登録日:2011/10/21(金) 23:28:02
更新日:2024/12/23 Mon 08:27:04
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グツグツ……グツグツ……

「ふぅ……出来はどうだろうかな……」

パカッ フワァ……

「うぉぉぉぉぉ……」

ハムッ ハフハフ、 ハフッ!!

「んまいっ! やべ、メガネ曇っちゃった」

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○概要


①鍋とは、調理器具の一つ。一般的には底が深いものを指す。

茹でる、煮る、揚げる……。
まさに調理器具のエース。その様は炒め、焼きのエキスパート、フライパンと双璧を成す。
フライパンも広義には鍋とか言わない。
一人暮らしで料理をあまりしない家でも必ずあるだろう。

鍋の代表格雪平鍋の他に圧力鍋、土鍋、中華鍋……さらにはジンギスカン鍋など一つの料理専用の鍋まで挙げるとキリがない。
オスマン帝国の精鋭軍団「イェニ=チェリ」は皇帝から下賜された大鍋(カザン)を旗印にしていた事で知られる。ある意味、料理と食事のシンボル。


ちなみに土鍋に関しては扱いに注意。
まず土鍋を買って来たら、最初に7~8分目の水を注ぎ、一掴みのお米か小麦粉を入れ、弱火で1時間ほど煮る。
こうすることで目に見えない細かい隙間に糊が入り、土の匂いが出たり、ひび割れしたりするのを防いでくれる。
面倒くさがらずやっとけよ? 絶対その方がお得だから。

次に土鍋は「急激な温度差」に弱い。
まだ熱いうちに水に漬けたり、濡れた布巾を鍋敷きにしちゃダメです。
同様に、鍋底が濡れたまま火にかけるのも厳禁。ちゃんと拭くように。
あと、洗剤入りの水に長く漬け置くと、洗剤を吸収しちゃうから注意! 嫁のメシがまずい状態になっても知らんぞ。

この、ちょっとしたルールさえ守ってくれれば、土鍋は長く長ーく使え、ちょっとしたひび割れもお粥を炊くことで自然回復する生きた調理器具として、素敵に相棒になってくれるはずでっせ!



②鍋料理のこと。特に冬はこっちのことを指すことが多い。

一応の定義は鍋を用いてだし汁と具材を一緒に煮た料理。
ただ、ジンギスカンのように鍋を利用しているだけで鍋料理と呼ぶこともあるため、この定義が必ずしも当てはまる訳ではない。
ピストル大泉「そりゃどんなものでも鍋だよ!鍋で作ってんだから!!

主に土鍋で調理されるものが多いが、専用の鍋を用いるものもある。

こだわらなければ簡単に作れる上に、野菜、タンパク質、炭水化物と、栄養もバランス良く取れる。野菜はかさが減るのでペロッといけちゃう。
1日程度なら具を次々入れれば食べ続けられる。
なによりあったまる冬の代表的な料理である。洗い物が少ないのも冬には嬉しい。

下記に挙げる以外のものも追記歓迎です!
オススメのあれこれ是非教えてください

○基本的な具材



○たれ・薬味

鍋の種類によっては合わなかったり必要なかったりする。
薬味に至っては具材と一緒に入れることもある。
たれ×薬味の組み合わせで味わいは無限に広がる
☆たれ


☆薬味
  • 大根おろし、紅葉おろし
  • おろし生姜
  • おろしにんにく
  • 柚子胡椒
  • 黒胡椒
  • 山椒
  • 七味唐辛子
  • からし
  • 和からし
  • 刻みネギ(長ネギ、万能ネギ、あさつき等)
  • 刻み大葉
  • 柑橘類(柚子、スダチ、カボス、レモン等)の果汁やおろした皮
  • 炒り胡麻



