交渉人 真下正義

登録日:2021/03/01 (月) 00:35:06
更新日:2021/03/19 Fri 03:20:42
所要時間:約 9 分で読めます




真下警視、出ておいで。一緒に地下鉄走らせようよ。
弾丸ライナーより


交渉人真下正義とは、踊る大捜査線の映画化作品の一つ。交渉課準備室課長となった真下正義を主役とした本編スピンオフ作品。
時系列としてはTHE MOVIE2の1年後にあたる2004年のクリスマスイブの話。

解説

踊る大捜査線の映画作品としては3作目。東京都心の輸送を担う地下鉄会社東京トランスポーテーション・レールウェイ(TTR)で発生した最新鋭実験車両「クモE4-600」の乗っ取り暴走事件を真下持ち前の交渉術で解決に導く。

東京の地下鉄が舞台ということで、東京メトロ及び、東京都交通局がロケに協力し、終電後の駅構内や本線トンネル、車両基地を使用し、撮影用列車を走らせたかというと…………






そんなことはありませんでした。






何故なら東京メトロと交通局にとって、地下鉄線内で多数の乗客がパニックに陥るという描写は1995年に発生した地下鉄サリン事件を想起させ、撮影許可を下ろすわけには行かなかった。*1
なので、映画内の地下鉄のシーンは全て他の都市で撮影されたものである。具体的には
  • 映画冒頭で登場する混雑する赤坂見附駅のホーム→横浜市営地下鉄ブルーライン関内駅
  • クモが停車し、後続の1033列車が追突しそうになった東陽町駅→神戸市営地下鉄海岸線御崎公園駅
  • 改札が封鎖され、構内に入りたい利用者と駅員がもみ合いになった九段下駅→横浜市営地下鉄ブルーライン中田駅
  • 暴走するクモから逃れた列車を収容した西車両基地→神戸市営地下鉄海岸線御崎車両基地
  • SATが1回目のクモ狙撃を行うことになった永田町駅→JR東西線加島駅(大阪)
  • 犯人に爆破されたTTR東車両基地→横浜市営地下鉄新羽車両基地・上永谷車両基地
  • クモ捜索隊が突入した有楽町駅→札幌市営地下鉄大通駅
  • 最後にSATがクモを狙撃した地下鉄14号線新宿駅付近→横浜市営地下鉄グリーンラインの地下区間のどこか*2
という具合。
東大前や三越前のような固有の団体名を含む駅名は本郷、日本橋室町のように所在地の地名から取った駅名に直され、路線名も以下のように直されている。
  • 銀座線→渋谷線
  • 丸ノ内線→八重洲線
  • 日比谷線→目黒線
  • 東西線→東陽線
  • 千代田線→代々木線
  • 有楽町線→桜田門線
  • 半蔵門線→九段下線
  • 南北線→白金線

当然車両も各ロケ地の車両を使用しているが、登場頻度が最も高いのが神戸市営地下鉄海岸線の5000形車両。
撮影に際してLED式の行先表示の上に方向幕を模したステッカーを貼り、東京の行先を再現。塗装は神戸市営地下鉄のままだが、先頭車両乗務員室横にTTRの社章ステッカーが貼られている。
当然のことだが、総合司令室もセットを組んでいる。

主要な登場人物

警察関係者

演:ユースケ・サンタマリア
警視庁刑事部交渉課準備室課長。レインボーブリッジを封鎖せよ!の終盤、マスコミ相手のインタビューに調子乗って色々なことを喋ってしまったために今回の事件の犯人に目をつけられてしまう。
地下鉄総合司令室に向かう途中、迷路のような通路を歩きながら「帰れるかなぁ」と発言。だが現場に入れば犯人相手に見事な交渉術を披露する。
ラストで柏木雪乃に「結婚しよう」というあまりにもまんますぎる言葉でプロポーズし、指輪を落とす。
使用しているPCはIBM・ThinkPad X40。

  • 木島丈一郎
演:寺島進
警視庁刑事部捜査一課特殊犯捜査一係係長。地下鉄総合指令所に向けて出発する真下の前にべらんめぇ調の挨拶をしながら登場。
今回の事件では地下鉄総合指令所には向かわず、地上から覆面パトカーで犯人を追う。
「俺の勘は外れたことがない」が口癖で、犯人の車利用、3回の爆発を見事に言い当てているが、犯人の乗った車を取り逃がしている。
ラストは3度目の爆発を阻止するべく、3つ目の爆弾が仕掛けられている新宿シンフォニーホールへと向かう。

