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インフルエンザ

登録日:2020/09/12 Sat 23:12:14
更新日:2026/05/02 Sat 10:43:19
所要時間:約 19 分で読めます



/!\ 注意
※ご自身の健康問題については、専門の医療機関に相談してください。


インフルエンザ英語・イタリア語:Influenza)とは、インフルエンザウイルスによる感染症のことである。




概要

広義では風邪*1の一種だが、インフルエンザウイルスを病原体とするものは特に感染力が強く、症状も重症化しやすいことから、医学的に狭義の風邪とは区別されている。
インフルエンザウイルス以外のウイルスが原因の風邪を狭義の風邪としており、こちらは通常の免疫力であれば症状が軽いまま治るケースが多い。狭義の風邪はライノウイルスやコロナウイルスなど数百種類ものウイルスや、マイコプラズマのような細菌が原因となる。
ただし一応念のため書いておくと、症状の程度はあくまで目安でしかなく、インフルエンザと狭義の風邪ではそもそも根本的に病原体が異なるのである。症状が軽くてもインフルエンザウイルスが体内から検出された場合はインフルエンザと診断されるし、逆に症状が重くてもインフルエンザウイルスが検出されなかったら狭義の風邪なのである。
ちなみにインフルエンザを流行性感冒(りゅうこうせいかんぼう、略称は「流感」)、狭義の風邪を普通感冒(ふつうかんぼう)と呼ぶこともある。

他には、症状や流行時期がよく似た感染症である新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)やノロウイルスなどとの鑑別も重要であり、病院では検査キットを使った鑑別が行われる。

主にに流行するが、他の季節(春、夏、秋)でもインフルエンザにかかる可能性はある。
冬程ではないにしろ、夏場に流行してニュースで報道されるような場合も。

病名のインフルエンザは、イタリア語で「影響」を意味する「influenza(インフルエンツァ)」という言葉が由来。これは冬にばかり流行することから、当時の占星術師たちが「冬の寒気や星の動きの“影響”で発生する」と考えたことから来ている。
後に、語源がほぼ同じである「インフルエンサー」という言葉が出てきたからややこしい気はするが。

インフルエンザの主な感染経路は患者の咳やくしゃみを浴びることによる飛沫感染である。また、患者が触れたものに触ることで間接的に接触感染することもある。
ただし、意外と知られていないが空気感染はしない。
ちなみにヒト(人間)だけでなく、他の動物もインフルエンザにかかる。


インフルエンザウイルス

学術上はオルトミクソウイルス科というグループに分類されるRNAウイルスである。*2
大きく分けてA型、B型、C型、D型の4タイプがある。そのうちインフルエンザを引き起こすのはAとBが大半を占める。

元々はカモなどの水鳥の腸内に住んでいる無害なウイルスだったのだが、ある日突然、ヒト(人間)や家畜(ブタ、ニワトリなど)に感染し病気を起こす能力を身につけてしまったのである。
ちなみにカモはインフルエンザウイルスの自然宿主であるため、インフルエンザを発症しない。
動物から人間に感染する(あるいは変異して感染性を持つ)可能性が否定できず、家畜などで伝染すると大きな被害を起こし得る。
そのため、感染が疑われる家畜が大量処分されたり、冬になると動物園の鳥類などがバックヤードで飼育されるといった対策が取られる。

インフルエンザウイルスの感染力を他のウイルスと比較すると、
という感じである。

インフルエンザウイルスはエンベロープと呼ばれる膜に包まれており、これは脂質やタンパク質などで出来ている。
エンベロープはアルコールや石鹸で破壊できるため、石鹸による手洗いやアルコールによる消毒でウイルスを無力化することができる。*6

また、湿度と日光に弱い。インフルエンザが乾燥しやすい冬に流行する理由でもある。(ただし、冬以外に発症・流行する場合もある。)

ちなみにインフルエンザウイルスを撲滅するのはほぼ不可能。*7


A型

ヒトのみならず他の哺乳類(ブタなど)や鳥類(ニワトリなど)にも感染する。
B型に比べて高熱(40℃に近い)の症状が出やすいと言われている。

非常に変異しやすい性質を持ち、数十年おきに新型インフルエンザウイルスといって、誰も免疫を持たない恐ろしいウイルスになることがある。
新型インフルエンザはワクチン開発が間に合わないため、ときに世界的な大流行(パンデミック)を起こし、甚大な被害を出すことがある。
そのため、A型はインフルエンザウイルスの中で最も重要視されているのである。

