処理落ち

登録日:2020/01/26 Sun 04:20:24
更新日:2024/03/03 Sun 13:14:12
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処理落ちが解消されたのでここから改めて解説する。

処理落ちとは、コンピューターなどの電子機器において、処理速度が極端に遅くなってしまう現象のことである。

●目次

概要


まず前提として言っておくと、コンピューターとは「ものすごく性能の良い電卓」と「コンピューター専用のお仕事リスト」が合体した装置である。
我々がたとえばパソコンを立ち上げたとしよう。その時コンピューター内部では「画面映像を流してくださいね」「ログイン画面の準備をしてくださいね」「ハードディスク内のデータを読み込んでくださいね」……などなど、様々な命令が発信されお仕事リストに溜まってゆく。で、コンピューターはこれらの作業を順番に処理してゆくのである。
一見すると同時にこなしているように見えるが、それはコンピューターの処理スピードが速すぎて同時に見えるだけに過ぎないのだ。

だが、そんなコンピューターにも限界はある。
お仕事リストが小さ過ぎて全てのタスクを一気にこなせないとか、あるいはコンピューターの処理速度に対して仕事量が多くなり過ぎたりすると、さしものコンピューターも数秒〜数分止まってしまうことはある。
これが処理落ちというものだ。
単純な話、コンピューターの処理速度に対して要求される仕事量が多くなれば処理落ちが起きるのだ。

パソコンなどの場合、ウィルスが侵入していることが原因*1という可能性もあるので、急に処理落ちしたらヤバイサインであることも。
あとは単純にPC内に余計なファイルが多すぎても処理落ちする。定期的に掃除しよう。

また、通信のラグのことを指して「処理落ち」と言うことも割と多い。
内部的な意味合いは違っても、見ている/プレイしている側からすると起きている現象はほとんど同じなのであまり区別されない傾向にある。


処理落ちの種類


処理落ちにもいくつかパターンがある。

処理速度低下

断続的な処理は行われているものの、進行速度が低下している状態。しばしば「重い」と言い表される。
熟知したものでなければ見逃してしまうようなごく一瞬の処理落ちから、映像にスローがかかったようにガクガクになるような誰でも検知できる処理落ちまで様々に存在する。

ラグ

入力(インプット)に対する反応(リターン、レスポンス)に遅れ/遅延が見られる状態を主に指す。
上記の速度低下と併合して発生するケースもよく見られ、例えば何かの作業で処理中に「Enterキーを押したのに画面上のOKボタンが押下されるまで5秒ほどかかった」のような状態。

フリーズ

「凍ってしまった」かのように動かなくなること。
どんな操作をしても無反応であり、この状態になったら処理する事自体が止まっている事もある。
時間停止の如く動かなくなるが、エッチな事できるわけでもないので歓迎されない
オーディオ関係はそのまま流れる、ぶつ切りになる、同じ音を鳴らし続ける等多種多様。
稀に意地を見せて復活してくれるが、大体はそのまま強制終了することになる。もしくはソフトorハード側が無理矢理落とすか。


対処法

例えば、1秒24枚再生のアニメで何かしらの理由で1秒辺り12枚しか再生できなくなったとして、対処方法は大別すれば2種類である。
  • ①2秒かけて1秒分の動画を描画する
当然2倍スローモーションになる
  • ②24枚を半分切り捨てて本来の時間で再生する
スローにはならないが、こちらはいわゆる「コマ落ち」状態になるため異様にカクカクする

どっちがいいかはそのメディアの種類にもよるため一概には言えない。

一応根本的な解決策として「処理速度そのものを引き上げる」というのがあるが、これはコストも嵩むし、PCならともかく家庭用テレビゲームなどではまず無理な手法である。


ゲームと処理落ち

処理落ちにはファミコン時代から多くのプログラマが悩まされていた。
というか、ファミコンの頃だと処理能力の関係で横に4キャラ以上を同時に並べることができず*2
無理矢理5キャラ以上を横に並べると同時に描画ができないため交互に表示して対処したりしていた。
ファミコン世代のハードを中心としてよく言われる「ちらつき」はこれが原因である。
ドラクエで5人パーティーが長い事実現せず、したらしたで「十字編隊」という変わった隊列で描写されていたのはこのちらつきを抑えるための努力だったのである。

