パー子/星野スミレ

登録日:2019/05/20 Mon 02:57:53
更新日:2025/04/20 Sun 17:13:01
所要時間:約 22 分で読めるわ!




パー子/星野スミレとは、『パーマン』の登場人物であり、実質的なヒロイン。
ドラえもん』と『パパは天才』についての彼女も紹介する。

またパーマンは1966年版と1983年版の2種類が存在するが、その中でも彼女は特に印象が変わっている人物であるため、分けて解説する。




【旧パーマン】

パー子

『はじめましてパー子です』より登場するパーマンの紅一点。
声優は栗葉子。
時間がなくて任命した1号(ミツ夫)・2号と違い、バードマンがちゃんと教育した人物であるため基本的なパーマンセットの使い方をきちんと心得ている。
1号には「バードマンは女の子相手だからちゃんと教えたのではないか」と疑っていた。

最初は「3号」と呼ばれることを「品物じゃあるまいし」と嫌い*1、かといって「パーガール」も語呂が悪いとして「パーレディ」と呼ぶように勧めていたが、1号たちは「ガラじゃない」として「パー子」と呼んでいた。
そして本人も慣れてしまったのか自分から「パー子」を自称するようになった。

初回こそ賢い立ち回りを見せていたが、実際は結構短気で男勝りな性格。
1号たちのちょっとしたからかいにもすぐカッとなって殴りかかっている(力は6600倍になっています)。
しかも1号が「力じゃパー子にはかなわない」と言うほどに腕力は優れているらしい。

一応フォローしておくと、小学5年生といえば成長期の関係からギリギリ女子の方が体格のいい時期であるために、別にパー子がとんでもなく怪力なわけではない。
まあミツ夫が貧弱であるというのは公式設定であるが。

ガサツな性格が災いして料理もヘタクソであり、1号のためにご飯を炊いたときには焦がしすぎてただの石炭になっていた。*2
その後本人は「食べられないことないわよ」とムキになってトンカチとノミを手にして石炭を食べやすいように分けようとしていた。
おそらくジャイアン佐倉魔美と並んで藤子・F・不二雄作品では料理が苦手なキャラクターだろう。
それにしても60年代に料理下手ヒロインを出すあたり、F先生は未来が見えていたのか

そして彼女の最大の特徴としては、仲間にも正体を明かしていないということである。
パーマンのルールとして仲間以外に顔を見せてはいけないというものがあるが、彼女の場合は仲間にすら正体を明かしていない(別にルール違反ではないが)。
ぶっちゃけ作中で頻繁に素顔を出すのが1号だけということもあり、1号達も最初はそこまで気にしていなかった。
しかし4人の中で唯一素顔を見せたことがないということで1号達に問い詰められることになるが、本人は
いいじゃない。ナゾにつつまれた美少女なんて、ロマンチックよ
あたしがどんな顔をしてようが、パーマンの仕事には関係ないでしょ
と、のらりくらりと躱している。
ミツ夫達も諦めたのか、後半からはあまり追及しなくなっていった。

なお男勝りな性格から1号達には女版カバ夫(パーマンにおけるジャイアンポジ)のような顔だと思われている。毎回イメージ図は見えている顔の下半分の骨格とも違うが、あまり突っ込んではいけない
だが実際は絶世の美少女であると知れば、どのような反応をするのだろうか……


星野スミレ

『パーマン』作中に時々登場する美少女アイドル。
金色の巻き毛にヘアバンド、まつ毛の長い瞳という、F作品ではかなり珍しい少女漫画風のキャラデザインが特徴の少女。
道を歩けばたちまち囲まれて、サインをねだられるというように作中内でもかなり高い人気を誇っているらしい。
作中で度々登場するが、意外にも主役回はひとつもなかったりする。


そしてパー子のもう一つの顔であり、正体でもある。
旧パーマンで正体を隠していた理由は結局不明。後述の新パーマンでの理由はこの時点では考えられていなかったのか、アニメ版ではバードマンが「素性の分からない仲間と共にうまくやっていけるのか」ということを見るためというのが理由となっている。

