ユージン・コズラウスキー(スパロボ)

登録日:2019/03/06 Wed 19:59:02
更新日:2024/07/25 Thu 19:04:01
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ユージン・コズラウスキーは、ゲーム『スーパーロボット大戦IMPACT』のコミカライズ作品、
『スーパーロボット大戦IMPACT 衝撃騎士団( インパクト・ナイツ )』(著:環望)に登場したオリジナルキャラクターである。
彼の出番が用意されているのは第3話「無名兵士ユージン・コズラウスキーの戦争」。


キャラクター概要

数多の勢力が跳梁跋扈し激化する戦局の中、地球連邦軍の有志が当てにならない軍上層部に頼らず、
独自に連携してロンド・ベル隊、ガンドール隊を支援すべく結成された「RECON13(強硬偵察隊)」に所属する地球連邦軍の一兵卒。

見た目は眼鏡をかけた青年であり、齢は恐らく20歳前後といったところ。
家族は両親が農場を営んでいる事が描写されており、母親に送る手紙の文面が本編のモノローグとして挿入されている。
農場の稼業は嫌々手伝っていた側面もあったが、何だかんだで哨戒任務を行うための肉体労働には役立っている模様。

官位は一兵卒に過ぎないが、作中時点では旧式扱いのジム・カスタムを改造した強行偵察隊仕様の機体が割り当てられている。
機体には偵察用の左腕のレーダードームやバックパックの偵察用機器、アクティブ・ソナーやソナー用の低周波発生装置が追加装備されているが、
反面武装はマシンガンとチャフ弾6発と、必要最低限のものしか積まれていない。未使用だったが一応ビームサーベルもある。

各地で獅子奮迅の活躍を見せるガンドール隊の行く先々に随行し、哨戒活動を行う任務に就いている。
彼自身、そんなスーパーロボットのパイロット達……剣鉄也流竜馬、葵豹馬、ひびき洸といった面々に憧れており、
ジムのコクピットにはマジンガーやゲッター等といったガンドール隊に所属するスーパーロボットの写真が飾られているほど。
一方、所詮無線担当でしかなく、ガンドール隊に加わる実力すら無い自分はスーパーロボットのパイロット達には名前すら知られてないだろうという諦観の念も抱いている。

早いが話、ゲーム中にもたびたび登場する「名無しの連邦兵A」といった位置付けのキャラクターであり、
そんな一兵士に過ぎない彼の視点から見たスーパーロボット軍団の姿が今回のエピソードの肝となっている。


作中での動向

スーパーロボットのパイロット達に対する憧れを抱きつつ、ガンドール隊を支援すべく哨戒活動に精を出すユージン。
ガンドール隊に加わる実力はなく、乗機もスーパーロボットでもガンダムでもないただのジムでしかない自分であるが、
自身に課せられた地道な作業がガンドール隊の役に立っているであろう事を心の支えに、日々任務に当たっていた。

哨戒作業中、たまたま上空を飛ぶアムロ・レイ大尉のリ・ガズィと、新型のゲッターロボを見かけるユージン。
通信機が拾った無線から聞こえてくるのは、談笑するパイロット達の声。
きっと彼らは、定時報告を伝える無線の声でしかない自分の名前すら知らないであろう事に、ふとユージンは諦観の念を抱いてしまう。
いずれ戦場の舞台が宇宙になれば、ガンドール隊も宇宙に上がる。そうなれば自分の任務も終わり……そう思っていた。


ある日、無線から聞こえてきた突然の報告……百鬼帝国の有する飛行メカザウルス群*1がガンドールに襲撃を仕掛けてきたという報。
ガンドールは現在渓谷を30km南下した谷あいの街に駐留しており、ユージンは敵が襲撃を仕掛けるのだとしたら街から北に登る渓谷だろうと睨んでいたのだが、
彼が見落としていた峻厳で走破は難しいであろう南側の渓谷を、百鬼帝国は飛行ユニットですり抜けて来たのだ。