○鍋料理一覧


  • 寄せ鍋
鍋の代表格。
具材や出汁が地域や家庭によって多種多様すぎて定義しづらい。

牛肉と割り下、食べてみれば文明開化の音がする。
地域によっては鶏肉や魚を使ったり。

  • ちゃんこ鍋
本来は力士が食べる料理全般のことを「ちゃんこ」と呼んでいた。相撲部屋の他、力道山やキラー·カーンら大相撲出身者が多数いるプロレスでも定番のメニューになっている。
豊富な具材と豊富な量が特徴。
各部屋によってレシピは多種多様で、同じ鍋でも部屋によって味付けや入れる具が異なることも。
時には巡業先で買ったものや部屋への差し入れで作ることもある。
代表的なものは鶏ガラしょうゆ味のソップ炊き、いかの身とワタを使ったいかちゃんこ、鶏ガラスープの肉団子鍋、味噌味の豚バラちゃんこ鍋。
なお相撲部屋で出される際は、鍋のほかに鶏もも肉の唐揚げ刺身漬け物などのおかずがつく。

まごうかたなき鍋料理だが、鍋とは別物扱いされている。

  • しゃぶしゃぶ
煮えたぎる熱湯や出汁に薄切りの具をくぐらせて、火が通ったらタレにつけてパクッ!自分が鍋に入れた具を必ず自分で食べられるなんて素晴らしい!
最近の専門店では火鍋に用いる陰陽模様に仕切られた鍋(おしどり鍋)で2種類のスープを選べることが多い。

キムチの辛みで体がポカポカ。チゲ鍋に非ず。はっ、希望皇ホープ!
でも日本人の全世代に人気なわけではない、らしい。

腹がへったらカレーナベ!
洋風の具材も和風の具材もガッチリ受け止めてくれる。

トマトの真っ赤な色が食欲をそそる。
洋風イタリアン風はもちろん、和、中華、エスニック風もイケる。

  • 柑橘鍋
柚子、スダチ、カボス、レモン等お好きな柑橘類をひとつ輪切りにして上に敷き詰めた鍋。
見た目のインパクトはキワモノっぽいが、香り・酸味・爽やかさで箸が進んでしまう。
具材はあっさりしたものが良く合う。

  • 湯豆腐
京都名物。昆布だしと豆腐の繊細な味。
大人の階段を上がるとこの味がわかるようになる。
なお相撲部屋ではちゃんこ鍋として、豚バラ肉や鶏もも肉などを入れた湯豆腐を食べる。

  • まる鍋
こちらも京都名物。スッポンの旨味とコラーゲンと精力増強で身も心もプルプル

  • 石狩鍋
北海道名物。たっぷり野菜と鮭の旨味とバターの風味。北の大地の恵みが詰まっている。

  • もつ鍋
博多発祥。プリプリなもつとどっさりニラとキャベツ。上に餃子の皮をのせることも。

  • 水炊き
博多名物の鶏肉他を水から煮るだけのバカでも作れる簡単メニュー。鳥鍋とは別物。
ただ本当に美味しいものを作るとすると相当手間と時間がかかる。
じっくり煮込んだ鶏肉の旨味を堪能できる。

  • 柳川鍋
江戸名物。開いたドジョウとささがきゴボウを卵で閉じた鍋。
日本の鍋料理では珍しく一人鍋スタイルが基本。

  • ちり鍋
鱈等の白身魚のたんぱくかつ繊細な旨味。
主なものはフグを使ったてっちり。

  • あら鍋
高級魚のあら(クエ)を使った鍋。超高級品。
魚をバラしたものと思いこむと雄山に笑われます。

  • シシ鍋/ぼたん鍋
猪肉を使った鍋。ジビエブームで注目が集まるようになった。
猪の肉という点に注目しがちだが他の獣肉同様肉の部位によって味わいが変わる。

  • 豆乳鍋
ニューフェイス。割りと豆乳独特の癖はなくヘルシー。
胡麻ダレでいただくのもヨシ。

  • ミルフィーユ鍋
ニューフェイスその2。別名重ね鍋。白菜と豚バラ肉を交互に重ねて鍋に隙間なく並べ、出汁を入れて煮込む。なんだったら水いらない、白菜から出るので。
野菜を大根やキャベツ、肉をベーコンや鶏ひき肉など材料を変えたり、中央にカマンベールチーズやトマトを置いて具材を絡めて食べたりするアレンジバージョンもある。

