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あぁ いいな!

登録日:2022/12/21 Wed 08:58:59
更新日:2026/08/19 Wed 10:03:52NEW!
所要時間:約 3 分で読めます





『あぁ いいな!』とは、歌手ユニット「W(ダブルユー)」の楽曲である。


【概要】

そもそも「W」とは、辻希美と加護亜依の2人によって結成された、ハロー!プロジェクト所属のアイドルデュオである。
本曲は、そのWの2枚目のシングルとして2004年8月18日に発売された楽曲。
作詞・作曲はモーニング娘。のプロデューサーであるつんく♂、編曲は鈴木Daichi秀行が担当している。カップリング曲は「乙女の携帯電話の秘密」。

本曲でひときわ目を引くのが、場違い感漂うナマズというフレーズである。
もっとも、そこを除けば、年頃の女の子の等身大の欲求や日常、淡い恋心をテーマにした、いかにもアイドルソングらしい楽曲……の、はずだったのだが


タイアップ

本曲は、あるテレビアニメの主題歌としても起用された。
そのアニメこそ、国民的アニメドラえもんである。
本曲は、いわゆる大山版『ドラえもん』における10代目エンディングテーマとして使用された。

小泉今日子、吉川ひなの、SPEEDなど、女性アイドルが『ドラえもん』の楽曲を担当した前例はこれまでいくつも存在していた。しかし、アイドルユニット、しかも当時勢いのあったハロプロ所属のユニットを起用するという人選は、それまでの『ドラえもん』としてはかなり攻めたものだったと言える。



そして曲の世界観を表現した結果、こうなった。



【EDアニメーション】

まず、アニメーションには終始、原作・アニメ本編に出ない、歌詞由来のナマズのキャラクターが登場する(「地震なまず」という道具ならあるが、それとは別物)。

Bメロでは、のび太しずかジャイアンスネ夫夜の歓楽街をバックに、歌詞そのままに金持ち風(なぜか明治っぽい)のコスプレをする中、ドラえもんだけナマズのコスプレ……どころかナマズの人魚と化す。
(ちなみに普段の服装から変化する際、原作漫画のコマが被さる演出がある)
すると、例のナマズがドラえもんを見つめ「❤」状態に。

続くCメロでは、チェア2つが置かれたビーチでナマズが、かき氷2つを持ちながら誰かを待っている様子に。
その後ドラえもんは夫婦岩を背景に駆けていき、ガールフレンドの猫「ミイちゃん」と寄り添いながら見つめ合う場面に変わる。
それを見たナマズはショックを受け、立っていた岩場ごと崩れ落ちてしまう。

そしてDメロでは、ピンクのフリフリエプロンを着たジャイアンの母ちゃんがカレーの味見をするのだが、激辛だったのか鼻から炎を吹き出してしまう。
その後ドラえもんが夜の住宅街を歩く後ろをナマズがストーキング。ドラえもんは夜空に輝くミイちゃん型の星座を見つめるのだが、突如ナマズ型の星座に変わり、しかめっ面になる。
そしてレギュラー5人とナマズが夫婦岩を背景に駆けていき、先程の「ミイちゃん→岩場ごと崩れるナマズ」の映像が使い回される。

最後に、ナマズがレギュラー5人と一緒に自分もレギュラー面して手を振り終了する。


総じて、ナマズがドラえもんに横恋慕しているかのような映像となっている。
いくら恋心を歌っているとはいえ……。

当然ファンの間では、ドラえもん屈指の迷曲として扱われるようになった。


更に言えば、この曲が大山版ドラえもんにおける最後のエンディングテーマである。
水田版で「もしものがたり」が起用されるまでは新規エンディングテーマに20年のブランクが空くこととなった。


しかしリアルタイムで見ていた人でも、一部からは

「大山版最後のエンディングは(ひとつ前の)『YUME日和』かと思っていた」

という声が挙がる事もある。無意識に記憶から消去したのだろうか…*1

兎にも角にも、26年間続いた大山版ドラえもんという作品を締めくくるには、あまりにもキテレツすぎたのかもしれない。
実際、アイドルタイアップ曲が多く、シュール路線の()曲『スイミン不足』を擁する『キテレツ大百科』なら違和感はなかったという声もある。

ただし、末期の大山版の作風がカオス&シュール傾向にあったことから

「末期の大山版ドラえもんにぴったりな曲」

という良いのか悪いのかわからない評価も多い。


最後に、当時発売していたムック本『ぼく、ドラえもん』13号のインタビューにて辻・加護両氏は、「歌詞の中で女の子はナマズに色々な願いをかけている。それをドラえもんに様々なお願いをするのび太に重ねた……というのがつんく♂さんの考えらしい」と語っている。

【なぜこの歌がここまで話題になるのか】

ここまで読めば分かる通り、本曲のEDアニメは確かに個性的である。
しかし、単に「大山版ドラえもんの最後期のEDは変わった映像だった」というだけなら、これほど長く語り継がれることはなかっただろう。