自身の失敗を責めるユージンであったが、「北側の渓谷が走破が容易」という事実を思い出したユージンは、パッシブ・ソナーで敵を探索。
結果は……ドンピシャリ。30km時点に最低30体ものメカザウルス軍団が第二陣として進軍真っ最中であった。
北側と南側の挟撃作戦、ただでさえ市民の誘導に手を取られているガンドール隊が更に追い打ちを受けてしまえば、ガンドールは一溜りも無い……
自責の念に捕らわれるユージンであったが、ガンドール隊の雄姿を思い出しその想いはやがて奮起へと変わった。
何としてでもメカザウルスの進撃を阻むべく、ユージンは旧式ジム一機で単身メカザウルスの大群に挑むことを決意する……


ユージンの装備は旧式ジムにマシンガン一丁、チャフ弾6発にアクティブ・ソナー用低周波発生装置、
後はジムの左腕に装備されたレーダードーム……ユージン曰く「ばかでかい電子レンジ」のみであった。
これだけの装備でどうやってメカザウルスの大軍を迎え撃つか悩むユージンであったが、
ふと「電子レンジ」のキーワードに何か閃くと、すぐさま地図を見返し、ある地点をチェックするとその場にジムで急行する。

全ての準備を終え、人事を尽くして天命を待つと言わんばかりにチェックポイントでメカザウルスの大軍を待ち構えるユージン。
姿を現したメカザウルスにマシンガンで射撃をするも、強固な肉体を持ったメカザウルス相手にはかすり傷でしかない。
ただ相手を怒らせてしまうだけにすぎず、メカザウルス達は一斉にユージンのジムに襲い掛かった。

…が、ユージンはそれで良いとばかりに一目散に逃走。
猛り狂うメカザウルスを渓谷の分かれ道、行き止まりのある突き当りへと誘いこむ。
メカザウルスの大軍を一匹残らず誘い込んだユージンは、予め仕込んでいた爆薬で渓谷を爆破し、背水の陣を敷いた。

ユージン
「さあ…これでもう誰も出られないぞ…」
「俺とお前らどっちが勝つか…勝負だ!」

メカザウルスにとっては猫を前にしたネズミも同然、もとより勝ち目などない戦い。
だがジムよりも一回り以上のサイズを誇る大軍にも臆することなく、ユージンは装備していたチャフ弾を発射。
弾はすぐさま破裂し、メカザウルスの軍勢を包み込むかのようにチャフをばら撒く。

それを確認すると、ユージンは装備していたレーダーの出力を最大にまで上げ、メカザウルスの大軍目がけてレーダーを放つ……


レーダーが発するレーダー波も電波である以上電磁波の一種に違いない
広大な空間を索敵する為に放たれる電磁波はすさまじい強大さを誇る

密閉された峡谷に放たれた電磁波はチャフによって乱反射し嵐となって荒れ狂った!!


そう…あたかも超強大な電子レンジのごとく!!

これは生体パーツを多く用いたメカザウルスにとっては致命的であった!!

ユージン
「お袋直伝レンジ料理のレシピだ!! ローストになりやがれトカゲ共ッ!!」


――――勝負は、一瞬のうちに決した。
ユージンの奇策は成功……30体以上もの軍勢を誇っていたメカザウルスは、一匹残らず生体パーツがドロドロに融解。
物言わぬ骸となり果てた。ゴール「バカなッ!マグマの高熱にも耐えるメカザウルスが溶ける筈が無いッ!」
敵を全滅させた事に安堵したユージン……が、突如として、何者かの攻撃がユージンのジムに届く。
間一髪でレーダーを盾代わりにして攻撃を防ぐも、現われたのは百鬼帝国の主力兵器・合体百鬼ロボット……
そのブリッジに立つのは百鬼帝国を統べる首魁・ブライ大帝であった。

合体百鬼ロボットの攻撃で片腕を失ったジム。
ユージンは果敢に抵抗するも、更に頭部メインカメラを破壊され、コックピットも剥き出しになってしまう。
自身より弱小な一人間に過ぎないユージンの事を「羽虫」「虫けら」呼ばわりし、命ごいを迫るブライ大帝。
操縦席を直接睨みこむ敵ロボットの威圧的な顔を前に、ユージンは一瞬たじろぐも、意を決し、啖呵を吐く。

ユージン
「葵豹馬が命ごいするか……?
 アムロ・レイが…剣鉄也が命ごいするか? 流竜馬が命ごいするか!?

