特命係長 只野仁

登録日:2022/05/14 Sat 20:45:50
更新日:2025/01/12 Sun 08:33:46
所要時間:約 15 分で読めます






只野(ただの)(ひとし)。大手広告代理店の窓際係長。

しかし、それは表の顔に過ぎない。

彼には会長直属の特命係長として様々なトラブルを解決するという、もう一つの顔があった。


特命係長 只野仁



『特命係長 只野仁』とは、柳沢きみおの漫画作品である。
本項ではこれを原作としたテレビドラマについても解説する。


概要

見た目は冴えない窓際係長が、会長の特命を受けて社内外のトラブルを解決するトラブルバスター作品。
単なるトラブル解決に加え、柳沢作品の特徴でもある「人間の欲や人生観」が描かれている。

1998年から「週刊現代」で連載を開始。掲載紙や媒体を変えつつ、現在は新入社員時代を描いた『特命係長 只野仁 ルーキー編』と『特命係長 只野仁 令和編』が連載中。

テレビドラマ

テレビ朝日・MMJ制作で2003年から「金曜ナイトドラマ」枠で放送を開始。
足掛け15年にわたって制作される人気作品となった。
劇場版を除く話数は連続ドラマ初回から通算でカウントされている。
連続ドラマが5シリーズ、ABEMA版が2シリーズ制作されており、このうちドラマ第4シリーズは木曜21時台で放送されている。
この間単発のスペシャル版が5本、松竹配給の劇場版『特命係長 只野仁 最後の劇場版』(PG12指定)が1作制作されている。

本作の脚本家には、「ガリレオ」シリーズの福田靖、「名探偵コナン」のアニメオリジナルエピソードも手掛けている三上幸四郎、「温泉へ行こう」シリーズの脚本家で吉本坂46のメンバーでもある旺季志ずからが参加していた。

最大の特徴は、21世紀以降の地上波のテレビドラマでは珍しくなったお色気シーンが頻繁に登場する点。
実のところ昭和や1990年代の時点では、地上波でもおっぱいが出ることは珍しくはなかった
ドラマや映画の濡れ場、着替え・入浴シーン、バラエティー番組のエロ企画etc...
しかし21世紀になると、規制によりそういうシーンはなかなか放送されなくなったため、結果的にこのドラマの大きな特徴になったとも言える。

只野が情報収集をする際、関係する女を自分に一目惚れさせてホテルへ行き、「フンフンフン!」と抜群のベッドテクニックを駆使して情報を聞き出すのが毎回のお約束
ゲストとしてAV女優が頻繁に登場し、番組のみならず視聴者の股間も盛り上げた。
回を追う毎にベッドシーンやサウナにおける只野と森脇のやり取りなど、お色気ながらコミカルな要素も増えるようになった。

ストーリーは
会長から特命を受けて調査開始

ちょっとしたお色気シーン

調査に急展開

フンフンフン!

事件の真相に到達。その一方関係者が危機的状況に陥るが只野が間一髪で到着

只野が上半身裸になり、ジークンドーのアクションを繰り広げ悪党を一人でなぎ倒す

会長室で「男の美学」*1をバックに特命の総括を語る

という流れで基本統一されており、時代劇を思わせるパターンも人気を博す理由となった。

同枠のドラマでは珍しくスピンオフ作品が長らく作られていなかったが、2017年にabemaTVで『夢見るサウナ』が制作された。
こちらは野村・久保を主人公に迎え、サウナ嬢にAV女優が登場している。

登場人物

  • 只野仁
演:高橋克典
本作の主人公で電王堂総務二課勤務の係長。
本名は「ただの じん」なのだが、「ただの人」と揶揄する意味で「ただのひとし」と呼ばれる。
普段はグレーのスーツに大きな眼鏡をかけた冴えないドジ社員を装っているが、夜の顔は頭脳明晰かつ何でもこなすスーパーマン。
特にベッドのテクニックが超一流で、調査の大半をこれに費やすと言っても過言ではない。
ドラマ版ではナニで相手をなぎ倒すという驚異的な身体能力を見せる。
原作ではその生業故存在は一切知られていなかったが、近年は社内で特命係長の存在が都市伝説レベルで語られるようになったという描写がある。
ドラマ版では何らかの形で只野の裏の顔を知る電王堂社員も登場するが、その大半が事件の黒幕であることが多く、事件解決後に懲戒や退職という形で会社を去るケースがほとんど。よく身バレしないな
原作では体育大学に在学中に黒川会長からスカウトされて電王堂入りしたことが明かされている。

