登録日:2021/05/25 Tue 19:53:28
更新日:2025/04/16 Wed 09:05:50
所要時間:約 48 分で読めます
我らはもはやナチュラルとは違う、新たな一つの種なのです
高い金を出して買った夢だ! 誰だって叶えたい。誰だって壊したくはなかろう。だから挑むのか! それが夢と望まれて叶えるために!
「
コーディネイター」(
Coordinator)とは『
機動戦士ガンダムSEEDシリーズ』に登場する架空の人種概念。
カタカナ表記では「コーディネ
イター」で「コーディネ
ーター」ではないので注意。
まあ、Xとかでは監督がコーディネーター表記を使ったりもしているので、日常会話的に使う分には問題ないといえばないかもしれないが
目次
概要
コズミック・イラ(C.E.)の世界において、受精卵の段階で人為的な遺伝子操作を施され先天的に優れた肉体・頭脳を持つよう調整された新人類、それが「コーディネイター」である。
これに対して、遺伝子操作を受けずに自然な形で誕生した人類は「ナチュラル」と呼ばれる。
「遺伝子操作の有無」という既存の血統や文化といった区分とは異なる定義の下に生まれた人種であり、『SEED』本編の開始時期であるC.E.70代では
地球圏に多数存在する他、
スペースコロニー群「プラント」を拠点とする事実上の独立国家も運営するなど人類社会の一大勢力となっている。
しかし、コーディネイターという新たな存在はC.E.の歴史の中でナチュラルとの間に多くの悲劇と憎悪を生むことになり、
積み重なったそれらは世界全体に大きな影を落とし、本編中でも描かれる多くの戦乱に繋がっている。
両者の関係を描くこともシリーズを通したテーマの一つである。
コーディネイターの歴史
西暦(A.D)~コズミック・イラ(C.E.)初頭
コーディネイターの始まりはC.E.以前、A.D.の終わりとなった21世紀末にまで遡る。
当時の世界は情勢不安から生じ細分化した民族・宗教紛争、テロリズムを経て至った大規模な戦乱、後に言う再構築戦争(第三次世界大戦とも)が繰り広げられ、
その最中にS型
インフルエンザの世界的流行も起こり多くの人々が命を落とすなど、混迷と苦難の時代を迎えていた。
なんとか再構築戦争は終結へと至るのだが、戦時中に使用された多数の
核兵器や化学兵器による汚染は多くの人々に遺伝子損傷という爪痕を残すことになった。
特に生殖細胞への影響は深刻なものとなっており、健康な次世代を残せない者は全人口の2割に達するとの試算が出るほどだった。
この事態に、各国は救済策としてそれまで公的には禁止されていた人間に対する遺伝子操作技術を部分的に解禁。
遺伝子疾患を持つ人々が子供を作る際、両親が持つ遺伝子の内無傷な部分のみをパッチワークのように繋ぎ合わせ受精卵に移植する「遺伝子最適化」の技術が確立される。
そして、次世代への遺伝子損傷の継承を予防できるようになり、結果再構築戦争を原因とする遺伝子疾患は根絶されるに至った。
しかし、この時確立された遺伝子最適化をはじめとした人間への遺伝子操作技術は秘密裏に研究が進められ、後にその成果は一人の人間という形で世間に出ることになる。
ファーストコーディネイターの登場~第一次コーディネイターブーム
A.D.も終わりに差し掛かった頃、
ジョージ・グレンという一人の男性が現れた。
彼は弱冠17歳にしてMIT博士課程を修了、
ノーベル賞候補になり、理工学分野でも多大な業績を生む。
更に陸上競技でオリンピック銀メダリストとなり、
アメリカンフットボールではスター選手となるなどのスポーツ分野でも活躍。
その上、空軍に所属して戦闘機パイロットとなるなど、その
万能とも思える稀に見る天才振りに多く人々が賞賛を送った。
そしてC.E.15、自らが設計した
なぜかジュピトリスにクリソツな大型宇宙船で、
しかもよりによって木星への有人探査に出発する間際、ジョージは軌道上から地球の人々に向けてあるメッセージを送った。
僕は、僕の秘密を今明かそう
僕はヒトの自然そのままにナチュラルにこの世界に生まれたものではない
……僕は受精卵の段階で人為的な遺伝子操作を受けて生まれた者
その詳細な技術のマニュアルを今、世界中のネットワークに送る
その内容は、自身が遺伝子操作を受け先天的に優れた才能を持って生まれた人間であるという衝撃的な告白だった。
今この宇宙空間から地球を見ながら僕は改めて思う
僕はこの母なる星と、未知の闇が広がる広大な宇宙との懸け橋……
そして、人の「今」と「未来」の間に立つ者……
「調整者」……「コーディネイター」……
このようにあるものなのだと
僕に続いてくれる者がいることを切に願う
この告白の後、ジョージは木星への長い旅路に就いたが、その際に地球の人々は彼が残した告白と希望と共に、
ネット上に公開された遺伝子操作技術に関する情報、つまりはコーディネイターの生成法を受け取った。
こうして世界はそれまで空想科学や都市伝説の中の存在だった「遺伝子操作による超人」の実在を明確に認識することとなった。
ジョージの告白をきっかけに、地球ではコーディネイターという存在に関する議論が巻き起こった。
人間への遺伝子操作については、先述した遺伝子損傷の予防が許容されていた。
だがそれはあくまで治療目的で、優れた能力の付与を目的とする遺伝子操作はその範疇には無く、
既存の倫理からも逸脱した人間の尊厳を傷つける行為として強く問題視されたのである。
また各宗教もこれを「神の領域を冒す行為」として反発(これ自体は現実世界でも同様ではあるので当然だが)。
各国政府も慎重な姿勢を見せ、C.E.16には国連で「人類の遺伝子改変に関する議定書」が採択されてコーディネイターを生み出すことを公には禁止し、
既にコーディネイターとして生を受けているジョージの処遇については、ひとまず彼の帰還を待って対応を決めるという方針に落ち着いた。
しかし、既にジョージという輝かしい成功例が世間に示されていたこともあって、表向きは禁止されたものの、
「自分の子ども等をコーディネイターとして生み出したい」という人々の欲望を完全に止めることは叶わなかった。
当時の技術的制約もあって、生まれてくる子供の遺伝子操作には莫大な費用がかかったものの、
それを賄える一部の富裕層には、密かに生まれてくる自身の子供をコーディネイターにしようとする者が少なからずおり、
そんな彼らのニーズに応えるように、コーディネイター生成は一つの『商売』へと成立し始める。
これに反発する過激な反コーディネイター主義者によって、コーディネイター生成を行っていた病院へのテロ攻撃といった事件も散発的に起こるようにもなった。
そして、C.E.29にはジョージが木星から帰還。
彼が木星から持ち帰った「Evidence01」によって、地球外生命体の存在が現実味を帯びると共に、
それはやがて既存宗教権威の失墜に繋がり、それらが弾圧したコーディネイターへの寛容論へと転化し法規制も形骸化。
同時に、技術の進歩によって費用面でのハードルが多少下がっていたことも手伝って、コーディネイター生成の流れが過熱。
その結果、C.E.30頃から多くのコーディネイターが誕生するようになり、この流れは後に「第一次コーディネイターブーム」と呼ばれるようになった。
ナチュラルとの確執の顕在化
この時点ではまだコーディネイターが全人口に占める割合はほんの僅かであったが、
ジョージの告白から間もなく誕生した最初期のコーディネイターたちはC.E.40代には成長して社会に進出し始め、
前述の通り、技術の進歩でコーディネイター生成のハードルが下がったこともあり、その存在は一般のナチュラルにも身近なものとなり始めていた。
だが、ここにきて問題になったのがコーディネイターとナチュラルの間にある能力格差である。
先天的に優れた素質を与えられたコーディネイターたちは、各分野で自らの才能を開花させ、華々しい活躍を見せるようになっていた。
しかし、学術・芸術・スポーツなどの多分野で少数派のコーディネイターが多数派であるナチュラルを抑えて上位を占めるようになると、
それは両者の間の生まれながらの能力格差を、結果という形で世間に如実に示すこととなった。
社会進出と共に学校や会社などの日常生活でコーディネイターとナチュラルが接する場が増えたことで、
皮肉にも両者の違いが実感をもって鮮明に浮かび上がってしまったのである。
無論、才能などに関しては個人差が存在し、ナチュラルであってもコーディネイターに得意分野で勝る才覚を持つ者もいれば、
コーディネイターであってもナチュラルとさほど変わらない才覚を持つ者もおり、両者の優劣は絶対的なものではなかったが、
