永遠の淑女 ベアトリーチェ(遊戯王OCG)

登録日:2024/09/23 Mon 00:02:40
更新日:2025/04/12 Sat 21:07:19
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《永遠の淑女 ベアトリーチェ》とは、遊戯王OCGのモンスターである。
2015年11月号のVジャンプに付録されたのが初登場で、その後も何度か再録されている。

カードテキスト

エクシーズ・効果モンスター
ランク6/光属性/天使族/攻2500/守2800
レベル6モンスター×2
このカードは手札の「彼岸」モンスター1体を墓地へ送り、
自分フィールドの「ダンテ」モンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。
この方法で特殊召喚したターン、このカードの(1)の効果は発動できない。
(1):自分・相手ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
デッキからカード1枚を選んで墓地へ送る。
(2):このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。
EXデッキから「彼岸」モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。

概要

「光属性・天使族」の、ランク6のエクシーズモンスター

通常のX召喚とは別に、「彼岸」モンスター1体を手札コストにして「ダンテ」の上に重ねてX召喚もできる。
2024年9月現在、該当する「ダンテ」は二種類。
  • 《彼岸の巡礼者 ダンテ》(カード名が異なる「彼岸」モンスター3枚を素材にする融合モンスター)
  • 《彼岸の旅人 ダンテ》(レベル3モンスター2枚を素材にするXモンスター)
この方法では召喚条件が緩い《彼岸の旅人 ダンテ》に重ねることになる。

(1)は墓地肥やし効果。
種類を問わず任意のカードを墓地に供給できるため、墓地を軸にした多くのデッキの支えになる。
類似効果を持つ《ラヴァルバル・チェイン》と異なり、お互いのターンに発動することができる。
これにより自分ターンでは展開用、相手ターンでは《SR三つ目のダイス》《ペロペロケルペロス》などの防御用カードを墓地に送るなど、柔軟な使い分けもできる。

フリーチェーンで使用できる他の利点として、「召喚反応の除去効果を踏んでも墓地肥やしまでは完遂できる」点。
具体的には《永遠の淑女 ベアトリーチェ》のX召喚時に相手が《奈落の落とし穴》《激流葬》を発動しても、(1)の墓地肥やし効果は発動できる。
ただし「召喚を無効にする」類の《神の宣告》などの場合は(1)を発動できないため注意。

(2)は相手に破壊された時の特殊召喚効果。
この手の地雷効果は相手に除去を躊躇わせるためのものだが、条件が「破壊」に限定されているところが痛い。
【彼岸】であれば候補は《彼岸の巡礼者 ダンテ》であり、素材の重さをカバーできる。


評価

彼岸】デッキ

【彼岸】モンスターカードは、墓地へ送られた場合に様々な効果を発動する。
そのため《永遠の淑女 ベアトリーチェ》(1)の効果および「重ねてX召喚」の手札コストを、そのトリガーにできる。
墓地に送る候補をデッキから選べるため選択肢は広く、手札やフィールドのカードを減らさずに済む点も大きい。
自分ターンにアドを稼ぐは当然、相手ターンでも《彼岸の悪鬼 ファーファレル》《彼岸の悪鬼 アリキーノ》を墓地に送ることで、相手盤面に干渉する「制圧役」にもなる。
よって【彼岸】における重要度は高い。

ただし注意点が二つ。
一つは「重ねてX召喚」したターンは(1)の墓地肥やし効果を発動できない。
代わりに手札から落としているとはいえ損した気分は否めないし、うっかり発動することが無いように注意。

もう一つは《永遠の淑女 ベアトリーチェ》自体はカード名に「彼岸」を含まないこと。
各種彼岸の「自分フィールドに「彼岸」モンスター以外のモンスターが存在する場合」の自壊効果を発動してしまう。
そのためここから追加で展開する場合は《魔界発現世行きデスガイド》《彼岸の悪鬼 リビオッコ》等の自壊効果諸共無効にする方法が必要になる。

それ以外のデッキ

このカードは通常のX召喚も可能なので、(2)の効果を無視して(1)のみを目当てに他デッキに採用も可能。

ただし大きな問題になるのが、その召喚条件「レベル6モンスター×2」。
召喚が容易なレベル6は多くなく、つまり使えるデッキが非常に限られていた。

以下、《永遠の淑女 ベアトリーチェ》を自然と扱えていたデッキの例を掲載する。

テーマサーチ効果を持つ《EMモンキーボード》がレベル6なので、現役当時はそれを素材にX召喚ができていた。
墓地肥やしの役目は《ラヴァルバル・チェイン》が主に頑張っていたものの、相手に渡された《飛翔するG》で《EMモンキーボード》をアドバンス召喚した場合や
《竜剣士ラスターP》の効果で《EMモンキーボード》を二枚揃えられた時などに偶に使用されていた。

