簡易融合(遊戯王OCG)

登録日:2012/01/06 Fri 17:31:46
更新日:2025/05/06 Tue 02:38:20
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簡易融合(インスタントフュージョン)》とは、遊戯王OCGに存在するカードの1つ。

簡易融合(インスタントフュージョン)/Instant Fusion》
通常魔法(制限カード
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):1000LPを払って発動できる。
レベル5以下の融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃できず、エンドフェイズに破壊される。

関連カードとして、《簡素融合(レトルトフュージョン)》・《インスタント・コンタクト》についても併せて解説する。



概要

初出パックは微妙パックとして名高いCYBERDARK IMPACT」。

1000ライフを払う事で、レベル5以下の融合モンスターを融合召喚扱いで特殊召喚できる通常魔法。
同名カードは1ターンに1回しか発動できないという、この時代には珍しい時代を先取りした制約がついている。

このカードで出した融合モンスターは攻撃が封じられるので戦闘要員には使えない上、ターン終了時には自壊してしまう。
しかし融合召喚扱いなので蘇生制限も満たすため、墓地に送られても蘇生が可能である。
また、効果も無効化されないので効果持ちなら効果を使える。

融合召喚扱いなので、「融合召喚でしか特殊召喚できない」モンスターは特殊召喚できる。
ただし、「融合召喚は上記のカードでしか行えない」モンスターは特殊召喚不可能。

第5期までは「融合デッキ(後のEXデッキ)の枠は無制限」という大らかさだったので、対象範囲の20種以上の融合モンスターを全部積んで使い分けることも可能だった。その点での性能的には全盛期である。
…が、このカードと組み合わせて使うことを期待された《サウザンド・アイズ・サクリファイス》が登場直後に禁止されたこともあり、や《虚無魔人》のリリース要員くらいにしか使われなかった。
ただしその用途でも《デビルズ・サンクチュアリ》の方が有用という始末。
出せるモンスターがしょうもないバニラモドキばっかりだったこともあり、ほとんど顧みられることのないカードだった。


第6期

S召喚が登場すると、このカードは「手札1枚で自由にレベルが合わせられる」というジョーカーのような役割を持つようになる。

レベル1から5まで幅広く出し分けられるので、レベルの調整は容易。
などが利用可能。初期に量産された効果がなくて使い道のない弱小融合モンスター達に希望を与えた。
そのため、まったく惜しまれることなく絶版になっていった初期の融合モンスターが高騰することが度々起きる様になった。
城之内くんの主力だった《炎の剣士》や《魔導騎士ギルティア》が使いやすくなったのもファンには朗報だろう。

また、チューナー以外の素材に属性や種族の指定があるシンクロモンスターの召喚が容易になった。
と言った具合に状況に合わせたモンスターを出せるようになり、戦略の幅を広げた。
ドラグニティ】なら《マブラス》を出して《ドラグニティナイト-ヴァジュランダ》や《ドラグニティナイト-ガジャルグ》をシンクロできる。


第7期

X召喚が登場。
S召喚と同じくレベルを参照する召喚法なので、やはり《簡易融合》は便利な存在となった。
特定レベルモンスター+こいつで好きなランクを出せるのである。

強力なモンスターが集うランク4はもちろん、普段は出しづらい《No.61 ヴォルカザウルス》などのランク5が出しやすくなる点は要注目。

さらに環境デッキにもなった【カラクリ】や【ゼンマイ】では必須カードになっている。
アクセルシンクロや「フィールドのエクシーズモンスターに重ねるX召喚」のようなエクストラデッキを多く割く召喚法も成熟していき、専用の融合モンスター枠を必要とする《簡易融合》はひっ迫する枠争いに悩むようになる。


第9期以降

強力な制圧効果を誇る《サイバー・ドラゴン・ノヴァ》→《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》を出すために、《メカ・ザウルス》や《重装機甲 パンツァードラゴン》が使用された。
特に後者は光属性なので《セイクリッド・プレアデス》にも対応する点が優秀である。

地味に融合シャドールの《エルシャドール・ミドラーシュ》も出せる。
特殊召喚を制限する効果がそれほど活かせないものの、墓地に行くとシャドール魔法・罠を回収可能。
さらに、蘇生制限を満たすので《シャドール・ファルコン》で蘇生可能。

《LL-インデペンデント・ナイチンゲール》を素材に《The Tyrant NEPTUNE》を出して効果を継がせるコンボが注目されたりもしたが、2017年4月1日の改訂であっさりこの使い方はできなくなった。

餅カエル》が登場すると《バハムート・シャーク》を出すために《レア・フィッシュ》の値段が上がったりした。
レベル5チューナーと組み合わせて赤タクシーを出すのも誰もが考えることだろう。
これら2つは新マスタールールの導入で使いづらくなったが。

