キテレツ大百科

登録日:2015/12/20 Sun 14:38:02
更新日:2025/01/08 Wed 04:43:13
所要時間:約 14 分で読めるナリ




キテレツ大百科』は、藤子・F・不二雄先生の漫画作品。
本項では派生作品についても解説する。


概要

発明好きの小学生・木手英一が作り出す発明品が巻き起こす騒動とその日常を描く。

1974年から77年まで家の光協会の雑誌『こどもの光(現:「ちゃぐりん」)』にて連載。
単行本は小学館てんとう虫コミックス(全3巻)と中央公論新社の『藤子不二雄ランド』(全4巻)から発売された。

雑誌の名前にピンとこない人がほとんどだと思うがそれもそのはず。この雑誌は一般書店では入手不可能な農協系児童雑誌ということで、アニメ化以前はかなりマイナーな作品として扱われていた。
藤子ファンであり、後年『新キテレツ大百科』の作画を担う田中道明もアシスタントに入るまで本作を知らなかったほど。
しかしアニメ版が好評をもって迎えられたことで一気に知名度を上げ、藤子F作品の代表作の一つとして認知されるようになった。
また、テレビアニメに連動して藤子F先生監修の下、リメイク作『新キテレツ大百科』がコロコロコミックで連載されており、コロ助の「コロッケが好物」という設定は実はこちらが発祥だったりする。

テレビアニメ以外では2002年にはNHKで『キテレツ』のタイトルで実写化されている。
ゲーム化も4回なされたが、1990年に発売されたものはちょっと黒歴史気味。
「キテレツじごくをつくるナリよ」*1

テレビアニメ

1987年からフジテレビ系列で放送。
アニメーション制作はスタジオぎゃろっぷ*2

当初は単発特番として放送され、好評だったことから1988年からレギュラー化され、1996年まで放送。放送期間8年は藤子F作品の中では今も続く『ドラえもん』次いで二位を誇る。
ただしゴールデンタイムの放送のため改編期特番やプロ野球中継にぶつかって放送休止になる時が度々あり、1995年11月に至っては後続番組である『ロミオの青い空』と共に一度も放送されなかった(フジテレビ系列で独占中継している『バレーボールワールドカップ』の中継期間に当たったため)。
ただし、放送年数の長さに反して、スペシャル放送(放送開始後)や劇場版の映画は一度も作られなかった。

原作は「不思議な道具で様々な騒動が起きる」というフォーマットやメインキャラクターの立ち位置も含め、誤解を恐れずに言うならのび太とドラえもんの立ち位置が入れ替わっていること以外は『ドラえもん』の二番煎じのような話が多かった*3が、放送の長期化に伴って徐々に色々な面で差別化が図られ、既存のキャラクターは魅力あふれる性格へと変化し、アニメオリジナルキャラクターが更に物語を深めていくなど、『ドラえもん』とは違った個性を確立させていった。
例を挙げると、ドラえもんのしずかに相当するヒロインのみよ子は「元気で活発、なおかつキテレツへの好意が明確」と、お淑やかなしずかとは違うキャラクターに差別化され、ジャイアンに相当するガキ大将のブタゴリラや、スネ夫に相当する腰巾着のトンガリは、原作だと「出番の多いキテレツのクラスメイト」といった存在だった*4が、アニメ版ではトラブルメーカー・コメディリリーフ的な立ち位置へ変化していき、特にブタゴリラはキテレツ・コロ助に続く第三の主人公とも呼べる存在へと成長していった。 
「ドラえもんより面白い」と評価する声まで存在している。
世界観はサザエさん時空ではあるものの、花の万博や北斗星など、放送当時の時事流行関連ネタも多数盛り込まれている。

メインライターは『サザエさん』で知られる雪室俊一が務め、特番版含めほぼ全話の脚本を執筆している。藤子F氏もアニメスタッフの尽力を大いに評価しており、生前「藤子アニメの中ではキテレツが一番好きで、毎週かかさず見ています」とコメントを残したほどだった。
その一方、体調問題がないにもかかわらず頻繁にレギュラー陣の声優の交代が生じており、レギュラー放送で最終回まで声優が変わっていないのはキテレツとトンガリのみ。

