Urza's Saga / ウルザの物語
エンチャント 土地 — ウルザの(Urza's) 英雄譚(Saga)
I ― ウルザの物語は「(T):(◇)を加える。」を得る。
II ― ウルザの物語は「(2),(T):『このクリーチャーは、あなたがコントロールしているアーティファクト1つにつき+1/+1の修整を受ける。』を持つ無色の0/0の構築物アーティファクト・クリーチャー・トークン1体を生成する。」を得る。
III ― あなたのライブラリーからマナ・コストが(0)か(1)のアーティファクト・カード1枚を探し、戦場に出す。その後、ライブラリーを切り直す。
モダンホライゾン2で登場した、初の英雄譚の土地にしてエンチャント土地。
過去にウルザズ・サーガというカードセットがあり、土地にUrza'sという種別があるのと引っ掛けたユニークな名前ネタが元。
……なのだが、日本語だとウルザズ・サーガ成分は消えてるしカード名とサブタイプでも訳が違ったり色々と台無しになっている。
はじめての「起動型能力を持った英雄譚」かつ「エンチャント・土地」であるため挙動が少々ややこしく、公式に調整不足が認められている危険物。
例を挙げると「第3章の能力が誘発している最中にも1章や2章の起動型能力は使用できる」「同タイミングで《演劇の舞台/Thespian's Stage》でコピーすると1章と2章の能力を持ち自壊しない土地になる」「《血染めの月/Blood Moon》などで能力を失うと即座に生け贄に捧げられる」などなど。
エンチャント土地でありながらアーティファクト関連の効果ばかりなことと、いつ禁止になってもおかしくない代物であるところまでウルザズ・サーガのそれを再現している。
Long List of the Ents / エントの長い名簿 (緑)
エンチャント — 英雄譚(Saga)
I,II,III,IV,V,VI ― エントの長い名簿に記録されていないクリーチャー・タイプ1つを記録する。このターン、あなたが次にそのタイプのクリーチャー呪文を唱えたとき、そのクリーチャーは追加で+1/+1カウンター1個が置かれた状態で戦場に出る。
指輪物語の一節が英雄譚になった。同じテキストが6ターンに渡って続くという、最軽量にして最長の英雄譚。実物を見た時のインパクトがすごい。
効果はそのターン記録したクリーチャータイプがちょっとボーナスを得た状態で出てくるというもの。
カード化されたシーンは「二つの塔」において、エント族の長老、「木の髭」ファンゴルンが初めてであったホビットであるピピンとメリーに、生き物の名簿を諳んじてみせる部分。
ピピンはそこにホビットの名前を入れてくれと頼み、ファンゴルンは名簿に追加する。
本当にここにしか出てこないし、戦闘どころか大筋にもあまり関係しないという実に微妙なシーン。一応原語版だと音韻がそろっていて美しいので印象深いシーンといわれている。
ただフレーバー自体はかなりうまくカード化できているし、開発コラムでは元ネタからうまくカード化できる部分が意外と少なかったということに相当苦心してたことが明かされている。
そんな開発事情や、コラボ先のカード化という事業などにも思いを馳せられるという実に芳醇なカード。
使い勝手はかなり独特。
強化は「名簿に記入したターン」であるため記入したターンにそのクリーチャータイプを出す必要がある。
さらに「次に唱えた1回のみ強化」であり、なおかつ次のターン以降に過去の記録しているタイプが強化対象になるわけではない為、乗るカウンターの個数は1ターン1個で固定になる。
さらに「唱えたとき」でなければ強化されない点を忘れやすく、特にトークンや頑強、明滅などと組み合わせても機能しない。
一見部族デッキに入りそうな感があるが、1つの部族でまとめたデッキの場合は単なる「6ターンしか維持できない上に上述の弱点を持つ」という中途半端な存在になりやすく、残り5章分の指定が無駄になってしまう。
活用できるのは部族デッキとは真逆のクリーチャータイプが様々にばらけているデッキであり、たとえばかつての【Zoo】など。
他にもシミックのクリーチャーや多相のように様々なタイプを持つカードなら他と被り辛いカードタイプを指定してカウンターを貰えるので相性は良い。
ただこれらを使うとしても《栄光の頌歌》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》のような全体+1/+1修正系カードの方が使い勝手が良いという現実がのしかかる。
1マナと軽い上に6ターンの維持ができるため、うまく使いこなせそうなポテンシャルを感じさせるのがなおのこと惜しいカードである。
The Night of the Doctor / ドクター前夜 (4)(白)(白)
I ― すべてのクリーチャーを破壊する。