傾向として、コーディネイターがナチュラルに優越していることは誰の目にも明らかだった。
そのため、ナチュラルの中にコーディネイターに嫉妬や脅威を感じる者が増え始めるのは必然と言えた。
さらに、その個人間の悪感情は遺伝子操作に関する倫理的な拒否感とも結びつき、
やがてそれは、ナチュラルによるコーディネイター全体への嫌悪や差別を呼び排斥運動を誘発するに至った。
一方のコーディネイターたちからすれば、生活のために自身が生まれ持った才能を生かすのは至極当然なことであり、
ましてや自分の意思でコーディネイターとして生まれたわけでもないのだから、こういった排斥運動は彼らの目には当然理不尽なものと映った。
しかし、いくら個人レベルではナチュラルよりも優れた能力を持っていても、人類社会全体で見れば未だコーディネイターは圧倒的に小数派であり、
対して多数派であるナチュラルの中に一度根付いた差別的風潮を払拭するのは容易ではなかった。
また、第一世代のコーディネイター同士の夫婦の間に、”純系”とも言うべき第二世代コーディネイターが生まれ始めるのだが、
この第二世代は、遺伝子操作を受けておらずとも、両親から優れた資質を受け継いで生まれてくることが判明した。
「コーディネイターの能力は一代限りのものではなく次世代に遺伝する」という事実は、コーディネイターが新たな一つの種として確立したとも受け取られたが、
同時にナチュラルの抱えるコーディネイターという存在への異物感を
助長する一因にもなっていく。
プラントの誕生
こうして生まれたナチュラルによるコーディネイター排斥運動と、それに関連する問題は続いていたものの、
コーディネイターたちが各分野でその能力を示し、活躍していたことも変わりなく、
そんな彼らの能力や功績を評価し、コーディネイターを受け容れる国も出始め、少しずつだが彼らの居場所作りが始まっていた。
そして、C.E.44にL5宙域でかねてから建設が進んでいた新型の天秤型スペースコロニー群の第一陣が完成。
コーディネイターの能力を活かした大規模生産基地として「プラント」と名付けられたこのコロニー群には、
排斥運動が激化していく地球から逃げるように、各地からコーディネイターが移住し始めた。
コーディネイターの世界人口が推定一千万人を超えたC.E.45には、プラントはコーディネイターの拠り所としてだけでなく、
様々な先端技術を生み出す重要な工業地帯としても存在感を増していった。
しかし、プラントの運営に関しては、コロニー建設等に出資した地球の理事国が手綱を握っており、彼らから大きな縛りを受けることになった。
特に生存に欠かせない食料に関しては、プラントでの独自生産に大幅な規制が掛けられており、
穀物に至っては生産禁止が徹底され、理事国からの輸入に100%頼らざるを得ないという状態にされてしまった。
また、この頃から
ブルーコスモスを筆頭に先鋭化した一部の者たちが、単なる排斥運動に留まらず、
コーディネイターに関連する個人・組織・施設に対する暗殺やテロなどの凶行を巻き起こすようになっていた。
当然プラントも格好の標的となったが、理事国に非武装を義務付けられていたために対抗手段を持てず、その脅威に曝され続ける事態に。
これらの状況への不満は、長らくあったコーディネイター排斥に対する反発と合わさり、コーディネイターたちの理事国への反発や反ナチュラル思想を生む源泉となった。
そして、C.E.50にはプラントの自治権と貿易自主権獲得を目指す政治結社「黄道同盟」が誕生。
当然のように理事国はこれらの運動を弾圧したが、黄道同盟は密かに存続し、その勢力を増していった。
プラントと地球の分断
こうして理事国からの締め付けを受けながらも、プラントは着実にコロニーを増設・拡大していき、
それに比例するように、プラントに居住するコーディネイターの人口も徐々に増加していた。
そんな中で起きたのがジョージ・グレン暗殺事件である。
自分たちの始祖となったジョージの命を突然奪ったこの事件はコーディネイターたちに少なからぬ衝撃を与えたが、
暗殺を実行したのが「コーディネイターに生まれなかったことを悲観したナチュラルの少年」であったことも問題の根深さを人々に知らせていた。
更に翌年C.E.54にはS型
インフルエンザが変異したS2型
インフルエンザが流行。
このS2型は従来のS型用ワクチンを無効化しており、ナチュラルの間で蔓延して多くの死者を出しA.D.末の脅威の再来となったが、
そんなナチュラルの被害状況とは対照的に、生まれつき基礎免疫力の高いコーディネイターの犠牲者はほぼゼロであったため、
「S2型インフルエンザはコーディネイターによるジョージ・グレン暗殺の報復、ひいてはナチュラル殲滅作戦のための生物兵器ではないか」
という陰謀論じみた根も葉もない噂がまことしやかに囁かれた。
C.E.55には、このS2型インフルエンザのワクチンがプラントで開発され、これは地球にも供給され始めたのだが、
地球国家と比べて薬学の分野では劣っているプラントが短期間でワクチンを完成させたことは、
かえって噂に真実味を持たせ、その真偽も明らかにならぬままに反コーディネイター思想は活発化。
市民レベルの差別活動も増え、地球在住コーディネイターの多くがプラントへ移住することになった。
加えて「S2インフルエンザをコーディネイター生成に対する「神の鉄槌」である」という主張の下、失墜していた宗教が復権。
これらの流れに乗って国連では「遺伝子改変禁止に関する協定(トリノ議定書)」が採択され、人間の遺伝子操作は再び公的に禁止された。
こうして、さらに地球ではコーディネイターとして生きることが困難になったことで、プラントはコーディネイターにとって事実上の本拠地となり、
C.E.58の評議会議員選挙では黄道同盟創設者であるシーゲル・クラインや
パトリック・ザラが当選したことで黄道同盟シンパは急拡大。
また、プラントの恩恵を吸い上げ独占していた理事国は地球上での影響力を強め、この頃からプラントに対して重い生産ノルマを課すなどより高圧的な振る舞いを見せるようになり、
こんな理事国の横暴もあって、プラント内での独立の機運が高まり続けることになった。
こうしてプラントと理事国(地球)の溝は益々深まり、「プラント対地球」≒「コーディネイター対ナチュラル」という地球圏を二分した対立の図式が出来上がろうとしていた。
ザフトの誕生~本格的武力衝突へ
地球で反コーディネイターの機運が高まっていくにつれ、回を増すごとにより重く、高圧的になっていく理事国の要求に対し、
黄道同盟は水面下でモビルスーツ(MS)の兵器化を模索するなど軍事力の獲得に向かい始め、C.E.65に黄道同盟はプラントの与党勢力となり、
更なる発展・拡大を遂げた後に名称を「自由条約黄道同盟:ZAFT」へ改称。
更にC.E.68にはシーゲルが最高評議会議長に就任し、同年パトリック主導の元プラント警察保安組織と合流する形でザフトが解体・再編され、
純政治結社から軍事組織としての「Z.A.F.T.」が新たに誕生した。
以降、プラント内の主導権を握ったザフトは理事国との間で独立に向けた自治権や貿易自主権を巡り、
散発的なテロ事件を交えながら、理事国と激しい政治衝突を繰り返すようになる。
やがてそれは双方の軍事行動にも繋がっていき、C.E.70に月面で起こったテロ事件・コペルニクスの悲劇で国連首脳陣が壊滅すると、
理事国代表だった大西洋連邦は事件をプラントの仕業と断定し、
「地球ひいてはナチュラル全体への宣戦布告である」と一方的に主張。
同時に国連の代わりとなる組織として「
地球連合」の創設を主導し、事件から間もなくプラントへの宣戦布告と共に侵攻を開始。
そして、この侵攻はやがて多くのコーディネイターの死傷者を出した
血のバレンタイン事件へ至り、
プラントと地球、コーディネイターとナチュラル、
互いの種族を根絶やしにするまで止まらぬほどの憎悪と狂気を孕んだ大戦へと向かっていくことになる。
この大戦からの流れは主に『SEED』及び『
SEED DESTINY』、『
SEED FREEDOM』本編や各外伝作品で描かれていくが、
地球圏に広がった全人類規模の混乱は、ナチュラル・コーディネイター共に多くの死傷者を出した戦争が終結したC.E.75においても完全な収束には至っていない。
C.E.70代におけるコーディネイターとナチュラル
『SEED』本編で描かれるC.E.70の
大戦は当初プラントと地球連合の間で繰り広げられていたが、
戦争の長期化に伴い各地に戦禍が飛び火し、終盤には地球圏を二分するような
未曾有の戦乱へと拡大した。
