登録日:2023/11/18 Sat 20:46:00
更新日:2024/01/25 Thu 22:24:44
所要時間:約 7 分で読めます
●目次
概要
TCGの原点にして頂点であるMtGと、
世界的に非常に有名、怪獣映画の頂点といっても過言ではないゴジラ、まさしく「
頂点×頂点」のコラボは、世界中を驚かせた。
また、MtGファンからしてみれば、ゴジラ以前に「他の作品とのコラボレーション」というだけでも前例がアラビアンナイトや
三国志のような古典を除けばほぼなく、そういった意味でも驚きといえよう。
そうしたコラボカードは後に「ユニバース・ビヨンド」としてシリーズ化し、中にはブースターパックや構築済みデッキが発売されるなど、現在のMtGにおいて欠かせない存在となっている。
とはいったものの、MtGのコラボの歴史の黎明期ということもあってか、
ゴジラコラボの前例とは異なり
「ゴジラシリーズの怪獣のカード化」というわけではなく、「イコリアのカードのイラスト、名前違い」に過ぎない。
また名前違いといっても、名前枠の下段に元の名前が書かれており、
ゲーム上はそちらを参照する(実際に文章欄にも元の名前の方が書かれている)。コラボキャラをそのままカード化した新カードの登場は、後の
ウォーキングデッドコラボからとなる。
また、単なるイラスト違いということもあり、(主にクリーチャータイプで)ゴジラシリーズ・カードとしてはイメージがそぐわないカードがある。海亀のゴジラに猫のラドン、
フェニックスの
デストロイアとか、モスラに羽化できない繭とか……。
ゴジラシリーズ・カードの入手方法として、イコリア:巨獣の棲処のコレクター・ブースター(豪華版拡張パック)に専用スロットが設けられ、そこで確定で入手できるほか、日本語版限定でドラフト・ブースター(通常の拡張パック)でたまに入手できる。
またイコリア:巨獣の棲処のBOX特典カードとして、ここでしか手に入らない《怪獣王、ゴジラ/Godzilla, King of the Monsters》が、さらにボックストッパーとして、プレミアム仕様(キラカード)のゴジラシリーズ・カードが1枚確定で手に入る。
『
MTGアリーナ』においても、カード・スタイルという形で入手できた。
一部カード紹介
ゴジラシリーズ・カードの総数は20種。うち1枚がBOX特典、3枚が日本語版限定カードである、1枚が「マジック公認店舗応援キャンペーン」として配布されたものである。そのうちの一部を紹介する。
怪獣王、ゴジラ/Godzilla, King of the Monsters (3)(赤)(緑)
伝説のクリーチャー — 恐竜(Dinosaur)
トランプル
あなたがコントロールしているクリーチャーが致死ダメージを受けたかどうかは、それのタフネスではなくパワーで計算する。
7/3
説明不要、怪獣王
ゴジラのカード。これのみBOX特典で入手できる。元となったカードは《力の具現、ジローサ/Zilortha, Strength Incarnate》で、パワーがタフネスの代わりになる、という《包囲の塔、ドラン/Doran, the Siege Tower》のような面白い能力を持つ。
ゴジラ本人もタフネスは3と低いように見えて、
戦闘やダメージにおいては実質7となり、パワーの高いクリーチャーを多く入れたデッキを組めば強力。単体でも5マナ7/7トランプルとなかなかのスペック。
ただし、ダメージにはめっぽう強いがマイナス修整は普通にタフネスで計算するため苦手とする。漠然とタフネス7だと思っていると結構間違える。
そのため派手なイラストや能力に反してあっさり除去されてしまうことも。
まぁ特典カードが強すぎると《運命のきずな》《帰還した王、ケンリス》の悪夢がまた来かねないのでしょうがない。
余談だが、BOX特典という入手方法の都合、実は《力の具現、ジローサ/Zilortha, Strength Incarnate》としてのカードがイコリア当時には存在しなかった。
その後MTGアリーナにてジローサとしてのカードが実装され、のちに紙でも「統率者マスターズ」にてジローサとして登場した。
ジローサというキャラクター自体も《イコリアへの侵攻/Invasion of Ikoria》というカードの裏側で《イコリアの頂点、ジローサ/Zilortha, Apex of Ikoria》として再登場している。