抗原性の違いからA香港型、Aソ連型、Aアジア型の3種類に分かれるとされる。

B型

基本的にヒトにしか感染しない。ただし、最近の研究ではアザラシにも感染する可能性があることが示唆されている。
A型ほど変異しやすいわけではなく、ワクチンがよく効くので対処しやすい。

A型ほどの高熱になることはあまりないが、その代わり、ノロウイルスのような胃腸炎症状(腹痛、嘔吐、下痢)が出やすい。

C型

ヒトにしか感染しないウイルス。
A型やB型に比べて症状が軽いことが多いため、普通の風邪と扱われることも多い。

D型

ブタやウシなどの家畜にしか感染しない。
ヒトに感染しないためか、まだよくわかっていないことが多い。

新型インフルエンザ

上記のいずれにも該当しない突然変異型の新型ウイルス。日本の感染症予防法では、
新たに人から人に伝染する能力を有することとなったウイルスを病原体とするインフルエンザであって、 一般に国民が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの
(原文ママ)
と定義されている。
どのタイプの抗原性にも当てはまらないということはワクチンもなければ免疫もないということであり、当然だが一度発生すれば全世界を巻き込んだ感染爆発が発生しうる。
かつて流行った「スペイン風邪」「相撲風邪」などと呼ばれた感染症の正体もこれだと言われている。


症状

潜伏期間は2〜3日と言われている。
普通の風邪と違って急激に発症し、高熱が出るのが特徴*8で、特にA型は40℃近い高熱が出ることが多い。
また、呼吸器症状(咳、鼻水、くしゃみ)に留まらず、全身の症状(頭痛、筋肉痛、咽頭痛、関節痛、倦怠感、疲労感)を伴う。
また、吐き気・嘔吐・腹痛・下痢などの症状が出る人もいる(特にB型で多い)。
ウイルスの型によっては特定の症状が強く出るなんてこともある。


合併症

インフルエンザは風邪に比べて重症化しやすく、以下のような危険な合併症を起こすことがある。
合併症を起こすと死亡することもある。インフルエンザは死に至る可能性が十分ある病気であることを肝に銘じておくこと。
ちなみにインフルエンザの致死率は0.1%である。発症した人のうち1000人に1人は亡くなる計算である。

肺炎、気管支炎

肺や気管支が大ダメージを受けて、激しい咳や胸の痛み、呼吸困難などを起こす。
65歳以上の高齢者に多く、原因は主にA型インフルエンザが多い。
インフルエンザウイルス自体が原因となることもあるが、多くの場合、別の細菌(肺炎球菌、インフルエンザ菌*9など)が二次感染して起こる。

インフルエンザ脳症(脳炎)

きわめて稀だが、非常に危険な合併症である。
6歳未満の小さな子供に多い。主にA型インフルエンザウイルスが原因となる場合が多い。
進行が非常に早く、インフルエンザ発症から数時間で脳症に進行することもある。

インフルエンザウイルスが直接脳にダメージを与える場合は脳炎、そうでなくてウイルスに対する免疫機能が過剰に働いた結果脳が大ダメージを受けた場合は脳症という。

脳が腫れ上がったり壊死することによって、痙攣(けいれん)、意識障害、異常行動がみられる。

インフルエンザ脳症でみられる異常行動には、以下のようなものがある。
  • 人を正しく識別することができない(誰なのかわからない)。自分の両親すら認識できなくなる。
  • 食べ物ではないもの(おもちゃなど)に齧り付いたりする。
  • アニメや絵本のキャラクターなどの幻覚が見える。
  • 窓から飛び降りて転落死した事例もある。

場合によっては脳のダメージに留まらず、全身の血管に血栓ができることによって血小板が消費されて血液が止まらなくなり、胃腸から出血することによって吐血*10や血便(下血*11)の症状が出たり、肝臓や腎臓の障害を伴うこともある。