この戦乱は直接のきっかけこそ「プラントの自治独立」であったものの、根本にあるのが人種間の確執だったのは間違いなく、
戦乱はコーディネイターとナチュラル双方の敵対心を煽ることに直結してしまった。
特に血のバレンタイン事件とその報復措置として行われたニュートロンジャマーの敷設、
そこから生じたエイプリル・フール・クライシスという一連の出来事は、両者の間により深く埋めがたい溝を作ることになってしまった。
また、地球圏の全人口約150億人の内、コーディネイターが占める人口は約5億人である一方、
全体のGDPの内人口の大半を占める地球側とコーディネイターを主体とする宇宙側がほぼ同等の割合を占めており、
長年理事国が行ってきたプラントからの搾取が生んだこの経済的歪さが状況を更に複雑にしていた。
世間一般で見た場合、コーディネイターは血統や地域という縛りを受けずに発生するため、
プラント以外でも宇宙技術者として、地球上でも親プラント国や中立国などにかなりの数が点在している。
しかしそんな彼らもナチュラルが中心の社会での振る舞いには相応に気を遣わざるを得なかった。
自身がコーディネイターであることを周囲に秘匿している「潜在コーディネイター」もかなりの数が居るとされる。
更に大戦中にもブルーコスモスなどによるコーディネイターを標的としたテロは依然続いており、
戦場だけでなく、市民レベルでもコーディネイターとナチュラルの隔たりは確実に存在していたのだった。
これらの世情は『SEED』本編でも所々で描かれており、とりわけ主人公の
キラ・ヤマトが置かれた、
「コーディネイターである自分がナチュラルの友達を守るため、かつての親友を含む同族たちと殺し合わねばならない」
という
戦争に巻き込まれてしまった思春期の子供が背負うには重すぎる状況と葛藤が、
彼の親友であり、ザフトに所属するアスラン・ザラがキラに繰り返し
「何故俺たちが戦わなければならないのか」と訴えることも合わせ、視聴者にその重さを知らせている。
コーディネイターの能力
一般にコーディネイターはナチュラルより優れた能力を持って生まれてくる。
思考力や計算力といった頭脳面、筋力や反射神経といった肉体面などその内容は幅広く、しかも幼少期からその能力を発揮することが出来る。
体の頑丈さや免疫力にも優れており、ガンや高血圧などの体質的要因を先天的取り除くことで重い病気や先天性疾患にも罹りにくい。
これらは学校や職場といった日常的な社会生活のみならず、戦場でも大いに活かされた。
特にザフトによって開発された新型機動兵器
モビルスーツ(MS)は、操縦するのがコーディネイターという前提でOS等が構築されているため、
ナチュラルでは使い熟すことが困難な反面、それまでの兵器を遥かに上回るほどの汎用性と性能を有しており、
MSが開発され、戦場に投入され始めたことで、ザフトは数の上では劣る地球連合軍に互角以上に対抗できるようになった。
これはまさに、ナチュラルとコーディネイターの(平均的な)能力差を示す好例と言えるだろう。
このように、身体的にも能力的にもナチュラルを凌駕するコーディネイターは、まさしく旧人類を超えた新人類のようにも見えるが、
彼らの能力や身体能力は、あくまで
「ヒト」という生物が元来持つスペックの中で実現されているものでしかない。
コーディネイターは遺伝子操作とその後の訓練によって、確かに全体的にナチュラルよりも高い能力を有しているのだが、
一方で、別にナチュラルが持ちえない
超能力に目覚めたわけでも、ナチュラルにはない
新たな感覚器官を発生させたりしたわけではなく、
後述のハーフや、双方の潜在者がいることからも分かるように、ナチュラルとコーディネイターの間に生物としての決定的な差異は無い。
理論上存在し得るハイスペックで器用な人間をデザイナーベイビーとして生み出しているに過ぎない。
更に言えば、いくらコーディネイターと言っても、物心がついた頃から同年代のナチュラルを凌駕する能力を持っているわけではない。
あくまで「優れた資質を持たされて生まれた」だけなので、本人の意思による積極的な学習や訓練なしに、その資質が開花することは無い。
『SEED』の主人公であるキラ・ヤマトと、『DESTINY』の主人公であるシン・アスカを例に挙げて、この点を深堀していくと、
まずキラは、作中では卓越したプログラミング技術と、最強レベルと言えるパイロット技能を発揮しているが、
プログラミングについては、幼少期にアスランと共に学校で習っていたが、サボり癖とアスランの世話焼きが原因で大した能力は身に付けておらず、
第2話で戦闘中に瞬時にOSを書き換えるという離れ業を披露できたのも、キラの潜在能力の高さに気付いたゼミの教授から、
度々宇宙作業機械のプログラミング作業を押し付けられるという形で、半ば強制的に経験を積まされたことで、プログラマーとしての能力が鍛えられていたからである。
MS操縦技能については、物語開始時点ではキラはアカデミーなどにも一切通っておらず、完全な素人であったが、
搭乗したストライクが汎用性に富んだ最新鋭機であったこと、その機能を限界ギリギリまで発揮できるOSを自力で構築できたこと、
何よりも「MSが一機しかいない状況で、最新鋭MS四機を始めとしたMS部隊相手に、常に一対多の戦闘を強いられる」という、
かなりの鉄火場を切り抜けることを強いられ続けたことで、自ずとMSパイロットとしての経験を積むことになり、
完全な独学・我流でありながら、正式な軍事訓練を受けたザフトのエリートを超えるほどのMS操縦技能を身に付けることとなった。
その他、ゲーム作品などで登場したパーフェクトストライクに関して、初めてアークエンジェルのハンガーに搬入された際、
「充電容量のことをあまり考えていない」、「重い」、「エール/ランチャー/ソードにある装備しかなく、これらの使い分けで代用できそう」と、
一目見ただけでMS(ストライカーパック)としての欠点を指摘し、結局本編でキラがパーフェクトストライクで出撃することはなかったことに繋がるなど、
実地で得た知識や経験をもとに、ストライクのパイロットとしての見解を言えるほどに内面的にも成長しているのが伺えるシーンが挟まれている。
一方で完全な独学故に、パイロットとしてどうすべきか、どのように状況に対応すべきか等の精神的な指導を受ける機会をことごとく逃した結果、
『FREEDOM』で窮地に追い込まれ、精神的に追い詰められたことで、キラの数年間のストレスと不満が爆発してしまうことに繋がり、
アスランが文字通り力づくでキラをとりあえず止めざるを得なくなる事態を招くなど、
人格面については、ムウのようなエースパイロットと呼ばれる人物のレベルに達していない描写がなされている。
一方のシンは、劇中ではキラやアスランに勝るとも劣らないエースパイロットとしての実力を発揮しているが、
アカデミー入学時点では女子の
ルナマリア・ホークや
アグネス・ギーベンラートに負けるレベルであり、恐らくは下から数えた方が早い成績だったと思われるものの、
訓練や勉強を重ねた結果、成績優良者の証である赤服でアカデミーを卒業したばかりか、
卒業後には
インパルスのテストパイロットを経て正規パイロットになり、実績を重ねてザフトのトップエースになった…と、
彼の能力や実績に関して生まれついての資質についてはほとんど言及されず、努力や訓練で身に付けたものとして描写されている節が強い。
『FREEDOM』でもエースパイロットとして高い能力を発揮しているシンだが、劇中の描写を詳しく見ていくと、
「これまでの記録映像などで、実際に戦う前に相手のクセなどを観察し、その対策を立てておく」
「上記のデータを元に、現場では相手の次の行動予測を立て、適切な武装・戦術を導き出す」
と、当人の技量だけでなく、徹底した相手の研究と、そのデータに基づく的確な状況判断もそのベースとなっていることが分かる。
というかTVシリーズ当時の公式本にシンのことを「免疫力が高いだけで兵士としてはナチュラルとどっこいどっこい」と書かれていたとする説がある
と、このように、作中で活躍するコーディネイターたちも、下地となる経験や訓練をしっかり積んでいたからこそ能力を発揮できたことと、
キラのパイロットとしての精神面など、訓練する機会が得られなかったものは成長することがなかったことが分かる。
これは、コーディネイターがどのような能力を開花させるかは、先天的なものより後天的なものの影響が大きいことも意味していると言え、
キラもシンも、自身を取り巻く環境の変化や必要に迫られるという形で、エースパイロットとしての才能を開花させることとなったが、
