ドラゴンクエストⅦ エデンの戦士たち

登録日:2011/02/10 Thu 15:20:23
更新日:2025/03/20 Thu 19:01:25
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人は、誰かになれる。


ドラゴンクエストⅦ エデンの戦士たち』(DRAGON QUEST VII: Fragments of the Forgotten Past)とは、ドラゴンクエストシリーズの7作目。

ハード:プレイステーション
発売日:2000年8月26日
開発元:ハートビート、アルテピアッツァ
販売元:エニックス(現スクウェアエニックス)




【概要】

ドラクエシリーズとしては初めてPlayStationで発売された作品。同時に最後のエニックス時代に発売されたナンバリングタイトルとなった*1
プレステ最高の417万本という化け物じみた売り上げを記録し、リメイク版も117万本に達した。

町や洞窟などのフィールドマップが3Dになったり、ストーリーの要所で3DCGムービーを導入したりと、今までのシリーズにない新しい要素に挑戦した意欲作。

ソフトがカセットではなくディスク媒体になり、セーブにメモリーカードを用いるようになったため、冒険の書が消えてしまう事象が滅多に発生しなくなった。
また、複数のメモリーカードを利用して他のセーブデータと交流できる『移民の町』などのシステムも導入されている。
ディスク媒体のゲームには付き物のロード時間にも気を使っており、ゲーム中にロードで待たされることはほとんどない。

パーティメンバーといつでも会話できる『仲間会話システム』が実装されたのも本作から。
後発の作品と比較しても特に会話パターンが作り込まれており、本作のテキスト量は極めて膨大になっている。

新しい試みがいろいろある一方、DQ6とほぼ同様の転職システムを用いているなど、シリーズ経験者にはお馴染みの要素も。

DQ4以来のオリジナル版が北米展開された作品だが、当時はまだ大人の事情が解決する前だったので、英題はリメイク版と異なりDRAGON WARRIOR VIIだった。



2013年2月7日にリメイク版がニンテンドー3DSで発売された。


リメイク版は基本的にオリジナルより遊びやすい作品に仕上がっている。
ただし、本作の売りであった仲間会話システムは一部の台詞が削除*2されていたり戦闘中に会話できなくなっていたりと、PS版と比べてテキストのボリュームが大きく減らされており、その点は不評。

スマートフォン向けにも発売されており、3DS固有である「すれちがい通信」関係のシステムとモンスター出現がランダムエンカウントに戻った事を除き、概ね3DS版をベタ移植した内容になっている。


【あらすじ】

果てしない海に四方を囲まれた小さな島、エスタード島。
魔物もいないこの島で、グランエスタード王国による統治の元、人々は平和に暮らしていた。

「この世界にはエスタード島以外の島や大陸は存在しない」というこの島の通説に疑念を抱いた主人公とキーファ王子は、冒険心と好奇心に導かれるまま、島で“禁断の地”とされる謎の遺跡を探索する。
やがて主人公たちが遺跡の謎を解き明かすとき、世界はその真の姿を現すこととなる。


【主な登場人物】

本作の主人公。漁村フィッシュベルに住む、漁師の息子。16歳。
歴代シリーズでは極めて珍しい素朴な少年タイプの外見。
将来は父の跡を継ぎ立派な漁師になるのが夢らしいが、今はひたすらアンチョビサンドを運ぶ日々。
腕に不思議なアザがあり、ときどき光って何かが起きたりする。

グランエスタード国の王子。18歳。
主人公と仲が良く、二人でつるんで島中で遊び回っている。
年齢の割に行動がやんちゃで、国民の頭痛のタネになっているが、明るい人柄からなんだかんだ愛されている様子。
ステータスは典型的な脳筋戦士タイプで、戦闘ではかなり頼りになる。
種泥棒。

フィッシュベルの網元の一人娘。主人公の幼馴染。16歳。
いわゆるツンデレ(本作発売当時、ツンデレという言葉はまだ存在しなかったが)。
「遊んでくれてありがとう。つまらなかったわ。」は至極の名言。
ステータスは魔法使いタイプで、様々な呪文を覚える。
仲間会話システムを楽しんでもらうために用意されたキャラクターなので、積極的に話しかけてみよう。
実写CMの彼女は死ぬほど可愛い。

狼少年(嘘つき的な意味ではなくて)。
言動が孫悟空(ドラゴンボール)に似てるとか言ってはいけない。
というか実際に比べてみると意外と似てない。
野生児なのですばやさに長けるが、装備品が貧弱なのがたまにキズ。

かつて魔王が存在した時代に、神と共に戦ったという伝説の英雄。長い間ホットストーンの中に封印されていた。
だがその実体はただのスケベジジイ。ござる口調。
冒険の途中で仲間になる。ステータスは全体的に高いが足が遅め。

放浪の一族『ユバール』出身の踊り子で女剣士。
誰かに雰囲気が似ているらしい。
良くも悪くも普通の人。ステータスも普通。




【登場する町・村・地域】




【システム】

謎解き

シリーズ初の3Dマップを活用した謎解き要素が多数実装されている。
特に物語導入部の『謎の神殿』が有名で、普通にプレイすれば30分以上も謎解きだけの時間を過ごすことになる。
この謎解きを終えなければ魔物とも出会えないため、本作は「スライムと出会うまでが最も長いドラクエ」と言われることも。