  • みぞれ鍋
ニューフェイスその3。別名雪見鍋。風流なお名前ですな。
具材に火が通ったら大根おろしをのせるだけ。大根おろしを鍋一面に敷き詰めれば白雪鍋に。

ニューフェイスその4。プリン体豊富な海の幸を使った鍋。

  • ジンギスカン
焼肉の範疇に入るが、一応鍋料理の一つ。
ラム派かマトン派に分かれる。
北海道名物ジンパ。

  • 芋煮
東北地方の秋の風物詩。地域によって違いがあり、宮城県のものは豚肉を使ったみそ味、山形県のものは牛肉を使ったしょうゆ味。

  • あんこう鍋
角谷会長の得意料理。
食べられないのは骨だけ。これも超高級品だがあんこうが超高級魚だからというより調理にかかる手間の問題。

  • 常夜鍋
脚本家・エッセイストの故・向田邦子推薦。
豚肉の薄切りと野菜を交互に重ねて酒で具を煮る鍋。
毎晩食べても飽きないことから、着いた名前が常夜鍋。このネーミングは伊達じゃない!
青菜と豚の黄金コンビに、大根おろしが見事な仲人役をしていて非常に美味。

秋田名物。
きりたんぽと呼ばれる、ご飯を焼いて固めた物と鶏肉を入れるしょうゆ味の鍋。

  • たこの道具鍋
青森県の漁師料理で、たこの内臓を具に使う。

  • せんべい汁
青森県八戸名物。南部せんべいを割って入れる。せんべいはアルデンテになってから。

  • ねぎま鍋
ねぎまの殿様(古典落語)』でもおなじみの江戸料理。
脂っこく傷みやすいトロを、ぶつ切りにしたネギと醤油ベースで煮ることで美味しく食べられるようになった。

  • 牡蠣の土手鍋
広島県の郷土料理。鍋のふちに味噌を塗りつけて煮る。

  • はりはり鍋
大阪名物。鯨肉と水菜の鍋……だが最近では鯨肉の代わりに豚肉が用いられることが多い。
水菜の「ハリハリ」とした食感が由来。

  • ほうとう
山梨県の郷土料理。
「ほうとう」と呼ばれる小麦で作った太短い麺をカボチャ等の野菜と共に味噌仕立ての汁で煮込んだもの。

  • 深川鍋
ハマグリやアサリを使った鍋。

  • 飛鳥鍋
奈良県の郷土料理。昭和初期に誕生した、牛乳を使った鍋。

  • 紙鍋
旅館や料亭などで見かける、網に紙を敷いて火にかけ出汁や具材を煮込む鍋。
燃えないの?!と思われるだろうが、水の沸点と紙の燃焼温度に差があるため燃えないそう。
見た目のインパクト以外にも、紙なので火の通りが早く、紙がアクをとってくれる店側としては鍋の保管場所がかさばらず、使い捨てなので洗う手間も省ける利点もある。

フランスの鍋料理。コンソメ味の洋風おでん

  • チーズフォンデュ
スイスの鍋料理。チーズ白ワインを煮込んで溶かし、専用フォークで刺したパンを絡めて食べる。
お洒落なイメージがあるが、元々は古くなったチーズと固くなったパンを有効活用するための素朴な料理で、具材もパンのみ。せいぜい茹でたジャガイモが足される程度。あとは箸休めにピクルスをつまむ。
鍋にパンを落とした人には罰ゲームが課せられる。内容は歌、おごり、キスなど多々あるが皆で話し合って決める。
日本の食卓ではホットプレートの中央に溶かしチーズを入れた耐熱皿を置き、周りに温野菜やソーセージを敷き詰めて楽しむことが多く、鍋料理とはあまり言えないかもしれない。