日本ではなく海外環境で注目を集めた使用法。
【魔術師】はランク4とランク6を出せるデッキであり、以下の凶悪なコンボが存在していた。
  1. 《永遠の淑女 ベアトリーチェ》をX召喚し、(1)の効果で《RUM-アージェント・カオス・フォース》を墓地に送る。
  2. 《永遠の淑女 ベアトリーチェ》の上に《迅雷の騎士 ガイアドラグーン》を重ねてX召喚。
  3. それをトリガーに《RUM-アージェント・カオス・フォース》(2)の効果を発動し、自身を手札に戻す。
  4. 回収した《RUM-アージェント・カオス・フォース》を捨て、予め出しておいたランク4の《No.39 希望皇ホープ》の上に《SNo.0 ホープ・ゼアル》をX召喚
  5. 後は《SNo.0 ホープ・ゼアル》の凶悪な制圧効果で相手を黙らせ勝利
この一連のコンボが問題視されたのか、海外では2018年5月21日に《RUM-アージェント・カオス・フォース》が禁止カード指定されることになる。制圧する側を取り締まらんの?
日本では全くこの使用法が流布されていなかったこともあり、この唐突な禁止には驚きの声も見受けられた。
そのおよそ3年後に《SNo.0 ホープ・ゼアル》が禁止指定されたため、《RUM-アージェント・カオス・フォース》も制限解除された。よかったね。

  • 【ドライトロン宣告者】
主なX素材は《サイバー・エンジェル-弁天-》とレベル変更済みの《宣告者の神巫》。
構築によっては《オオヒメの御巫》などが使用される場合もある。
ドライトロン」は墓地に送りたいカードが多く、「ドライトロン」モンスターを墓地に送っても強力だが、
イーバ》を墓地に送ることで《神光の宣告者》のコストも確保し、強固な制圧盤面になる。
天使族のため、このカード自身も《イーバ》のコストになれるので無駄がない。

電脳堺テーマ内にレベル6モンスターは複数いるため、比較的無理なくX召喚できる。
X召喚後は「勇者」側のキーカードである《聖殿の水遣い》を墓地に送り、勇者ギミックを開始。

自力で手札から特殊召喚できるレベル6モンスターが中心のテーマなので、自然とX召喚の準備は整う。
お互いの墓地のカードをコストにしているため、相手に依存しないコスト供給係になる。


墓地肥やし効果そのものは禁止カードの《ラヴァルバル・チェイン》をも上回るが、
それを遥かに上回るほどに召喚難易度が高く、結果として良い塩梅の調整にはなっていた。
《ラヴァルバル・チェイン》禁止後、《永遠の淑女 ベアトリーチェ》は墓地肥やし手段として《ライトロード・ドミニオン キュリオス》《ユニオン・キャリアー》と肩を並べ、
ランク6のギミックを扱えるデッキの特権として、暫くは使用されていたのであった。


2024年4月27日までは。


【デモンスミス】登場以降

2024年4月27日に発売されたパック「INFINITE FORBIDDEN」。ここで新規追加されたテーマの1つが【デモンスミス】
テーマ詳細はあちらの頁に載っているが、「『手札に《魔を刻むデモンスミス》1枚があるor適当な効果モンスター2体をフィールドに用意する』だけで、召喚権を使わずにランク6+aの展開を実現する」出張セットとして流行を見せる。
そのランク6枠に《永遠の淑女 ベアトリーチェ》を当てはめた結果、最大の欠点であった召喚難易度を克服し様々なデッキで姿を見せることになった。

例:【スネークアイ】【R-ACE】【炎王
以下の手順で、召喚権を使わずに任意の炎属性1体をデッキから特殊召喚できる。
  1. 【デモンスミス】の基本展開により、召喚権を使わず《永遠の淑女 ベアトリーチェ》とリンク2の《刻まれし魔の大聖棺》を召喚(手順はあちらの記事を参照)
  2. 《永遠の淑女 ベアトリーチェ》(1)の効果で、任意の炎属性モンスターを墓地に送る。
  3. 《永遠の淑女 ベアトリーチェ》と《刻まれし魔の大聖棺》を素材に《賜炎の咎姫》をリンク召喚
  4. 《賜炎の咎姫》(2)の効果発動、手順2で墓地に送ったモンスターの蘇生
  5. あとはその炎属性モンスター効果からアドバンテージを得て展開を開始