この筋書きは当時かなり驚きをもって迎えられ、いつまで経っても冒険が始まらないことにやきもきしたプレイヤーも多かった。
なおリメイク版では謎解きがだいぶ簡略化されている。
この変更は歓迎する声もあった一方、PS版の経験者からは攻略が寂しくなったとの声も。


ふしぎな石版

本作のストーリーは、冒険の先々で『ふしぎな石版』の欠片を見つけることで進行する仕組みになっている。
エスタード島の『謎の神殿』最奥にある台座に、ふしぎな石版をパズルの様にはめこむことで新しい世界へ行けるようになり、行った先で新たな石版を見つけて…というのが基本的な流れ。
石版が手に入る順番はある程度決まっているので、世界を巡る順番はほぼ一本道。*3

このシステムの問題点として、大量にあるふしぎな石版を一つでも取り忘れるとストーリー進行が詰まってしまう。
救済措置として、未発見の石版がある場所のヒントを教えてくれる占い師がいるものの、やはり「探すのが面倒」という意見も多く、この要素は全体的に不評だった。
リメイク版では石版レーダーという便利アイテムが追加され、かなり見つけやすくなっている。


転職

シリーズおなじみのダーマ神殿がストーリー中盤で登場し、各々が好きな職業に就く事ができる。
基本システムは前作のDQⅥを踏襲しており、戦闘回数をこなして各職業の熟練度を上げていくと、新しい技を覚えられる。

ただし、弱すぎる魔物と戦っても熟練度は得られないため、パーティーのレベルを上げすぎると何と戦っても熟練度が上がらず苦労することも。
やりこみゲーマーはひたすらクレージュ周辺でスライムを狩る事になる。
3DS版ではすれちがい石版にお世話になった人も多いだろう。

『戦士』『魔法使い』などの基本職から、『魔法戦士』『賢者』などの上級職、さらにモンスター職と呼ばれる特殊な職業まで含めれば、職業の総数はなんと全部で54種類。
モンスター職を極めると、そのキャラのフィールド上での見た目がそのモンスターになるというお遊び要素も。


3Dマップ

町やダンジョンなどのフィールドマップが3Dになり、視界を回転させて建物の裏なども調べられるようになった。
正面からは見えない死角に宝箱や隠し階段がおかれている事も多い。

カメラを動かさないと見つけにくい階段や扉の先にふしぎな石版が隠されている場合もあり、そういった部屋に気づけないプレイヤーがストーリー進行に詰まるケースもあった。
3DS版ではそのような部屋の存在にプレイヤーが気づけるような工夫が施されている箇所もある。


仲間会話

今作初のシステム。
村人などのNPCが隣にいない時に「はなす」コマンドを実行することで、パーティーの仲間と会話できる。
新しい町に着いた時や、村人に話しかけた後、イベントシーンの直後など、あらゆるタイミングで話しかけることで、仲間達の様々な反応を楽しめる。
パーティーに一時的に加入する仲間NPCとも会話可能。ちなみに本作は、期間限定でパーティー入りする仲間NPCの数が非常に多い。
後にリメイク版のⅣ~Ⅵにも同様の会話システムが実装された。

従来のドラクエでしばしば指摘されていた「イベントシーンでよく喋っていた仲間キャラが、パーティーに加入した途端に無口になってしまう」という問題*4に対する明確な改善点であり、「ここは◯◯の村です」というような村人のささいな台詞にもいちいち反応する仲間キャラの様子を楽しめる。

筆者の私見だが、このシステムを楽しんだか否かで本作の評価は大きく分かれると思われる。
本作は陰鬱とした雰囲気や暗いストーリー展開、切ないイベント等が多いので、仲間との会話が精神的な支えになることも多いだろう。

なお、PS版独自の要素として戦闘中でも会話できる機能が挙げられる。
戦闘の状況に応じて様々な会話を楽しめる他、ストーリー上で戦うボスに対しては専用の台詞も用意されているという異様な作り込みよう。
ちなみに戦闘中に話し続けていると、敵もしびれを切らして攻撃してくる。
3DSリメイク版では残念ながら戦闘中に仲間に話しかけられなくなってしまった。


移民の町

シムという老人の依頼で、主人公たちが冒険の先々で出会う『引越しを希望する人々*5』をとある町に案内し、集まった移民によって町を発展させていくシステム。
移民の人数や職業(商人、農民など)に応じて、町はさまざまな形に変貌していく。
移民は主に町の宿屋や道具屋などの定位置に低確率で出現。
また、メモリーカード内の他のセーブデータと通信し、移民を交換することもできる。

リメイク版では移民の町の管理者が少女ティアに、移民が「元々モンスターだった人間」という設定に変更された。


モンスターパーク

戦闘後になついた魔物を連れてきて、動物園のように生活させることができる施設。
集めた魔物とはパーク内で会話できる。仲間として連れることはできない。
雑魚モンスターは全種類連れてくる事ができ、制覇すると「チビィのかたみ」というアイテムが貰える。