一応正体の伏線としては
  • パー子はやたらと芸能界に詳しい(特に星野スミレ関連)
  • どれくらいの美少女か、と言われたときに「星野スミレと同じくらい」と返す
  • パー子は年不相応なお金を持っていることを示唆されている
  • 1号がスミレを見て「どこかで会ったことがある気がする」と漏らす
  • パー坊が一瞬マスクを取った時の目元がスミレ
  • 原住民にマスクを取られた時のシルエットの髪形がスミレと同じ
など、案外多く張られていた。
とは言っても伏線と言える描写はコミックス5巻でこれプラスアルファしかなく、そもそも前述の通り星野スミレは準レギュラーどころか主役回が一度もないキャラであったため、おそらく子供向けクイズとしてはやや難しいものと言えるだろう。

ちなみに旧パーマンで明確に正体を見せたのは、連載から数年後に発売されたコミックス4巻のカバー裏のパーマンプロフィールによるもの。
ついでにそこで本名が「鈴木伸子」であり、「星野スミレ」は芸名であるということが明かされた。
元ネタはアニメ版の監督を務めた鈴木伸一氏(小池さんの元ネタになった人)。
新パーマンではプライベートでも「星野スミレ」と呼ばれているため、この設定は引き継がれていない可能性が高い。



【新パーマン】

冒険やバトルの多かった旧パーマンとは違い、新パーマンは他のSF(すこしふしぎ)作品のように日常描写や心理描写が増やされている。
その中で特にパー子がクローズアップされており、ついに旧作ではあやふやなままであった〈パー子=星野スミレ〉が明確に明かされることとなった。

パー子

声優は峰不二子やキューティーハニーなどで有名な増山江威子。
峰不二子とは違ったダミ声であり、声優ってすごいと思わされる。
なお他のF作品でも、似たような声質かつ腕力系女子な『オバケのQ太郎』(テレ朝版)のU子も演じている。

旧作との違いは、1号に対して強く好意を抱いているということ(まあ旧作でも多少はそのような描写も見られたが)。
どのタイミングで彼に惚れたのかは明確には描かれていないが、彼の強い正義感や精神力を見て好意を抱いたのだと考えられる。
1号には惚れているが同時に自身の性格のために素直になることができず、よくケンカになってしまい陰で苦悩している。

周囲には「星野スミレとはお友達」ということにしており、1号のためにスミレをダシに使うこともしばしばある。
だが同時に1号はスミレが大好きであるため、思わず「あんな子大したことない」と言ってしまうなどかなり複雑な心境。

後述するが、1号への恋が成就することとパー子でいられることはギリギリのバランスであるため、本人もどのように行動すればいいのかよくわかっていないのも、その複雑な心境に拍車をかけている。

あとお色気描写も何故か増えており、1号と2号よりも前を飛ぶものだから毎回毎回パンツを後ろから見られている。というか、毎回エンディング画像でパンツが堂々見えてる。まあ1号もオープニングで生尻見せているが
さらにとある事情で1号が悪の心に染まった時には、スカートを破かれ空中でパンモロを晒すというあんまりな目に遭っていた。

水着姿も数回披露しているが、F作品のヒロインにしては年相応な貧乳であった。
どう見ても小学4年生の胸じゃないしずかちゃんとかがおかしい


星野スミレ

以前と同じく人気の美少女アイドル。
おそらくミツ夫と同じ11歳。
キャラデザも大幅に変更されており、茶髪にヘアバンド、丸く大きな瞳と比較的F作品っぽい容姿である。
声優は増山江威子だが、声質はパー子とは対照的な少女らしいかわいいもの。

漫画版では豪邸で家族やお手伝いさんと共に暮らしており、アニメ版ではアパートで独り暮らし(正確にはコピーと暮らしている)をしている。

アイドルとしての人気っぷりがとんでもないことになっており、
  • 日本のトップアイドル
  • 小学生にして年収数千万円
  • 絶世の歌声
  • いかなる人物であろうとアポなしでは会えない
  • ライブチケットを取ることすら困難
と、最早アイドルの域を超えた何かになっている。
実際にそれに見合うだけのアイドルとしてのスキルを持ち合わせている。
ついでに彼女とコラボレーションした車らしき「目産スミーレ」なるものまで発売していた。
特に反応を見せていなかった旧パーマン時代とは違い、ミツ夫も大ファンでありCMでおっかけをしている。