本曲が現在に至るまで妙に話題となる理由の一つは、「大山版ドラえもん末期の迷走を、実際の映像として確認できる貴重な存在になっている」ことにある。

長年にわたって親しまれてきた大山版ドラえもんは、2000年代に入ると『ドラえもんのうた』の歌い手が頻繁に変更される等、番組を取り巻く状況が大きく変化していった。
本曲の映像は、そうした末期の空気を象徴するものとして、後年になって改めて注目されることとなったのだ。
そのため、本曲は単なる「珍妙なエンディング」としてだけでなく、大山版ドラえもんが終焉へ向かう時期の番組事情をうかがい知ることのできる、一種の資料的存在としても扱われている。

大山版ドラえもんは、極めて長期間制作・放送された膨大な話数を誇るアナログ作品である。
そのため、現在になって過去のエピソードを配信するには、映像のデジタル化に加え、権利処理や、古い作品ならではのコンプライアンス上の問題を確認する必要がある。

特に後者は無視できない問題である。過去には、昭和期に制作されたアニメをソフト化した際、画面の片隅にスタッフがいたずらで書き込んだと思われる下ネタが、後年になって発見され、騒動となった例もある。
このように、現在の基準ではそのまま公開することが難しい要素が、長年の眠りから掘り起こされる可能性もある。

こうした事情もあってか、大山版ドラえもんの過去のエピソードは動画配信サービスでは十分に網羅されているとは言い難く、現在視聴するには絶版となったVHSを個人で探し、入手する必要がある場合が少なくない。

まして、いわゆる「迷走期」と呼ばれる時期のエピソードとなると、ソフト化されている作品自体がさらに限られる。
つまり、「末期の大山ドラは迷走していた」という「事実」そのものは広く知られている一方で、「では、実際にどれほど迷走していたのか?」を他人と共有する手段は、事実上失われつつあるのである。
その結果、現在では動画共有サイトなどに違法アップロードされた映像の切り抜きなどを頼りに、その一端を断片的にうかがい知るしかない、という状況になっている。

では逆に、「再視聴が比較的容易な末期大山ドラの映像」は完全に存在しないのかというと、そういうわけでもない。劇場版シリーズがそれである。

21世紀に入ってからキャスト交代までに制作された劇場版をひとまず「末期大山ドラ」の区分に含めるなら、『翼の勇者たち』から『ワンニャン時空伝』までが該当する。
この時期の劇場版は、多少演出過多な部分こそあるものの、いずれも映画作品として堅実に作られており、概ね好評を得ている。
中でも大山版キャストでの映画最終作にあたる『ワンニャン時空伝』は評価が高く、現在でもシリーズ最高傑作の一つに挙げるファンは少なくない。

つまり、同じ「末期大山ドラ」に分類される時期であっても、劇場版とテレビ版とでは、その評価や映像としての残り方に大きな差があり、なおかつ「末期大山ドラの迷走ぶりを実際に映像で確認し、他のファンと感想を共有する」という機会自体が、驚くほど少ないのである。

もっと端的にまとめれば、
  • 本編:迷走していたはずだが、そもそも視聴自体が困難
  • 映画:視聴は容易だが、内容は真っ当で特に迷走していない
ということになる。

そんな中で妙な存在感を放つのが、この『あぁ いいな!』である。
何しろこれは、アニメ本編そのものではなく、わずか数分程度のEDアニメーションに過ぎない。
エピソード単位での丸ごとアップロードとは異なり、あくまで一つの主題歌に付随するPV・映像作品という扱いであるためか、動画投稿サイト上でも比較的残存しやすい。その結果、現在でもさまざまな場所で目にする機会があ
単純に音源だけ聞いても、明るい『ぼくドラえもん2112』(初期主題歌のリミックス版)からほんわかとした『またあえる日まで』→ノスタルジックな『タンポポの詩』→爽やかで切ない『YUME日和』と穏やかな時間が描かれ、
21世紀の劇場版主題歌も『Love you close』・『いっしょに歩こう 〜Walking Into Sunshine〜』とアニメ版と連動した『またあえる日まで』・『YUME日和』で落ち着いたままわさドラへと繋がっていく中、
唐突にハイテンションな電波ソングが入る事で、これでアニメ版が一区切りという流れが分かりやすくなって…いるかも知れない。

これにより本曲は、「大山ドラ末期の迷走ぶりを、今なお実際の映像・音源として確認できる数少ない窓口」として機能することになった。
そして今日もまた、このナマズは、当時を知らない世代に「大山ドラ末期とは一体何だったのか」を強烈に印象づけているのである。



追記・修正はナマズに片思いされながらお願いします。

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最終更新:2026年08月19日 10:03

*1 大山版最後の放送回は、前年上映の映画『ワンニャン時空伝』の地上波放送であり、そのEDが『YUME日和』であったため、当たらずとも遠からずと言えなくもない。ないか?