しかし、 処理落ちも仕様の内 ということで、「わざと」処理落ちを起こして演出として使っていたケースもあったりした。
例えば『ドラクエ4』の4章ラストの出航シーンでは、さりげないがわざと処理落ちを起こすことで船の動きと波の動きをファミコンの限界を超えて描写している。

また、RTAやTASなどのゲームを極めるタイプのプレイではかなり重要な存在と言える。
最速を目指すor最高得点を目指す場合、「処理落ちの回避」または「処理落ちの利用」が必要な場面がでてくる。
そのため、「ゲームハードが違う」「DL版かどうか」で進行方法がまるで変ってしまう例も多々あり、
なかには処理落ちがなくなったことで「かえって難易度あがる」「むしろ従来より遅くなる」こともある。


処理落ちが印象的なゲーム達

  • シューティングゲーム
シューティングゲームにおける処理落ちは、プレイヤーにとって有利に働くことが多い*3
特に大量の弾幕で押される場面では、敵の弾速が遅くなるのに加えて、高速で自機を動かすよりもゆっくりと動かした方が断然避けやすいため、ボス戦を始めとした難所での処理落ちは基本的に歓迎される。
むしろ、開発段階から処理落ちさせる事を前提として製作、調整されている事も非常に多い*4
一方で、処理落ちが有利に働くという事は、解けた瞬間が危険という事でもある。怒首領蜂の「火蜂」が著しい例なのだが、ボスの攻撃の変化の合間に処理落ちが切れて残りの弾が一斉に加速して襲ってくるのだ。
また巨大ボスで処理落ちするのはボス敵の強大さを演出するのに役立っている面もあった。

とはいえ、雑魚戦でも頻繁かつ恒常的に処理落ちするレベルとなると、テンポを損ない「もっさりしすぎている」と言われる。

近年のアーケードからの移植作品やリメイク版においては、ハードスペック的に処理落ちを起こさないのが当たり前になっていても、当時の難易度を再現するためにオプションで「処理落ちモード」を搭載している作品も少なくない。
上述したように処理落ちのかかり加減は弾よけのバランス調整の一部であり、これの再現性が低いと難易度が格段に上がってしまうので当然ではある。
(サンダーフォースⅣR-TYPEⅡなどが代表的)
逆に再現性にこだわらない人には、処理落ちがない方がサクサクプレイできて爽快なことも多いのでオプションで選べるようにしているのである。

真の敵は処理落ち と言われるぐらい処理落ちと縁の深いゲームシリーズ。
というか初期は低予算ソフトだったので、色々と作り込みが甘く巨大怪獣が出現したりするとものすごい勢いで処理落ちしていた。
ただし、一面から見るとこの処理落ちによるスロー動作は怪獣映画「らしい」重厚感を生み出すのに一役買っており、特に敵の巨大円盤を撃墜したりするとゆっくりと火を噴きながら墜落していく円盤がよく映えて非常にカッコイイ。高難易度だと見とれているうちにまず殺されるが
同社の『ギガンティックドライブ』『鉄人28号』(PS2)『超操縦メカMG』(ニンテンドーDS)『斬撃のレギンレイヴ』(Wii)といった他の作品でもそのダイナミックな演出と物量ゆえに処理落ちはつきもので、
PS2より大幅にスペックの上がったXbox360PS3でも余裕で処理落ちしているので、もはや故意としか思えない……。
こんな調子なので 「処理落ちのないEDFはEDFじゃない」というクレームが本当に寄せられた とか。
とはいえ『4』の処理落ちは相当に不評で、PS4で発売されたリメイク『4.1』では歴代でもっとも処理落ちが少ないと言えるほど改善された。
しかし『5』ではグラフィック効果の強化などの影響でまたも発生。まあそれでもだいぶマシになっているが。

