アラエル(新世紀エヴァンゲリオン)

登録日:2021/04/01 Thu 23:45:00
更新日:2024/03/16 Sat 10:58:30
所要時間:約 6 分で読めます






私の心まで覗かないで!

お願いだからこれ以上心を犯さないで!!


アラエル(ARAEL)とは『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する謎の生命体「使徒」の一体。
なお、新劇場版には登場しない。

+ 目次

基礎データ

呼称:第15使徒
天使名:アラエル
全高:不明*1
体重:不明
象徴:鳥、神の光
能力:光線による精神攻撃


概要

名前の「アラエル」はキリスト教ユダヤ教の伝承にある「鳥を司る天使」に由来。また、この名は天使「アリエル」の別名であるともされ、同時に「神の光」と言う意味が込められており、恐らくこの異名が後述する能力の由来になっているとされる。
ただし他の使徒同様、劇中では天使名で呼ばれることはない。

そのモチーフからも連想されるとおり、外見は白く翼を広げた鳥の骨格のような姿で、常に白く発光しているというシンプルな姿。
複雑かつ不気味な姿のものが多い使徒の中では美しい見た目に部類されると言っても過言ではないだろう*2
また、鳥らしく視力がいいのか、衛星軌道上から遥か離れた地表にいる弐号機(及びパイロットの惣流・アスカ・ラングレー)に対して、光線による攻撃をピンポイントに行っている。


能力

使徒と言えば、A.T.フィールドで通常兵器からの攻撃を防ぎつつ、圧倒的破壊力で戦闘を行う印象があるが、アラエルはそういった物理的な武力攻撃は一切行っていない。

アラエルが作中で行った攻撃方法はただ1つ。


それは光線照射による対象への精神攻撃である。

光線には以下の特徴があるが、詳細は不明である。
  • 衛星軌道から地表に届く程の凄まじい長射程距離を持ち、照射範囲から考えて指向性がかなり高い。
  • 熱エネルギーを伴わず、光波の数値は可視光線の領域内。
  • A.T.フィールドに近い種類の光線。
  • 光線を浴びた者は様々な負のイメージを想起させられる形で精神汚染が始まり、生命維持に影響が出る。

リツコはこの攻撃方法が「アスカの精神波長を探っている」様な物であったために、「使徒が人間の心を知ろうとしている」のではないかと予想していた。
A.T.フィールドは「生命の持つ『心の壁』」、即ちその先に「知る対象」である「心」がある事を考えると、壁の突破手段ともいうべき光線がA.T.フィールドと類似したものになるのはごく自然と言えるだろう。

アラエル登場以前に作中で「人間への精神攻撃」を行った使徒としては第12使徒レリエルがいるが、あちらは対象を「ディラックの海」へ引きずり込むことが主な能力であり、「精神攻撃」そのものを主な能力として用いてきたのはアラエルが初である。

「光線による攻撃」と言うのもなかなかに厄介で、攻撃して来ようとする者に対して能力を使えば相手はまともに戦えなくなる上に、外部から助けに行けば当然光の区域内に入り、精神攻撃の餌食になってしまうため、能力の正体が分かっても迂闊に手を出すことが出来ない。

なお、作中ではアスカがこの攻撃の餌食になっているが、尺の都合でこれ幸いとゲンドウが槍を使わせ始末されたため、光線の範囲や1度に出せる光線の数はどの程度まで変化させられるのかは不明である。

この様に厄介な能力を持っているアラエルだが、能力と同等かそれ以上に厄介なのが出現位置
多くの使徒が地下のNERV本部を目指し侵攻をしてきたが、劇中におけるアラエルはエヴァの構える地点から1万2000kmほど離れた衛星軌道上に出現後、ずっとその位置から動かずにいた。
その位置からどうやってアダムとの接触、及びサード・インパクトを起こすつもりだったのかは謎。
まぁエヴァパイロット全員廃人にしてしまえば障害は無いも同然ではあるが。
エヴァンゲリオンにはそれ程の長距離射程を持つ武装がなく、仮に到達したとしても使徒共通のA.T.フィールドで防がれてしまう。当然相手のいる距離まで移動できるわけもなく、もし出来たとしても移動中に襲撃をされればどうすることも出来ない為、作戦を練る事も出来ないという状態であった。*3