性格はおしとやかで優しい人格者。アイドルとしてのサービス精神も旺盛であり、いきなり同じ学校の生徒に記念撮影を求められた時も嫌な顔せずに応じている。
また自分のことよりも他人を優先できるお人好しでもあり、正体がバレることも構わずパーマンの力でおじいさんを助けたこともあった。

仕事はすさまじくハードであり、とある話では「学校がひけてから、西宝映画本社へ新作映画の発表会、そのまま撮影所へ。撮影のあいまに新聞雑誌のインタビュー。コンサート。レコード会社で新曲打ち合わせ。さらに次の日の朝は6時にロケバスが出る」とどう考えても小学生向けではない殺人的なスケジュールに挑んでおり、精神力でなんとかクリアしている。
だがさすがに体力的にキツいのか車の中でよく眠ってしまっており、『パー子の秘密』ではコピーが学校に行っている間自室の屋根裏で仮眠をとっていた。
また『さらわれてバンザイ』で誘拐されたときにまず考えたのが、(パーマンの力で逃げ出せるということはあるにしても)仕事を休めるというものだった。
これだけの仕事をしようとするのは本人の希望であり、家族やマネージャーはむしろ減らそうとしている。

漫画版では1号とスミレの関わりは非常に少ないが、アニメ版ではパー子自身が正体をスミレであると仄めかしていることもあって案外多く、プライベートでもたまに遊んでいる。


◇パー子と星野スミレの間で

ここまで読んで彼女についてこう思った方もいるだろう。
パー子スミレ、あまりにもキャラが違い過ぎないだろうか}」と。

実際パー子とスミレの性格の差異は大きく、特に沸点の高低差が顕著。
パー子は少しからかわれただけですぐに手を上げるほど怒りっぽい(特にミツ夫相手だとわかりやすい)が、スミレの場合は1号が誤って窓ガラスを割ってしまったときも「悪気でやったことじゃないし」と笑って許していた。

また藤子・F・不二雄大全集別巻「Fの森の歩き方」のコラムのヒロインチャートでは「おしとやか」の端にスミレ、逆に「おてんば」の端がパー子となっている。

このように奇怪なパー子とスミレであるが、その理由は彼女の生活環境にある。

星野スミレはアイドルとしての並外れた才能を持ち、そのために周囲から特別扱いされてしまっている。
だがスミレは別にトップアイドルとしての独特な感性を持っているというわけでもなく、本人はいたって普通の少女である。
そのため歩くだけで周囲に振り向かれ、予定があるからと遊びの誘いを断っただけで「お高くとまっている」と陰で噂される。というように、本人は普通の女の子であるゆえに特別扱いされることを苦痛に感じているのだ。
しかも本人が背負い込みやすい気質であるため誰にも言いだせず、寂しい思いをしていた。
ぶっちゃけアイドルの仕事の過酷さよりもこっちの方をストレスに感じている節がある。

そんな彼女の数少ない息抜きがパーマンである。
正体を隠しているために仲間たちは「星野スミレ」と特別視せず、「パー子」という普通の女の子として扱ってくれるようになる。
彼女の言葉によれば、のびのびと出来るのはパーマン仲間といるときだけであるらしい。

だからパーマンになることによって「星野スミレ」から解放されて、短気で男勝りな「パー子」という抑えられていた素の性格が出てくるのである。
マスクを被ることによって初めて本当の自分を見せることができるのだ。

本作内では特に言われることはないが、スミレがストレスを感じていることが原因であり、かつパー子がそのストレスを発散するための人格であることから一種の多重人格ではないかという見方もある。
ただし、原作が連載されていた当時の芸能界において、芸能人は素のキャラクターを見せずに表舞台で作られたイメージを崩さないことが絶対条件とされていた背景もある事をご留意頂きたい。