主題歌も、レシピを楽しく学べる『お料理行進曲』&どこか大人びた『はじめてのチュウ』という今なお知名度を誇る鉄板ラインナップから、
後のTEAM EYESリーダーこと坂上香織の『レースのカーディガン』、
ブルードルフィンこと森恵の『夢見る時間』『フェルトのペンケース』にTOKIOの『うわさのキッス』といったアイドルタイアップ、
ちょっと背伸びした『お嫁さんになってあげないゾ』『ボディーだけレディー』とキテレツのキャラソンとも言える『メリーはただのともだち』、
不条理感あふれる『スイミン不足』、とバラエティに富んでいる。
……よく考えると「アニメの中身に触れた曲」が初代エンディング、『コロ助ロック』、TVSP版主題歌くらいしかなかったりする。

◆ストーリー

発明好きの小学生、キテレツこと木手英一は江戸時代の発明家であった先祖の奇天烈斎が遺した秘伝の書『奇天烈大百科』を親から譲り受ける。

白紙の書と思われた大百科は神通鏡という眼鏡を通して読んだ時のみ内容が分かることを発見し、その第1作としてからくりロボット・コロ助を開発。
その後もキテレツは様々な発明をしてはトラブルを巻き起こし、時には解決していくことになる。

◆登場人物

本項ではテレビアニメ版を基準に解説し、CVはレギュラー放送/単発特番の順で記述する。

●キテレツ(木手英一)
CV:藤田淑子
主人公。表野町小学校の五年生で、発明が大好きな少年。赤いサンバイザーがトレードマーク。
『奇天烈大百科』から復元した様々な発明品でトラブルを解決する存在としてブタゴリラやトンガリから信頼を得ており、危険な事件に巻き込まれた時もリーダーシップを発揮してみんなを導く。
色々な発明品を作ったりする都合上、手先が非常に器用でピッキングによって鍵を開けるという隠れた能力を持っている。その他、この時代の小学生としては珍しく、自分専用のパソコンを所有しており、コンピューターを使いこなす描写も見られる。

学校の成績も悪くなく、特に理科や算数などの理数系科目が得意で、雑学にも詳しい。
しかし国語などの文系科目は苦手で、その他発明と関係ない分野に関してもいまいちで、優等生というほどではない。

一旦好きな事(発明)に没頭すると周りが見えなくなるという悪癖もあり、コロ助を作るためだけに学校を休もうとしたり、みよちゃんそっちのけで発明を始めた挙句、呆れたみよちゃんが帰った事にも気付かずに発明を続けていたりした事も。
その他運動神経が悪いのも欠点だが、苦手意識があって本領を発揮できないのが本音だそうで、いざ本気を出した時は強い。
発明品を不正行為に使う事もせず、自分の力で挑戦しようとする気概の持ち主。

「便利な道具で騒動の引き金になりつつも周囲を助ける」というキャラなので、外見はのび太寄りでも立場はドラえもんと言える。
実際、ドラえもんも基本的に道具によるズルは認めず、のび太の甘えにも必ず一度は「自力で何とかすべき」と助言するので共通点も多い*5

『奇天烈大百科』の秘密に気が付いた次の日にはもうコロ助を作り上げるなど、発明に関してはまさにチート級の才能の持ち主。
早朝にコロ助の開発を始めて、間に学校を挟み、まだ明るいうちにコロ助を完成させているため、実質的に半日かかっていない
ちなみに『奇天烈大百科』は江戸時代に書かれた書物であるため、文章の解読も行いつつこの早さで仕上げた事になる*6

なお、「キテレツはのび太の従弟」という設定は、台湾の出版社が勝手に作ったものであり、非公式(海賊版)である。


●コロ助
CV:小山茉美→杉山佳寿子
キテレツが『奇天烈大百科』を発見してから最初に作り上げたからくり人形=ロボット
『奇天烈大百科』に「からくり人間製法」として記されたものをキテレツが現代風にアレンジした。
キテレツにとっては単なる助手ロボットなどではない「相棒」「家族」として扱われており、パパもママも息子同然に可愛がっている。
一人称は「ワガハイ」で、語尾に「~ナリ」と付けて話す。

背丈は丁髷の先を含んで約50cm*7と幼児並み。
知能程度もまた良くも悪くも幼児並で、純粋な反面幼稚で単純な面が目立つ。
『コロ助ロック』でも歌われている通り、一応キテレツの助手だが、彼の役に立った事はお世辞にも多くない。
むしろキテレツが発明した道具を勝手に持ち出して騒動を引き起こすなどトラブルメーカーであり、外見はドラえもん寄りでも立場はのび太と言える。

