ITパスポート試験

登録日:2020/07/31 Fri 22:20:20
更新日:2024/11/01 Fri 12:42:04
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それでは、以下の資格試験へとお進みください。




ITパスポート試験




ITパスポート試験は、日本の国家試験のひとつ。
試験を実施している団体は経済産業省所管の独立行政法人である情報処理推進機構(IPA)

●目次

概要

ITパスポート試験(通称「iパス」)。英語名はInformation Technology Passport Examination

2009年から実施されている情報処理技術者試験の区分のひとつで、最もランクの低いスキルレベル1に相当する区分である。
詳細は当該項目を参照してもらいたいが、これらの試験にはシステム開発者(エンジニア)だけではなく、一般ユーザーを含めた「仕事でコンピュータを利活用する全ての社会人」を対象としている区分もある。
ITパスポートもそのひとつで、「ITを利活用するすべての社会人・これから社会人となる学生が備えておくべき、ITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験」である。

ITパスポートという名前にも、現代の情報化社会を生き抜くために必要な社会人のパスポートという意味が込められており、IT化が進んだ現代社会を生きる上で社会人として必要な基礎的能力を有していることを国が証明するという趣旨に基づくものである。
その性質上、コンピュータの知識は当然ながら、経営学などのビジネス知識も問われることから新社会人の教科書とも言われ、新入社員に対してITパスポートの資格の取得を奨励している企業も多い。
また、大学生や専門学校生、高校生などの受験者も少なくない。
商業高校やビジネス系の専門学校では、日商簿記検定と並んで受験が推奨されることも多い。

初心者向けのIT資格としては、他にもMicrosoft Office Specialist(MOS)やP検、日商PC検定、情報検定(J検)などがあるが、民間検定であるそれらと違ってこちらは国家試験であることから最も知名度が高い。



免責事項

項目内に記載された情報は、あくまで編集者の個人的見解によるものです。本項目に書かれている内容との差異で何らかの不利益を被ったとしても一切責任は負いません。

また、実際に資格を取得したいと思った場合、当Wikiを参考にするのではなく、参考書を買うなり講座を受けるなりして自ら勉強することを激しく推奨します。



難易度

よくある誤解として「スキルレベル1だから最も簡単なんでしょ?」というものがある。
確かにテクノロジ系は上位試験よりも比較的簡単な問題が出題されるが、経営戦略や法務などビジネスにまつわる分野はIT利用者向けという試験のコンセプト上、むしろITパスポートの方が深く突っ込んで出題される。

合格率は概ね50%程度で、国家試験とはいえ自動車運転免許などに並んで比較的簡単な部類である。
逆に言えば腐っても国家試験なので、今までITに触れてこなかった素人が学校の試験のようにノー勉ないし一夜漬けの付け焼刃程度の知識で合格できるほど甘っちょろくはない
ガチのIT初心者ならしっかり対策を講じ、数か月程度は集中して勉強する必要がある。これが初心者でも数日程度で合格できてしまう民間のパソコン検定との大きな違いである。
また、上位試験と比較して「広く浅く」が特徴であり、内容自体は基礎レベルなものの、言い換えれば後述のように出題範囲が広いことから覚えることは非常に多い。

したがって、スキルレベル1とはいえ決して簡単な試験とは言えず、上位資格を持っている人でも大した勉強をせずに侮っていると普通に落ちてしまう
パソコンの大先生も舐めていると落ちる可能性が高いので、ちゃんと勉強してから受験しましょうね。

その関係からか、意外にも非IT業界に勤務している人の方がIT企業勤務の人よりも合格率が高い傾向にある。
ちなみに、大学生や社会人の合格率が60%近くと高い反面、後述の理由から高校生の合格率が30%台とかなり低く、実は高校生以下の人にとっては難しい試験になっている。