◇パー子の恋

さらにこの問題をややこしくしているのが、パー子が1号に恋しているということである。

恋をしていることは本人もちゃんと自覚しており、とあるテレビ番組で「いま大好きなボーイフレンドはいますか」と聞かれた際には「はい、います」と即答していた。
仮にもトップアイドルがテレビ番組でそんな大胆な発言するなよと、公式にも突っ込まれている

だが当の1号本人はパー子のことを異性としてはほとんど見ておらず、それどころか前述のとおり星野スミレに熱を上げている
特にアニメ版の『さよならパー子』でスミレとパー子が海外に行くことになった際に、1号がスミレの心配ばかりをしてパー子のことを殆ど気にしていなかったときは本気で落ち込んでいた。

また少女らしい性格であり、かつミツ夫が片思いをしているミチ子に対してコンプレックスを抱いており、「みち子さんってそんなに素敵?」と漏らしたことも。

一応女らしくしようと努力するのだが、パーマンセットをつけると性格が変わることもあり大体失敗する。
とある回では、せっかく化粧をして香水をつけブランド物らしき服を着てさらに日傘までさしたのに、1号たちを助けるためすべて泥水で汚してしまっていた。
しかもその後1号には「パー子は勇敢で強くてとても女とは思えない」とうれしくない褒められ方をされている。
この回でおしゃれしたことを1号が気が付いてくれるか気にするパー子は最高にかわいい。
まあ、もしも汚してしまわなかったとしても1号は気が付かなかった可能性が大きいが。

1号に正体を明かし彼にベタ惚れされるというシチュエーションを夢にまで見るのだが、そんなことをすれば1号は彼女のことを二度と「パー子」としてみてくれず、「星野スミレ」として扱うようになると誰よりもよく知っているために言い出せずにいる。

実際にバードマンからもらった特殊なフェイスクリーム*3を塗ったうえで正体を明かした時には、1号たちは彼女を特別扱いし、怪我でもしたら大変だと仕事もさせようとしなかった。
あまりの事態に「特別あつかいしないでよ。あたし、ふつうの女の子なんだから」と困惑気味の表情を浮かべている。だがその後も「前から特別っぽいと思っていた」などおべっかを使い続ける1号たちの姿を見て思いっきり顔をしかめていた。

ちなみに彼も片思いのミチ子にミツ夫の時は特に好かれておらず、1号の時は好意を持たれている。
また彼も彼でパーマンと普段の自分のギャップに悩んでいる。
……案外よく似た二人である。

なお繰り返しとなるが、漫画版では1号はパー子のことを異性として全く意識していない。
だがアニメ版ではラブコメを意識した作風のためか、1号もパー子のことを(無意識に近いが)好意を抱いているような描写が増やされている。パー子にとって数少ない救いだろう。
さらにアニメ版最終回は、パー子が1号に(恋愛的な意味で)告白するというもの。




そして、パー子が1号に正体を明かしたのは原作最終回…それもアニメ・新漫画版終了後1986年に単行本収録された『バード星への道』*4でのことである。
まあメタ的な話をすると、パーマンは1話完結であるためストーリーを大きく動かす展開にはし難いためなのであるが。

最終回にて、1号はバード星に留学するためにしばらく地球から離れることとなった。
仲間たちが1号に選別を送る中、パー子は彼だけに正体を明かしたのである。
1号も「ありがとう!! すてきなプレゼントだよ」と喜んでいた。
短い描写であったため、1号が彼女をスミレとしてみるようになったのか、それともパー子として受け入れたのかは不明。
ただ、別れ際とはいえ1号に正体を明かそうとした彼女の決心はそれ相応のものだったと考えられる。

そして……


















【ドラえもん】

成長して20代前後となった星野スミレがドラえもんにまさかの客演。
基本的に世界観が繋がっているF作品であるが、クロスオーバーかつ主役回が複数あるのは彼女と神成さん(オバQ初出のキャラ)くらいである。
なおドラえもんで彼女が登場したのは1970年代後半であるため、掲載時系列としては旧パーマン→ドラえもん→新パーマンという順になる。
だがキャラデザは茶髪にロングと新パーマンを意識している(特に目元)。ああ、ややこしい。

