ユバールの休息地

登録日:2012/01/14(土) 13:39:46
更新日:2025/02/17 Mon 17:59:27
所要時間:約 10 分で読めます




ユバールの休息地は『ドラゴンクエストⅦ』に登場する場所の一つである。緑の石版。
ゲームでは7番目に訪れる。前はグリンフレーク。次はダーマ神殿

この地での冒険を終えると、キーファが旅から抜ける。


ストーリー

エスタード島の緑の台座から新天地へとたどり着いた一行は、夜の闇の中、一際明るい光を灯したキャンプ地を見つける。
その地では、『神を復活させる』という使命を背負って世界を放浪するユバールの一族が滞在していた。

ユバールのキャンプ地ではちょうど、一族を代表する踊り手を決める儀式が行われており、ライラという女性が新たな踊り手に任命される。
キーファはライラを一目見て「美人だ」と惹かれるが、ライラにはジャンという婚約者がいた。
ジャンはトゥーラという楽器の弾き手であり、神復活の儀式はライラの舞とジャンの演奏によって行われるらしい。

主人公たちは、旅人をもてなす風習があるユバールの民に暖かく迎えられ、しばらくユバールの旅に同行することになる。


祝いの宴

新たな踊り手の誕生を祝し、その夜は宴が催された。

宴の場で、主人公はユバールの戦士であるダーツという男からライラについて話を聞く。
ダーツはライラの父親であり、彼によるとライラの胸には大地の精霊の加護を受けた証であるアザがあるらしい。
ダーツはそのことを誇らしく思いつつ、『アザを持つ者は一族の中でも特に強い宿命を背負う』という言い伝えから、娘の身を案じてもいるようだった。

一方、ライラはひとり寂しくテントに籠っていた。
主人公が話しかけると、彼女は「変わった一族で驚いたでしょう?」と語りながら、言葉を続ける。

「もうずっと昔から、神さまを復活させるための宿命を背負って、厳しい掟も守ってきたの。
そして私も、その宿命とともに生きるんだわ。
この胸のアザが、そうすべきだと言っているから…。」


ライラの憂鬱とジャンの嫉妬

ライラを心配するキーファは、彼女を元気づけるためにユバール名物の『ビバ=グレイプ』という酒を手に入れ、ライラのテントへと入っていく。
ライラは少し驚きながらもキーファと主人公を迎え入れ、彼らは互いの身の上を語り合うのだった。

「いや美味いな、このビバ=グレイプは。
グランエスタード城じゃ、こんなに美味しい飲み物はなかったぞ。」

「あら、グランエスタード城って私はまだ行ったことないけど、どの辺りにあるお城なの?」
「どこって、ええと… まあ、辺境にある小さな城さ。
王になるのがイヤで遊び歩いてばかりの王子がいる小さな国でね。」

「あら…ウフフ。それじゃ、きっと私、その王子様と気が合うわ。」
「えっ?」
「だって、私も自分の運命がイヤで、逃げ出したことがあるもの。」

その後、テントにジャンが入ってくる。
彼は主人公とキーファを一目見て「俺の婚約者に取り入ってどうするつもりだ!」と食って掛かるが、その場は主人公がどうにかおさめ、4人は楽しく語らって一夜を過ごす。


真夜中の襲撃

深い眠りについた主人公は、突然の悲鳴に飛び起きる。
テントの外に出ると、そこにはキーファとライラ、そして倒れているダーツがいた。

キーファによると、ふと目が覚めてライラが居ないことに気づいた彼はテントの外でライラを見つけて少し語らい、そこを魔物に襲われて応戦していたらしい。
途中からダーツもその場に駆けつけたものの、彼は魔物の不意打ちで毒をもらったようだった。

ダーツは2~3日の安静が必要と判断され、ライラもその間父親に付き添うこととなるが、そんな二人を見てキーファは護衛役を買って出る。
神復活の儀式を急ぐ一族は、ダーツ・ライラ・キーファの三人を置いて先に神の祭壇へと向かうことを決定する。*1


神の祭壇へ

キーファらを置いて出発した主人公たちとユバールの一族は、湖に水没した神の祭壇へとたどり着く。
主人公らはジャンと共に湖の近くの洞窟へと入り、仕掛けを動かして湖の水を引いた後、祭壇の中で二つの神器『大地のトゥーラ』『清き衣』を見つける。

神の祭壇の石碑には古代文字でメッセージが刻まれていた。
何故か古代文字が判る主人公*2は、そのメッセージを読み上げる。

“大地のトゥーラが 金色に輝くとき その音色にて 大地を目覚めさせよ!”
“清き衣を纏った巫女の踊りにて 神の怒りをなだめさせよ!”

