チゲ(韓国料理)

登録日:2012/03/12(月) 21:49:20
更新日:2025/03/20 Thu 17:19:57
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意味が重複している言葉は、世の中にたくさんある。 チゲ鍋、サルサソース


チゲとは、韓国における庶民の料理の総称である。(なお宮廷で出されていた高級な鍋というのもありそちらはチョンゴルと呼ばれる。)

日本における鍋料理と同じく、大きな鍋を多人数で囲んで食べると言うスタイルも存在はする*1が、
基本的には一人前分の小さな鍋に作られたチゲが、一人に一つずつ供されるいわゆる一人鍋スタイル。

近年はビビンパと同じく石鍋で最後まで熱々のままのチゲが広まっている。


■食べ方

食堂でチゲを注文したら、熱々の石鍋と供にご飯が一膳付くのがデフォ。
匙(スッカラク)から直接スープを吸うのも良いが、やはり、ザブザブとご飯に適量かけながら食べるのが一番美味しい。

日本では「汁かけご飯」は行儀が悪いとされるが、韓国では公式の場の会食でもこうして食べる。
むしろ、汁料理自体の味付けがご飯にかける事前提になっているので、日本人は多少戸惑うかもしれないがご飯にかけながら食べよう。

匙で掬ったスープをご飯にザバザバ、そのままご飯を掬ってパクり…(韓国圏ではご飯やスープは箸でなく匙で食べる)。
これが一番美味しい食べ方である。

また、冬場より実は暑い夏場がおすすめ。辛いチゲを食べると、気持ち良い汗が流れてスーッと涼しくなるぞ。

■種類

基本的には唐辛子を利かせた辛いものばかりであり、チゲ=辛いという印象が強い。
お店の人に「メプケハジマセヨ(辛くしないでね)」頼めば辛味を押さえてくれる。
逆に思いっきり辛いものを食べたいチャレンジャーは「ノムメプケヂュセヨ(辛くしてね)」と頼もう。

辛くないチゲも一応存在はするが、日本ではまずお目にかかれない。あっちでも大分好みが分かれるとかなんとか。

◆キムチチゲ

日本人が「チゲ」と言われて思い付くのはこれの筈。真っ赤な汁の鍋。
キムチで味付けしてあるので、辛い、熱い、そして、発酵してるので「酸っぱい」。
キムチ好きならたまらないだろう。やはり辛味緩和のためにもご飯にかけたいところ。
具材は野菜の他、豚肉、海鮮ならば貝類が入る。

一般的な料理故にレシピは千差万別だが、韓国ではキムチと肉類を炒めてから出汁を注ぐ場合が多いのに対し日本で普及しているレシピでは炒めないものが多い様子。
そもそも日本人向けに売られているキムチと本場のキムチは辛さや発酵具合からして違うので、自分好みの作り方を研究してみるのも乙なもの。

◆テンジャンチゲ

味噌味のチゲ。テンジャンとは韓国で普通に使われる味噌。たまにコチュジャンで作っていると誤解されるが、そんな鍋は韓国人でも辛くて食えません。
大豆の絞りカスを使うと言う発想の無い韓国の味噌は全てが丸大豆製で旨味がたっぷりで、ダシの旨さも相まり美味である。
いわゆる味噌汁というか豚汁に近い概念の料理ではあるので本来は辛くないチゲなのだがやっぱりと言うべきかコチュジャンや唐辛子で辛く仕立てているものが多い。
具材は豚肉のものもあるが、テンジャンチゲは海鮮の方が人気があるようだ。
ちなみに日本の味噌と違い、こっちはガッツリ煮立たせることでうまみを引き立たせる。

◆スンドゥブチゲ

キムチチゲにおぼろ豆腐(スンドゥブ、純豆腐)と生玉子を落としたチゲ。
スンドゥブの軟らかさは勿論、半熟の玉子が実に美味。是非ご飯にかけかけして食べよう。

◆ブデチゲ

部隊チゲ。
基本的にはキムチチゲと作り方は一緒なのだが、最大の違いとしてハムソーセージ、SPAMを投入し、インスタントラーメンの麺が必ず入ることが挙げられる(最初から入れるか締めで入れるかは店による)。
源流は朝鮮戦争時代に米軍が大量に持ってきて余らせていたSPAMやソーセージを使った炒め物であり、それがいつしか鍋料理に変化した。
戦地ではヘルメットを鍋代わりにブテチゲを作るなんてこともあったらしい。朝鮮戦争後にインスタント麺が普及したことでこれを使った大衆料理として広まることになる。
そのためチゲの中ではかなり歴史が浅く、一人鍋スタイルもあるにはあるが大きな鍋を多人数で囲んで食べると言うスタイルが一般的の様子。
普通に食堂のメニューにある他、普段のチゲの〆にインスタントラーメンを入れたりもする。

なお日本でキムチ鍋と呼ばれるものはこのブデチゲに近い。

◆カレーチゲ

日本経由で入ってきたカレーをチゲ仕立てにしたもの。ソウルなどの都会でたまに見かける。

◆トンテチゲ

家庭料理としてよく作られるトンテ(スケソウダラ)のチゲ。
キムチ由来でなく、生の唐辛子(たーっぷり)、乾燥唐辛子の粉(たーっぷり)、おろしニンニク(たーっぷり)などで味付けし、野菜もたっぷり入る。


◆チョングッチャンチゲ

チョングッチャンという、発酵大豆のペーストを使ったチゲ。
チョングッチャンは製法が納豆と似ていることからもお察しの通り匂いがキツく、好みが分かれる食材。納豆が平気で食える日本人でもその評価は様々なようだ。
鍋料理であるチゲにすることでその辺がマイルドになって食べやすくなるらしい。
製造工程に唐辛子は含まれるがそこまで辛くないチゲ……だが、上記の難点があるので例によって辛くされるケースが多い様子。
ドラマ版の孤独のグルメで「納豆チゲ」として紹介されたのがコレ。ひきわり納豆で作ると日本でもそれっぽいものは出来るが本場のものとは当然異なる味になる。


チュギ、スジョンウン チゲロモクヨッカゴプタカムニダ(追記、修正は、チゲ鍋に浸かりながらお願いします)

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最終更新:2025年03月20日 17:19

*1 ちなみに日本以上に開放的で、鍋からとった具材を小鉢に移したりせず直接パクつく