CVは大山ドラ版がよこざわけい子(影とりプロジェクター)とかないみか(めだちライトで人気者)。わさドラ版が松井菜桜子
なぜか大山ドラ時代は基本的に茶色の長髪なのに、めだちライトの回だけウェーブがかったセミショート(『パーマン』でいうとミチ子みたいな髪)になっていて顔もかなり違う。

パーマン時代と変わらずアイドルを続けており、いまだに国民的アイドルであるらしい。
作中でも大体の人物がファンであり、ドラえもんやのび太も例外ではない。


◆オールマイティパス

オールマイティパスを使って調子に乗った行動を取り続けるのび太が、しずかちゃんと共にスミレの家に来訪する。
パスの効果によって楽しく遊んでいたのび太達だったが、6時になってパスの効果が切れたことによってスミレに怒られてしまう。
特にパーマン要素は見られず、この時点ではF作品によくあるお遊びであったと考えられる。


◆出前電話

この回では出前電話を使っている最中に、調子に乗ったのび太がテレビに映っていたスミレを呼び出そうとしただけであり、特に活躍はない。


◆影とりプロジェクター

明確な主役回その1。
星野スミレが婚約するというゴシップが流れ、ドラえもん達はその真相を知るために「影とりプロジェクター」を使って調査することになる。

お芝居中のスミレ、ラーメンを食べるスミレ、車中のスミレ、水着に着替えるスミレ……様々な影を見ていたドラえもん達だったが、夜遅く帰宅したスミレが何かに怯える姿を目にする。

胸騒ぎを覚えてスミレの自宅に向かうと、二枚目スターの落目ドジ郎が彼女の部屋に勝手に上がり込んでいた二枚目スターなのに二枚目に見えないのは御愛嬌
当然怒るスミレだが落目は「つめたいこといいなさんな。恋人が訪ねてきたのに」と気にせず、居座ろうとしていた。
この男、前々からスミレに好意を持っていたようで、スミレ本人は誰とも結婚する気がないのにそのようなゴシップが流され続けていたのは、自分と結婚しないことに苛立った落目の仕業であったという。まさに人間の屑である。

落目がスミレに迫ろうとしたところで、見かねたドラえもん達が影とりプロジェクターを使い、オオカミの影絵で彼を驚かせて追い払った。

スミレはドラえもん達に少し話がしたいと部屋に入るように誘う。
「疲れているのに悪いよ」と渋る彼らに「つかれてるからお話ししたいのよ」とほほ笑んだ。



星野スミレはぼくたちにだけ秘密を話してくれました。
遠い遠い国にいる、好きな人のことを。
でもそれをここに書くわけにはいきません。ごめんね。




スミレが彼らに何を話したのかはぼやかされ、ドラえもんとのび太のモノローグでこの回は終了する。
ラストカットのドラえもんは何故か椅子にふんぞり返るように座っており、よくコラ画像に使われる
彼女がドラえもん達に何を話したのか明確には不明だが、(読者も含めて)あまり広まって欲しくない秘密であるようなので要するにそういうことであるのかと思われる。

逆にドラえもん達に話していいのかということになるが、スミレは過去*5にやむを得ずとあるおじいさんに秘密をばらしてしまった際、彼が絶対に秘密を守ると宣言しそれが信頼に値するものだったからとバードマンが見逃してくれた経験がある。
それを踏まえて彼らなら大丈夫だと判断したのだろう。

ちなみに2016年に公開されたアニメ版では、落目に迫られる場面で恐怖から思わずロケットを握りしめるという、パーマンファンならニヤリと出来るシーンが追加された。

ところでドラえもんの世界では、(おそらく)子供向けテレビ番組としてパーマンが放映されている。
スミレやパーマンたちはこれをどういう想いで見ているのだろうか……
色々と矛盾があり、もしかしたら前述の世界のパラレルワールドであるかもしれない。


◆めだちライトで人気者

明確な主役回その2。かつコミックスで登場するのはこのエピソードが最後。*6
落目ドジ郎の嫌がらせはなくなったが、いまだにゴシップは尾を引いているらしく、レポーターに追いかけられている。

