属カードとして登場した。

解説

名前を見ればピンとくるかもしれないが「デュエリストパック-王の記憶編-」に新規収録及び再録された、
サイレント・ソードマンサイレント・マジシャンのサポートカードである。

Vジャンプによくある近い時期に発売されたパックやストラクに収録されているカテゴリーに関するサポートカードの1枚で、
この手のカードは《永遠の淑女 ベアトリーチェ》や《慧眼の魔術師》など「デッキを組むためにはVジャンプを買う事が必須」になるレベルのカードがついてくることも珍しくはない。
それがメインデッキに積むカードならほぼ3冊購入は必須である。

「-王の記憶編-」新規収録された「沈黙の剣士-サイレント・ソードマン」と「沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン」(以下「沈黙」シリーズ)が強力だったこともあり、
サポートカードのこれがVジャンプに付属することが決定した時はその性能に大いに期待が集まった。

サイレント・パラディンは3つ効果を持っており大雑把に言えば、
(1)召喚時のカテゴリーのカードをサーチする所謂《E・HERO エアーマン》効果。特殊召喚には残念ながら非対応。
(2)魔法カードの発動を無効にする効果。フィールド上に存在する限り1度しか使えないがノーコスト
(3)フィールド上で相手によって戦闘か効果で破壊されると「サイレント・ソードマン」や「サイレント・マジシャン」をサルベージできる効果。

見ての通り「召喚時サーチ」「発動無効」「リカバリー用のサルベージ効果」を全て持ち合わせた9期のカードで良く見かけた強い事しか書いてないカード。
サーチャーがサルベージ効果を持っているためアドバンテージの塊ともいえる。
全ての効果がノーコストかつノーデメリットで、このカード自身もサーチしやすい優れたステータスを備えたレベル4の通常召喚可能な下級モンスターで、手札に持ってこれないとか場に出しにくいという事もない。

元ネタは同じく剣士と魔法使いの融合体こと闇遊戯の切り札の一枚である《超魔導剣士-ブラックパラディン》から。おそらく魔法メタ効果もサイレントシリーズではなくこちらから。
イラストは太ももを覗かせる凛々しい美人な女魔法剣士と言った感じでイラストアドも高い。
Twitterの公式アカウントでイラストの全体像も公開され決闘者を満足させた。


追記・修正はVジャンプの2015年8月号の付属カードを思い出しながらお願いします。







































   *   *
 *   + うそではないです
  n ∧_∧ n
+ (ヨ(*´∀`)E)
  Y   Y  *


このカード、世間的な評価はぶっちゃけ「産廃」「デッキに積む価値がない」と言った所である。
【サイレント・ソードマン】【サイレント・マジシャン】のデッキを組もうと思ってもVジャンプは買わずとも何も問題はなかった。
では上記の効果は嘘なのかと言えば嘘は言っていないし、強そうな効果の詰め合わせみたいなカードなのは事実である。
何故カードテキストを張らないのかと違和感を感じた方もいるかもしれないが、それはカードテキストを見ればわかるだろう。

カードテキスト

効果モンスター
星4/光属性/天使族/攻 500/守1500
(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。
デッキから「サイレント・ソードマン LV3」または「サイレント・マジシャン LV4」1体を手札に加える。
(2):このカードがフィールドに表側表示で存在する限り1度だけ、
自分フィールドのモンスター1体のみを対象とする魔法カードが発動した時に発動できる。
その発動を無効にする。
(3):フィールドのこのカードが戦闘または相手の効果で破壊された場合、
自分の墓地の光属性の「LV」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを手札に加える。

おわかりいただけただろうか?
3つの効果とも致命的に何かがズレていることを。

何故弱いのか

効果テキストを読んで察した方もいるかもしれないがノーコストかつ変な発動条件や発動前後の制約もなく
3つのサーチ魔法カードの発動無効墓地サルベージ効果を持っているのにもかかわらず、
何故「産廃」またはそれに近い扱いをされているのかを解説していく。

(1)の効果のサーチ先は《サイレント・ソードマン LV3》《サイレント・マジシャン LV4》に限定されており、
しかもそんなもの召喚権使ってまで手札に持って来てどうするといったカード。