評価

情報処理技術者試験の中では最も難易度が低いとはいえ、一応は国家資格なので必ずしも評価が低いとは言い切れない。
合格すれば、IT業界以外なら履歴書にも堂々と書ける。
  • 業務の一環でパソコンを触る程度の職種や事務職なら十分アピールポイントになる
  • 公務員採用試験で加点対象になり、優遇されることがある。
  • 仮に高校生で合格できた場合、大学の推薦やAO入試で有利になる
  • 難関国家資格の中小企業診断士試験の出題範囲と重複する部分が多いため、小手調べに合格しておけばそれらの勉強もスムーズに行く
など、意外とメリットの大きい資格でもある。
就職活動を控えた文系の大学生の場合、TOEIC日商簿記検定と並んで推奨される資格と言われることも多い。

非IT業界においては「就職活動ではあまり役に立たないが、就職後の昇給・昇進に役立つ」という位置付け。
理由としては経済産業省が2020年度から国の施策として「DX(デジタルトランスフォーメーション)認定制度」を打ち出しており、非IT企業にも初歩的なIT資格者を置くメリットが増加したことが大きい。加えてネットリテラシーの欠如を原因とする企業炎上やウィルス被害など、非IT業界ゆえの経営リスクが増加したことも追い風になっている。
特に2022年度前後からは非IT系の大企業、とりわけ電力会社・ガス会社などのインフラ業界を中心に「全社員にITパスポート取得を推奨・補助・評価」という会社施策を打ち出す企業が増加しており、就職後に役立つという性質がより強くなってきている。2022年度には年間の受験者数が25万人を超える超人気資格になった。

それ以外の企業でも出世の条件として人事制度に盛り込まれていたり、受験料や教材の購入費、合格者へのボーナスが用意されたりする場合もある。
そうでなくとも情報リテラシーや企業コンプライアンス、経営学やITに関する基礎知識が身につくなど、教養としての側面も大きい。

逆に、IT業界ではコメント欄にもある通り鼻で笑われるようなレベルなので、この資格だけでシステムエンジニア(SE)やプログラマーとしてやっていくことはできない。むしろ「IT業界なめてるのか?」と逆にマイナスイメージを抱かれる可能性すらある。エンジニア方面でやっていきたければ基本情報に合格していることが最低限の前提ラインである。
実際に公務員の技術職でも基本情報以上の合格者が応募条件になっており、ITパスポートは対象外であることが多い。
なぜなら、上記の通りITパスポートはあくまで「システムを利用する一般ユーザー」向けの試験であり、「システムを生み出すエンジニア」とは根底からレベルが違うということである。

工業高校のジュニアマイスター顕彰制度*1だと、ITパスポートの合格者は意外と高得点な12ポイントが付与される。これは危険物取扱者の乙種第四類(乙四)や第二種電気工事士、J検の情報活用試験1級よりも高い。
ちなみに基本情報は20ポイント、応用情報は最高ランクの30ポイントが付与される。


出題範囲

※実際に受験する際は、ちゃんと公式サイトの説明を確認してください。

本項目に書かれている内容との差異で問題が発生しても一切責任は負いません。


ITパスポート試験で出題される分野は以下の3つ。
  • 企業経営や法務を扱う「ストラテジ系
  • システム開発の技術や手法を扱う「マネジメント系
  • コンピュータの仕組みや運用について扱う「テクノロジ系
実務および試験問題文の傾向から、受験対策テキストでは「ストラテジ系=経営者目線」「マネジメント系=中間管理職目線」「テクノロジ系=平社員目線」と例えられることが多い。
テクノロジが理系分野、ストラテジとマネジメントが文系分野と捉えられることも多いが、いずれの分野にも知識問題・計算問題・論理問題が存在することから一概には言えない。


ストラテジ系

主に経営戦略企業活動といったビジネス関係について問われる分野。
「ITの試験なのになぜ経営学?」と思ったそこのあなた。
我々の生活にIT機器が欠かせなくなったのと同様に、企業経営においてもITの利活用は重要なのだ。
広告や物流など様々な部分でIT技術をうまく使えば、収益を上げるチャンスを得やすいのである。逆に言えばITに疎い企業は時代遅れであるとも言える。

企業活動はその管理も大事になってくるので、情報セキュリティや法務についても問われる。
一応簿記会計の計算問題もあるが、レベル的には日商簿記検定3級よりも簡単で、公式を覚えれば解けるものがほとんどなのでそれほど恐れる必要はない。