元々戦争に関わるつもりが微塵も無かったキラは、何事もなければプログラミング方面で才能を開花させていたと推測され、
戦火に巻き込まれて天涯孤独となる前は大人しい文学少年であったというシンも、戦争がなければパイロットとなることはなかったかもしれない。
実際、『FREEDOM』においては、キラがプラウドディフェンダーの機材開発に参画したり、ソフト面の調整をしたりと技師としての高い能力を見せていたり、
『DESTINY』では感情を爆発させることが多かったシンが、平時は基本的に大人しく、アグネスの挑発にも(ぐぬぬ顔はしつつ)乗らないなど、
パイロットとしての後天的能力と、個人の先天的な性格・能力は2人とも描き分けられている。
アスランに関しても、ネットミーム等で誇張されたり、監督が「無自覚パワハラ気質」と評したりと、口下手な印象が強いが、
カガリを公私共に相棒として支え、必要とあらばコネを活かしてでも他の協力を取り付けられるコミュニケーション能力をオーブ公使として発揮していることから、
先天的には苦手と思われる分野でも、努力などの後天的な要素で克服、あるいは仕事に活かせるほどに極められることが分かる。
一方で、シュラにキラやシンを差し置いて「最強」と称されるパイロットとしての技能に関しては、アカデミー時代の訓練もあるだろうが、
「目的のためには時に手段を選ばず、奇策などのアドリブ戦術も取り込む」というアスランの先天的なセンスや、
「事態や相手の特質・思考傾向を読み、(シンのように帰還後にフィードバックを行うのではなく)今その場で対応する力が高い」という先天的と思われる長所の要素も強いと思われる。
さらに、同じ「ヒト」である以上、ナチュラルであっても当人の資質、才能、努力によってコーディネイター並の能力を持つことは可能であり、
流石に、頭脳や身体能力を含めた全ての能力において(平均的な)コーディネイターを上回るナチュラルというのは稀有な存在だろうが、
一つの分野や職業において、
コーディネイターのエリートに匹敵する、あるいは
それを上回る能力を身に付けたナチュラルは存在する。
そして何よりも、どんなに優れた資質・能力を持って生まれようと、そのことと当人の人格面は別問題である。
生まれがどうであろうと自身の考えや感情に従って行動する以上、どこまでいってもコーディネイターはナチュラルと同じ人間なのである。
かつてラクスが初めて出会ったキラに投げかけた「あなたが優しいのはあなただから」という言葉が全てを語っている。
コーディネイターの生成とその問題
先述の通り第一世代のコーディネイターを生み出すための遺伝子操作は受精卵の段階で行われる。
操作自体は遺伝子最適化技術の延長であり、この時点で将来子供に受け継がせたくないもの、
逆に受け継がせたい・与えたいものなど様々な要素を取捨選択し、それに合わせた調整を施していく。
初期は限定的であったが技術の進歩は目覚ましく、C.E.30代の第一次コーディネイターブーム前後には、
産まれてくる子供の才能のみならず、容姿までも選択・調整出来るようになっていた。
それも肌や髪、瞳の色、身長や体型まで細かく指定でき、まさしく
「子供をデザインする」という状態になっていた。
つまりその気になれば合法ロリやロリ巨乳も作れる。
なお、これらの微細な遺伝子操作は全て無重力空間で行わねばならず、まだ宇宙開発が進んでいなかったC.E.初頭においてはこれも費用面で重荷となり、
そこから、ごく一部の富裕層にしかコーディネイター生成が(費用面で)許されない事態に繋がっていた。
操作後の受精卵は母親の胎内に戻され、そのまま成長し自然分娩での出産となる。
第二世代以降になると、コーディネイター同士なら調整を施すことなく自然受胎のままでもコーディネイターとしての能力を継承できるようになる。
容姿に関しても両親の美貌を受け継いだ子が生まれることが多い。大抵母親似で父親似はほぼいないのは気にしない。
ただし、何かしら確実に与えたい能力がある場合は、子供に再度の遺伝子操作を施す必要がある。
以上が遺伝子操作によるコーディネイター化の基本であるが、生命を扱う以上イレギュラーは付き物で、いくつかの大きな問題・課題が明らかになっていった。
まず一つ目は、受精卵を胎内に戻してからは通常の妊娠と変わらないので、出産までのリスクもそのままであること。
妊娠中や出産時に母体に負担がかかり、流産、早期出産などを予防する手段までは生まれず、母子の生命に危険は残っていた。
二つ目は、遺伝子操作による形質・能力の発現が不確実であること。
技術的な改善は進んだものの、生命として最も不安定な時期故やはり完全な制御などは困難であり、
外的要因か遺伝子自体の相性か、具体的な理由は定かでないものの、何らかの原因によって発現するよう操作した要素の一部が実際には発現しなかったケースがあった。
例えば「金髪になるよう調整したはずなのに生まれてみると黒髪だった」などである。
特に肌や目の色などの容姿の面に関しては生まれてすぐ判る部分も多く、高額な費用を払ったうえでの失敗には不満を抱く者もいた。
その一つの極致が「流産しただと! 何をやってたんだ!」「目の色が違うわ!!」である。
第一次コーディネイターブーム以降もこういったケースが一定以上は起こっており、中には健常な人間として生まれたにもかかわらず、
「完全に注文通りの容姿になっていなかった」というだけの理由で生まれて間もない我が子を捨てる親まで現れたため、
「生命を商品として扱うこと」の危うさが改めて問題視されることになった。
また、病気の予防に関しても要因となる遺伝子情報が解明出来ていなければ予防自体が出来ないため、遺伝子操作が決して万能ではないことも指摘されている。
そのため、先述のように、『DESTINY ASTRAY』に「先天的な盲目」で眼鏡を掛けているコーディネイターが登場しているほか、
『FREEDOM』のハインライン大尉も、現実世界であればおそらく発達障害(=先天的な障害)と判断されうる人格・性格をしている。
作中では「超が3つも4つもつくような変なヤツだけど、それ以上に超頼れる」以上に言及されないが
このようにコーディネイター…つまり遺伝子調整技術が存在するとはいえ、C.E.の人々も先天性の疾患と無縁ではない。
そして三つ目が、第三世代以降の出生率が急激に低下すること。
先述の通りコーディネイター同士の婚姻なら次の世代にもコーディネイターとしての能力は受け継がれるのだが、
第二世代コーディネイター同士の場合になると極端に子供が出来にくくなってしまうことが判明した。
これは世代を重ねることで遺伝子情報が複雑化し過ぎた弊害とされ、言うなれば遺伝子操作の歪みの顕れである。
これらの問題、特に三つ目の出生率に関してはコーディネイターの種としての限界とも云えるものであり、プラントでは一般に秘匿されていたほどの重大事項となった。
プラントでは解決に向け技術研究のみならず遺伝子的相性を調査したうえでの婚姻統制まで行って打開を試みたが、
C.E.70代になっても結局出生率の低下に歯止めがかけられない状態になっており、これらはコーディネイター全体が抱える課題として残っている。
特殊なコーディネイター
スーパーコーディネイター
ユーレン・ヒビキ博士が開発した人工子宮によって生まれたコーディネイター。
先述の通り、従来の方式では遺伝子操作通りの形質が表れないケースも存在していたのだが、
ヒビキ博士はその原因を
「出産までの長期間を生身の母体という『不安定な”器”』に依存しているため」と分析。
これを解消すべく調整から出産時期までの胎児を安定して維持管理出来る人工子宮の開発が始まった。
だが、当初クライアントの要求を確実に満たせるようにという目的からだった研究はやがてヒビキ博士自身のエゴにすり替わっていき、
完成までに数多の小さな命がヒトとして生まれることも叶わぬまま消えていった。
その犠牲の果てに生まれた最後にして唯一の完成体、それが彼の実子でもあるキラ・ヒビキ……後の
キラ・ヤマトである。
妻の反対を意に介さず、我が子すら躊躇なく実験台にした彼の行為は最早探究心を超えたエゴ以外の何者でもない。
「スーパー」という名称から誤解されがちだが、要は「調整した通りの資質を確実に発現させられる」という主旨であり、
唯一の成功例であるキラも、従来のコーディネイター同様に、ヒトの限界を超えるほどの能力を持っているわけではない。
ただ、ヒビキ博士の「より良きものを」というエゴに基づいて、「最高のコーディネイター」とするべく遺伝子調整されているため、
ヒトとして最高レベルの能力を獲得し得るだけの素養・素質を生まれながらに持たされている。
