ねこぶそう

登録日:2021/04/17 Sat 15:47:54
更新日:2021/04/25 Sun 11:44:17
所要時間:約 10 分で読めます






かわいいねこには「ぶそう」をさせよう。



概要


『ねこぶそう』とはBANDAIから発売されたプラモデルシリーズである。
「ねこ」フィギュアに「ジャケット」を着せて、「ぶそう」パーツを装備させて楽しむ事をコンセプトに作られた。

その名の通り,がぶそうしているというプラモデルだが、最大の特徴は猫がリアルな猫であること。
例えばアイルーのようなキャラクターとしてデフォルメされた猫ではなく、4足歩行のただの猫がぶそうしているというシュールさなどから、発売前から注目されていた。

情報の初公開も特異的で、4月1日…そう、エイプリルフールの公開であった。
そんなこともあり、エイプリルフールの嘘と思っていた人も多かった。
後日発売されることが正式発表されたとき、驚いた人もいたのでは。

ちなみに勘違いされやすいが、「武装」ではなく「ぶそう(BUSOU)」。
「Build Up Support Operation Unit (強化型支援作業装置)」の略であり、後述の説明を見ればわかるが、傷つけるための武器ではなくAI動作の便利グッズの類である。
戦闘などの要素も(縄張り争いを除いて)無い、平和な世界観である。
完全に「武装」のノリで組み上げる人もいるけど。

2018年8月に第1弾が販売され、2021年4月時点で第3弾まで発売している。



特徴


本体となる「ねこ」と、それに着せる「ジャケット」、そしてジャケットに装備させる「ぶそう」の3つで構成されている。

「ねこ」はねこ造形作家の森口修氏が原型に携わり、表情や毛並み、肉球などをリアルに再現していることをウリにしている。
このねこは最初から完全に彩色済みの状態なので、塗装まで手を付けないというプラモ初心者やライト層の方も安心。
プラモデルに慣れた人の中には、シロネコにあえてオリジナルの毛並みを与えるという猛者もいるようだが
ねこのポーズは全5種類で、同じポーズでも種類によって毛色が異なる。

「ジャケット」はコタツやペットケージを模した装甲のようなもので,ねこに直接取り付けて装着させる。着脱は自由に可能。
猫のポーズに対応した全5種類。

「ぶそう」はねこに装着させたジャケットの3mm穴に取り付けていく。ぶそうのパーツは基本的に3mmジョイントを使用しているので,ガンプラ30MMなど様々なプラモデルと組み合わせられるようになっている。
また、ぶそう単品でメカを構成することも可能。
ぶそうのデザインは、第1弾はフリーモデラ―のフクダカズヤ氏、第2弾は倉持キョーリュー氏、第3弾は漫画家の二条忠則氏がそれぞれ担当した。

1シリーズにつき,並盛り4種+てんこ盛り1種の計5種で構成されている*1

並盛りはそれぞれ付属している「ねこ」と「ぶそう」が異なっており,それぞれ単品のメカと2種類の「ねこぶそう」が製作可能。
てんこ盛りは並盛りに付属しているぶそうのパーツが全て一つにまとめられており、カラーリングが為されている*2。更に,てんこ盛りにしか付属していない特別パーツが同梱されている。

ちなみにエジプト座りと香箱座りのねことてんこ盛り、舟盛り3種があれば、並・中盛りで完成する全てのねこぶそうが製作可能。



シリーズ一覧


第1弾

2018年8月31日発売。価格は並盛り550円(税込)、てんこ盛り1527円(税込)。

〈並盛り〉

  • A:ねこカメラマン
カメラとレフを用いて、ねこ集会の様子を記念に撮影する。
ねこの毛並みはグレーでエジプト座り。ランチャーメカのぶそうが同梱されている。
ランチャーは実はカリカリ(餌)を発射するもの。
ランチャーとして使用するかスコープとして使用するか迷う。


  • B:ヘリねこプター
プロペラにより優雅な空中散歩が可能。
ねこの毛並みはシロでエジプト座り。ヘリメカのぶそうが同梱されている。
プロペラ部分は巨大なクローとしての使い道もある。


  • C:ねこクローラー
内蔵されたタンクから放水し、他のねこのマーキングを無効にする。
ねこの毛並みは茶トラで香箱座り。タンクメカのぶそうが同梱されている。
二連砲とキャタピラは使い勝手が良く、シンプルに戦車にするのもいい。
更に本体が人気の高い茶トラ猫ということもあり,店頭から速攻で消え去った。


