未来分岐点(星のカービィ ショートコミック劇場)

登録日:2022/08/01 Mon 10:16:21
更新日:2025/05/15 Thu 10:20:02
所要時間:約 4 分で読めます





未来分岐点は、エニックス(現・スクウェア・エニックス)出版のアンソロジーコミック星のカービィ ショートコミック』に収録されている漫画作品の一つ。
作者は4コママンガ劇場の常連さん・栗本和博。


概要

一応他の作品と同じく「星のカービィ スーパーデラックス」をベースにしているが、その中でもオリジナル要素が強く、かなり異彩を放っている。
本作は、プププランドに来訪した未来人と未来のプププランドに起こった現状、その未来を変えるための解決策などといったSF要素が盛り込まれているのが特徴で、本作オリジナルキャラとしてカービィ達の子孫が登場し、コックカワサキも重要な立ち位置で場を盛り上げてくれるのも見所。


ストーリー

いつものように呆れ返るほど平和なプププランドに、突如謎の飛行物体が出現した。
そこから、カービィによく似た姿の少女・マーゴが姿を現した。

カービィの孫娘と名乗るマーゴの話によると、祖父であるカービィの食欲が原因で自分たちが暮らすプププランドが深刻な食糧難に陥っているという。
それを知ったカービィは、子孫たちがお腹いっぱい食べられる元の平和なプププランドに戻すべく、未来を変えるための解決策を練る。


登場人物

ご存知、みんな大好き本作の主人公の大飯食らいなピンクの悪魔星の戦士。
自身の孫にあたるマーゴから未来のプププランドの現状を知らされ、その原因が自分にあることに責任を感じ、プププランドの未来を変えるべく解決策を練る。
ちなみに原作でのカービィの性別は一応不明だが、本作ではマーゴから「おじいちゃん」と呼ばれていることから男性である模様。どの漫画のカービィも大体そうだって?

  • バーニンレオ
カービィのヘルパー
このアンソロにおけるヘルパーは殆どがカービィの子分扱いで、作者によってはかなり悲惨な扱いを受けることもあるが、本作ではそれ以上にカービィが酷い目に遭うため良くも悪くも活躍は控えめ。

  • マーゴ
本作オリジナルキャラクター
未来のプププランドから来た少女で、その名の通りカービィの孫娘にあたり、外見もツインテールにジャンパーを着たカービィのような姿をしている。
祖父であるカービィの食欲が原因で自分たちが暮らすプププランドが深刻な食糧難に喘いでおり、それを祖父に知らせ解決してもらおうとタイムマシンに乗って現在のプププランドへと来訪した。
マーゴを含む未来人は、食糧難に適応するためにかなり小食になっており、バーニンレオから食事を振る舞われた際もリンゴ一個程で満腹になっていた(その際、食べ残しに手を付けようとしたカービィを殴った)。
なお、マーゴたちが暮らすプププランドは前述のように祖先であるカービィの大食が基で深刻な食糧難に陥っているが、タイムマシンを開発させるほどに科学技術が発展している模様。HW社に侵略されたのか?

未来のプププランドの食糧難解決に奔走するカービィたちの前に現れ、その解決策としてある材料を使った料理を作る。

  • ダダダ大王
マーゴ同様、本作オリジナルキャラクター。
ストーリー終盤で登場したデデデ大王の子孫で、こちらはフライトキャップにゴーグル、コートという飛行機乗りのような出で立ちのデデデのような姿とバードンのような前髪と凛々しい眉毛が特徴。
彼もまた、マーゴと同じ悩みを抱えているようだが……。




※以下、ストーリーのネタバレ注意









食糧難に悩む未来のプププランドを変えるため、マーゴ主導による「大食らい矯正作戦」が始まるが、
その内容はかなり強引なものであった。

夕食をカレーライス(?)一人前に制限されたカービィは空腹で眠れず、つまみ食いしようと冷蔵庫へ向かう。
だがマーゴの手により、冷蔵庫は巨大な南京錠とチェーンで厳重に封印されていた。
カービィの力を持ってすれば鍵を破壊する方法などいくらでもありそうだが、なにせ腹が減って力が出ないのである。

そんなこんなで、ほとんど断食同然の生活を送らされたカービィは別人のようにやつれてしまい、バーニンレオは「このままじゃカービィが餓死する」と訴える。

ポップスターを守る戦士が居なくなってしまっては本末転倒だと気付いたマーゴは発想を変え、
腹持ちの良い「思いっ切りかさばる食べ物」を作り、カービィのお腹が空かないようにすることを思いつく。

マーゴは考えた末、カービィの体よりも大きい巨大なパンを焼く。
喜んでかぶり付くカービィだったが、すぐに異変に気付く。

「中身スッカスカでお腹に溜まらないよ……。」

巨大パンの正体は、普通のパン1個分の材料を強引に膨らませた「スカスカパン」だったのである。
もちろんこんなもので腹が膨れるはずもなかった。

そんな中、カービィたちの前にどっからか聞いたのか事情を知ったコックカワサキがやって来る。
カワサキは、食糧難を解決するための案として食べれば長い間満腹が続くパイを作ることを提案する。

早速パイ作りに取りかかるカワサキだが、パイ生地の材料として使ったのは…、

なんとセメント!!それも10袋

アニカビのカワサキがやりそうなぶっ飛んだ発想だがカワサキによれば、セメントをパイ生地に混ぜることで消化が抑えられ、それによって腹持ちが良くなるとのこと。良い子は真似しないように!

こうして出来上がったのが、

セメントミックスパイ

早速カービィはそのパイを実食。

結果はカワサキの言う通り、セメントが混ざったパイを食べたことで腹に溜まりやすくなり、それと同時にいつまで経っても空腹にならなくなった。もう一度言う!良い子は絶対真似しないように!!

これにより、未来のプププランドの食糧難は無事に解決!
マーゴはカービィとカワサキに感謝しながら未来へと帰還する。
かくして、プププランドの未来は一人の料理人の手により救われたのだった…。



……と、思いきや!



カービィたちの前に今度はデデデ大王の顔を模したタイムマシンが出現!
そこから、これまたデデデによく似た姿の青年・ダダダ大王が姿を現す。

デデデの孫息子と名乗る彼の話によると、祖父であるデデデ大王の食欲が原因で自分たちが暮らすプププランドが深刻な食糧難に陥っているという。
まさかの展開にこれにはカービィとカワサキは呆れ顔…。

カービィといい、デデデといい、二人の大食い野郎共に運命を振り回される子孫たちなのでした…。


余談

カービィと未来から来た子孫という組み合わせは原作では見られないシチュエーションであり、現在のところこの組み合わせが見れるのは本作くらいである。


追記・修正はセメントミックスパイを食べながらお願いします。

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最終更新:2025年05月15日 10:20