「敵の数」が爽快感に直結するゲームなので、処理落ちが起きるかどうかが評価に大きくかかわる。
基本的に処理落ちでスローモーションになることはあまりないのだが、その代わりこのシリーズだと 処理落ちすると雑魚敵のポップ数が減少する ことが多い。いわゆる「ステルス」。
場合によってはスッカスカなステージを散発的に敵を殴りながら進むだけ、という事態も起きるためプレイヤーからは特に嫌がられる。
ゲームバランス的にも雑魚敵を倒した数は育成にも影響するため重要。
「こっちの攻撃は通り抜けるのに、敵が攻撃する時だけ突然判定が出現する」という嫌がらせのようなパターンも。

また、複数ハード同時発売の格差が特に大きいゲームシリーズでもあり、ものによっては難易度が激変するため複数ハード持ちのプレイヤーにとってはどのソフトを買うかの判断が難しいシリーズ。
移植版ではハードの変更に伴いステルスの度合いが変わってくるため、その辺りも気にされる。特に、「下位ハードへの追加要素あり移植」という離れ業をやらかしているいわゆる「Special」版はかなりひどいものも見受けられる(『真・三国無双5・Special』とか)。

  • オーディンスフィア
ヴァニラウェアのアクションRPG。
横スクロールの2Dアクションなのだが、美麗なグラフィックのせいか処理落ちが多発する。
ステージによってはプレイヤーキャラも敵もスローモーションに動くというのがザラで、本当にアクションゲームなのか分からなくなるときがある。
リメイク版ではハード性能の向上もあって処理落ちはほぼ解消されている。

リアルタイムで進行する戦闘のため、PS2のスペックの限界もあって処理落ちを誘発しやすい。
それを防止するための隠し仕様としていわゆる「順番待ち」が存在する。
これはグラフィックリソース(通称エフェクト量)の大きな魔法が連発されると一時的に発動されるアクションが制限されるというもので、上位魔法が地雷と呼ばれる大きな要因である。
順番待ちが発生している間は、「たたかう」「遠隔攻撃」「1.5倍撃」以外のアクションが行えない。アイテム使用も止まるため、必然的に回復も遅れていく。
上位魔法を連発してくる敵と対峙した場合順番待ちが何重にも重なることがしばしば起こり、「渋滞」と呼ばれる。
一方で、意図的に敵の魔法に割り込み順番待ちを発生させて足止めする「詠唱妨害」というテクニックも確立されている。
仕様ではあるものの正式なシステムというよりは一種のガード処理であるため、ゲーム内では一切説明はない。しかし、バトルに与える影響は極めて大きく、本作の戦闘を分かりにくくする一因にもなってしまっている。
HDリマスター版の『THE ZODIAC AGE』では撤廃されている。*5そのため、オリジナル版・IZJSとTZAでは戦闘の感覚が異なっている(キュクレインやエクスデスが顕著)。

ちなみにこれは複数シリーズで共通だが、大型モンスターが乱入してきた場合に処理が重くなり動作が鈍くなる。
ゲームプレイに影響が出るほどの遅延ではなく、むしろ乱入のわかりやすいサインであるためこれに関してはそこまで嫌われてはいない。
というかわざと残されているような感もある。

MHXでは、連射タイプの弓でこの処理落ちが関連しており、3DSのスペックの限界により、同じポイントにほとんど同時に攻撃判定が発生すると複数発の攻撃が単発ヒットと処理されてダメージが減少してしまう。
理論上は他の武器でも起こり得るが、実質的に対象になるのは連射弓のみである。
New3DSだと起きない、という報告もありどうやら純粋に3DSのスペックの問題である模様。

また、MHWorldではゲームエンジンの仕様により、映像のフレームレートによってはダメージ判定などの処理タイミングが狂う場合がある。
特に顕著なのがLV3貫通弾であり、1/20秒周期にピッタリ収まらないとダメージ判定が遅くなるため、タイムアタックの理論値がハードで優劣*6が付いて単純比較できないという問題が出ている。

階段を降りて次のフロアを準備している暗転時間が異様に長い。高速移動(いわゆるダッシュ)中に引っかかりを感じる。
という処理落ちが発生すると、まず間違いなくそのフロアにモンスターハウスがある。機種や作品にもよるが、初期の作品ほど顕著。
どちらも通常ではありえない数のモンスターが配置されることによる処理落ちが原因。
小規模なモンスターハウスでは、その差がわからない場合も多いが、
一部屋が広くなりがちな2分割、4分割フロア*7では露骨に暗転時間が長くなり、
慣れた人だと暗転中に「モンスターハウスのド真ん中に降りないでくれ!」と祈り始めたりもする。(祈ったところでどうにもならないのだが)
またその場で高速でターン送りをする足踏みも、敵が近くにいると速度が遅くなるため、敵の接近を感知出来てしまったりもする。