逃れ得ぬ災厄、ゴジラ/Godzilla, Doom Inevitable (5)(赤)(赤)
伝説のクリーチャー — 恐竜(Dinosaur) 海亀(Turtle)
トランプル、速攻
サイクリング(1)(赤)
あなたがさまよう怪物、イダーロをサイクリングしたとき、これをあなたの墓地からライブラリーに加えて切り直す。あなたがこのゲームで《さまよう怪物、イダーロ/Yidaro, Wandering Monster》という名前のカードを4回以上サイクリングしていたなら、代わりに、これをあなたの墓地から戦場に出す。(これはあなたがカードを引く前に行う。)
8/8
元となったカードは文章欄にもある《さまよう怪物、イダーロ/Yidaro, Wandering Monster》。
ゴジラはゴジラでも、『
シン・ゴジラ』に登場した第四形態のカード化。
これと同じカード(イダーロ含む)のサイクリングの4回目で、たった2マナで戦場から出てくる。
「4回目」に完全態となって襲い掛かってくる姿はシン・ゴジラにピッタリ。
さらに墓地回収能力を利用し5回目以降行っても出てくる(伝説のクリーチャーなので2体以上並べられないが)。
元カードの都合、クリーチャー・タイプにガメラ海亀がある。
宇宙の帝王、
キングギドラ/Ghidorah, King of the Cosmos (2)(緑)(青)(赤)
伝説のクリーチャー — ビースト(Beast) エレメンタル(Elemental) 恐竜(Dinosaur)
変容(3)(赤/緑)(青)(青)(あなたがこの呪文をこれの変容コストで唱えるなら、あなたがオーナーであり人間(Human)でないクリーチャー1体を対象とし、これをそれの上か下に置く。これらは、一番上のクリーチャーにその下にある能力すべてを加えたものに変容する。)
飛行、トランプル
このクリーチャーが変容するたび、土地でないパーマネント・カードが追放されるまで、あなたのライブラリーの一番上からカードを1枚ずつ追放する。そのカードを戦場に出すか、あなたの手札に加える。
6/6
三つ首竜
キングギドラのカード化。元となったカードは《願いの頂点、イルーナ/Illuna, Apex of Wishes》。
イコリア:巨獣の棲処のメインギミックである「変容」を持ち、さらに変容するたびにライブラリーから土地でないパーマネントを戦場に出す。
超音速女王、モスラ/Mothra, Supersonic Queen (2)(白)(白)
クリーチャー — 昆虫(Insect)
飛行
あなたがコントロールしていて飛行を持たないクリーチャーが1体死亡するたび、それをオーナーのコントロール下で飛行カウンターが1個置かれた状態で戦場に戻す。
3/4
初登場はゴジラシリーズではないが、人間の守護者
モスラのカード化。元となったカードは《光明の繁殖蛾/Luminous Broodmoth》。
飛行を持たないクリーチャーが死ぬたび、飛行カウンターによって飛行を与えつつ復活させる。人間は当然ながら(一部を除き)飛行を持たないため、大半が復活対象であり、人間を守護するモスラのイメージにピッタリといえる。
モスラの巨大な繭/Mothra's Great Cocoon (1)
クリーチャー — 卵(Egg)
このクリーチャーが変容するたび、これの上に+1/+1カウンターを1個置く。
0/2
モスラの繭もカード化している。元となったカードは《不思議な卵/Mysterious Egg》。日本語版限定カードで、上記の英名はMTGアリーナのもの。
これから変容したクリーチャーに変容するたびに+1/+1カウンターを置く能力を持たせる。が、上記のモスラは変容を持たないため、前述した通りモスラの繭でありながらモスラは羽化しないという何とも謎な状況に…
ちなみに元はコモンカードなのでボックストッパーやコレブーの確定枠からこれが出てくるとよくガッカリされていた。
翼竜怪獣、ラドン/Rodan, Titan of Winged Fury (青)(赤)(白)
伝説のクリーチャー — エレメンタル(Elemental) 恐竜(Dinosaur) 猫(Cat)
変容(1)(白/青)(赤)(赤)
飛行、先制攻撃
このクリーチャーが変容するたび、あなたの墓地からマナ総量が3以下でクリーチャーでないカード1枚を対象とする。あなたはそれをそのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。