  • 坪内紀子
演:櫻井淳子
電王堂秘書課に勤務する会長付の秘書。
昼の只野を非常に毛嫌いしている。
実は会長の子供*2なのだが、それを知るのはごく少数。
チンピラに因縁をつけられたところを夜の只野に助けられたことで一方的に惚れており、原作では夜の只野と関係を持っている。
ドラマ版では新水と只野を巡るライバルとして友情を育む描写も見られた。

  • 佐川和男
演:田山涼成
電王堂総務二課長。
只野の上司であるが、どこか憎めない只野のよき理解者でもある。只野も彼には親しみを持っており、屋台で酒を交わすこともしばしば。
原作ではうつ病や統合失語症に悩まされるなど、シリアスなキャラクターとして描かれている。
ドラマ版で定年退職を迎えた際には只野が黒川に対し再雇用を頼んだ結果、課長待遇が継続となった。

  • 黒川重蔵
演:梅宮辰夫
電王堂の創業者兼会長で、只野の正体を知る唯一の上司。
社内外の表沙汰にできないトラブルを解決するため、只野に特命を下す。
都内ホテルの経営者と強力なコネクションを保持しており、ターゲットがホテルに泊まっていれば探し出すことが可能で、只野の特命を支援している。

演じた梅宮辰夫はドラマ第3シリーズ最終回(第31話「狙われた女ハスラー」)で実娘・梅宮アンナと共演している。
なお、只野役の高橋と黒川役の梅宮は親戚同士でもある(高橋の祖母の妹が梅宮の母親)。

  • 新水真由子
演:三浦理恵子
朝売テレビ(ドラマ版はジャパンテレビ)アナウンサー。
ストーカーから助けてもらったのをきっかけに毎回のように肉体関係を持つことに。
只野の両方の顔を知る数少ない存在で、マスコミに入ってきた情報を伝えるなど只野を裏から支える。
原作では大人の女性のイメージだが、ドラマではわがままなキャラクターが強調されている。
ドラマでの情報提供は当然のベッドの上で、回を追う毎に風変わりな演出が行われた。

  • 山吹一恵
演:蛯原友里
電王堂総務二課のOL。昼の只野に惚れている描写がある。
ドラマはABEMA版を除く全話に登場。
原作では係長に昇進している。
実は処女。

  • 野村俊夫
演:近江谷太朗
電王堂営業二課の課長で只野の同期。
コンドーム製造会社の息子で、電王堂にはコネ入社。
社内では只野をよくいじめて遊んでいることが多い。

  • 久保順平
演:斉藤優(パラシュート部隊)
野村の腰巾着で、原作では今岡に相当するキャラクター。
そっち方面の気があるのか、野村に惚れているような描写もしばしば。

演じた斉藤優は、近年は福岡県の民放多数のレギュラー番組を持つローカルタレントとして知られており、拠点を福岡に移動後も出演していた。

  • 森脇幸一
演:永井大
只野の後輩かつ部下。
ドラマオリジナルキャラクターだったが、好評につき原作にも登場するようになった
普段は電王堂のメールボーイとして働いており、社内外の様々な場所で情報収集を行う。
戦闘能力は皆無で、格闘シーンでは逃げ回るor誘導役を演じているが、偶然の幸運や気力などで倒したこともある。
屋上やサウナで只野と並んで雑談や作戦を立てるシーンも多い。

演じた永井大は、高橋克典とは事務所でも先輩後輩の関係にあたる。
このためのちに同枠で永井主演のドラマ「ああ探偵事務所」が放送された際は、ゲストキャラとして只野が登場している。

余談

テレビドラマ版は10年以上にわたって制作されたこともあり、後にテレビ朝日の高橋主演作品においては、本作をオマージュした演出が見られた。
以下の二作はいずれも「黒縁眼鏡の高橋」が登場するのも特徴。

2012年にナイトドラマ枠で放送された「匿名探偵」では主役の探偵役を演じており、雑誌記者に扮して調査をしていた時の格好が昼の顔の只野であり、名刺の名前も「仁野只一郎」だった。これ以外にもちらほらと本作の小ネタが見られた。

2017年からスペシャルドラマで放送されていた「庶務行員 多加賀主水」シリーズでは、コスプレ姿で潜入調査をするシーンやクライマックスでの大立ち回りなど、本作を思わせる演出が見られる。ちなみにこちらは江上剛の同名小説を原作としている。





黒川会長「早速だが、この項目の追記・修正をお願いしたい…。それが、今回の特命だ!」

只野「分かりました…!しかしアニヲタWiki(仮)ってまた面倒な件を…。特別ボーナスをお願いしますよ」


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最終更新:2025年01月12日 08:33

*1 高橋克典の楽曲。当初はエンディングテーマであった。

*2 原作では孫娘、ドラマでは妻の前に交際していた女性との間に生まれた子供という設定。