II ― あなたの墓地にある伝説のクリーチャー・カード1枚を対象とする。それを戦場に戻す。それの上に、先制攻撃カウンターや警戒カウンターや絆魂カウンターのうちあなたが選んだ1個を置く。
「ドクター・フー統率者デッキ」で登場したカードで、2章しかない最短の英雄譚。英雄譚の存在意義を考えると、これ以上短い英雄譚は作られないだろう。
《審判の日》相当の全体除去に、条件付きのリアニメイトがついたカード。かなり重いのだが「全体除去の次のターンに勝手にクリーチャーを釣り上げられる」というのはデッキを選ばない強さがある。
さらに「エンチャント」であり「歴史的」でもあるため、既存の全体除去とは違った手段で参照できるというのも利点。もし白を含むデッキでカジュアルに遊ぶのであれば、持っておいて決して損ではないはずだ。
2013年に放送された同名エピソードを端的にカード化したもの。つまりドラマのカード化。
第1章で「8代目ドクターの最期」を、第2章で「ウォードクターへの再生」を描いている。ドクター・フーに興味がないとそれでおしまいなのだが、
これが実はシリーズにおけるとても重要な部分を補完したサプライズエピソードであり、このエピソードだけで項目が1つかけてしまうくらいプロモーションに力を入れたもの。
そんなもんだってカード化できてしまう。英雄譚というカードデザインの懐の深さを語るのであればこのカードは実に分かりやすい例だろう。
Blink / まばたき (2)(青)(黒)
エンチャント — 英雄譚(Saga)
(この英雄譚(Saga)が出た際とあなたのドロー・ステップの後に、伝承(lore)カウンター1個を加える。IVの後に、生け贄に捧げる。)
I,III ― クリーチャー1体を対象とする。オーナーはそれを自分のライブラリーに加えて切り直す。その後、調査を行う。(そのプレイヤーは手掛かり(Clue)トークン1つを生成する。)
II,IV ― 先制攻撃と警戒と「対戦相手1人がクリーチャー呪文1つを唱えるたび、ターン終了時まで、このパーマネントはクリーチャーでない。」を持つ黒の2/2のエイリアン(Alien)・天使(Angel)アーティファクト・クリーチャー・トークン1体を生成する。
4章仕立ての英雄譚。
ドクター・フーのエピソード「Blink(邦題:まばたきするな)」は、誰も見ていないところで高速で襲い掛かってくる地球外生命体「嘆きの天使」が初登場した作品。
海外では非常に高い評価を得ていることと考案された国を考えるに、多分
アレの元ネタ。つまり一連のアレの文化の大元になったのがこのエピソード。
- クリーチャーが消える怪事件発生(1・3章前半)
- 怪事件の調査を行う(1・3章後半)
- 怪事件を起こした地球外生命体「嘆きの天使」が登場(2・4章)
というもので、怪事件が繰り返されるという同作のエピソードを示している……のだが。
現物を見てみよう。「逆N字型に進行する英雄譚」というのはこのカードが初めてであり、IIとIIIが誤認しやすい字形であることや、ドラマの流れ的には上2回・下2回でもあまり違和感がないことなどから、
テキストの処理を結構間違えやすい。進行自体は結構自由に行えるのだが、人間が処理する関係上どうしてもこういう問題が起きてしまうのだ。
Welcome to . . . / ようこそ…… (1)(緑)(緑)
エンチャント — 英雄譚(Saga)
(この英雄譚(Saga)が出た際とあなたのドロー・ステップの後に、(Lore)・カウンター1個を加える。)
I ― 各対戦相手につきそれぞれ、そのプレイヤーがコントロールしていてクリーチャーでないアーティファクト最大1つを対象とする。あなたがこの英雄譚をコントロールし続けるかぎり、それは防衛を持つ0/4の壁(Wall)アーティファクト・クリーチャーになる。
II ― トランプルを持つ緑の3/3の恐竜(Dinosaur)クリーチャー・トークン1体を生成する。ターン終了時まで、それは速攻を得る。
III ― すべての壁を破壊する。この英雄譚を追放する。その後、これを変身させた状態であなたのコントロール下で戦場に戻す。
ーーー
Jurassic Park / ジュラシック・パーク
伝説の土地
(《ようこそ……/Welcome to . . .》から変身する。)
あなたの墓地にある各恐竜(Dinosaur)カードはそれぞれ脱出を持つ。脱出コストは、そのカードのマナ・コストに「あなたの墓地にありこれでないカード3枚を追放する。」を追加したものに等しい。(あなたの墓地にあるカードをその脱出コストで唱えてもよい。)
(T):あなたがコントロールしている恐竜1体につき(緑)を加える。
伝説の恐竜映画「ジュラシック・パーク」とのコラボカード。人間がパークを成立し、そこに恐竜を放ったところ、壁を壊され大惨事という同作のエピソードを端的に英雄譚にしたもの。