コイツらLVモンスター達はフィールドに居座ることで強化されるカードなので、
手札に持ってくるより《シャインエンジェル》辺りに自爆でもさせて直接フィールドに出すほうが明らかに効率的なのだ。
特殊召喚非対応な点も仇になり、召喚権を追加する手段やサーチ先のための特殊召喚方法を別途用意しなければ即座に場に出せない。
デュエリストパックに登場した「沈黙」シリーズには触ることすらできない。

そもそも《沈黙の剣士-サイレント・ソードマン》《沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン》で上位種を直接リクルートできるのに、
何が悲しくてわざわざ下位種を場に出すところから手間をかけねばならないのか。

召喚時サーチ効果そのものは強いが対象がしょっぱすぎるため台無しになっている。
ついでに召喚時限定が災いして、サポートを受けやすいメリットの筈の攻撃力500の低さをもろに晒してしまうため、
反撃で大ダメージを受けるのは覚悟しなければならない。

(2)の効果で無効にできる魔法カードはモンスター1体を対象にしたもののみ。無効化できる範囲がものすごく狭い。
プレイヤーや魔法・罠カードに影響を及ぼすものはもちろん、デッキや墓地や手札や除外状態のモンスターに影響するもの、
不特定多数のモンスターに影響するもの、モンスター2体以上を対象とするものなど、無効にできないカードの範囲があまりにも広すぎる。
モンスター1体を対象とした魔法カードで汎用的なものは禁じられたシリーズと《月の書》程度しかない。
しかも自分フィールドのみなので相手の装備魔法への妨害にも使えない。

閃刀など対象に取る魔法カードが多く刺さるデッキもあるのだが、
低ステータスすぎる故にこのカードを殴り倒してから使えばいいという事になってしまう。
範囲が限定的な上に自身が制圧モンスターとして低すぎるステータスのため正直使い難い効果。
というかそもそもこいつがサポートしようとしているサイレント系は《サイレント・マジシャンLV4》以外は最初からこの効果より優秀な魔法耐性を持っているという本末転倒なところがある。

(3)の効果はそんなものサルベージして(ry
勿論デュエリストパックで登場した「沈黙」シリーズには(ry
高レベルLVモンスターは基本的にデッキから引っ張りだされるので手札に持っている意味は薄く、
低レベルLVモンスターも墓地にいるなら蘇生なりで特殊召喚してレベルアップを狙った方が良い。
サイレント以外のLVサポート効果として割り切ろうにも、
光属性のLVモンスターは「サイレント・ソードマン」「サイレント・マジシャン」シリーズが大半を占めており、例外は「ハネクリボー」シリーズ2枚と《アームド・ドラゴンLV10ーホワイト》の合計3枚のみ。
LV10は《進化する翼》の効果によって特殊召喚されるカードなのでサルベージする意味は全くなく、自身を特殊召喚する効果を持っているLV9とホワイトは辛うじてあるか程度。
ただサイレントシリーズとシナジーがある訳でもなく、用途も限定的なので採用の意味が薄い。

天使族という種族設定も大分問題があり「沈黙」シリーズのリリースに使う事が出来ない。
「ソードマン」と「マジシャン」の両方のサポートカードという立ち位置なのでどちらでもない種族にしたのだろうが、
《沈黙の剣士-サイレント・ソードマン》は戦士族、《沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン》は魔法使い族をリリースする事で特殊召喚できるモンスターなのだ。
(1)(3)の効果含めて、このカード発売前に出た「沈黙」シリーズと徹底的に噛み合わせる気がない。
サルベージ対象である《アームド・ドラゴンLV10ーホワイト》の登場で辛うじて場に並べられたらマアトが出せる程度の利点が出来たが、サイレントシリーズとシナジーがある訳でも(ry
せめて《光と闇の竜》よろしく永続効果なりで戦士族としても魔法使い族としても扱える*1ように気を配ってくれりゃいいものを…
どうしてこうなった。

この様に3つの効果は全てメリット効果しか書かれていないのにもかかわらずどれもほとんど役に立たないというのが現実である。
「これだけ強い要素の効果を持っていながらこれだけ弱いカードを作れるのは逆に凄い」とまで言われてしまっている。
1つでも有用な効果があればここまで言われることはなかっただろう。

