ニンテンドー3DS アンバサダー・プログラム

登録日:2019/10/23 (水) 22:24:51
更新日:2024/12/12 Thu 17:30:40
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ニンテンドー3DSを2011年8月10日までにご購入いただいたお客様へ




ニンテンドー3DS アンバサダー・プログラムとは、一部のニンテンドー3DSに用意された補填プログラムのこと。

【概要】

ニンテンドー3DSの価格改定に伴い、改定前の値段で購入したユーザー向けに用意された補填プログラム。

ニンテンドーDSの後継機として2011年2月26日に価格25,000円にて発売されたニンテンドー3DS
しかし、携帯ゲーム機としては高めな価格設定や発売直後の東北地方太平洋沖地震などの影響もあり、普及速度は鈍った。
前世代のDSの普及速度が化物レベルだったのでそれと比較するのは酷だが、普及速度の鈍化から3DSの不振も囁かれるようになった。
この事態を重く受け止めた任天堂は、2011年7月28日に大規模なテコ入れ策を発表する。

それは、2011年8月11日から価格を15,000円(税込)に改定しての販売だった。

前世代機のニンテンドーDSiは15,000円、DSi LLは18,000円だったので、前世代機よりも安いという大幅なディスカウントである。

他社のゲーム機でも半年程度で大幅な値下げを敢行した事例は少なくない*1
だが、任天堂の歴代ハードで発売から短期間で大幅な値下げをした前例はこれまでに存在しなかった。

任天堂社長である岩田聡(当時)は、公式サイトにてこれまでの3DSユーザーに向けた長文の謝罪文を掲載。
ユーザーへの理解を求めるとともに、価格改定前のユーザーを「特別なお客様」と表現してある提案を発表した。

その提案が『ニンテンドー3DS アンバサダー・プログラム』と名付けられた補填サービス。
これは、バーチャルコンソールのソフトを大量に無料提供するというものであった。

【受信方法】

2011年8月10日23時59分までに3DSをインターネットに接続し、『ニンテンドーeショップ』にアクセスしたユーザーが対象。

提供ソフトは「購入済みソフト」としてニンテンドーeショップの購入履歴にカウントされた扱いになる。
そのため、ニンテンドーeショップ「購入履歴より再受信」することでダウンロードできる。
ちなみに、ニンテンドーeショップを利用してなくても本体更新を行うと、ニンテンドーeショップのサーバーへの登録が完了する。

8月11日以降にニンテンドーeショップの利用記録の削除をすると、アンバサダープログラムの権利を手放した扱いになってしまう。
そのため、利用記録の削除は絶対に行わない必要性があり、これは当時の公式でも注意勧告が出されていた。

SDメモリーカードのデータを新しいSDメモリーカードに引継ぎした場合は、アンバサダー・プログラムの権利は失われない。
別の3DS端末にデータの引っ越しを行った場合は、引っ越し先の本体に権利が移行する形になる。

【配信タイトル】

ファミリーコンピュータ(FC)用ソフトのバーチャルコンソールタイトルが10本、ゲームボーイアドバンス(GBA)用ソフトのバーチャルコンソールタイトルが10本、合計20本。

FC用ソフトは2011年9月1日に配信、GBA用ソフトは2011年12月16日に配信。
配信日前日に存在が発表されたタイトルもいくつか存在する。

FC用ソフトは先行配信版という扱いになっており、「まるごとバックアップ機能」などの機能は搭載されていなかった。
正式配信版へのアップデートには無料で対応しており、それを行えばちゃんと中身も正式版になる。

GBA用ソフトは、まるごとバックアップ機能だけではなく、FC用ソフトにはある「VC中断機能」なども搭載されていない。
更には3DSのスリープモードも機能しない仕様であり、HOMEボタンを動作すると一旦簡易メニューを挟むので通常の一時停止動作が起きない。
配信タイトルの一部には通信機能を搭載しているソフトがあるが、代替えの通信手段も搭載されていないので実質プレイ不可能。
GBA用ソフトが全体的に制限が多いのは技術的な問題があるという説が存在するが、詳細不明。

GBA用ソフトは限定品の扱いになっており、将来的に3DS用ソフトとして正式発売する事はないと約束された。
これは実際に3DSの商品展開中に破られることはなく、それどころがバーチャルコンソールでGBA用ソフト自体が展開されなかった。
Newニンテンドー3DS用ソフトが展開された際もその約束が破られることはなかった。