「英雄譚がまったく別の性質を持つカードに変身する」というカードはネオ神河が初出であまり珍しいものではないのだが、こういうこともできてしまうという一例。
書いてあることは全てがメリットなのだが基本的に「ターン経過によって条件を満たす」というデザインになるため悪用が難しく、その分変身先に強力なテキストを持たせやすい。
英雄譚の大味なバランスを許してくれる懐の深さがうかがえるカード。
Summon: Primal Odin / 召喚:蛮神オーディン (4)(黒)(黒)
クリーチャー・エンチャント ─ 騎士(Knight) 英雄譚(Saga)
(この英雄譚が出た際とあなたのドロー・ステップの後に、伝承カウンター1個を加える。IIIの後に、生け贄に捧げる。)
I — グングニル ― 対戦相手がコントロールしているクリーチャー1体を対象とする。それを破壊する。
II — 斬鉄剣 ― このクリーチャーは「このクリーチャーがプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、そのプレイヤーはゲームに敗北する。」を得る。
III — ホール・オブ・ソロウ ― カード2枚を引く。各プレイヤーはそれぞれ2点のライフを失う。
5/3
FF14の召喚獣「オーディン」をカード化したもの。FF14自体は過去作品からのオマージュ要素が多いため、FF4や6の性質もふんだんに入っている。
「英雄譚・クリーチャー」というのは弱点だらけである。出したターンに攻撃することができない。数ターン(このカードの場合は3ターン)待ってると死ぬ。しかも最終ターンに至っては攻撃する前にルールで死ぬ。
このカードの場合は1回しか攻撃できない上、クリーチャーへの対策はもちろん、エンチャント対策にも引っかかる。「増殖」などで慮外のタイミングで墓地に落とされる可能性もある。
しかしそもそもFFにおける召喚は、古いタイトルだと「エフェクトの派手な大魔法」と扱われやすい。モンスター(クリーチャー)でありながら1ターンで大ダメージを与える魔法であるという、MTGでは稀有な性質を再現した結果、
「原作を再現した派手な恩恵を与えつつ、1回だけ大技で攻撃して去っていく」というこれ以上ないほどのフレーバー再現を行えたことで大好評となった。カード的には弱点だらけでも、原作再現という点ではむしろ歓迎されてしまうのだ。
また、生存時間がついた強力なクリーチャーと言えば《ブラストダーム》だが、あれから25年。インフレが進めば「ターン経過ごとに恩恵を与える」なんてこともできるようになったという意味でも感慨深いカード。
章能力はそれぞれ
斬鉄剣のハズレ枠としての無属性単体攻撃「グングニル」
- 全体に即死効果をもたらす強力な技「斬鉄剣」
- FF14でボスとして登場した際に使用する強力な全体魔法「ホール・オブ・ソロウ」
を再現しており、しれっと特殊勝利カードでもある。上2つはオールドタイトルでも縁が深い攻撃である。
The Legend of Arena (1)(青)(赤)(白)
The Legend of Arenaは統率者として使用できる。
I,II ― 赤の2/1の人間・ウィザード・クリーチャー・トークンを1体生成する。このターン、あなたが呪文を唱えるためのコストはあなたがコントロールしているウィザード1体につき(1)少なくなる。
III ― あなたのライブラリーからプレインズウォーカー・カードを1枚探し、それを戦場に出し、その後あなたのライブラリーを切り直す。それはあなたがコントロールしているウィザード1体につき忠誠カウンターが追加で1個置かれた状態で戦場に出る。
2018年のHeroes of the Realmで
MTGアリーナの開発チームに贈られたカード。
初の三色英雄譚でウィザードやプレインズウォーカーを雇用する。
War of the Spark (3)(黒)
I ― 各プレイヤーは自分の手札か墓地から、灯争大戦に収録されているプレインズウォーカー・カードかゾンビ(Zombie)・カード1枚を戦場に出してもよい。
II ― 望む数のクリーチャーかプレインズウォーカーを生け贄に捧げる。各対戦相手は同じ数のクリーチャーかプレインズウォーカーを生け贄に捧げる。
III ― ボーラス(Bolas)を最大1体対象とし、それを追放する。増殖を3回行う。
2019年のHeroes of the Realmで灯争大戦の開発チームに贈られたカード。
ボーラス率いるゾンビ軍団にゲートウォッチ率いるプレインズウォーカー達が立ち向かう第一章。
ゾンビ軍団の犠牲と引き換えに《古呪/The Elderspell》を発動させる第二章。
そしてボーラスを打ち倒し、《次元を挙げた祝賀/Planewide Celebration》(に似た効果)が湧きおこる第三章と、灯争大戦のストーリーを表現している。