  • 浅尾裕太
演:東根作寿英
警視庁刑事部捜査第一課第一特殊犯捜査一係所属。今回の事件では木島と共に地上から覆面パトカーで犯人を追う。
真面目な性格で、言動も穏やかだが作中で木島の発言に対してキレた事がある。

  • 草壁中
演:高杉亘
警視庁警備部警備第一課特殊部隊中隊長。今回の事件ではSATの狙撃部隊を率いて暴走するクモE4の狙撃にあたる。

  • 緒方薫
  • 森下孝治
演:甲本雅裕(緒方)/遠山俊也(森下)
警視庁湾岸警察署刑事課所属の巡査部長。新宿手前の検問要員として休日のところを呼び出された。

  • 眉田克重
演:松重豊
警視庁警備部特科車両隊爆発物処理班班長。新宿シンフォニーホールに仕掛けられていた起爆装置解体のためホールへ向かう。

演:水野美紀
真下の想い人。クラシックコンサート『クリスマス・イヴに聴くラヴェルのボレロ』のチケットを真下へプレゼントしたが、真下は地下鉄の暴走事件解決に駆り出されたために1人でコンサートに行くことになり、事件に巻き込まれることとなる。
事件解決後、真下から「結婚しよう」というあまりにもまんますぎる言葉でプロポーズされる。

地下鉄関係者

  • 片岡文彦
演:國村隼
TTR東京トランスポーテーション・レールウェイ総合指令室長。最初は部外者の真下のことを邪魔者のように扱っていたが、終盤になると真下に労いの言葉をかけるほど信頼を寄せるようになる。
母親(演:八千草薫)は健在で、育ちが良いのか母親のことをお母様と呼ぶ。
休憩室にあるジオラマは指令長の趣味。

  • 熊沢鉄次
演:金田龍之介
元TTR職員。在職中は運行ダイヤ編成担当として辣腕を振るっていた。退職後は緊急時に臨時ダイヤを組むために呼ばれることがある。
真下含めCICに対して理解のある態度を示す。

  • 矢野君一
演:石井正則
TTR広報担当者。明るく愛想の良い職員で真下らに対して最初から心を開き、明るく笑顔で接し、CICの面々に今回暴走しているクモE4について自身が発注した解説ムービー(ナレーション:若本規夫)を用いて説明する。
妻子持ちでHOゲージを収集しているらしい。

その他の人達

  • 弾丸ライナー
演:????
今回の事件の犯人。クモを暴走させる前の予告として警視庁のHPをクラッキング。デモンストレーションとして葛西第二公園のゴミ箱に仕掛けた爆弾を遠隔操作で起爆し、更にTTR東車両基地でも同様に爆発を起こす。
カエル急便のバンを盗んで内部を改造し、クモを遠隔操作するためのコンピューター、爆弾などを搭載し、都内各所に現れる。搭載されたコンピューターはTTRの運行管理システムと接続されているためか、総合司令室の運行表示盤と同じ画面で列車の在線表示がされる。
1回目の電話はTTR総合司令室の外線電話へ、2回目以降の電話は真下の携帯へかけ、ジャガーノート、愛と哀しみのボレロ、ミッドナイト・プラスワンなど映画や小説のタイトルをヒントとして伝えてくる。
CICの声紋分析の結果、正体が事件の8年前に警視庁にいたずら電話を掛けてきた羽田祐一だと判明したが、羽田はいたずら電話の直後に交通事故で死亡していた上、ラストで乗っていたバンを自爆させたため、正体不明のまま映画は終わっている。
正体についてはプロデューサーが複数人のグループの可能性を示唆する発言をしたことがある。複数犯であればカエル急便のバン内部に真下の写真があったことなどから最低でも1人真下のストーカーが含まれていることに。
ちなみに真下への電話の音声は芝居の上手いスタッフ7人と柏木雪乃役の水野美紀の声にエフェクトをかけたもの。

  • 前主十路
演:西村雅彦
読みは「まえぬし かずみち」
10年ぶりに凱旋帰国を果たした伝説の指揮者で、『クリスマス・イヴに聴くラヴェルのボレロ』の指揮を担当する。
名前は本作の監督を務めた本広克行がかつて演出を担当したテレビ番組『MAESTRO』から。

