登録日:2022/7/14 Thu 20:35:58
更新日:2024/06/25 Tue 03:24:33
所要時間:約 2 分で読めます
『快傑ハリマオ』は、1960年4月5日〜1961年6月27日にかけて日テレ系列にて放送された、宣弘社制作の特撮ドラマである。
◆概要
『
月光仮面』を成功させた宣弘社によるドラマ。原作は山田克郎の児童小説『魔の城』。
大戦直前の東南アジアやモンゴル(第4部のみ)を舞台に、民衆を弾圧する植民地軍や結託する悪党らと戦うハリマオの活躍を描く。
ちなみに「快傑」とは「怪傑」の『怪』の部分を『快』に置き換えたもので、いわゆる本作で作られた
造語であるが、
後に「ライオン丸」や「
ズバット」も使っている。
DVDが発売されており、視聴は比較的容易。
【モデルとなった人物】
ハリマオは勿論架空のキャラクターだが、
実在した人物をモチーフとしている。
それが、第二次大戦前はマレー半島で活躍した
盗賊であり、大戦中は日本陸軍の諜報員として活動していた
谷豊(1911年11月6日〜1942年3月17日)である。
福岡県筑紫郡日佐村五十川(現・福岡県福岡市南区五十川)出身で、2歳の時に当時
イギリス領だったマレーに移住。
22歳の時に盗賊団を結成し、「マレーの
虎(ハリマオ)」の異名で活動していたが、
太平洋戦争開戦後、現地に精通した諜報員を欲していた日本陸軍参謀本部に説得され、諜報員として協力する事と相成った。
最期はマラリヤに感染して死去。まだ30歳という若さだった。
◆あらすじ
時は、
太平洋戦争前。東南アジアは欧米諸国の植民地となっていた。
軍事機関『ジャワ統治庁』は東南アジアを我が物にするため、裏では死の商人と結託し、次のような計画を立てていた。
その計画の内容は、ジャワの民衆を弾圧、反乱を誘発し、鎮圧を面目に軍を出撃させて瞬く間にジャワを我が物にするという物であった。
また、ジャワ統治庁と結託する死の商人は全く役に立たない武器を売り捌く事で財を成していた。
民衆が虐げられるその時、何処からともなく
馬の蹄の音が聞こえてくる。
その馬に乗ってやって来るは、ターバンにサングラスが特徴の正義の戦士、ハリマオである。
民衆を苦しめる悪党に向かい、正義の銃が火を吹く…!
◆主な登場人物
演:勝木敏之
本作の主人公。
第一部〜第三部、第五部ではマレーやジャカルタ、第四部では蒙古を拠点に活動する
正義のヒーロー。
武器は
拳銃、移動手段は
馬。
民衆が虐げられているその時、馬に乗って颯爽と現れ、手持ちの銃で悪を成敗するターバン戦士。
その正体は、日本海軍所属の大友道夫中尉。
演:町田泉(第一部)/内藤雅之(第二部以降)
日本人の少年。
行方不明になった姉の令子を探しにジャカルタに渡り、ハリマオと出会う。
特技は拳銃の早撃ちで、ハリマオがピンチに陥った際はその腕を活かし、彼を救っている。
演:近藤圭子
太郎の姉。
演:崎坂謙二
ハリマオの部下。
ターバンを被った褐色肌の少年。
演:中原謙二
ハリマオの部下。
本名は山田松五郎で、日本海軍所属の一等兵曹。
銀帝軍は関係ない。
演:八島桂子→江島慶子
ハリマオこと大友道夫中尉の恋人。
演:玉井謙二郎
日本軍兵長。
第四部にてドンゴロスの松の代役として登場し、モンゴルで活躍した。
演:九重九司
第五部に登場した科学者で、真空光線の開発者。
演:天津敏
南條博士の息子で、格闘技が得意。
第五部でハリマオの部下を勤めた。
演:ヘンリコ・ロッシー
ジャワ統治庁の長官。
野望を達成するため、秘密結社『黒いつめ』のボス、キャプテンKKに莫大な報酬と引き換えにハリマオの
暗殺を依頼した。
しかし、陳(後述)の武器を全て奪い取ったハリマオは太郎たちの協力を得て黒いつめがある魔の島に乗り込み、黒いつめを叩き潰す。
結果、コバール長官の野望は脆くも崩れ去るのであった。
演:大竹タモツ
第一部〜第三部におけるハリマオの敵。