 俺だって同じだ! 命ごいなんてするものか!!」


ブライ大帝

「ならば死ねッ」

迫る合体百鬼ロボットドリル、ユージンは母親に最後の手紙を出せなかった事を心の中で謝りつつ、瞼を閉じる……



――――次の瞬間、地中から突如として出現したゲッターライガーのドリルが、合体百鬼ロボットの胴体を貫く。
目を開けたユージンの目の前にいたのは、既にチェンジを済ませたゲッタードラゴンの雄姿であった。
それに続くのは、ライディーンのゴッドバードと、コン・バトラーVの超電磁スピン。
無事だったガンドール隊がユージンの事を助けるために駆けつけてきたのだ。

ダイターン3やグレートマジンガーといったスーパーロボットだけでなく、ブルーガーのような僚機、
ザクII改のようなユージンのジムと同じ量産機すらも援護に参戦し、合体百鬼ロボとブライ大帝を一瞬の内に葬り去る。
その光景を前に、生きのびたユージンはただ圧倒されるのみであった……


戦いが終わり、帰投するガンドール隊のスーパーロボット達。
その後ろ姿を遠目に眺めつつ、ユージンはこんな自分でも彼らの役に立てたという事実を、あまり実感できないでいた。

ふと、去っていくロボット達の内、グレートマジンガーと思しき機影から発光信号が発されたのを、ユージンは見た。

ユージン
「貴…殿…の勇戦に…より、当方…危急を脱せり…」
「日頃の…献身なる偵察支援と…危難に立ち向かう勇気に感謝を込めて…ガンドール隊一同より…」
「我らが仲間…ガンドール隊名誉隊員…ユージン・コズラウスキー一等兵へ…友情を…込め…て…」

スーパーロボット達のパイロットは「無線の声」でしかないユージンの事も無下にせず、ガンドール隊の大事な仲間として認識していたのだ。
ユージンは、自身の頬が熱いのは落ちる夕陽に照らされてなのか、頬を伝う涙のせいなのか、自分自身でも分からなかった。
それでも彼はいつまでも、いつまでも消えゆく機影に、手を振り続けるのであった……


余談

著者の環望は単行本後書きでユージンの登場する本エピソードについて触れており、こうコメントしている。

ユージン・コズラウスキーというキャラクターがいます。
この「衝撃騎士団」第三話に登場する名もなき一兵士です。
彼はボクです。
そしてあなたかも知れない。

巨大な力を持ちながら、欲得もなく、名誉さえ試みず、ただ人々のために戦い続ける少年達の姿にあこがれました。
同じような立場に置かれたら、絶対彼等のように雄々しく戦ってやろう。幼い日の夢想です。
だけど、残念ながらボクの父も祖父も科学者ではなかった。
先祖は宇宙人ではなかったし、ニュータイプ能力が芽生える様子もありませんでした。
ボクはどこにでもいる、どちらかといえば標準以下の子供でしかなかった。
ボクがスーパーロボットに乗って戦う日は永久にこないのです。
だから漫画を描きはじめました。自分の創り出した誰かに思いを託したのです。
一番ロボット漫画を描いていたのはそれこそ小学生のころかもしれない。

「衝撃騎士団」はそんな子供の頃の願望が全開で注ぎ込まれています。

(中略)

…でも、ユージンはまだいいよな。ジムのってるし。

また、ユージンが搭乗している強行偵察隊仕様のジム・カスタムについて、環望は2021年12月頃に自身のSNSで話題に挙げており、
当初はオリジナルデザインの電子戦用ジムを出そうと思っていたが、ゲームに出ていない&オリジナルMSは版元がOKから出ないだろう、という理由から没になり、あの形に
という旨のコメントで述懐している。



追記・修正は、百鬼ロボ相手に命乞いせず啖呵を吐ける度胸のある方がお願いします。

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最終更新:2024年07月25日 19:04

*1スーパーロボット大戦IMPACT』では、恐竜帝国撤退後に地上に残されたメカザウルスを百鬼帝国が接収、戦力として使用している設定。