ITパスポートでは開発や技術に関する内容が比較的浅い代わりに、こうした経営や企業活動に関する内容は基本情報よりも詳しくなっている。
そのため、プログラムを打つことばかりにかまけて「経営学? 知らんがなw」な人だとまずここでつまずいてしまう。
実際に、その手のITエンジニアには「基本情報には合格してもITパスポートには落ちてしまった」という逆転現象じみたことがたびたび起こっているのが現状である。

同様に、情報系の学生やパソコンに詳しい人もしっかり勉強しないと点数が取れないので注意が必要。
中学校の社会科や、高校の地歴公民の暗記が苦手だった人にとっては大変な分野かもしれない(内容的には高校の公民に近い)。
社会人や大学生ならそこまで苦労しないと思われるが、ビジネスに疎い高校生にとってはなかなか難しい分野だろう。前述した高校生の合格率の低さはこのストラテジが原因。
しかもビジネスの話題は日々更新されるため、テキストに載っていない単語も普通に出てくる。
ITパスポート試験で最も厄介なのはストラテジ系だと言えるかもしれない。

ちなみに、「ストラテジ(strategy)」は戦略を表す英単語のこと。元々は軍事関係で多く使われていたが、現在は経済や経営、外交などでも使われている。


マネジメント系

主に仕事(システム開発)をする上での基本について問われる分野。
スケジュールや予算、人材などの管理手法について問われるプロジェクトマネジメント、情報サービスの運用や品質管理について問われるサービスマネジメント、情報システムはどのような流れで作られるのかという開発プロセスなどについて問われる。

上記の通りあくまで一般ユーザー向けの試験であるため、開発プロセスについても具体的な内容には踏み込まず、基礎的かつ抽象的な出題がほとんどである。


テクノロジ系

情報技術についての知識を問われる分野。
コンピュータシステム(ハードウェア・ソフトウェア)セキュリティネットワークデータベースなどから幅広く出題される。
アプリケーション表計算ソフト*2の使い方についても出題される。

何度も言う通りエンジニアが扱うような難しい内容は問われないため、情報系の学生やITに関する知識が深い人なら楽勝な分野だろう。
逆に言えば、普段パソコンやスマートフォンなどをあまり触らないIT音痴の人だと苦戦する分野でもある。もっとも、内容自体は高校の情報の教科書に毛が生えた程度の基礎的なものなので、ITの素人でもちゃんと勉強すれば決して難しいものではないだろう。

ユーザーにとって身近だからか、最近はマルウェアやセキュリティ技術、リスクマネジメントなどセキュリティに関する問題も多く出題される。
数学の問題も少し出るが、こちらも基礎レベルの内容なのでそこまで恐れる必要はない。進数変換は初心者だと慣れるのに時間がかかるかもしれないが、これも公式を覚えれば対応できる。

2022年度から高校で「情報I」が必修科目になるのに伴い、ITパスポート試験でも基本情報技術者試験で出題されているような擬似言語を用いたアルゴリズムの問題が出題されるようになっている。


試験形式

※実際に受験する際は、ちゃんと公式サイトの説明を確認してください。

本項目に書かれている内容との差異で問題が発生しても一切責任は負いません。


4択問題が100問出題され、これを2時間(120分)かけて解答することになる。
分野別の問題数はストラテジ系35問・マネジメント系20問・テクノロジ系45問である。
ただし、100問のうち8問(ストラテジ系3問・マネジメント系2問・テクノロジ系3問)はいわゆる「ダミー問題」で、採点対象には含まれず(今後の問題作成のサンプルとされる)、実際に採点されるのは92問である。

試験時間は大学受験などを経験していない人だと長丁場に感じるかもしれないが、実際のところは問題数の割にそれほど長くなく、1問あたり1分12秒(72秒)である。
早く終われば途中で退席することも可能。申し込みの時間内であれば遅刻による入室制限はないが、それに応じた試験時間の繰り下げも行われない。

ITパスポート試験では上位試験の午前科目に相当する4択問題のみが出題され、午後科目のような長文問題は出題されない。
また、こちらは毎月試験が実施されていることから受験のチャンスが多い。