実際、キラは上述の通り教授にプログラミングの実地経験を積まされたことで、戦いながらMSのOSを修正する程の高度なプログラミング技術を、
戦火に身を投じてからは、最新鋭機に乗る
エースパイロットを相手に、著しい数的不利を常に抱えてギリギリの戦闘を強いられるという、
ある意味では
パイロットとしては最高レベルのスパルタ教育環境にずっと置かれ、かつ、その環境で生存したことにより、
元々パイロットとしての教育すら受けていなかったにもかかわらず、短期間でエースパイロットと呼ぶに相応しいMS操縦技術をそれぞれ習得している。
また、特に描写や設定では背景は語られていないが、特に喧嘩慣れしていない相手であれば
軽くあしらえる格闘能力なども見せており、
キラ自身は自身の素性を自覚すらしていないにもかかわらず、意図せずしてスーパーコーディネイターが秘めるポテンシャルを証明することになった。
キラの双子であり、ナチュラルとして生まれたカガリの存在を考慮すると、反応速度などのパイロット適性自体はヒビキ家の血筋によるが、
その素質を大きく開花させたのはコーディネイターという出自によるものが大きいといったところだろう。
そんな「最高のコーディネイター」を生み出すスーパーコーディネイター生成技術であるが、元々研究自体極秘で進められていた上に、
C.E.70の時点で研究の中心人物であったヒビキ夫妻が既に鬼籍に入り、後にメンデル自体も放棄され研究成果も散逸してしまっていることもあり、
クルーゼが劇中で言及した通り、「知れば誰もが望む」技術だろうと思われるが、一般にはスーパーコーディネイターの存在は知られていない。
プラントでも出生率改善のために独自の人工子宮研究は続けられているものの、未だ完成を見てはいない。
そのため、『SEED』や『DESTINY』の舞台であるC.E.70年代でも、スーパーコーディネイターの成功例はキラ一人だけである。
外伝作品では、キラより前に、目標値を達成できずに誕生した、いわば”出来損ない”のスーパーコーディネイターとして
カナード・パルスが登場しており、
こうした失敗例は他にもいたと思われるが、カナード以外に生き残った者がいるのかは不明である。
ちなみに、『SEED』本編では「最高のコーディネイター」としか呼ばれておらず、
「スーパーコーディネイター」という呼称が劇中で用いられたのは外伝作品のみ。
ただし、TVシリーズをメインとする設定資料などでもこの呼称が用いられているため、公式名称と考えていいだろう。
戦闘用コーディネイター
戦闘行為を目的とした遺伝子操作を施されたコーディネイターの総称。主に『
ASTRAY』などの外伝系作品で登場する。
基本は人体の持つポテンシャルを出来るだけ引き出し優れた能力を持った兵士を作り出すもので、
具体的には筋力増加や反応速度の向上などを可能な限り施すことで兵士として求められ得る能力全般を引き上げる。
中には戦闘用に意図的に肉体を奇形化させていたり、遺伝子レベルでナチュラルや上官に従うような本能的刷り込みなどの精神操作を施されていたり、その内容は多岐に渡る。
また従属性の確保のために薬物投与によって自我を失わせるなど後天的な措置が取られた例もある。
平常時も過酷な任務や訓練を課されるなど、「兵士」ではあっても「人間」としては扱われない場合が多い。
いずれにしろ本質的には「兵士用の人間を生産する」という非人道的なものであり、大っぴらに行えるものではないが、
優れた兵士を生み出せる可能性は魅力的なようで複数の勢力に戦闘用コーディネイターが存在している。
これに関連して、ブルーコスモスの反コーディネイター思想が浸透してきたこともあってか、
地球連合内でコーディネイターに匹敵する力を持つ兵士を、遺伝子調整以外で作ろうとする研究も行われており、
薬物投与などでナチュラルの人間を強化する、ブーステッドマンやエクステンデッドなどの
生体CPUが生み出されている他、
もう(C.E.70年代には)研究されていないと思われるが、
メビウス・ゼロなどのガンバレル(オールレンジ)攻撃がジンにも有効というのが判明したことを受け、
十全にガンバレルを扱える、優秀な空間認識能力を持つ人間のクローンを生み出す研究が行われていたことも『X ASTRAY』で明かされている。
健常なナチュラルの若者を薬漬けにして強化した上、書類上では消耗品扱いにしたり、安易な戦力確保策としてクローン人間を生み出したりする方がよほど非人道的に見えるが、
「遺伝子調整こそ悪」と断じるブルーコスモスの思想では、遺伝子調整よりマシとのこと。
代表的な戦闘用コーディネイターとしては
叢雲劾、ソキウスシリーズ、
スー、エルザなどがいる。
ハーフコーディネイター
コーディネイターとナチュラルの間に生まれた人間。
能力の継承はあるものの、片親からだけなので受け継がれるのも通常のコーディネイターの半分程度とされている。
はっきりとした数字はないものの、ナチュラルはもちろんコーディネイターより人口が少なく、『SEED ECLIPSE』まで殆ど登場していなかった。
しかし、第一次コーディネイターブーム以降ある程度の数が誕生しており、極端に稀少な人種というわけでもない。
「第二世代コーディネイター同様、親に施された遺伝子操作の影響はあるものの直接操作を受けているわけではない」という性質上、
生まれや能力面から見るとコーディネイターともナチュラルとも言えない、どっちつかずな扱いになっている。
そのため、反コーディネイター思想を持つナチュラルからは排斥活動の標的になり得るだけでなく、
「ナチュラルとの婚姻を繰り返し、世代を重ねることはコーディネイターという種のナチュラルへの同化・回帰に繋がる」という考えから、
ナチュラル・地球連合から独立志向の強いコーディネイター及びプラントなどではタブー視される傾向にあり、
また、個人差はあるだろうが直接遺伝子操作を受けたコーディネイターよりも能力は劣るため、彼らから見下されて差別を受けやすいという側面もある。
一方で、出生率の低下に対する解決策の一環として、あえてナチュラル回帰論に寄ってハーフコーディネイターを肯定するコーディネイターもいる。
要するに「技術研究による抜本的解決が見込めない以上は次善策として半分ずつでもコーディネイターの要素を次世代に残そう」という考え方である。
もちろんナチュラルとコーディネイター間の争いや差別を無くしたいといった思いも込められていると思われる。
この思想の先駆者となったのがシーゲルであり、彼はナチュラルと結ばれたコーディネイターたちを密かに保護し、南米に設けた集落に移住させるという試みをしていた。
この行動とシーゲルの影響が色濃いはずのラクスもナチュラルに対する差別的な態度は見られないことからも、本気で融和を図りたかったのだと思われる。
アコード
ファウンデーション王国女王にして、スペースコロニー『メンデル』の元研究者であるアウラ・マハ・ハイバルが、
メンデルの研究所にて
「コーディネイターを越える種を生み出す」という研究テーマの末に技術を確立させた、
デスティニープラン施行後に世界を支配するための特別なコーディネイター。
一般的なコーディネイターは前述のように「“人間”の域を超える能力等は持っていない」とされているが、
アコードは「精神感応能力」と呼ばれる超能力を持っており、テレパシーや精神共有、精神汚染攻撃などに使われる。
ただし、ファウンデーション王国でもアコードたちに対する訓練や座学などの教育は施されていたようで、
少なくともシンが「フリーダムキラー」というあだ名を付けられたことは一応知っていた様子なので、
超能力以外は一般的なコーディネイターと変わらず、才能を開花させるには後天的な教育や当人の努力が必要な様子。
実戦においても、戦ったことがある相手と再戦となった際には、以前の戦闘で得た情報を元に作戦立案や相談をしていたため、
アコードといえど、自身の能力、あるいはセンスのみで戦闘に臨んでいるわけではないと思われる。
また、戦闘においても彼らをアコードたらしめる「精神感応能力」は絶大なアドバンテージとなり、
テレパシーを用いることで通信機などを介さず、離れている相手ともほぼリアルタイムで情報共有や連絡が出来る他、
精神共有によって同じアコードの味方と見事な連携攻撃(「シンクロアタック」と呼称されたことも)を行ったり、
敵に精神汚染を仕掛け、突飛な行動を取らせて相手方の連携を乱したり、同士討ちを誘発させたりも可能。
ただ、シンとの再戦では、彼に精神汚染を仕掛けたことが思わぬ地雷を踏み抜き、地獄絵図を生み出す引き金となった。エスパータイプにゴーストタイプは効果抜群だからネ!