そこにちょうど、キーファとライラが合流する。
キーファ曰く、道中でライラが足をくじいてしまい、ここまで背負ってきたため合流が遅れたらしい。
ジャンは護衛役のキーファに怒りを向けるが、ライラはジャンをなだめ、一行は神器を持ち帰る。


神復活の儀式

ユバールの族長は「大地のトゥーラに輝きがない」「理由は分からないが、今は神復活の時ではない」と告げる。
しかしジャンは聞き入れず、儀式の決行を宣言。

一族全員が見守る中、ジャンが奏でる大地のトゥーラの調べに合わせ、清き衣を纏ったライラが舞う。

──しかし、神は復活しなかった。

族長はジャンを気づかい、「平和を求め、神の復活を焦るのは仕方ないことだ」と声をかけるが、ジャンは自身の胸に浮かんだアザを皆に示し、己の本当の望みを語り始める。

ジャンの胸に大地の精霊のアザが浮かび上がったのは数年前のこと。
ユバールの一族では、大地の精霊のアザを持つもの同士が結婚すると互いの血が反発し力が失われると信じられていたため、実は彼は一族の掟に従い、ライラとの婚約を破棄せねばならない状況にあった。
しかし心からライラを愛していたジャンはそれを受け入れられず、今日までアザのことを周囲に隠していた。
彼は、神復活の儀式を終えてユバールの宿命が果たされれば掟に縛られずライラと結婚できると考え、儀式の強行に至ったのだった。

全てを告白したジャンは一族を抜けることを決意し、その場を去る。
ライラはジャンを引き留めようとするが、族長から「同情はジャンを傷つけるだけ」と言われ、言葉に詰まってしまう。

主人公らは族長の頼みで二つの神器を祭壇に戻し、神の祭壇を再び湖の中へと沈める。*3


キーファの決意

儀式が失敗した夜、ささやかな宴が開かれ、夜が更ける。
皆が寝静まった頃、キーファはこれまで抱えてきた思いを主人公に静かに語り始める。

ライラと同じような不思議なアザを持ち、古代文字を読み、何かの運命を背負った存在──主人公をずっと羨ましく感じていたこと。
それに引き換え、ただ“王子”という身分に生まれついただけの、ちっぽけな自分。
そして、ずっと探していた、“自分にしかできない何か”。

翌朝、主人公が目を覚ますと、キーファとダーツの決闘が行われていた。
重い一撃を受けたダーツがキーファの実力を認め、決闘に勝利したキーファは族長から新たな守り手に任命される。

こうして、キーファはユバールの民と共に神の祭壇を守っていくことを決め、「あんたの息子は自分の進むべき道を見つけたと親父に伝えてほしい」と主人公に言い残して別れる。


バーンズ王とリーサ姫

現代に戻った主人公らは、キーファの父であるバーンズ王と、妹のリーサ姫に事の顛末を報告する。

バーンズは「なにが……何が、『自分の進む道を見つけた』だ!」「あのバカが……!! ワシの気持ちも知らずに…」と酷く狼狽し、その後、つい先日届けられたというふしぎな石版を主人公に渡す。
バーンズはキーファとの親子喧嘩が絶えなかったが、次の旅から息子が帰ったら、この石版を託してその旅を応援するつもりだったらしい。
すっかり気力を失くした王は「しばらく一人にしてくれんか…」と呟き、その様子を見た大臣は「王子には王の優しさがわからなかったというのか……!」と嘆き、あのマリベルでさえも「アルス…この部屋、出たい。こんな空気…耐えられない!」と訴える。

リーサはキーファを連れていない主人公らを見て
「お兄さまは、お父さまとお話でもなさってるんでしょ?
うふふ、早く会いたいな。」

と無邪気に出迎えてくれるが、主人公から事実を告げられると
「え? なあに、アルス。
言ってる意味が、よく解らないわ。
お兄さまが、違う世界に? 自分の道を、見つけた?
それって…… つまり… ようするに……
もう…会えないってことじゃ、ないよね?」
*4
と現実を受け入れられない様子を見せる。


ユバール地方について

この地域に町などの拠点は存在しない。
過去世界ではユバールのキャンプ地にて族長が教会の役割を果たしてくれる他、猫に話すと何故か主人公たちは全回復する。

過去でキーファと別れた後、現代ではオルフィー地方の北側にこの地方が出現する。
相変わらず町はないが、新たに発掘現場がある。

ストーリーを進め、プロビナルーメンマーディラスを現代に復活させると、マリベルの一時離脱イベントが発生し、その後現代のユバールの民が出現する。


  • 神の祭壇
神が封印されている祭壇。湖に沈んでいる。
ユバール編をクリアした後、何故かこの湖の付近だけは現代に復活しない。
さらにストーリーを進め、過去の魔王を倒した辺りでようやくこのエリアも現代に復活する。
現代のユバールの民と合流し、アイラの舞とヨハンの演奏によって神復活の儀式が行われるが、復活した神は偽物である。