この試験は2011年11月以降、国家試験では初となるCBT方式Computer Based Testing)で実施されている。すなわち試験会場に用意されたパソコンを操作して受験する形式である。
パソコンの操作に自信がない人は公式サイトから模擬体験ソフトウェアをダウンロードしてあらかじめ慣れておこう。
問題は毎回ランダムで出題され、同じ日に同じ場所で受験している隣の人とさえ問題が異なる。公式サイトで公開されている過去問はあくまで実際に出題されたもののごく一部に過ぎない。

2011年10月までは紙媒体の試験であり、4月と10月の年2回のみ実施されていた。
現在でも目の不自由な人向けにペーパー試験が用意されているが、これを受験する場合は医師の診断書を提出する必要がある。こちらは従来通り4月と10月の年2回の実施である。
試験時間は原則2時間だが、場合によっては特別措置で3時間に延長される。

試験場に持って行けるものは「ハンカチ」「ポケットティッシュ」「目薬」「確認票」「受験者注意説明書(会場で配布される)」。
メモ用紙とシャープペンシルはあらかじめ用意されたものを使うことになっており、私用のものを持参することはできない。メモ用紙は1枚が配られるが、足りなければ申し出ることで追加の紙をもらえる。いずれも試験終了と同時に回収される。

試験時間はパソコンに表示された時間準拠で行われ、特段試験監督員が促すようなことはしない。
また、問題に関する質問は一切行えない。文意通りに解釈してください。


合格基準

総合評価が1000点満点中600点以上、かつ分野別評価もそれぞれ300点以上で合格となる。言い換えれば総合評価が600点以上であっても、3分野のうちどれか1つでも分野別評価が300点未満だった場合は不合格になってしまう
CBTの導入後は毎回問題が異なることから、公正を期すために「項目応答理論」という特殊な採点法が用いられており、単純に1問10点で計算されるわけではなく、試験後も内訳は公開されない。
そのため、「苦手な分野は捨てて他の分野で点数を稼ぐ」という手段が通用せず、苦手な分野があっても少しでも克服する努力をし、バランスよく勉強する必要がある。

ちなみに、ITパスポート試験は合格するだけならそれほど難しくないが、一方で高得点(750点以上)を狙うのはかなり難しいと言われる。
なぜなら、内容自体は浅いとはいえいかんせん出題範囲が広い上に、時事問題も出題されるためである。

受験後は総合評価点や分野別評価点などの成績を記載した「試験結果レポート」がその場で表示され、数時間後から利用者メニューでダウンロード可能。
建前上はあくまでも経済産業大臣が合格者を決定することになっているが、この時点で上記の合格基準を満たしていれば、試験後に何らかの不正行為でも発覚しない限りは無事合格と思ってもらって構わない。
合格者が決定されると翌月に受験番号が公式サイトに掲載され、さらに翌月(試験から2か月後)に経済産業大臣印の入った「情報処理技術者試験合格証書」が簡易書留で送られ、さらに官報にも記載される。
不合格者への通知は一切行われない。

合格証書は再発行できないが、必要があれば1通700円でIPAに申請することで「合格証明書」を発行することが可能。
こちらは合格発表日の2週間程度後から発行可能。


余談

イメージキャラクター

2013年頃、初音ミクがITパスポートのイメージキャラクターに就任したことがある。
受験するとミクのクリアファイルがもらえた。

現在のイメージキャラクターは上峰亜衣(うえみね あい)ちゃん。
大手商社の経営企画部に勤務する23歳の女の子で、ITに強くなるためにITパスポートの受験を決めた。
1回目は不合格だったが、勉強方法を工夫して2回目で合格した。
名前の由来は「情報」+「I(nformation)ないしI(ntelligence)」であろう。
公式サイトでは彼女を主役にした漫画が読める。


著名な合格者

  • 山口夕輝
NMB48メンバー。ちなみに彼女の父親はITエンジニアらしい。

声優。パソコンが得意で、ITパスポートの他にMOSやP検2級にも合格している。


関連資格

ITパスポート以外にも、ITリテラシーやパソコンの操作スキルを証明できる検定試験はいくつか存在する。
ただし、以下に挙げた試験はいずれも民間検定である。

+ ITリテラシーを証明できる主な検定試験
  • 情報検定
通称「J検」。文部科学省後援の情報に関する検定試験。
文部科学省後援の検定試験といえば、英検や数学検定、秘書検定などが有名だが、これはその情報版である。