インフルエンザ脳症の致死率は非常に高くかつては30%を超えており、現代でもなお10%を超える。場合によっては脳症を起こしてから1日以内に亡くなってしまうケースもある。
また、一命を取り留めても4人に1人(25%)は麻痺や知的障害などの後遺症が残る。
ちなみにインフルエンザ脳症は日本人や韓国人、中国人などの黄色人種(モンゴロイド)に多く、白人(コーカソイド)や黒人(ネグロイド)にはほとんどみられない病気である。

ライ症候群

15歳未満の子供が解熱鎮痛剤の一種であるアスピリン(アセチルサリチル酸)を飲んでしまうことで副作用として起こる危険な病気。
B型インフルエンザが引き金となって発症することが多いが、水ぼうそう(水疱瘡、水痘)にかかった子供がライ症候群になることもあり得る。
脳や肝臓が重篤なダメージを受け、致死率は30%を超える。インフルエンザ脳症同様、非常に危険な病気である。


治療


/!\ 注意
あくまでも読み物としての治療法の記載です。
実際に発症した際には、専門の医療機関に相談し、正しい知識で処置を行ってください。

インフルエンザにかかってしまったら、早めに病院に行くのが基本。
タミフルやリレンザ、イナビルなどの抗ウイルス薬を処方してもらい、自宅で安静にし、ゆっくり休もう。
高熱や下痢による脱水症状を防ぐため、水分は十分に補給しよう(水が飲めないほど重症の場合は入院が必要かも……)。
発症から48時間以内に治療することが重要である。

かつてタミフルがインフルエンザにかかった子供の異常行動の原因である可能性が指摘されたことがあるが、そもそも異常行動の原因はインフルエンザ脳症であるため、現在では完全に否定されている。
サブカルなYouTubeネタ動画などでは、ゲームキャラクターがバグや特定操作などで無茶苦茶な動きをするのを「タミフル」などと言ったりしたのを聞いたことがある人も多いかもしれないが、誤解なきように。
ちなみにタミフルなどはあくまでウイルスの増殖を抑制する目的の薬であり、ウイルスを倒す効果はないため早めに服用しないとあまり意味がない。

15歳未満の子供がインフルエンザにかかった場合は、アスピリンは絶対に飲ませてはいけない。先述のライ症候群のリスクが高まるため。
子供用の風邪薬にはアスピリンは含まれないが、大人用の薬には含まれている可能性がある。
同様に子供への解熱剤としてロキソプロフェンやイブプロフェンなどのいわゆるNSAIDsの使用も禁忌とされ、基本的にはアセトアミノフェンが処方される。

あと、抗生物質は細菌をやっつける薬であり、ウイルスに対しては全く効果がない。というかむしろ耐性菌を生み出してしまう危険性もあるため使ってはいけない。

通常は1〜2週間程度で回復する。

インフルエンザにかかってしまった場合は、会社では出勤停止、学校では出席停止の措置がとられる。これは発症から最低でも5日間、熱がなくなってから2日間続く。
もしインフルエンザにかかっていると分かっていながら会社や学校に行った場合、訴えられてしまう可能性もあるため注意しよう。

一方で、「インフルエンザ如きで仕事を休むとは何事だ!?」などと無茶苦茶な要求をしてくるブラック企業もあるのが困り所。
だが、インフルエンザを発症した上司が「仕事が詰まってるから休めない」と無理をして出勤したせいで部下に感染させてしまい、さらに高校受験を控えた部下の息子に感染させてしまった事で息子が受験に参加出来なくなり、進学の道を断たれた……という冗談みたいな事例が本当にあるのだ。マジでインフルエンザは普通の風邪とは違う。
自分だけでなく周囲の人々、その家族を守る為にも、インフルエンザを発症したら完治するまで絶対に仕事を休むようにしよう。

肺炎や脳症など深刻な合併症が疑われる場合は大至急、救急車を呼ぶこと。集中治療室(ICU)に入院する場合もある。


予防方法

マスクの着用、手洗い、うがいなどがある。
あと栄養バランスの良い食事と、規則正しい生活で免疫力を下げないことが大切

他、ワクチンで事前に免疫を作っておくという方法が有効。
ただしこれも完全に予防できるわけではない。というのもインフルエンザウイルスは毎年微妙に形を変えてくるため。
しかしそれでもインフルエンザの重症化を阻止することは可能であるため、全く無意味なわけではない。
特に生後6ヶ月以上*126歳未満の小さな子供や、65歳以上の高齢者、糖尿病患者、妊婦などは重症化しやすいため、ワクチンを打つほうが良い。