  • 化石の発掘現場
現代にのみ存在する採掘現場。
黄金の角を持つ謎の化石が見つかったとかで賑わっている。
砂漠の城関連のストーリーの最中でこの化石が必要になり、ここで研究をしている考古学者のために何度かこの地を訪れる事になる。
ちなみにこの考古学者には罠があり、バグでストーリーが進まなくなり詰む事がある。

また、おおよそ全ての大陸が復活し天上の神殿の全てを浮上させてから飛空石を入手したあたりで採掘現場の奥から魔物が現れた*5という話が聞け、ここから物語は佳境を迎える。


  • 魔空間の神殿
化石の発掘現場の地下の洞窟に存在する石版の台座から行けるダンジョン
PS版のDISC1ではここが物語のクライマックスになる。
ちなみに『呪いのランプ』という魔物はここにしか出ないため、モンスターパークを埋めようとするとここをうろつくことになる。


主な登場人物

  • ライラ
ユバール族の2代目にあたる踊り手。17歳。
胸に大地の精霊に選ばれた証であるアザがある。
ジャンと婚約していたが、彼が一族を抜けたため、後にキーファと結婚する。

ユバール族のトゥーラの弾き手。ライラの婚約者。
数年前から大地の精霊のアザが胸に浮かび上がるが、周囲に隠していた。
後にハーメリア地方で再登場する。詳しくは個別記事で。

  • ユバールの族長
ユバール一族を取りまとめる族長。
意外と冗談が好きらしく、初対面の主人公らを「実は魔物ではないのか」とわざと疑って困らせたりする。

  • ベレッタ
ユバールの族長の妻。ユバール一族で初代の踊り手。
ライラを厳しく指導しているが、根は良い人。

  • ダーツ
ライラの父親。ユバールの守り手を担う戦士。
リメイク版では見た目が某パパスそっくりに。


現代ユバール族の踊り手。10代目。
キーファとライラの遠い子孫。やはり大地の精霊に選ばれたアザ持ち。
ユバール編クリア後、さらにストーリーを進めて現代ユバール族と出会うと彼女が仲間になる。
詳しくは個別記事で。


余談

  • この地方のストーリーは恐怖のムービーで有名。
    • 神復活の儀式は3DCGによるムービーシーンとなっているのだが、PS版ではキャラクターのCGが非常に不気味なため、多くのプレイヤーから恐怖のムービーとして恐れられた。
    • 作中で神復活の儀式は過去と現代でそれぞれ行われるので、当然このムービーも2回流れる。
      過去はジャン&ライラ、現代はヨハン&アイラが儀式を行うため、ムービーの内容も若干異なるが、どちらも不気味であることに代わりはない。
    • 現代では見事に儀式は成功し神が復活する……が、その正体は…。
      • まあ、ステテコダンスやいっぱつギャグをかます神さまなんて、ユバール族ではアイラ以外知らなくて良いのかもしれない。

  • この地の旅を最後にキーファとは永久に別れることになるが、実は過去のユバールの休息地に辿り着いた時点で彼はパーティーから離脱しライラといちゃつき始めるので、このストーリーの開始時点から実質的に永久離脱している。

  • キーファは別れの際、主人公たちを旅の扉まで見送り、自分の装備や道具一式と一通の手紙を入れた袋を投げ入れてくる。
    • ちなみに湖の洞窟で石版を取り逃がしていれば、その石版も入っている。
    • 手紙の内容はとても簡素なもの。
      “アルス そして みんな。
      勝手なことをするオレを許してくれ。
      アルスに買ってもらった装備品は返しておく。
      元気でな。 キーファ”
      • まるで装備の返却を伝えることだけが目的のような事務的な内容で、主人公や仲間へのメッセージは些細なものだし、おまけにキーファのことを一番想っている家族(バーンズ王、リーサ姫)への言葉が何も書かれていない。
      • 3DSリメイク版でも内容は変わらず。ここはもう少し仲間や家族への思いを綴っても良かったのでは…。
    • それよりお前が飲み込んだ種返してくれ!



追記・修正はキーファに一杯食わされた方にお願いします。

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最終更新:2025年02月17日 17:59

*1 ジャンはライラに付き添って残ることを希望したが、魔除けのトゥーラを奏でる彼は一族の移動に必要なため、それは許されなかった。

*2 エスタード島の謎の神殿を訪れたときから突然読めるようになった描写がある

*3 この場面はダーツが一瞬だけ仲間になる…が、ほとんどナレーションで済まされるためダーツと共に洞窟を探索する必要はない

*4 この質問にはい/いいえのどちらで答えても、リーサは「お兄さまは私にさよならも言わずにいなくなったりしないもの」と言うが、『はい』の場合は自分自身に言い聞かせるように力なく、『いいえ』の場合は主人公を避難するように叫んで言う。

*5 現代ではそれまでごく一部のダンジョン内や海にしか魔物が出現しない