コロッケが好物で、ロボットのくせに普通にトイレに行ったりもする。
アニメ版のプロデューサーだった片岡義朗氏によると「コロ助に好きな食べ物の設定を入れよう」という提案が出て、ドラえもんの好物がどら焼きだった事からコロ助=コロッケにしようという事になったという。この設定は藤子F氏も了承済。
原作ではコロッケを食べる場面がそもそもないが食事はでき、ケーキやらインスタントラーメンやら色々喜んで食っている場面がある。

江戸時代のからくりなので「武士」を自負しており、普段も武士道や武士としての誇りを重んじているが、都合が悪くなると簡単に翻したりする。
また、武士だから言って特別剣術に秀でているわけではなく、身長の低さも相まって喧嘩事には滅法弱い。
アニメ版で背負っているはオモチャだが、銃弾を弾き返せるくらいには頑丈。(原作では基本的に丸腰だが、唐倶利武者の起動テスト時に刀を持って挑んでいる。)
キテレツが大人になった未来世界の一つでは、剣術の師範になって道場を開いていた。

原作とアニメでカラーリングが大きく異なる。
原作では顔がピンクで胴体は朱色。
アニメでは顔は手と同じクリーム色で胴体は橙色。
もちろん知名度が高いのは後者の方で、グッズ展開や『新キテレツ大百科』においてもこちらが採用されている。

初代・2代目の中の人同士は同じ局のアニメで同級生役だったことがあり、初代の方は後にキテレツの中の人が演じた役を引き継ぐことになり、実写版のコロ助も担当している。


●みよちゃん(野々花みよ子)
CV:荘真由美→本多知恵子/山本百合子
キテレツのクラスメイトでヒロイン。
気が強くておせっかい焼き、好奇心の強い女の子で、よくキテレツたちの騒動に首を突っ込む。

キテレツとはお互いに惚れ合っており、キテレツが他の女の子にデレデレしたりすると不機嫌になるほど嫉妬深い。
原作(未アニメ化回)では、さらに嫉妬深いリリー(キテレツが改造して作った喋る花)に「あんたキテレツさんになれなれしすぎるのよ」と追い返されそうになった際、
「あたしとキテレツさんは昔からの友だちよっ。」と威勢よく幼馴染アピールをするほど*8
アニメでは「年上好み」という設定になっており、兄(後述)相手はじゃれている範囲だったが佐々木先生の甥(大学生ぐらい?)に本気で惚れてしまう話がある*9

それでも将来はちゃんとキテレツと結婚して子供もできているようだ。

また、仲間外れをとても嫌っており、自分が冒険に置いていかれると怒るのはもちろん、ブタゴリラとトンガリがキテレツをドッジボール大会のメンバーから外そうと企んだ時には本気で怒ってビンタをかましたほどである。
スネ夫に便乗してのび太を仲間外れにするなど、意外に薄情なしずかちゃんとは対照的。

明彦という名前の兄がいるが、函館で大学生活を送っているため滅多に登場しない。
なお、このお兄さんは原作からの登場人物で、漫画では「らくらくハイキング」でハイキングの引率者として登場していたのだが、
唯一の登場話であった同話アニメ化の際に引率者が勉三に変更されて出番なしと成り、そのままいなかったことに…
…となるはずが、100話以上後(当然アニオリ回)の「ハコダテ、イグアナ、イカソーメン」でまさかのアニメ初登場という厚遇を受けた。

中の人は声が似ていることもあってか、交代しても全く違和感がないという事態が起き、藤子F氏も気づかなかった。

ちなみに『ドラえもん』の「ウラシマキャンデー」の回でジャイアンたちが「みよちゃんの家に遊びに行く」と言う場面があるが、
これは『キテレツ』とのクロスオーバー的な場面ではなく、ドラミが登場する外伝話をドラえもんの話に直した際のミスで、
「みよちゃん」はその外伝話に出てくる同名の別人である。(そっちのみよちゃんはこの時の集団にいるしずかちゃんに描き直されている)

●ブタゴリラ(熊田薫)
CV:大竹宏→龍田直樹
キテレツのクラスのガキ大将で八百屋『八百八』の息子。
家業の八百屋に強い誇りを持っており、自ら進んで手伝う孝行者である。
野菜をこよなく愛しており、八百屋や野菜を悪く言われるようなことがあると猛烈に怒り出すほか、物事を何でも野菜にたとえたり、ことわざや慣用句を言い間違えたりする。