ちなみにインフルエンザワクチンは不活化ワクチン(ウイルスを殺した成分を薬として入れたワクチン)であるため、体内に入れてもインフルエンザを発症する心配はなく、エイズ患者にも接種可能である。
ただし、風疹や麻疹のワクチン*13と違って効果が長い期間続くわけではないため、毎年打つ必要がある。


被害状況

日本では年間1万人以上がインフルエンザで亡くなっている。死亡者のほとんどが高齢者であり、死因の多くは合併症の肺炎である。

また世界では年間50万人以上がインフルエンザで亡くなっていると言われている。これは感染症のなかでは結核、エイズ、マラリア*14に次いで多い。
致死率が非常に高い感染症としてエボラ出血熱や狂犬病などが有名だが、実はインフルエンザによる死亡者数はそのエボラ熱や狂犬病よりも遥かに多いのである。

身近な病気だけあって軽視されがちだが、実は毎年甚大な被害を出している病気であるのだ。


歴史的なインフルエンザの大流行事件

  • スペイン風邪
1918年のスペインで報道されたことによって全世界にその名を轟かせた凶悪なインフルエンザウイルス。
その死者の数は全世界で1700万~5000万人にも及ぶとされている。ペストに次ぐ世界最悪の感染症の一つである。
当時(1920年代頃)はまだウイルスというものの存在すらも認知されておらず、また当時は第一次世界大戦の真っ只中で、感染者が急増していながらどこの国も他国に情報が漏れることを恐れて隠蔽することに躍起になっていたため、感染対策が遅れに遅れて膨大な死者を出してしまった。
「スペイン」風邪と名前がついているが別にスペインが感染源という訳ではなく、第一次世界大戦時に中立国だったスペインは情報統制を行っていなかったため感染拡大が真っ先に報道されたのでそう呼ばれるようになっただけ。風評被害も甚だしい。
なお、劇作家の島村抱月がスペイン風邪によって死去している。

  • 2009年変異型豚インフルエンザパンデミック
2009年にメキシコとアメリカで発見されて世界的に大流行したH1N1型の抗原を持ったウイルス。
日本でも修学旅行に行った高校生が帰国後感染していることが発覚して大騒ぎになった。
元々は豚の農場で流行していた豚インフルエンザが変異して人間に感染し広まったもの。


創作上のインフルエンザ

上述してきた通りに知名度が高い病気だが、創作上でウイルスの代名詞ともなっているエボラ出血熱に比べると、扱われることはあまり多くない。
インフルエンザは一般生活においては身近な疫病であり、人を死に至らしめたり社会問題になるケースがあるために話題として触れづらいことが理由か。
実際、後述する「感染列島」はドンピシャでセンシティブな時期に上映されたため話題になってしまった。
また、エボラ出血熱と異なり、画的には風邪と大して変わらない派手な症状が見られることがあまりないのも創作上で目立たない理由だろうか。

一方、日常系の作品では、登場人物が日常の一環としてインフルエンザに感染して伏せるという描写をなされることがある。
登場人物が普通に暮らす人間である以上は十分にあり得る病気であり、一時的に行動不能・出演不能にする理由付けとしても都合が良いのである。
さらにインフルエンザに感染して休んだ人の穴を埋める代役や一時的な助っ人を頼む・頼まれるという名目でゲストキャラを出したり、主人公に普段と違うことをさせたりする理由付けとしても都合が良く、ネタ切れ・マンネリ化対策にもなる。
ただし、お見舞いシチュエーションに登場することはあまりない。症状が辛すぎて笑いやほのぼのにし難いのと迂闊に感染しかねない行動をさせられないからと思われる。

はたらく細胞

第3話「インフルエンザ」でB型、A型ウイルスが登場。さらに、第22話では抗原変異した個体も登場した。
細胞たちから見たウイルスはサイズこそバレーボール大だが、球状に突起(スパイク)がついた、さもウイルス然とした見た目になっている。
これが一般細胞の頭にはまってゾンビ化させることで「感染」し、体内でパンデミックを起こすことで街の一角をゴーストタウン化させていた。
当作ではウイルス感染から撃退までのメカニズムが忠実に描かれているため、血小板ちゃんの出番があんまりない回だからといって飛ばしたりせずに病気に対する知識の会得として視聴しておくのも良いだろう。