3/3
モスラと同じく初出は非ゴジラシリーズだった翼竜、
ラドンのカード化。元となったカードは《雷の頂点、ヴァドロック/Vadrok, Apex of Thunder》。
変容するたびにコスト3以下のクリーチャーを墓地から唱えるという能力を持ち、変容コストも比較的軽い。
猫…
登場した当時はさほど活躍したわけではなかったが、後の「カルドハイム」で《黄金架のドラゴン》が登場したことで一躍スタンダード環境に躍り出る。
呪文の対象に取られると宝物を生成するドラゴンは変容との相性がよく、ドラゴンにラドンやドラッキスを変容し続け墓地の呪文を使いまわし、変容のタネが尽きたらバウンス呪文をドラゴンに使うことで変容しているラドンたちごと手札に戻るため再びドラゴンを出し直し変容…と多大なアドバンテージを稼ぐことができる。
環境末期ではトップメタ入りしたこともあり、「ゴジラシリーズ・カードの中で最強」と評価するプレイヤーも多い。
完全生命体、デストロイア/Destoroyah, Perfect Lifeform (2)(赤)(赤)
クリーチャー — フェニックス(Phoenix)
変容(3)(赤)(あなたがこの呪文をこれの変容コストで唱えるなら、あなたがオーナーであり人間(Human)でないクリーチャー1体を対象とし、これをそれの上か下に置く。これらは、一番上のクリーチャーにその下にある能力すべてを加えたものに変容する。)
飛行
このクリーチャーが変容するたび、《羽根/Feather》という名前で「(1),《羽根》を生け贄に捧げる:あなたの墓地からフェニックス(Phoenix)・カード1枚を対象とし、それをタップ状態で戦場に戻す。」を持つ赤のアーティファクト・
トークンを1つ生成する。
4/4
デストロイアのカード化。元となったカードは《永遠羽のフェニックス/Everquill Phoenix》。
フェニックスなのは前述の通り違和感こそあれど、まぁ再生能力ゆえだろう。
分裂能力はないが、変容するたびに出る羽根・トークンによって何度でも再生可能。別のフェニックスを出すこともできる。
虚空の侵略者、
スペースゴジラ/Spacegodzilla, Void Invader (6)(黒)(黒)
クリーチャー — ナイトメア(Nightmare) ホラー(Horror)
接死
サイクリング(2)(黒)
あなたが虚空を招くものをサイクリングしたとき、あなたがコントロールしているクリーチャー1体を対象とし、それの上に接死カウンターを1個置く。
8/8
宇宙怪獣
スペースゴジラのカード化。元となったカードは文章欄にもある通り《虚空を招くもの/Void Beckoner》。
サイクリングをした時、クリーチャー1体に接死カウンターによる接死を与えられる。サイクリングはいつでも使用できるため、
コンバットトリックとしても有用である。
こいつの場合最も語るべきなのは名前だろう。
実は元々は「死のコロナビーム、スペースゴジラ/Spacegodzilla, Death Corona」という名称だった。コロナビームというのはもともとスペースゴジラの代表的な必殺技であったのだが、イコリアが発売された2020年春という時期は「新型コロナウイルス(COVID-19)」の感染が拡大し始めていた頃で、コロナの名前が付いた商品が風評被害を被る事態も起こっていた。
そんな時期に「Death Corona」なんてド直球の名前のカードを出すのは大火事にガソリンをかぶって自ら突っ込むようなもの。
そのためカード名に対する異例のアナウンスが出されて現行の名前となった。カードの印刷などには時間がかかることもあり、初版のみコロナビームの名前で収録され、MTGアリーナでは改名、再版パックには未収録となってしまった。
そのため一時は希少価値から高値で取引されたこともあったが、需要に対して供給が大きかったこともあってか現在は落ち着いている。
戦闘要塞、メカゴジラ/Mechagodzilla, Battle Fortress(X)(X)
アーティファクト クリーチャー — 構築物(Construct)
搭載歩行機械は、+1/+1カウンターがX個置かれた状態で戦場に出る。
搭載歩行機械が死亡したとき、これの上に置かれている+1/+1カウンター1個につき、飛行を持つ無色の1/1の飛行機械(Thopter)アーティファクト・クリーチャー・トークンを1体生成する。