  • D:ねこビースト
秘めたる野生を解放した姿。すごい勢いでトイレに砂をかける。
ねこの毛並みはクロで香箱座り。ジェットメカのぶそうが同梱されている。
アーム部分をどのように使うかがミソ。


〈てんこ盛り〉

  • ねこフルぶそう
シャボン玉を出して遊んだり、クラッカーでお祝いしたり、草木に水を与えたりといろいろ忙しい。
巨大クローでねこじゃらしにじゃれる様子はスリリングである。
ねこの毛並みは「くつした」で通常立ち姿。並盛り全てのぶそうに加え,ミサイルポッドねこ缶ポッドが付属している。ぶそうのカラーはグリーン。
ぶそうを独り占めするか、みんなで分けるか、それとも他のプラモデルに譲渡するか。


第2弾

2018年11月30日発売。今回はねこと動物メカの組み合わせというコンセプトになっている。
動物メカはねこを楽しませるために開発されたが、いまいち役に立たない。
価格は第1弾と同じく並盛り550円(税込)、てんこ盛り1527円(税込)。


〈並盛り〉

  • A:キューピッドにゃんこ
人間ウケする姿を模索した結果,この形態にたどり着いた。
ねこの毛並みはシロサバでエジプト座り。カラスメカのぶそうが同梱されている。
改造が捗る翼のパーツが出たことで、ねこのぶそうを更に進化させられる。


二輪により,座った姿勢での移動が可能。狭いところもすり抜けやすい。
ねこの毛並みはシャムでエジプト座り。カタツムリメカのぶそうが同梱されている。
ハンドルに手は届かない。


  • C:ニャトントラック
四輪によって,より快適な移動を実現。とはいえガタガタ道は苦手。
ねこの毛並みはシロで香箱座り。ネズミメカのぶそうが同梱されている。
4つのタイヤが追加されたことで、様々な乗り物を作ることが可能となった。


  • D:ねこーピオン
なんとなく強そうな姿を追い求めた末の姿。毒は無い。
ねこの毛並みはとびミケで香箱座り。トカゲメカのぶそうが同梱されている。
ヘルメット状のパーツによって、ねこ本体を防護できるようになった。


〈てんこ盛り〉

  • ねこ世紀末トライク
トイレ型ジャケットに操作レバーを接続し、さらにトライク本体にも大型ハンドルを搭載しているため,手動操作が可能なのだが、肝心のねこ本人に全くその気はなく、もっぱら自動運転機能で動いている。
よって見た目の割にかなり安全運転である。タイマー機能でごはんの時間には家に戻れるようになっている。
ねこはスコティッシュフォールドで二足直立。並盛りの全てのぶそうに加え、ヘッドライトのボーナスパーツが付属している。ぶそうのカラーはレッド。
かわいいねこが荒々しい世紀末トライクに乗っているというギャップがたまらない。他のねこからぶそうを奪い取ってマシンをカスタムしよう。


第3弾

2019年3月22日発売。今回のぶそうは古代の巨大生物を模したものとなっている。
また新たにパーツを外す際に使えるセパレーターが付属するようになり、ぶそうのジョイントパーツも増加。その代わり並盛りは中盛りとなり、少し値上がりした。
舟盛りは単にてんこ盛りの名称変更で、セパレーターはあるがジョイントパーツの数も値段もそれまでと変わらない。
価格は中盛り770円(税込)、舟盛り1527円(税込)となった。

〈中盛り〉

  • A:ティラノニャウルス
最強の恐竜の力を得た姿。おもちゃには本体とぶそうの両方の腕でじゃれてしまう。
ねこの毛並みはアメリカンショートヘアでエジプト座り。サブマリンメカのぶそうが同梱されている。
ティラノの頭が重いのでバランスに注意。


  • B:ニャンモス
氷河期を生き抜いた獣の力を得て寒さには強いはずだが、この姿でコタツに入ろうとする。
ねこの毛並みはホワイトで通常立ち姿。トレインメカのぶそうが同梱されている。
足元は寒い。


  • C:ヴェロキニャプトル
高い知能と俊敏性を得たが、本体とぶそうの向きがちぐはぐで意思統一が図れない。
ねこの毛並みは白茶で香箱座り。ドリルメカのぶそうが同梱されている。
工夫すれば本体とぶそうの向きを同じにできる。