  • 火鍋
中国の鍋料理。火にかけて煮込みながら食べるから火鍋であり、火を吹くような辛さの鍋とは限らない。
日本では辛くて真っ赤な麻辣スープと鶏ガラの白い白湯スープを陰陽模様のおしどり鍋で食べるイメージがあるが、本土ではスープも具材も様々である。

  • タッカンマリ
韓国の辛くない鍋料理。タッカンマリ=鶏一羽の名の通り鶏を丸ごと1羽煮込む韓国風水炊き。サムゲタン(こちらは薬膳スープ料理)とは別物。
ホロホロの鶏と鶏の旨みを吸ったジャガイモとトッポギをピリ辛タレに付けて食べる。
日本の韓国料理店でも目にするもののまだ歴史の新しい外食料理で、主婦や子供など韓国人でも知らない人が多い。

  • ムーガタ
タイの焼肉料理兼鍋料理。ムー=豚肉、ガタ=浅い鍋という意味。
ジンギスカン鍋に似た中央がドーム状で淵に窪みがある鍋を用いる。
豚肉や野菜など好きな具材をドーム部分で焼くもよし、出汁を張った淵部分で煮たりしゃぶしゃぶするもよし。

未知の領域。八割方地雷といっても過言ではない恐るべき鍋。

  • 空鍋
本当に愛してる人には見えるらしい。
ちゃん……。
余談だが、ほうれん草(報連相)との相性が殺人的に悪過ぎる鍋。

  • 猫鍋
もふもふ。
ぐつぐつ ぐつぐつ。
にゃーにゃー にゃーにゃー。

  • 鍋底不況
神武景気の後に起こった不況。鍋底みたいに小刻みに変動してなかなか回復しない。
こんな景気のこと

┗┓┏┓┏┓┏┓┏┛
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そして鍋の最後……

○締め/シメ/〆

沢山の具材が煮込まれて旨味が凝縮された残りのスープ
最後の最後まで食べ尽くす……。
それはそれはとても贅沢な味。

まず挙がるものは

だと思う。どれも炭水化物。
ご飯の場合は溶き卵と一緒に加えておじややリゾットにする。おこげも楽しめる一品。
そうめんはにゅうめんになる。夏に使いきれなかったそうめんを冬に有効活用だ!
基本的に鍋の種類によって使い分けられるのが普通……だがご飯もうどんも何にでも合うから困るよね。
スパゲッティもかつてはトマト鍋など洋風御用達であったが、今や和風にもよく使われるようになったし……
また和風洋風問わず+でチーズを入れるのが人気。

糖質控え目がお好みなら蕎麦、オートミール(ご飯の代わりにおじややリゾットに)、春雨などがある。


○作り方のコツ

基本的には鍋に出汁と具材を入れて煮込めばおk。
だが、ちょっとしたひと手間とコツでなお美味しくなる。

  • 野菜は火の通りにくいものから入れる
葉物より根菜を先に入れたり、葉物でも葉より茎や軸を先に入れたり。
大根の隠し包丁や椎茸の切込みを入れるひと工夫も。

  • 魚は下ごしらえしておく
ウロコや血が残っていると食感も悪く生臭くなってしまうので取り除いておくこと。酒や塩を振って水分を取り除けば臭み取りになる。
煮崩れしやすい魚はあらかじめ湯通しして冷水につけておく。身が引き締まり、鍋の中でボロボロするのを防いでくれる。湯通しは鶏肉の臭み取りにも有効。熱湯をかける霜降りでも可。

  • 鍋奉行はほどほどに
美味しさを追求するのも良いが、みんなで楽しく食べることが一番である。




○余談

外食で鍋を食べようとするとたまにこの表記を見かけるであろう。


○○○円(※二人前から)


(´・ω・`)


ぼっち涙目である。
でも最近は「一人鍋専門店」なる場所もあるよ。探してみよう。



追記・修正はお気に入りの鍋を食べながらお願いします。
あ、火傷にはお気をつけて……あちっ。

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最終更新:2024年12月23日 08:27