そんな時のび太は「自分も目立ってみたい」と浅はかにも考えてしまい、誰でも目立てるようになる「めだちライト」を使用する。
……しかしあまりに強過ぎる効果からのび太は周囲の人間にとにかく追いかけられ辟易してしまう。そしてそこでのび太は偶然スミレと再会するのだった。
この時スミレは「あなたこの前うちに来た子ね」と言っていることから『影とりプロジェクター』と繋がった話であるらしい。
オールマイティパスから繋がった話かもしれないが。
どうでもいいがこのシーンでスミレが乗っている車はスミーレではない。そもそも左ハンドルなので日本車でもないようだが。

普段から追い回されていることもありスミレにはめだちライトの力は効かず、むしろのび太に同情し車に乗せて人気のない海岸に訪れていた。*7
ま、こういうお仕事をしていれば仕方のないことなんだけどね。ときどきひとりきりになりたくなるのよ
*8
そう呟いたスミレは、ぼんやりしていたのか何か落としてしまっていた。


のび太が拾ってみると、それは平凡そうな少年が写ったロケットだった。

気になったのび太が、それはやはり子供なのかを尋ねると「ばかね。古いお友だちよ」と返された。
これは彼女にとって一番大事なものであるらしい。

いまは遠い世界へ行ってるけど。……でも、いつかきっと帰ってくるわ
そう話すスミレはどこか嬉しそうだった。

そこに「その写真見せてくれ!」と先程のレポーターが現れる。
このレポーター、先程からスミレ達を尾行しており、しかももう逃げられないようにするためにスミレの車のキーまで奪っていたのだ。なぜ彼女の周りには人間の屑しか集まらないのだろうか。

流石にあんまりな行動に怒ったのび太はレポーターにめだちライトを浴びせた。
するとレポーターの周りに人だかりができ、彼を質問攻めにする。相手の事情も考えず質問攻めにしてきた男が逆に質問攻めにされるという因果応報な末路であった。


このように『パーマン』からほぼ地続きで繋がったエピソード。
ミツ夫はまだバード星での留学が終わっておらず、そしてスミレはそんな彼を未だに待ち続けているのである。
彼女にとって結婚するかどうか以前に相手は何年も前から決まっているのだ。
それにしても、国民的アイドルと謳われ、誰と結婚するのか噂になっている彼女が何年も心待ちにしている相手というのが、ただの冴えない平凡な元ヒーローというのもなかなかロマンチックな話である。

ちなみに大山版では彼女もそうだが写真がかなり『パーマン』と絵柄が違っており、これがミツ夫なのかよくわからない顔になっている。(スミレ曰く「アメリカに行っている」らしい。)

ドラえもんにおいて他作品を読んで初めて意味が分かるようになるエピソードは、これと次週に掲載された「オンボロ旅館をたてなおせ」の2本くらいである。
片方が後日談であるのに対し、もう片方は前日譚であるというのも興味深い。


なお、新作アニメ版はドラえもんと同じ時代or違う世界である可能性がある。
  • 1号がドラえもんの存在を知っている
  • パーマンの世界でテレビアニメ(恐らく)ドラえもんが放映されている
  • パーマンとA氏の作品「忍者ハットリくん」は同一の世界であり、共演作にて同じくA氏の作品「怪物くん」が登場している(セリフはなし)


【パパは天才】

おそらく知らない人が多いので補足すると、『月刊てづかマガジンれお』に1972年に半年ほど連載されていた、天才だがどこか抜けている発明家のパパを持つしっかり者の息子の物語である。
この第4話(連載最終話)で、チョイ出とはいえセリフ有りで星野スミレが登場。
主人公親子が迷い犬の飼い主を探すべく犬の記憶を調べる機械で見た所、「ぺス、いらっしゃい」と語りかける少女時代の星野スミレ(顔が同じとかではなく主人公が「映画スターの星野スミレだ!」と言い切る)との記憶があり、
スミレの飼い犬かと思って電話するがそんな犬は知らないとの返答、さらに全然別の人も飼い主のようにふるまう場面、さらに怪獣や巨大ヒーローまで登場*9……という展開がある。
本当に彼女は意外な所に登場する人である。


