登録日:2020/04/20 (月) 17:45:44
更新日:2024/12/25 Wed 14:23:49
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セガ・マークIIIとは、セガ・エンタープライゼスより発売された家庭用ゲーム機。
【解説】
1985年10月20日発売。ゲーム機の世代的には前機種のSG-1000/SC-3000や
ライバルの
ファミリーコンピュータ(以下、FC)と同じ第3世代に分類される。
前機種のSGシリーズは多少の成果は残していたが、FCに対しては普及率は引き離されていた。
性能面でもFCに劣っていた事情もあって、当時のセガのアーケード機の移植が可能な程度のスペックを持つゲーム機の投入を決定する。
こうして、SG-1000から始まったSGシリーズの最終形態とも呼ぶべき上位機種ハード「セガ・マークIII」が完成した。
単なるマイナーチェンジではなく、グラフィック性能を初めとした機能を強化した実質的な次世代機でもあった。
それを示すように、SGシリーズのソフトはすべて使用可能な一方でマークIIIのソフトはSGシリーズでは使えないという関係性だった。
FCが大暴れする
ゲーム市場に挑みに行ったが、「第1次ゲーム機ハード戦争」と呼ばれる戦いは一瞬にしてセガの撃沈に終わった。
それでも70万台は販売したことで、当時の国内第3世代ゲーム機市場では
PCエンジンが出現するまでは第2位の立場に落ち着いた。
海外市場では北米市場ではNES(海外版FC)に完敗した一方、欧州市場では
任天堂の進出の遅れや代理店の失敗などもあってNESを相手に奮闘した。
マークIIIはマスターシステムを経て
メガドライブの投入に繋がり、以後もゲーム史の歴史に名前を残していくことになる。
【本体性能】
CPU |
NEC uPD780C-1(Z80A相当品) 3.579545MHz |
RAM |
8KiB |
VRAM |
6KiB |
画面表示 |
256×192ドット、64色同時発色 |
スプライト |
8×8ドット、最大64個 |
サウンド |
SN76489(PSGに類似/矩形波3ch+ノイズ1ch) |
FCよりも後発なだけあってFC以上の性能を持つ…と言われているが、実際には総合的な性能は下回るという意見もある。まあ互角という事にしておこう。
64色同時発色可能な能力やVRAMに関する能力など、確実にFCに勝っている点はあった。
FCよりも大きく性能が上回るという印象は、発色能力の高さからFCよりも鮮やかな色合いの画面のゲームが多かったことが原因だと見られる。
ただし、スプライト用パレットが貧弱など、開発者にとっては優等生というよりは癖のあるハードだった模様。
【ソフトの種類】
マイカードマークIII
マークIII専用として設計されたマイカード。縦85.5mm×横54mmのカード型ROM。
容量の限界が256Kbit(32KB)と上限が小さかったため、ゴールドカートリッジに出番を奪われる形で早期に廃れてしまった。
ゴールドカートリッジ
1Mbit(128KB)~4Mbit(512KB)まで対応可能な大容量ROMカートリッジ。本来は下位互換用に設けられたROMカートリッジスロットに挿入する。
ソフトのパッケージが容量を強調した金色風のデザインであることが印象的。
当初カートリッジの色は白であったが、マスターシステム発売にあわせて黒に変更された。
シルバーカートリッジ
唯一のサードパーティーだったサリオ社から発売されたマークIII用のカートリッジ。
ゴールドカートリッジを基準としながらも差別化を図るために、パッケージが銀色。
その他
SG-1000・SC-3000・オセロマルチビジョンの専用ソフトと互換性が所持していた。
ただし、ハードの違いによる発色の変更から、画面への映り具合が異なるという点は存在した。
【ソフト展開】
マークIIIには84本程のソフトが展開された。
セガのアーケードゲームの移植が行われ、劣化移植に苦しんだソフトも多いがなかなかの賑わいを見せる。
アーケードとは別物になりながらも完成の高いアレンジ移植もあれば、ネタにされる程の残念な移植もあった。
ちなみに、後にセガを支える一大コンテンツに成長する『ファンタシースター』シリーズはこのハード出身である。
キャラゲーも展開されたが、マークIIIで発売された『
北斗の拳』のゲーム版が完成度の高さからかなり有名。
出来や当時の原作人気もあって、ハードの普及に貢献すると同時にキャラゲーの名作の代表例の一つとして知られることになる。
他機種で発売された北斗ゲーの出来が悪かった影響も大きいが
しかし、サードパーティーには恵まれず、サリオ社のみの参入で終わってしまっている。しかもサリオ社のソフトは全2本。
これはセガの単純なサードパーティー制導入の遅れもあるが、セガがアーケードゲームでライバル関係にある他社の協力を得られなかった事情も大きい。