ジャワ統治庁と結託し、全く役に立たない武器を民衆に高額で売りつけ、財を成していた死の商人。
最終的には自身の持ち武器を全てハリマオに奪われ、敗北する。
演:牧冬吉
ジャワ統治庁と結託している秘密結社『黒いつめ』の首領。
魔の島と呼ばれる孤島に本拠地を置いており、コバール長官から莫大な報酬と引き換えにハリマオの暗殺を依頼されるも、最終的には陳から奪い取った全ての武器を手にしたハリマオによって倒され、組織は壊滅した。
演:ベルナルド・ヴァーレ
第二部に登場した某国の
スパイ。
演:牧冬吉
第三部に登場。
アラフラの真珠を巡り、ハリマオと敵対する。
演:田中深雪
第四部に登場。
モンゴル人の少年で、太郎から拳銃を譲渡され、ハリマオと共闘した。
演:曽根弘二
第四部に登場。
蒙古の王になるべく、暗躍する。
演:青沼三郎
第四部でハリマオに協力する蒙古の長老。
演:木暮瑛
馬賊集団『モンゴルの狼』のボス。
演:城美穂
ダルガ老人の娘。
第五部に登場。
表向きはR商社の支店長。
しかし、その実態はテロリスト集団『赤とかげ』の首領で、南條博士が開発した真空光線の設計図を狙う。
◆主題歌/劇中歌
歌:東京メール・クァルテット(第一話〜第五話まで)、三橋美智也(第六話以降)
歌:近藤圭子
◆コミカライズ版
石ノ森章太郎による漫画版が
週刊少年マガジンにて連載されていた。
1971年に単行本が発売されたが、原稿が行方不明となっていたためマガジン掲載分からトレースして単行本用の原稿を制作したという。
また、『
三丁目の夕日夕焼けの詩』の第15巻に収録されているエピソードのうちの一つ「正義の味方」では西岸良平によるハリマオが描かれている。
◆余談
- 第2部以降のオープニングには「ハリマオとは? マレー語で 虎のことである」というテロップが表示されている。
- オープニングは伊豆大島で撮影されているため、よく目を凝らすと一部にガードレールが映っている。
- 第三部は実際のタイ・香港・カンボジアで撮影が行われ、日本テレビ史上初の海外ロケ作品となった。
しかし、カンボジアのアンコールワットでロケを行った際、現地の人に誤解されて軍に拘束されてしまったが、幸いにも日本語が話せる現地人がいたため、事なきを得た。
しかし、もし、日本語が話せる現地人がいなかったらどうなっていただろうか?
いうまでもなく、誤解を解くのにかなりの時間を要してしまい、最悪の場合作品自体が闇に葬り去られてしまった可能性も充分に有り得る。
そう考えると日本語が話せる現地人はまさに救いのヒーロー、所謂地獄に仏と言っても過言ではないだろう。
なおアンコールワットは後の内戦で荒廃してしまったため、本作の映像が貴重な記録の一部となっている。
- 番組終了後に「ハリマオは撮影中に象に踏まれてor鰐に喰われて死んでしまった」というデマが流れたこともあったという。
- 主役のハリマオを演じた勝木氏は1965年に俳優業を引退し、居酒屋を開いたが暫く経った後に廃業。
その後は行方不明となり、宣弘社は今もその行方を追っているのだという…。
追記・修正 僕らの項目
- 主演の人、実家に行方を問い合わせたら拒絶されたってあるのが不穏だなあ… -- 名無しさん (2022-07-15 19:40:24)
- ハリマオのモデルにして名前の由来になったのは実在した日本軍の諜報員で「マレーの虎(ハリマオ)」の異名をとった谷豊(たに ゆたか)、というのも書いといて欲しいな。 -- 名無しさん (2022-07-15 22:29:39)
- 怪傑が怪傑のままなんだけど…… -- 名無しさん (2022-07-15 22:48:10)
- 悪役の作戦が生々しすぎる… -- 名無しさん (2022-07-23 03:29:47)
- 江島慶子さんは美人だったなあ -- 名無し (2023-06-25 15:50:10)
最終更新:2024年06月25日 03:24