  • D:トリケニャトプス
強いパワーを誇る恐竜の力を得た……というよりは上に乗っている状態。レバー操作可能。
ねこの毛並みはグレーのスコティッシュフォールドで二足直立。プロペラメカのぶそうが同梱されている。
トリケラトプスの矛と盾は良い武器として他のプラモでも役立つだろう。


〈舟盛り〉

  • ねこ宝船
ポカポカで寝心地のよい新天地を見つけるために編み出した形態。
謎の推進力により風がなくても進み、謎のバリア機能により水しぶきをブロックするハイテクマシンである。
ねこは長毛種で香箱座り。ジャケットが洗濯カゴになっている。
中盛り全てのぶそうに加え、ボーナスパーツとして大きな帆のようなパーツが付属している。ぶそうのカラーはブルー。
多くのねこを新天地に運ぶためには多くのぶそうが必要になるだろう。



軽トラぶそう


ねこぶそうと似たコンセプトの続編、「軽トラぶそう」が後に発売された。
初公開はエイプリルフールの企画にまたもやさらりと紛れており、「軽トラ」という内容のトンチキさやねことの関係性の無さからさすがに今回は嘘、と思いきや事実だった*3

その名の通りねこではなく「軽トラ」をぶそうさせるという前代未聞すぎるシリーズ。
軽トラは1種類4色だがプラモデルになっているのが特徴。

内容は並盛りにあたる単品のみで、てんこ盛りにあたる商品は出ていない*4

ジャケットにあたるアイテムはなく、軽トラに直接3㎜穴が開いている。
また、ジョイントパーツの内容が変更されている。セパレーターは見た目こそ変わったが健在。

後継シリーズなので当然ながら、ねこぶそうとは互換性がある。
しかし、大きさのスケール的にはだいぶ違和感があるのだが。

これ以降、「~ぶそう」シリーズは発売されておらず、事実上シリーズは展開終了と思われる。
ねこぶそう3が余ってたし、軽トラでは力不足であろう。

ストーリー的には、ねこぶそう3で目指した新天地である、日当たりがよくてポカポカした島が舞台となる。
この島で農家をしていた元技術者のおじいさんがねこぶそうにインスピレーションを受けて軽トラと農作業用の機械を改造したのが「軽トラぶそう」である。


ラインアップ


価格はそれぞれ880円(税込)。

二足歩行機能と作業アームを備えた汎用形態。
軽トラの色は白。トラクターメカが同梱されている。
トラクターメカは手足に見立てるか、全体に取り付けるか。

悪路でも移動可能。田畑での水撒きを行う。
軽トラの色は緑。農薬散布用大型ラジオコントロールヘリコプター2機が同梱されている。
ヘリコプターの車体を脚に見立てている。
やたら名前の長いヘリコプターは2つ入っているのでお得感を感じられる。

消火剤発射装置により島の安全を守る。
軽トラの色は青。コンバインメカが同梱されている。
コンバインメカの大きな車体はキャタピラとして使える。

遊びに来た孫を喜ばせるために急造した形態。
軽トラの色は黒。小型油圧ショベルメカが同梱されている。
ジョイントパーツも併せて作ったショベルはなかなか使いやすい。



余談


ねこぶそうシリーズは発売されてから一度も再販されていない。
第3弾と軽トラぶそうは未だ売れ残っているので店頭でもちらほら見かけるが、第1弾と第2弾はもう中古での販売しか見かけなくなってしまった。
その中古販売も定価より高いプレミア価格での販売が多く、入手もだんだん難しくなってきている。

ねこぶそう、軽トラぶそう共に公式で玩具画像を使ったゆるい4コマ漫画が用意されている。
また、軽トラぶそうには開発経緯がつづられた長編漫画も存在する。
ねこぶそうも多数登場するため、一読の価値あり。
漫画の最後は「いぬぶそう」を予感させるものだったが、シリーズの事実上の終了で日の目を見ることはないだろう。




かわいい あにをた には
「ついき・しゅうせい」をさせよう。


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最終更新:2021年04月25日 11:44

*1 第3弾で仕様が変更され、中盛り4種+舟盛り1種となっている。

*2 並盛りのぶそうは,どのシリーズもライトグレーで統一されている。

*3 よく見ると軽トラは玩具の画像かつ造形も凝っており、本当に制作されると気付いた人も少なからずいた。

*4 おそらく、軽トラの種類が1種類しかなくてんこ盛り1つで十分になってしまうためだと思われる。