情報の授業で学んだ知識の定着を目的とした、高校生向けの検定試験である。学校の授業の復習や確認のためにオススメとされている。
また、商業高校生や専門学校生などが、国家試験のITパスポートや基本情報の前哨戦として、J検を受験することもある。社会人にとってはあまりメジャーな試験ではない。

部門は3つある。ITユーザー向けの情報活用試験とエンジニア向けの情報システム試験、そしてWebデザイナー向けの情報デザイン試験である。
情報活用試験は1級~3級があり、1級がITパスポートの前哨戦レベルである。
情報システム試験では基本スキル、システムデザインスキル、プログラミングスキルの3科目が課される。こちらは基本情報技術者試験の前哨戦である。

  • コンピュータサービス技能評価試験
通称「CS試験」。厚生労働省が後援しており、その性質上職業訓練校の学生および卒業生が多く受験する。
ワープロ部門・表計算部門・情報セキュリティ部門があり、ワープロと表計算に関しては実技科目が課される。

  • Excel表計算処理技能認定試験
サーティファイという会社が認定しているExcelに関する検定試験。主にビジネス系の専門学校の学生が受験することが多い。MOSなどと同様のアプリケーションのスキルを測定する検定だが、社会人からの知名度はMOSなどと比べて低め。
1級~3級があり、全ての級で実技試験が課される。2級以上は知識を問う学科試験もある。
ちなみにサーティファイではWordやPowerPointに関する検定試験や、C言語やJavaなどのプログラミング能力認定試験も実施している。

  • 日商PC検定
簿記検定でおなじみの日本商工会議所(日商)が実施しているパソコン検定。
商工会議所の認定資格であるため、いわゆるパソコン検定の中では比較的評価が高い。

文書作成(Word)」「データ活用(Excel)」「プレゼン資料(PowerPoint)」の3部門があり、ランクはそれぞれ1級~3級とベーシックがある。
試験ではITパスポートやJ検のような学科試験と、MOSやP検のような実技試験が課される。

  • キータッチ2000 テスト
日商が主催するタッチタイピングの試験。
10分間の間に試験会場のパソコン画面に表示される英字・数字・記号を何文字打ち込めるかを測定する。また、試験直前に5分間の練習時間が用意されている。
満点は2000文字である。この試験は合否を判定するものではないが、満点を達成すると「ゴールドホルダー」の称号がもらえる。履歴書に書くならぜひとも獲得しておきたいところ。
全国各地の商工会議所が指定したパソコン教室などが会場となる。

  • ビジネスキーボード認定試験
キータッチ2000の中級ないし上級編とも言える日商のタイピング検定。
キータッチ2000が「タイピングの速さ」が要求される試験ならば、こちらは正確さも要求される試験である。
日本語・英語・数値の3科目があり、それぞれの科目毎に5段階のランク(S・A・B・C・D)が付けられる。この試験も合否判定はない。
試験時間は日本語と英語がそれぞれ10分ずつ、数値は5分間である(合計25分)。満点の文字数は日本語が900字、英語が3000字、数値が1200字である。
この試験では1行ごとに点数(正解した文字数)が付けられるが、各行ごとに全文字正解が前提であるため、1文字でもミスすると不正解(その行は全文字ミスした扱い)になってしまうので注意。
Sランクをもらうためには1文字も間違えられない。Aランクを取るためには日本語で800字以上、英語で2500字以上、数値で1000字以上の正解が必要。
ちなみに3科目全部でSランクになると「ビジネスキーボードマスター」の称号がもらえるが、これは超が付くほどの難関である。
今では多くの会社でタイピングは一般常識のようなものと考えられているため、就職活動においてはお世辞にも強いと言える資格ではないものの、Cランク以上であれば少なくとも「私はタイピングが苦手ではありません」という証明にはなるだろう。

  • P検
正式名称は「ICTプロフィシエンシー検定」。昔はそのまんまパソコン検定試験という名称だったことから、今でもP検で名前が通じる試験。
しまじろうで有名なベネッセコーポレーションの認定資格。