地の利を生かして敵の手の届かない所から、じっくりと精神攻撃をしながら人の心に迫り、相手をボロボロにしていくのは効率面に問題こそあるものの、確実に自分へ攻撃してくる相手を潰していけると考えると、非常に凶悪である。

光線

(恐らく)全身から放たれる光線
能力については前述した通りで、物理的な破壊力はないものの、浴びた相手に精神攻撃を仕掛ける。

A.T.フィールド

使徒の共通能力。
だが、そもそもが非常に遠い位置にいた為、使用頻度は低い。
ロンギヌスの槍に貫かれる時に確認できる程度である。


劇中での活躍

TVアニメ版

第弐拾弐話に登場。
衛星軌道上に出現後、そこから動きを見せずに沈黙を貫いていた。
降下機会をうかがっているのか、それとも現在位置から大規模な遠距離攻撃を行うのか。
ミサトは超長距離射撃仕様の零号機を出撃させ、弐号機をそのバックアップにつかせようとした*4が、
反発したアスカはこれを拒否して先行した。
この頃の彼女はレリエル戦前のシンクロテストでシンジに追い抜かれ、バルディエル戦では瞬殺され、ゼルエル戦ではあらゆる攻撃が通じず敗北、結果的にシンジに助けられる事になってしまい…と負けが重なったことで精神面が不安定になり、シンクロ率も低下する負のスパイラルに突入。
弐号機を起動できるかも怪しいラインになっていた為、もしここで失態を晒せばパイロットの座からも降ろされる可能性が極めて高い。*5
自分にその事を言い聞かせながら、ポジトロンライフル改でアラエルを攻撃しようとした所、彼女の元に滅びの光が降り注ぐ。

ミサトはそれを見て「指向性兵器」なのではと考えたが実態は異なり、破壊以外の方法で使徒が攻撃を行ってきたことに驚き、リツコもまた「精神攻撃」と言うこれまでとは別のベクトルからの攻撃方法が行われたことに衝撃を受けていた。

精神を乱されたアスカは発狂しながらがむしゃらにライフルを撃つが、アラエルに届くどころか、第3新東京市の町中に大多数が着弾し、町中で大きな被害を出している。

残弾も尽きてしまい、なすすべを失ったアスカはエントリープラグ内で頭を抱えて蹲り、負のイメージ、そしてかつてのトラウマを掘り返され、苦痛の叫びをあげる。

彼女の心理グラフは光線を浴びたことで乱れ始め、神経回路もズタズタにされ、精神面に大きな負荷がかかっていた。ミサトは退却を命じるが、戻されれば当然パイロットの座を失う事になる為、「今戻るならここで死んだ方がマシだわ!」と聞き入れない。

零号機も射撃による攻撃を試みるが、A.T.フィールドに阻まれ、やはり上手く行かない。

そうこうしている内にアスカの精神はボロボロになっていき、生命維持にも問題が発生するほどになっていた。


汚された…!私の心が…加持さん…!


どうしよう…汚されちゃったよぉ…!


一度、シンジが初号機で出撃を志願するものの、ゲンドウは志願を却下。
出撃している零号機を一度戻して、ドグマにあるロンギヌスの槍を回収させた。
因みにミサトはアダム(実際はリリスだが)とエヴァの接触がサード・インパクトのトリガーになるとして反対しているが、ゲンドウが強行したことに違和感を覚えていた。

零号機は指示通り槍を回収、再び地上に出た後に槍をアラエルに向けて投擲。
アラエルはA.T.フィールドで防ごうとするものの、ロンギヌスの槍がA.T.フィールドを破り、身体を直接貫いた事で消滅。事態は収束した。

しかしアスカは今回受けた攻撃に加えて、嫌っているレイに助けられたことに更なるショックを覚えて、精神面でとどめを刺されてしまう。

また、この戦闘で出たロンギヌスの槍に対する扱いの影響でミサトはセカンド・インパクトの真相に疑問を持ち、一方ゲンドウは槍の処理を行った事で自らの「計画」をさらに推し進めていく事となる……。