(1),(T):搭載歩行機械の上に+1/+1カウンターを1個置く。
0/0
メカゴジラが「3式機龍改」の形態でカード化。「マジック公認店舗応援キャンペーン」の配布カードで、元となったカードはイコリア収録でない《搭載歩行機械/Hangarback Walker》。
死んだときに飛行機械トークンを展開できる名アーティファクトクリーチャーで、出た後であっても自身のサイズを増やすことが可能。
似たようなカードには《歩行バリスタ》があり、鱗親和やスティールストンピィというデッキにおいて5枚目以降のバリスタとして活躍している。
余談
ゴジラシリーズ・カードの登場に合わせて、専用サイトから購入できる「Secret Lair」という形でゴジラが描かれた特別イラストの基本土地セットが発売された。
また、日本限定のキャンペーンとして、イコリアのボックスを購入するとゴジラシリーズ・カードの絵柄のスリーブが配布されるキャンペーンが行われた。
日本語版限定カード、日本語版のみドラフト・ブースターに収録、スリーブ配布キャンペーンと、日本及び日本語版のみやたら優遇されてる。
これはゴジラの生まれた国であることはもちろん、日本のゴジラファンを取り込むための販促戦略であろう
前述の通りクリーチャータイプのイメージ合わせには苦心の跡が見て取れ、貴重なネコ科怪獣の
キングシーサー、
ファンタジーと親和性が高いスペースゴジラなど、意外な怪獣が複数枚のカード化枠を獲得している。
追記・修正は《死のコロナビーム、スペースゴジラ/Spacegodzilla, Death Corona》を所持している方にお願いします。
- ガイガンが相棒持ちになったのはアニゴジ小説版を意識していた可能性がG細胞片レベルで存在している……? -- 名無しさん (2023-11-18 20:54:26)
- プレイじゃなくてコレクション目的で絵の気に入ったパック買ってるけど、コロナゴジラ持ってるわ…そんなレアカードだったのか -- 名無しさん (2023-11-18 21:21:44)
- ドラットとガイガンくらいしか見ないが、逆にそいつらは一切触れられてないのね -- 名無しさん (2023-11-19 00:29:53)
- スぺゴジの件ではネタイラストもけっこう作られてたな。スペースゴジラがゴジラと戦うけどなぜかコロナビームを撃たない。ゴジラに「なんでコロナビーム使わないの?」と聞かれて「もう俺はコロナビームを撃てないんだ……」と嘆いたり -- 名無しさん (2023-11-19 02:05:42)
- 後に『ジュラシック・ワールド』とのコラボで「従来のジュラシック・パークの『絶滅した種の再現を目指し、恐竜のDNAを元に現存生物のDNAで補っている厳密にはキメラ生物』の恐竜達に対し、『意図的に自然界に存在していなかった完全な新種を産み出すことを目的として、複数の恐竜や現存生物のDNAを組み合わされ産み出されたキメラ生物』」という特徴を再現した「戦場に出る時、手札から捨てたクリーチャー・カードのキーワード能力を付与するカウンターを得る」能力を持つ「君臨するもの、インドミナス・レックス」が登場したので「『ゴジラのDNAを組み込んだインドミナス・レックス』が産み出せる」なんて凄いことに。まあこの記事にある通りのスペースゴジラやデストロイア(完全体)、他にもビオランテもカード化されてるからね……。や -- 名無しさん (2023-11-19 05:59:01)
- まあ、デスでコロナで接死は、誰が悪いわけじゃないが流石にタイミング悪すぎたとしか -- 名無しさん (2023-11-19 09:42:44)
- スペースゴジラを農場送りにして農耕接触なんてダジャレもあったな -- 名無しさん (2023-11-19 11:45:40)
- Gathererだと別名はフレーバーテキストとして扱われてたな -- 名無しさん (2023-11-21 00:42:15)
- (続き)………調べてみたら、ルール更新で2022年以降はフレーバーテキスト扱いじゃなくなり、別名でも参照できるとのことでした。Gatherer内でも表記揺れがあるみたいです。失礼。 -- 名無しさん (2023-11-21 01:31:11)
- コテハンさん、細かい部分は自分好みに編集するけどヴァドロックループとかは編集しないのねw -- 名無しさん (2023-11-27 10:01:08)
最終更新:2024年01月25日 22:24