遊戯王OCGでは最強クラスの効果であるサーチ、効果無効、サルベージがどれだけ高性能でノーコストノーデメリットで使えようともその対象がズレていれば意味がないということを身をもって教えてくれた。

使い方考察

とはいえ、クズカードと断じて投げ捨てては某蟹の人に怒られてしまうので、真面目に使い方を考えてみよう。

まず、効果のうち二つはサイレント・ソードマンとサイレント・マジシャンを想定しているため、どちらかを採用したデッキに組み込むことになる。
この二つのデッキは戦士軸・魔法使い軸で構築は変われど、基本は「魔法メタのビートダウン」であるため、低ステータスのサーチャーであるパラディンでは単純な活躍は難しい。

ではどうするのかと言うと、サイレント・ソードマン軸が候補。無論単純な相性は悪いが、種族を利用して《サイバー・チュチュボン》を絡めることで旨い事潤滑油として機能してくれる。
《サイバー・チュチュボン》は手札から戦士または天使を捨てることで特殊召喚できる召喚条件を持っており、パラディンNSからソードマンLV3を持って来ればそいつをコストに出て来られる(逆にパラディンを切って出ることも当然できる)。捨てたソードマンは各種蘇生罠で相手のエンド時に蘇生→進化、という鉄板の流れに繋げられる(言い換えれば持って来たソードマンの捨て蘇生を円滑に行える)。

フィールドに出た後は各種素材にして的になるのを回避するわけだが、現実的なのはリンク素材。
この流れから狙いたいのが《暴走召喚師アレイスター》で、リンク素材の条件がちょうどこの流れでクリア可能。墓地のパラディンと揃って《召喚魔術》で《召喚獣メルカバー》になってしまえば制圧力を高められる。

狙う場合、手札に必要なのはこのカードと《サイバー・チュチュボン》、および《召喚魔術》or《簡易融合》。無論これはパラディンの活用を前提とした考え方なので、本気でパラディンを使いたいなら狙ってみてもいいだろう。

続いてマジシャンを絡める場合だが、こちらはどちらかと言うと天使族デッキに組み込むことになる。
レベル4の天使であるため、《同胞の絆》から《オネスト》をリクルート→効果でバウンスしてサーチできる。マジシャンを出した後の保険にもできるが、《同胞の絆》のデメリットの低減を図る都合上初手に揃っていないと効果が薄れることに注意。
破壊時のサルベージでは《ハネクリボーLV9》を狙いたい。
変わったところでは《天空聖騎士アークパーシアス》のサポートに使える。
2番目の効果で魔法を無効にしてトリガーを引き、自身と別の天使を除外することでアークパーシアスを特殊召喚できるため、意外と相性は悪くない。

また、遊戯王OCGストラクチャーズ4巻付属カード《天翔ける騎士》は縛り無しランク4なのでパラディン+適当なレベル4モンスターからX召喚可能、X素材を消費してパラディンがサーチしてきたソードマンかマジシャンを特殊召喚、墓地にいる時に場で棒立ちしているパラディンをX素材にしつつ墓地から復活、と非常にパラディンと噛み合った効果を持っている。
こちらもマジシャンと組んでランク4に寄せつつ天使族を主体にした構築となる。

そこまでして使う価値?愛以外の何があるというのか。

余談

イラストアドが高いのは事実だがその恵まれたイラストに全く見合ってない性能から逆に悲惨さが際立っている。
凛とした表情から繰り出される残念なステータスと効果は「キリッとした顔がポンコツさを際立たせる残念美人」とか「装備は立派だけど本人の腕はへっぽこ」とか言われてしまっている。
一周回って《モリンフェン》的な愛され方をしている模様。まるでいつぞやの駄女神のように…

ちなみにこのカードの発売の1年前の2015年8月号の付属カードはこれである。
呪いなんじゃないかと言われてるとか。
Vジャンプの8月号は産廃か産廃とまでは行かずとも微妙なカードが続いているため法則を唱える人もいる。


追記・修正はこのカードの有効な使い方を思いついた方にお願いします。

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最終更新:2025年02月11日 16:28

*1 とはいえOCGでは、こういった「カード効果で2種類以上の種族になれる」という効果は一枚もなかったりする。アニメ版では機械族としても扱えるTGが、OCG化でその効果を奪われたのが良い例。