ランクとしては1級2級・準2級・3級・4級がある。昔は準1級もあったらしいが廃止されている。
1級を受験するには2級に合格していることが前提条件となる。
中学や高校でPC系の選択授業などを受けるとP検3~4級合格を最終目標とされるところがある。

一応小中学生向けに5級もあるが、あくまで自宅のパソコンを使って無料で受験できる〇×クイズであり、そもそも資格とは言いがたい。PCとネット環境があればいつでもどこでも受けられるので、暇つぶしがてら受けてみてはいかがだろうか。

日商PCと同様に学科試験と実技試験がある。
問題内容はごく最低限のPC操作や用語、一般常識レベルのセキュリティ知識を問うものばかりである。
小学生くらいのお子さんがこれに合格できれば、目を離して1人でインターネットやPC操作をさせても大丈夫だろう。少なくともPC素人お決まりの「何もしてないのに壊れた~!」という悲鳴からは卒業である。
それ以上のスキルを持つ人からしたら満点を取れて当たり前だが(というかわざわざ言及するのも馬鹿馬鹿しい)、たまに基本~応用情報をもぎ取ったプロでも意外とすっぽ抜けがちな問題や巧妙なひっかけ問題もちらほら出てくる。

  • Microsoft Office Specialist
通称「MOS」。世界的大企業のマイクロソフトの認定資格であるため、最も有名なパソコン検定である。
他のパソコン検定と異なり、MOSは世界共通の資格であることから海外でも通用する。
派遣社員やパートとして事務職を希望する場合、MOSの資格を保有していることが採用で有利に働くこともある。また、そもそもMOSの資格保有者しか採用しないという企業も一部存在する。

Word」「Excel」「PowerPoint」「Access」「Outlook」の全5種目があり、WordとExcelはさらに一般レベル(スペシャリスト)と上級レベル(エキスパート)に分かれている。
1種目だけでも受験料が高いため、全種目コンプリートを目指そうとするとかなりの費用がかかる。一応学生なら割引もあるが。

  • 全商情報処理検定
主に商業高校の生徒が受ける情報処理の検定試験。
1級~3級に分かれており、2級以上は「ビジネス情報部門」または「プログラミング部門」を選択して解答する。
同級なら難易度はプログラミング部門の方が高いと言われることが多い。また、1級プログラミング部門は基本情報の、1級ビジネス情報部門はITパスポートの前哨戦として位置付けられている。
基本情報やITパスポートなどと同様に、ハードウェア・ソフトウェア、ネットワーク、セキュリティなどといった情報処理に関する幅広い知識が要求される。ビジネス情報部門では表計算やデータベースの、プログラミング部門ではアルゴリズムやマクロ言語の問題もある。
かつてのプログラミング部門ではマクロの代わりにVBA、COBOL、Javaのいずれかを選択することもできたが、現在は廃止されている。

  • 情報技術検定
こちらは主に工業高校生が受ける情報技術の検定。ジュニアマイスターの点数稼ぎとして受けることが多い。
1級~3級があるが、こちらはどの級でもアルゴリズムやプログラミングの問題がある。
学科を問わず人気が高い検定だが、電子・情報系の学科では最難関の1級まで目指す人も少なくない。ちなみに1級は基本情報とほぼ同じくらいの難易度らしい。
どの級も100点満点中70点以上で合格となる。ただし1級のみ「ハードウェアの基礎知識」と「プログラミングの基礎知識」の2科目構成となっており、2科目とも70点以上を取らなければならない。
大学生や社会人がほぼ受けない検定なので就職・転職活動での評価はイマイチである。



追記・修正はITパスポート試験で750点以上取ってからお願いします。



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最終更新:2024年11月01日 12:42

*1 工業高校生が各種国家試験や検定試験に合格した際に、それらの取得難易度や社会的評価などに応じてポイントが付与される制度。

*2 Excelに似ているが、国家試験という特定の企業や団体を優遇できない都合上そのままでは出せないため、本試験オリジナルのソフトになっている。それゆえ試験では仕様書が公開されており、読みながら解くことが可能。