L change the WorLd

映画版DEATH NOTEのスピンオフ映画。
「死神」と称されるバイオテロ用殺人ウイルスとワクチンを巡り、テロリストと名探偵Lの対峙が描かれている。
作中登場人物の解説曰く、この殺人ウイルスは「インフルエンザウイルスの流行性エボラウイルスの致死率を掛け合わせた新型ウイルス」であるらしい。やっぱり感染・症状の描写はエボラにオハコをとられている。

メタ的なことを言うと、エボラ出血熱はもともと感染力自体は高いウイルスであり、宿主の致死率が高すぎるせいで結果的に流行性が低いというだけの話。
作中でもこのウイルスは潜伏期間なしでほぼ即死の描写がなされているので、インフルエンザの流行性を掛け合わせるという話自体が良く分からないのだが……
なお小説版では、即死の症状が発生するまでの潜伏期間が長いと説明されているので、辻褄が合っている。

感染列島

神に裁かれるのは、人間か?ウィルスか?

タイトル通り、邦画のウイルス・パニック映画。
物語の冒頭から未知のウイルスに感染した患者が登場。最初は新型インフルエンザと診断されたが、これが誤診であり、全く未知のウイルスであった。
ちなみにこのウイルス、症状は大量出血により死亡するというもの。またエボラ出血熱か
それなのに、作中ではかなり物語が進む頃まで新型インフルエンザと認識され続けていた。
2009年1月に封を切られたが、その直後、2009年春に奇しくも新型豚インフルエンザが世界的流行。
タイミングが悪く、流行時期に飛行機の国際線で上映されたことも話題になってしまった。

機動戦士ガンダムSEED

本編ではほぼ触れられないが、ナチュラル(遺伝子操作を受けていない人間)とコーディネイター(遺伝子操作を受けた人間で、ナチュラルより免疫力を含む各種能力が高い)が激しく対立している原因の一つが、本編の20年前に大流行した「S2インフルエンザ」。
これには従来のワクチンが効かず、ナチュラルに多数の死者が出る事態となった一方、コーディネイターには1人も死者が出なかった。
この事に加えて、流行の前年に「最初のコーディネイター」ジョージ・グレンがナチュラルの少年に暗殺される事件が起きていたのもあり、「S2インフルエンザはコーディネーターによるナチュラルへのグレン暗殺の報復、あるいはバイオテロでは?」という疑惑が生じる。
しかも、薬学の面ではナチュラルより免疫力が高いゆえに遅れているコーディネイターの方が先にワクチン開発に成功したことで、疑惑は更に強まる結果となってしまい……

ウイルスの牙

1997年に連載されたホラー漫画。
ある国で発生した新種のD型インフルエンザウイルスが日本に上陸して次々と感染が広がるという内容であるが、作中におけるD型インフルエンザウイルスはヒトにも感染する上に有効な治療法やワクチンが無く、発病してから3日以内に吐血しながら死亡するほど致死率が高い。
前述の症状が原因でマスクのぼったくり商売をする者や、暴動を起こす者も現れる有り様であった。

サバイバル(さいとう・たかを)

大災害によって荒廃した世界を旅する少年、サトルは辰野という青年に出会う。
辰野は元々数十人の集団で荒れ地を開墾して生きていたのだが、インフルエンザの流行によって辰野を除く人間が全滅してしまったと話す。(文明崩壊しているのであくまでも「悪性のインフルエンザのような流行病」という病状から推測した素人判断)
辰野の元で世話になるサトルだが、感染してしまったらしく高熱を出して倒れてしまう。更に新たな生き残り集団が現れて辰野の畑を奪う為に襲撃を仕掛けてくるという二重の窮地に陥ることに……
作中では「ちゃんとした薬があれば助かった」「原始生活では病気は気力で持ちこたえるしかない」と語られており、医療体制や栄養状態が悪い状態ではただの風邪、あるいはインフルエンザでも多数の死者が出るという伝染病の脅威の側面を描いている。

ナニワ・モンスター(海堂尊)