金銭的価値としては、FC用ソフトは公式配信時の一般的な価格は500円(税込)。GBA用ソフトは公式配信されることは無かったが、GB400円・GBC600円・SFC900円の値段設定からして、機能面の制限を考慮しても500円を下ることは無いだろう。10,000円の価格差の補填として筋は通っていると言えよう。

■ファミリーコンピューター

配信タイトル 正式配信日
スーパーマリオブラザーズ 2012年1月5日
ドンキーコングJR. 2012年4月18日
バルーンファイト 2012年8月22日
アイスクライマー 2012年7月4日
ゼルダの伝説1 2011年12月22日
レッキングクルー 2012年9月19日
マリオオープンゴルフ 2012年8月10日
ヨッシーのたまご 2012年8月22日
メトロイド 2012年2月29日
リンクの冒険 2012年6月6日

■ゲームボーイアドバンス

配信タイトル 正式配信日
F-ZERO FOR GAMEBOY ADVANCE 正式配信なし
スーパーマリオアドバンス3
ゼルダの伝説 ふしぎのぼうし
ファイアーエムブレム 聖魔の光石
星のカービィ 鏡の大迷宮
マリオカートアドバンス
マリオvs.ドンキーコング
メイド イン ワリオ
メトロイドフュージョン
ワリオランドアドバンス ヨーキのお宝

【アンバサダー・プログラム登録証】

特典の配信タイトル以外に、「アンバサダー・プログラム登録証」という専用ソフトが配信される。

これはアンバサダー・プログラム登録者への情報配信ソフトで、特典ソフトの正式配信日などを知らせる。
ゲーム画面は黄金色の登録証的なデザインが表示されるが、ゲームとして遊べる内容はない。

このソフトを地味に有用な使い方ができるのは、フレンドカード設定だったりする。
一応ソフトなのでお気に入りソフトとして設定が可能であり、他のフレンドにアンバサダー・プログラム登録者である事をアピールできる。

【反響】

アンバサダー・プログラムは衝撃を呼び、一部ユーザーやメディアからは値下げに関しての激しい批判も寄せられた。

ただし、配信されたタイトル自体は豪華な良作揃いの上に価格的にも10,000円の差を補填できる程の数が用意されたことから、評価する声も少なくなかった。
つまり、ユーザーの反応は全体的に見ると正に賛否両論の状態だったと言える。
岩田氏は「一番最初に3DSを応援してくださったユーザーからの信頼を損ない、批判を受けかねないことだと痛感している」「早く買って損をしたという気持ちを完全に無くすことはできないかもしれない」など、批判を受け止める姿勢を見せた。

しかし、値下げ以降のニンテンドー3DSはキラータイトルの発表も重なり、販売台数を増加させて普及に成功した。
ハードの普及を狙った大規模値下げの目的は実行され、ソフトラインナップも充実したためか、値下げに関する批判の声も徐々に消えていった。
また、GBA配信タイトルの一つである『ファイアーエムブレム 聖魔の光石』は直後に3DS向けの新作である『ファイアーエムブレム 覚醒』が控えていたこともありここで初めてFEに触れたという人も多く、
アンバサダー・プログラムが『覚醒』のヒット及びFEシリーズそのものの復権に一役買ったという観方もある。(実際に当時のアンケートでは『聖魔』から『覚醒』に入ったという声が見られた)


その一方、大幅な本体価格の値下げによって3DSは赤字を発生させる事になり、しばらく逆ざやの状態での普及を強いられた。

なお、一部からは後のWii Uが販売不振に苦しんだ原因として、アンバサダー・プログラムの影響を指摘する意見も出ている。
これは任天堂ハードの大幅な早期値下げの前例を作ってしまったため、Wii Uの購入も警戒されたのではないのかとの見方である。
だが、その見方に関しては具体的なデータなどが集計されている訳ではないため、あくまでも推測でしかないだろう。





追記・修正は、アンバサダー・プログラム登録者にお願いします。

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最終更新:2024年12月12日 17:30

*1 例を挙げると、PlayStationは発売から7ヶ月程度で39,800円から29,800円への値下げを行っている。