フリーゲージトレイン クモE4-600

TTRが試験中の軌間可変電車。1435mmの標準軌と1067mmの狭軌を直通運転可能な車両として設計されている。試験用車両ということで営業運転への使用は考慮しておらず、1両編成で先頭形状は南海電鉄の特急ラピートに似た正面非貫通構造。
仕組みとしては電車であり、屋根の上にはパンタグラフが、台車には折りたたみ式の集電靴が設置されており、架線集電方式・第三軌条方式の両方を走行可能。しかも車両には大容量のバッテリーが搭載されており、充電した電力で非電化区間も走行可能。
作中でプラレールが発売されるなど存在が秘匿されているわけではない。(オープニングに登場するおもちゃ屋に陳列されている)
現実のフリーゲージトレインは接続点に軌間変換装置を設置し、その上を列車が時速10km程度で通過する間に軌間変換を行うが、クモE4-600は接続点で停車し、車体をジャッキアップ。ジャッキアップ後に車輪をスライドさせることで軌間変換を行っている。

弾丸ライナーは何らかの方法で車両基地内に停車中のクモに遠隔操作用の携帯電話を仕掛け、改造されたカエル急便のバンから遠隔操縦して無茶苦茶に走らせた。

現実では海外で既に実用化され、日本でも国土交通省と鉄道総合技術研究所が新幹線と在来線の直通運転を目的に試験車両を3編成制作して試験走行を行っていたが、台車の重量やコストなどの問題解消に相当な時間を要すると見込まれ、当初の目的での導入はほぼ絶望視されている。
一方バッテリーに充電した電力だけで自走可能な蓄電池電車は実用化がなされ、JR東日本JR九州で老朽化した気動車の取替用として営業運転を行っている。

映画公開後に現実でもプラレールで製品化された。

用語

  • 東京トランスポーテーション・レールウェイ
略称TTR。東京メトロがモデルの地下鉄会社で、元政府系の特殊企業。ロゴは東京メトロのハートMではなく、営団地下鉄のSサインがモチーフ。

  • 新東京鉄道
都営地下鉄がモデルの地下鉄会社。路線名は都営地下鉄のそれのまま。

  • PTC-S1
TTRで使用している運行管理システム。運行管理だけでなく、自動運転装置ATOのセントラルシステムも内蔵しており、何事もなければ運転手の仕事はATOの監視ぐらいで済んでいる。
開発はTTRが民営化される前から多数の開発会社が関わって行われ、その中の1社に所属していたとある人物がプログラム内に仕掛けてから10年後に作動するスリーピング・ボムを仕掛け、システムの誤作動を引き起こした。
なお現実でATOを含む保安装置にトラブルが発生した場合は「兎に角一旦全列車を止める」ということなっており、作中のように一旦列車を止めず大混乱を招いたまま運転を継続するということはありえない。

  • ダンパ
車両待機用の線路。現実で言う留置線や側線のこと。

  • 線引き屋
ダイヤグラム作成を担当する人物。
作中ではコンピュータによる運行管理が不可能になった場面で呼ばれる職人として描かれているが、現実にはそのような人物は居らず、異常時には日常の運行管理を担当する輸送指令が現場と相談しながら基本ダイヤを修正して臨時ダイヤを組んでいる。

  • 脇線
複数の路線を結ぶ秘密の地下トンネル。
クモが東陽線1023列車に追突しそうになった直後、東陽線の列車位置表示盤から消えた時に片岡指令長が詳しく語らないなどまるで重要機密のような扱いをしているが、現実にも存在するこれらのトンネルは存在が公表されており、重要機密というわけではない。そもそも作中で語られたような目的は持たされていないし
現実の脇線に相当する線路は
赤坂見附駅構内(銀座線⇔丸ノ内線)
霞ヶ関駅⇔桜田門駅(千代田線⇔有楽町線)
市ヶ谷駅構内(有楽町線⇔南北線)
新橋駅⇔汐留駅(都営浅草線⇔都営大江戸線)
が存在し、工場への回送や臨時列車の運転などで使用されている他、札幌、名古屋、大阪の各地下鉄にも同種の線路・トンネルが存在する。


  • フロッピー・Zip・Jaz
作中時間の2004年時点でも主流ではなくなりつつあったパソコン向けリムーバブルメディア。
「て言うか、何でバックアップ取ってないんだよ!?」





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最終更新:2021年03月19日 03:20

*1 『水のないプール』や『地下鉄に乗って』など地下鉄で乗客がパニックを起こす描写のない作品であれば東京メトロは撮影協力を行っている。

*2 ただし隊員が車を止めて地下へ降りていった14号線工事現場入口は現在の環状八号線南田中交差点付近で撮影