「薫」という名前を「女の子みたい」と嫌っているため、自分から「ブタゴリラ」と呼ばせており、みよちゃんでさえ「ブタゴリラ君」と呼ぶ。
ただし、あくまで「自分で呼ばせているから納得している」だけなようで、事情を知らない人から「ブタ」や「ゴリラ」と片方だけ呼ばれた際には露骨に嫌がったり激怒したりしている。「ブタゴリラだよ!」と自分で叫んだこともある。

当初は乱暴で意地悪というまるっきりジャイアンそのもののキャラクターだったが、やがて天然ボケをかまし騒動の元凶になりつつもここぞという時は頼りになる、キテレツ・コロ助に次ぐ第3の主人公とも言うべき存在となる。

意外にも喧嘩はあまり強くはない様子。
まあ、対戦相手が上級生であったり、特別な習い事などをしたりしているのがほとんどなので、小学生としては普通に強い方。
パワーこそジャイアンに劣る代わりに、ジャイアンのように乱暴ないじめはしない人間性の良さや野球の技術の確かさ、何よりジャイアンにはない両想いのガールフレンドがいることが大きなポイント。

声優が途中交代しているが、放送回では途中初代の声に戻った回もある。これは製作順と放送順が異なるため。

ちなみに本名や八百屋設定は話を膨らませるために決めたアニメ版独自の設定で、原作でのブタゴリラの家は通常の住宅であり、家業は不明。

●トンガリ(尖浩二)
CV:三ツ矢雄二/真夏竜
キテレツのクラスメイト。
お金持ちのおぼっちゃまかつマザコンであり、顔の形もスネ夫にそっくり。
原作では「トンガリ」「コンチ」と名前が定まっていなかった。また、アニメだとブタゴリラより背が低いが原作だとかなりの長身。

追い込まれるとすぐ「ママ~!」と泣き叫び、何かトラブルが起きるや否や「僕、これから塾があるから」などと言い訳をして真っ先に逃げ出そうとするなど、スネ夫と同じく保身を優先する傾向が強い。
そうなった時にブタゴリラやみよちゃんから「塾とどっちが大事なんだ!」「キテレツ君たちを見殺しにする気?」と言い返されるのはお約束。
また、おねしょをコロ助に擦り付けたり、時には勉三さんを家出に巻き込んだ挙句に脅迫するなどかなり姑息な面が目立つ。
そのせいでガールフレンドになった五月ちゃんに嫌われた事もあった。

一方、塾通いの成果か学業の成績はトップであり、キテレツほどではないが知識も豊富。
絵心もあり、似顔絵はかなり上手く、漫画を描く才能もある。

中の人は「トンガリは脇役だが、インパクトの強いキャラクターにすれば出番が増えるかもしれない」と考え、徐々に甲高い声での独特の言い回しや叫びを多用。この演技を見た音響監督の小松亘弘氏からは「無理をしなくていい」と言われたこともあったという。
実際、喉を痛めて入院した際、消灯時間後に病室を訪れた看護師数人から「トンガリの声を出してほしい」と依頼されたことがあり、深夜にもかかわらず要望に応えたと語っている。
そんな努力の甲斐あって、結果的にトンガリは8年間の放送の中でほとんどのエピソードに登場することとなった。


●苅野勉三
CV:肝付兼太
キテレツの近所に住む浪人生。
詳細は当人の項目で。


●上原友紀
CV:吉田奈穂→遠藤みやこ
勉三さんのガールフレンド。
最初は女子大生であったが、海外へ留学した後にスチュワーデスに就職する。
原作にも登場するが、名前は「君子」。


●桜井妙子
CV:瀬戸真由美→小山裕香→久川綾
アニメオリジナルキャラクター。
キテレツたちの元クラスメイト。おさげ髪の女の子。
経営していた銭湯が潰れてしまったので新潟に転校し、さらにアメリカへと移住する。
ブタゴリラとは遠距離恋愛を続けており、時には大胆な行動に出ることも。
その場面は中々に熱々。