かの《サウザンド・アイズ・サクリファイス》が2016年4月1日に制限復帰を果たし、同年7月1日には準制限、10月1日にはなんと無制限になった。
現在では相手のモンスター1体を道連れにした上でランク1の《森羅の姫芽宮》の素材になる。

リンクリボー》の登場後は、EXモンスターゾーンの圧迫が気にならなくなったのでさらに使いやすくなった。
状況次第ではあるが《サクリファイス・アニマ》や《グラビティ・コントローラー》に変換すれば追加除去も狙える。


この他にも様々な使い方があり、汎用性は非常に高い。

登場当時は微妙パックの一員にふさわしい、しょうもないカードの1枚にすぎなかった。まさか出せるモンスターに幅があることが重要になる日が来るとは……。
登場時では考えられない、かなり出世したカードと言える。
S召喚が登場するまではほとんどのプレイヤーは完全にノーマークだった、という意味では《大寒波》などに近いカードかもしれない。


コナミもこのカードを意識してか、レベル5以下の融合モンスターには「普通に融合する程の強さじゃないけど《簡易融合》から出てくれば強い」ようなモンスターを出すようになった。
また《魔導サイエンティスト》や《突然変異》が禁止になって行き場をなくしたバニラ融合モンスターの存在意義を見いだし、救済したカードとも言える。
(まあ《突然変異》は基本《サウザンド・アイズ・サクリファイス》や《サイバー・エンド・ドラゴン》などの高レベル強効果持ちモンスターメインだったが…)


そして…

旧神ノーデン》「初めまして^ ^」


第9期の問題児の1人(爺さんだけど)と言えるこいつが登場し、注目を集めた時期があった。

《旧神ノーデン》は特殊召喚時にレベル4以下のモンスターを蘇生する効果を持つ。
単純に「《簡易融合》1枚がランク4かレベル5~8のシンクロに化ける」と考えれば、その強さがわかるだろう。
だが、あろうことかこの効果にはターン1の制限が無かったため、《旧神ノーデン》を利用した先攻ワンキルが開発された。

その結果、《旧神ノーデン》が先行登場した韓国にて大暴れし、大会では「如何に早く《簡易融合》で《旧神ノーデン》を呼び出すか」を競い合う結果となった。
その様は「カップ麺早食い大会」と揶揄されるほど。

また、シンクロかエクシーズ2体という素材の指定も特徴的であり、通常の融合がしづらい代わりに《超融合》で相手のシンクロ・エクシーズをチェーンを許さずに除去できるという強みもあった。

その使用率や韓国での暴れっぷりを見る限り、《旧神ノーデン》が来日する際には「《簡易融合》に規制がかかるのではないか?」と噂されるまでになっている。
(実際、【ノーデン1キル】の起点は《簡易融合》から始まるものが多い。まあ無くても出来るのだが

そのために1キルデッキでの悪用や、汎用展開カードとして多くのデッキが採用した結果、2015年1月から制限カードとなった。

その後、2015年10月1日からのリミットレギュレーションであえなく《旧神ノーデン》は禁止カードとなり、引き換えに《簡易融合》は制限解除となった。
が、EXデッキからの召喚制限がついた新マスタールール下でチューナーでもある融合モンスターの《テセウスの魔棲物》を初めとした強力な相方が増えており、マスタールール(2020年4月1日改訂版)にて融合・シンクロ・エクシーズの召喚制限が撤廃された際に危険視されたためか、2020年4月1日には制限カードに逆戻りした。


マスターデュエル』では【ティアラメンツ】の流行を受けて、なんと2023年5月1日に禁止カードに制定される
OCGでは規制されずこのカードで出せる《ティアラメンツ・キトカロス》の方が禁止になったが、同時に制限カードとなった《沼地の魔神王》と《おろかな副葬》の存在からして、制限カードとして実装された《ティアラメンツ・キトカロス》を含めたティアラメンツ達が収録されたセレクションパックが販売中だったが故の措置と思われる。
そもそも禁止カードを緩和してまで実装するな?知ら管


余談

一時期は入手が面倒な時期が続いていたカードでもあった。
登場から長らく再録されず、再録は期間限定のDUEL TERMINAL8や、トーナメントパックのみ。
しかも現在ではいずれも絶版であり、意外と入手困難。ノーマルの割には値段が高かった。
評価が上がってきた頃には、ある意味伝説のパック「CYBERDARK IMPACT」が売られていたら、このカード目当てで買い漁られる光景も。

米版のMEGA PACKにも再録されたが、なんとウルトラレア。
一応DE1に再度収録されたが、そっちでもレアリティはスーパーレアであり少し入手しにくい。

そして2014年12月20日発売の「THE RARITY COLLECTION」にて再録され大量にばら撒かれた。
その後、2016年のSPFEではノーマルで再録され、さらに入手は容易となった。
それでも上記の「THE RARITY COLLECTION」で収録されたシークレットレア仕様が高騰していたが、「20th ANNIVERSARY LEGEND COLLECTION」にてまさかの再録を遂げ、こちらも値段が落ち着いた。