オルフェ、イングリット、ブラックナイトスコードの隊員達は全員がこのアコードであり、その点では全員が兄妹にして家族である。
ブラックナイトスコード各人に武器の名前が付いているのも、もしかしたら各々がデスティニープラン遂行のための武器という事を示すものなのであろうか。
彼らもまた運命に全てを縛られた計画の駒だったのだろうが、自分達こそ愚民共を支配する上位種という自負を持つ彼らに自分の境遇を儚む者など居なかった。
実はアコードの誕生にはラクスの母も関わっており、ラクス自身もアコードの一人として生を受けていたが、ラクス本人はその事実を母はおろか父からも知らされておらず、
それを指摘するような人物が周囲にいないまま育ってきたこともあって、アウラによって初めてその事実を知ることになった。
視聴者も20年たってようやく知ることになった
“Accord”とは「調和、協定、一致」といった意味の英単語だが、Advanced Coordinator(進歩したコーディネイター)にもかけているのかもしれない。
キラの敵だからアコードではないと思いたい。
個別のコーディネイター
著名なコーディネイター
CV:堀秀行
人類史上初めて公的に確認されたコーディネイター。「ファースト・コーディネイター」としても知られている。
ジョージ自身が誰によって遺伝子調整を施されてコーディネイターとして生を受けたのかは明かされていないが、
彼は自身と同じように、人類の未来への懸け橋となる優れた能力を持った人間が増えることを望んでいた模様。
上記した通り多分野で優れた業績を残したが、件の告白によって人類にコーディネイターの存在を突き付け、
彼の望みとは裏腹に、後の時代まで続く混乱のきっかけを作った張本人となってしまった。
ジョージ本人の人格は快活な振る舞いを取る善人と呼んで差し支えなかった事がうかがえる辺り、
人の業の深さを見誤り、かつ人類の善性を信じすぎてしまったが故の悲劇と言える。
そしてジョージが残した万能とも言える多大な功績に比肩する超人的コーディネイターが『SEED』や『DESTINY』では見受けられなかった辺り、
ジョージが万能の天才に至れたのは(無論本人の鍛錬・研鑽もあっただろうが)、遺伝子操作の恩恵以上に元々の才能がまさに超人レベルでべらぼうに高かっただけで、
さらに、上述の通り「自分の演説がそのまま超特大の対立煽りになる」を理解していなかった点からすると、
生前ジョージの周囲に友人としていた人々も、程度の差があっただけで才能としては同じくヒトとしての上限値に近い天才ばかりであり、
「できない」人やそれがコンプレックスになってしまう層の存在に気づけなかった代わりにお手本を担ってくれる友人には困らなかった可能性もある。
なお、ジョージは公的には上述の通りナチュラルの少年に暗殺されたものとされているが、
外伝の『ASTRAY』にて、実は完全に脳死する前に摘出・冷凍処理された脳髄が「G.Gユニット」という装置で保管されていたことが明かされ、
それを手に入れたマッドサイエンティストジャンク屋組合のプロフェッサーの手で蘇生処置を施されたことで、
彼女や主人公のロウが乗る宇宙艦「リ・ホーム」内限定で若い頃を再現したホログラムの身体を得て復活を果たしている。
「生前の自分には笑いのセンスが足りなかった」として、よく冗談を口にする変に陽気なおっさんお兄さんと化しており、
生前の自分の大ファンであった山吹樹里からは「あんなの私のグレン様じゃない」と嘆かれているが、その有能ぶりは変わっていない。
なお、実際には脳髄だけとはいえ、生存が公になると世界にさらなる混乱を巻き起こす可能性を危惧し、
復活後は本名ではなく「キャプテンG・G」を名乗り、生存(蘇生)を知るのはリ・ホームの面々だけである。
ちなみに「復活したんだから現在の惨状の責任を取れ」という意見もあるが、既に自らの命という代償を払っているのも事実である。
「コーディネイター」「ナチュラル」という名称も彼の告白の中にあった言葉に由来しているが、前者に関しては「(遺伝子を)調整された者」ではなく、
「将来現れるかもしれない進化した新人類との架け橋になるように」という祈りと願いを込めた名称であり、
ジョージにとっては
「(今と未来を)調整する者」という意味合いで、後の作品で言う所の
イノベイターに近い概念と言える。
しかし、人々にはジョージの真意は忘れ去られ(あるいは伝わらず)、「コーディネイター」は上述の通り
「(遺伝子を)調整された者」という意味合いで浸透。
「現生人類と新人類との懸け橋になってほしい」という彼の願いに反して、「自分たちこそが新人類」と悪い意味で主語が大きい、
グレンの意図とは大きく異なった主張をするコーディネイターが増大していったのはご存じの通り。
なお復活後は「僕に唯一足りなかったのは笑いのセンス」ということで意図的にギャグキャラを演じているが、
他人の笑いのツボがわからないということは人間というものを理解できていないという証拠、
すなわち才ある者は偏見や妬みをもたれるのはむしろ当然だよね?という点に1mmも思い至らなかったことへのフォローとなっている。
つくづく生まれる世界を間違えたと言わざるを得ない。
だが彼本人を悪く言うのはそれこそクルーゼくらいであり、死後も「ジョージ・グレン友の会」などを名乗る崇拝者や、
穏健派として「ジョージの名前を出して」コーディネイターの社会参画を考える組織に身を置く人々が多数いることから、
死後もその人柄は人々に愛されている…のかも知れない。
実際キャプテンGGとしてリ・ホームの面々は仲間としては認めており、そのギャップに嘆き悲しんでいた樹里も、初邂逅以降は普通に接している。
CV:秋元羊介
プラント最高評議会議員。プラントにおける穏健派の象徴であり、一時は議長も務めた。
第一次コーディネイターブーム以前に誕生した第一世代コーディネイターであり、パトリックとはプラントの建設や黄道同盟結成を共にした盟友。
しかし、パトリックが過激なコーディネイター至上主義に傾倒したのに対し、
シーゲルは出生率の低下などコーディネイターの限界を悟り、ナチュラルとの融和路線に向かい徐々に道を違えていった。
また長期化する戦争を憂いており、マルキオ導師と裏で繋がり地球との和平の道を模索していた。
だが『SEED』の中盤に起きたラクスによるフリーダム強奪事件によって完全に敵対。
パトリックの肝入りであったオペレーション・スピットブレイクの失敗も含めて、「全てはシーゲル・クラインの謀略である」と断定したパトリックの指示により、
シーゲルは娘のラクス共々国家反逆罪による指名手配を掛けられ、逃亡するも間もなくザラ派の特殊部隊に見つかり銃殺された。
ニュートロンジャマーを投下した当時の議長であることから、結果的に地球に10億人以上の被害者をだしてしまったわけだが、
これについてはそうでなければ核報復合戦になっていた可能性もあり、人類絶滅・地球崩壊といった大惨事になりかねなかった。
仮にも敵である連合勢力ですら「核報復よりマシ」と言う人物がいる。
といってもナチュラルとの融和のためとはいえ、ジャングルにナチュラルとコーディネイター、ハーフコーディネイターが住む村を密かに支援し、
挙げ句傭兵すら雇うというプラント側から見たら感情・通例という意味での不祥事を行い、挙げ句嗅ぎ付けたものは消すということもしており、決して清廉潔白とはいえない。
強いてまとめるなら、各方面の調整能力に長けた政治家とみるのが妥当だろうか。
CV:有本欽隆
プラント最高評議会議員。シーゲル・クラインの後任として議長の座に就く。
シーゲルと同じく最初期のコーディネイターの一人であり盟友だが、長年のナチュラルとの確執と、