【余談】

  • 正体を知る人
仲間の前では決してマスクを外そうとしないパー子=スミレであるが、それとは逆にパーマン以外の部外者における彼女の正体を知る人数は最も多かったりする。
1号や2号が罠やミスで正体バレしていたのに対して、パー子の場合は孤島の老人やドラえもんとのび太などに自らの意思で正体を明かしているケースが多いのもポイント。

  • 『パーマン』からもう一人堂々登場?
連載初期の「のろいのカメラ」の回で、しずちゃんがぬいぐるみだと思ってドラえもん達の呪い人形を隣の女の子にあげるが、彼女の名前は「ガン子」
…須羽みつ夫の妹と同名で顔も全く同じであるが、同一人物だとすると須羽家の隣に源家があったことになる。*10

アニメ『絶対可憐チルドレン』25話では、ミツオとスミレという夫婦が登場するというお遊びがある。

  • カメオ出演?
アニメドラえもんの2008年に放映された「ぼくよりダメなやつがきた」では、何故かスミレとミツ夫らしきふたりがモブキャラとして登場していた。
隣同士の席であったため、意図的な演出だと思われる。なおわさドラ版で少女時代のスミレのキャラデザが出るのは初のこと。
気になる人は教室のシーンの廊下側の席の最前列に注目してみよう。

原作及び劇場版には登場しなかったが、小説版には登場している。
『目立ちライトで人気者』以降の時間軸らしく、のび太の名前も把握していた。
そののび太が鉄人兵団の襲撃を子ども電話相談室(特命係ではない)へ電話した事を偶然耳にし、番組関係者から訊いた住所=野比家を訪問し、彼らが2日間行方不明になってる事を知る。
それがかつての自分達と同様、どこかで世界の為に戦っているためだと直感すると、子どもの身を案じる親たちに「信じて待って欲しい」と伝え、自身は歌を通じて応援しようとした。
例のペンダントは、役作りの時以外は、肌身離さず持っているらしい。
ちなみにパーマンセットはバードマンに返却済みである事が示唆されている。
作者の瀬名秀明は、彼女を登場させた理由として「スミレが好きだから」「のび太たちと大人とを繋ぐ役割が欲しかった」「本作の世界でも1人くらいはのび太たちの話を信じる大人がいて、それを他の大人たちに伝える役目を果たせるのは、スミレしかいない」と述べており、本来はもっと活躍させるつもりだったが、話が長くなってしまうためカットされたと明かしている。

  • その後の彼女
『目立ちライトで人気者』以降スミレは登場せず、彼女のその後についても語られることは無いが、彼女に代わるアイドルポジションとして伊藤翼が登場する。
スミレはこの後、留学から帰ってきたミツ夫と結婚し、芸能界を引退した説が囁かれている。

また、『STAND BY ME ドラえもん』での未来世界では「星野スミレディナーショー」の掲示板が描かれている。
こちらでは芸能活動を続けているか、結婚後復帰したのだろうか。*11



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最終更新:2025年04月20日 17:13

*1 と言っても本人は1号のことを1号と呼ぶが。

*2 1960年代当時、電気炊飯器はほとんど普及していなかった。

*3 認識阻害効果があり、これを塗られた顔を見た者はしばらく後にその顔の作りやそれに関する記憶を思い出せなくなる。

*4 旧原作版の週刊少年サンデー掲載最終回「スーパー星への道」(藤子・F・不二雄大全集版2巻収録)に加筆修正を行った作品。

*5 連載順的には未来の話だが。

*6 名前と画像だけなら「さかさカメラ」にも登場。

*7 なお、連載時期は11月である。

*8 「こういうお仕事をしていれば仕方のないこと」というフレーズは、少女時代にも使っている。

*9 ちなみにこの犬はタレント犬でスミレとドラマで共演してた。他の人も共演者である。

*10 もっともガン子の外見が全然変化してないので、これが『パーマン』と同時期頃の話となり、上述のスミレが大人であることとの整合性が難しくなるが。

*11 現実世界でも、結婚や出産を期に芸能活動を引退・休止した後に子育てが一段落した等の理由から芸能界に復帰する例はある。