なお、名称指定のターン1制限の付いた効果は第8期以降珍しくなくなったが、その元祖はこのカードと《限定解除》である。
魔導サイエンティスト》の事実上の調整版として登場したため、公式も気を遣っていたのだろう。

また、このカードの登場前にアニメGX瞬間融合(インスタント・フュージョン)という、ほぼ同じ読みのカードが登場してしまう事態が発生した。
中黒(・)の有無という差異こそあれど発音的には全く同じになり、カード名の宣言時に区別が出来なくなってしまうためか、アニメの途中で《瞬間融合(インスタント・フュージョン)》から《瞬間融合(しゅんかんゆうごう)》へと、読みを変える事になった。
その関係かは不明だがOCG化に時間がかかり、2014年に「しゅんかんゆうごう」の読みでようやくOCG化された。

カードイラストはカップ麺そのまんまである。
カップ麺は言わずと知れた「インスタント食品」の代表であり、本来の手順をすっ飛ばし容易に融合召喚できるこのカードの効果を表現したのだろう。
簡単に素早く調理できる食品として人気がある一方、安物の不健康な食品であるとの負のイメージも根強く、攻撃不可の制限が付く所以…かもしれない。
別に待ち時間は必要ないがエンドフェイズまで放ったらかすと伸びてしまうようだ。

イラストのカップ麺の値札らしきラベル*1にはライフコストと同じ「1000」が書かれている。相当な高級品なのだろうか*2

遊戯王5D'sにはやたらとカップラーメンへの愛着の強い人物が複数登場し、カップラーメンマンなる人物まで登場したが、このカードとは何ら関係性はない。
一応このカードでレベル5のモンスターを出し、レベル3の《ダーク・リゾネーター》をチューニングすることでピリ辛レッドデーモンズヌードルを召喚できる。


関連カード

  • 簡素融合(レトルトフュージョン)/Ready Fusion》
通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):1000LPを払って発動できる。
効果モンスターを除くレベル6以下の融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃できず、エンドフェイズに破壊される。

初出パックは2021年発売の「DAWN OF MAJESTY」。
カップ麺の次はレトルトカレー。サムズアップしている《魔導サイエンティスト》の笑顔が眩しい。

平たく言えば、効果モンスターを出せなくなった代わりにレベル上限が6になった調整版。
「融合モンスターの効果だけは使える」であった《簡易融合》に対して、こちらはリクルート先が効果無しに限定されるため、出した融合モンスター自体は本当に何もできない。

このカードの登場により、《簡易融合》非対応で冷や飯を食い続けていた《アクア・ドラゴン》や《砂の魔女》、《スチームジャイロイド》といったレベル6・効果なしの初期融合モンスターたちがリクルート対象となり、種族・属性・レベルを活かして各種素材に使いやすくなった。
一方、こちらはレベル1に対応モンスターがいないことに注意。


  • 《インスタント・コンタクト/Instant Contact》
通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):1000LPを払って発動できる。
レベル7以下の、「E・HERO」モンスターまたは「N」モンスター1体を召喚条件を無視してEXデッキから特殊召喚する。
自分のフィールド及び墓地に「E・HERO ネオス」が存在しない場合、
この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃できず、効果は無効化され、エンドフェイズに持ち主のEXデッキに戻る。

初出パックは2022年発売の「POWER OF THE ELEMENTS」。
インスタント食品繋がりではないが、1000ライフを払ってEXデッキから融合モンスターを出す所は共通している。

平たく言えばE・HERO及びネオス専用の調整版。
出せるモンスターがE・HERO及びネオスペーシアン限定と更に厳しくなった代わりにレベル7まで出せる様になった。
E・HERO フレイム・ウィングマン》を呼び出して《E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン》や出身パックの看板モンスターである《E・HERO シャイニング・ネオス・ウィングマン》を出したり、《N・マリン・ドルフィン》を呼び出して《E・HERO マリン・ネオス》を出したりするのが主な用途。
勿論シンクロやエクシーズにも使えるが、こちらの場合は上限がレベル7になった代わりに下限がレベル4まで、と狭くなった点には要注意。




追記・修正はカップ麺で融合モンスターを特殊召喚してからお願いします。

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最終更新:2025年05月06日 02:38

*1 《成金ゴブリン》が典型例だが、ライフポイントは命以外にも財産と解釈されることが多い。

*2 現実世界でも明星70周年記念商品として限定発売された「中華三昧 贅の極み」という1食当たり2500円のインスタント麺が存在している。