【主な周辺機器】
テレコンパック
ゲーム機本体に送信機、テレビに受信機を接続する形でUHF電波を利用してワイヤレスで画面出力が可能という未来的なアイテム。
流通数が少ないのでプレミア品と化している。
テレビおえかき
型番は「GB-800」。専用タブレットを使ってテレビ画面でお絵描きが楽しめるペイントツールソフト。
ペンの太さや使用する色をワンタッチで変更可能などのギミックを持つが、対応色は15色に収まっている。
セガ・マークIIIの周辺機器として見られているが、前機種のSGシリーズやオセロマルチビジョンにも対応している。
バイクハンドル
型番はBH-400」。
バイクハンドル型コントローラー。
SG-1000シリーズ用のハンドルコントローラをバイクハンドル化した上でセガマークIIIに流用した周辺機器。
見た目は面白いが操作性は悪く、流用品である仕様が見え隠れするとの評判。
FMサウンドユニット
対応ソフトに使えばFM音源を追加できるユニット。
しかし、FM音源はCPUに高い負荷を与えてしまうので
処理落ちが頻発するという欠点を持っていた。
また、同じ拡張スロットを使って接続するキーボードSK-1100とは当然ながら同時に利用できない。
ラピッドファイアユニット
コントローラーと本体の間に接続することで、毎秒20発の連射性能を獲得させる周辺機器。
SG-1000IIでも使用可能。
パドルコントロール
型番は「HPD-200」。ボリューム型のアナログコントローラー。
専用ソフトとして『め組レスキュー』などが存在する。
3D-グラス
ライバルのFCの周辺機器『ファミリーコンピュータ 3Dシステム』と同時期に投入された
立体視用の専用
ゴーグル。
マークIIIでの使用時には専用のアダプターを使うが、マスターシステムは使わなくても使用可能。
FCの3Dシステムがゴーグル型だったのに対し、こちらは眼鏡型を採用している。
専用ソフトも存在し、これらのソフトはこの機器を使わないと画面がブレて遊ぶことが困難になる。
…ライバルのはずのファミコン3Dシステムと実は相互互換があるという話は有名。
セガ スポーツパッド
- 発売日:1989年10月29日
- 価格:9.800円。
家庭用ゲーム機でも珍しいタイプのトラックボールコントローラー。
同梱ソフトとして『スポーツパッドサッカー』という専用ソフトが存在するが、専用どころか対応ソフトもこれだけ。
キャンペーンのみで入手可能な激レアソフト『グレートアイスホッケー』は、海外版仕様のスポーツパッドである(グレートアイスホッケーは海外では通常販売された)。
【マイナーチェンジハード】
セガ・マスターシステム
- 発売日:1987年10月18日
- 価格:16,800円
元々は北米版マークIIIだったのが、日本ではいくつかの性能変更を施したマイナーチェンジハードとして逆輸入した。
家庭用ゲーム機としては初めてFM音源を内蔵し、連射機能や3Dグラス端子も追加されている。
次世代機であるメガドライブのコントローラーにも対応しているが、あくまでも対応可というだけで完全な操作性ではない。
FCの圧倒的独走状態だった所にPCエンジンも出現したために苦戦を強いられ、1年程度で次世代機メガドライブの投入に至った。
【アソビン教授】
セガ・マークIIIの本体やソフト説明書に登場する
ウサギの姿をしたキャラクターがいた。
一部のSG-1000用ソフトの説明書に描かれていたナビキャラ「ゲームス博士」の後継者とでも呼ぶべき立場。
ゲームに関するアドバイスを送ってくれるのだが、その内容はクソの役にも立たない事で知られている。
ゴールドカートリッジが展開されてしばらくすると、姿を見せなくなってしまった…が、現在では再評価されたのかセガコンテンツにてたまに顔を見せることがある。
【余談】
- セガハードを擬人化するというテーマで展開されたメディアミックスコンテンツ『セガ・ハード・ガールズ』では、歴代セガハードとして美少女に擬人化している。
担当声優は田中真奈美氏で、キャラクターデザインはアソビン教授が元ネタ。
- ゲーム専門誌『Beep』では、あえて他誌が大きく扱わないマークIIIを大きく特集する路線を成功させる。
この成功を機に、以降のBeepは『BEEP!メガドライブ』など、セガハードを扱う雑誌として舵を切る事になる。
追記・修正は、セガ・マークIIIを購入してからお願いします。
- スーパーワンダーボーイ・モンスターワールドは良移植だったのは覚えてる。 -- 名無しさん (2020-04-20 23:54:45)
- これが岐部先生御用達の -- 名無しさん (2020-04-21 00:16:06)
- 連射ってラピッドなんだけど筆者の勘違いなのか本当にウサギだったのかどっちだw -- 名無しさん (2020-04-21 00:41:26)
最終更新:2024年12月25日 14:23