海堂氏の「田口・白鳥シリーズ」世界観作品の一つ。
日本の「浪速府」で発生した新型インフルエンザの流行問題を軸に、それに対応する浪速府の医師たちの奮闘と、現場の行動を無碍にするような政治・権力問題に向き合う浪速府知事と『イノセント・ゲリラの祝祭』がドラマ化されなかったせいで実写化されなかった「スカラムーシュ」と呼ばれる参謀役の医師の戦いを描く。
なお本作後、「スカラムーシュ」をメインに知事のその後も描いた『スカラムーシュ・ムーン』、新型コロナウイルス流行下を舞台に元知事と「スカラムーシュ」が再登場する田口・白鳥シリーズの『コロナ狂騒録 2021五輪の饗宴』が発表されている。

21エモン

21エモンを父親の仇と誤解したクエ星人ムエに追われて逃げ込んだナイナイ星には、奇妙なことに人っ子一人いなかった。
実はナイナイ星には強力な毒性と感染力を併せ持つ正体不明の伝染病が蔓延しており、社会が深刻なダメージを負っていたのだ。銀河パトロールによって住民は一人残らず隔離され、滅菌のためミサイルによって星ごと爆破される予定だった。
爆破のタイムリミットが迫る中、21エモンまでもが伝染病に感染してあわや絶体絶命……かと思われたが、実はナイナイ星の伝染病とは地球のインフルエンザと同じものだった。
今でこそありふれた季節性の感染症と認識されているインフルエンザだが、かつて万単位の人間を殺したように抵抗力を全く持たない種族にとっては恐ろしい伝染病だったのだ。
最終的にミサイルは誤解が解けて和解したクエ星人二人と力を合わせたモンガーによって無力化され、21エモンが銀河パトロールにこの事実を伝えたことで事態は収束した。



追記・修正はインフルエンザワクチンを接種してからお願いします。

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最終更新:2026年05月02日 10:43

*1 正式な病名は「かぜ症候群」。ウイルス感染によって咳や鼻水・鼻詰まり、くしゃみなどの呼吸器症状が現れる病気の総称。

*2 インフルエンザウイルスやエボラウイルスなど大半のウイルスはRNAウイルスである。DNAウイルスは天然痘ウイルス、アデノウイルス、B型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルスなど種類が少ない。

*3 デング熱の病原体は蚊が媒介する。

*4 ただし、エボラウイルスが飛沫感染する可能性が完全に否定されているわけではない。空気感染はしない。

*5 乳幼児に多い胃腸炎の原因ウイルス。ノロウイルスよりも重症化しやすく、脱水症状を起こし得る危険なウイルス。

*6 ちなみにノロウイルスのようなエンベロープを持たないウイルスはより強固な殻を持っており、これはアルコールでも破壊されない。なのでノロウイルスにはアルコール消毒が無効である。

*7 これに対し、天然痘ウイルスはヒトにしか感染しないウイルスであり、また、変異しにくいウイルスであったため、ワクチンによって根絶させることができた(自然界では根絶したが研究所には保管されている)。

*8 普通の風邪では発熱しても37℃台の微熱であることが多く、高くても38℃前後に留まる。逆に言えば、高熱が出る場合は風邪以外の他のもっと重大な病気を疑ったほうが良い。

*9 発見当初、インフルエンザの病原体と考えられていたことからその名が付いた細菌。当時は細菌を発見する技術はあってもウイルスを発見することができなかったために誤解されていた(ウイルスは細菌よりもずっと小さい存在である)。インフルエンザの病原体は「インフルエンザウイルス」であり、インフルエンザ菌ではない。

*10 大量の血液を嘔吐すること。

*11 大量の血液を下痢便のように肛門から排泄すること。

*12 生後6ヶ月未満だとワクチンを打つことができない。

*13 こちらは生ワクチンといって、毒性を弱めたウイルスを入れたワクチンである。不活化ワクチンに比べて効果が長持ちするが、エイズ患者など免疫力が低下している人には打てない。

*14 蚊が媒介する寄生虫(原虫)感染症。高熱などの症状があらわれ、重篤化すると腎臓に重い障害を残して死に至ることもある。アフリカの熱帯地域を中心に年間100万人以上がマラリアで亡くなっている。