漫画版

一部の使徒が登場しない関係で「第十一使徒」に変更されている。

アラエル自体の基本的な行動は同じだが、アスカの過去が変わっている為に展開される彼女への精神攻撃の内容が変化している。
因みに漫画版ではこの時点で渚カヲルが登場しているためカヲルも司令部で観戦していて槍の使用に関しては内心訝しみながらも黙認していた。*6
なおアニメ版と違って間に合わなかったのか救助されたアスカはほぼ廃人状態になっており、これ以降はアニメ終盤まで同様に入院生活を余儀なくされる。*7

バトルオーケストラ

ステージギミックとして登場。
画面右上または左上の角に出現し、光を照射する。
光の降り注ぐ範囲内は視認性が悪く継続ダメージを受けてしまう上に範囲も異様に広いという凶悪ギミックとなっている。

エヴァンゲリオンANIMA


ハレルヤ!

ふふふ...うれしいわ、あなたが出てくる時には必ず私が当たりたい、そう思っていたのよ、ずっとね!

あの時はよくも私に恥をかかせてくれたわね!

エンジェルキャリアーの使徒幼生の一体として登場。
月面での強行偵察任務中だった弐号機II式・アレゴレカの鼓動*8に誘き寄せられて出現、3年前の雪辱に燃えるアスカと交戦する。

当初は光線を回避されていたが弐号機のN2リアクターがダウン*9した隙を突き光線を命中、レイ/No.サンクがロンギヌスの槍からアスカを守って戦死した時の記憶を掘り起こし一時的にアスカの意識を奪った。

その後は月面に不時着した弐号機を追撃するが、意識を取り戻したアスカに鼓動の元に一直線で向かってくる性質を利用され、進路上に仕掛けられたN2爆弾によって殲滅された。

余談

意外と忘れられがちではあるが、アラエルはアニメ版で零号機にとどめを刺された初の使徒である。

前回の使徒、ゼルエルが物理面における「最強の使徒」である影響からなのか、アラエル及びこの回以降に登場する使徒は、物理的な力よりも人の心や精神面に迫り、訴えかけてくる攻撃を行う傾向が顕著になっていく。
後に使徒は種全体で記憶や情報を共有しており、自分達が持たない知恵の実を持つ人類に興味を抱いていたという設定が語られているため、アラエルにとっては攻撃ではなくコミュニケーションのつもりだったのかもしれない。

アラエルの光によってアスカのぐちゃぐちゃに乱れた心理グラフが、何秒か映し出されるシーンがある。
メチャクチャになったその心理グラフを、一時停止してよく見てみると…?

精神攻撃時に用いられていたクラシック曲は「ハレルヤ・コーラス」と「屠られし子羊こそは」で、どちらもヘンデル作曲のオラトリオ「メサイア」内の曲である。



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最終更新:2024年03月16日 10:58

*1 衛星軌道にいる状態でも、地表から確認できる程度には大きい。

*2 因みに余り知られていないがちゃんと全身図がデザインされており、『新世紀エヴァンゲリオン2』の説明書なんかに記載されている。

*3 一方で、発案まではしなかったが、ミサトも零号機を空輸しての空中狙撃を考えていることから不可能ではなかったのかもしれない。(その方法まで考えていたのかは不明だが。

*4 この時点では初号機は凍結指示が出されており、出撃させることが出来ない状態だった。

*5 事実ミサトも「ラストチャンス」として彼女の独断専行を許諾している。

*6 まだ正規のネルフメンバーではなかった事+まだ正体を明かすわけにはいかなかったため。アルミサエル戦でも正体を明かせないため自身のA.T.フィールドを使えず、侵食を受けるハメになっている(こちらはカヲルの正体を察したアルミサエルが侵食を止めたため事なきを得たが)。

*7 そのためまだ精神的に余裕があったシンジがよくアスカのお見舞いに行っていたのだが、それに内心嫉妬していたレイの感情がアルミサエル戦で描かれるという展開へと繋がっていった。

*8 地球でスーパーエヴァと交戦中の姉妹機「EUROII・ウルトビーズ」が放っていた擬似鼓動との共振によるもので、弐号機そのものに心臓は存在しない。

*9 度重なる姿勢制御の再計算によって機体の制御システムがパンクしたため。