すれちがい石版

3DS版にて追加された要素。
モンスターパークにて、なつかせた魔物を3体以上選択し、石版を発掘させることができる。
発掘された石版をはめ込むことで、選択した魔物が出現するダンジョンに向かえる。
すれちがい通信に対応しているため、プラチナキングなど高経験値が出るダンジョンをゲットできれば、ストーリー序盤から恐ろしい速度でレベル上げが出来るため、バランス崩壊に注意。
また、モンスターの心が比較的簡単に手に入ったり、出現モンスターの強さと無関係に職業の熟練度が上がるという特徴もある。


【評価】

当時波に乗っていたプレステでの発売や、CMにSMAPを起用した事などにより、DQ1~DQ7までのナンバリング作品の中では最も売れた作品となった。(のちにDQ9に記録を更新される)

しかし、後述の理由により作品全体の評価としては賛否両論となっている。

  • ストーリーが長い/暗い話が多い
    • 物語のボリュームが凄まじく、初見で何の情報も無しにプレイすると ストーリークリアだけで100時間以上かかる なんて事も。
    • 全体的にストーリーが暗く、魔物の恐ろしさ以上に人間の精神的な弱さや醜さ、愚かしさを描いた話が目立つ。
      短編の中には悲しい結末を迎えるものもあり、単純なハッピーエンドばかりとはいかない。
    • 「主人公を中心に据えた長大なストーリー」というよりは、「それぞれの町で独立したストーリー*6が展開される短編集」という趣が強く、この点でも好みが分かれる。
      • 中には、ストーリーの大半が会話イベントで進行する町もある。(ダイアラックグリンフレークなど)
        ボス戦やダンジョン攻略を楽しみたいプレイヤーには不評だった。
    • ただし、それぞれの町のストーリーはよく作り込まれており、その完成度を評価する声もある。
      • フォロッド編のストーリーは人気が高く、ドラクエシリーズ屈指の感動エピソードとしてしばしば語られる。
      • 胸くそ悪い展開で有名なレブレサック編も『村社会』や『歴史改竄』などのテーマで色々考えさせられる面がある。
  • システム面で難が多い
    • ふしぎな石版を取り忘れてストーリー進行が詰まるのは本作のあるある。
      RPG慣れしているプレイヤーでもこれでつまずくことはある。
    • 戦闘バランスが大味。MP消費ゼロで使える特技に強力なものが多く、呪文と特技のバランスがとれていない。
    • 初期出荷版では特定の場面でフリーズバグが多発する。後期出荷版では改善された
  • 一部のムービーの完成度の低さ
    • 本作はシリーズ初となる3DCGムービーが導入されたが、その一部があまりにも酷い出来で、もはや伝説と化している。
    • 初代PSというハード性能を考慮しても低品質。同時期のFFシリーズは美麗なムービーを売りにしていたため、尚更やり玉に上げられやすかった。
      • ムービーシーンにおけるキャラクターのモデリングが極端に酷い一方、火山の噴火やティラノス復活など『人間が映らないムービー』は良くできている。
        当時の開発スタッフに鳥山キャラを3Dに落としこむノウハウがなかったのであろう。

しかし、個性的な作風から根強いファンも獲得しており、特に近年では充実した仲間会話やストーリーの質の良さが再評価される傾向にある。
ある程度大人になってからプレイすると、重く暗いストーリーも味わい深く感じられるだろう。
プレイ環境と時間ががあるならば、ぜひ一度プレイしてみる事をおすすめする。
それぞれの町の物語をかみしめながら、積極的に仲間に話しかけつつ冒険を進めると、本作の魅力が見えてくる…かもしれない。


【メディアミックス】

コミック

「ロトの紋章」で有名な藤原カムイ氏により全14巻で制作された。しかしキーファと別れたところで物語は終了している。
しかも後半はほぼオリジナル展開かつ、「ロトの紋章」と無理やり絡めた話になっており、非常に評判が悪かった。
「DQ7の完成されたストーリーに手を加えることが難しく、自ら打ち切りを決めた」とカムイ氏が後に語っているが、同時に読者に対しても「オリジナル要素を入れたらうるさく騒がれる」と批判している。



追求・修正はDQ7をクリアしてからお願いします。

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最終更新:2025年03月20日 19:01

*1 外伝を含めたらキャラバンハートが最後。

*2 主に下ネタ関連の台詞など

*3 一部、順不同で攻略可能な世界もある

*4 「パーティー内での会話はプレイヤーが脳内補完するのが当たり前」という意見もあるが、Ⅳ以降のドラクエは仲間キャラの個性付けに力が入っているため、脳内補完でなく「実際のゲーム内で彼らの台詞がもっと聞きたい」というユーザーも多かったであろう。

*5 たまに動物も出現する

*6 それぞれの石版世界のストーリーはほぼ独立しているものの、とある石版世界で出会った人物が、別の石版世界で再登場する等のちょっとした接点がある場合もある。