『血のバレンタイン』による愛妻との死別によって苛烈な選民思想と差別意識に凝り固まり、ザフトのコーディネイター至上主義の筆頭となった。
詳細は項目参照。
プラント最高評議会議員。
パトリック・ザラの後任として議長を務めた。
地球連合との大戦後プラントの国力回復・増強に努め、再度の大戦後には独自の政策として
「デスティニープラン」を世界に発信した。
詳細は項目参照。
その他シリーズに登場する主なコーディネイター
※初登場した作品ごとに表示
- 叢雲劾※戦闘用コーディネイター
- イライジャ・キール※身体能力はナチュラル並で、免疫力等のみを高める遺伝子操作がなされたという。
- リーアム・ガーフィールド※兄がいるが、両親の意向でそちらはナチュラル。
- ロンド・ギナ・サハク
- ロンド・ミナ・サハク
- グゥド・ヴェイア※戦闘用コーディネイター
- ソキウスシリーズ※上記のヴェイアをモデルにして生み出された戦闘用コーディネイター
- ディラー・ロッホ
- アッシュ・グレイ
『X ASTRAY』
- カナード・パルス※「最高のコーディネイター」を生み出す過程で誕生した失敗作の一人
『SEED MSV』
『SEED DESTINY MSV』
- リンナ・セラ・イヤサカ
- アンリ・ユージェニー
- マリオ・クレッグス
『DESTINY ASTRAY』
- カイト・マディガン
- ベルナデット・ルルー
- セトナ・ウィンタース※元々はオーストレールコロニーのシンボルとなるべく生み出されたマーシャン
- コートニー・ヒエロニムス
- リーカ・シェダー※生まれつき盲目で、珍しく眼鏡(視力を得るための電子デバイス)を掛けているコーディネイター
- マーレ・ストロード
- イルド・ジョラール
『Δ ASTRAY』
- アグニス・ブラーエ※上記に挙げた姉のセトナ、下記のナーエとディアゴ共々オーストレールコロニーで生み出されたマーシャン
- ナーエ・ハーシェル
- ディアゴ・ローウェル
- アイザック・マウ※元々は『SEED』本編に登場したモブキャラの一人
- ルドルフ・ヴィトゲンシュタイン
- アレック・ラッド
- ルカス・オドネル
- スー※戦闘用コーディネイター
- ジスト・エルウェス※ハーフコーディネイター
『DESTINY ASTRAY R/B』
- ヴァレリオ・ヴァレリ
- ダンテ・ゴルディジャーニ
- エルザ・ヴァイス※上記のダンテが生み出した戦闘用コーディネイター
『ASTRAY 天空の皇女』
『SEED ECLIPSE』
- ミヤビ・オト・キオウ
- ケン・ノーランド・スセ
- ヴァレンティーナ・ビノン※ハーフコーディネイター
- ジョエル・ジャンメール・ジロー※ハーフコーディネイター
- アグネス・ギーベンラート
- アルバート・ハインライン
- ワルター・ド・ラメント
- ハリ・ジャガンナート
- アウラ・マハ・ハイバル
- オルフェ・ラム・タオ※以下、ダニエルまでがアコード
- イングリット・トラドール
- シュラ・サーペンタイン
- リデラード・トラドール
- グリフィン・アルバレスト
- リュー・シェンチアン
- ダニエル・ハルパー
関連する組織・施設
L5宙域に建設された天秤型スペースコロニー群。
研究コロニー「Zodiac」を前身とし、C.E.70代には事実上コーディネイターによる独立国家となっている。
人口はコーディネイターだけで推定約6000万人。人口は地球連合側よりはるかに少ないが、その工業力、生産力は圧倒的なものである。
地球理事国との度重なる衝突の末に地球連合との大戦に突入し、MSなど革新的な新兵器を運用している。
なお、C.E.70代時点でのプラント民はコーディネイター全体の人口から見て1割強でしかなく、
時にコーディネイターの代表ヅラするプラントを快く思わないコーディネイターも多い。
しかし、勘違いされやすいが、地球に住んでいるコーディネイターは、
「そもそも自分がコーディネイターだと知らない者」と「自分がコーディネイターである事を周囲に隠している者」が大部分を占めているとされており、
実態を知らない一般人視点ではコーディネイターを基幹とする集団の最大勢力であることは間違いないため、一般にもコーディネイター全体とプラントが半ば同一視される傾向にある。
プラントを支配している政治結社とそこに所属する軍。
ナチュラルからの差別に対する反動から反ナチュラル思想やコーディネイター至上主義を掲げる者も多い。
義勇軍である性質上(上下関係はあるが)階級が存在せず、地位によって制服の色が変わるという特色を持つ。
軍服のデザイン性に気を配っているのか、トールなどは「ザフトの軍服の方が格好いい」などと称する事もあった。
『DESTYNY』終了後の時期には階級が導入されたらしい言及があり、ドラマCDでイザークが少佐と名乗っている。
後に『FREEDOM』で他勢力との融和路線に舵を切ったことから、足並みをそろえられるように導入したとして再度説明がなされた。
L4宙域に建設されたコロニーの一つ。
遺伝子関連の技術研究が盛んに行われ、「遺伝子研究のメッカ」とも称された。
コーディネイター生成を一大産業としていたG.A.R.M.R&D社が居を構えており、
トリノ議定書でコーディネイター生成が禁止されてからも地球の富裕層が訪れ子供へのコーディネイター化が行われていた。
ヒビキ研究室があったのもここであり、他にデュランダルも研究員として在籍していた。
小説版においては、『FREEDOM』の時点で本来大人であるはずのアウラが子どもの姿まで若返り、そのままの姿で不老となっていたのも、
彼女がここの研究員時代に、研究中だった特殊な薬剤を浴びてしまう事故に遭ったことが原因と説明されている。
そりゃこのメンバーがそろってたら「本編で名前が出るたびに火種やガチのいらんことやってたって話がセットで登場する」扱いもむべなるかな。
当然ここもブルーコスモスの標的の一つとなっており、C.E.55にはブルーコスモスを名乗る武装集団による研究所襲撃事件が起き死傷者を出した。
そして、C.E.68にはコロニー内でバイオハザードが発生し多数の死者を出す事態となった。現在はこの経緯から放棄コロニーになっている様子。
詳細は
個別項目を参照。
地球の国家。初期からコーディネイターを積極的に受け入れていた国の一つで、C.E.70の大戦おいても中立を表明していた。
多数のコーディネイターが暮らしており、その恩恵でプラントに劣らぬ技術力を獲得している。
モルゲンレーテ社が所在するのも、おそらく技術的に優れた人材ならコーディネイターでも構わず採用できたことも大きいだろう。
シリーズ中に出てくる中ではもっとも大規模な「ナチュラルとコーディネイターの混在状態が前提・社会常識と見なされている」勢力で、
地球上の国家ではあるが、『ASTRAY』シリーズには「アスハ家とは完全に独立した政治・軍事判断が黙認されるほどのオーブの有力者」、
すなわちオーブの政治的要人である5大氏族の一つを継いでいるコーディネイターも登場している。
また『FREEDOM』ではアスランが正式にこちらに移籍しており、
高級軍人、また公においてもカガリのパートナー(軍事関連のブレーン役および直属の外交官?)を務めている。
このように、それなりの背景or実力と理由さえあれば、地球上の国家ながらコーディネイターが国の要職に就くことが認められている国である。
反コーディネイター団体の中でも最も過激な活動で知られるグループ。
元は自然保護団体だったが一部の会員が過激な反コーディネイター思想を打ち出し、それに引っ張られる形で全体が過激な反コーディネイター主義に走るようになった。