例:【ユベル】【破械
以下の手順で、召喚権を使わずに任意の悪魔族1体をデッキから特殊召喚できる。
  1. 【炎属性】の手順1と同乗の盤面を作り、《永遠の淑女 ベアトリーチェ》(1)の効果で、任意の悪魔族モンスターを墓地に送る。
  2. 《永遠の淑女 ベアトリーチェ》と《刻まれし魔の大聖棺》を素材に《魔界特派員デスキャスター》をリンク召喚
  3. 《魔界特派員デスキャスター》(2)の効果発動、手順1で墓地に送ったモンスターの蘇生
  4. あとはその悪魔族モンスター効果からアドバンテージを得て展開を開始

闇属性・悪魔族テーマなので、当然上記の展開ルートに乗っかることもできる。
それとは別に、お互いのターンに墓地肥やしができる点を活かし
トランザクション・ロールバック》と「コピーしたい罠カード」を素早く墓地に送ることができる。
セットで墓地に送る候補は、手札・デッキ・EXデッキからモンスターを特殊召喚できなくなる《逢華妖麗譚-魔妖不知火語》が最有力。

融合キマイラモンスターや《幻惑の見習い魔術師》など、デッキの根幹にレベル6モンスターが複数いるので自然と場に用意しやすい。
墓地へ送る候補は、以下の通り。
  • 墓地へ送ることで《原罪のディアベルゼ》の召喚条件を満たしつつ、墓地から再セットしてモンスターを裏守備にする《微睡の罪宝-モーリアン》
  • 《幻獣王キマイラ》で蘇生し特殊召喚メタを張るための《深淵の結界像
  • 墓地の幻想魔族をどれでも蘇生できる《大陰陽師 タオ》

  • 《青い涙の天使》
通常魔法
このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターのコントローラーから見て相手は、自身の手札の数×200ダメージを受ける。
その後、対象のモンスターの効果をターン終了時まで無効にする。
(2):自分か相手が効果ダメージを受けた場合、墓地のこのカードを除外して発動できる。
手札・デッキから通常罠カード1枚を自分フィールドにセットする。
手札からセットした場合、そのカードはセットしたターンでも発動できる。
デッキではなくカードだが、相性が良いことは事実のためこちらに記載。
【デモンスミス】のギミックを使うことで、デッキから任意の通常罠カードをセットすることができる。
  1. 例によって【デモンスミス】の基本展開として、「《刻まれし魔ラクリモーサ》を素材にした《永遠の淑女 ベアトリーチェ》」を用意
  2. 《永遠の淑女 ベアトリーチェ》(1)の効果を「《刻まれし魔ラクリモーサ》を取り除いて」発動、《青い涙の天使》を墓地に送る
  3. 手順2で墓地に送られた《刻まれし魔ラクリモーサ》(3)の効果発動、相手に1200ダメージ
  4. 手順3の効果ダメージをトリガーに《青い涙の天使》(2)の効果発動、デッキから任意の通常罠カードをセット


制限動向

日本環境では登場後、特に《ラヴァルバル・チェイン》禁止後に一部のデッキで使用されるに留まる状況が続いていた。
しかし前述の【デモンスミス】登場後から、それまでとは比較にならないほどの活躍を見せてしまう。
その結果、2024年7月1日の改訂で制限カードとなってしまう。
とはいえ【デモンスミス】ギミックで《永遠の淑女 ベアトリーチェ》を二枚以上採用する事はまずないため、ほとんど何の影響も受けていない。
むしろ本家【彼岸】が側杖を食うハメになった。
そして上記の通りピン刺しでも問題なかったので案の定2024年10月1日の改訂で禁止となった。

海外環境では、元々【彼岸】が環境を席捲していたため、登場から半年足らずの2016年8月29日に制限カード指定を受け、以降しばらくそのままの状態が続いていた。
【デモンスミス】の登場以降は日本と同様に大暴れし、結局2024年9月2日に禁止となった。
同改定では【デモンスミス】の中継点だった《刻まれし魔ラクリモーサ》が登場からわずか45日という最速禁止記録2位をたたき出す*1こととなり、活躍どころではない暴走を重く見られた模様。
《刻まれし魔ラクリモーサ》が禁止になった時点で「ランク6出張」ギミックも半壊しているのだが、
その上で《永遠の淑女 ベアトリーチェ》をも禁止にしたというのは、上記の《SNo.0 ホープ・ゼアル》を含めた前科を重く見ての措置なのかもしれない。


追記修正お願いします。


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最終更新:2025年04月12日 21:07

*1 1位は《王家の神殿》。ただし当時日本で禁止だったカードを海外で実装する都合で登場と同時に禁止にした例外的措置。