第一話『ブチャラティが来る』におけるチュートリアルにて、「するどい痛みがゆっくりやってくるッ!」のシーンではブチャラティの感覚がスローになっていたが、ゲームではブチャラティの感覚ではなくゲームが処理落ちを起こしてスローになっている。
ジョルノの能力でスローになっていることを表現するとはいえなにもそこまでやらんとも…

  • 協力プレイゲーム
近年だと上記『モンスターハンターシリーズ』などが代表的だが、通信ゲームだと「ディレイ」「ラグ」と言われることが多い。
この場合、単純な処理落ちというよりも「同期待ち」という要素が強い。
複数のプレイヤー間で同等にデータを処理するために、「ゲームは進んでいるのに画面上では動いていない」という時間が発生することがある。
プレイヤーからすると、突然モンスターがテレポートしたり、気付いたら予備動作なしでいきなり大技に入っていたりという怪現象に見舞われることがあるため大変迷惑である。
特にオンラインゲームだと、処理落ち・同期待ちでも結果的に予定通りの行動に入ればマシであり、最悪サーバーとの接続が切られ、その間に倒されてセーブポイントに死に戻り…なんて悲劇もある。
死に戻りしないまでも、復帰までにパーティー半壊とか…
MHF』では、「最初にモンスターのいるエリアに入ったプレイヤーが基準になって同期が行われる」という仕様から、
特定の部位を狙いたい武器の人が優先してエリアに入る「エリアホスト」という独自の概念が産まれたりした。
アーケード、特にアクションゲームでは「大技を撃った場所に敵がいない」とか「敵がムーンウォークして攻撃が外れる」とか非常に致命的な事が起こるためご法度である。

  • 人間
人間も、目の前で起きた様々な物事を脳で「処理」をする。
コンピュータ程効率的ではないものの、臨機応変に処理できるのは人間の利点であり…欠点でもある。
そして目の前で起こった現象が余りにも突飛過ぎる場合、処理できずフリーズしてしまう。
例えば、意中の女性の着替えを覗いてしまったり、突風でスカートがめくれてパンツが見えた時。
この場合は女性も男性もフリーズするが、男性側は早く処理落ちを解消しないと女性の格闘を食らう羽目になるだろう。
ちなみに漫画などでよくある『身の危険に遭遇したときに周りがスローモーションに見える』という現象も脳のリミッター解除云々ではなく単に処理落ちしてただけである。

その他

  • ダイナミックコード(アニメ版)
1話で依都が階段を下りるシーンがコマ飛びのように妙にカクカクしており視聴者から「処理落ち」と呼ばれた。
影を見ると分かりやすいが明らかにワープか何かしたのかと思うほどにはコマが飛んでいる。
映像出力に問題があったのではなく単なる作画ミス(に近いもの)なので円盤では作画修正が行われ比較的自然な動きになっている。


追記・修正は処理落ちしないようにお願いします。

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最終更新:2024年03月03日 13:14

*1 ウィルスから大量のお仕事リストが出されている状態

*2 正確には少し異なるのだが、長くなるので割愛。詳細は「スプライト数」などで調べてみるといいだろう。

*3 もちろん例外はたくさん存在する。処理落ちで自機や敵弾、キャラクターの数々と言った様々なオブジェクトの数々の表示がちらついたり、はなはだしいとレバーやボタンの入力受付感度が悪化したりするタイトルも存在する。蒼穹紅蓮隊、レゾンなどがそうである。

*4 多くの弾幕シューティング等が該当する。

*5 より正確に言えば、順番待ち自体は残っているがその発生に必要なエフェクト量が通常ではまずあり得ない非現実的な量になった

*6 "60fps安定の性能を出しやすいPC版"VS"60fpsに安定しないPS4版"という感じの構図になる

*7 確定でMHが出現するフロア構成。