ジョージの告白後の病院襲撃や彼の暗殺など多くの事件への関与が噂されており、C.E.70代においては地球連合上層部とも繋がりプラントへの攻撃を煽っている。
なお、構成員の中には自らの出自に悩んだ挙句にブルーコスモス思想に行きついてしまったコーディネイターも含まれている。
火星付近に建設されたコロニー。
過酷な環境下での開拓を行うためプラントの協力の下、優秀なコーディネイターの精子・卵子提供を受け火星移住者「マーシャン」が生み出されている。
一方でこの環境ゆえか
デスティニープランをさらに極端にしたような社会体制を
取らざるを得なかったなど、
ほぼコーディネイターのみの勢力としても異色な社会システムを採用しており、首長にあたるアグニスですら、
「火星で皆で生きていくためには他に選択肢がないから、理論通りにはいかないというケースが出てもなお採用せざるを得ない」
「地球圏では倫理的にムリではないか」との見解を示しているほど。
簡単に言えば、戦乱により「ゴミ」「スペースデブリ」となった兵器を清掃・回収・処理する業者。
それ故に軍機密を直接いじる人々として割と厳しい勤務ルールが設けられているのだが、作中ではあまりにも分かりづらい。
設立目的の喫緊性が高かったこと、戦間期や終戦後には単なる土建業者やMSのチューニングショップなどさまざまな業種と融合していったことで、
「作業用のモビルスーツで仕事ができる現場スタッフ」や「コーディネイター前提の機種への理解・把握のあるスタッフ」が求められたことから、
『ASTRAY』ではナチュラルの組合員が多く登場しているが、コーディネイターの組合員も多いと推測され、
作中で(途中のエピソードから)組合長を務めるリーアムも、コーディネイターであることを公言している一人である。
ロウによれば「うち以外でもナチュラルとコーディネイターの混走状態になってるチームや組合所属船は珍しくない」とのことで、
コーディネイター/ナチュラル相互に差別意識がないことがむしろジャンク屋組合員たちの大前提の可能性が高い。
実際に組合長の交代を要した場合の人事決定は、組合所属者による直接投票で選挙とロウがはっきり言っており、
少なくともリーアムはナチュラルの組合員からも信任に足ると考えられていることがわかる。
『DESTINY ASTRAY R』でヴァレリオ・ヴァレリが交代要求(というか「俺がなってやる」宣言)が出た際も、
「とりあえず彼はコーディネイターだからダメ」等の短絡的な意見は無視できるレベルだった様子。
ゲーム作品におけるコーディネイター
各種
ゲーム作品においては「コーディネイターであること」は重要なものとしてはあまり扱われていない。
例えばガンダムVS.シリーズのようなアクションゲームでは当然プレイヤーの腕次第であり、設定上のパイロットがコーディネイターでも特に関係ない。
しいて言えば他作品メンバーに「僚機or敵方チーム機にコーディネイターのキャラがいる」ことが条件の特殊セリフがあることがあるくらいか。
一方、シミュレーションゲームにおいてはアビリティやスキルとして採用されており、
SDガンダムGジェネレーションシリーズでは主に守備や反応のパラメーターが上がるが、能力の上がり幅はそれほど大きくないことが多い。
スーパーロボット大戦シリーズでは『
J』『
W』『
K』において「気力の上昇に連動して能力が少しずつ上乗せされる」特殊技能として採用されていたが、
味方ではSEED技能との重複やナチュラル組が不便だったためか『
L』にて廃止されてしまった。
採用されていた時代も敵が持ってきても大した脅威にはならなかったが…。(特にザフト一般兵は他の一般兵と殆ど変わらない)
据置機のスパロボではそもそも技能として採用されなかったため、コーディネイターの敵だからといって強いというケースは特に無い。
もっとも、上で説明したように、コーディネイターは別にナチュラルの常識に無い「特殊能力」を持つわけではなく、
「人為的に生成されたナチュラルの上澄み」にすぎないので、その概念を厳密に再現するなら、特殊技能として設定されていない方がむしろ自然だとは言えるだろう。
その措置が取られたことはまだ無いが、パイロット能力値を高くするのが再現としては実は正解かもしれない。
シナリオ面では新人類を守るための人造の新人類だったり、世界を裏から操る黒幕を倒すために生み出された存在だったりと、
コーディネイターが生み出された背景等に、多作品との大胆なクロスオーバーが組まれていることもある。
Zシリーズでは最終的に人類の進化を監視する組織の存在が明かされたことでナチュラルとの融和が進みそうという描写がある。
原作の泥沼具合を思うと、その程度で本当に改善するのかはイマイチ信じがたいが。
まあそもそもの話、外宇宙やら平行世界やらの侵略者がわんさかいる世界なので、
「侵略者からすればナチュラルもコーディネイターも変わらんだろう」という意見が今まさに最終決戦中のザフト側からすら出てきて、
「ナチュラルとコーディネイターで内ゲバってる場合じゃねえ!」という方向で落ち着く事も結構ある。
『
UX』のエピローグでキラが(
一部を除く)
ソレスタルビーイングの面々と外宇宙へと旅立つが、
これはジョージが提唱した「コーディネイター=調整者」としての使命を
「イノベイター=革新者」と共に果たすために対話の旅に出たという説が濃厚とされる。
余談であるが、『
第3次α』においては「コーディネイターなんだからこうでねいとな」という駄洒落は、
モンシアが実際に口にする以前から自軍を含めた人々の頭に浮かんでいたようである。
原作外の
ゲーム作品とはいえど200年弱先の未来でも駄洒落のセンスというのは変わらないのかもしれない。
キャプテンG・Gとして蘇生したジョージ・グレンが笑いのセンスを磨こうとしたのは開拓精神という意味では間違っていなかった…?
コーディネイターとSEEDシリーズの画風との関係
スタート当初から、SEEDシリーズは「登場人物が美形ばかり」「登場人物の顔の見分けがつきにくい」という指摘があったが、これには必然性があるという説がある。
まず、ガンダムシリーズは未来世界を舞台にしている関係上、現代以上に進行したグローバル化により人種が入り混じり、世界中で人種・民族別に存在した顔つきの特徴が自然に均されている。
例えば宇宙世紀では、
ファーストガンダムの
ハヤト・コバヤシに「彼のような純粋な日本人はもはやレアな存在である」という設定がある。
そのためどの世界観でも、人間の顔つきのバリエーションは減少傾向にあるのだが、SEEDシリーズではコーディネイターの存在がこれを加速させている。
彼らは遺伝子操作で顔立ちが整えられているのだが、一般的に人間が「美しい」と感じる顔は平均的な顔立ちに近いものであるため、
そういった美意識に基づいて調整されれば、どうしてもコーディネイターの顔はバラエティに乏しくなるだろう。
だが実の所、美形が多いだけで外伝や
モブキャラなども見るとコーディネイターの顔付きも画一的ではないので、
「画一的」云々は単なる言いがかりである可能性が、「平均」云々もまた考え過ぎの可能性が高い。
とはいえ、SEEDに対するスタンスを問わず「コーディネイターの存在が美形の多い画風に必然性を与えている」という認識は多くの人に共有されており、
しばしば口の悪い宇宙世紀ファンから「
もしもデミトリーがSEEDの世界にいたら、見た目だけで瞬時にナチュラルだとわかってしまうだろう」などと言われている。
追記・修正は新たなる人類、コーディネイターの輝かしい歴史を学んでからお願いします。
最終更新:2025年04月16日 09:05