アニメ後期では山で遭難したり、ギャングに狙われたりとトラブルに巻き込まれることが多くなる。

雪室氏によると、妙子がアメリカに留学に行くのは最終回への伏線ではなく、最終的には実現しなかったがアメリカに舞台を広げる構想であった。

3代目の中の人は後に、初代コロ助声女海賊を母に持ちブタゴリラ声の海賊と結婚した女性を演じることになる。


●花丸五月
CV:山崎和佳奈
アニメオリジナルキャラクター。
キテレツのクラスに転校してきたショートヘアの美人な女の子。
地方を巡業する旅一座の看板娘で、主に男役を演じている。

キテレツ版の出木杉くんと言ったような感じの子(出木杉くんほど万能ではない)で、一応トンガリのガールフレンドになるが、本人はトンガリとはあくまで友達として付き合っている様子。
どちらかと言えばキテレツを頼りにしたり、オカルトめいた話でも信用するなどトンガリよりも気にかける場面が多い。

とある回では主要男子メンバーと写った写真に投げキッスをしていたが、果たして相手は誰なのか……?

ブタゴリラを投げ飛ばしたり、タイムスリップ先で弁慶と互角に渡り合うなど小学生離れした運動能力の持ち主。この辺後年の中の人の代表作に通じるものがある。


●木手みち子
CV:島本須美/梨羽侑里
キテレツのママ。とても美人な専業主婦。

キテレツの発明好きには呆れてはいるものの、その個性は度が過ぎなければ好ましいものと思っているようで、家電の修理を頼んだり、発明品に助けられたりと結構頼りにしたりしている。
息子や夫と違って運動神経は抜群だった様子。

とあるエピソードでは学生時代のセーラー服を着て悦に浸るという衝撃的な場面が……。


●木手英太郎
CV:屋良有作/田中秀幸
キテレツのパパ。物産会社の課長。タラコ唇で眼鏡をかけている。(原作最終話では何故かのび太のパパのような顔つきになっていた)

真面目で穏やかで優しい性格。滅多に怒る事はないが、キテレツが発明でズルをしようとした時には「キテレツ斉様はそんな事をするために発明品を作ったのではない」きちんと諭す。
それでいてキテレツの発明の才能や向上心はきちんと認めており、伸ばそうとしてやる、よくできたパパである。
キテレツには仕事で発明品の助けを借りる事も多く、それどころか上司に発明品を気に入られた事も。

中の人は1時間前の世界でも父親役。
特番版の中の人も令和時代に30分前の世界で舅と同居する父親役を引き継ぐことになる。


●熊田熊八
CV:青野武
ブタゴリラの父で、八百八の店主。「らっしゃい」が口癖で、いかにも豪快でおおらかな江戸っ子と言った人物。
息子同様に野菜をこよなく愛する男で、野菜に対する愛情と八百屋としての誇りは非常に高い。コロ助のことは「ネギ坊主」と呼んでいる*10
ブタゴリラ以上に登場するエピソードも少なくなく、彼がメインになる話も複数作られており、ある意味大出世と言える。
ちなみにあまりの印象深さに忘れられやすいが、原作では一度も登場したことがないアニメオリジナルキャラクター
(ブタゴリラの母親は原作だと「冥府刀」の回でちょっとだけだが登場している。*11

●コンチ
CV:佐藤智恵
初期や中期はよく登場していたキテレツのクラスメイトで、ブタゴリラの子分のような男子。苗字は「近藤」。
ブタゴリラやトンガリのキャラクターが変化していくと共に影が薄くなっていった。
原作だとトンガリと区別があいまいだったが、メインの回は一応あり「公園の恐竜」という回で恐竜がジャングルの奥地に生き残っているという説を信じ、
キテレツの発明に巻き込まれて公園からそのジャングルに移動して生きた恐竜を目撃するも、完全に混乱していて「公園に恐竜がいた」と、
無茶苦茶なことを言うので皆から馬鹿にされるという哀れな役回りだった。

●奇天烈斎
CV:屋良有作/肝付兼太(晩年)・阪口大助(少年期)・森功至(青年期)
江戸時代の発明家で、キテレツの祖先。奇天烈斎は通称で、本名は木手英之進

ある地方の有名なからくり師の息子として生まれ*12、当時はおろか、現代の目で見てもオーバーテクノロジーでしかない様々な発明を編み出した大天才。
しかし、それが原因で幕府から危険視され*13、死ぬまで座敷牢の中で過ごすことになり、晩年は発狂したまま亡くなってしまったとされる。
それでも自分の数々の発明を密かに『奇天烈大百科』として書き残し、それが結果的に子孫であるキテレツに伝わった。
なお、「幕府から危険視されて、死ぬまで牢に入れられた」という件は、アニメ版では後述の猛烈斎一族の陰謀が原因という設定になっている。

とはいえ本人は人格者であり、自身の発明品を私利私欲に使ったり、むやみに試して人を傷つけるような真似は一切しなかった。
当然ながら人に慕われ、からくり斎や奇妙斎と名乗った弟子もいたほど。
最終回ではかつて幼い息子を亡くしており、息子に似せて作られたのがコロ助であった事が判明。

ちなみに原作では「安政六年(1859年)に飛行機を作った」という説明(ワガハイはコロ助なり)、航時機で1854年に行った際に老年期の本人がいた描写(片道タイムマシン)などから、19世紀前半に活躍した人というのが無難だが、
アニメだと年齢などについては不明瞭な点が多い(明らかに100年以上の時間が経っている描写がある)。
航時機でタイムスリップでもしているのか?

モデルは福岡県久留米市出身で、東芝の創設者でもある田中久重。
「からくり儀右衛門」と呼ばれ、平賀源内と双璧を成す江戸時代きっての天才として知られている。


●猛烈斎一族
アニメオリジナルキャラクター。
奇天烈斎の友人にしてライバルでもあった発明家。
からくり人形の御前試合に遅刻したためにお家断絶となり、本人も自害してしまう。
この一件で奇天烈斎は猛烈斎の一族から恨まれ、陰謀によって幕府にも狙われる羽目になってしまった。

子孫は資産家として再興しているが、キテレツと違って私利私欲のために発明を使い、祖先の失態を一方的に逆恨みするなど、どうしようもない連中である。
資金面や設備などが充実しているので発明品の性能はキテレツよりも高いようだが、人間性が悪いため友達などがまるでいない様子。

子孫の名前は猛 烈一(もう れついち)と言い、テレビ番組でキテレツと対決した。
コロ之進というコロ助に似たロボットも作っており、性格はコロ助以上に武士らしく、性能も高かったが、友達がいないということでコロ助に敗北した。
ちなみに烈一は髪型の違うスネ夫のような容貌をしている。

猛烈斎一族のエピソードは当初第217話として制作されていたが、放送期間の延長により一旦お蔵入りされ、2年近く後になって第292話として放送された。
これは、ライバルキャラである烈一とコロ之進が準レギュラー化するのを避けたためとされる。


●乙姫
CV:大竹宏→龍田直樹
アニメオリジナルキャラクター。
室町時代へタイムスリップして出会った豪族の娘。
ただし顔や声はブタゴリラそっくりで、はっきり言って気持ち悪い。
キテレツに惚れた上、牢屋に閉じ込めてまで結婚を迫る困った人(おまけに親まで結託して……)。

でも、当時の時代を考えれば美人はこれが普通と言われているのであながち間違いではない。
ちなみにお付きの少女である「おみよ」はみよちゃんそっくりの可愛い子。

後のエピソードでは航時機で現代にやってきてしまう。


●四次元人
四次元空間へ迷い込んだみよちゃんを救出しに行った際に登場した異世界の住人。
見た目は一言で言うならヤプール人(?)のようなもので、結構不気味。
異色の存在でいかにもアニオリキャラっぽいが、原作の「冥府刀」の回にちゃんと登場している。

アニメでは後にあの世へ迷い込んだブタゴリラを救出する際に再登場し、大群でキテレツ一行に襲い掛かった。
こいつが登場するエピソードはかなり怖く、トラウマ要素が多い。


●天狗
CV:青野武
アニメオリジナルキャラクター。
キテレツが京都へ旅行へ行った際に異空間に封印されていた本物の妖怪。
封印が解けかけて現世に現れようとしていた所をキテレツたちに発見され、キテレツは発明品を総動員してガチのバトルに挑むことになる。

この天狗が登場する回「びっくり京都! あぶない天狗あらわる?」は「劇場版キテレツ」と呼ぶに相応しい神回である。
中の人はブタゴリラの父ちゃんも担当。


◆発明品

キテレツが『奇天烈大百科』を参考に作った道具たち。この道具たちによって騒動が起きるというのが、『キテレツ大百科』の基本プロットとなっている。
詳細はキテレツ大百科の発明道具を参照。


◆アニメの最終回

本来『キテレツ』は放送開始から6年目の1994年で放送終了が決定していたのだが、後番組がなかなか決まらず、結果的に2年も延長することになったという。
そして後番組に『こちら葛飾区亀有公園前派出所』が決まったのも突然であったため、急に終了が決定した。
ASATSU(現・ADKホールディングス)企画スタッフの片岡義朗氏は、終了に際して藤子F氏の元ヘ報告に行った際に後番組候補を聞かれて「『こち亀』です」と答えた。すると藤子F氏からは「それは良いですね」という答えをもらったという。
そして、それから約3ヶ月後に藤子F氏は逝去するのだが……なかなか後番組が決まらなかったことを心残りに思っていたのか、後番組も自分の作品になるかもしれない事に不安を抱いていたのか。本人がどういう思いだったかは亡き今となっては定かでない。
雪室氏によれば「もう半年は続けるつもりでいた」そうだったので、消化不良だったようだ。
ちなみにその『こち亀』も同じ制作会社で作っており、一部スタッフが共通している。
また、後期の「麗子の婿とり選手権!!の巻」では実際にキテレツをネタにしたクイズが出たりしている。

この最終回「愛のフィナーレ!さよならコロ助 大百科」は当初の終了予定だった1994年の時点で制作されており、放送延長で2年間塩漬けになっていたものをそのまま放送した。
結構突っ込みどころがあるが、急な終了のせいか、元々こういうものだったのかは不明である。
ちなみに原作では時間移動は航時機完成の一度だけで、奇天烈斎ともこの時一度会って終わりなので特にこういう矛盾はない*14

これとは別に、バレーボール中継の特番による中止が直前に決まったため、アニメ誌に放送予定で掲載され、アフレコ台本も存在したのに制作が放棄された「ルルル!未知からのメッセージ」というもう一つの最終回も存在する。



追記・修正はお料理行進曲でコロッケを作ってから。

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最終更新:2025年01月08日 04:43

*1 地獄型アミューズメントパークを作る話は原作にもある。

*2 本作以外の藤子作品では1989年に制作された『T・Pぼん』も担当している。

*3 というより、藤子・F・不二雄直々に話の内容をそのまんま流用している「宇宙怪魔人(キテ)→超大作特撮映画「宇宙大魔神」(ドラ)」のようにキャラ入換で完全に話が成立するレベルでノリが一致している。実際、雪室氏も「最初に原作を見た際に同様の感想を持った」とインタビューで語っている。

*4 特にトンガリは原作だとコンチと別名か別人かが曖昧。本作に限らず『パーマン』のサブと三重、『バケルくん』のそばかす女子(名前不明)と木島とキザ夫に似た子供(名前不明)、『チンプイ』のスネ美とコン三郎(アニメ版は小政)など、他の藤子作品でも「スネ夫ポジが複数人いる」というケースがしばしばある。

*5 ただし、ドラえもん自身も調子に乗ってズルやイタズラに加担することもある。

*6 一例として、電気は「エレキ」、銅線は「あかがね」と表現されている。また尺貫法における長さの単位に「寸」が使われている。

*7 本編中では胴体パーツの高さが4寸=約12cmと第1話で明記されている。

*8 原作「人間植物リリー」

*9 アニメ第274話「とんだアップル?みよちゃんの初恋物語」

*10 丁髷部分を太ネギに見立てた八百屋の発想。

*11 みよちゃんが行方不明になった際に、最初に気がついたブタゴリラが自分の母とみよちゃんの両親に報告したらしく、この4人で捜索に当たっていた。。

*12 原作では「家は農家だった」と第1話で説明されている。

*13 ただし「便利で役立つ道具」というのは、裏を返せば「悪用すれば恐ろしい道具」ということでもあり、幕府が危険視するのも頷ける発明が多いも事実である。

*14 厳密にいうと、第1話で「キテレツ斎が空を飛んだ」年が安政六年(1859年)と明言され、このあと逮捕され発明品などは全部処分されて牢屋に一生閉じ込められてたはずなのに、「江戸時代の月面図」の回で文久二年(1862年)に月面に降り立った視点での絵を描き上げていたとされ、逮捕後どうなったのか謎になっている。

*15 一度間違って消したことがあったが、後のエピソードで修復されている。